JPH1164811A - 液晶表示素子の製造方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示素子の製造において、操作が容易で
装置も特に複雑にならず、歩留りの向上と製品コストの
低減を図れるようにすることを目的とする。 【解決手段】 下基板２を下支持部材１の上に位置決め
保持し、下基板２の上のシール材４の外側に位置するス
ペーサ７に載置した基板６はその上面を上支持部材１２
の下面に仮止め材１３により密着状態に仮止めして支持
した状態で、上下基板２、６の一方をそれらの支持部材
１、１２による平面方向の移動により相互位置を微調整
し、スペーサ７を外したときの上基板６のシール材７へ
の密着を上支持部材１２の下動によって行い、真空解除
後のシール材４の硬化により液晶５を密封してできた液
晶表示素子１１を、前記下支持部材１による下基板２の
位置決めを解除し、上支持部材１２による上基板６の仮
止めを解除して取出し、前記液晶表示素子１１の製造を
終えることにより、上記の目的を達成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、一対の基板間に液
晶を封入して各種の視覚表示ができるようにした、パー
ソナルコンピュータやテレビ受像機などの画像表示パネ
ルなどに利用される、液晶表示素子の製造方法およびそ
の装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】このような液晶表示素子の主要構造は、
図６に示すように下基板ａ、上基板ｂと、これらの間に
枠状のシール材ｃによって密封された液晶ｄとで構成さ
れる。

【０００３】これを液晶滴下法により製作するには、シ
ール材ｃは例えば常態で粘性を有する紫外線硬化樹脂で
あり、図７の（ａ）に示すように下基板ａの周辺部上に
予め塗布され、その内側に液晶ｄが図７の（ｂ）に示す
ように滴下される。この状態でシール材ｃの上に上基板
ｂを図７の（ｃ）に示すように載置した後、シール材ｃ
を硬化させて液晶ｄを上下基板ａ、ｂ間に密封し液晶表
示素子とする。この手法は液晶の無駄な消費がなく歩留
りがよいし、製作工数が少なく有利である。

【０００４】密封される液晶ｄに気泡が混入していると
表示機能を損なうので、商品の製造には、従来、図８に
示すような真空チャンバーｅ内に設置した装置が用いら
れている。具体的には、図８の（ａ）に示すように、真
空チャンバーｅの下容器ｅ１内に設けられている支持部
材ｆの上に下基板ａを支持してストッパｇにより平面方
向に位置決めし、かつ、下基板ａの上の周辺部近くに付
着させたシール材ｃの内側に液晶ｄを滴下した状態にす
る。次いで、その上に上基板ｂを配して下基板ａ上のシ
ール材ｃよりも外側に配したスペーサｈ上に載置しシー
ル材ｃとの間にギャップを持たせる。これに併せ支持部
材ｆを適時に下基板ａの平面方向に位置調整してスペー
サｈ上に載置された上基板ｂとの位置調整を行う。次い
で、図８の（ｂ）に示すように真空チャンバーｅの上容
器ｅ２を閉じて下容器ｅ１側を一旦真空下におく。この
とき、上容器ｅ２の内側に設けられたダイヤフラム膜ｅ
３の上側の補助チャンバーｅ４を開閉弁付きの通気口ｅ
５を通じて大気に開放する。

【０００５】このときの状態を図９の（ａ）に示し、ダ
イヤフラム膜ｅ３が上基板ｂの上に引きつけられて密着
され、上基板ｂを大気圧により下方に押圧する。この状
態で、所定真空度を得ると、液晶ｄ内に気泡があった場
合でも真空排気されており、液晶ｄ内に気泡が残らな
い。従って、所定真空度になってからスペーサｈを図９
の（ｂ）に示すようにを外し上基板ｂがダイヤフラム膜
ｅ３を介した大気圧の押圧によりシール材ｃに圧着され
るようにする。この状態を所定時間継続して上基板ｂを
シール材ｃによく圧着させた後、上容器ｅ２を開いて下
容器ｅ１内も図１０に示すように大気に開放し、シール
材ｃを紫外線照射により硬化させて下基板ａと上基板ｂ
を接着しそれらの間に液晶ｄをシール材ｃにより密封す
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のよ
うな製造方法および装置では、スペーサｈを外すとき
に、上基板ｂはその平面方向に位置規制されていないた
め、退避するスペーサｈとの摩擦などによって３μｍ以
上位置ずれすることが多々ある。しかも、上基板ｂの周
辺数カ所を支持する複数のスペーサｈそれぞれの上基板
ｂとの摩擦は等しくなく、それぞれで異なっているの
で、前記位置ずれの量および方向が一定せず、これを自
動的に補正することは困難である。

【０００７】このような位置ずれを防止するため上基板
ｂを支持することが考えられるが、それには問題があり
実用化されていない。具体的には上基板ｂは真空状態に
てシール材ｃに圧着させるので、上基板ｂを真空吸着に
より支持することは困難である。上基板ｂには厚さ数十
Å・幅数μｍの駆動回路が配置されているので、これに
影響なく上基板ｂを静電吸着によって支持することも困
難である。

【０００８】一方、前記のような位置ずれを液晶表示に
影響のない３μｍ程度以内に矯正しようとすると、上基
板ｂをシール材ｃとの密着状態で移動させることになる
ので、シール材ｃが剥離したり、シール材ｃと液晶ｄと
が拡散混合したりして、液晶表示特性が損なわれるとい
う問題がある。

【０００９】従って、歩留りの向上および製品コストの
低減に限度があり、これらを解消することが望まれてい
る。

【００１０】本発明の目的は、操作が容易で装置も特に
複雑にならず、歩留りの向上と製品コストの低減を図る
ことができる液晶表示素子の製造方法およびその装置を
提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するために、請求項１の発明の液晶表示素子の製造方法
は、下支持部材上に平面方向に位置決めして支持した下
基板の上付着されたシール材の内側に液晶を滴下した状
態で、その上に上基板を配して下基板上のシール材より
も外側に配したスペーサ上に載置しシール材との間にギ
ャップを持たせて一旦真空下におき、所定真空度を得て
からスペーサを外して上基板をシール材上に密着させた
後、前前記真空を解除し、かつ、シール材を硬化させる
ことにより上下基板間を接着して液晶を密封し液晶表示
素子を製造するものにおいて、スペーサ上の上基板はそ
の上面を上支持部材の下面に仮止め材により密着状態に
仮止めして支持し、この状態で、上下基板の一方をそれ
らの支持部材により平面方向に移動させて相互位置を微
調整し、スペーサを外したときの上基板のシール材への
密着を上支持部材の下動によって行い、真空解除後のシ
ール材の硬化により液晶を密封してできた液晶表示素子
を、前記下支持部材による下基板の位置決めを解除し、
上支持部材による上基板の仮止めを解除して取出し、前
記液晶表示素子の製造を終えることを特徴とするもので
ある。

【００１２】このような構成では、下基板および上基板
の間に液晶をシール材で囲って封入するのに、下基板は
下支持部材により平面方向に位置決めして保持し、下基
板の上にシール材の外側のスペーサの上に載置してシー
ル材との間にギャップを持った上基板は上支持部材の下
面に上基板の上面を仮止め材を介し密着状態に仮止めし
て支持するので、下支持部材および上支持部材の一方を
動かす選択操作で、液晶を密封するときの下基板および
上基板の一方に対する他方への平面方向の位置の微調整
を行うことができ、従来のように下基板を位置調整する
のに限られない自由度があり、種々な条件に対応しやす
い。また、位置の微調整後、上基板とシール材との間に
ギャップがある状態で、シール材の内側に滴下されてい
る液晶を所定の状態まで真空下に一旦おくが、上基板の
上支持部材による仮止めとの相互影響はなく、その後ス
ペーサを外して上基板をシール材の上に密着させるが、
上基板は上支持部材の下面に密着する仮止め状態で平面
方向の移動を規制されることにより、スペーサが外され
るときの摩擦接触によっても不用意に位置ずれするよう
なことはなく、下基板との間の位置調整状態を保ったま
まシール材に密着されるので、スペーサが外されて上基
板がシール材の上に密着された状態での困難な位置調整
作業が不要となり、液晶表示素子を製造するための操作
が簡略化するし、上基板がシール材に密着した状態で位
置調整することによるシール材の剥離やシール材と液晶
との拡散混合が解消される。その後、真空を解除しての
シール材の硬化により上基板と下基板とは互いの位置調
整状態を保ったまま接着により一体化され液晶を密封し
た液晶表示素子となり、この液晶表示素子は下支持部材
による下基板の位置決め解除と、上支持部材による上基
板の仮止め解除とによって、簡易に取り出し製品とする
ことができる。従って、操作が簡単で必要な装置も特に
複雑になるようなことはないし、歩留りがよく製品コス
トを低減できる。

【００１３】請求項２の発明の液晶表示素子の製造装置
は、開閉できる真空チャンバー内に、下基板を平面方向
に位置決めして支持する下支持部材と、下支持部材に支
持された下基板の周辺上に側方から退避できるように進
入して、下基板の上に配される上基板を、下基板の上に
付着されるシール材との間にギャップを持つように載置
させるスペーサと、上基板上で上下できるとともに適宜
にオン、オフ制御される加熱源を持ち、下面に上基板の
上面を熱軟化性の仮止め材を介して仮止めして支持する
上支持部材と、下支持部材および上支持部材の一方を上
下基板の平面方向に位置調整する位置調整手段とを設け
たことを特徴とするものである。

【００１４】このような構成では、請求項１の発明の方
法の各操作を各種構成要素によってアシストして、ある
いは自動で行って、より簡易に能率よくかつ安定して達
成することができるし、熱軟化性の仮止め材を用いて上
基板の上面を上支持部材の下面に粘着ないしは接着など
の仮止め機能による密着状態に容易かつ安定して仮止め
することにより、スペーサが外される退避動作時の摩擦
接触に対する位置保持力を十分に確保しながら、加熱源
を適時にオンして仮止めしている仮止め材を加熱し軟化
させることによりそれの粘着ないし接着などの仮止め機
能を低下ないしは無くして、仮止めを解除し、下支持部
材の位置決め解除とで、製造した液晶表示素子を簡易に
取り出せるので、上基板の仮止め支持とその解除のため
に装置や操作が特に複雑になることはない。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の代表的な一実施の
形態につき、図１〜図５を参照しながら説明する。

【００１６】本実施の形態は、図２に示すように下支持
部材１上に下基板２をストッパ３などによって平面方向
に位置決めして支持するとともに、この下基板２の上の
周辺部近くに粘着状態のシール材４を塗布するなどして
付着させ、その内側に液晶５を滴下した状態にしてお
く。これらの上には図３の（ｂ）に示すように、上基板
６を配して下基板２上のシール材４よりも外側に配した
スペーサ７上に載置しシール材４との間にギャップ８を
持たせておく。この状態で、図４の（ａ）に示すように
密閉した真空チャンバー２１などを利用して一旦真空下
におき、所定真空度を得てからスペーサ７を図４の
（ｂ）に示すように外して上基板６をシール材４上に密
着させた後、図５の（ａ）に示すように真空チャンバー
２１を開くなどして前記真空を解除し、かつ、シール材
４を硬化させることにより上下基板２、６間を接着して
液晶５を密封し液晶表示素子１１を製造するいわゆる液
晶滴下方式を採用している。

【００１７】特に本実施の形態では、図１に示すような
装置を用いるなどして、スペーサ７上の上基板６はその
上面を上支持部材１２の下面に仮止め材１３により密着
状態に仮止めして支持した状態で、上下基板２、６の一
方をそれらの支持部材１、１２により平面方向に移動さ
せて相互位置を微調整し、スペーサ７を外したときの上
基板６のシール材４への密着を上支持部材１２の下動に
よって行い、真空解除後のシール材４の硬化により液晶
５を密封してできた液晶表示素子１１を、前記下支持部
材１による下基板２の位置決めを解除し、上支持部材１
２による上基板６の仮止めを解除して取出し、前記液晶
表示素子１１の製造を終える。もっとも、下基板２およ
び上基板６の互いの位置の微調整は、下支持部材１およ
び上支持部材１２の双方の位置調整によっても行える。

【００１８】以上のように、下基板２および上基板６の
間に液晶５をシール材４で囲って封入するのに、下基板
２は下支持部材１により平面方向に位置決めして保持
し、下基板２の上にシール材４の外側のスペーサ７の上
に載置してシール材４との間にギャップ８を持った上基
板６は上支持部材１２の下面に上基板６の上面を仮止め
材１３を介し密着状態に仮止めして支持するので、下支
持部材１および上支持部材１２の一方を動かす選択操作
で、液晶５を密封するときの下基板２および上基板６の
一方に対する他方への平面方向の位置の微調整を行うこ
とができ、従来のように下基板２を位置調整するのに限
られない自由度があり、種々な条件に対応しやすい。

【００１９】また、位置の微調整後、上基板６とシール
材４との間にギャップ８がある状態で、シール材４の内
側に滴下されている液晶５を所定の状態まで真空下に一
旦おくが、上基板６の上支持部材１２による仮止めとの
相互影響はなく、その後スペーサ７を外して上基板６を
シール材４の上に密着させるが、上基板６は上支持部材
１２の下面に密着する仮止め状態で平面方向の移動を規
制されることにより、スペーサ７が外されるときの摩擦
接触によっても不用意に位置ずれするようなことはな
く、下基板２との間の位置調整状態を保ったままシール
材４に密着されるので、スペーサ７が外されて上基板６
がシール材４の上に密着された状態での困難な位置調整
作業が不要となり、液晶表示素子１１を製造するための
操作が簡略化するし、上基板６がシール材４に密着した
状態で位置調整することによるシール材４の剥離やシー
ル材４と液晶５との拡散混合が解消される。

【００２０】その後、真空を解除してのシール材４の硬
化により上基板６と下基板２とは互いの位置調整状態を
保ったまま接着により一体化されて、液晶５を密封した
液晶表示素子１１となり、この液晶表示素子１１は下支
持部材１による下基板２の位置決め解除と、上支持部材
１２による上基板６の仮止め解除とによって、簡易に取
り出し製品とすることができる。

【００２１】従って、操作が簡単で必要な装置も特に複
雑になるようなことはないし、歩留りがよく製品コスト
も低減できる。

【００２２】図１の装置は、下容器２１ａとこれに開閉
できるように連結された上容器２１ｂとで構成された開
閉できる真空チャンバー２１の、下容器２１ａ内に、下
基板２を平面方向に位置決めして支持する下支持部材１
と、下支持部材１に支持された下基板２の周辺上に側方
から退避できるように進入して下基板２の上に配される
上基板６を載置させ、下基板２の上に付着されるシール
材４との間にギャップ８を持たせるスペーサ７と、上基
板６上で上下できるとともに適宜にオン、オフ制御され
る加熱源２２を持ち、下面に上基板６の上面を熱軟化性
樹脂ないしは材料、より好ましくは高温溶融性を持った
各種のワックスなどの仮止め材１３を介して仮止めして
支持する上支持部材１２と、下支持部材１および上支持
部材１２の一方を上下基板２、６の平面方向に位置調整
する位置調整手段２４とを設けてあり、本実施の形態で
は位置調整手段２４は下支持部材１を位置調整するよう
にしてある。

【００２３】下支持部材１は定盤型で、下容器２１ａの
底部上の平面より見て互いに直交するＸＹ２方向に人為
操作や動作プログラムによる動作信号に従って移動でき
るＸＹテーブルよりなる位置調節手段２４を介して支持
されている。これにより、下支持部材１がその平坦な上
向きの定盤面１ａに位置決め保持している下基板２を、
下支持部材１の位置調節手段２４によるＸＹ２方向の移
動で、スペーサ７上で上支持部材１２に仮止め支持され
た上基板６に対する位置を微調整する。下支持部材１の
下基板２の位置決めは従来の場合同様に、下基板２の周
囲複数箇所で外方から人為操作や動作プログラムによる
動作信号に従って離接する複数のストッパ３の内側への
進出によってまわりから把持し位置決めするようにして
いる。しかし、下支持部材１およびその上の下基板２の
位置決め機構はどのように構成されてもよい。

【００２４】スペーサ７は下支持部材１上に位置決めさ
れる下基板２の上に枠状に塗布したシール材４の外側に
周囲数カ所から人為操作や動作プログラムによる動作信
号に従って進退できるように支持して設けられ、下基板
２の周辺上に進出した位置で下基板２の上に配される上
基板６が載置されると、シール材４との間に所定のギャ
ップ８を持たせるように構成している。これの具体的な
構成も種々に設計されてよい。

【００２５】上支持部材１２は加熱源２２としてのヒー
タを内蔵した定盤型のもので、平坦な下向きの定盤面１
２ａを有し、この定盤面１２ａが下支持部材１の定盤面
１ａと平行でより好ましくは同一軸線上にあり、かつ、
それら定盤面１２ａ、１ａと垂直な方向に昇降できるよ
う垂直移動ステージ２７を介して下容器２１ａ内に支持
されている。加熱源であるヒータ２２は外部に設けたス
イッチの人為操作や動作プログラムによる動作信号に従
って、適宜にオン、オフ操作できるようにする。

【００２６】以下、液晶表示素子１１の図１の装置を利
用した具体的な製造手法について説明する。まず、図２
に示すように真空チャンバー２１を開放状態にし、下支
持部材１の上に下基板２を位置決め保持する。この位置
決め保持は下基板２の上にシール材４を塗布しその内側
に液晶５を滴下する前でも、あるいは滴下した後でもよ
いが、液晶５の過不足ない適正な滴下と持ち運び時のこ
ぼれ落ちを防止する上で、下基板２を位置決め保持した
後に液晶５を滴下するのが好適である。また、シール材
４を所定位置に所定の形態で塗布するのも、印刷や転
写、手塗布など適当な手法によって行えばよいが、下基
板２は位置決め保持されている方が作業しやすく、失敗
しにくい。これらの作業はロボットハッドなどにより自
動的に行うことができるが人為操作によってもよい。こ
のような作業を終了した時点で、スペーサ７を図２に示
すように下基板２の周辺部上へ外方から進出させてお
く。シール材４は塗布時の粘着性がよく、しかも、硬化
が簡単で硬化時の下基板２と上基板６との気密的な接着
機能に優れているのがよく。紫外線硬化性樹脂が適当で
ある。もっとも、他の種類の樹脂や材料を用いてもよ
い。

【００２７】この図２に示すような状態で、図３の
（ａ）に示すようにスペーサ７の上に上基板６を載置す
る。この載置はロボットハンドによって自動的に行うこ
ともできるが、手置きすることもできる。これに併せ、
上支持部材１２の定盤面１２ａに高温溶融性ワックスな
どの仮止め材１３を塗布する。仮止め材１３は繰り返し
使用可能なものであれば、毎回塗布する必要はなく初期
から塗布しておいて繰り返し使用すればよいし、消耗す
るものであれば必要な時点で補給すればよい。従って、
仮止め材１３の塗布時期は必要に応じて定めればよい。

【００２８】次いで、図３の（ｂ）に示すように、上支
持部材１２を下降させてスペーサ７の上の上基板６に接
触させる。これにより、上支持部材１２の定盤面１２ａ
に上基板６の上面が仮止め材１３の常温での粘着性ない
しは接着性によって密着状態に支持され、特に平面方向
の移動が規制される状態になる。この状態で下基板２を
下支持部材１の位置調節によって、スペーサ７の上に載
置され上支持部材１２に仮止め支持された上基板６に対
する位置を微調整する。この微調整は得られる液晶表示
素子１１の表示機能を損なわない３μｍ程度以下とされ
るのが好適であり、認識カメラによる画像認識や適当な
精密センサによる位置検出によって行うのが好適であ
る。

【００２９】この状態で液晶５を所定の真空下におくた
め、図４の（ａ）に示すように上容器２１ｂを閉じて真
空チャンバー２１内を図示しない真空源に接続して内部
を真空化する。所定の真空度に達すると、液晶５内に気
泡があってもこれがギャップ８を通じて吸引排気され、
液晶５内の気泡はなくなる。そこで、図４の（ｂ）に示
すように、スペーサ７を外方へ退避させるとともに、上
支持部材１２を下降させてそれが支持している上基板６
をシール材４の上に密着させる。この密着は上支持部材
１２の下動により強制的になされるので、従来のように
所定時間置く必要がなく操作時間の短縮に好適である。
スペーサ７が退避するとき上基板６と摩擦接触するが、
上基板６は上支持部材１２に密着状態に仮止め支持され
平面方向の動きを規制されているので、不用意に動くこ
とななく、下基板２との位置の微調整状態がよく保た
れ、従来のような位置の補正操作が不要であるし、この
状態で位置の補正を行うことによる従来のような問題も
解消する。

【００３０】この状態で、図５の（ａ）に示すように上
容器２１ｂを開いて真空チャンバー２１内を大気に開放
し、シール材４を紫外線の照射により硬化させる。シー
ル材４の材料によっては別の硬化操作をすればよい。こ
のとき、下基板２および上基板６は前記のように微調整
された位置関係を保って硬化するシール材４により互い
に気密状態に接着されて液晶５を密封した状態に一体化
し、液晶表示素子１１となる。

【００３１】最後に、上支持部材１２のヒータ２２をオ
ンして仮止め材１３を加熱し、溶融状態ないしはそれに
近い状態にして、その粘着性ないしは接着性を低下さ
せ、あるいは無くしてから、図５の（ｂ）に示すように
上支持部材１２を上昇させて上基板６から引き離し、そ
れの仮止め材１３による仮止めを解除する。このとき、
下支持部材１は下基板２を位置決め保持した状態である
ほど、上基板６が上昇する上支持部材１２から強制的に
引き離されやすくなり、操作時間短縮に好適である。上
基板６の上支持部材１２による仮止め支持解除の後、下
基板２の下支持部材１による位置決め保持を図５の
（ｂ）に破線で示すように解除し、液晶表示素子１１を
取出し、これの製造操作を終了する。この取出しも、ロ
ボットハンドによって自動的に行えるが、人為操作で行
うこともできる。もっとも、下支持部材１による下基板
２の位置決め解除と、上支持部材１２による上基板６の
仮止め解除とは、基本的にはどちらが先でもよく、場合
によっては並行して行うこともできる。

【００３２】このように、図１に示すような装置を用い
ると、液晶表示素子１１を製造するのに、種々な操作を
各構成要素によりアシストして、あるいは自動で行っ
て、より簡易に能率よくかつ安定して達成することがで
きる。

【００３３】

【発明の効果】請求項１の発明の液晶表示素子の製造方
法によれば、下支持部材および上支持部材の一方を動か
す選択操作で、液晶を密封するときの下基板および上基
板の一方に対する他方への平面方向の位置の微調整を行
うことができ、従来のように下基板を位置調整するのに
限られない自由度があり、種々な条件に対応しやすい。

【００３４】また、シール材の内側に滴下されている液
晶を所定の状態まで真空下に一旦おくのに上基板の上支
持部材による仮止めとの相互影響はなく、その後スペー
サを外して上基板をシール材の上に密着させるときに
も、上基板は上支持部材の下面に密着する仮止め状態で
平面方向の移動を規制されていることにより、スペーサ
との摩擦接触によって不用意に位置ずれしないので、ス
ペーサが外されることによる位置調整作業が不要とな
り、液晶表示素子を製造するための操作が簡略化する
し、そのような位置調整によるシール材の剥離やシール
材と液晶との拡散混合が解消される。その後従来同様に
得られる液晶表示素子は下支持部材による下基板の位置
決め解除と、上支持部材による上基板の仮止め解除とに
よって、簡易に取り出し製品とすることができる。従っ
て、操作が簡単で必要な装置も特に複雑になるようなこ
とはないし、歩留りがよく製品コストを低減できる。

【００３５】請求項２の発明の液晶表示素子の製造装置
によれば、請求項１の発明の方法の各操作を各種構成要
素によってアシストして、あるいは自動で行って、より
簡易に能率よくかつ安定して達成することができるし、
熱軟化性の仮止め材を用いて上基板のスペーサが外され
る退避動作時の摩擦接触に対する位置保持力を十分に確
保しながら、適時に仮止め材を加熱し軟化させることに
より仮止めを解除し、下支持部材の位置決め解除とで、
製造した液晶表示素子を簡易に取り出せるようにするの
で、上基板の仮止め支持とその解除のために装置や操作
が特に複雑になることはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の代表的な一実施の形態における液晶表
示素子の製造装置の一例を使用状態で示す断面図であ
る。

【図２】図１の装置による液晶表示素子の製造に係る真
空開放操作状態での初段階の状態を示す断面図である。

【図３】図１の装置による液晶表示素子の製造に係る真
空開放操作状態での中段階、後段階の状態を示し、その
（ａ）は中断階の状態の断面図、その（ｂ）は後段階の
状態での断面図である。

【図４】図１の装置による液晶表示素子の製造に係る真
空操作状態での前段階、後段階の状態を示し、その
（ａ）は前段階の断面図、その（ｂ）は後段階の断面図
である。

【図５】図１の装置による液晶表示素子の製造に係る真
空解除操作状態での前段階、後段階の状態を示し、その
（ａ）は前段階の断面図、その（ｂ）は後段階の断面図
である。

【図６】従来から知られる液晶滴下方式で製造される液
晶表示素子の概略構成を示す分解斜視図である。

【図７】図６の液晶表示素子の液晶滴下方式による製作
手法を示し、その（ａ）はシール材の塗布段階の断面
図、その（ｂ）は液晶滴下段階での断面図、その（ｃ）
は液晶密封段階の断面図である。

【図８】従来の製造装置による液晶表示素子の製造に係
る初期段階を示し、その（ａ）は真空開放操作状態を示
す断面図、その（ｂ）は真空操作状態での初段階の状態
を示す断面図である。

【図９】従来の製造装置による液晶表示素子の製造に係
る中間段階を示し、その（ａ）は真空操作状態での中段
階の状態を示す断面図、その（ｂ）は真空操作状態での
後段階の状態を示す断面図である。

【図１０】従来の製造装置による液晶表示素子の製造に
係る真空解除操作状態を示す断面図である。

【符合の説明】

１ 下支持部材 １ａ、１２ａ 定盤面 ２ 下基板 ３ ストッパ ４ シール材 ５ 液晶 ６ 上基板 ７ スペーサ ８ ギャップ １１ 液晶表示素子 １２ 上支持部材 １３ 仮止め材 ２１ 真空チャンバー ２１ａ 下容器 ２１ｂ 上容器 ２２ 加熱源 ２４ 位置調整手段 ２７ 垂直移動ステージ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 下支持部材上に平面方向に位置決めして
   支持した下基板の上に付着されたシール材の内側に液晶
   が滴下された状態で、その上に上基板を配して下基板上
   のシール材よりも外側に配したスペーサ上に載置しシー
   ル材との間にギャップを持たせて一旦真空下におき、所
   定真空度を得てからスペーサを外して上基板をシール材
   上に載置した後、前記真空を解除し、かつ、シール材を
   硬化させることにより上下基板間を接着して液晶を密封
   し液晶表示素子を製造する液晶表示素子の製造方法にお
   いて、 スペーサ上の上基板はその上面を上支持部材の下面に仮
   止め材により密着状態に仮止めして支持し、この状態
   で、上下基板の一方をそれらの支持部材により平面方向
   に移動させて相互位置を微調整し、スペーサを外したと
   きの上基板のシール材への密着を上支持部材の下動によ
   って行い、真空解除後のシール材の硬化により液晶を密
   封してできた液晶表示素子を、前記下支持部材による下
   基板の位置決めを解除し、上支持部材による上基板の仮
   止めを解除して取出し、前記液晶表示素子の製造を終え
   ることを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
2. 【請求項２】 開閉できる真空チャンバー内に、下基板
   を平面方向に位置決めして支持する下支持部材と、下支
   持部材に支持された下基板の周辺上に側方から退避でき
   るように進入して、下基板の上に配される上基板を、下
   基板の上に付着されるシール材との間にギャップを持つ
   ように載置させるスペーサと、上基板上で上下できると
   ともに適宜にオン、オフ制御される加熱源を持ち、下面
   に上基板の上面を熱軟化性の仮止め材を介し密着状態に
   仮止めして支持する上支持部材と、下支持部材および上
   支持部材の一方を上下基板の平面方向に位置調整する位
   置調整手段とを設けたことを特徴とする液晶表示素子の
   製造装置。