JPH1150796A - トンネル内監視員通路の形成施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 型枠等の準備組み立て及び撤去作業を簡単
にすると共に監視員通路側壁の仕上げ作業を不要にし
て、作業工数が少なくてすむのみならずコストも低減で
きるトンネル内監視員通路側壁の形成施工方法を提供し
ようとするものである。 【解決手段】 ＰＣ基版１１の表面に化粧材１２を設
けた表面板１０と背面型枠２０とを所要間隔で対峙させ
ると共にトンネルの側壁Ｔ１から所要間隔離れたトンネ
ルの路盤面Ｒ上に前記背面型枠側をトンネルの側壁に対
向させて立設し、次いで前記表面板と背面型枠との空間
にコンクリートスラリー２５を充填し硬化させることに
より表面板と一体となった立壁を形成し、その後に前記
背面型枠を取り外し前記立壁とトンネルの側壁との間に
充填材を充填してその天端面を監視員通路２８とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、道路用トンネル
内に設けられる監査廊、監視員通路（以下「監視員通
路」という）の側壁を構成する表面板を用いて監視員通
路を形成する施工方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】トンネル内に設置される換気設備、照明
設備及び防災設備等の各種の設備機器は、トンネル利用
の安全性等を図るためにメンテナンスが必要である。し
かも、前記設備機器は通過車両の排気ガスや巻き上げる
粉塵、トンネル壁面からの浸出水等により短期間で汚れ
やすいので、かなりの頻度で点検作業が必要となる。そ
のため、点検作業の安全確保及び点検作業中のスムーズ
な車両通行確保等を図る意味から、トンネルの側壁に沿
っていわゆる監視員通路を設けることがある。

【０００３】従来、前記監視員通路は、対峙させた型枠
をトンネル内の路盤面上にトンネルの側壁から所要間隔
離して設置し、この型枠内にコンクリートスラリーを充
填し硬化させて監視員通路側壁を形成した後に型枠を外
し、次いで前記監視員通路側壁とトンネルの側壁間の空
間に砂等の充填材を充填し、その充填材の上にコンクリ
ートパネルを敷設する等の手順で実施され、当該天端面
を監視員通路としていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記の
施工にあっては、型枠等の作業用材を準備する等の施工
管理や施工時に型枠の脱着作業等が必要であるため、非
常に煩雑であった。しかも、型枠の取り外し後も監視員
通路側壁の路盤に面する側（表面側）の仕上げ作業が必
要である等、工数的にも時間的にも相当の負担がかかる
ものであった。

【０００５】そこで、この発明は前記問題点を解決する
ためになされたものであって、型枠等の準備組み立て及
び撤去作業を簡単にすると共に監視員通路側壁の仕上げ
作業を不要にして、作業工数が少なくてすむのみならず
コストも低減できるトンネル内監視員通路側壁の形成施
工方法を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわちこの発明は、表
面板がＰＣ基版とその表面の化粧材とよりなり、前記Ｐ
Ｃ基版には、メッシュ筋と、受圧プレートに一端側を固
着した埋め込みナットとを、前記ナットのネジ穴が表面
板の裏面側に露出するように埋設して構成してなる表面
板を用いるトンネル内監視員通路の形成施工方法であっ
て、前記表面板と背面型枠とを前記埋め込みナットのネ
ジ穴に一端を螺合させたセパレーターにより所要間隔で
対峙させると共に、トンネルの側壁から所要間隔離れた
トンネルの路盤面上に前記背面型枠側をトンネルの側壁
に対向させて立設し、次いで前記表面板と背面型枠との
空間にコンクリートスラリーを充填し硬化させることに
より表面板と一体となった立壁を形成し、その後に前記
背面型枠を取り外し前記立壁とトンネルの側壁との間に
充填材を充填してその天端面を監視員通路とするトンネ
ル内監視員通路の形成施工方法に係る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明
を詳細に説明する。図１は本発明の監視員通路に用いら
れる表面板の一例をＰＣ基版側から見た斜視図、図２は
その表面板の横断面図、図３はその表面板内のメッシュ
筋の斜視図、図４は埋め込みナット部分の断面拡大図、
図５は埋め込みナットおよび受圧プレートを示す斜視
図、図６は埋め込みナットを受圧プレートに挿通した状
態を示す斜視図、図７は本発明のトンネル内監視員通路
の形成施工方法の一実施例について、コンクリートスラ
リー充填時を示す断面図、図８は図７の８矢視図、図９
は図７の９矢視図、図１０はコンクリートスラリー硬化
後に背面型枠を取り外した状態を示す断面図、図１１は
本発明の方法によって得られたトンネル内監視員通路の
一例を示す断面図である。

【０００８】図１，図２及び図８に示すように、表面板
１０は、ポリマーセメントモルタルを基材として成形し
たＰＣ（プレキャストコンクリート）基版１１とその表
面の化粧材１２とからなり、全体を矩形に形成されてい
る。本実施例の表面板１０は、縦１０００ｍｍ×横９１
４ｍｍ×厚み３２ｍｍからなる。表面板１０は、あらか
じめ工場等で所定の形状に成形されたもので、車道側と
なる一の表面には化粧材１２が形成されている。この化
粧材１２は、監視員通路の側壁となる部分で、本実施例
では適当な大きさのタイル１４が、ＰＣ基版１１の上端
から下端の上方２５０ｍｍまで貼着されている。尚、化
粧材１２には金属板や樹脂板等を使用してもよい。この
ように予めＰＣ基版１１の一側にタイル等が設けられた
化粧材１２を形成した表面板１０を使用すれば、型枠の
使用量を減らし、また監視員通路の成形後に監視員通路
側壁の仕上げ作業をする必要がなくなり、作業が簡単に
なる。

【０００９】また、図２から理解されるように、ＰＣ基
版１１の内部にはメッシュ筋１３および埋め込みナット
１５が一体に埋設されている。図３にこのメッシュ筋１
３の一例を示す。メッシュ筋１３は、適当な径の鋼線を
縦横に配して溶接された公知のものが用いられ、全体が
前記ＰＣ基版１１と略同じ大きさに形成されている。こ
のメッシュ筋は、ＰＣ基版１１の曲げ及び引っ張りに対
する補強を目的として用いられ、該メッシュ筋１３を構
成する鋼線間からは次に述べる埋め込みナット１５が突
出するように位置している。

【００１０】埋め込みナット１５は、背面型枠２０と表
面板１０とを所定の間隔をあけてセパレーター２１（図
７参照）で連結するためのもので、セパレーター２１の
一端側２１ａが螺着される。この埋め込みナット１５
は、図４ないし図６からも理解されるように、一端を閉
じた筒状体１７に一定深さのネジ穴１６を形成した一種
の袋ナットよりなり、前記ネジ穴１６を表面板１０の裏
面側に露出するようにして、適宜数設けられている。こ
の埋め込みナット１５は受圧プレート１９の中央部分に
設けられた孔部Ｈに挿通され、一端側のフランジ１７ａ
部分で受圧プレート１９に溶接等により固着されてい
る。前記ネジ穴１６の一端を閉じた袋ナットよりなる埋
め込みナット１５によれば、セパレーター２１の一端が
埋め込みナット１５の内端に当たるまでセパレーター２
１を当該ナット１５に螺合させるだけで、表面板１０裏
面からのセパレーター２１の長さを一定にすることがで
き、表面板１０と背面型枠２０間の間隔を容易に一定に
できるため、具合がよい。

【００１１】前記受圧プレート１９は、金属板からな
り、前記埋め込みナット１５を表面板１０に確実に固定
するために用いられる。この受圧プレート１９の化粧材
１２側表面には接着テープ等からなる接着剤Ｓが配設さ
れていて、化粧材１２裏側にＰＣ基板１１を形成する際
に、前記接着剤Ｓにより受圧プレート１９が化粧材１２
裏面に仮固定されるようになっている。

【００１２】図７ないし図９に示すように、前述した表
面板１０を用いるこの発明のトンネル内監視員通路の形
成施工方法は、まず所定の間隔を設けて対峙させた表面
板１０と背面型枠２０とを、前記背面型枠２０をトンネ
ルＴの側壁Ｔ１側にして路盤面Ｒ上に複数立設する。

【００１３】背面型枠２０は合板等でできており、前記
表面板１０との間で立壁成形空間３１を形成するための
もので、図７に示すように、トンネル側壁Ｔ１に対向さ
せ、所定の間隔を設けて路盤面Ｒ上に立設される。前記
表面板１０と背面型枠２０との間の幅、すなわち立壁成
形空間３１の幅は、セパレーター２１により固定され
る。

【００１４】セパレーター２１は、表面板１０と背面型
枠２０との間の間隔を固定して、後で述べる立壁の厚み
を規定しかつ一定に保持するためのもので、両端部分に
ネジが刻設された棒部材よりなる。このセパレーター２
１は、図９に示すように、一端２１ａが埋め込みナット
１５のネジ穴１６と螺合し、他端２１ｂが背面型枠２０
を貫通してナットＮと螺合し、それにより両端２１ａ，
２１ｂの位置固定がなされることによって、前記表面板
１０と背面型枠２０の間隔を所定幅で固定する。なお、
このセパレーター２１は、立壁の成形後はその内部に埋
設される。

【００１５】また、前記背面型枠２０とトンネル側壁Ｔ
１との間には支保材３６が配設されており、この後に行
う立壁用コンクリートスラリーの充填及び硬化時等に、
型枠セットが不用意に倒れたり型枠２０が変形したりす
るのを防止するようになっている。なお、本実施例にお
いて、前記表面板１０と背面型枠２０との間の空間３１
には、立壁成形長さ方向に適宜間隔で棒状部材２３が複
数本立設されている。この棒状部材２３は、型枠等の位
置決め及び立壁の立設を補強するためのもので、路盤面
Ｒから出ている部分の長さを前記表面板１０の高さと略
同じとして一端が路盤面Ｒ内に埋設されている。さら
に、図示は省略するが、前記棒状部材２３の立設間隔を
固定するため、横方向に並ぶ複数の棒状部材２３を連結
して固定する細長い棒部材を棒状部材２３間に架け渡し
てもよい。また、前記セパレーター２１と棒状部材２３
とを緊結して表面板１０等の位置を一層確実に固定する
こともある。

【００１６】前記のようにして表面板１０と背面型枠２
０が路盤面Ｒに立設された後、図７に示すように、前記
表面板１０と背面型枠２０との間の立壁成形空間３１
に、コンクリートスラリー２５が充填される。その際、
前記表面板１０と背面型枠２０は、セパレーター２１に
よって所定間隔で連結固定され支保材３６で支持されて
いるので、前記スラリーの充填によりその間隔が広がっ
てしまったり表面板１０等が倒れたりするおそれがな
い。

【００１７】図１０に示すように、前記空間に充填され
たコンクリートスラリー２５は硬化して、表面板１０と
一体となった立壁２７をＰＣ基版１１の裏面に形成す
る。その際、前記のように、表面板１０と背面型枠２０
間の広がり及び表面板１０等の倒れが防止されているた
め、立壁２７が所望の厚みで立設される。しかも、立壁
にはメッシュ筋１３や棒状部材２３等が一体に埋設され
ているので、立壁２７をより強度の高いものとすること
ができる。

【００１８】しかる後、図示のように、背面型枠２０を
取り外し立壁２７のトンネル側壁Ｔ１側の面を露出させ
る。図のように、前記立壁２７のトンネル側壁Ｔ１側の
面からは、前記セパレーター２１の後部２１ｂが突出す
る。その際の作業は、従来の両面型枠の場合と異なり、
背面型枠２０のみ外せばよいため、作業が極めて簡単と
なる。そして、前記立壁２７とトンネル側壁Ｔ１との間
２４には、図１１に示すように、充填材２６を充填しそ
の天端面を監視員通路２８とする。

【００１９】なお、前記充填材２６としては、砂材やコ
ンクリートスラリー等が用いられる。特に、前記通路２
８の下部に電らん管や水道管等を敷設する場合には、後
に発生する補修や交換のための掘り起こし作業が容易と
なるように、充填材２６に砂材を用いるのが好ましい。
そして、砂材を充填材として用いた場合には、さらに上
面にコンクリートパネルを敷設すれば、監視員通路２８
となる天端面が極めて歩きやすくなる。また、コンクリ
ートスラリーを充填材２６として用いた場合には、硬化
したコンクリートスラリーの上面が天端面となり監視員
通路２８を構成する。このようにして形成された監視員
通路の側壁には、表面板１０の化粧材１２が配されるの
で、その後の工数の掛かる仕上げ作業が不要となる。さ
らに、前記化粧材１２を予め前記タイルの貼設により構
成しておけば、極めて美麗な監視員通路を簡単に形成す
ることができる。

【００２０】

【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の
トンネル内監視員通路の形成施工方法によれば、表面板
にはタイル等からなる化粧材が形成されており、またメ
ッシュ筋で補強しているので、施工後の通路側壁の仕上
げ作業が不要となり工数及びコストを低減し効率的な作
業を行なうことができるともに、薄形でありながら充分
な剛性を得ることができる。

【００２１】また、前記表面板を立壁の表面側の型枠と
して用いているので、その表面側については型枠を別に
用意して組み立てる必要がなく、しかも成形後も撤去す
る必要がない。従って、型枠について必要な作業は、背
面型枠に対する作業だけでよいため、作業を極めて合理
化し簡略化することができるだけでなく型枠費も軽減で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の形成施工方法に用いられる表面板の一
例をＰＣ基版側から見た斜視図である。

【図２】その表面板の横断面図である。

【図３】その表面板内のメッシュ筋の斜視図である。

【図４】埋め込みナット部分の断面拡大図である。

【図５】埋め込みナットおよび受圧プレートを示す斜視
図である。

【図６】埋め込をナットを受圧プレートに挿通した時を
示す斜視図である。

【図７】本発明のトンネル内監視員通路の形成施工方法
の一実施例について、コンクリートスラリー充填時を示
す断面図である。

【図８】図７の８矢視図である。

【図９】図７の９矢視図である。

【図１０】コンクリートスラリー硬化後に背面型枠を取
り外した状態を示す断面図である。

【図１１】本発明の方法によって得られたトンネル内監
視員通路の一例を示す断面図である。

【符号の説明】

１０ 表面板 １１ ＰＣ基版 １２ 化粧材 １３ メッシュ筋 １５ 埋め込みナット １９ 受圧プレート ２０ 背面型枠 ２１ セパレーター ２３ 棒状部材 ２４ 立壁とトンネル側壁の間 ２５ コンクリートスラリー ２６ 充填材 ２７ 立壁 ２８ 監視員通路 ３１ 空間 Ｒ 路盤面 Ｓ 接着剤 Ｔ トンネル Ｔ１ トンネル側壁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面板がＰＣ基版とその表面の化粧材と
   よりなり、前記ＰＣ基版には、メッシュ筋と、受圧プレ
   ートに一端側を固着した埋め込みナットとを、前記ナッ
   トのネジ穴が表面板の裏面側に露出するように埋設して
   なる表面板を用いるトンネル内監視員通路の形成施工方
   法であって、 前記表面板と背面型枠とを前記埋め込みナットのネジ穴
   に一端を螺合させたセパレーターにより所要間隔で対峙
   させると共に、トンネルの側壁から所要間隔離れたトン
   ネルの路盤面上に前記背面型枠側をトンネルの側壁に対
   向させて立設し、次いで前記表面板と背面型枠との空間
   にコンクリートスラリーを充填し硬化させることにより
   表面板と一体となった立壁を形成し、その後に前記背面
   型枠を取り外し前記立壁とトンネルの側壁との間に充填
   材を充填してその天端面を監視員通路とするトンネル内
   監視員通路の形成施工方法。