JPH11500999A - 繊維強化した少なくとも一種のエーロゲルシートおよび／またはエーロゲルマットを含有する透明構成材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、空間を有する透明材料からなる少なくとも二枚のペインを有する透明構成材料であって、当該空間は少なくとも一種の繊維強化エーロゲルシートおよび／またはマトリックスを有するもの、ならびにその使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 繊維強化した少なくとも一種のエーロゲルシートおよび／または エーロゲルマットを含有する透明構成材料 本発明は、構成材料、特に、繊維強化した少なくとも一種のエーロゲルシート および／またはエーロゲルマットを含有するシールした板ガラス様ユニットなら びにその使用に関する。 従来シールした板ガラスユニットは、互いに平行に配列し、典型的には１０〜 ３０ｍｍ離れた二枚または三枚の窓ガラスから構成され、空気を浸透させない材 料を用いて端部で互いに堅固に連結されていた。これらの窓ガラス間に、普通、 常圧なまたは僅かに減圧において低熱伝導性の空気またはその他の不活性ガスが 存在する。これらの絶縁窓の絶縁効果は閉じ込められたガスの絶縁作用を基礎に している。 シールした窓ガラスユニットの絶縁作用を上昇させるためにエーロゲルを使用 する多くの方法が提供されて来た。 広義のエーロゲル、すなわち、分散媒として空気を用いる意味でのエーロゲル は、適当なゲルを乾燥させることにより製造する。この意味での「エーロゲル」 という用語には、狭義のエーロゲル、キセロゲルおよびクリオゲル等があり、乾 燥ゲルは、当該ゲルの液体が臨界温度を超えた温度でしかも臨界圧力を超える圧 力から始めて大部分の液体を除去する場合、狭義のエーロゲルと呼ばれる。対照 的に、ゲル液を臨界点以下で、例えば、液−気境界相の形成を伴って除去する場 合、得られたゲルはしばしばキセロゲルとも呼ばれる。 本出願では、エーロゲルという用語はより広義のエーロゲル、すなわち、「分 散媒として空気を用いるゲル」の意味を採用する。それらは非常に密度が低いた め、高多孔率および低孔径のエーロゲル、特に、６０％を超える多孔率および０ ．４ｇ／ｃｍ³未満の密度のものであり、非常に低い熱伝導性であり、したがっ て、断熱材料として使用される（例えば、欧州特許出願公開第０１７１７２２号 に記 載されている）。 しかし、高多孔率は、エーロゲルを乾燥するゲルおよび乾燥したゲル自身の双 方に、低い機械安定性ももたらす。 絶縁作用を改良するために、例えば、エーロゲルの低い熱伝導性による絶縁作 用を改良するため（カナダ特許第１２８８３１３号、欧州特許出願公開第０１８ ９５５号）および／またはこのような窓ガラスの消音を改良するため（ドイツ特 許出願公開第４１０６１９２号）に、窓ガラス間にエーロゲルモノリスを入れる ことが提唱されて来た。ここで、エーロゲルモノリスは、ドイツ特許出願公開第 ４１０６１９２号に記載されているように、ある程度まで堅固にガラスシートに 連結されていなければならない。 この種の方法は事実上無色明澄な透明ユニットを与えることができるが、相当 に大きなエーロゲルモノリスの製造コストは一方で非常に高く、エーロゲルの機 械安定性が低いため、他方で、ユニットの製造中、その取り扱いが非常に複雑で あるため、このような板ガラスユニットの広い応用ができなくなってしまう。 この代わりに、製造が容易で取り扱いも簡単なエーロゲルグラニュールを用い て中間空間を充填することも提唱された。しかし、これらのユニットはもはや十 分に無色明澄でなく、むしろ、半透明であり、乳白窓ガラスまたは模様付き窓ガ ラスと共通する。これは、光の直射による投射を遮らなければならない多くの用 途、例えば、工場、倉庫、展覧会ホールまたは美術館の窓のような用途があるの で、顕著には制限されない。扇形窓は別の用途分野でありうる。 しかし、この種の窓は多くの欠点を有する。例えば、時間が経過するにつれ、 グラニュールの圧縮が窓の充填量に望ましくない変化をもたらす。圧縮は、例え ば、特に、排気の間に、連続的な小さな振動またはエーロゲルグラニュールの破 壊をもたらす可能性がある。 グラニュール材料では、個々のグラニュール間および／または窓ガラスと個々 のグラニュールとの間の力が非常に小さな領域の接触点で伝達するだけである。 これは、相対的に高い圧縮応力および／または剪断応力を引き起こし、エーロゲ ル粒子の破壊をもたらすことがある（ドイツ特許出願公開第３５３３８０５号参 照）。 したがって、ドイツ特許出願公開第３５３３８０５号は、窓ガラス間の二層の フイルム間にエーロゲルグラニュールを入れ、これらのフイルム間の空間を排気 することを提唱する。フイルムの柔軟性がフイルムとグラニュールの表面との間 の表面積を増大させることができ、長期間の安定性に改良を与える。 しかし、この方法は、ユニットの構成が非常に複雑となるので、相対的に高い コストがかかる。これに加えて、追加のフイルム層は透明性を減少させる。 米国特許第５０２７５７４号は、互いに気密に連結され、しかも気密にシール されている空間を形成する二枚の窓ガラスから構成されている断熱構造を記載す る。この空間は、ガスが約１００〜２００トルから１０^-3〜１０^-4トルまでの圧 力で充填され、このガスは、この圧力で、空気よりも非常に低い熱伝導性を示し 、その圧力が非常に低いので、対流による熱の伝達が大きく抑えられる。ここで 、ガスの圧力は、熱伝導によるのではなく、対流による熱の伝達に顕著な減少を 与えるのにちょうど適切な程低い。一実施態様では、空間はエーロゲル材料で充 填することもできる。この実施態様でさえ、モノリスまたはグラニュールエーロ ゲル材料が使用されるか否かに依存して、上述の問題に当面する。 欧州特許出願公開第０４６８１２４号は、粒径が典型的には０．５〜７ｍｍの エーロゲルグラニュールを充填した透明パネルの製造法を記載する。窓ガラス間 の中間空間の充填の間の、高密度のグラニュールを達成するために、典型的には ３０〜１００Ｈｚの周波数で振動して全体の配置をする。エーロゲル中に残存す る水の凝縮を防止するために、充填済みの透明板ガラスユニットを、４００ミリ バール未満、好ましくは、２０ミリバール未満の減圧下、５０〜７０℃の温度で 加熱もし、その結果、残留ガスの水分、それ故、後段における窓ガラスの凝縮の 可能性が相応に減少する。この出願では、減圧の結果として窓ガラスはグラニュ ールを圧縮し、それらを不動にするので、充填物の沈降を避ける。 この使用される方法は、振動および減圧下での加熱の必要性のため相対的に複 雑である。さらに、時間の経過につれて、グラニュールが振動により崩壊する可 能性があるかどうかも明確でなく、結果として、充填物が次いで沈降する可能性 がある。 したがって、目的は、製造するのに容易でしかもその充填物が長時間安定な高 断熱性の透明構成材料を提供することであった。別の目的は、遮音のための相当 する構成材料を提供することであった。 この目的は、空間を囲む透明材料からなる少なくとも二枚の平行なペインを有 する透明構成材料により達成され、ここで、この空間は少なくとも一枚の繊維強 化エーロゲルシートおよび／またはマットを含有する。 ペイン間の空間は、好ましくは、気密シールでペイン同士の端部に沿ってシー ルされる。ここで、この気密シールは同時にペイン同士の物理的結合および／ま たは固定のために役立つ。少なくとも二枚の平行ペイン間の距離は、好ましくは 、０．１〜５ｃｍ、特に好ましくは、０．１〜２ｃｍの範囲内である。湿潤状態 または乾燥状態の繊維強化エーロゲルは、純粋なエーロゲル、特にエーロゲルモ ノリスよりも機械的に顕著により安定であり、したがって、取り扱いが容易であ る。 一方でペインとエーロゲルとの間の大きな耐力表面、そして他方で接触点がな いため、力は、特に排気の間でさえ平均して分布し、その結果、エーロゲルの崩 壊が起こらない。発生する力は、エーロゲルが非常に安定であることに関して、 さらに事実上純粋な圧縮力である。一方、グラニュールにおいては、非常に剪断 力に対して感受性の高いエーロゲル中の個々のグラニュールの崩壊を容易にもた らす剪断力の発生を避けることが不可能である。さらに、製造プロセスは、フイ ルムの使用のような追加の工程を全く必要としない。 さらに、エーロゲルシートまたはマットが沈降する可能性はなく、したがって 、全体の結果は、長時間安定な充填である。さらに、エーロゲルの容量割合はグ ラニュールの充填量よりも顕著に高くすることができ、同じ厚さおよび同じ減圧 において絶縁作用を増加させる。 適切なペインは、ガラスもしくは安全ガラスの窓ガラスまたはプラスチック、 例えば、無色明澄なポリスチレンおよびそのコポリマー、ＰＶＣ、ポリメタクリ レート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリ オレフインもしくはポリアミドの若干不透明なペインのいずれでもよい。これら のペインの厚さに制限はない。一般に、ペインは、例えば、ガラスブロック中の ような、大きな機械的付加を受け入れるために平均して非常に厚い。ペインの厚 さは、しかし、好ましくは、０．５ｍｍ〜３ｃｍの範囲内である。 ペインは空間から離れた側に模様があってもよい。特に、外面シートは、角度 のあるうろこ形に水平に走るのこぎり歯模様を有してもよく、その結果、太陽の 位置が高いとき（特に夏季）太陽光の伝達が、太陽の位置が低いとき（特に冬季 ）よりも明らかに低い。ここで、ペインはそれらの材料、それらの厚さおよび／ またはそれらの模様において異なることが可能である。加えて、ペインのうちの 少なくとも一枚は、例えば、絶縁を改良するためまたは色を付けるために、金属 および／またはその他の物質でコーテイングすることができる。当業者に公知の 慣用的な器具を使用することにより、一方で、ペイン同士を堅固に機械的結合を させ且つ一定の間隔を保つことができ、他方で、中間空間を同じ手段により気密 シールをすることができる。 この新規な構成材料について、ペインはどこでもお互いに概ね一定の間隔であ ることのみが必要で、その結果、アーチ型構造、例えば、ドーム型または円筒型 の構造が、平らな構造と同様可能である。 ペインの間の充填は繊維強化エーロゲルマットおよび／またはシートを含み、 エーロゲルマトリックスは、例えば、ドイツ特許第３８４４００３号、国際公開 第９３／０６０４４号またはＰ４４３０６４２．３およびＰ４４０３０６６９． ５に記載されているように、０．６ｇ／ｃｍ³未満の密度および６０％を超える 多孔率である。密度が０．５ｇ／ｃｍ³未満で８０％を超える多孔率の場合に好 ましい。 ここで、マトリックスは有機もしくは無機エーロゲルからおよび／または有機 および無機材料を基礎としたエーロゲルから形成できるが、しかし、ＳｉＯ₂含 有エーロゲル、特に、ＳｉＯ₂エーロゲルが好ましい。 好適に使用されるエーロゲルは標準圧の熱伝導性が３０ｍＷ／ｍＫ未満であり 、特に奸ましくは、２０ｍＷ／ｍＫ未満である。さらに、例えば、Ｐ４４３０６ ４２．３およびＰ４４３０６６９．５に記載されているような疎水性エーロゲル お よび／またはキセロゲルの使用が好ましい。 第一に疎水性エーロゲルは一般的なエーロゲルよりも顕著に水分が少なく、第 二にエーロゲルマットまたはシートは、グラニュールにより形成され、しかも一 定の水分を有する空気を含有し得る空隙をもたない。 これにより、凝縮の頻度が減少する。所望の場合、中間空間中にまたは物理結 合上に慣用的な乾燥剤を使用することにより発生する水分のすべてを吸収できる 。 繊維強化エーロゲル中の繊維の容積割合は０．５〜３０％、好ましくは０．５ 〜１５％であるべきである。高い割合の繊維は機械強度を上げるが、同様に熱伝 導性を上げしかも透明性を減少させる。 繊維はエーロゲル中に不織布もしくはマットの形態でまたは表面上を無秩序に もしくは平行に配向され得る個々の繊維（それらの長さは好ましくは１ｃｍを超 える）として存在できる。 繊維の直径は好ましくは０．１〜３０μｍである。 エーロゲルシートまたはエーロゲルマットが透明な繊維、例えば、ガラス繊維 を含有する場合に好ましく、その結果、集成物の光伝達が高いままである。 繊維強化エーロゲル材料をシート状で（国際公開第９３／０６０４４、Ｐ４４ ３０６４２．３）または平らな軟質マット状（Ｐ４４３０６６９．５）で使用で きる。 特有な光学的または熱的特性を達成するために、エーロゲルは、例えば、ドイ ツ特許第３８４４００３号またはＰ４４３０６４２．３に記載されているように 、フォトクロミック物質および／またはＩＲ不透明剤を付加的に含有させること ができる。 より厚くするために中間空間中に多くのシートまたはマットを使用する場合、 それらは、所望の場合、ペイン間にシート等を入れる前または入れている間にさ らに接着剤または接着フイルムを用いて結合させてもよい。 エーロゲルの、すなわち、全構成材料の熱伝導性をさらに減少させるために、 中間空間を５〜７５０ミリバール、好ましくは１０〜２００ミリバールの圧力に 排気することができる。この排気が透明ペイン同士を互いに圧縮させるので、そ の結果、それらのペインがエーロゲルシートもしくはエーロゲルマットをしっか りと固定することがさらに可能であり、これは余剰の接着剤により結合してもよ い。 排気中、エーロゲルシートおよび／またはエーロゲルマットの高い圧縮強度の ため、圧力の大部分がエーロゲルにより吸収され得、その結果、ペインはこの点 でより低い荷重しか受けず、したがって、より薄い窓ガラスを選択できる。 あるいは、中間空間を標準圧力で重いガス、例えば、アルゴンも充填でき、（ 空気充填と比較して）中間空間の熱伝導性を減少させる。 特殊な機械的特性または音響特性を得るために、エーロゲルシートまたはエー ロゲルマットを、ドイツ特許出願公開第４１０６１９２号に開示されている方法 と同様に、接着剤または接着フイルムにより窓ガラスに結合させてもよい。 お互いにペインを結合および固定することを、シールしたユニットに慣用的に 使用されており、しかも当業者に公知の手段により行うことができる。 製造方法で、エーロゲルシートまたはエーロゲルマットを、例えば、ペインが 互いに結合される工程でペインの間を単に敷くのみでよい。所望の場合、当業者 に公知の方法を用いて排気できる。 エーロゲル中に存在する繊維、そしてマットが使用される場合、存在する亀裂 は、ユニットが無色明澄でなく、むしろ、例えば、不透明ガラスまたは模様ガラ スから製造されたユニットのように、不透明にする。記載されたユニットは、し たがって、例えば、工場、倉庫、展覧会ホールもしくは美術館の窓または屋根の 扇形窓もしくは天窓のための透明な熱および／または音響絶縁のため適している 。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】１９９７年３月１２日 【補正内容】 請求の範囲 １． 空間を囲む透明材料からなる少なくとも二枚の平行ペインを有する透 明構成材料であって、当該空間は少なくとも一種の繊維強化エーロゲルシートお よび／またはマットを含有し、当該エーロゲルは疎水性表面基を有する、前記透 明構成材料。 ２． ペイン間の空間が気密シールによりペインの端部に沿ってシールされ ている、請求の範囲第１項に記載の透明構成材料。 ３． 気密シールがペイン同士の物理的結合および／または固定の投割を果 す、請求の範囲第２項に記載の透明構成材料。 ４． エーロゲルマトリックスが６０％を超える多孔率および０．６ｇ／ｃ ｍ³未満の密度を有する、請求の範囲第１項〜第３項のいずれかに記載の透明構 成材料。 ５． エーロゲルがＳｉＯ₂エーロゲルである、請求の範囲第１項〜第４項 のいずれかに記載の透明構成材料。 ６． エーロゲルの熱伝導性が３０ｍＷ／ｍＫ未満である、請求の範囲第１ 項〜第５項のいずれかに記載の透明構成材料。 ７． 繊維強化エーロゲル中の繊維材料の容積割合が０．５〜３０％の範囲 内である、請求の範囲第１項〜第６項のいずれかに記載の透明構成材料。 ８． 繊維材料が透明繊維材料である、請求の範囲第７項に記載の透明構成 材料。 ９． 繊維材料が本質的にガラス繊維からなる、請求の範囲第７項または第 ８項に記載の透明構成材料。 １０． 少なくとも一種の繊維強化エーロゲルで充填された、少なくとも二枚 のペインの間の空間が５〜７５０ミリバールの範囲内の圧力に排気される、請求 の範囲第１項に記載の透明構成材料。 １１． 熱および／または音響絶縁のための請求の範囲第１項〜第１０項のい ずれかに記載の透明構成材料の使用。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 空間を囲む透明材料からなる少なくとも二枚の平行ペインを有する透 明構成材料であって、当該空間は少なくとも一種の繊維強化エーロゲルシートお よび／またはマットを含有する、前記透明構成材料。 ２． ペイン間の空間が気密シールによりペインの端部に沿ってシールされ ている、請求の範囲第１項に記載の透明構成材料。 ３． 気密シールがペイン同士の物理的結合および／または固定の役割を果 す、請求の範囲第２項に記載の透明構成材料。 ４． エーロゲルマトリックスが６０％を超える多孔率および０．６ｇ／ｃ ｍ³未満の密度を有する、請求の範囲第１項〜第３項のいずれかに記載の透明構 成材料。 ５． エーロゲルがＳｉＯ₂エーロゲルである、請求の範囲第１項〜第４項 のいずれかに記載の透明構成材料。 ６． エーロゲルが疎水性表面基を有する、請求の範囲第１項〜第５項のい ずれかに記載の透明構成材料。 ７． エーロゲルの熱伝導性が３０ｍＷ／ｍＫ未満である、請求の範囲第１ 項〜第６項のいずれかに記載の透明構成材料。 ８． 繊維強化エーロゲル中の繊維材料の容積割合が０．５〜３０％の範囲 内である、請求の範囲第１項〜第７項のいずれかに記載の透明構成材料。 ９． 繊維材料が透明繊維材料である、請求の範囲第８項に記載の透明構成 材料。 １０． 繊維材料が本質的にガラス繊維からなる、請求の範囲第８項または第 ９項に記載の透明構成材料。 １１． 少なくとも一種の繊維強化エーロゲルで充填された、少なくとも二枚 のペインの間の空間が５〜７５０ミリバールの範囲内の圧力に排気される、請求 の範囲第１項に記載の透明構成材料。 １２． 熱および／または音響絶縁のための請求の範囲第１項〜第１１項のい ずれかに記載の透明構成材料の使用。