JPH11351315A - 建物の振子型制振装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、構造が簡単で交通振動のような微
小振動に対して制振作用が発揮出来、振動方向を規定し
て重錘が回転したり８の字運動することを防止して制振
性能が効果的に発揮出来、ダンパーによる抵抗力の強さ
の調整が容易で振動の減衰率を容易に制御することが出
来る建物の振子型制振装置を提供することを可能にする
ことを目的としている。 【解決手段】 フレーム１の天井部１ｃに懸垂用吊具４
を介して重錘３が吊り下げられ、重錘３のＸ方向の端面
３ａに立設されたシャフト５に固定されたバネ受け部材
６とフレーム１の側部１ａの外面1a2 との間にコイルバ
ネ７が配置されている。重錘３のＹ方向の端面３ｂに一
端部にボール10を転動自在に保持した受体９を固定した
コイルバネ８の他端部が固定され、該ボール10をフレー
ム１の側部１ｂの内面1b1 に固定した滑り板11に転動自
在に当接して構成したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は中低層住宅等の建物
において、例えば、建物の周囲を走行する車両や建物の
周囲で行われる建設工事による微小振動や住宅内の歩行
による微小振動或いは風による微小振動等の周波数が２
〜５Hz程度の比較的周期の短い微小振動（以下、「交通
振動」という）に好適な建物の振子型制振装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から超高層ビル等の高層建築物等で
地震や風等による大振動を制御する各種の制振装置が提
案されている。例えば、特開昭63-114773 号公報（第１
公知例）に開示された技術では建物に固定されたフレー
ム内に架設されたレールに沿って付加マス（重錘）が移
動可能に配置され、該レールと同じ方向でフレームと付
加マスとの間にバネが設けられている。更にフレーム内
で付加マスの下部には粘性液体槽が配置されており、付
加マスに固定された抵抗板が粘性液体中に浸されてい
る。そして、建物の振動時にレールに沿って移動する付
加マスは抵抗板が粘性液体中を移動する際に発生する抵
抗力により振動が減衰し、建物の振動を減衰させるよう
になっている。

【０００３】また、特開昭63-254247 号公報（第２公知
例）に開示された技術では付加質量（重錘）が複数本の
吊り材によって吊り下げられ、付加質量の下部には粘性
流体槽が配置されており、付加質量に固定された抵抗板
が粘性流体中に浸されている。そして、建物の振動時に
吊り材に垂下された付加質量の振り子振動によって移動
する抵抗板が粘性流体中を移動する際に発生する抵抗力
により振動が減衰し、建物の振動を減衰させるようにな
っている。

【０００４】また、特開平2-289770号公報（第３公知
例）に開示された技術では振動周期の長い搭状構造物に
対応するためにウエイト（重錘）が複数の多段吊り枠に
より吊り下げられ、これによりウエイトの周期を長くす
ると共に各吊り枠の間に設けられたバネとダンパーによ
り振動が減衰し、構造物の振動を減衰させるようになっ
ている。

【０００５】また、交通振動に有効に作用し得る建物の
制振装置としては特開平3-87477 号公報（第４公知例）
に開示された技術が提案されている。この技術では重錘
の振動に対する摩擦の影響を極力小さくするために重錘
を吊り材で吊り下げ、水平方向または斜め方向に配置し
たバネにより重錘と架台とを連結し、重錘の下面より突
出させたロッドが粘弾性流体槽中の粘弾性流体に浸され
ている。そして、建築物の微小振動時に吊り材に垂下さ
れた重錘振動によって移動するロッドが粘弾性流体中を
移動する際に発生する抵抗力により振動が減衰し、建物
の微小振動を減衰させるようになっている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
第１公知例では、付加マスがレールに沿って摺動して移
動する構成であるため付加マスが振動する際の摩擦抵抗
が大きく、地震等の大振動では良いが、交通振動のよう
な微小振動では制振作用が発揮出来ないという問題があ
る。

【０００７】また、第２、第３、第４公知例では、付加
質量、ウエイト或いは重錘の振動方向が規制されない構
成であるので該付加質量、ウエイト或いは重錘が回転し
たり８の字運動し易く、このような場合には制振性能が
効果的に発揮出来ないという問題がある。また、第３公
知例ではウエイトを複数の多段吊り枠により吊り下げる
ので構成が複雑になるという問題がある。

【０００８】また、第１、第２、第４公知例では、振動
を制限するダンパーとして抵抗板やロッドが粘性液体、
粘性流体、粘弾性流体中を移動することで発生する抵抗
力により振動を減衰するように構成したものであるが、
該ダンパーによる抵抗力の強さの調整が困難であるため
振動の減衰率を容易に制御することが出来ないという問
題があり、粘性体は温度依存性があるため屋上に設置す
る場合等は性能に変動があるため性能の安定性が低下す
るという問題があった。また、第３公知例のダンパーに
も抵抗力の強さを調整する機構は設けられていないため
振動の減衰率を制御することが出来なかった。

【０００９】本発明は前記課題を解決するものであり、
その目的とするところは、構造が簡単で交通振動のよう
な微小振動に対して制振作用が発揮出来、振動方向を規
定して重錘が回転したり８の字運動することを防止して
制振性能が効果的に発揮出来、ダンパーによる抵抗力の
強さの調整が容易で振動の減衰率を容易に制御すること
が出来る建物の振子型制振装置を提供せんとするもので
ある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の本発明に係る建物の振子型制振装置は、建物に固定す
るフレームに吊り下げられた重錘と、該重錘と前記フレ
ームとの間に設けられたバネ体を備えた建物の振子型制
振装置において、前記フレームの側部が平断面方形の枠
状に形成され、前記重錘のＸ方向の端部と前記フレーム
の側部との間に水平に前記バネ体が設けられて該重錘の
Ｘ方向の移動が可能とされ、前記重錘のＹ方向の端部と
前記フレームの側部との間に制限体が設けられて該重錘
のＹ方向の移動が制限され、前記制限体には前記重錘の
Ｘ方向の移動に対するダンパー調整機構が設けられてい
ることを特徴とする。

【００１１】上記構成によれば、重錘がフレームに吊り
下げられたことで重錘の振動を拘束する抵抗を極力小さ
くして周波数が２〜５Hz程度の比較的周期の短い交通振
動等の微小振動に対して制振作用を発揮することが出来
る。

【００１２】また、平断面方形の枠状に形成されたフレ
ームの側部と重錘のＸ方向の端部との間に水平に張架さ
れたバネ体により該重錘のＸ方向の移動が可能とされ、
該バネ体の本数や材質、巻き数或いは径等を変更するこ
とで重錘の固有振動数を調整することが出来る。

【００１３】また、重錘のＹ方向の端部とフレームの側
部との間に設けられた制限体により該重錘のＹ方向の移
動が制限されるため重錘の振動方向が重錘のＸ方向の移
動のみに規定されるので重錘が回転したり８の字運動す
ることを防止して制振性能が効果的に発揮出来る。

【００１４】また、前記制限体に重錘のＸ方向の移動に
対するダンパー調整機構を設けたことでダンパーによる
抵抗力の強さの調整をダンパー調整機構により調整して
建物の振動の減衰率を容易に制御することが出来る。

【００１５】また、Ｘ方向のみの制振作用を発揮するこ
とが出来るので複数の制振装置をその方向を変えて建物
に設置することにより総合的に所望の制振特性が自由に
得られる。

【００１６】また、前記制限体が前記フレームの側部と
前記重錘に夫々設けられた受体と、該受体の間に挟持さ
れた転動体と、前記受体による前記転動体の挟持力を調
整するバネ手段を有し、該バネ手段が前記ダンパー調整
機構を構成する場合には、バネ手段により受体による転
動体の挟持力を調整することでフレームの側部と重錘に
夫々設けられた受体と、該受体の間に挟持された転動体
との間に作用する転がり摩擦を制御して建物の振動の減
衰率を容易に制御することが出来る。

【００１７】また、重錘のＹ方向の移動を制限する制限
体がダンパー調整機構を兼ねるのでダンパーを別途用意
する必要がなく、部品点数を削減してコストの削減を図
ると共に構造が簡単でコンパクトに出来る。

【００１８】

【発明の実施の形態】図により本発明に係る建物の振子
型制振装置の一実施形態を具体的に説明する。図１は本
発明に係る建物の振子型制振装置の第１実施形態の構成
を示す平面説明図、図２は図１のＡ−Ａ断面図、図３は
本発明に係る建物の振子型制振装置の第２実施形態の構
成を示す平面説明図である。

【００１９】先ず、図１及び図２を用いて本発明に係る
建物の振子型制振装置の第１実施形態の構成について説
明する。図１及び図２において、１は中低層住宅等の建
物２の屋上や天井或いは上階等の建物２の上部に固定し
て設置されるフレームであり、該フレーム１の側部１
ａ，１ｂが平断面方形の枠状に形成されている。

【００２０】また、フレーム１の天井部１ｃには所定の
重量を有する重錘３を吊り下げるためのワイヤーやチェ
ーン等から成る懸垂用吊具４の一端部が支持され、該懸
垂用吊具４の他端部に重錘３が接続されている。

【００２１】重錘３は建物２の大きさ、高さ及び形状に
対応して所定の重量を有して構成されており、その形状
は枠状に形成されたフレーム１の形状に対応して６面体
の平板状でフレーム１の内部で重錘３の振動方向となる
図１及び図２のＸ方向に所定の振幅で振動し得る大きさ
で構成されている。

【００２２】重錘３のＸ方向の端面３ａには該Ｘ方向に
延長され、フレーム１の側部１ａに形成された貫通孔1a
1 に挿通されて先端が該フレーム１の側部１ａから突出
したシャフト５が立設されており、該シャフト５のフレ
ーム１の側部１ａよりも外側所定位置にはバネ受け部材
６が固定されている。

【００２３】フレーム１の側部１ａに設けられた貫通孔
1a1 の径はシャフト５の外径よりも十分大きく構成され
ており、これによりフレーム１の天井部１ｃから懸垂用
吊具４により吊り下げられた重錘３がＸ方向に振動する
際にシャフト５が貫通孔1a1の内面に接触することなく
移動してシャフト５と貫通孔1a1 の内面との間に摩擦抵
抗が生じないようになっている。

【００２４】これにより、例えば、建物の周囲を走行す
る車両や建物の周囲で行われる建設工事による微小振動
や住宅内の歩行による微小振動或いは風による微小振動
等の周波数が２〜５Hz程度の比較的周期の短い微小振動
（以下、「交通振動」という）に対して効果的に制振作
用を発揮することが出来る。

【００２５】フレーム１の側部１ａの外面1a2 とシャフ
ト５に固定されたバネ受け部材６との間で、且つシャフ
ト５の外周部には所定のバネ定数を有するバネ体となる
コイルバネ７が自然長よりも所定の長さだけ収縮させた
状態で嵌挿されて水平に設けられており、建物２に対し
て上述したような交通振動が作用した時、該コイルバネ
７の弾性力により重錘３がＸ方向に所定の振動数で振動
するようになっている。

【００２６】コイルバネ７の材質、本数、巻き数、径或
いはバネ受け部材６の固定位置を変更することで重錘３
の固有振動数を調整することが出来、建物２の大きさ、
高さ及び形状に対応して重錘３の固有振動数を適宜調整
することで制振動作を制御することが出来る。

【００２７】また、重錘３のＸ方向と直交するＹ方向の
端面３ｂにはバネ手段となるコイルバネ８の一端が固定
されており、該コイルバネ８の他端に受体９により回転
自在に保持された転動体となるボール10がフレーム１の
側部１ｂの内面1b1 に固定した受体となる滑り板11に転
動可能に当接して配置されている。

【００２８】コイルバネ８は所定のバネ定数を有して自
然長よりも所定の長さだけ収縮した状態で配置されてお
り、該コイルバネ８の材質や巻き数或いは径等を変更す
ることで受体９及び滑り板11によるボール10の挟持力を
調整してボール10の転がり摩擦による抵抗力を調整して
重錘３のＸ方向の振動の減衰率を調整することが出来
る。

【００２９】本実施形態では、コイルバネ８、受体９、
ボール10及び滑り板11は重錘３のＹ方向の端部となる端
面３ｂとフレーム１の側部１ｂの内面1b1 との間に設け
られ、該重錘３のＹ方向の移動を制限する制限体を構成
し、コイルバネ８は重錘３のＸ方向の移動に対するダン
パー調整機構の役割を果たすものである。

【００３０】滑り板11はそのＸ方向の中心が重錘３が静
止した状態でボール10が当接する位置に設定されてお
り、該滑り板11のＸ方向の長さは重錘３のＸ方向の振幅
が最大限に振れた時にボール10が滑り板11に依然当接し
得る長さに設定されており、ボール10が当接する表面が
バフ掛け等により研磨された滑動性能を有するステンレ
ス板等により構成されている。

【００３１】受体９により回転自在に保持された転動体
となるボール10は硬質プラスチックや金属等により構成
され、滑り板11に対して転がり摩擦係数が極めて小さく
耐摩耗性及び転動性に優れたものが採用されており、こ
れによって、微小振動である交通振動に対して効果的に
制振作用を発揮することが出来る。

【００３２】尚、本実施形態では転動体としてボール10
を採用したが、他の転動体としてローラやコロ等の回転
軸を中心に回転する回転体を用いて構成しても良い。こ
の場合、回転軸はＸ方向及びＹ方向に直交する方向（上
下方向）に配置され、コイルバネ８の端部に設けた回転
体が滑り板11に回転自在に当接して重錘３のＸ方向の振
動に伴って滑り板11上を回転する。

【００３３】また、シャフト５及びコイルバネ７の配置
個数は重錘３の端面３ａに他の複数組設けても良いし、
重錘３の端面３ａの中心に１組設けたものでも良い。ま
た、コイルバネ８、ボール10及び滑り板11の配置個数も
同じく重錘３の端面３ｂに複数組設けても良く、その際
に滑り板11をＸ方向の長さが長尺の１部材でフレーム１
の側部１ｂの内面1b1 に配置して複数のボール10を転動
自在に当接させる構成でも良い。

【００３４】また、コイルバネ７はフレーム１の側部１
ａの内面と重錘３の端面３ａとの間で且つシャフト５の
外周部に自然長よりも所定の長さだけ伸張させた状態で
嵌挿してその両端部をフレーム１の側部１ａの内面と重
錘３の端面３ａとに夫々連結して水平に設けても良く、
更には受体９に転動自在に支持されたボール10を一端に
設けたコイルバネ８をフレーム１の側部１ｂに固定し、
滑り板11を重錘３の端面３ｂに配置しても良い。

【００３５】上記構成によれば、重錘３がフレーム１の
天井部１ｃに懸垂用吊具４を介して吊り下げられたこと
で重錘３の振動を拘束する抵抗を極力小さくして周波数
が２〜５Hz程度の比較的周期の短い交通振動等の微小振
動に対して効果的に制振作用を発揮することが出来る。

【００３６】また、平断面方形の枠状に形成されたフレ
ーム１の側部１ａと重錘３のＸ方向の端部となるバネ受
け部材６との間に水平に設けられたバネ体であるコイル
バネ７により該重錘３のＸ方向の移動が可能とされ、該
コイルバネ７の本数や材質、巻き数或いは径等を変更す
ることで重錘３の固有振動数を調整することが出来る。

【００３７】また、重錘３のＹ方向の端部となる端面３
ｂとフレーム１の側部１ｂとの間に設けられたコイルバ
ネ８、受体９、ボール10及び滑り板11からなる制限体に
より該重錘３のＹ方向の移動が制限されるため重錘３の
振動方向が重錘３のＸ方向の移動のみに規定されるので
重錘３が回転したり８の字運動することを防止して制振
性能が効果的に発揮出来る。

【００３８】また、コイルバネ８が重錘３のＸ方向の移
動に対するダンパー調整機構を兼ねるのでコイルバネ８
によりダンパーによる抵抗力の強さを調整して建物２の
振動の減衰率を容易に制御することが出来る。

【００３９】即ち、コイルバネ８の弾性力を調整するこ
とにより受体９と滑り板11とによるボール10の挟持力を
調整することでフレーム１の側部１ｂと重錘３に夫々設
けられた受体となる滑り板11と受体９及びこれ等に挟持
されたボール10との間に作用する転がり摩擦を制御して
建物２の振動の減衰率を容易に制御することが出来る。

【００４０】また、Ｘ方向のみの制振作用を発揮するこ
とが出来るので複数の制振装置をその方向を変えて建物
２に設置することにより総合的に所望の制振特性が自由
に得られる。

【００４１】また、重錘３のＹ方向の移動を制限する制
限体がダンパー調整機構を兼ねるのでダンパーを別途用
意する必要がなく、部品点数を削減してコストの削減を
図ると共に構造が簡単でコンパクトに出来る。

【００４２】次に図３を用いて本発明に係る建物の振子
型制振装置の第２実施形態について説明する。尚、前記
第１実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付し
て説明を省略する。

【００４３】本実施形態では重錘３のＹ方向の一方の端
部となる端面３ｂとフレーム１の側部１ｂとの間には前
記第１実施形態と同様にコイルバネ８、受体９、ボール
10及び滑り板11が配置されており、該重錘３のＹ方向の
他方の端部となる端面３ｂとフレーム１の側部１ｂとの
間にはコイルバネ８と略等しいバネ定数を有して重錘３
がフレーム１のＹ方向略中央部で釣り合うように自然長
よりも所定の長さだけ収縮させた状態でコイルバネ21が
配置され、該コイルバネ21の両端部が重錘３の端面３ｂ
とフレーム１の側部１ｂの内面1b1 に夫々連結されてい
る。

【００４４】コイルバネ21は重錘３のＸ方向の振動に併
せてフレーム１の側部１ｂの内面1b1 に連結された側の
端部21ａを支点として重錘３の端面３ｂに連結された側
の端部21ｂがＸ方向に揺動するようになっている。この
ような構成でも、前記第１実施形態と略同様な効果を得
ることが出来、一方の受体９、ボール10及び滑り板11を
省略して部品点数を削減しコストを低減することが出来
るものである。他の構成は前記第１実施形態と同様に構
成され、同様な効果を得ることが出来る。

【００４５】

【発明の効果】本発明は、上述の如き構成と作用とを有
するので、重錘がフレームに吊り下げられたことで重錘
の振動を拘束する抵抗を極力小さくして周波数が２〜５
Hz程度の比較的周期の短い交通振動等の微小振動に対し
て制振作用を発揮することが出来る。

【００４６】また、平断面方形の枠状に形成されたフレ
ームの側部と重錘のＸ方向の端部との間に水平に張架さ
れたバネ体により該重錘のＸ方向の移動が可能とされ、
該バネ体の本数や材質、巻き数或いは径等を変更するこ
とで重錘の固有振動数を調整することが出来る。

【００４７】また、重錘のＹ方向の端部とフレームの側
部との間に設けられた制限体により該重錘のＹ方向の移
動が制限されるため重錘の振動方向が重錘のＸ方向の移
動のみに規定されるので重錘が回転したり８の字運動す
ることを防止して制振性能が効果的に発揮出来る。

【００４８】また、前記制限体に重錘のＸ方向の移動に
対するダンパー調整機構を設けたことでダンパーによる
抵抗力の強さの調整をダンパー調整機構により調整して
建物の振動の減衰率を容易に制御することが出来る。

【００４９】また、Ｘ方向のみの制振作用を発揮するこ
とが出来るので複数の制振装置をその方向を変えて建物
に設置することにより総合的に所望の制振特性が自由に
得られる。

【００５０】また、前記制限体が前記フレームの側部と
前記重錘に夫々設けられた受体と、該受体の間に挟持さ
れた転動体と、前記受体による前記転動体の挟持力を調
整するバネ手段を有し、該バネ手段が前記ダンパー調整
機構を構成する場合には、バネ手段により受体による転
動体の挟持力を調整することでフレームの側部と重錘に
夫々設けられた受体と、該受体の間に挟持された転動体
との間に作用する転がり摩擦を制御して建物の振動の減
衰率を容易に制御することが出来る。また、前述した公
知例の粘性体と比べて温度変化があっても性能が変化す
ることがなく性能の安定性が確保される。

【００５１】また、重錘のＹ方向の移動を制限する制限
体がダンパー調整機構を兼ねるのでダンパーを別途用意
する必要がなく、部品点数を削減してコストの削減を図
ると共に構造が簡単でコンパクトに出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る建物の振子型制振装置の第１実施
形態の構成を示す平面説明図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】本発明に係る建物の振子型制振装置の第２実施
形態の構成を示す平面説明図である。

【符号の説明】

１…フレーム １ａ…側部 1a1 …貫通孔 1a2 …外面 １ｂ…側部 1b1 …内面 1b2 …外面 １ｃ…天井部 ２…建物 ３…重錘 ３ａ，３ｂ…端面 ４…懸垂用吊具 ５…シャフト ６…バネ受け部材 ７，８…コイルバネ ９…受体 10…ボール 11…滑り板 21…コイルバネ 21ａ，21ｂ…端部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 建物に固定するフレームに吊り下げられ
   た重錘と、該重錘と前記フレームとの間に設けられたバ
   ネ体を備えた建物の振子型制振装置において、 前記フレームの側部が平断面方形の枠状に形成され、前
   記重錘のＸ方向の端部と前記フレームの側部との間に水
   平に前記バネ体が設けられて該重錘のＸ方向の移動が可
   能とされ、前記重錘のＹ方向の端部と前記フレームの側
   部との間に制限体が設けられて該重錘のＹ方向の移動が
   制限され、前記制限体には前記重錘のＸ方向の移動に対
   するダンパー調整機構が設けられていることを特徴とす
   る建物の振子型制振装置。
2. 【請求項２】 前記制限体が前記フレームの側部と前記
   重錘に夫々設けられた受体と、該受体の間に挟持された
   転動体と、前記受体による前記転動体の挟持力を調整す
   るバネ手段を有し、該バネ手段が前記ダンパー調整機構
   を構成することを特徴とする請求項１に記載の建物の振
   子型制振装置。