JPH11344374A - 振動変位を算出する方法および装置 - Google Patents

振動変位を算出する方法および装置

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JPH11344374A
JPH11344374A JP16632698A JP16632698A JPH11344374A JP H11344374 A JPH11344374 A JP H11344374A JP 16632698 A JP16632698 A JP 16632698A JP 16632698 A JP16632698 A JP 16632698A JP H11344374 A JPH11344374 A JP H11344374A
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wave
amplitude
displacement
ratio
calculating
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JP16632698A
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Akiyoshi Ono
晃義 大野
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Suzuki Motor Corp
Original Assignee
Suzuki Motor Corp
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  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 レーザ光の発振波長の1/2以下の微小な振
動の変位の量を測定すること。 【解決手段】 所定の波長のレーザ光を発振させると共
に当該レーザ光を測定対象物のに照射するレーザ光照射
工程(ステップC1)と、測定対象物で反射したレーザ
光と発振されたレーザ光とを混合させてビート波を出力
するビート波出力工程(ステップC2)と、このビート
波出力工程C2で出力されるビート波のうち測定対象物
が折り返した部分のビート波の振幅と予め定められた基
準振幅との比を算出する比率算出工程(ステップC4)
と、この比率算出工程C4で算出された比率とレーザ光
の波長とに基づいて当該測定対象物の折返し部分の変位
の量を算出する変位量算出工程(ステップC5)とを備
えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振動変位算出の方
法および装置に係り、特に、測定対象物の微小な振動の
変位を測定する振動変位算出方法および振動変位算出装
置に関する。
【0002】この振動測定装置は、自動車の製造技術な
どの実験解析分野に応用できる。具体的には、エンジン
の振動解析、車体伝搬振動解析、車室内騒音解析、さら
にマフラの振動解析などである。その他の製造分野での
応用は多岐に渡るが、非接触で極小領域の振動を精密に
測定できるため、例えばドリルなどの工具破損検出など
に好適に用いられる。さらに、モータを使ったプラント
の振動の検出や、水道管、ガス管の漏れ診断などの保守
に用いることもできる。さらに、西瓜等の大型果実の打
音による糖度の判定など、農業分野にも応用可能であ
る。本発明では特に、測定対象物の微小な振動を計測す
ることができるため、測定対象物の200 [nm] 程度の
振幅であっても、その振動の変位を求めることができる
ため、半導体の製造の検査や、精密加工での異常の検出
などにも好適に利用される。ここで、「測定対象物」と
いうときには、これらエンジンから西瓜まで振動測定の
対象となる物体をいう。
【0003】
【従来の技術】従来、自己混合型のレーザドップラ装置
を使用して測定対象物の振動(変位量や振動周期)を測
定する技術が開発されている(例えば、特開平10−9
943号公報)。本願と同一出願人であるこの特開平1
0−9943号公報には、鋸歯状波の波長に応じて測定
対象物の変位量を算出する手法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、測定対象物の振動が微小であって、測定対象
物の振動振幅がレーザドップラ装置のレーザ光の発振波
長λの半分以下である場合には当該測定対象物の振動を
測定することができない、という不都合があった。例え
ば、レーザの発振波長が780[nm]である場合に
は、390[nm]以下の変位量で振動する微小振動に
ついては、測定することができなかった。
【0005】すると、非接触の利点を生かして、測定対
象物の微小な振動の変位を計測したり、また、測定対象
物自体が微小である場合の振動の変位の計測するなどが
難しかった。これらのことが実現できると、すなわち、
今まで測定が困難であった微小な測定対象物の微小な振
動の状態を計測することで、当該測定対象物の異常の検
出が可能となる。残念ながら、このような微小な物体の
異常を振動の状態により検出する手法は、なんら知られ
ていない。
【0006】このため、測定対象物の変位がλ/2を下
回ったときのビート波の状態や、さらには、λ/4を下
回ったときのビート波の状態の研究・分析が必要とな
る。しかし、この状態のビート波がどのようになるのか
は、なんら知られていない。
【0007】
【発明の目的】本発明は、係る従来例の有する不都合を
改善し、特に、レーザ光の発振波長の1/2以下の微小
な振動の変位の量を測定することのできる振動変位の算
出方法および装置を提供することを、その目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】ここで、本明細書では、
ビート波について、ビート波の上端(上方極点)から下
端(下方極点)までのピークからピークまでの物理量
と、振動の極点(振動の折り返し点)で生ずる一方の極
点から中心へ向かい、再度一方の極点へ至る波のピーク
からピークまでの物理量を振幅という。従って、通常の
正弦波にて波高というものを、ここでは振幅ということ
がある。本発明の発明者は、実験により、測定対象物の
変位がλ/2を下回ったときの波形を観測した。する
と、一周期に満たない鋸歯状波が現れる。鋸歯状波は、
測定対象物がλ/2変位すると、鋸歯状波の下方極点か
ら上方極点に至り、さらに上方極点から下方極点に至
る。ここでは、一方の極点から他方の極点に至る部分の
ビート波を極間ラインという。鋸歯状波は、2本の極間
ラインを有する。そして、測定対象物の変位がλ/2を
下回った場合、ビート波は、1本の極間ラインが生じる
のみで、一周期の鋸歯状波とならない。さらにλ/4近
く又は下回ると、また、測定のタイミングによっては、
測定対象物の振動そのものの波形となる。さらに、鋸歯
状波となっている部分のビート波であっても、測定対象
物の折返し部分では、鋸歯状波が崩れ、正弦波の半波の
ような形となる。このような鋸歯状波とはならないビー
ト波は、測定対象物の変位がλ/2未満の場合に生じ
る。ここで、鋸歯状波および鋸歯状波の半波分生じてい
る状態のビート波をM字状態という。そして、鋸歯状波
が崩れた折返し点でのビート波および測定対象物の変位
がλ/2又はλ/4を下回った状態のビート波をS字状
態という。S字状態のビート波の振幅は、やはり測定対
象物の変位の量と関係している。そして、本発明の発明
者は、実験的に、このS字状態のビート波の振幅(波高
値)の鋸歯状波の振幅(波高値)に対する比率が、鋸歯
状波の振幅が表す測定対象物の変位量λ/2に対する比
率であることを確認した。すなわち、ビート波の振幅の
比率に基づいて、S字状態のビート波から測定対象物の
変位量を測定することができる。
【0009】具体的には、レーザ光のドップラ効果を利
用して測定対象物の振動の状態を測定する振動変位算出
方法であって、所定の波長のレーザ光を発振させると共
に当測定対象物で反射したレーザ光と発振されたレーザ
光とを混合させてビート波を出力するビート波出力工程
と、このビート波出力工程で出力されるビート波のうち
測定対象物が折り返した部分のビート波の振幅と予め定
められた基準振幅との比を算出する比率算出工程と、こ
の比率算出工程で算出された比率とレーザ光の波長とに
基づいて当該測定対象物の折返し部分の変位の量を算出
する変位量算出工程とを備え、という構成を採ってい
る。これにより前述した目的を達成しようとするもので
ある。
【0010】ここでは、まず、M字状態となるビート波
の振幅を測定する。そして、この振幅を基準振幅とす
る。この基準振幅は、測定対象物の変位がλ/2である
ことを表す。比率算出工程は、S字状態のビート波の振
幅と基準振幅との比率を算出する。そして、変位量算出
工程は、例えばこの比率とλ/2とを掛け、その値を変
位量とする。このように、ビート波が鋸歯状波とならな
い部分についても、すなわち、本発明では、測定対象物
の折返し部分や、また、測定対象物の振動の変位がλ/
2を下回った場合であっても、振幅の比率により変位量
を求める。振動を測定する場合の精度によっては、基準
振幅を、一方の極間ラインの時間と他方の極間ラインの
時間との比率に基づいて、一方の極間ラインでの傾きで
λ/2変位た場合の振幅値に補正するとよい。
【0011】また、本発明による振動変位算出装置は、
測定対象物から反射したレーザ光を観測する光検出手段
と、この光検出手段から出力された波形信号を解析する
と共にビート波を検出するビート波検出手段と、このビ
ート波検出手段で検出されるM字状態の波形の波の振幅
を測定するM字波振幅検出手段とを備えている。しか
も、ビート波検出手段によって検出されたビート波のう
ち測定対象物の変位の方向が変化した部分に対応するM
字状態の波形の波の振幅を基準振幅として当該基準振幅
とS字状態の波の振幅との比率を算出する比率算出手段
と、この比率算出手段によって算出された比率とレーザ
光の波長とに基づいてS字状態の波形に対応した測定対
象物の変位の量を算出する変位量算出手段とを備えた、
という構成を採っている。この装置においても、上記方
法と同様の原理で微小な振動の変位量をビート波の振幅
の比率に基づいて算出する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0013】図1は、本発明による振動変位算出方法の
構成を示すフローチャートである。振動変位算出方法
は、所定の波長のレーザ光を発振させると共に当該レー
ザ光を測定対象物のに照射するレーザ光照射工程(ステ
ップC1)と、測定対象物で反射したレーザ光と発振さ
れたレーザ光とを混合させてビート波を出力するビート
波出力工程(ステップC2)と、このビート波出力工程
C2で出力されるビート波のうち測定対象物が折り返し
た部分のビート波の振幅と予め定められた基準振幅との
比を算出する比率算出工程(ステップC4)と、この比
率算出工程C4で算出された比率とレーザ光の波長とに
基づいて当該測定対象物の折返し部分の変位の量を算出
する変位量算出工程(ステップC5)とを備えている。
【0014】また、図1に示すように、予め基準振幅を
設定し、さらに補正する工程C3を備えるようにしても
よい。この場合、ビート波の鋸歯状波の一波(2つの極
点間ライン)又は1つの極点間ラインの振幅に基づい
て、基準振幅を設定する。測定対象物がλ/2以上の変
位量で振動する場合には、ビート波は鋸歯状波となる。
この場合、鋸歯状波の振幅を基準振幅に設定する。一
方、測定対象物の変位量がλ/2を下回った場合には、
極点間ラインの振幅で基準振幅を設定または補正すると
よい。
【0015】また、ビート波の鋸歯状波は、電圧値の下
端から上端に至る電圧上昇の時間と、下降に要する時間
とが異なる。この上昇と下降の時間の比率に基づいて、
基準振幅を補正するようにしてもよい。
【0016】図2を参照すると、測定対象物の変位が微
小となると、ビート波の波形は2種類の状態のうち、一
方の状態となる。図2(A)に示すM字状態は、測定対
象物の変位がλ/2を越えているときの波形であり、図
2(B)に示すS字状態は、測定対象物の変位がλ/2
又はλ/4を下回ったときのビート波(微小波)の波形
である。図2(B)に示すS字状態の波形は、実験によ
り、そのまま測定対象物の振動の状態を示すものである
ことが明らかとなった。このため、ビート波がS字状態
となったときには、このS字状態の微小波をそのまま解
析することで測定対象物の振動を知ることができる。図
2に示す例では、測定対象物は単振動している。
【0017】図2に示す場合の他、微小波は、M字状態
の波に重なって現れる場合がある。これは、測定対象物
が、大きい振動をしつつ、例えば中心位置が微小に振動
するなどの場合に生じる。このような場合であっても、
微小な振動については、微小波を抽出してそのまま周波
数解析するなどして振動の状態を知ることができる。こ
のような微小波の抽出又は微小波であるとの判定では、
ビート波の振幅に着目するとよい。すなわち、ビート波
がM字状態又は鋸歯状波となっている状態での振幅を記
憶しておき、この予め定められた振幅よりもビート波の
振幅が小さくなったときに、ビート波全体が微小波とな
ったと判定することができる。また、鋸歯状波に加えら
れた微小波についても、波の上端と下端の振幅が連続し
て鋸歯状波全体の振幅を下回っている場合に当該波を微
小波と判定することができる。
【0018】次に、このような原理を利用して測定対象
物の微小な変位の量を算出する振動変位算出装置の実施
形態を説明する。図3に示すように、振動変位算出装置
は、測定対象物1から反射したレーザ光を観測する光検
出手段2と、この光検出手段2から出力された波形信号
を解析すると共にビート波を検出するビート波検出手段
8と、このビート波検出手段8で検出されるM字状態の
波形の波の振幅を測定するM字波振幅検出手段52とを
備えている。
【0019】しかも、ビート波検出手段8によって検出
されたビート波のうち測定対象物1の変位の方向が変化
した部分に対応するM字状態の波形の波の振幅を基準振
幅として当該基準振幅とS字状態の波の振幅との比率を
算出する比率算出手段54と、この比率算出手段54に
よって算出された比率とレーザ光の波長とに基づいてS
字状態の波形に対応した測定対象物の変位の量を算出す
る変位量算出手段56とを備えている。
【0020】図3に示す例では、このM字波振幅検出手
段52、比率算出手段54および変位量算出手段とは、
演算装置14で実現している。演算装置は、ワークステ
ーション、マイクロプロセッサ又はパーソナルコンピュ
ータなどであり、主記憶装置やCPUなどを備える。振
幅の比率を算出するためのプログラムがこのCPUで実
行されると、演算装置14は比率算出手段として動作す
る。また、演算装置14によらず、論理回路で実現して
もよい。
【0021】図4は図3に示した光検出手段2の構成例
を示す。光検出手段2は、レーザ光を出力するレーザダ
イオード4と、このレーザダイオード4の共振器内で発
振光と戻り光とが自己混合した光を受光するフォトダイ
オード6とを備えている。また、レーザダイオードの共
振器4によって発振されたレーザ光は、レンズ5で集光
されて測定対象物に照射される。
【0022】図5は微小な振動を観測するための実験系
の構成を示すブロック図である。ここでは、振動源を振
動させるファンクション・ジェネレータ(FG)と、光
検出手段2と、この光検出手段2で検出したビート波を
増幅する増幅回路10と、この増幅回路で増幅されたビ
ート波の波形を表示するオシロスコープとを備えてい
る。
【0023】図6に振動変位とビート波とこのビート波
から測定対象物の変位を算出してプロットした算出波形
の一例を示す。この図6に示す例では、ビート波に現れ
る鋸歯状波の数をカウントして、この波数と折返し位置
とに基づいて変位を算出した。すると、図6の符号61
で示すように、M字状態のビート波の折返し部分に表さ
れている変位量が算出されないため、算出波形は測定対
象物の折返し位置で平らとなってしまい、実際の変位が
現れなくなってしまう。また、ビート波がS字状態とな
った場合には、鋸歯状波のカウントを行うことができな
いため、変位の算出を行うことができない。
【0024】これに対し、本実施形態では、全体がS字
状態となったビート波や、M字状態のうち測定対象物が
折り返した部分に対応するビート波については、その振
幅から変位量を求めている。図7は振動変位とビート波
の振幅の状態の関係を示す波形図である。図7(A)に
示す振動変位の場合には、測定環境の変化による受光量
の強さと関係して、ビート波の振幅は図7(B)および
(C)に示すように変化する。符号64および符号65
で示す範囲は、測定対象物の振動の半周期である。
【0025】本実施形態では、受光量の変化によるビー
ト波の振幅の変化の影響を除去するために、同一の測定
環境下での鋸歯状波の振幅を基準振幅V1とする。S字
状態の振幅V2と基準振幅V1とから、次式(1)によ
り、S字状態の振幅に対応した測定対象物の振動変位量
Lを求める。
【0026】 振動変位量L=(λ/2)×(V2/V1) ..... 式(1)
【0027】図7に示すように、測定対象物の振動変位
がλ/2を越えた場合には、鋸歯状波のカウントでλ/
2単位で変位を算出すると共に、折返し部分については
この式(1)により算出することで、λ/2未満の変位
量、具体的には、レーザ発振波長が780[nm]であ
る場合には、390[nm]未満の変位量を増幅回路な
どのノイズの影響による限界に至るまで良好に算出する
ことができる。また、振動変位がλ/4を下回った場合
には、常にビート波がS字状態となるため、このS字状
態の振幅値に基づいて測定対象物の微小な振動の変位を
算出することができる。
【0028】図8は、測定対象物の振動変位がλ/2を
下回り、かつλ/4よりも大きい場合のビート波の状態
を説明するための波形図である。測定対象物の振動とレ
ーザ光の位相のズレなどによって、図8(A)に示す振
動をしている測定対象物の場合のビート波は図8(B)
に示すM字状態と図8(C)に示すS字状態のどちらか
となる。ここで、鋸歯状波のピークを極点といい、上方
を上方極点、下方を下方極点という。この上方極点から
下方極点へ至る変化、または下方極点から上方極点へ至
る変化を、ここでは、極間ラインという。上方(下方)
極点から上方(下方)極点へ至る変化は、振動の折り返
し点で生じるS字状態となる。図8(B)に示す例で
は、鋸歯状波のうち、1つの極間ライン71が現れてい
る。
【0029】図8(B)に示す例では、測定対象物の折
返しに対応したS字状のビート波70が発生した後、鋸
歯状波の極間ライン71が1つのみ現れている。そし
て、次の折返しに対応してS字状のビート波72が生じ
ている。この符号72で示すビート波の振幅を「A」と
し、符号70で示すビート波の振幅を「B」とし、図8
(C)に示すビート波の振幅を「C」とすると、C>A
+Bとなっている。このため、鋸歯状波の半波分の振幅
「E」は、C−(A+B)に相当すると考えられる。
【0030】さて、図9に示すように、一定速度で移動
する対象物を測定した場合、鋸歯状波は上昇と下降とで
傾きが異なっている。ここでは、時間t1の間に上昇
し、時間t2の間に下降した。時間t1での波形を「長極
間ライン(ジェントルスロープ)」時間t2での波形を
「短極間ライン(ハードスロープ)」という。長極間ラ
インは、1つの鋸歯状波の上昇部分または下降部分のう
ち、時間のが長い側の波形をいう。このビート波の電圧
値の上昇と下降とを合わせて測定対象物の変位がλ/2
変化したため、この時間の比率を考慮すると、鋸歯状波
の上昇での測定対象物の変位の量と、鋸歯状波の下降で
の測定対象物の変位の量との比率は、時間t1とt2の比
率と等しい。一般的に、時間t1と時間t2のうち、時間
の比率からいって、長い時間でのビート波の上昇または
下降(長極間ライン)に多く折り返し(振動の極点)が
現われる。このため、図8(B)の符号71で示す鋸歯
状波の短極間ラインは、図9に示す例では、時間t2に
相当する。一方、符号70および72で示す部分と、図
8(C)に示すS字状の波は、図9に示す例では、時間
t1に相当する。
【0031】この鋸歯状波における時間の比率の関係を
考慮して、まず、S字状態の振幅の基準振幅について検
討する。図8(C)で示すようなS字状態のビート波の
振幅は、図9に示す例では、時間t1での変化に相当す
る。この時間t1で測定対象物が変位したのは、実際に
は、(λ/2)×t1/(t1+t2)であり、λ/2に
は至らない。時間t2の間にも測定対象物は変位してい
るため、鋸歯状波の振幅自体は、この時間t2に相当す
る変位分を除いた変位量に相当した振幅である。この鋸
歯状波の振幅をそのまま変位量算出の基準振幅とする
と、実際よりも少ない変位量を基準とすることとなる。
このため、実施の形態によっては、この基準振幅の補正
を行う。
【0032】基準振幅は、時間t2にて鋸歯状波が下降
せず、そのまま上昇していた場合に採るビート波の振幅
である。具体的には、鋸歯状波の振幅74に、(時間t
1+時間t2)/時間t1を掛けた値となる。例えば、時
間t1が「4」で、時間t2が「1」とすると、鋸歯状波
の振幅74に5/4を掛けることとなる。このように補
正した基準振幅を図9中の符号75で示す。
【0033】再度図1を参照すると、ステップC3で示
す基準振幅の補正では、まず、鋸歯状波の一波での波の
値が下端から上端まで上昇した上昇時間t1と当該波の
上端から下端まで当該波の値が下降した下降時間t2と
の比率を算出する。次いで、当該上昇時間又は下降時間
のうち、短極間ラインの時間(図9に示す例では、t
2)についても、長極間ラインの傾きで振幅が増加した
場合の振幅75を、当該時間比率に基づいて算出する。
そして、この振幅75をレーザ光の波長の半分の長さの
変位に対応した基準振幅に設定する。また、図3に示す
例では、演算装置14がこのステップC3に相当する補
正を行う基準振幅補正機能を備える。
【0034】次に、このビート波の上昇時間と下降時間
の比率と関係して、図8(B)に示すM字状態のビート
波から測定対象物の変位を算出する手法を検討する。図
8(B)に示す例では、符号71で示す電圧の変化は鋸
歯状波のうち短極間ラインとなる。このため、この符号
71で示す電圧変化が意味する測定対象物の変位は、図
9に示す時間t2での測定対象物の変位の量と関係す
る。この図8(B)の符号71で示す短極間ラインの振
幅が表す変位は、t2/(t1+t2)にλ/2を掛けた
ものとなる。前述した例では、(λ/2)×(1/5)
となる。この短極間ラインに対応する変位量と、A+B
に対応する変位量とを加えると、Cに対応する変位量と
なる。
【0035】図9に示す時間t1とt2の関係は、測定対
象物の変位の速度にかかわらず、ほぼ一定の割合とな
る。従って、基準振幅を算出する際にこの時間の比率も
求めておくと、図8(B)に示した状態の波形であって
も良好に測定対象物の変位量を算出することができる。
【0036】図10にM字状態の振幅の変動と変位の算
出の関係を示す。図10中、点線はM字状態のビート波
の振幅の変動を示す。測定環境の変化などによって、ビ
ート波の全体の振幅は変動する。従って、一つの基準電
圧に基づいて変位量を算出すると、図10の一点鎖線で
示すように駆動電圧と算出変位の関係が対応しなくなっ
てしまう。これに対して、上述したように振幅の比率を
用いて変位量を算出すると、図10の実線で示すように
良好な対応関係を得ることができた。
【0037】図11にλ/2単位に変位を求めた場合
と、上述したλ/2未満の変位をビート波の振幅の比率
により求めた例を示す。λ/2を単位としたステップ変
位では、測定対象物の変位量(FG電圧値)と算出した
変位とが対応せず、とびとびの値となってしまう。ま
た、レーザの発振波長の半分である約0.4 [μm] 未
満の変位量は算出できない。一方、本実施形態によるビ
ート波の振幅の比率に基づく変位の算出方法によると、
図11の実線で示すように測定対象物の実際の振動と算
出した変位の量とが良好に対応した。
【0038】従って、図6に示す例と比較して、測定対
象物の変位に基づいて算出した測定対象物の振動を示す
波形が、図12に示すように測定対象物の変位の大きさ
によらず、良好に算出でき、精度を向上させることがで
きた。
【0039】
【発明の効果】本発明は以上のように構成され機能する
ので、これによると、比率算出工程にて、ビート波のう
ち測定対象物が折り返した部分のビート波の振幅と予め
定められた基準振幅との比を算出し、変位量算出工程に
て、比率算出工程で算出された比率とレーザ光の波長と
に基づいて当該測定対象物の折返し部分の変位の量を算
出するため、測定対象物の変位をλ/2を単位とせず、
より精度良く算出することができ、これにより、λ/2
を越えた変位量で振動している測定対象物の折返し近く
の変位量や、測定対象物がλ/2未満で振動している場
合の変位量を良好に算出することができ、これにより、
振動解析の応用分野を広げ非接触による利点を十全に活
用し測定対象物の微小な振動の状態を測定することがで
きるという従来にない優れた振動変位算出の方法を提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による振動変位算出方法の一実施形態の
構成を示すフローチャートである。
【図2】ビート波の状態の変化を示す波形図であり、図
2(A)はM字状態の一例を示し、図2(B)はS字状
態の一例を示す図である。
【図3】本発明による振動計測装置の構成を示すブロッ
ク図である。
【図4】図3に示した光検出手段の詳細構成の一例を示
す説明図である。
【図5】測定対象物が微小な振動を行う場合のビート波
の状態を観測するための実験系の構成を示すブロック図
である。
【図6】測定対象物の変位量の算出の一例を示す波形図
であり、図6(A)は振動変位を示す図で、図6(B)
はビート波の状態を示す図で、図6(C)は鋸歯状波の
カウントにより波形を算出した例を示す図である。
【図7】変位量がλ/2を越えた振動を行っている場合
のビート波の状態を示す波形図であり、図7(A)は振
動変位の状態を示す図で、図7(B)は第1のビート波
の状態を示す図で、図7(C)はビート波の第2の状態
を示す図である。
【図8】変位量がλ/2を下回った振動を行っている場
合のビート波の状態を示す波形図であり、図8(A)は
振動変位の状態を示す図で、図8(B)は第1のビート
波の状態を示す図で、図8(C)はビート波の第2の状
態を示す図である。
【図9】鋸歯状波と変位量の関係を示す波形図である。
【図10】受光量の変化による算出変位への影響を示す
グラフである。
【図11】λ/2を単位としたステップ変位と本実施形
態による変位算出とを比較するグラフである。
【図12】測定対象物の変位量の算出の一例を示す波形
図であり、図12(A)は振動変位を示す図で、図12
(B)はビート波の状態を示す図で、図12(C)は鋸
歯状波のカウント並びに振幅比により波形を算出した例
を示す図である。
【符号の説明】
1 測定対象物 2 レーザ素子 4 レーザダイオード(共振器) 6 フォトダイオード 8 ビート波検出手段 10 増幅器 12 A/D変換器 14 演算装置 52 M字波振幅検出手段 54 比率算出手段 56 変位量算出手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光のドップラ効果を利用して測定
    対象物の振動の変位を算出する振動変位の算出方法であ
    って、 所定の波長のレーザ光を発振させると共に当該レーザ光
    を測定対象物のに照射するレーザ光照射工程と、 測定対象物で反射したレーザ光と前記発振されたレーザ
    光とを混合させてビート波を出力するビート波出力工程
    と、 このビート波出力工程で出力されるビート波のうち前記
    測定対象物が折り返した部分のビート波の振幅と予め定
    められた基準振幅との比を算出する比率算出工程と、 この比率算出工程で算出された比率と前記レーザ光の波
    長とに基づいて当該測定対象物の折返し部分の変位の量
    を算出する変位量算出工程とを備えたことを特徴とする
    振動変位の算出方法。
  2. 【請求項2】 前記比率算出工程は、前記ビート波の鋸
    歯状波の一波又は半波の振幅を前記基準振幅に設定する
    工程を備えたことを特徴とする請求項1記載の振動変位
    の算出方法。
  3. 【請求項3】 前記比率算出工程は、前記鋸歯状波の一
    波での波の値が下端から上端まで上昇した上昇時間と当
    該波の上端から下端まで当該波の値が下降した下降時間
    との比率に基づいて、当該短い方の時間についても他方
    の時間での傾きでビート波の振幅を補正すると共に、当
    該補正後の振幅を前記レーザ光の波長の半分の長さの変
    位に対応した基準振幅とする基準振幅補正工程を備えた
    ことを特徴とする請求項2記載の振動変位の算出方法。
  4. 【請求項4】 前記比率算出工程は、前記測定対象物の
    変位量がλ/2を下回った状態で鋸歯状波の1波または
    半波が存在しなくなった「S字」状態のビート波の振幅
    と前記予め定められた振幅との比率を算出する工程を備
    えたことを特徴とする請求項1記載の振動変位の算出方
    法。
  5. 【請求項5】 測定対象物から反射したレーザ光を観測
    する光検出手段と、 この光検出手段から出力された波形信号を解析すると共
    にビート波を検出するビート波検出手段と、このビート
    波検出手段で検出されるM字状態の波形の波の振幅を測
    定するM字波振幅検出手段とを備えると共に、 前記ビート波検出手段によって検出されたビート波のう
    ち前記測定対象物の変位の方向が変化した部分に対応す
    るM字状態の波形の波の振幅を基準振幅として当該基準
    振幅と前記S字状態の波の振幅との比率を算出する比率
    算出手段と、この比率算出手段によって算出された比率
    と前記レーザ光の波長とに基づいて前記S字状態の波形
    に対応した測定対象物の変位の量を算出する変位量算出
    手段とを備えたことを特徴とする振動変位算出装置。
  6. 【請求項6】 前記比率算出手段は、前記鋸歯状波の一
    波での波の値が下端から上端まで上昇した上昇時間と当
    該波の上端から下端まで当該波の値が下降した下降時間
    との比率に基づいて、当該当該短い方の時間についても
    他方の時間での傾きでビート波の振幅を補正すると共
    に、当該補正後の振幅を前記レーザ光の波長の半分の長
    さの変位に対応した基準振幅とする基準振幅補正機能を
    備えたことを特徴とする請求項5記載の振動変位算出装
    置。
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