JPH11318059A - モータステータの積層鉄心の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各極の磁気特性を均一化でき、効率良くプレ
ス加工することのできるモータステータの分割コア型積
層鉄心の製造方法を提案すること。 【解決手段】 複数枚のリングコア積層板が積層固定さ
れたリングコアに、複数枚の突極用コア積層板が積層固
定された突極用コアを、極数分だけ嵌め込むことにより
構成したモータステータの積層鉄心を製造する方法にお
いて、積層鉄心素材である圧延鋼板１１におけるリング
コア積層板１２のプレス抜き領域１２Ａの内側部分１３
に、極数９よりも１枚多い１０枚の突極用コア積層板の
プレス抜き領域１４Ａ（１）〜１４Ａ（１０）を相互に
平行で、圧延方向に揃った状態となるように規定し、こ
れらから１０枚の突極用コア積層板をプレス抜きする。
各突極用コア積層板の磁気特性を均一化でき、また、不
良品の発生を事前に見込んで突極用コア積層板を製造す
るので、そのプレス工程を効率化できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、複数枚のリングコ
ア積層板が積層固定された構成のリングコアに、複数枚
の突極用コア積層板が積層固定された構成の突極用コア
を、極数分だけ嵌め込むことにより構成されるモータス
テータの積層鉄心を製造する方法に関するものである。
さらに詳しくは、鉄心素材である圧延板からの突極用コ
ア積層板のプレス抜きを工夫して、突極用コアの磁気特
性等を改善可能なモータステータの積層鉄心の製造方法
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】モータステータの積層鉄心としては、例
えば、特開昭６３−２９９７５２号公報に開示されてい
るような所謂、分割コア型のものが知られている。この
分割コア型の積層鉄心は、リングコアの内周面に必要極
数分の突極はめ込み溝を形成しておき、これらのはめ込
み溝のそれぞれに、別個に製造した突極用コアをはめ込
むことにより、構成される。リングコアおよび突極用コ
アは、それぞれ、リングコア積層板、突極用コア積層板
を積層固定することにより構成された積層体である。

【０００３】これらのリングコア積層板および突極用コ
ア積層板は、珪素鋼板等の圧延鋼板からプレス抜きによ
って製造されている。すなわち、圧延鋼板に、リングコ
ア積層板のプレス抜き領域が規定され、この領域の内側
部分に、必要な極数分の突極用コア積層板のプレス抜き
領域が、実際に各突極用コアがリングコア積層板にはめ
込まれた状態に対応する放射状に規定される。各突極用
コア積層板がプレス抜きされた後は、それによって形成
されたリングコア積層板の突極用コア嵌め込み溝をその
まま残した状態で、圧延鋼板から、一枚のリングコア積
層板のプレス抜きが行われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに圧延鋼板からプレス抜きしたリングコア積層板およ
び突極用コア積層板を用いてモータステータの積層鉄心
を製造する場合には、次のような解決すべき課題があ
る。

【０００５】まず、各突極用コア積層板は、圧延鋼板か
ら放射状に配列された状態でプレス抜きされる。このた
め、各突極用コア積層板における圧延方向は相互に異な
っている。圧延鋼板は、その圧延方向に平行な方向、そ
れに直交する方向では、磁気抵抗等の磁気特性が異な
る。この結果、突極用コア積層板を積層固定することに
より構成した各突極用コアの磁気特性にばらつきができ
るおそれがある。このような突極用コアを備えたモータ
ステータを用いたモータにおいては、この磁気特性の変
動が原因となってトルクリップルが発生する等、モータ
性能に悪影響が及ぶおそれがある。

【０００６】本発明の課題は、この点に鑑みて、各突極
用コアの磁気特性を一定に保持することの可能なモータ
ステータの積層鉄心の製造方法を提案することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明は、複数枚のリングコア積層板が積層固定
されたリングコアに、複数枚の突極用コア積層板が積層
固定された突極用コアを、極数分だけ嵌め込むことによ
り構成したモータステータの積層鉄心を製造する方法に
おいて、積層鉄心素材である圧延板における前記リング
コア積層板のプレス抜き領域の内側部分から、複数枚の
前記突極用コア積層板を相互に平行な状態となるように
プレス抜きすることを特徴としている。

【０００８】このようにプレス抜きした突極用コア積層
板は、圧延方向が同一方向に揃っているので、磁気特性
等が同一である。よって、これらの突極用コア積層板を
積層固定して得られる突極用コアの磁気特性も一定とな
る。この結果、各突極用コアの磁気特性の変動が原因と
なってモータにトルクリップ等が発生するという弊害を
防止できる。

【０００９】ここで、前記突極用コア積層板を、前記圧
延板の圧延方向と平行にプレス抜きすることが望まし
い。このようにプレス抜きを行った場合には、圧延方向
とは異なる方向に沿ってプレス抜きした場合に比べて、
鉄損が少ない等、磁気特性に優れた突極用コア積層板が
得られるからである。

【００１０】次に、本発明の方法においては、前記リン
グコア積層板のプレス領域の内側部分から、極数分より
も多い枚数の前記突極用コア積層板をプレス抜きするこ
とが望ましい。このようにすれば、１枚のリングコア積
層板に対して、常に、突極用コア積層板は１枚以上余分
にプレス抜きされる。この結果、不良な突極用コア積層
板が発生しても、新たに別のプレス工程を追加して、突
極用コア積層板を追加製造する必要が無い。よって、プ
レス抜き工程を効率良く行うことができ、また、材料歩
留りも良い。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
を適用したモータステータの積層鉄心の製造方法を説明
する。

【００１２】図１、図２、図３には、モータステータの
分割コア型の積層鉄心を構成するためのリングコア積層
板および突極用コア積層板のプレス抜きの工程を示して
ある。この工程により製造されたリングコア積層板およ
び突極用コア積層板からなる積層鉄心は９個の突極を備
えたものである。

【００１３】本例では、図１に示すように、積層鉄心素
材である圧延鋼板１１におけるリングコア積層板のプレ
ス抜き領域１２Ａの内側部分１３に、極数９よりも１枚
多い１０枚の突極用コア積層板を相互に平行にプレス抜
きするためのプレス抜き領域１４Ａ（１）〜１４Ａ（１
０）を規定してある。また、各突極用コア積層板を、圧
延鋼板１１の圧延方向１１ａと平行にプレス抜きできる
ように、これらの領域１４Ａ（１）〜１４Ａ（１０）の
方向を圧延方向に揃えてある。

【００１４】図２および図３を参照してプレス工程を説
明する。まず、積層鉄心素材である圧延鋼板１１を用意
する。この圧延鋼板１１に対して次のように順送プレス
を施す。この圧延鋼板１１の圧延方向１１ａは矢印で示
すように圧延鋼板の送り方向である。また、各図におい
ては、各プレスステージにおいてプレス抜きされる部分
をハッチングで示してあり、プレス抜きされた板片を各
プレスステージにおける圧延鋼板１１の上側の位置に描
いてある。

【００１５】まず、位置決め用の一対の穴２１を圧延鋼
板１１の幅方向の両端に開ける（ステージＳＴ１）。こ
れらの一対の穴２１は圧延鋼板１１の搬送方向に沿って
一定の間隔で形成され、前後一対の穴２１の間が、１枚
のリングコア積層板のプレス抜き領域１２Ａとされる。
次に、後述のようにしてプレス抜きされたリングコア積
層板を相互に積層固定するために用いる穴２２、および
突極用コア積層板を相互に積層固定するために用いる穴
２３をプレス抜きする（ステージＳＴ２）。

【００１６】この後は、まず、リングコア積層板のプレ
ス抜き領域１２Ａの内側の部分１３における領域１４Ａ
（２）、１４Ａ（３）、１４Ａ（８）および１４Ａ
（９）から、それぞれ、４枚の突極用コア積層板１４
（２）、１４（３）、１４（８）および１４（９）をプ
レス抜きする（ステージＳＴ３）。次に、３枚の突極用
コア積層板１４（１）、１４（５）および１４（７）を
抜く（ステージＳＴ４）。

【００１７】同様にして、図３に示すように、３枚の突
極用コア積層板１４（４）、１４（６）および１４（１
０）を抜く（ステージＳＴ５）。

【００１８】しかる後は、リングコア積層板１２のプレ
ス抜き領域１２Ａに囲まれている部分１３を抜く（ステ
ージＳＴ６）。この結果、プレス抜きされた後の圧延鋼
板１１には、リングコア積層板１２の内周縁が形成され
る。この内周縁には、９個の突極用コアを嵌め込み可能
な９個の溝２４が形成されている。次に、リングコア積
層板１２を抜く（ステージＳＴ７）。

【００１９】以上のプレス工程により、多数枚のリング
コア積層板１２と、多数枚の突極用コア積層板１４
（１）〜１４（１０）を製造する。この後は、リングコ
ア積層板１２を積層固定してリングコアを製造する。ま
た、各コア積層板を積層固定して９個の突極用コアを製
造する。各突極用コアには絶縁材を挟み、巻き線を施こ
す。しかる後に、各突極用コアをリングコアの内周面に
形成されている溝に嵌め込む。この結果、９極のモータ
ステータが得られる。

【００２０】このように、本例の製造方法では、各突極
用コア積層板が圧延鋼板の圧延方向に沿って当該圧延鋼
板からプレス抜きされる。よって、各突極用コア積層板
の磁気特性等が均一であり、従って、これを用いて製造
したモータステータの各突極の磁気特性も一定となる。
このため、各突極の磁気特性が異なることに起因したト
ルクリップルの発生等を防止できる。

【００２１】また、１枚のリングコア積層板に対して、
極数（９極）よりも１枚多い枚数の突極用コア積層板を
抜き取るようにしている。よって、突極用コア積層板に
不良品が発生しても、常に余分の突極用コア積層板が製
造されているので、別途、突極用コア積層板をプレス抜
きする必要がない。この結果、プレス工程を効率化でき
る。また、材料歩留りも良くなる。

【００２２】なお、以上の説明は本発明の方法の一例を
示すものであり、本発明の方法をこの方法に限定するこ
とを意図したものではない。従って、例えば、リングコ
ア積層板の形状、各突極用コア積層板の形状は異なるも
のであってもよい。また、リングコア積層板のプレス抜
き領域の内側で抜き取られる突極用コア積層板の枚数
も、１０枚に限定されるものではない。突極用コア積層
板が小さければ、１１枚以上をプレス抜きしてもよい。

【００２３】さらには、上記のモータステータは９極用
であるが、異なる極数のモータステータの積層鉄心の製
造のために本発明の方法をそのまま適用できることは勿
論である。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明のモータス
テータの積層鉄心の製造方法においては、鉄心素材であ
るリングコア積層板プレス抜き領域の内側領域におい
て、圧延方向に沿って、複数枚の突極用コア積層板を同
一方向に揃えた状態でプレス抜きしている。従って、各
突極用コア積層板の圧延方向が揃うので、これらを用い
て製造した突極用コアの磁気特性を均一化できる。この
ために、当該突極用コアにより製造したモータステータ
を備えたモータにおいては、各突極の磁気特性の不均一
に起因したトルクリップルの発生等といった弊害は起き
ない。特に、各突極用コア積層板が圧延方向と平行とな
るようにプレス抜きされた場合には、特に、これらの磁
気特性が改善されるという利点が得られる。

【００２５】また、本発明の方法では、１枚のリングコ
ア積層板のプレス抜きに際して、極数よりも多い枚数の
突極用コア積層板を抜くようにしているので、突極用コ
ア積層板の不良品が発生しても、別のプレス工程を追加
して、突極用コア積層板を追加製造する必要がない。よ
って、プレス工程を効率化できる。

【００２６】さらに、本発明の方法により製造したモー
タステータを備えたモータにおいては、各極の磁気特性
を均一化できるので、トルクリップルを抑制できるな
ど、優れたモータ特性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法による圧延鋼板からのリングコア
積層板および突極用コア積層板のプレス抜き領域を示す
説明図である。

【図２】本発明の方法によるリングコア積層板および突
極用コア積層板のプレス抜き工程を説明するための工程
図である。

【図３】本発明の方法によるリングコア積層板および突
極用コア積層板のプレス抜き工程を説明するための工程
図である。

【符号の説明】

１１ 圧延鋼板 １１ａ 圧延方向 １２ リングコア積層板 １２Ａ 圧延鋼板におけるリングコア積層板プレス抜き
領域 １３ リングコア積層板プレス抜き領域に囲まれた領域 １４（１）〜１４（１０） 突極用コア積層板 １４Ａ（１）〜１４Ａ（１０） 特極用コア積層板プレ
ス抜き領域

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 善規 長野県南安曇郡穂高町大字牧1856−１ 株 式会社ハーモニック・ドライブ・システム ズ穂高工場内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数枚のリングコア積層板が積層固定さ
   れた構成のリングコアに、複数枚の突極用コア積層板が
   積層固定された構成の突極用コアを、極数分だけ嵌め込
   むことにより構成したモータステータの積層鉄心を製造
   する方法において、 積層鉄心素材である圧延板における前記リングコア積層
   板のプレス抜き領域の内側部分から、複数枚の前記突極
   用コア積層板を相互に平行な状態となるようにプレス抜
   きすることを特徴とするモータステータの積層鉄心の製
   造方法。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記突極用コア積層
   板を、前記圧延板の圧延方向と平行にプレス抜きするこ
   とを特徴とするモータステータの積層鉄心の製造方法。
3. 【請求項３】 請求項１または２において、前記リング
   コア積層板のプレス抜き領域の内側部分から、極数分よ
   りも多い枚数の前記突極用コア積層板をプレス抜きする
   ことを特徴とするモータステータの積層鉄心の製造方
   法。
4. 【請求項４】 請求項１ないし３のうちのいずれかの項
   に記載の方法により製造されたことを特徴とするモータ
   ステータの積層鉄心。