JPH11293269A - 潤滑剤およびこれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

潤滑剤およびこれを用いた磁気記録媒体

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JPH11293269A
JPH11293269A JP1012699A JP1012699A JPH11293269A JP H11293269 A JPH11293269 A JP H11293269A JP 1012699 A JP1012699 A JP 1012699A JP 1012699 A JP1012699 A JP 1012699A JP H11293269 A JPH11293269 A JP H11293269A
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lubricant
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fluorinated
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JP1012699A
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Takahiro Furuya
隆博 古谷
Sayaka Sasamoto
さやか 篠本
Tetsuo Mizumura
哲夫 水村
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Original Assignee
Hitachi Maxell Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高・低温、高・低湿の環境下において高・低
速、高・低負荷に拘らず接触する2固体間を低摩擦、低
摩耗で摺動させるとともに、環境にやさしい潤滑剤を提
供する。 【解決手段】 パ―フロロポリエ―テル基(Rf)の左
右両側に水酸基を含むことがあるC3以上の炭化水素基
(R1 ,R2 )を有するフツ化ジアルコ―ル1モルと、
アルキル無水コハク酸やアルキル無水チオリンゴ酸など
のジカルボン酸成分2モルとのジエステル化物からなる
一般式1のフツ化ジカルボン酸を主成分とする潤滑剤。 であって、Rは水素または炭化水素基、m、n、kは0
または1である)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温・低温、高湿
・低湿のあらゆる環境下において、高速・低速、高負荷
・低負荷に拘らず接触する2固体間を低摩擦、低摩耗で
摺動させる、環境にやさしい潤滑剤およびそれを用いた
磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】接触する2固体間を低摩擦、低摩耗で摺
動させ、機器、装置の使用期間を延ばす目的のため、固
体表面の硬質化と潤滑剤の開発が行われている。とくに
OA機器の分野では、サイズダウンの要求が強く、摺動
部位には年々精密な機構が採用されている。精密部品が
幅広い環境下で継続的または断続的に摺動する将来の機
器では、これまで以上に摺動開始時、終了時または摺動
時の摩擦、摩耗を低下させ、モ―タなどの負荷を低下さ
せる必要がある。
【0003】これまで、保護潤滑系では、摺動部位に硬
く摩耗しにくい表面層を設け、潤滑剤としてグリ―スや
オイル状の半固体または液体状の潤滑剤が用いられてき
た。しかし、接触部位の平滑化が要求される精密機器に
おいては、未だ高速・低速、高負荷・低負荷に拘わらず
接触する2固体間を低摩擦、低磨耗で摺動させる潤滑剤
は得られておらず、起動不良や摺動時に偶発的に摩擦力
が急増する問題が回避できていないのが実情である。
【0004】たとえば、非磁性支持体上に強磁性金属ま
たはそれらの合金などを真空蒸着などにより被着してつ
くられる強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体では、塗布型
の磁気記録媒体に比べて、磁性層の高抗磁力化や薄膜化
をはかりやすく、高密度記録特性にすぐれる反面、靭性
のある結合剤樹脂を用いず、また強磁性金属薄膜やその
上に通常設けられる保護膜の表面平滑性がよいため、磁
気記録媒体と磁気ヘツドとの間で貼り付きを生じ、摩擦
係数が大きくなつて磨耗や損傷を受けやすく、耐久性や
走行性に劣るという難点がある。
【0005】このような問題に対し、特開平3−254
419号、特開平4−270243号、特開平6−29
3703号、特開平7−118204号、特開平7−2
16375号、特開平7−225941号、特開平7−
324061号などの各公報では、磁気記録媒体用の潤
滑剤として、アウジモント社製の「FOMBLINZ
DOL」、「FOMBLIN AM 2001」などの
パ―フロロポリエ―テル系潤滑剤、カルボン酸系潤滑
剤、部分フツ化エステル系潤滑剤などの種々の潤滑剤を
使用し、これらの潤滑剤を強磁性金属薄膜上に存在させ
ることにより、耐久性および走行性を改善することが検
討されている。
【0006】しかるに、このような潤滑剤を用いても、
磁気ヘツドの汚れや摺動時に生じる媒体表面の欠陥によ
るドロツプアウト、さらに高温環境下での耐久性や走行
性に劣るという問題は、未だに解決されていないのが現
状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
事情に照らし、接触部位の平滑化が進む将来の精密機器
においても、高温・低温、高湿・低湿のあらゆる環境下
において、高速・低速、高負荷・低負荷に拘わらず接触
する2固体間を低摩擦、低磨耗で摺動させ、かつ環境に
やさしい潤滑剤を得ること、またこの潤滑剤を用いるこ
とにより、耐久性や走行性にすぐれた磁気記録媒体を得
ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的に対し、鋭意検討した結果、分子内にパ―フロロポリ
エ―テル基と2個のカルボキシル基および炭化水素基を
有する特定構造のフツ化ジカルボン酸によれば、高温・
低温、高湿・低湿のあらゆる環境下において、高速・低
速、高負荷・低負荷に拘わらず接触する2固体間を低摩
擦、低磨耗で摺動させることができ、しかも、炭化水素
系溶剤、ケトン系溶剤、アルコ―ル系溶剤、エステル系
溶剤などの非フツ素系溶剤に可溶であつて、このような
汎用溶剤で塗布、浸漬、噴霧などの操作を行えることか
ら、フツ素系溶剤の使用による環境破壊を招かず、環境
にやさしい潤滑剤として使用でき、とくに磁気記録媒体
用の潤滑剤として使用したときには、耐久性および走行
性が高度に改善された磁気記録媒体が得られることを知
り、本発明を完成するに至つた。
【0009】すなわち、本発明は、つぎの一般式
(1); (式中、Rfはパ―フロロポリエ―テル基、R1 ,R2
は水酸基を含むことがある炭素数3以上の炭化水素基、
1 ,A2 は下記の式: で示される有機基であつて、Rは水素原子または炭化水
素基、m,n,kは0または1である)で表されるフツ
化ジカルボン酸からなる潤滑剤(請求項1〜8)と、非
磁性支持体の少なくとも片面に磁性層を有する磁気記録
媒体において、磁性層がその内部または表面に上記構成
の潤滑剤を有することを特徴とする磁気記録媒体(請求
項9〜11)とに係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるフツ化ジカル
ボン酸は、前記の一般式(1)で表される化学構造を有
するものであつて、分子内に2個のカルボキシル基を持
つため、強磁性金属薄膜やその保護膜表面およびヘツド
表面に吸着して安定に存在でき、とくに摺動開始時のよ
うな高摩擦条件下でも摺動面から排除されることなく安
定に存在でき、そのために、パ―フロロポリエ―テル基
の潤滑性能に基づく良好な摺動特性が確保されて、ヘツ
ド媒体間の磨耗によるヘツド汚れやドロツプアウトを低
減し、磁気記録媒体の耐久性および走行性を大きく向上
する。
【0011】このようなフツ化ジカルボン酸を示す一般
式(1)において、Rfは、表面自由エネルギ―を低減
して良好な潤滑特性を付与するためのパ―フロロポリエ
―テル基であるが、上記効果をより良く発揮させるた
め、−(OC2 4 )p−(OCF2 )q−(p,qは
整数である)を主成分としたものであるのが望ましい。
また、構成炭素数としては、5〜80、好ましくは10
〜60、より好ましくは20〜50であるのがよい。5
未満ではフツ素独特の潤滑性を発揮できず、磁気記録媒
体として十分な耐久性が得られず、また80を超える
と、上記効果が飽和し、また潤滑剤の粘度が上昇するな
どの問題を生じやすい。
【0012】一般式(1)において、R1 ,R2 は、水
酸基を含むことがあるアルキル鎖、(ポリ)エ―テル鎖
または(ポリ)エステル鎖の中から選ばれる炭化水素基
で、このうち、(ポリ)エ―テル鎖が最も好ましい。
(ポリ)エ―テル鎖は適度の極性を有しているため、強
磁性金属薄膜などとの親和性がよく、上記表面に安定に
保持され、また分子中に化学的安定性にすぐれるエ―テ
ル結合しか含まないため、活性な金属面に吸着しても分
解することがない。アルキル鎖や(ポリ)エ―テル鎖か
らなる炭化水素基としては、飽和または不飽和、直鎖ま
たは分岐鎖や環状であつてよいが、とくに−(CH2
−、−(OCH2 CH2 )−、−〔OCH(CH3 )C
2 〕−を構成要素としたものが好ましく、中でも、−
(OCH2CH2 )−を構成要素としたものが最も好ま
しい。
【0013】このような炭化水素基は、炭素数が3以上
であるときに、この炭化水素基がパ―フロロポリエ―テ
ル基(Rf)とエステル結合との間に介在することによ
り、上記エステル結合の安定性を確保して、フツ化ジカ
ルボン酸の加水分解を防ぎ、その分解物がヘツド汚れな
どの原因となるのを防止し、さらに非フツ素系溶剤に対
する溶解性を高める効果をも発揮する。したがつて、上
記炭化水素基は、炭素数が3以上、好ましくは4以上で
あるのがよい。炭素数が必要以上に多くなつても上記効
果が飽和し、逆に粘度が高くなるなどの不都合を生じる
ため、通常は、26以下、好ましくは18以下であるの
がよい。なお、ふたつの炭化水素基R1およびR2 は、
同一の基であつても、異なる基であつてもよい。
【0014】一般式(1)において、A1 ,A2 を構成
するRは、水素原子または炭化水素基であるが、炭化水
素基であるのがより好ましい。炭化水素基としては、飽
和または不飽和、直鎖または分岐鎖や環状であつてよい
が、とくに飽和直鎖炭化水素基(アルキル基)であるの
が最も好ましい。炭化水素基の炭素数は、摩擦係数や粘
度特性の面より、通常1〜26の範囲とされるが、非フ
ツ素系溶剤に対する溶解性を高めるためには、8以上、
とくに好ましくは12〜18であるのがよい。なお、上
記Rを含むふたつの基A1 およびA2 は、通常、同一の
基で構成されるが、場合により異なる基で構成されてい
てもよい。
【0015】上記のR1 ,R2 ,A1 ,A2 を構成する
炭化水素基は、非フツ素系溶剤に対する溶解性や粘度特
性の点より、合計炭素数が6〜100、好ましくは8〜
50、より好ましくは10〜40であるのがよい。ま
た、上記のR1 ,R2 ,A1 ,A2 を構成する炭化水素
基には、炭素、酸素および水素以外の構成元素として、
窒素、燐などの他の元素を含ませて、高荷重下での摺動
特性をより向上させてもよい。さらに、上記フツ化ジカ
ルボン酸の分子量は、平均分子量が1,000〜7,0
00、好ましくは2,000〜5,000である。1,
000未満では、蒸発による重量減少が生じて、高温時
や高温保存後の摺動特性が不十分となり、7,000を
超えると粘度が上昇するなどの不都合がある。
【0016】このように構成されるフツ化ジカルボン酸
は、環境にやさしい非フツ素系溶剤に可溶であり、上記
溶剤で塗布、浸漬、噴霧などの操作を行えるという特徴
を備えている。環境にやさしい非フツ素系溶剤として
は、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、アルコ―ル系溶
剤、エステル系溶剤などの汎用溶剤があり、具体的に
は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノ
―ル、エタノ―ル、イソプロパノ―ル、ジエチルエ―テ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサノ
ンなどを挙げることができる。
【0017】本発明において、上記のフツ化ジカルボン
酸は、いかなる方法で合成されたものであつてもよい。
工業的に有効な合成法の一例を示すと、HO−R1 −R
f−R2 −OHで表されるフツ化ジアルコ―ル1モルに
対し、無水コハク酸、アルキル無水コハク酸、無水チオ
リンゴ酸、アルキル無水チオリンゴ酸などのジカルボン
酸成分2モルを反応させることにより、容易に合成する
ことができる。なお、ジカルボン酸成分として、上記の
ような酸無水物を使用したときには、前記の一般式
(1)におけるA1 ,A2 として、通常は、m=0でn
=1であるものと、m=1でn=0であるものとが、混
在化したフツ化ジカルボン酸が得られるが、本発明で
は、この混在化物をそのまま使用することができる。
【0018】本発明においては、上記のフツ化ジカルボ
ン酸を潤滑剤として使用することを特徴としたものであ
るが、その際、必要に応じて、他の公知の潤滑剤と併用
してもよい。たとえば、脂肪酸またはその金属塩、脂肪
族エステル、脂肪族アミド、脂肪族アルコ−ル、脂肪族
アミン、モノサルフアイド、パラフイン類、シリコ−ン
化合物、脂肪酸とフツ化アルコ―ルのモノエステル、パ
―フルオロポリエ―テル、ポリテトラフルオロエチレン
などが挙げられる。これら他の潤滑剤の使用量として
は、本発明のフツ化ジカルボン酸1モルに対して、0.
01〜100モル、好ましくは0.1〜10モルとなる
割合とするのがよい。
【0019】また、上記のフツ化ジカルボン酸を潤滑剤
として使用するにあたり、必要により、トリオレイルホ
スフエ―トなどのリン系極圧剤、二硫化ベンジルなどの
硫黄系極圧剤、臭化アリルなどのハロゲン系極圧剤、ジ
イソブチルジチオリン酸亜鉛などの有機金属系極圧剤な
どを併用することもできる。
【0020】本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体の
少なくとも片面に磁性層を有して、この磁性層がその内
部または表面に上記のフツ化ジカルボン酸からなる潤滑
剤を有することを特徴としたものである。上記の潤滑剤
を磁性層の内部または表面に設けるには、上記の潤滑剤
を前記した非フツ素系溶剤からなる汎用溶剤に溶解さ
せ、この溶液を非磁性支持体の少なくとも片面に形成さ
れた磁性層の上に、塗布または噴霧して乾燥するか、上
記の溶液中に磁性層を浸積して乾燥すればよい。磁性層
の種類に応じた適宜の方法を使用できる。
【0021】磁性層が強磁性金属薄膜からなる場合、そ
の薄膜上に、真空蒸着、スパツタリング、プラズマなど
により、炭素(ダイヤモンド状あるいはアモルフアス
状)、窒化炭素、酸化硅素、酸化ジルコニウム、酸化ク
ロムを主成分とする保護膜や、有機化合物などからなる
保護膜を設けるようにしてもよい。また、それらにフツ
素、窒素、硅素などを含ませた保護膜を設けてもよい。
さらに、強磁性金属薄膜は、表面に微量の水分が付着し
たものであつてもよいし、ベンゾトリアゾ―ル系などの
防錆剤を塗布したものであってもよい。
【0022】また、炭素保護膜などの表面に酸素および
アンモニアプラズマ処理などを施してもよい。プラズマ
処理を施すことにより、保護膜表面を清浄化しつつ、プ
ラズマ中の化学活性種を堆積させることができ、保護膜
の硬度を低下させることなく潤滑剤をより安定に存在さ
せることが可能となる。また、グロ―放電処理、紫外線
照射処理、熱処理などを行うことによつても、潤滑剤を
安定に存在させることが可能である。これらの処理は、
潤滑剤を付着させる前に行つてもよいし、また潤滑剤を
付着させたのちに行つてもよい。さらに、潤滑剤の付着
後、余分な潤滑剤を溶剤などにより洗浄除去したのちに
行つてもよい。
【0023】強磁性金属薄膜上への潤滑剤の塗布量は、
薄膜表面に対し0.5〜20mg/m2の範囲とするのが好
ましい。0.5mg/m2 未満では、薄膜表面に潤滑剤を均
一に付着させにくく、スチル耐久性を十分に向上させる
ことができない。また、20mg/m2 を超えてしまうと、
磁気ヘツドと強磁性金属薄膜とが貼り付いたりするた
め、好ましくない。潤滑剤の塗布量は、X線光電子分光
法および液体カラムクロマトグラフイなどにより、求め
ることができる。
【0024】本発明の磁気記録媒体における非磁性支持
体には、ポリエチレンテレフタレ―ト、ポリエチレンナ
フタレ―ト、ポリカ―ボネ―ト、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリ塩化ビニルなどのプラスチツク、ガラス、アル
ミニウム合金、チタン合金などが好適に使用される。こ
の非磁性支持体は、テ―プ、シ―ト、デイスク、カ―ド
などのいずれの形態でもよく、表面に突起を設けたもの
でもよい。
【0025】強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体では、上
記の非磁性支持体の片面または両面に、Co、Ni、F
e、Co−Ni、Co−Cr、Co−P、Co−Ni−
P、Fe−Co−B、Fe−Co−Ni、Co−Ni−
Fe−B、Fe−Ni、Fe−Co、Co−Pt、Co
−Ni−Ptまたはこれらに酸素を加えたものなどから
なる種々の強磁性材が、真空蒸着、イオンプレ―テイン
グ、スパツタリング、メツキなどの方法で、薄膜形成さ
れる。このように形成される強磁性金属薄膜の膜厚は、
通常0.03〜1μmの範囲にあるのが好ましい。
【0026】本発明の磁気記録媒体において、非磁性支
持体の一面側のみに磁性層を形成したものでは、その反
対面側にバツクコ―ト層を設けてもよい。このバツクコ
―ト層は、カ―ボンブラツク、ベンガラ、炭酸カルシウ
ムなどの非磁性粉を、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合
体、ポリウレタン系樹脂、繊維素系樹脂などの結合剤樹
脂および有機溶剤とともに混合分散して、バツクコ―ト
層用塗料を調製し、この塗料を非磁性支持体の反対面側
に塗布、乾燥して形成される。
【0027】
【実施例】つぎに、本発明の実施例を記載して、より具
体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例により
なんら限定されるものではない。
【0028】実施例1 式;HO(CH2CH2O) r CH2CF2(OC2F4) p (OCF2) q OCF2CH2
(0CH2CH2) r OH(rは1以上の整数)で表されるフツ化
ジアルコ―ル(アウジモント社製の「FOMBLIN
Z DOL TX2000」、分子量2,200)1モ
ルと、n−オクタデシル無水コハク酸2モルとを、撹拌
翼を備えたフラスコに仕込み、窒素気流下、100℃で
48時間反応させた。反応終了後、反応混合物をフツ素
系溶剤(3M社製の「FC77」)に溶解し、−10℃
に冷却して、未反応の上記フツ化ジアルコ―ルを除去し
た。さらに、反応物をベンゼン溶液として同様の処理に
より、未反応のn−オクタデシル無水コハク酸を除去し
て、フツ化ジカルボン酸からなる潤滑剤を得た。この潤
滑剤は、図1に示す赤外分光スペクトルで、1,740
cm-1付近にエステル結合と1,700cm-1付近にカルボ
ン酸由来のピ―クがみられ、前記の一般式(1)(式
中、R1 ,Rf,R2 はいずれも上記のフツ化ジアルコ
―ルに由来する基であり、A1 ,A2 におけるRはn−
オクタデシル基、kは0である)で表されるフツ化ジカ
ルボン酸であることを確認した。
【0029】実施例2 実施例1と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、n−ドデ
シル無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラスコ
に仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反応させ
た。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系
溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ
化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン
溶液として同様の処理により、未反応のn−ドデシル無
水コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸からなる潤
滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトルによ
り、実施例1と同様のフツ化ジカルボン酸(ただし、R
=n−ドデシル基である)であることを確認した。
【0030】実施例3 実施例1と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、n−オク
チル無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラスコ
に仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反応させ
た。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系
溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ
化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン
溶液として同様の処理により、未反応のn−オクチル無
水コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸からなる潤
滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトルによ
り、実施例1と同様のフツ化ジカルボン酸(ただし、R
=n−オクチル基である)であることを確認した。
【0031】実施例4 実施例1と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、無水コハ
ク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラスコに仕込み、窒
素気流下、100℃で48時間反応させた。反応終了
後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系溶剤に溶解
し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ化ジアルコ
―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン溶液として
同様の処理により、未反応の無水コハク酸を除去して、
フツ化ジカルボン酸からなる潤滑剤を得た。この潤滑剤
は、赤外分光スペクトルにより、実施例1と同様のフツ
化ジカルボン酸(ただし、R=水素原子である)である
ことを確認した。
【0032】実施例5 実施例1と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、イソオク
タデシル無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラ
スコに仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反応さ
せた。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素
系溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フ
ツ化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼ
ン溶液として同様の処理により、未反応のイソオクタデ
シル無水コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸から
なる潤滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトル
により、実施例1と同様のフツ化ジカルボン酸(ただ
し、R=イソオクタデシル基である)であることを確認
した。
【0033】実施例6 実施例1と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、オクタデ
セニル無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラス
コに仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反応させ
た。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系
溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ
化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン
溶液として同様の処理により、未反応のオクタデセニル
無水コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸からなる
潤滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトルによ
り、実施例1と同様のフツ化ジカルボン酸(ただし、R
=オクタデセニル基である)であることを確認した。
【0034】実施例7 実施例1と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、n−オク
タデシル無水チオリンゴ酸2モルとを、撹拌翼を備えた
フラスコに仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反
応させた。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフ
ツ素系溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上
記フツ化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベ
ンゼン溶液として同様の処理により、未反応のn−オク
タデシル無水チオリンゴ酸を除去して、フツ化ジカルボ
ン酸からなる潤滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光ス
ペクトルにより、実施例1と同様のフツ化ジカルボン酸
(ただし、R=n−オクタデシル基、k=1である)で
あることを確認した。
【0035】実施例8 式;HOCH2CH(OH)CH2OCH2CF2(OC2F4) p (OCF2) q OCF2CH
2OCH2CH(OH)CH2OHで表されるフツ化ジアルコ―ル(アウ
ジモント社製の「FOMBLIN Z TETRAO
L」、分子量2,200)1モルと、n−オクタデシル
無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラスコに仕
込み、窒素気流下、100℃で48時間反応させた。反
応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系溶剤に
溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ化ジア
ルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン溶液と
して同様の処理により、未反応のn−オクタデシル無水
コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸からなる潤滑
剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトルにより、
実施例1と同様に、一般式(1)で表されるフツ化ジカ
ルボン酸(R1 ,Rf,R2 はいずれも上記のフツ化ジ
アルコ―ルに由来する基、A1 ,A2 におけるRはn−
オクタデシル基、kは0である)であることを確認し
た。
【0036】実施例9 実施例8と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、n−ドデ
シル無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラスコ
に仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反応させ
た。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系
溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ
化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン
溶液として同様の処理により、未反応のn−ドデシル無
水コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸からなる潤
滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトルによ
り、実施例8と同様のフツ化ジカルボン酸(ただし、R
=n−ドデシル基である)であることを確認した。
【0037】実施例10 実施例8と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、n−オク
チル無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラスコ
に仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反応させ
た。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系
溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ
化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン
溶液として同様の処理により、未反応のn−オクチル無
水コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸からなる潤
滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトルによ
り、実施例8と同様のフツ化ジカルボン酸(ただし、R
=n−オクチル基である)であることを確認した。
【0038】実施例11 実施例8と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、無水コハ
ク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラスコに仕込み、窒
素気流下、100℃で48時間反応させた。反応終了
後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系溶剤に溶解
し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ化ジアルコ
―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン溶液として
同様の処理により、未反応の無水コハク酸を除去して、
フツ化ジカルボン酸からなる潤滑剤を得た。この潤滑剤
は、赤外分光スペクトルにより、実施例8と同様のフツ
化ジカルボン酸(ただし、R=水素原子である)である
ことを確認した。
【0039】実施例12 実施例8と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、イソオク
タデシル無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラ
スコに仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反応さ
せた。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素
系溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フ
ツ化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼ
ン溶液として同様の処理により、未反応のイソオクタデ
シル無水コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸から
なる潤滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトル
により、実施例8と同様のフツ化ジカルボン酸(ただ
し、R=イソオクタデシル基である)であることを確認
した。
【0040】実施例13 実施例8と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、オクタデ
セニル無水コハク酸2モルとを、撹拌翼を備えたフラス
コに仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反応させ
た。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフツ素系
溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上記フツ
化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベンゼン
溶液として同様の処理により、未反応のオクタデセニル
無水コハク酸を除去して、フツ化ジカルボン酸からなる
潤滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光スペクトルによ
り、実施例8と同様のフツ化ジカルボン酸(ただし、R
=オクタデセニル基である)であることを確認した。
【0041】実施例14 実施例8と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、n−オク
タデシル無水チオリンゴ酸2モルとを、撹拌翼を備えた
フラスコに仕込み、窒素気流下、100℃で48時間反
応させた。反応終了後、反応混合物を実施例1と同じフ
ツ素系溶剤に溶解し、−10℃に冷却して、未反応の上
記フツ化ジアルコ―ルを除去した。さらに、反応物をベ
ンゼン溶液として同様の処理により、未反応のn−オク
タデシル無水チオリンゴ酸を除去して、フツ化ジカルボ
ン酸からなる潤滑剤を得た。この潤滑剤は、赤外分光ス
ペクトルにより、実施例8と同様のフツ化ジカルボン酸
(ただし、R=n−オクタデシル基、k=1である)で
あることを確認した。
【0042】比較例1 式;HOCH2CF2(OC2F4) p (OCF2) q OCF2CH2OHで表される
フツ化ジアルコ―ル(アウジモント社製の「FOMBL
IN Z DOL」、分子量2,000)を使用し、こ
れをそのまま潤滑剤とした。
【0043】比較例2 比較例1と同じフツ化ジアルコ―ル1モルと、n−オク
タデシル無水コハク酸2モルとを、実施例1と同様に反
応させて、フツ化ジカルボン酸からなる潤滑剤を得た。
これは、一般式(1)におけるR1 ,R2 がメチレン基
(炭素数1の炭化水素基)となつている以外は、実施例
1と同様の構造を有するものである。
【0044】比較例3 式;F(CF2 8 CH2 CH2 OHで表されるフツ化
モノアルコ―ル1モルと、n−オクタデシル無水コハク
酸1モルとを、反応させて、下記の式; F(CF2)8CH2CH2OCOCH2CH(COOH)(CH2)18H で表されるフツ化モノカルボン酸からなる潤滑剤を得
た。
【0045】比較例4 式;F(CF2 6 CH2 CH2 OHで表されるフツ化
モノアルコ―ル2モルと、デカンジカルボン酸1モルと
を反応させて、下記の式; F(CF2)6CH2CH2OCO(CH2)10COOCH2CH2(CF2)6F で表されるフツ化ジエステルからなる潤滑剤を得た。
【0046】以上の実施例1〜14および比較例1〜4
の各潤滑剤について、非フツ素系溶剤に対する溶解性
と、高温環境下での揮発性とを、下記の方法により、調
べた。これらの結果は、表1に示されるとおりであつ
た。
【0047】<溶解性>非フツ素系溶剤として、汎用溶
剤であるメチルイソブチルケトンを使用し、各潤滑剤を
上記溶剤に少量ずつ加えてよく撹拌した。0.05重量
%以上溶解するものを○、それ以下のものを×、として
評価した。
【0048】<揮発性>各潤滑剤より後記の実施例15
〜28および比較例5〜8の方法により、ビデオテ―プ
を作製し、このビデオテ―プを60℃,20%RHおよ
び60℃,80%RHの環境下で100時間保存したの
ち、各テ―プの潤滑剤減少率より、揮発性の評価を行つ
た。なお、潤滑剤減少率は、X線光電子分光法により保
存前後のF1sのピ―ク強度を求めて、測定したもので
ある。
【0049】
【0050】上記表1より明らかなように、実施例1〜
14および比較例2の各潤滑剤は、非フツ素系溶剤に対
する溶解性にすぐれており、上記溶剤で塗布などの作業
を行えるため、環境にやさしい潤滑剤であり、しかも高
温環境下での揮発性が低く、潤滑性を持続させるために
少なくとも必要な性能を備えている。これに対して、比
較例1の潤滑剤は、非フツ素系溶剤に対する溶解性に劣
り、環境悪化の原因となるフツ素系溶剤を用いて塗布な
どの作業を行う必要があり、また、比較例3,4の潤滑
剤は、高温環境下での揮発性が高く、潤滑性を持続させ
るために少なくとも必要な低揮発性を備えていないこと
が明らかである。
【0051】実施例15〜28 非磁性支持体として、厚さが6μmのポリエチレンテレ
フタレ―トフイルムを使用し、このフイルム上に、Co
を酸素雰囲気下で斜め蒸着して、厚さが0.15μmの
Co−Oからなる強磁性金属薄膜を形成した。しかるの
ち、13.56MHzのRFを用い、モノマ―ガスとし
てエチレン、キヤリアガスとして水素を用いて、プラズ
マ重合法により、上記の強磁性金属薄膜上に厚さが10
nmのDLC(ダイアモンド状カ―ボン)保護膜を形成
した。この保護膜の形成後、幅が8mmとなるように切断
して、テ―プを作製した。
【0052】つぎに、実施例1〜14の各潤滑剤を、そ
れぞれ、n−ヘキサン:メチルエチルケトン:イソプロ
ピルアルコ―ル=5:3:2(重量比)の混合溶剤に、
0.2重量%濃度となるように溶解させて、潤滑剤溶液
を調製した。この潤滑剤溶液中に、上記のテ―プを浸積
塗布したのち、乾燥して、DLC保護膜上に各潤滑剤被
膜を有する14種のビデオテ―プを作製した。
【0053】比較例5〜8 潤滑剤として、比較例1〜4の各潤滑剤を使用した以外
は、実施例15〜28と同様にして、4種のビデオテ―
プを作製した。なお、比較例1の潤滑剤では、潤滑剤溶
液の調製に際し、パ―フロロオクタンを使用した。
【0054】以上の実施例15〜28および比較例5〜
8の各ビデオ―テ―プについて、潤滑性の評価として、
スチル耐久性、摩擦係数およびヘツド汚れを、下記の方
法により調べた。これらの結果は、表2に示されるとお
りであつた。
【0055】<スチル耐久性>60℃,80%RHで1
00時間保存したのちの各ビデオテ―プを、20℃,5
%RH下で直径4cmの8mm用シリンダに220度の巻き
付け角でセツトし、テ―プ/磁気ヘツド間相対速度1
1.3m/秒、テ―プ張力12.5gfの条件で波長
1.6μmの正弦波を記録し、スチルモ―ドで再生出力
を測定した。スチル寿命は再生出力が初期値から1/2
低下するまでの時間とした。
【0056】<摩擦係数>60℃,80%RHで100
時間保存したのちの各ビデオテ―プを、20℃,50%
RH下で摺動速度1m/分、摺動距離5cm、テ―プ張力
20gfの条件で対ステンレスピンに往復摺動試験を行
い、20往復目の摩擦係数を求めた。
【0057】<ヘツド汚れ>60℃,80%で100時
間保存したのちの各ビデオテ―プ50mを、20℃,5
%RH下で、8mmVTR〔ソニ―(株)EV−S90
0〕で100回繰り返し走行させたのち、磁気ヘツドの
汚れを顕微鏡で調べた。ヘツド汚れの評価は、以下の3
段階で行ツた。 ○:ヘツド汚れがみられない △:ヘツド汚れが少しみられる ×:ヘツド汚れがたくさんみられる
【0058】
【0059】上記の結果より明らかなように、実施例1
5〜28の各ビデオテ―プは、摩擦係数が低くて、スチ
ル寿命が長く、しかもヘツド汚れが少ないことがわか
る。これに対し、比較例5のビデオテ―プは、上記同様
の潤滑性を示すが、潤滑剤溶液の調製に際してフツ素系
溶剤を用いる必要があるため、環境悪化の原因となり、
好ましくない。また、比較例6のビデオテ―プは、用い
る潤滑剤の非フツ素系溶剤に対する溶解性や揮発性は良
好であるが、加水分解しやすいため、スチル寿命が短
く、ヘツド汚れもみられる。さらに、比較例7,8のビ
デオテ―プは、潤滑剤の揮発性が高いため、スチル寿命
に劣り、ヘツド汚れも大きい。
【0060】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、分子
内にパ―フロロポリエ―テル基と2個のカルボキシル基
および炭化水素基を有する特定構造のフツ化ジカルボン
酸を使用したことにより、高温・低温、高湿・低湿のあ
らゆる環境下において、高速・低速、高負荷・低負荷に
拘わらず接触する2固体間を低摩擦、低磨耗で摺動させ
ることができるとともに、非フツ素系溶剤に可溶である
環境にやさしい潤滑剤を提供できる。また、この潤滑剤
を磁気記録媒体用に使用することにより、耐久性および
走行性にすぐれた磁気記録媒体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得たフツ化ジルボン酸からなる潤滑
剤の赤外分光スペクトルを示す特性図である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 つぎの一般式(1); (式中、Rfはパ―フロロポリエ―テル基、R1 ,R2
    は水酸基を含むことがある炭素数3以上の炭化水素基、
    1 ,A2 は下記の式: で示される有機基であつて、Rは水素原子または炭化水
    素基、m,n,kは0または1である)で表されるフツ
    化ジカルボン酸からなる潤滑剤。
  2. 【請求項2】 一般式(1)において、Rfが−(OC
    2 4 )p−(OCF2 )q−(p,qは整数である)
    を主成分とする炭素数5〜80のパ―フロロポリエ―テ
    ル基である請求項1に記載の潤滑剤。
  3. 【請求項3】 一般式(1)において、R1 ,R2 を構
    成する炭化水素基が水酸基を含むことがあるアルキル
    鎖、(ポリ)エ―テル鎖または(ポリ)エステル鎖であ
    る請求項1に記載の潤滑剤。
  4. 【請求項4】 一般式(1)において、R1 ,R2 を構
    成する炭化水素基の炭素数が4以上である請求項1に記
    載の潤滑剤。
  5. 【請求項5】 一般式(1)において、A1 ,A2 を構
    成するRが炭素数8以上の炭化水素基である請求項1に
    記載の潤滑剤。
  6. 【請求項6】 一般式(1)で表されるフツ化ジカルボ
    ン酸の平均分子量が1,000〜7,000である請求
    項1に記載の潤滑剤。
  7. 【請求項7】 一般式(1)で表されるフツ化ジカルボ
    ン酸が非フツ素系溶剤に可溶である請求項1に記載の潤
    滑剤。
  8. 【請求項8】 非フツ素系溶剤が炭化水素系溶剤、ケト
    ン系溶剤、アルコ―ル系溶剤またはエステル系溶剤であ
    る請求項7に記載の潤滑剤。
  9. 【請求項9】 非磁性支持体の少なくとも片面に磁性層
    を有する磁気記録媒体において、磁性層がその内部また
    は表面に請求項1〜8のいずれかに記載の潤滑剤を有す
    ることを特徴とする磁気記録媒体。
  10. 【請求項10】 磁気記録媒体が強磁性金属薄型の磁性
    層を有し、潤滑剤の塗布量が0.5〜20mg/m2 である
    請求項9に記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 強磁性金属薄膜型の磁性層の上に、炭
    素、窒化炭素、酸化硅素、酸化ジルコニウムまたは酸化
    クロムを主成分とする保護膜を有する請求項10に記載
    の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113150859A (zh) * 2021-04-07 2021-07-23 四川大学 环保型碳氮基水性润滑剂及其制备方法
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