JPH11293013A - プラスチック成形体の表面処理方法及びプラスチック成形体 - Google Patents

プラスチック成形体の表面処理方法及びプラスチック成形体

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JPH11293013A
JPH11293013A JP9580398A JP9580398A JPH11293013A JP H11293013 A JPH11293013 A JP H11293013A JP 9580398 A JP9580398 A JP 9580398A JP 9580398 A JP9580398 A JP 9580398A JP H11293013 A JPH11293013 A JP H11293013A
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JP
Japan
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plastic molded
group
thin film
shell
constituent layer
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JP9580398A
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English (en)
Inventor
Katsukiyo Ishikawa
勝清 石川
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Nippon Paint Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック成形体に美粧性、防汚性、及び
傷つき防止性を付与することができ、かつリサイクル使
用に適したプラスチック成形体を得ることができるプラ
スチック成形体の表面処理方法及びプラスチック成形体
を提供する。 【解決手段】 コア構成層2の上にシェル構成層3を成
形してなるプラスチック成形体1の表面処理方法であ
り、シラノール形成成分を含有した成形用材料を用いて
シェル構成層3を成形した後、表面改質成分とアルコキ
シシラン系化合物との反応物もしくは混合物、または表
面改質成分とコロイダルシリカとの反応物もしくは混合
物を含む薄膜形成材料を、シェル構成層3の表面に塗布
し、表面保護薄膜4を該シェル構成層3の上に形成する
ことを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電製品、自動車
部品、雑貨類等におけるプラスチック成形体に対し広く
利用することができるプラスチック成形体の表面処理方
法及びプラスチック成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】家電製
品、自動車部品、雑貨類等におけるプラスチック製品に
おいては、美粧性が要求されると共に、防汚性及び傷つ
き防止性が要求される場合がある。このような場合、従
来は、成形加工後、プラスチック成形体の表面にプラス
チック用塗料を塗装することが広く一般に採用されてい
る。
【0003】しかしながら、この方法では、成形工程に
比べて塗料の塗布工程に長時間を要し、また塗装工程に
おけるゴミやブツにより製品不良率が高くなり経済性に
劣るという欠点がある。また、近年、環境保全ニーズの
高まりのなかで、プラスチック製品のリサイクル(再利
用)が求められている。上記のプラスチック塗料の塗装
による方法では、リサイクルの際プラスチック材料中に
塗膜成分が混入するため物性低下を生じるという問題が
あり、これを避けるため新たなプラスチック材料を添加
すると再利用率が低下してしまうという問題がある。
【0004】プラスチック製品の美粧性を向上させる手
段としては、プラスチック成形体の材料全体に直接着色
材等を添加する方法も従来から広く採用されている。し
かしながら、この方法では、プラスチック成形体の全体
に着色材等を添加するため、多量の着色材等が必要とな
り経済性の面から好ましくない。また、このような方法
では、プラスチック成形体の表面の防汚性や傷つき防止
性を付与することができない。
【0005】本発明の目的は、プラスチック成形体に美
粧性、防汚性、及び傷つき防止性を付与することがで
き、かつリサイクル使用に適したプラスチック成形体を
得ることができるプラスチック成形体の表面処理方法及
びプラスチック成形体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、プラスチック
成形体の表面処理方法であって、シラノール形成成分を
含有した成形用材料を用いてプラスチック成形体を成形
した後、表面改質成分とアルコキシシラン系化合物との
反応物もしくは混合物、または表面改質成分とコロイダ
ルシリカとの反応物もしくは混合物を含む薄膜形成材料
を、プラスチック成形体の表面に塗布し、表面保護薄膜
を該プラスチック成形体の表面に形成することを特徴と
している。
【0007】本発明に従う限定された局面は、コア構成
層の上にシェル構成層を成形してなるプラスチック成形
体の表面処理方法であって、シラノール形成成分を含有
した成形用材料を用いてシェル構成層を形成した後、表
面改質成分とアルコキシシラン系化合物との反応物もし
くは混合物、または表面改質成分とコロイダルシリカと
の反応物もしくは混合物を含む薄膜形成材料を、シェル
構成層の表面に塗布し、表面保護薄膜を該シェル構成層
の表面に形成することを特徴としている。
【0008】本発明において、成形用材料中に含有され
るシラノール形成材料としては、シラノール基を有する
かまたは加水分解反応によりシラノール基を生成する化
合物を含む材料が挙げられる。このようなシラノール形
成材料としては、オルガノアルコキシシラン化合物及び
それらの部分加水分解縮合物、4官能アルコキシシラン
化合物及びそれらの部分加水分解縮合物並びにシロキサ
ンポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の化
合物を含む材料が挙げられる。
【0009】本発明において、薄膜形成材料中に含まれ
るアルコキシシラン系化合物としては、オルガノアルコ
キシシラン化合物及びそれらの部分加水分解縮合物、4
官能アルコキシシラン化合物及びそれらの部分加水分解
縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
を含む材料が挙げられる。
【0010】本発明において、アルコキシシラン系化合
物と組み合わせて用いられる表面改質成分としては、撥
水・撥油性を付与する表面改質成分が挙げられる。この
ような撥水・撥油性を付与する表面改質成分としては、
フッ素系化合物または、フッ素もしくはシリコンを含有
する水溶性アクリル樹脂が挙げられる。
【0011】本発明において、コロイダルシリカと組み
合わせて用いられる表面改質成分としては、親水性を付
与する表面改質成分が挙げられる。このような親水性を
付与する表面改質成分が酸化チタンが挙げられる。
【0012】本発明において、プラスチック成形体また
はシェル構成層を形成する成形方法としては、射出成形
法またはトランスファー成形法等が挙げられる。上記本
発明の限定された局面において、コア構成層は、例えば
熱可塑性プラスチック材料から形成することができる。
またシェル構成層は、例えば、熱可塑性プラスチック材
料または熱溶融型光硬化性組成物から形成することがで
きる。また、好ましい実施形態においては、プラスチッ
ク成形体に美粧性を付与するため、着色材がシェル構成
層に含有される。
【0013】本発明において、表面保護薄膜の厚みは特
に限定されるものではないが、0.5〜5μm程度が一
般的である。本発明のプラスチック成形体は、コア構成
層の上にシェル構成層が設けられ、該シェル構成層の上
に表面保護薄膜が形成されたプラスチック成形体であっ
て、シラノール形成材料を含有するシェル構成層の表面
に、表面改質成分とアルコキシシラン系化合物との反応
物もしくは混合物、または表面改質成分とコロイダルシ
リカとの反応物もしくは混合物を含む薄膜形成材料を塗
布することにより、表面保護薄膜が形成されていること
を特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。 (成形用材料)プラスチック材料 本発明におけるプラスチック成形体及びシェル構成層を
形成するためのプラスチック材料は、射出成形やトラン
スファー成形等の一般的な成形が可能な材料であれば特
に限定されるものではないが、熱可塑性プラスチック材
料または熱溶融型光反応組成物等が好ましい。熱可塑性
プラスチック材料としては、例えば、ポリオレフィン
類、ポリスチレン及びそのコポリマー類、ナイロン類、
ポリカーボネート類などが挙げられ、複数の熱可塑性プ
ラスチックを混合したポリマーアロイ類も使用すること
ができる。また、熱溶融型光反応組成物としては、例え
ば、スチレン、アクリルエステル類、メタクリルエステ
ル類の単独または共重合生成物に、アクリルエステル
類、メタクリルエステル類、アクリルエステルとイソシ
アネート反応生成物等のラジカル官能基を有する重合性
モノマーまたはオリゴマーと、光重合開始剤を添加した
組成物が挙げられる。熱溶融型光反応組成物は、常温に
おいて固体形状で、かつ射出成形やトランスファー成形
等が可能な材料であり、光を照射することにより硬化す
る組成物であればよい。
【0015】本発明において、コア構成層を形成する材
料は、特に限定されるものではないが、一般的には熱可
塑性プラスチック材料が好ましく、シェル構成層と同様
に射出成形やトランスファー成形可能な材料であること
が好ましい。また、シェル構成層との接着性の観点から
は、成形時に相互に溶融接合可能な熱可塑性プラスチッ
ク材料であることが好ましい。このような観点から、シ
ェル構成層と同じ種類もしくは同系統の熱可塑性プラス
チック材料であることが好ましい。
【0016】シラノール形成成分 本発明におけるプラスチック成形体及びシェル構成層の
成形用材料に含有されるシラノール形成成分は、シラノ
ール基(−SiOH)を有するかまたは加水分解反応に
よりシラノール基を生成する化合物を含む材料が好まし
い。このようなシラノール形成成分を成形用材料に含有
させることにより、成形後の成形体表面にシラノール形
成成分を移行させ、成形体の表面にシラノール基または
加水分解反応によりシラノール基を生成する官能基(−
SiORなど)を存在させることができる。
【0017】本発明におけるシラノール形成成分として
は、例えば、オルガノアルコキシシラン化合物(A−
1)、該オルガノアルコキシシラン化合物(A−1)の
部分加水分解縮合物(A−2)、4官能アルコキシシラ
ン化合物(A−3)、該4官能アルコキシシラン化合物
(A−3)の部分加水分解縮合物(A−4)、及び、シ
ロキサンポリマー(A−5)が挙げられる。
【0018】上記オルガノアルコキシシラン化合物(A
−1)は、下記の一般式(1); R1 a −Si(OR2 4-a ・・・(1) (式中、R1 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数
1〜11のエポキシアルキル基、アリール基、炭素数1
〜11のアルケニル基、炭素数1〜11のアラルキル
基、炭素数1〜4のアシル基、炭素数1〜5のアミノア
ルキル基、炭素数1〜5のメルカプトアルキル基、また
は、炭素数1〜5のハロアルキル基を表す。R2 は、炭
素数1〜10のアルキル基、または、炭素数1〜4のア
シル基を表す。aは、1、2または3を表す。)で表さ
れるものである。
【0019】上記R1 は、炭素数1〜10のアルキル
基、炭素数1〜11のエポキシアルキル基、アリール
基、炭素数1〜11のアルケニル基、炭素数1〜11の
アラルキル基、炭素数1〜4のアシル基、炭素数1〜5
のアミノアルキル基、炭素数1〜5のメルカプトアルキ
ル基、または炭素数1〜5のハロアルキル基を表す。
【0020】上記炭素数1〜10のアルキル基としては
特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、n−ブチル基等の鎖状のもの;シクロペンチル
基、シクロヘキシル基等の環状のもの等を挙げることが
できる。なかでも、加水分解反応性及び縮合反応性が良
好であるので、メチル基、エチル基、n−ブチル基が好
ましい。
【0021】上記炭素数1〜11のエポキシアルキル基
としては特に限定されず、例えば、7−グリシドキシプ
ロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基等を挙げ
ることができる。上記アリール基としては特に限定され
ず、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基等を挙
げることができる。上記炭素数1〜11のアルケニル基
としては特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル
基、γ−アクリロイルオキシプロピル基、γ−メタクリ
ロイルオキシプロピル基等を挙げることができる。上記
炭素数1〜11のアラルキル基としては特に限定され
ず、例えば、ベンジル基等を挙げることができる。
【0022】上記炭素数1〜4のアシル基としては特に
限定されず、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル
基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基等を挙げ
ることができる。上記炭素数1〜5のアミノアルキル基
としては特に限定されず、例えば、γ−アミノプロピル
基等を挙げることができる。上記炭素数1〜5のメルカ
プトアルキル基としては特に限定されず、例えば、γ−
メルカプトプロピル基等を挙げることができる。上記炭
素数1〜5のハロアルキル基としては特に限定されず、
例えば、γ−クロロプロピル基等を挙げることができ
る。
【0023】上記R1 としては、反応性等を考慮して、
適宜選択することができる。通常は、上記R1 として
は、メチル基及びエチル基が一般的であり、反応性の点
から、メチル基が多用されている。
【0024】上記R2 は、炭素数1〜10のアルキル
基、または、炭素数1〜4のアシル基を表す。上記炭素
数1〜10のアルキル基としては特に限定されず、例え
ば、上記R1 で例示したもの等を挙げることができる。
なかでも、メチル基、エチル基、n−ブチル基が好まし
い。上記炭素数1〜4のアシル基としては特に限定され
ず、例えば、上記R1 で例示したもの等を挙げることが
できる。
【0025】上記R2 としては、通常、加水分解反応
性、縮合反応性を考慮して、メチル基及びエチル基が一
般的であり、メチル基が多用される。上記aは、1、2
または3を表す。なかでも、1が好ましい。上記aが1
の場合には、上記オルガノアルコキシシラン化合物(A
−1)は、3官能のオルガノアルコキシシランであり、
加水分解反応性、縮合反応性が良好である。一方、上記
aが2または3の場合、上記オルガノアルコキシシラン
化合物(A−1)は、単官能または2官能のオルガノア
ルコキシシランとなり、反応に関与するアルコキシシリ
ル基が少ないので、加水分解反応性、縮合反応性が低下
する。
【0026】上記aが1の場合、上記オルガノアルコキ
シシラン化合物(A−1)の具体例としては、例えば、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシ
シラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキ
シシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリ
エトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニ
ルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシト
リメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメト
キシシラン、ビニルトリス(βメトキシ・エトキシ)シ
ラン、ビニルトリスエトキシシラン、ビニルトリスメト
キシシラン等を挙げることができる。なかでも、ビニル
トリス(βメトキシ・エトキシ)シラン、ビニルトリス
エトキシシランが好ましい。これらは、単独で使用して
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】上記オルガノアルコキシシラン化合物(A
−1)のモノマーを、あらかじめ部分的に加水分解縮合
反応を進行させたものも使用することができる。この部
分的に加水分解縮合反応を進行させたものが、上記部分
加水分解縮合物(A−2)である。
【0028】上記部分加水分解縮合物(A−2)として
は、上記オルガノアルコキシシラン化合物(A−1)を
部分的に加水分解縮合反応を進行させたものであれば、
特に限定されない。上記加水分解縮合反応は、上記オル
ガノアルコキシシラン化合物(A−1)の少なくとも1
種に、所定量の水と触媒とを加えて反応させる方法等の
公知の方法で行うことができる。
【0029】上記4官能アルコキシシラン化合物(A−
3)は、下記一般式(2): Si(OR3 4 ・・・(2) (式中、R3 は、炭素数1〜10のアルキル基、または
炭素数1〜4のアシル基を表す。)で表されるものであ
る。
【0030】上記R3 は、炭素数1〜10のアルキル
基、または、炭素数1〜4のアシル基を表す。上記炭素
数1〜10のアルキル基としては特に限定されず、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基等
を挙げることができる。上記炭素数1〜4のアシル基と
しては特に限定されず、例えば、R1 で例示したもの等
を挙げることができる。
【0031】上記4官能アルコキシシラン化合物(A−
3)としては特に限定されず、例えば、テトラエトキシ
シラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラ
ン等を挙げることができる。なかでも、テトラエトキシ
シランが好ましい。
【0032】上記4官能アルコキシシラン化合物(A−
3)は、モノマーであり、上記オルガノアルコキシシラ
ン化合物(A−1)と同様に、上記4官能アルコキシシ
ラン化合物(A−3)を、あらかじめ部分的に加水分解
縮合反応を進行させたものも使用することができる。こ
の部分的に加水分解縮合反応を進行させたものが、上記
部分加水分解縮合物(A−4)である。
【0033】上記部分加水分解縮合物(A−4)は、上
記4官能アルコキシシラン化合物(A−3)から公知の
方法で得ることができる。例えば、上記4官能アルコキ
シシラン化合物(A−3)の少なくとも1種に、必要量
の水と触媒とを加え、また、必要に応じて、溶媒を加
え、加水分解縮合反応によって生じるアルコールを除去
することにより得る。また、上記4官能アルコキシシラ
ン化合物(A−3)の縮合体であるオリゴマーを得た
後、該オリゴマーを反応させることによっても得ること
ができる。
【0034】上記テトラエトキシシランの部分加水分解
縮合物としては、SiO2 の含有量が40%であるもの
が好適に使用される。上記SiO2 の含有量が40%で
あるものは、市販されており、例えば、ES−40(コ
ルコート社製)、シリケート40(多摩化学社製)、T
ES40(ヘキスト社製)、シルボンド40(ストフフ
ァー社製)、エチルシリケート40(ユニオンカーバイ
ド社製)等を挙げることができる。これらの市販品は、
オリゴマーであり、モノマー、2量体、3量体、それ以
上の多量体化合物が混在している。
【0035】上記部分加水分解縮合物(A−4)は、シ
ラノール基であるSiOH基及びシラノール基を生成す
ることができるSiOR基を多量に含むことができる。
上記シロキサンポリマー(A−5)は、下記一般式
(3); R4 b −Si〔(OR5 3-b 〕−O− ・・・(3) (式中、R4 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数
1〜11のエポキシアルキル基、アリール基、炭素数1
〜11のアルケニル基、炭素数1〜11のアラルキル
基、炭素数1〜4のアシル基、炭素数1〜5のアミノア
ルキル基、炭素数1〜5のメルカプトアルキル基、また
は、炭素数1〜5のハロアルキル基を表す。R5 は、炭
素数1〜10のアルキル基、または、炭素数1〜4のア
シル基を表す。bは、0、1、2または3を表す。)で
表される置換基、及び、下記一般式(4); R6 −O− ・・・(4) (式中、R6 は、炭素数1〜10のアルキル基、また
は、炭素数1〜4のアシル基を表す。)で表される置換
基のうち少なくとも1種が主鎖のSi原子に結合してい
るものである。
【0036】上記主鎖のSi原子に結合している置換基
は、上記一般式(3)で表される置換基及び上記一般式
(4)で表される置換基のうち少なくとも1種である。
上記R4 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
11のエポキシアルキル基、アリール基、炭素数1〜1
1のアルケニル基、炭素数1〜11のアラルキル基、炭
素数1〜4のアシル基、炭素数1〜5のアミノアルキル
基、炭素数1〜5のメルカプトアルキル基、または、炭
素数1〜5のハロアルキル基を表す。
【0037】上記炭素数1〜10のアルキル基としては
特に限定されず、例えば、上記R1で例示したもの等を
挙げることができる。なかでも、メチル基、エチル基、
n−ブチル基が好ましい。上記炭素数1〜11のエポキ
シアルキル基としては特に限定されず、例えば、上記R
1 で例示したもの等を挙げることができる。上記アリー
ル基としては特に限定されず、例えば、上記R1 で例示
したもの等を挙げることができる。上記炭素数1〜11
のアルケニル基としては特に限定されず、例えば、上記
1 で例示したもの等を挙げることができる。
【0038】上記炭素数1〜11のアラルキル基として
は特に限定されず、例えば、上記R 1 で例示したもの等
を挙げることができる。上記炭素数1〜4のアシル基と
しては特に限定されず、例えば、上記R1 で例示したも
の等を挙げることができる。上記炭素数1〜5のアミノ
アルキル基としては特に限定されず、例えば、上記R 1
で例示したもの等を挙げることができる。上記炭素数1
〜5のメルカプトアルキル基としては特に限定されず、
例えば、上記R1 で例示したもの等を挙げることができ
る。上記炭素数1〜5のハロアルキル基としては特に限
定されず、例えば、上記R1 で例示したもの等を挙げる
ことができる。
【0039】上記R5 は、炭素数1〜10のアルキル
基、または、炭素数1〜4のアシル基を表す。上記炭素
数1〜10のアルキル基としては特に限定されず、例え
ば、上記R1 で例示したもの等を挙げることができる。
上記炭素数1〜4のアシル基としては特に限定されず、
例えば、上記R1 で例示したもの等を挙げることができ
る。
【0040】上記一般式(4)で表される置換基は、主
鎖のSi原子に結合するとアルコキシシリル基となるも
のである。上記R6 は、炭素数1〜10のアルキル基、
または、炭素数1〜4のアシル基を表す。上記炭素数1
〜10のアルキル基としては特に限定されず、例えば、
上記R1 で例示したもの等を挙げることができる。なか
でも、メチル基、エチル基、n−ブチル基が好ましい。
上記炭素数1〜4のアシル基としては特に限定されず、
例えば、上記R1 で例示したもの等を挙げることができ
る。
【0041】上記一般式(3)で表される置換基及び上
記一般式(4)で表される置換基のうち少なくとも1種
が主鎖のSi原子に結合しているシロキサンポリマー
(A−5)は、例えば、オルガノアルコキシシランモノ
マーの加水分解縮合反応等の方法により得ることができ
る。
【0042】上記オルガノアルコキシシランモノマーと
しては特に限定されず、例えば、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキ
シシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメト
キシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリ
メトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリルオキシトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシ
シクロヘキシルエチルトリメトキシシラン等を挙げるこ
とができる。
【0043】上述のようにして得られるシロキサンポリ
マーは、分子量が約3000〜50000であることが
望ましい。上記分子量は、ゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーによりポリスチレン換算法で算出した値で
ある。より好ましくは、4000〜30000である。
シロキサンポリマーとしては、一般にオルガノポリシロ
キサンとして市販されているものを使用できる。例え
ば、KR31−B2681(東芝シリコン社製、NR−
02C(東レ・ダウ社製)等を挙げることができる。
【0044】(薄膜形成材料)アルコキシシラン系化合物 本発明において用いられるアルコキシシラン系化合物
は、上記プラスチック成形体またはシェル構成層の表面
のシラノール基または加水分解反応によりシラノール基
を生成する官能基と反応し得る化合物であることが好ま
しい。このような化合物として、具体的には、上記シラ
ノール形成成分におけるのと同様の、オルガノアルコキ
シシラン化合物(A−1)及びそれらの部分加水分解縮
合物(A−2)、4官能アルコキシシラン化合物(A−
3)及びそれらの部分加水分解縮合物(A−4)が挙げ
られる。
【0045】コロイダルシリカ 本発明において用いられるコロイダルシリカは、一般に
SiO2 ・xH2 Oで示される化合物であり、無水珪酸
の微粒子である。コロイダルシリカは、オルガノシリカ
ゾルまたは水分散型のシリカゾルであり、粒径10〜1
00nmであるものが好ましい。上記オルガノシリカゾ
ルとは、非晶質の孤立したコロイド粒子が水または有機
溶媒中に分散しているコロイド溶液である。上記コロイ
ド溶液は、一般に50重量%以下のシリカを含み、粒径
も300nmのものまであるが、本発明では10〜10
0nmのものが好ましい。
【0046】上記オルガノシリカゾルとしては、市販さ
れているものもあり、例えば、水媒体のもの(スノーテ
ック、日産化学工業社製)、メタノール媒体のもの(メ
タノールシリカゾル、日産化学工業社製)、キシレン/
ブタノール媒体のもの(XBA−ST、日産化学工業社
製)、メチルイソブチルケトン(MIBK)媒体のもの
(MIBK−ST、日産化学工業社製)等を挙げること
ができる。
【0047】表面改質成分 本発明において用いられる表面改質成分は、上記アルコ
キシシラン系化合物と組み合わせて、あるいは上記コロ
イダルシリカと組み合わせて用いられるものである。
【0048】表面改質成分としては、プラスチック成形
体またはシェル構成層の表面に撥水・撥油性、親水性等
の表面性質を付与する表面改質成分が挙げられる。具体
的には、撥水・撥油性を付与する表面改質成分として、
フッ素系化合物、水溶性アクリル樹脂などが挙げられ
る。フッ素系化合物としては、フッ素で置換された炭化
水素基を有する化合物及び高分子が挙げられる。具体的
には、フッ素置換炭化水素のアルコール化合物、エーテ
ル化合物、エステル化合物などが挙げられる。これらの
化合物は、上記アルコキシシラン系化合物と組み合わせ
て用いられ、具体的には、反応物または混合物の形態で
用いられる。反応物としては、アルコキシシラン系化合
物のアルコキシ基とのアルコール交換反応などで反応さ
せた反応物が挙げられる。
【0049】水溶性アクリル樹脂としては、水酸基及び
/またはカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸や
(メタ)アクリルエステルなどのモノマーを共重合させ
た共重合体が挙げられる。このような共重合体の他の共
重合成分として、所望の表面性質を与えることができる
モノマー(例えばフッ素含有もしくはシリコン含有モノ
マー)を共重合させることができる。これらの水溶性ア
クリル樹脂は、上記のアルコキシシラン形成化合物と組
み合わせて用いられ、具体的には反応物または混合物の
形態で用いられる。
【0050】表面改質成分とアルコキシシラン系化合物
との組合せにおける表面改質成分の割合は、合計量の8
0〜90重量%程度が一般的である。親水性を付与する
表面改質成分としては、例えば、酸化チタンが挙げられ
る。酸化チタンとしては、いわゆる半導体の性質を示す
アナターゼ型の酸化チタンが好ましい。このような酸化
チタンを用いることにより、表面において有機物を分解
し、親水性の表面を形成することができる。この場合、
表面保護薄膜形成後、酸化チタンを活性化して表面を親
水性にするため、紫外線等を照射することが好ましい。
このような酸化チタンは、上記のアルコキシシラン系化
合物と組み合わせて用いてもよいが、上記コロイダルシ
リカと組み合わせて用いることにより、無機質の表面を
形成することができ、表面硬度を高め、傷つき防止性に
優れた表面保護薄膜を形成することができる。
【0051】表面改質成分とコロイダルシリカとの組合
せにおける表面改質成分の配合割合は、合計量の40〜
60重量%程度が一般的である。本発明において、薄膜
形成材料は、有機溶剤や水等に希釈して用いることがで
き、スプレー塗装など一般的な塗布方法により塗布する
ことができる。また塗布後は、80〜90℃程度の温度
に加熱して乾燥することが好ましい。
【0052】(プラスチック成形体)本発明のプラスチ
ック成形体は、本発明のプラスチック成形体の表面処理
方法により製造することができるプラスチック成形体で
ある。
【0053】図1は、本発明に従うプラスチック成形体
の一実施例を示す断面図である。図1に示すように、プ
ラスチック成形体1は、コア構成層2の上にシェル構成
層3を設け、シェル構成層3の上に表面保護薄膜4を形
成することにより構成されている。シェル構成層3の厚
みは、特に限定されるものではないが、プラスチック成
形体1の全体の厚みの10〜20%程度が一般的であ
る。また、表面保護薄膜4は、上述のように、0.5〜
5μm程度が一般的である。シェル構成層3には、プラ
スチック成形体1に美粧性を付与するための着色材等を
含有させることができる。具体的には、顔料、染料、メ
タル粉、マイカ粉、その他の無機系充填剤等を含有させ
ることができる。
【0054】(成形方法)本発明において、プラスチッ
ク成形体を成形する方法は特に限定されるものではない
が、上述のように、射出成形法やトランスファー成形法
が一般的に採用される。
【0055】図2及び図3は、射出成形法によりコア構
成層及びシェル構成層からなるプラスチック成形体を成
形する工程を示す模式図である。図2に示すように、金
型10は、上金型11及び下金型12から構成されてい
る。まず、図2に示すように、下金型12中に、シェル
構成層とほぼ同程度の厚みを有するスペーサー14を配
置し、金型10内に射出成形機のノズル13から溶融し
た熱可塑性樹脂を注入し、金型10内においてコア構成
層2を成形する。
【0056】次に、金型10を開け、スペーサー14を
取り出して、図3に示すように成形したコア構成層2を
下金型12に嵌め込み、コア構成層2の上にシェル構成
層を形成するための空間を設ける。次に、射出成形機の
ノズル13から溶融した熱可塑性樹脂を注入し、コア構
成層2の上にシェル構成層3を成形する。
【0057】以上のようにして、コア構成層2の上にシ
ェル構成層3が成形されたプラスチック成形体を得るこ
とができる。本発明の表面処理方法に従えば、以上のよ
うにして得られたプラスチック成形体のシェル構成層3
の表面に、薄膜形成材料を塗布し、表面保護薄膜を形成
する。
【0058】本発明におけるコア構成層及びシェル構成
層からなるプラスチック成形体の成形方法は、以上説明
したような金型内にスペーサーを設けて2段階で成形す
る方法に限定されるものではなく、その他の成形方法に
よって成形してもよい。例えば、サンドイッチ成形法
や、デュアルインジェクション成形法などにより成形し
てもよい。
【0059】また、図2及び図3に示す成形方法におい
て、シェル構成層を先に成形し、後にコア構成層を成形
してもよい。
【0060】
【実施例】以下、本発明に従う具体的な実施例について
説明する。しかしながら、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0061】各実施例及び比較例においては、以下に示
すようなコア構成層の形成材料(「コア形成材料」)、
シェル構成層の形成材料(「シェル形成材料」)、及び
薄膜形成材料を用いている。
【0062】 (実施例1) コア形成材料 :ABS樹脂 100重量部 〔住友ダウ社製、GA701〕 シェル形成材料 :ABS樹脂 95重量部 〔住友ダウ社製、GA701〕 フタロシアニンブルー 1重量部 〔東洋インキ社製〕 アルミパウダー 2重量部 〔東洋アルミ社製、アルペーストP−1950〕 γ−(メタクリロキシプロピル) トリメトキシシラン 2重量部 〔信越化学社製〕 薄膜形成材料 :ポリフロロエチルエーテルと ビニルトリメトキシシラン反応物 1重量部 〔ダイキン工業社製、新規フッ素系表面処理剤 DSX〕 フッ素系溶剤(FC−75) 99重量部 〔スリーM社製〕 射出成形金型 :シェル構成層厚み 1mm コア構成層厚み 5mm
【0063】射出成形機にコア構成層厚み5mm、シェ
ル構成層厚み1mmに設定した成形金型を装着し、ノズ
ルヘッド温度240℃、バレル温度230℃に保持し
て、射出圧力100kg/cm2 、背圧30kg/cm
2 でコア形成材料を射出成形し、コア構成層を成形し
た。
【0064】次いで、射出成形材の設定をノズルヘッド
温度240℃、バレル温度240℃にし、射出圧力95
kg/cm2 、背圧30kg/cm2 でシェル形成材料
を射出成形し、シェル構成層をコア構成層の上に成形し
てシェル・コア一体物を得た。
【0065】次に、シェル・コア一体物のシェル構成層
表面に上記薄膜形成材料をエアースプレー法によって、
約10μmの厚みに塗布した後、90℃〜100℃に保
持した熱風オーブン中で30分間乾燥させて、目的とす
る成形加工物を得た。
【0066】表面保護薄膜の膜厚は0.9μmであっ
た。本実施例における成形加工物の表面性状とリサイク
ル使用時の物性維持率を表1に示す。なお、各評価項目
は、以下のようにして評価した。
【0067】水の接触角 自動接触角計(協和界面科学社製、CA−Z)を用い
て、成形体の表面に水滴を滴下してから30秒後の値を
5回繰り返して測定し、上下の数値を削除した平均値を
求めた。
【0068】ヘキサデカンの転落角 成形体表面の上にヘキサデカンの液滴を滴下し、その後
成形体表面を傾斜させ、ヘキサデカンの液滴が転落する
角度を求めて転落角として表した。なお、実施例3及び
比較例においては成形体表面の上に拡がり液滴が形成さ
れなかった。
【0069】粘着テープの剥離強度 JIS Z 1522に準拠して測定した。指紋付着性 1.5%ワセリンエタノール溶液を人差し指に付着さ
せ、塗面に軽く接触させて、以下の基準で評価した。 ◎:かすかに痕跡があり ○:部分的に付着 ×:全面付着
【0070】指紋拭き取り性 ネル布(綿300)番を用いて軽くふきとり、残存指紋
の有無を確認し、以下の基準で評価した。 ◎:痕跡なし ○:かすかに痕跡が認められる ×:全面痕跡が認められる
【0071】耐スリ傷性 ネル布(綿300番)を用い、1.5kg/4cm2
10,000回摩擦することにより、耐スリ傷性を評価
した。評価基準は以下の通りである。 ◎:表面光沢低下率10%以下 ○:表面光沢低下率30%以下 ×:表面光沢低下率31%以上摩擦係数 バウンデンレーベン型の摩擦係数測定器を用いて測定し
た。
【0072】リサイクル時の物性維持率 新たな樹脂100重量部に、各実施例または比較例にお
ける樹脂30重量部を溶融混合し、抗張力及び伸びを測
定した。表1に示した数字は、新たな樹脂の抗張力及び
伸びを100%としたときの値である。
【0073】 (実施例2) コア形成材料 :ハイインパクトスチレン樹脂 97重量部 〔日本ポリスチレン社製、H−644R〕 ハイインパクトスチレン樹脂マスターバッチ 3重量部 〔東洋インキ社製、PSM5500グリーン〕 シェル形成材料 :メチルメタクリレート/n−ブチルアクリレート /メタアクリル酸共重合樹脂 90重量部 (組成モル比=7:2:1 Mw2.5万) 2−ヒドロキシエチルメタクリレート・キシリレン ジイソシアナート部分架橋物 6重量部 (組成モル比9:1、部分架橋率10%) 光重合開始剤(ベンゾインイソプロピルエーテル) 1重量部 ビニルトリスエトキシシラン 3重量部 薄膜形成材料 :水溶性アクリル樹脂・ポリアルキルアルコキシ シロキサン混合物 2重量部 水道水 99重量部 射出成形金型 :シェル構成層厚み 0.5mm コア構成層厚み 5.0mm
【0074】射出成形機にコア構成層厚み5.0mm、
シェル構成層厚み0.5mmに設定した金型を装着し、
ノズルヘッド温度250℃、バレル温度240℃に保持
して、射出圧力90kg/cm2 、背圧30kg/cm
2 でコア形成材料を射出成形し、コア構成層を成形し
た。
【0075】次いで、射出成形の設定をノズルヘッド温
度180℃、バレル温度140℃に保持して射出圧力9
0kg/cm2 、背圧30kg/cm2 でシェル形成材
料を射出成形し、シェル構成層をコア構成層の上に成形
してシェル・コア一体物を得た。
【0076】次に、シェル・コア一体物のシェル構成層
に紫外線1,000mj/cm2 を照射した後、薄膜形
成材料を約5μmの厚みに塗布し、90℃〜100℃に
保持した熱風オーブン中で30分間乾燥させて、目的と
する成形加工物を得た。
【0077】表面保護薄膜の膜厚は0.9μmであっ
た。本実施例における成形加工物の表面性状とリサイク
ル使用時の物性維持率を表1に示す。
【0078】 (実施例3) コア形成材料 :ABS樹脂 100重量部 〔住友ダウ社製、GA701〕 シェル形成材料 :ABS樹脂 95重量部 〔住友ダウ社製、GA701〕 フタロシアニンブルー 1重量部 〔東洋インキ社製〕 アルミパウダー 2重量部 〔東洋アルミ社製、アルペーストP−1950〕 ビニルトリス(βメトキシ・エトキシ)シラン 2重量部 薄膜形成材料 :チタニアゾル 20重量部 (酸化チタン40重量%、コロイダルシリカ60重量%) 〔石原産業社製、STS−01〕 エタノール 80重量部 射出成形金型 :シェル構成層厚み 1mm コア構成層厚み 5mm
【0079】射出成形機にコア構成層厚み5mm、シェ
ル構成層厚み1mmに設定した成形金型を装着し、ノズ
ルヘッド温度240℃、バレル温度230℃に保持し
て、射出圧力100kg/cm2 、背圧30kg/cm
2 でコア形成材料を射出成形し、コア構成層を成形し
た。
【0080】次いで、射出成形材の設定をノズルヘッド
温度240℃、バレル温度240℃にし、射出圧力95
kg/cm2 、背圧30kg/cm2 でシェル形成材料
を射出成形し、シェル構成層をコア構成層の上に成形し
てシェル・コア一体物を得た。
【0081】次に、シェル・コア一体物のシェル構成層
表面に上記薄膜形成材料をエアースプレー法によって、
約10μmの厚みに塗布した後、90℃〜100℃に保
持した熱風オーブン中で30分間乾燥させて、目的とす
る成形加工物を得た。
【0082】表面保護薄膜の膜厚は0.9μmであっ
た。更に、表面保護薄膜に2,000mj/cm2 の紫
外線を照射した。本実施例における成形加工物の表面性
状とリサイクル使用時の物性維持率を表1に示す。
【0083】 (比較例) コア形成材料 :ABS樹脂 100重量部 〔住友ダウ社製、GA701〕 塗膜形成材料 :ウレタン系塗料 〔日本ビーケミカル社製、R241〕
【0084】射出成形機でコア形成材料をノズルヘッド
温度240℃、バレル温度230℃に保持し、射出圧力
100kg/cm2 、背圧30kg/cm2 で5mmの
厚みにコア形成材料を射出成形し、コア構成層を成形し
た。
【0085】次いで、コア構成層の上に、上記プラスチ
ック用ウレタン塗料を40μmの厚みにスプレー塗装
し、80℃〜85℃に保持された熱風オーブン中で30
分間乾燥し、目的とする成形加工物を得た。本比較例に
おける成形加工物の表面性状とリサイクル使用時の物性
維持率を表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】表1から明らかなように、本発明に従う実
施例1及び実施例2においては、撥水・撥油性の表面を
有するプラスチック成形体が得られている。また粘着テ
ープの剥離強度が低く、かつ指紋付着性及び指紋拭き取
り性において良好であるので、防汚性に優れていること
がわかる。また、耐スリ傷性が良好であり、摩擦係数が
低いので、良好な傷つき防止性を有することがわかる。
さらには、リサイクル時の物性維持率が、比較例に比べ
て高くなっていることがわかる。
【0088】本発明に従う実施例3においては、親水性
の表面を有するプラスチック成形体が得られている。指
紋付着性およ指紋拭き取り性において、比較例に比べ良
好であるので、防汚性に優れていることがわかる。ま
た、耐スリ傷性及び摩擦係数も良好であり、傷つき防止
性に優れていることがわかる。さらに、リサイクル時の
物性維持率が、比較例に比べ高くなっており、リサイク
ル使用に適していることがわかる。
【0089】
【発明の効果】本発明によれば、プラスチック成形体に
美粧性、防汚性、及び傷つき防止性を付与することがで
き、かつリサイクル使用に適したプラスチック成形体を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のプラスチック成形体を示す
断面図。
【図2】本発明の一実施例のプラスチック成形体を射出
成形により成形する工程を示す模式図。
【図3】本発明の一実施例のプラスチック成形体を射出
成形により成形する工程を示す模式図。
【符号の説明】
1…プラスチック成形体 2…コア構成層 3…シェル構成層 4…表面保護薄膜 10…金型 11…上金型 12…下金型 13…射出成形機のノズル 14…スペーサー

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック成形体の表面処理方法であ
    って、 シラノール形成成分を含有した成形用材料を用いてプラ
    スチック成形体を成形した後、表面改質成分とアルコキ
    シシラン系化合物との反応物もしくは混合物、または表
    面改質成分とコロイダルシリカとの反応物もしくは混合
    物を含む薄膜形成材料を、前記プラスチック成形体の表
    面に塗布し、表面保護薄膜を該プラスチック成形体の表
    面に形成することを特徴とするプラスチック成形体の表
    面処理方法。
  2. 【請求項2】 コア構成層の上にシェル構成層を成形し
    てなるプラスチック成形体の表面処理方法であって、 シラノール形成成分を含有した成形用材料を用いて前記
    シェル構成層を成形した後、表面改質成分とアルコキシ
    シラン系化合物との反応物もしくは混合物、または表面
    改質成分とコロイダルシリカとの反応物もしくは混合物
    を含む薄膜形成材料を、前記シェル構成層の表面に塗布
    し、表面保護薄膜を該シェル構成層の表面に形成するこ
    とを特徴とするプラスチック成形体の表面処理方法。
  3. 【請求項3】 前記シラノール形成材料が、シラノール
    基を有するかまたは加水分解反応によりシラノール基を
    生成する化合物を含む材料であることを特徴とする請求
    項1または2に記載のプラスチック成形体の表面処理方
    法。
  4. 【請求項4】 前記シラノール形成材料が、オルガノア
    ルコキシシラン化合物及びそれらの部分加水分解縮合
    物、4官能アルコキシシラン化合物及びそれらの部分加
    水分解縮合物、並びにシロキサンポリマーからなる群よ
    り選ばれる少なくとも1種の化合物を含む材料であるこ
    とを特徴とする請求項3に記載のプラスチック成形体の
    表面処理方法。
  5. 【請求項5】 前記アルコキシシラン系化合物が、オル
    ガノアルコキシシラン化合物及びそれらの部分加水分解
    縮合物、4官能アルコキシシラン化合物及びそれらの部
    分加水分解縮合物からなる群より選ばれる少なくとも1
    種の化合物を含む材料であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のプラスチック成形体の表面
    処理方法。
  6. 【請求項6】 アルコキシシラン系化合物と組み合わせ
    て用いられる表面改質成分が、撥水・撥油性を付与する
    表面改質成分であることを特徴とする請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載のプラスチック成形体の表面処理方
    法。
  7. 【請求項7】 撥水・撥油性を付与する表面改質成分
    が、フッ素系化合物または、フッ素もしくはシリコンを
    含有する水溶性アクリル樹脂であることを特徴とする請
    求項6に記載のプラスチック成形体の表面処理方法。
  8. 【請求項8】 コロイダルシリカと組み合わせて用いら
    れる表面改質成分が、親水性を付与する表面改質成分で
    あることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記
    載のプラスチック成形体の表面処理方法。
  9. 【請求項9】 親水性を付与する表面改質成分が酸化チ
    タンであることを特徴とする請求項8に記載のプラスチ
    ック成形体の表面処理方法。
  10. 【請求項10】 前記成形方法が、射出成形法またはト
    ランスファー成形法であることを特徴とする請求項1〜
    9のいずれか1項に記載のプラスチック成形体の表面処
    理方法。
  11. 【請求項11】 前記コア構成層が熱可塑性プラスチッ
    ク材料から形成されていることを特徴とする請求項2に
    記載のプラスチック成形体の表面処理方法。
  12. 【請求項12】 前記シェル構成層が、熱可塑性プラス
    チック材料または熱溶融型光硬化性組成物であることを
    特徴とする請求項2に記載のプラスチック成形体の表面
    処理方法。
  13. 【請求項13】 プラスチック成形体に美粧性を付与す
    るための着色材が前記シェル構成層に含有されているこ
    とを特徴とする請求項2に記載のプラスチック成形体の
    表面処理方法。
  14. 【請求項14】 前記表面保護薄膜の厚みが0.5〜5
    μmであることを特徴とする請求項1〜13のいずれか
    1項に記載のプラスチック成形体の表面処理方法。
  15. 【請求項15】 コア構成層の上にシェル構成層が設け
    られ、該シェル構成層の上に表面保護薄膜が形成された
    プラスチック成形体であって、 シラノール形成材料を含有する前記シェル構成層の表面
    に、表面改質成分とアルコキシシラン系化合物との反応
    物もしくは混合物、または表面改質成分とコロイダルシ
    リカとの反応物もしくは混合物を含む薄膜形成材料を塗
    布することにより、前記表面保護薄膜が形成されている
    ことを特徴とするプラスチック成形体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005063894A1 (ja) * 2003-12-25 2005-07-14 Techno Polymer Co., Ltd 熱硬化樹脂組成物及びその製造方法、成形品及びその製造方法並びに離型剤
KR100510005B1 (ko) * 2003-07-23 2005-08-26 (주)에스이 플라즈마 유전체 보호층의 흡습 차단방법

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