JPH11278382A - 船舶における推進装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】プロペラ翼を取り付けるボス部によるプロペラ
翼の有効面積の低下を防止し得るとともに推進効率の低
下を防止し得る船舶における推進装置を提供する。 【解決手段】船体船尾部２ａに、内側空間部１１ａを有
するノズル部材１１を取り付けるとともに、このノズル
部材１１内の環状空間室１２内に、かつ内側空間部１１
ａの外周に沿って環状の回転自在な回転体１４を設け、
この回転体１４の内周面に、その回転中心に向かってプ
ロペラ翼１５を９０度置きに４枚放射状に取り付けると
ともに、回転体１４を、その外周に形成されたリング状
ギヤ１６および駆動ギヤ１９を介して回転させる回転駆
動機を設けたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、船舶における推進
装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、船舶に設けられる推進装置は、図
１５に示すように、船体の底部膨出部１０１から回転自
在に突出されたプロペラ軸１０２の先端部に、ボス部１
０３を介して、複数枚のプロペラ翼１０４が放射状に取
り付けられたものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
推進装置によると、ボス部１０３の外径が、プロペラ翼
１０４の外周径に対して占める割合が３０％もあり、こ
のため、翼面積（展開面積）の占める割合が減少し、揚
力の減少に伴う推進効率の低下を招くとともに、ボス部
１０３から渦が発生し、さらなる推進効率の低下を招く
という問題があった。

【０００４】そこで、本発明は、プロペラ翼を取り付け
るボス部によるプロペラ翼の有効面積の低下を防止し得
るとともに推進効率の低下を防止し得る船舶における推
進装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の船舶における推進装置は、船体船尾部に、
内側空間部を有するノズル部材を取り付けるとともに、
このノズル部材にその内側空間部の外周に沿って回転自
在な環状の回転体を設け、この回転体の内周面に、その
回転中心に向かってプロペラ翼を所定間隔置きに複数枚
放射状に取り付け、上記回転体を回転させる回転駆動装
置を設けたものである。

【０００６】上記の構成によると、ノズル部材に回転自
在に設けられた環状の回転体の内周面に、プロペラ翼を
その回転中心に向かって突出するように設けたので、ボ
ス部を介してプロペラ翼が設けられるものに比べて、周
速度の速い位置に翼面積を広くとることができるため、
推進効率が向上する。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態におけ
る船舶における推進装置を、図１〜図８に基づき説明す
る。

【０００８】本発明に係る推進装置はボス部ではなく、
ノズル部材に回転自在に設けられた回転体によりプロペ
ラ翼を回転させるようにしたものである。すなわち、図
１〜図５に示すように、この推進装置１は、船体２の船
尾部２ａの下面から垂下して設けられて内側空間部１１
ａを有するとともに所定長さ（前後方向での長さ）でか
つ正面視が円形状（環状）にされたノズル部材１１と、
このノズル部材１１内に形成された環状空間室１２内に
複数個（例えば、６０度置きに６個）の軸受部材１３を
介して回転自在に配置された円環状の回転体１４と、こ
の回転体１４の内周面でかつ所定角度置き、例えば９０
度置きの位置から、その回転軸心（通常の船舶の場合に
は、プロペラ軸心に相当する）ａに向けて突出するよう
に設けられた４枚（４枚に限定されるものではなく、２
〜３枚、５枚以上でもよい）のプロペラ翼１５と、上記
回転体１４を、その外周面に形成されたリング状ギヤ１
６を介して回転させる回転駆動装置１７とから構成され
ている。勿論、上記ノズル部材１１の内周面には、プロ
ペラ翼１５の根元部が挿通し得る溝部１１ｂが形成され
るとともに、プロペラ翼１５はノズル部材１１の内側に
形成された内側空間部１１ａ内に位置している。上記ノ
ズル部材１１の後縁部内には、必要に応じて、整流用の
フィン１８が取り付けられている。なお、図１について
は、船尾部２ａおよびノズル部材１１の概略断面を示し
ており、また図２においては、フィン１８は図示してい
ない。

【０００９】上記回転駆動装置１７は、船尾部２ａ内に
回転自在に配置されるとともに上記リング状ギヤ１６に
噛合された駆動ギヤ１９と、船体２内の所定位置に配置
されて上記駆動ギヤ１９を回転させる回転駆動機（図示
しないが、例えば電動機または内燃機関が使用される）
とから構成されている。

【００１０】上記軸受部材１３は、図１および図５に示
すように、ノズル部材１１内に一対のスラスト軸受２１
を介して回転自在に支持された回転軸体２２と、この回
転軸体２２の両端部に取り付けられるとともに上記回転
体１４の両側面に形成された傾斜部１４ａに当接してリ
ング状ギヤ１６に作用する主としてスラスト力を受ける
ための一対の截頭円錐形状の支持ローラ２３とから構成
されている。勿論、ラジアル方向の力についても、上記
スラスト軸受２１により支持される。

【００１１】また、図６に示すように、上記ノズル部材
１１の断面形状は翼形状にされており、このような翼形
状とすることにより、船首方向の力であるスラスト力Ｔ
が発生する。図６において、水流Ｗにより発生する揚力
をＬ、抗力をＤとすると、これらの合力Ｎの内、前方へ
の分力Ｔがスラスト力として作用する。すなわち、プロ
ペラ翼１５による推進力に加えて、ノズル部材１１を翼
形状とすることにより発生するスラスト力が加算され、
したがって船舶における推進効率が向上する。

【００１２】さらに、図７および図８に示すように、上
記プロペラ翼１５は、放物線形状（または半楕円形状）
に形成された翼本体部１５ａと、回転体１４への円形の
取付板部１５ｂとから構成されるとともに、その翼本体
部１５ａの断面形状はエローフォイル型にされており、
効率良く推進力を出せるようにされている。

【００１３】また、上記ノズル部材１１の内周部と回転
体１４の側面との間には、シール部材３１が設けられ
て、ノズル部材１１の環状空間室１２内に海水が入らな
いようにされている。このシール部材３１は、環状空間
室１２内の壁体部１１ｃに沿って設けられた環状板材３
２に形成された環状溝３３内に挿入されたリング状シー
ル材３４と、同じくこの環状溝３３内にかつ複数箇所で
挿入されて上記リング状シール材３４を、回転体１４側
に押圧する複数個のばね材３５とから構成されている。

【００１４】上記構成において、船舶を推進させる場
合、回転駆動機により、駆動ギヤ１９を介してリング状
ギヤ１６を回転させることにより、回転体１４に取り付
けられた４枚のプロペラ翼１５が回転し、推進力が発生
させられる。

【００１５】このように、推進装置１自体を、ノズル部
材１１に回転自在に設けられた回転体１４の内周面か
ら、プロペラ翼１５をその中心に向かって突出するよう
に設けたので、従来のように、ボス部を設ける必要がな
く、また周速度の速い位置に翼面積を広く設けることが
できるとともにボス部からの渦の発生を無くすことがで
きるため、推進効率の向上を図ることができる。さら
に、プロペラ翼１５は、回転体１４の内周面に取り付け
られるため、その根元部の取付けスペースを十分に確保
することができ、したがってプロペラ翼１５の強度を上
げることができる。

【００１６】ところで、上記実施の形態においては、プ
ロペラ翼１５を放物線形状として説明したが、例えば図
９および図１０に示すように、半長円形状のプロペラ翼
４１でもよく、また図１１および図１２に示すように、
三角形状のプロペラ翼４２でもよく、さらに図１３およ
び図１４に示すように、三日月形状のプロペラ翼４３す
なわちスキュウ翼でもよい。

【００１７】また、上述した各プロペラ翼は、４枚のプ
ロペラ翼を回転体の内周面から中心に向かって突出する
ように設けたが、例えば４枚のプロペラ翼の回転中心側
である先端部同士を互いに連結させることにより、プロ
ペラ翼自体の構造を、より簡単かつ強固にすることがで
きる。

【００１８】

【発明の効果】以上のように本発明の推進装置の構成に
よると、ノズル部材に回転自在に設けられた環状の回転
体の内周面から、プロペラ翼を回転中心に向かって突出
するように設けたので、従来のように、ボス部を設ける
必要がなく、したがって翼面積を広くすることができる
とともにボス部から発生する渦を無くすことができるた
め、推進効率の向上を図ることができる。さらに、プロ
ペラ翼は、回転体の内周面に取り付けられているため、
その根元部の取付けスペースを十分に確保することがで
き、したがってプロペラ翼の強度を上げることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態における推進装置の概略構
成を示す断面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ矢視図である。

【図３】図２のＢ−Ｂ矢視図である。

【図４】図１のＣ−Ｃ矢視図である。

【図５】同推進装置の要部断面図である。

【図６】同推進装置のノズル部材における推力発生の作
用を説明する図である。

【図７】同推進装置におけるプロペラ翼の正面図であ
る。

【図８】同推進装置におけるプロペラ翼の側面図であ
る。

【図９】同推進装置におけるプロペラ翼の第１の変形例
を示す正面図である。

【図１０】図９のＤ−Ｄ矢視図である。

【図１１】同推進装置におけるプロペラ翼の第２の変形
例を示す正面図である。

【図１２】図１１のＥ−Ｅ矢視図である。

【図１３】同推進装置におけるプロペラ翼の第３の変形
例を示す正面図である。

【図１４】図１３のＦ−Ｆ矢視図である。

【図１５】従来例における推進装置の要部断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 推進装置 ２ 船体 １１ ノズル部材 １１ａ 内側空間部 １２ 環状空間室 １３ 軸受部材 １４ 回転体 １５ プロペラ翼 １６ リング状ギヤ １７ 回転駆動装置

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】船体船尾部に、内側空間部を有するノズル
   部材を取り付けるとともに、このノズル部材にその内側
   空間部の外周に沿って回転自在な環状の回転体を設け、
   この回転体の内周面に、その回転中心に向かってプロペ
   ラ翼を所定間隔置きに複数枚放射状に取り付け、上記回
   転体を回転させる回転駆動装置を設けたことを特徴とす
   る船舶における推進装置。