JPH11268952A - 高強度磁器及びその製造方法 - Google Patents

高強度磁器及びその製造方法

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JPH11268952A
JPH11268952A JP10075421A JP7542198A JPH11268952A JP H11268952 A JPH11268952 A JP H11268952A JP 10075421 A JP10075421 A JP 10075421A JP 7542198 A JP7542198 A JP 7542198A JP H11268952 A JPH11268952 A JP H11268952A
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邦夫 木村
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和彦 陣内
Hiroshi Tateyama
博 立山
Noriyuki Yamada
則行 山田
Genhitsu Oo
源弼 太
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SHIN ENERGY SOGO KAIHATSU KIKO
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/02Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing hydraulic cements other than calcium sulfates
    • C04B28/06Aluminous cements

Abstract

(57)【要約】 【課題】 可塑性粘土を用いないで、非可塑性原料を主
体とし、しかも有機質バインダーを使用しない低コスト
の高強度磁器を提供する。 【解決手段】 長石系原料20〜60重量%、ケイ石2
0〜60重量%及びアルミナセメント10〜50重量%
からなる混合粉末を成形したのち、水和反応を行い、次
いで乾燥後、1100〜1400℃で焼成することによ
り、高強度磁器とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来使用されてい
る可塑性粘土、あるいは有機質バインダーの代わりに、
アルミナセメントを用いた高強度磁器及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁器は、陶磁器のうち、生地の吸水性が
全くない程度によく焼き締まったものであって、普通磁
器と特殊磁器とがあり、普通磁器はさらに硬磁器と軟磁
器とに分けられる。特殊磁器には、種々の鉱物を磁器化
したものがあり、一般に構成鉱物の名を付けてアルミナ
磁器、チタン磁器などと呼ばれる。
【0003】普通磁器は、一般の磁器であって、透光性
で美しい生地であることが特色で、これに彩飾が施され
ており、食器、装飾品、建築材料などに使用される。こ
の普通磁器の主原料は、可塑性粘土のカオリン、セリサ
イト、陶石、長石、ケイ石などであり、製品の強度や焼
成温度に応じた組成物として用いられる。
【0004】ところで、近年、高品質の可塑性粘土が枯
渇してきており、そのため、非可塑性物質を主原料とす
る磁器の開発が行われている。この非可塑性原料では、
通常可塑性を付与するため、有機質バインダーを用いて
いるが、これを燃焼除去するには、昇温速度を遅くしな
ければならず、その結果、燃料費が増大するのを免れな
い。したがって、可塑性粘土を用いずに、しかも有機質
バインダーの両方を用いない磁器の開発が望まれてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、可塑性粘土を用いないで、非可塑性原料
を主体とし、しかも有機質バインダーを使用しない低コ
ストの高強度磁器を提供することを目的としてなされた
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、可塑性粘
土及び有機質バインダーのいずれも用いることなく、低
い製造コストの高強度磁器を開発すべく鋭意研究を重ね
た結果、長石系原料、ケイ石及びアルミナセメントを特
定の割合で配合した混合粉末を成形し、水和反応させる
ことにより、製造工程上必要な実用強度のグリーン強度
が得られ、これを焼成することにより、高強度磁器が低
い製造コストで効率よく得られることを見出し、この知
見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、長石系原料20〜6
0重量%、ケイ石20〜60重量%及びアルミナセメン
ト10〜50重量%を含有する混合粉末の成形体水和物
の焼結体からなる高強度磁器を提供するものである。ま
た、この高強度磁器は、本発明に従えば、長石系原料2
0〜60重量%、ケイ石20〜60重量%及びアルミナ
セメント10〜50重量%からなる混合粉末を所望形状
に成形したのち、10〜50℃の温度で水和反応を行
い、次いで乾燥後、1100〜1400℃の温度で焼成
することにより、製造することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においては、高強度磁器の
原料として、長石系原料、ケイ石及びアルミナセメント
が用いられる。上記長石系原料としては、本発明におい
ては、カリ長石を主体とする長石及び微粒子状シラスバ
ルーンが好ましく用いられる。カリ長石は、長石の1種
でシリカを主成分とし、アルミナ及び酸化カリウムなど
を含有するものである。一方、シラスバルーンは、火山
ガラス質堆積物であり、シリカを主成分とし、アルミ
ナ、Fe23、CaO、MgO、Na2O、K2Oなどを
含有するものである。また、本発明でいうケイ石は、結
晶質シリカ又は非晶質シリカからなる塊状鉱石で、ケイ
素又はケイ酸成分を利用する原料の総称である。そし
て、この長石系原料及びケイ石は、通常の磁器原料とし
て用いられているものの中から所望の目的に応じ任意に
選択される。また、従来の粘土の代りに用いられるアル
ミナセメントは、CaO、Al23を主成分とするセメ
ントで、一般に石灰石とボーキサイトのような高アルミ
ナ質原料との組成物を溶融又は半溶融して得ることがで
きる。
【0009】本発明においては、上記長石系原料、ケイ
石及びアルミナセメントからなる混合粉末中に含まれる
酸化鉄の量は、得られる高強度磁器の品質の面から、1
重量%以下が好ましい。
【0010】前記長石系原料は、焼結時に成形体内部に
ガラスを形成させるためのものであって、混合粉末中の
含有量は、20〜60重量%の範囲にあることが必要で
ある。その理由は、この量が20重量%未満では成形体
の耐火度が高く、著しく高温の焼結温度が必要となり、
逆に60重量%を超えると成形体の耐火度が低くなり、
焼結温度幅が狭くなって成形体の形状を保持しにくくな
るためである。耐火度及び焼結温度などを考慮すると、
この長石系原料の好ましい含有量は、30〜50重量%
の範囲である。
【0011】一方、前記ケイ石は、焼結体内部の骨格を
形成させるためのものであって、混合粉末中の含有量
は、20〜60重量%の範囲にあることが必要である。
その理由は、この量が20重量%未満では成形体の耐火
度が低く、焼結温度幅が狭くなって成形体の形状を保持
しにくくなるし、60重量%を超えると成形体の耐火度
が高くなり、著しく高温の焼結温度が必要となるためで
ある。耐火度及び焼結温度などを考慮すると、このケイ
石の好ましい含有量は、30〜50重量%の範囲であ
る。
【0012】さらに、アルミナセメントは、このものと
長石系原料及びケイ石との水和反応により、グリーン
(生)成形体の強度を高めるとともに、磁器中に灰長石
を析出させ、磁器強度を向上させるためのものであっ
て、混合粉末中の含有量は、10〜50重量%の範囲に
あることが必要である。この量が10重量%未満では水
和反応による生成形体の強度が不十分で、生成形体の取
扱い性が困難であるし、50重量%を超えると成形体の
耐火度が高くなり、著しく高温の焼結温度が必要とな
る。生成形体の強度及び焼結温度などを考慮すると、こ
のアルミナセメントの好ましい含有量は、20〜40重
量%の範囲である。
【0013】本発明においては、長石系原料として、カ
リ長石を主体とする長石を用いると、得られる焼結体
は、従来の磁器とほぼ同等の密度を有するが、強度が高
いものとなる。一方、長石系原料として、微粒子状シラ
スバルーンを用いると、得られる焼結体は、密度が従来
の磁器の約8割であるにもかかわらず、強度はほぼ同じ
であり、強度を密度で除した比強度が、従来の磁器に比
べて大きいものとなる。
【0014】本発明の高強度磁器は、以下に示す本発明
方法により、効率よく製造することができる。まず、平
均粒子径が1〜20μm程度の長石系原料粉末とケイ石
粉末とアルミナセメント粉末とを、それぞれ前記した割
合で均質に混合して、混合粉末を調製する。次いで、こ
の混合粉末を、所望形状に加圧成形したのち、得られた
成形体を、10〜50℃、好ましくは15〜35℃の範
囲の温度で水和反応させる。この水和反応の時間は処理
温度により異なり一概に定めることはできないが、一般
的には1〜48時間程度で十分である。水和反応終了
後、成形体を適当な温度で乾燥処理する。このようにし
て水和処理された成形体は、有機質バインダーを用いな
くても、グリーン強度が高く、続いて行われる焼成処理
に耐える良好な取扱い性を有している。
【0015】次に、この水和処理された成形体を、例え
ば、大気中において、1100〜1400℃の範囲の温
度で焼成処理する。有機質バインダーを用いた場合に
は、該有機質バインダーを燃焼除去させるために、昇温
速度を遅くする必要があり、その結果、燃料費が増大す
る。しかし、本発明においては、例えば室温から約10
00℃の範囲の温度では、昇温速度は10℃/分程度、
約1000℃〜1400℃の範囲の温度では、昇温速度
は5℃/分程度で十分であるので、有機質バインダーを
用いたものに比べて製造コストが低くなる。
【0016】また、焼成処理時間(1100〜1400
℃の温度で保持する時間)は、焼成処理温度などにより
異なり、一概に定めることはできないが、一般的には1
0分ないし5時間程度で十分である。このようにして、
所望の高強度磁器が効率よく得られる。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、枯渇化傾向にある高品
質の可塑性粘土を用いることなく、しかも有機質バイン
ダーを使用しないで、従来の可塑性粘土を用いた磁器よ
りも高強度の磁器を、低い製造コストで得ることができ
る。また、長石系原料として、微粒子状シラスバルーン
を用いることにより、軽量で、かつ高強度の磁器が得ら
れる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0019】なお、各例中のグリーン強度、かさ密度、
曲げ強度、比強度、収縮率及び吸水率は、次に示す方法
に従って測定した。 (1)グリーン強度及び曲げ強度 JIS R1601 ファインセラミックスの曲げ強さ
試験方法に記載されている3点曲げ法に準じて測定して
得られた曲げ強さで示す。 (2)かさ密度 焼結体の重量をその容積で除して得られた値で示す。 (3)比強度 結結体の強度を焼結体の比重で除して得られた値で示
す。 (4)収縮率 線収縮率で示す。 (5)吸水率 乾燥重量と、焼結体を水中煮沸後冷却し、取り出したの
ち、表面水をふき取った重量との差を吸水した水の重量
とし、この水の重量を乾燥重量で除した値を、吸水率と
して示す。
【0020】実施例1 表1に示す組成を有する、平均粒子径5.68μmの長
石粉砕物、平均粒子径4.63μmのケイ石粉砕物及び
平均粒子径14.5μmのアルミナセメント粉末を用い
た。
【0021】
【表1】
【0022】長石粉砕物とケイ石粉砕物とアルミナセメ
ント粉末とを、重量比40:40:20、50:30:
20及び60:20:20の割合で乾式混合し、十分に
均質な3種の混合粉末を調製した。上記混合粉末それぞ
れを、金型を用いて10MPaの低圧で加圧成形し、各
成形体を底部に25℃の水を収容した養生槽中で24時
間保持し、水和反応させたのち、50℃に保持した乾燥
機で24時間乾燥処理した。
【0023】得られた各成形体の一部を用いてグリーン
強度を測定するとともに、残りの各成形体を大気中に
て、1300℃で1時間焼成処理した。得られた各焼結
体について、かさ密度、曲げ強さ、比強度、収縮率及び
吸水率を測定した。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2から分かるように、本実施例では、実
用的なグリーン強度を有するとともに、通常の磁気の曲
げ強さ50MPaよりも高い曲げ強さを有し、吸水率も
1重量%以下の高強度磁器が得られる。
【0026】実施例2 表3に示す組成の平均粒子径11.8μmの微粒子状シ
ラスバルーンと、実施例1で用いたケイ石粉砕物及びア
ルミナセメント粉末を使用した。
【0027】
【表3】
【0028】微粒子状シラスバルーンとケイ石粉砕物と
アルミナセメント粉末とを、表4に示す割合で乾式混合
し、十分に均質な各種の混合粉末を調製した。上記混合
粉末それぞれを、金型を用いて10MPaの低圧で加圧
成形し、各成形体を底部に25℃の水を収容した養生槽
中で24時間保持し、水和反応させたのち、50℃に保
持した乾燥機で24時間乾燥処理した。
【0029】得られた各成形体の一部を用いてグリーン
強度を測定するとともに、残りの各成形体を大気中に
て、1300℃で1時間焼成処理した。得られた各焼結
体について、かさ密度、曲げ強さ、比強度、収縮率及び
吸水率を測定した。その結果を表4に示す。
【0030】
【表4】
【0031】表4から分かるように、本実施例では、実
用的なグリーン強度を有するとともに、特に微粒子状シ
ラスバルーンを40〜60重量%の割合で配合したもの
は、ガラス状のシラスバルーンが熔化して良好な焼結体
が得られ、このものは、通常の磁器のかさ密度2.5g
/cm3、曲げ強さ50MPaに比べ、軽量で若干高い
曲げ強さを有し、吸水率も1重量%以下の軽量高強度磁
器である。すなわち、比強度が高い焼結体が得られる。
【0032】実施例3 実施例2において、微粒子状シラスバルーンとケイ石粉
砕物とアルミナセメント粉末とを、重量比30:20:
50の割合で配合したものは、曲げ強さが低く、吸水率
も高い。これは、成形体の耐火度が高くなっているため
で、1300℃の焼成温度では不足している。そこで、
この配合の成形体を1400℃で1時間焼成した以外
は、実施例2と同様にして焼結体を得た。この焼結体の
かさ密度、曲げ強さ、比強度、収縮率及び吸水率を表5
に示す。
【0033】
【表5】
【0034】表5から分かるように、本実施例で得られ
た磁器は、通常の磁器のかさ密度2.5g/cm3、曲
げ強さ50MPaに比べて、軽量で若干高い曲げ強さを
有している。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年2月10日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高強度磁器及びその製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来使用されてい
る可塑性粘土、あるいは有機質バインダーの代わりに、
アルミナセメントを用いた高強度磁器及びその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁器は、陶磁器のうち、生地の吸水性が
全くない程度によく焼き締まったものであって、普通磁
器と特殊磁器とがあり、普通磁器はさらに硬磁器と軟磁
器とに分けられる。特殊磁器には、種々の鉱物を磁器化
したものがあり、一般に構成鉱物の名を付けてアルミナ
磁器、チタン磁器などと呼ばれる。
【0003】普通磁器は、一般の磁器であって、透光性
で美しい生地であることが特色で、これに彩飾が施され
ており、食器、装飾品、建築材料などに使用される。こ
の普通磁器の主原料は、可塑性粘土のカオリン、セリサ
イト、陶石、長石、ケイ石などであり、製品の強度や焼
成温度に応じた組成物として用いられる。
【0004】ところで、近年、高品質の可塑性粘土が枯
渇してきており、そのため、非可塑性物質を主原料とす
る磁器の開発が行われている。この非可塑性原料では、
通常可塑性を付与するため、有機質バインダーを用いて
いるが、これを燃焼除去するには、昇温速度を遅くしな
ければならず、その結果、燃料費が増大するのを免れな
い。したがって、可塑性粘土を用いずに、しかも有機質
バインダーの両方を用いない磁器の開発が望まれてい
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、可塑性粘土を用いないで、非可塑性原料
を主体とし、しかも有機質バインダーを使用しない低コ
ストの高強度磁器を提供することを目的としてなされた
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、可塑性粘
土及び有機質バインダーのいずれも用いることなく、低
い製造コストの高強度磁器を開発すべく鋭意研究を重ね
た結果、微粒子状シラスバルーン、ケイ石及びアルミナ
セメントを特定の割合で配合した混合粉末を成形し、水
和反応させることにより、製造工程上必要な実用強度の
グリーン強度が得られ、これを焼成することにより、高
強度磁器が低い製造コストで効率よく得られることを見
出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、微粒子状シラスバル
ーン20〜60重量%、ケイ石20〜60重量%及びア
ルミナセメント10〜50重量%を含有する混合粉末の
成形体水和物の焼結体からなる高強度磁器を提供するも
のである。また、この高強度磁器は、本発明に従えば、
微粒子状シラスバルーン20〜60重量%、ケイ石20
〜60重量%及びアルミナセメント10〜50重量%か
らなる混合粉末を所望形状に成形したのち、10〜50
℃の温度で水和反応を行い、次いで乾燥後、1100〜
1400℃の温度で焼成することにより、製造すること
ができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においては、高強度磁器の
原料として、微粒子状シラスバルーン、ケイ石及びアル
ミナセメントが用いられる。本発明において用いるシラ
スバルーンは、火山ガラス質堆積物であり、シリカを主
成分とし、アルミナ、Fe23、CaO、MgO、Na
2O、K2Oなどを含有するものである。また、本発明で
いうケイ石は、結晶質シリカ又は非晶質シリカからなる
塊状鉱石で、ケイ素又はケイ酸成分を利用する原料の総
称である。そして、このケイ石は、通常の磁器原料とし
て用いられているものの中から所望の目的に応じ任意に
選択される。また、従来の粘土の代りに用いられるアル
ミナセメントは、CaO、Al23を主成分とするセメ
ントで、一般に石灰石とボーキサイトのような高アルミ
ナ質原料との組成物を溶融又は半溶融して得ることがで
きる。
【0009】本発明においては、上記微粒子状シラスバ
ルーン、ケイ石及びアルミナセメントからなる混合粉末
中に含まれる酸化鉄の量は、得られる高強度磁器の品質
の面から、1重量%以下が好ましい。
【0010】前記微粒子状シラスバルーンは、焼結時に
成形体内部にガラスを形成させるためのものであって、
混合粉末中の含有量は、20〜60重量%の範囲にある
ことが必要である。その理由は、この量が20重量%未
満では成形体の耐火度が高く、著しく高温の焼結温度が
必要となり、逆に60重量%を超えると成形体の耐火度
が低くなり、焼結温度幅が狭くなって成形体の形状を保
持しにくくなるためである。耐火度及び焼結温度などを
考慮すると、この微粒子状シラスバルーンの好ましい含
有量は、30〜50重量%の範囲である。
【0011】一方、前記ケイ石は、焼結体内部の骨格を
形成させるためのものであって、混合粉末中の含有量
は、20〜60重量%の範囲にあることが必要である。
その理由は、この量が20重量%未満では成形体の耐火
度が低く、焼結温度幅が狭くなって成形体の形状を保持
しにくくなるし、60重量%を超えると成形体の耐火度
が高くなり、著しく高温の焼結温度が必要となるためで
ある。耐火度及び焼結温度などを考慮すると、このケイ
石の好ましい含有量は、30〜50重量%の範囲であ
る。
【0012】さらに、アルミナセメントは、このものと
微粒子状シラスバルーン及びケイ石との水和反応によ
り、グリーン成形体の強度を高めるとともに、磁器中に
灰長石を析出させ、磁器強度を向上させるためのもので
あって、混合粉末中の含有量は、10〜50重量%の範
囲にあることが必要である。この量が10重量%未満で
は水和反応による生成形体の強度が不十分で、生成形体
の取扱い性が困難であるし、50重量%を超えると成形
体の耐火度が高くなり、著しく高温の焼結温度が必要と
なる。生成形体の強度及び焼結温度などを考慮すると、
このアルミナセメントの好ましい含有量は、20〜40
重量%の範囲である。
【0013】本発明においては、微粒子状シラスバルー
ンを用いているので、得られる焼結体は、密度が従来の
磁器の約8割であるにもかかわらず、強度はほぼ同じで
あり、強度を密度で除した比強度が、従来の磁器に比べ
て大きいものとなる。
【0014】本発明の高強度磁器は、以下に示す本発明
方法により、効率よく製造することができる。まず、平
均粒子径が1〜20μm程度の微粒子状シラスバルーン
とケイ石粉末とアルミナセメント粉末とを、それぞれ前
記した割合で均質に混合して、混合粉末を調製する。次
いで、この混合粉末を、所望形状に加圧成形したのち、
得られた成形体を、10〜50℃、好ましくは15〜3
5℃の範囲の温度で水和反応させる。この水和反応の時
間は処理温度により異なり一概に定めることはできない
が、一般的には1〜48時間程度で十分である。水和反
応終了後、成形体を適当な温度で乾燥処理する。このよ
うにして水和処理された成形体は、有機質バインダーを
用いなくても、グリーン強度が高く、続いて行われる焼
成処理に耐える良好な取扱い性を有している。
【0015】次に、この水和処理された成形体を、例え
ば、大気中において、1100〜1400℃の範囲の温
度で焼成処理する。有機質バインダーを用いた場合に
は、該有機質バインダーを燃焼除去させるために、昇温
速度を遅くする必要があり、その結果、燃料費が増大す
る。しかし、本発明においては、例えば室温から約10
00℃の範囲の温度では、昇温速度は10℃/分程度、
約1000℃〜1400℃の範囲の温度では、昇温速度
は5℃/分程度で十分であるので、有機質バインダーを
用いたものに比べて製造コストが低くなる。
【0016】また、焼成処理時間(1100〜1400
℃の温度で保持する時間)は、焼成処理温度などにより
異なり、一概に定めることはできないが、一般的には1
0分ないし5時間程度で十分である。このようにして、
所望の高強度磁器が効率よく得られる。
【0017】
【発明の効果】本発明によれば、枯渇化傾向にある高品
質の可塑性粘土を用いることなく、しかも有機質バイン
ダーを使用しないで、従来の可塑性粘土を用いた磁器よ
りも高強度の磁器を、低い製造コストで得ることができ
る。また、微粒子状シラスバルーンを用いることによ
り、軽量で、かつ高強度の磁器が得られる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。
【0019】なお、各例中のグリーン強度、かさ密度、
曲げ強度、比強度、収縮率及び吸水率は、次に示す方法
に従って測定した。 (1)グリーン強度及び曲げ強度 JIS R1601 ファインセラミックスの曲げ強さ
試験方法に記載されている3点曲げ法に準じて測定して
得られた曲げ強さで示す。 (2)かさ密度 焼結体の重量をその容積で除して得られた値で示す。 (3)比強度 結結体の強度を焼結体の比重で除して得られた値で示
す。 (4)収縮率 線収縮率で示す。 (5)吸水率 乾燥重量と、焼結体を水中煮沸後冷却し、取り出したの
ち、表面水をふき取った重量との差を吸水した水の重量
とし、この水の重量を乾燥重量で除した値を、吸水率と
して示す。
【0020】実施例1 表1に示す組成の平均粒子径11.8μmの微粒子状シ
ラスバルーンと、平均粒子径4.63μmのケイ石粉砕
物及び平均粒子径14.5μmのアルミナセメント粉末
を使用した。
【0021】
【表1】
【0022】微粒子状シラスバルーンとケイ石粉砕物と
アルミナセメント粉末とを、表2に示す割合で乾式混合
し、十分に均質な各種の混合粉末を調製した。上記混合
粉末それぞれを、金型を用いて10MPaの低圧で加圧
成形し、各成形体を底部に25℃の水を収容した養生槽
中で24時間保持し、水和反応させたのち、50℃に保
持した乾燥機で24時間乾燥処理した。
【0023】得られた各成形体の一部を用いてグリーン
強度を測定するとともに、残りの各成形体を大気中に
て、1300℃で1時間焼成処理した。得られた各焼結
体について、かさ密度、曲げ強さ、比強度、収縮率及び
吸水率を測定した。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】
【0025】表2から分かるように、本実施例では、実
用的なグリーン強度を有するとともに、特に微粒子状シ
ラスバルーンを40〜60重量%の割合で配合したもの
は、ガラス状のシラスバルーンが熔化して良好な焼結体
が得られ、このものは、通常の磁器のかさ密度2.5g
/cm3、曲げ強さ50MPaに比べ、軽量で若干高い
曲げ強さを有し、吸水率も1重量%以下の軽量高強度磁
器である。すなわち、比強度が高い焼結体が得られる。
【0026】実施例2 実施例1において、微粒子状シラスバルーンとケイ石粉
砕物とアルミナセメント粉末とを、重量比30:20:
50の割合で配合したものは、曲げ強さが低く、吸水率
も高い。これは、成形体の耐火度が高くなっているため
で、1300℃の焼成温度では不足している。そこで、
この配合の成形体を1400℃で1時間焼成した以外
は、実施例1と同様にして焼結体を得た。この焼結体の
かさ密度、曲げ強さ、比強度、収縮率及び吸水率を表3
に示す。
【0027】
【表3】
【0028】表3から分かるように、本実施例で得られ
た磁器は、通常の磁器のかさ密度2.5g/cm3、曲
げ強さ50MPaに比べて、軽量で若干高い曲げ強さを
有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 598038773 陣内 和彦 佐賀県鳥栖市轟木町1385 (71)出願人 597132263 立山 博 佐賀県鳥栖市曽根崎町1047−2 (71)出願人 597111084 山田 則行 福岡県小郡市二タ692−2 (74)上記5名の代理人 弁理士 阿形 明 (72)発明者 木村 邦夫 佐賀県鳥栖市萱方町218番地の34 (72)発明者 陣内 和彦 佐賀県鳥栖市轟木町1385 (72)発明者 立山 博 佐賀県鳥栖市曽根崎町1047−2 (72)発明者 山田 則行 福岡県小郡市二タ692−2 (72)発明者 太 源弼 佐賀県鳥栖市布津原町61番地 県営宿町団 地R327

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長石系原料20〜60重量%、ケイ石2
    0〜60重量%及びアルミナセメント10〜50重量%
    を含有する混合粉末の成形体水和物の焼結体からなる高
    強度磁器。
  2. 【請求項2】 長石系原料がカリ長石を主体とする長石
    である請求項1記載の高強度磁器。
  3. 【請求項3】 長石系原料が微粒子状シラスバルーンで
    ある請求項1記載の高強度磁器。
  4. 【請求項4】 長石系原料20〜60重量%、ケイ石2
    0〜60重量%及びアルミナセメント10〜50重量%
    からなる混合粉末を所望形状に成形したのち、10〜5
    0℃の温度で水和反応を行い、次いで乾燥後、1100
    〜1400℃の温度で焼成することを特徴とする高強度
    磁器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001012571A1 (fr) * 1999-08-17 2001-02-22 Philippe Dubois Composition pour moulage
KR101017359B1 (ko) 2010-04-15 2011-02-25 (주)에릭스 초강화자기, 초강화자기용 소지 및 그 제조방법

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WO2001012571A1 (fr) * 1999-08-17 2001-02-22 Philippe Dubois Composition pour moulage
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