JPH11254655A - スクリーン印刷用印版のクリーニング方法及び装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】スクリーン印刷装置における印版の下面の汚れ
を、印版を傷付けたりペーストを拡散したりすることな
く、簡単にクリーニングする。 【手段】印刷工程の途中で、印版２の下面にクリーニン
グユニット７を移動させ、クリーニングユニット７に設
けたロール紙10を印版２の下面に配置した状態でスキー
ジ３を移動させて捨て印刷を行う。捨て印刷により、印
版２の下面に付着したペーストがロール紙10に転移し、
クリーニングされる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばセラミック
コンデンサのような電子部品の製造に際して使用される
スクリーン印刷において、その印版のクリーニング方法
及び装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】セラミックコンデンサやチップ抵抗器の
製造などの多くの電子部品の製造について、電極や抵抗
膜等を形成する手段としてスクリーン印刷法が多用され
ている。このスクリーン印刷法は、網状等の印版（マス
ク）に所望のパターンを形成して、印版の下面にセラミ
ックグリーンシート等の被印刷物を重ね合わせて、その
状態で、印版の上面に供給されたペーストをスキージに
よって掻き広げることにより、ペーストを印版のパター
ンの箇所から被印刷物に転移させ、以って、印版の印刷
パターンと同じパターンでペーストを被印刷物に塗着
（印刷）するものである。

【０００３】このスクリーン印刷においては、使用して
いるうちにペーストが印版の裏面（下面）に少しずつ残
って、印版の裏面が汚れてくる。このため、印版をある
程度使用するたびに裏面の汚れをクリーニング（除去）
する必要がある。このクリーニング方法として従来は、 ．図５に示すように、印版Ａの下方に、シリンダ等の
駆動手段Ｂによって印版Ａの裏面を擦りながら移動する
クリーニング用スキージＣを設け、何回か印刷するたび
に、クリーニング用スキージＢを往復動させて汚れを掻
き取る、 ．図６に示すように、印版Ａの下方に、印版Ａの下面
に接触するロール布Ｄを備えたロールユニットＥを配置
し、何回か印刷するごとに、シリンダ等の駆動手段（図
示せず）でロールユニットＥを往復動させつつロール布
Ｄを繰り出すことにより、ロール布Ｄで印版Ａの裏面の
汚れを拭き取る、 ．溶剤が入った洗浄槽に印版Ａを入れて、超音波によ
って溶剤に振動を付与することによってペーストを除去
する、といった方法が使用されていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】これら従来のクリーニ
ング方法のうち、のクリーニング用スキージＣで掻き
取る方法とのロール布Ｄで拭き取る方法は、印刷工程
の合間にクリーニングを行えるので、印刷作業の能率低
下を防止できる利点があるが、印版Ａの裏面を擦るもの
であるため、ペーストが完全に除去されずに逆に印版Ａ
の裏面に広がってしまったり、印版Ａが傷つけられてし
まったり、或いは、印版Ａが傷つくことによって清掃後
の印刷でペーストがにじみやすくなったりするといった
問題があった。

【０００５】他方、の超音波洗浄法では、印版Ａを傷
つけずにペーストを除去できる利点はあるが、印版Ａを
取り外してクリーニングしなくてはならないため印刷作
業の能率が著しく低く、また、洗浄設備が高価であると
いう問題があった。本発明は、このような実情を改善す
るクリーニング方法及び装置を提供することを目的とす
るものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の方法は、印刷パ
ターンを形成した印版の下面にセラミックグリーンシー
ト等の被印刷物を重ねて、スキージＢによってペースト
を印版の上面に掻き広げることにより、ペーストを印版
の印刷パターンと同じパターンで被印刷物に転移付着さ
せるスクリーン印刷法において、シートやフィルムのよ
うな捨て素材を印版の下面に配置した状態で、ペースト
を印版に供給せずにスキージＢだけを擦り移動させる捨
て印刷を行うことを特徴とする。

【０００７】また、本発明のクリーニング装置は、被印
刷物と干渉しない状態で印版の下面に捨て素材を供給す
るクリーニングユニットを設けたことを特徴とする。こ
の場合、印版を固定している場合には、被印刷物とクリ
ーニングユニットとを印版の下面に向けて移動自在に配
置し、適当な回数だけ印刷してからクリーニングユニッ
トを印版の下面に移動させてから捨て素材に捨て印刷を
行えば良い。他方、被印刷物とクリーニングユニットと
を固定式にして、印版を被印刷物とクリーニングユニッ
トとの上方に移動させても良い。捨て印刷の頻度は、印
版のメッシュの粗さやペーストの粘度などに応じて設定
したら良い。

【０００８】捨て素材としては、紙や布、フィルムなど
を切り揃えたものも使用できるが、構造の簡単化の点か
らは、紙や布、フィルムなど薄物をロールに巻いたもの
を使用して、捨て印刷を１回又は複数回行うたびに繰り
出すように構成するのが望ましい。また、捨て素材の性
状（表面粗さやペーストの付着性など）は、できるだけ
被印刷物に近いものが好ましい。

【０００９】

【発明の作用・効果】本発明者の実験によると、上記の
構成によって捨て素材に捨て印刷（空印刷）を行うと、
印版の下面（裏面）に汚れ出ていたペーストが捨て素材
に転移して、印版の下面の汚れをクリーニング（除去）
できた。そして、本発明は、印版の下面を擦るものでは
ないため、印版を傷付けたりペーストを印版の下面に拡
散させたりすることはなく、従って、クリーニング後の
再使用に際してペーストがにじむこともない。従って、
印版の寿命低下や印刷品質の低下を防止できる。また、
印版を取り外すことなく印刷工程の途中でクリーニング
を行うものであるため、印刷作業の能率が低下すること
はない。更に、超音波洗浄設備のような大がかりな設備
を必要としないため、設備費用も低廉に抑えることがで
きるのである。

【００１０】

【発明の実施形態】次に、本発明を積層型セラミックコ
ンデンサの製造工程でのスクリーン印刷した実施形態を
図面（図１〜４）に基づいて説明する。図１はスクリー
ン印刷装置の斜視図、図２は平面図、図３は図２の III
-III視断面図である。スクリーン印刷装置は、フレーム
１に取付けられた合成樹脂製や金属製等の印版２と、導
電性ペーストを印版２の上面に掻き広げるスキージ３と
を備えている。印版２には、ペーストが透過するパター
ン４が形成されており、セラミックグリーンシート５を
印版２の下面に重ねて、印版２の上面にスキージ３でペ
ーストを掻き広げると、印版２のパターン４と同じパタ
ーンでセラミックグリーンシート５に内部電極６が印刷
される。

【００１１】セラミックグリーンシート５は、図示しな
い搬送装置により、印版２の下面に繰り出され、印刷が
終了したら排出される。なお、積層型セラミックコンデ
ンサの製造工程の概要は例えば特開平 8-78273号公報等
に記載されており、ごく大雑把に述べると、内部電極６
が印刷されたセラミックグリーンシート５を複数枚重ね
合わせて加熱下で圧着してから、単体に切断し、次いで
焼成し、それから側面電極を形成すると言う手順で製造
される。

【００１２】印版２の近傍には、当該印版２の下面に向
けて水平往復動自在なクリーニングユニット７が配置さ
れている。このクリーニングユニット７は、セラミック
グリーンシート５の移送方向と直交した方向に延びるガ
イド軸８に摺動自在に装着された機枠９を備えており、
機枠９に、捨て素材の一例としてのロール紙10を繰り出
す従動軸12と、ロール紙10を巻き取る主動軸13、及び、
ロール紙10を水平状に張るための一対の支持ローラ13が
回転自在に取付けられている。主動軸12はモータ14で駆
動される。

【００１３】両支持ローラ13の間隔は、ロール紙10を印
版２のパターン４に完全に重なり得る状態に保持できる
寸法に設定されている。また、図３に示すように、機枠
９に、ロール紙10を水平状に張った状態に保持するため
のテーブル板15を設けている。なお、ガイド軸８及びク
リーニングユニット７は、セラミックグリーンシート５
の移送の邪魔にならないように配置されていることは言
うまでもない。

【００１４】以上の構成において、セラミックグリーン
シート５に何回か印刷して印版２の下面が汚れはじめた
ら、クリーニングユニット７を印版２の下面に移動させ
て、ペーストを塗布することなくスキージ３のみを移動
させるという捨て印刷を行う。すると、印版２の下面に
はみ出ていたペーストがロール紙10に転移し、これによ
り、印版２の下面がクリーニングされる。１回のクリー
ニング工程でスキージ３を何回か往復動させても良い。
クリーニングされたらクリーニングユニット７を後退さ
せて、再び印刷を再開する。

【００１５】このように、印版の下面にロール紙10を配
置してこれに捨て印刷を施すだけであるので、印版２を
傷付けたりペーストを印版２の下面に拡散させたりする
ことはなく、従って、クリーニング後の再使用において
ペーストがにじむこともない。また、印刷工程の途中で
クリーニングを行うものであるから、印刷作業の能率が
低下することはないし、クリーニングユニット７を往復
動自在に設けるだけであるから、設備費用も低廉に抑え
ることができるのである。

【００１６】なお、ロール紙10は、クリーニングするた
びに新たに繰り出しても良いし、或いは、１回の繰り出
しによって何回かクリーニングしても良く、繰り出しの
頻度は汚れ具合に応じて異ならせたら良い。また、印版
２の汚れ具合は経験的に分かっているから、何回か印刷
するたびに自動的にクリーニングを行うように設定して
おいても良い。

【００１７】また、オフコンタクト方式のスクリーン印
刷の場合には、スキージ３で押さえていない状態では印
版２とロール紙10との間には僅かながら隙間が空いてい
るので、クリーニングユニット７は単に水平動させるだ
けで、印版２の下面に往復動させることができる。コン
タクト方式のスクリーン印刷の場合には、印版２又はク
リーニングユニット７のいずれか一方を上下動自在に構
成すれば、クリーニングユニット７の往復動に際してロ
ール紙10が印版２の下面に接触することを回避できる。

【００１８】捨て素材としてロール紙10のようなリール
状のものを使用すると、交換や繰り出しの取り扱いを簡
単に行えるため、クリーニングユニット７の構造を簡単
にできる利点がある。捨て素材の材質は紙には限らず、
布や不織布、合成樹脂フィルム（或いはシート）など、
種々のものを使用できる。複数の材質を積層したもので
も良い。

【００１９】ペーストが高価である場合には、図４に示
すように、合成樹脂フィルムのようにペーストが浸み込
まない素材からなるループ状フィルム16を主動ローラ17
と従動ローラ18とに巻き掛けると共に、フィルム16の下
方の適当な部位に回収タンク19を配置し、クリーニング
するたびにフィルム16を周回させて、ヘラ20によってペ
ーストＰを回収タンク19に掻き落とせば良い。図１〜図
３の構成のロール紙10に代えて合成樹脂製のロールフィ
ルムを使用し、巻き取られたロールフィルムからペース
トを掻き落としても良い。

【００２０】上記の実施形態は積層型セラミックコンデ
ンサの製造工程で使用するスクリーン印刷に適用した場
合であったが、本発明は、チップ型抵抗器や半可変抵抗
器のような電子部品を製造するに際して抵抗膜や電極等
を形成するために使用するスクリーン印刷などに広く適
用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態の斜視図である。

【図２】実施形態の平面図である。

【図３】図２の III-III視断面図である。

【図４】変形例を示す図である。

【図５】従来例を示す図である。

【図６】他の従来例を示す図である。

【符号の説明】

２ 印版 ３ スキージ ４ 印刷パターン ５ 被印刷物の一例としてのセラミックグリーンシート ７ クリーニングユニット 10 ロール紙 13 支持ローラ 14 モータ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】印刷パターンを形成した印版の下面にセラ
   ミックグリーンシート等の被印刷物を重ねて、スキージ
   によってペーストを印版の上面に掻きならすように広げ
   ることにより、ペーストを印版の印刷パターンと同じパ
   ターンで被印刷物に転移付着させるスクリーン印刷法に
   おいて、 シートやフィルムのような捨て素材を印版の下面に配置
   した状態で、ペーストを印版に供給せずにスキージだけ
   を擦り移動させる捨て印刷を行うことを特徴とするスク
   リーン印刷用印版のクリーニング方法。
2. 【請求項２】「請求項１」の方法に使用する印版のクリ
   ーニング装置であって、 被印刷物と干渉しない状態で印版の下面に捨て素材を供
   給するクリーニングユニットを設けたことを特徴とする
   スクリーン印刷用印版のクリーニング装置。