JPH11247831A - 高力ボルト摩擦接合用スプライスプレート - Google Patents

高力ボルト摩擦接合用スプライスプレート

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JPH11247831A
JPH11247831A JP30054598A JP30054598A JPH11247831A JP H11247831 A JPH11247831 A JP H11247831A JP 30054598 A JP30054598 A JP 30054598A JP 30054598 A JP30054598 A JP 30054598A JP H11247831 A JPH11247831 A JP H11247831A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 安定して高いすべり係数を発現する高力ボル
ト摩擦接合用スプライスプレートを提供する。 【解決手段】 摩擦接合面のボルト孔回りに、好ましく
は少なくともボルト孔半径の2倍を半径とする領域に同
心円状に転造による凹凸を有し、その半径方向断面の凹
凸形状が連続または断続した山形で、凸部の角度が50
〜120度、凸部先端の曲率半径が0.1mm以下、該
鋼板の転造前の表面から凸部先端までの高さが0.2〜
1.0mmで、かつ該凸部の先端から少なくとも凸部高
さの1/2までが被接合鋼板の表面硬さの2倍以上の硬
さを有する高力ボルト摩擦接合用スプライスプレート。
さらに必要に応じて、転造模様の最内側と最外側の半径
差に対する転造前の鋼板表面からの凸部高さ差の割合が
0.10以下で、凸部高さが半径方向外側ほど一定の割
合あるいは段階的に高く、凹部の曲率半径が0.2mm
以上である高力ボルト摩擦接合用スプライスプレート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築、橋梁などに
おける鋼構造物の摩擦接合部に利用される高力ボルト摩
擦接合用スプライスプレートに関するものである。本発
明のスプライスプレートは、安価でしかも安定して高い
すべり係数の摩擦接合面を得ることができ、これを用い
ることにより接合効率が向上し、ボルト締結本数を低減
したり、鋼構造物の安全性を高めることができる。
【0002】
【従来の技術】建築用鋼材などを直列に接合する際は、
被接合鋼材を突き合わせて、その両側にスプライスプレ
ートを添えてボルトで締め付けて接合する、いわゆる、
高力ボルト摩擦接合が一般的に採用されている。高力ボ
ルト摩擦接合において、日本建築学会の設計施工指針で
は、接合耐力上重要となる摩擦面は、黒皮除去された良
好な赤錆面で、すべり係数が0.45を上回る処理を施
すこと、また、すべり係数はすべり耐力試験により確認
する必要があるとしている。
【0003】通常、良好な赤錆状態であれば、すべり係
数は0.45を上回ることが知られており、すべり耐力
試験は省略される場合が多い。しかし、赤錆状態のすべ
り係数は0.6程度の値が得られることもあるが、環境
因子や鋼材組成などにより錆生成状態が異なるため、バ
ラツキが大きい。摩擦接合面のすべり係数は接合耐力上
高いほど好ましいことは明らかであり、鋼材表面に赤錆
を生成する方法の他に、特開昭51−52628号公報
に示されるように、接合面に施工前にショットブラスト
などにより凹凸を付けたり、特開平1−206104号
公報に示されるように、接合面に耐食性金属を溶射する
方法などが提案されている。しかし、従来の方法では、
十分な粗度を形成できないばかりでなく、凹凸の形状の
バラツキが大きいなど、得られるすべり係数に限界があ
り、ある値以上のすべり係数が得られないなどの問題が
あった。
【0004】一方、特開平6−57828号公報では、
摩擦接合面にボルト孔の締結力の影響が及ぶ範囲にわた
って3〜10mm、好ましくは5〜6mm前後の高さの
凸部を一体成形し、その凸部に高さ1〜3mm程度の刃
状の突起を形成したスプライスプレートが開示されてい
る。しかし、3〜10mm(好ましくは5〜6mm前
後)の高さの凸部を一体成形することはきわめて困難で
あり、また、仮にそのような凸部および刃状の突起が形
成された場合でも、被接合鋼材(母材)の表面硬さがス
プライスプレート側より硬い場合には、突起が十分に食
い込めず、すべりに対する抵抗とならないという問題が
あった。
【0005】これに対して、本発明者らは、先に出願し
た特開平9−165826号公報に示されるように、ボ
ルト孔周縁にボルト孔を中心とした同心円状にローレッ
ト駒を転圧・転造することにより凹凸模様を付与し、該
凸部の硬さを被接合鋼板より硬いスプライスプレートを
創案し、すべり係数の画期的な向上を図った。しかし、
この凹凸模様は、同公開公報の図1に示されるように、
放射状、回転放射状あるいは綾目状であり、回転加工機
を用いた前記模様の転造では、常に同一軌跡をたどらな
ければ、一旦形成された凹凸形状を潰してしまう場合が
あった。また、凸部を被接合鋼板に食い込ませ、すべり
に対する抵抗を得るためには、凸部先端は鋭い方が好ま
しいことは前記公開公報でも指摘したが、放射状、回転
放射状あるいは綾目状の凹凸模様(形状)で凸部先端を
鋭くするためには、転造加工時に転造駒が正確に同一軌
跡をたどる必要があり、転造駒および加工治具の加工精
度を著しく上げる必要があるとともに、転造加工に要す
る時間もかなりの長時間となり、生産性の面で問題があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、安価に合理
的な凹凸を形成することにより、安定した高いすべり係
数を発現するスプライスプレートを提供することを目的
とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
とするところは下記のとおりである。 (1)高力ボルト摩擦接合の際の添接板として用いられ
るスプライスプレートにおいて、該スプライスプレート
の摩擦接合面のボルト孔回りに、ボルト孔と同心円状
に、かつその半径方向の断面形状が連続または断続した
山形の凹凸をなし、該凸部の先端がスプライスプレート
表面よりも高く、かつ少なくとも凸部の先端部が被接合
鋼材の表面硬さよりも硬いことを特徴とする高力ボルト
摩擦接合用スプライスプレート。
【0008】(2)前記凹凸を転造により施したことを
特徴とする前記(1)記載の高力ボルト摩擦接合用スプ
ライスプレート。 (3)前記凹凸の凸部の角度が50〜120度で、かつ
凸部先端の曲率半径が0.2mm以下であることを特徴
とする前記(1)または(2)記載の高力ボルト摩擦接
合用スプライスプレート。
【0009】(4)前記凹凸の凸部高さが半径方向外側
ほど一定の割合で、あるいは段階的に高く、かつ凹凸を
施した領域の最内側と最外側の半径差に対する最内側と
最外側それぞれの鋼板表面からの凸部高さ差の割合が
0.10以下であることを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載の高力ボルト摩擦接合用スプラ
イスプレート。
【0010】(5)前記凹凸の凹部の曲率半径が0.2
mm以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)の
いずれかに記載の高力ボルト摩擦接合用スプライスプレ
ート。
【0011】
【発明の実施の形態】従来、一般的に、鋼材のすべり係
数を高めるためには、ショットあるいはグリッドブラス
トなどにより、摩擦接合面の表面粗さを増す方法が採ら
れていた。しかし、ブラスト処理などでは、表面粗さ、
すなわち表面凹凸の高低差は、鋼種やショット粒などに
もよるが、高々150μm程度であり、これによるすべ
り係数の増加には自ずと限界があった。また、本発明者
らの研究によれば、同一の表面粗さですべり係数を高め
るためには、摩擦接合面の硬さ(表面硬さ)を高める必
要があることが判明した。すなわち、摩擦接合面に適切
な凹凸を施し、かつ凸部の硬さを高めることで、すべり
係数を顕著に向上させ得ることを見出し、本発明を完成
するに至ったものである。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。図
1は本発明の一実施例を示すものである。まず、凹凸は
ボルト孔の回りに同心円状に付与する。これは、ボルト
の締結力がボルト孔の回りに同心円状に及ぶことを考慮
したためで、きわめて合理的である。また、同心円状と
することで、すべりに対する異方性がなく、鋼材に、一
軸の引張りだけでなく、曲げ、剪断成分が加わる場合に
も有効となる。
【0013】さらに、上記ボルト孔回りの同心円状の凹
凸形状は、凸部が被接合鋼材に十分に食い込み、すべり
に対する抵抗となるように、半径方向断面で連続または
断続した山形とする。半径方向断面が山形とは、上面か
ら見た凹凸加工模様がリング状であることを意味し、転
造駒は常に同一の軌跡をたどることができる。このた
め、転造加工、特に凸部形成がきわめて容易となり、転
造時間の短縮を図ることが可能となった。さらに、凸部
の角度の鋭角化や凸部先端の曲率半径を小さくすること
なども容易となり、本発明において凹凸形状の細部を構
成要素として規定することが可能となった。これらの面
で、同心円状の半径方向断面山形(上面から見てリング
状)は最も好ましい形状である。
【0014】ここで、上記のように摩擦接合面に凹凸を
付けて表面粗度を増しただけでは、すべり係数を顕著に
向上させるには不十分であり、凸部をスプライスプレー
トの表面よりも高く突き出し、かつ凸部の硬さを被接合
鋼板の硬度よりも高くすることが必要である。これは、
凸部を被接合鋼材に十分に食い込ませ、すべりに対する
抵抗とするためである。
【0015】凸部の高さは、従来のブラスト処理などよ
りも十分にその効果を享受するために、ブラスト処理な
どで得られる凸部高さ0.2mmよりも高くすることに
意味がある。逆に、凸部高さが1.0mmを超えると、
凹凸加工の容易さ、加工時間などの点で加工負荷が増加
するわりにはすべり係数の向上代が小さい。以上のこと
から、凸部の高さは0.2〜1.0mmとすることが望
ましい。
【0016】また、被接合鋼材に食い込ませるために
は、凸部を高くすると同時に凸部の硬度を高くする必要
がある。ただし、硬度を上げるのはスプライスプレート
全断面である必要はなく、被接合鋼材への食い込みの観
点から、凸部先端から少なくとも凸部高さの1/2まで
が硬ければよい。硬さは、被接合鋼材の表面硬さに対し
て硬いほどすべり係数向上の観点から好ましいが、一接
合部当たりのボルト締結本数が数百本以上に及ぶことも
ある橋梁分野においては、例えば10〜20%程度のす
べり係数の向上でもボルト締結本数を大幅に低減するこ
とが可能となるため、凸部硬さを被接合鋼板の表面硬さ
に対して固くする度合いを定量的に限定することはせ
ず、被接合鋼板の表面硬さより硬いこととした。表面凹
凸を本発明のとおり適切に付与すれば、凸部硬さが被接
合鋼板の表面硬さより少しでも硬ければ、すべり係数は
赤錆状態よりも安定して向上できる。一方、建築分野な
ど、一接合箇所当たりのボルト締結本数が必ずしも多く
ない場合には、若干(例えば20%前後)のすべり係数
の向上では実質的にボルト締結本数を低減できない場合
も出てくる。このような場合には、すべり係数を顕著に
(例えば1.5倍以上)向上させる必要があり、凸部硬
さは被接合鋼板の表面硬さの2倍以上とすることが望ま
しい。
【0017】表面硬さを増す方法は、一般的には焼入処
理が最も簡単であるが、後述するように、凹凸を形成す
る加工を転造法などにより行えば、硬い材料にも容易に
加工が可能なため、焼入処理後の鋼材でも加工可能であ
る。焼入処理は、大きな鋼材の状態で行う方がコスト、
生産性の面で有利である。また、硬い領域が鋼材全断面
にわたった場合、ドリルによるボルト孔穿孔時にドリル
の摩耗が大きくなり、逆に悪影響を及ぼすおそれがあ
り、鋼材製造段階で焼入処理を行う場合でも、表層のみ
所要硬さを有し、内層は比較的軟らかいことが望まし
い。あるいは、凹凸加工後に、表層のみを焼入れること
が可能な高周波焼入処理による硬化が望ましい。ただ
し、レーザー加工機などによってボルト孔を穿孔する場
合にはこの限りでなく、全断面が硬くてもよい。
【0018】なお、例えば橋梁分野のように、すべり係
数の向上代が小さくてもよい場合は、積極的な表層硬化
処理を特に施す必要はなく、被接合鋼板よりも高強度鋼
(例えば、HT490に対してHT570、HT69
0、HT780など)を用いることもできる。上述した
ように、スプライスプレートに高強度鋼を用いた場合は
もとより、表面硬化処理を施したことで被接合鋼板より
強度を高められる場合には、付随的な効果として、スプ
ライスプレートの板厚を、通常、被接合鋼板の板厚の半
分といわれる板厚より薄くすることが可能となり、すべ
り係数の向上によるボルト締結本数の低減に伴う面積減
と併せて、スプライスプレートの重量を大幅に低減する
ことが可能となり、現場での施工性を著しく向上でき
る。
【0019】次に、凹凸を形成する加工方法について述
べる。凹凸を形成する加工方法は、転造法で行うのがよ
い。機械切削などによる方法では、凸部は加工前の鋼板
表面よりも同じか低くなるため、凸部を鋼板表面よりも
高くするためには、摩擦接合全面を加工しなければなら
ず、長時間を要し、かつ高コストとなる。この点、転造
法によれば、押圧により凹凸を形成するので、凸部は盛
り上がり、必ず加工前の鋼板表面よりも凸部が高くなる
ため、部分的な加工で所望の凹凸形成ができる。また、
転造法によると、金属屑や金属粉が出ず、かつ工具(転
造の場合、転造駒)への負荷が小さいばかりでなく、硬
い材料にも加工可能であることなどの利点がある。硬い
材料にも転造可能であることは、前述したように、加工
前に既に十分な硬さを有する鋼材への加工も可能とな
り、製造コストの点でも非常に有利となる。これは、機
械切削法では、工具の摩耗の点で到底なし得ないもので
ある。
【0020】さらに、転造によりボルト孔の回りにボル
ト孔と同心円状に凹凸を形成する加工領域は、ボルト孔
中心から、ボルト孔半径の少なくとも2倍を半径とする
領域をカバーすることが望ましい。転造領域が広いこと
は、すべり係数には悪影響がなく広いほどよいが、ボル
ト締結による面圧は、ボルト孔周縁ほど高く、外側に行
くほど急激に低くなることから、転造加工の生産性、コ
ストなどの観点から、ボルト孔半径の5倍を半径とする
領域内であれば十分である。ただし、実際には、複数の
ボルトで締結することが多いため、隣接するボルト孔お
よびその回りの転造加工と干渉する場合や、スプライス
プレートをはみ出す場合には、自ずとその範囲内で凹凸
を形成することとなる。
【0021】なお、凹凸加工は必ずしも前記領域内全面
に施す必要はなく、一部でもよい。一部とは、半径方向
の断面形状が連続した山形(これを全面加工と呼ぶ)で
なく、断続した山形を意味し、連続した山形からいくつ
かを間引いたもので、転造の際の押圧力が小さくて済む
ため、加工効率上有利となるばかりでなく、現地での加
工が可能な可搬式など小型の装置でも加工が可能とな
る。もちろん、全面加工に比べ、すべり係数は若干劣る
ものの、用途、目標とするすべり係数によっては、まっ
たく問題とならないため、目的に応じて、加工効率など
を勘案しながら決定すればよい。
【0022】また、凸部が被接合鋼板に十分に食い込
み、すべりに対する抵抗となるように、凸部角度は50
〜120度とし、かつ凸部先端の曲率半径は0.2mm
以下とすることが望ましい。その理由は、凸部角度が1
20度より大きくなると、被接合鋼板への食い込みが不
足するためであり、一方、凸部角度が50度より小さく
なると、転造が困難となるばかりでなく、凸部が折損し
やすくなるためである。凸部先端は鋭いほど被接合鋼板
への食い込みの点から好ましいのは明らかである。ここ
で、凸部先端の曲率半径を0.2mm以下とした根拠
は、本発明者らのすべり試験の実績によるものである。
【0023】なお、凹凸は加工領域全面で同一高さが必
ずしもよいわけではない。図2(a)は、凸部高さを外
周部ほど一定の割合で、あるいは段階的に高くしたもの
である。これは、ボルト締結によるボルト孔回りの面圧
分布を考慮したものである。図2(b)において、最内
側と最外側の半径差(R−r)に対する凸部高さ差(H
−h)との割合(H−h)/(R−r)を0.10以下
とすることで、面圧の低い外側でも、十分な被接合鋼板
への食い込みを確保し、すべり係数を向上させることが
できる。(H−h)/(R−r)が0.10を超える
と、凸部が被接合鋼板に全面接触することができなくな
り、凹凸付与の効果が享受できなくなるため、上限を
0.10とした。
【0024】凹凸の凹部は、すべり係数向上には寄与し
ないが、スプライスプレートの疲労特性、破壊靱性の観
点から、凹部底の曲率半径を0.2mm以上とすること
が望ましい。転造による凹部加工は圧縮を受けるため、
疲労に対しては多少有利ではあるが、曲率半径の小さな
凹部は鋭い切り欠きを有するのと同等であり、使用状態
によっては問題となるおそれがある。
【0025】
【実施例】本発明の有用性を例示するために、本発明に
従ってスプライスプレートの表面凹凸および凸部硬度を
付与し、図3に示すような試験体を用いてすべり係数を
測定した。測定に当たっては、被接合母鋼板1にSN4
00B鋼を用い、ボルト3にはF10Tを用いた。スプ
ライスプレート2が本発明によるものである。
【0026】表1、表2(表1のつづき)はスプライス
プレートの摩擦接合面の凹凸形状、凸部硬さ、加工面
積、すべり係数その他を示したものである。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】実施例1〜9は、いずれも本発明に基づく
適切な摩擦接合面の凹凸、凸部硬さなどを有するため、
0.7以上の高いすべり係数を発現している(本発明例
9は、スプライスプレートとして、被接合母鋼板SN4
00B鋼よりも高強度鋼であるSM570Q鋼をそのま
ま使用)。これに対して、比較例10〜14では、本発
明の構成要素である凹凸形状、凸部硬さ、加工面積など
のいずれか一つあるいは複数が本発明の範囲を外れてい
るため、すべり係数が概して低い。すなわち、比較例1
0は赤錆ままの状態であり、まさに従来材と言えるもの
で、すべり係数は0.49と低い。また、比較例11は
凹凸形状は適正であるが、被接合鋼板と同一材のため、
硬さが不十分(凸部硬さ比が1.0)である。また、比
較例12は凸部高さのテーパー度合いが大きいので、内
側、特にボルト孔直近の凸部の被接合母鋼板への食い込
みが不十分なため、すべり係数は低い。さらに、比較例
13は切削加工により凹凸を形成しているため、凸部先
端と鋼板表面が同じ(凸部先端が鋼板表面から突出して
いない)となり、凸部硬さ比などは本発明の範囲内にあ
るが、すべり係数が本発明例に比べて低い値となってい
る。比較例14は凸部先端の曲率半径が大きく、被接合
母鋼板への食い込みが不十分となって、すべり係数が低
い。
【0030】
【発明の効果】本発明により、安定して高いすべり係数
を容易に得ることが可能になった。その結果、建築、橋
梁分野などにおいて、高力ボルト摩擦接合部の信頼性を
高める構造部材として提供することができ、その工業的
価値は高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を示す切断斜視図であり、
(a)は半径方向の断面形状が連続した山形の例、
(b)は半径方向の断面形状が断続した山形の例を示す
図である。
【図2】 本発明の請求項4に係る発明を示す図であ
り、(a)は切断斜視図、(b)は(a)の断面拡大図
である。
【図3】 すべり係数の測定に用いた試験体の形状を示
す図である。
【符号の説明】
1:被接合母鋼板 2:スプライスプレート 3:ボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 一郎 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高力ボルト摩擦接合の際の添接板として
    用いられる鋼材(以下、スプライスプレートと称す)に
    おいて、該スプライスプレートの摩擦接合面のボルト孔
    回りに、ボルト孔と同心円状に、かつその半径方向の断
    面形状が連続または断続した山形の凹凸をなし、該凸部
    の先端がスプライスプレート表面よりも高く、かつ少な
    くとも凸部の先端部が被接合鋼材の表面硬さよりも硬い
    ことを特徴とする高力ボルト摩擦接合用スプライスプレ
    ート。
  2. 【請求項2】 前記凹凸を転造により施したことを特徴
    とする請求項1記載の高力ボルト摩擦接合用スプライス
    プレート。
  3. 【請求項3】 前記凹凸の凸部の角度が50〜120度
    で、かつ凸部先端の曲率半径が0.2mm以下であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の高力ボルト摩擦
    接合用スプライスプレート。
  4. 【請求項4】 前記凹凸の凸部高さが半径方向外側ほど
    一定の割合で、あるいは段階的に高く、かつ凹凸を施し
    た領域の最内側と最外側の半径差に対する最内側と最外
    側それぞれの鋼板表面からの凸部高さ差の割合が0.1
    0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項に記載の高力ボルト摩擦接合用スプライスプレー
    ト。
  5. 【請求項5】 前記凹凸の凹部の曲率半径が0.2mm
    以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の高力ボルト摩擦接合用スプライスプレート。
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