JPH11228130A - リチウムセラミックス粒及びその製造方法 - Google Patents

リチウムセラミックス粒及びその製造方法

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JPH11228130A
JPH11228130A JP3656398A JP3656398A JPH11228130A JP H11228130 A JPH11228130 A JP H11228130A JP 3656398 A JP3656398 A JP 3656398A JP 3656398 A JP3656398 A JP 3656398A JP H11228130 A JPH11228130 A JP H11228130A
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JP
Japan
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particles
lithium
raw material
ceramic particles
oxide
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Withdrawn
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JP3656398A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Sawada
博司 澤田
Junpei Ohashi
準平 大橋
Katsuhiro Fuchinoue
克宏 淵之上
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Nuclear Fuel Industries Ltd
Original Assignee
Nuclear Fuel Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸化リチウム原子密度が高く、化学的に安定
なリチウムセラミックス粒及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 リチウムセラミックス粒の個々の粒子構
造がリチウム複酸化物により複数の酸化リチウム粒子を
内包した構造となっている。リチウムセラミック粒は、
酸化リチウム粉末を構成する粒子の表面に金属酸化物の
被覆を形成し、得られた被覆粉末を原料粉末に用いて造
粒し、造粒で得られた粒体を加熱してセラミックス粒と
することにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム(Li)セラ
ミックス粒及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、リチウムセラミックスは核融
合炉用トリチウム増殖材の候補材として注目されてい
る。このリチウムセラミックスとしては、酸化リチウム
(Li2O)、リチウムアルミネート(LiAlO2)、リチウムジル
コネート(Li2ZrO3) などが挙げられる。核融合燃料であ
るトリチウムはリチウムと中性子との核反応により生成
するため、酸化リチウム原子密度が高ければ高いほどト
リチウム増殖能に優れているといえる。
【0003】ここに例示したリチウムセラミックスの中
で酸化リチウム原子密度を比較すると、Li2Oは0.94 g/c
m3であり、他のリチウム複酸化物(即ち、LiAlO2、Li2Z
rO3などのLiXMYOZ で表される物質:但し、Mはメタル
元素、X,YおよびZは任意の数)は0.27〜0.51 g/cm3
である。
【0004】従って、Li2Oの酸化リチウム原子密度が他
のリチウム複酸化物の2〜4倍高い値であることから、
Li2Oからなる酸化リチウム粒は優れたトリチウム増殖能
を持つ物質であるといえる。
【0005】また、LiAlO2、Li2ZrO3 などのリチウム複
酸化物よりなるリチウム複酸化物粒は、空気中の水分と
反応せず化学的に安定であるため、取り扱いが容易であ
るという利点を持っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、優れた
トリチウム増殖能を持つとされるLi2O粒は化学的に不安
定であり、空気中に放置すると空気中の水分と容易に反
応してLiOHあるいはLiOH水和物となる。
【0007】そのため、Li2O粒をトリチウム増殖材とし
て選択する場合は、水分を全く含まない雰囲気中でLi2O
粒を製造、保存及び使用しなければならないので、Li2O
粒の製造装置や、Li2O粒の保存容器、さらには核融合炉
にLi2O粒を投入する寸前までのすべての工程において水
分の存在しない雰囲気中で行わなければならず、取り扱
い上の制約が大きく、設備費もその分高くついてしまう
という難点がある。
【0008】また、リチウム複酸化物粒は化学的に安定
であるため、Li2O粒をトリチウム増殖材として選択する
場合のような難点は生じないが、酸化リチウム原子密度
が低いため、トリチウム増殖能が低く、効率的に核融合
反応を進めることができないという難点がある。
【0009】以上のことから本発明は、酸化リチウム原
子密度が高く、化学的に安定なリチウムセラミックス粒
及びその製造方法を提供することを主目的としている。
また、空気中の水分などの成分と反応しないリチウムセ
ラミックス粒及びその製造方法を提供することも本発明
の別の目的である。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めの本発明によるリチウムセラミックス粒は、複数のLi
2O粒子がリチウム複酸化物(LiXMYOZ:但し、MはAl、Z
r、Si、Tiのうちの少なくとも1種の金属元素、X、Y
及びZは任意の数)により被覆されてひとつの粒を形成
してなることを特徴とする。
【0011】本発明で云うLi2O粒子は、製品として必要
とするリチウムセラミックス粒よりも小さなサイズのも
のであり、例えば、Li2O粉末を構成するごく微小なサイ
ズのLi2Oミクロパウダー粒子などが挙げられる。
【0012】また、リチウム複酸化物は、トリチウム増
殖能を有し且つ化学的に安定な物質であれば良く、その
ようなものとしては、例えば、LiAlO2、Li2ZrO3、Li2Si
O3、Li4SiO4、Li2TiO3などが挙げられる。
【0013】従って、本発明によるリチウムセラミック
ス粒では、個々の粒子構造がリチウム複酸化物により複
数のLi2O粒子を包んだ構造となっているため、リチウム
複酸化物のみからなる従来のリチウムセラミックス粒よ
りも酸化リチウム原子密度の高いものとすることができ
る。また、個々の粒体の表面にLi2Oが露出することはな
く、表面がリチウム複酸化物で覆われているため、化学
的に安定なリチウムセラミックス粒となる。勿論、この
リチウムセラミックス粒は、空気中に放置しても水分な
どの成分と反応しないので取り扱いが容易であり、従っ
てこのリチウムセラミックス粒を利用する器具・装置に
も負担をかけないという利点がある。
【0014】本発明は、係る特徴的なリチウムセラミッ
クス粒を製造するための方法も提供し、このリチウムセ
ラミック粒の製造方法は、Li2O粉末を構成するLi2O粒子
の表面に金属酸化物からなる被覆を形成する皮膜形成工
程と、この皮膜形成工程により得られた被覆Li2O粉末を
原料粉末に用いて該原料粉末から粒体を形成する造粒工
程と、この造粒工程で得られた粒体を加熱してセラミッ
クス粒とする焼結工程とを含むことを特徴とする。
【0015】即ち、皮膜形成工程ではLi2O粉末を構成す
るLi2O粒子を金属酸化物により被覆し、その後、造粒工
程ではこの被覆Li2O粒子の集まりである粉末を原料粉末
に用いて造粒を行う。これにより、造粒された粒体は、
個々の粒体が複数の被覆Li2O粒子の集りで構成されるこ
とになる。このような被覆Li2O粒子の集りからなる粒体
は次いで焼結工程において加熱され、これにより粒体内
の個々のLi2O粒子を被覆している金属酸化物とLi2Oとの
反応によりリチウム複酸化物(LiXMYOZ:但し、Mは金属
元素、X,YおよびZは任意の数)の結合被覆層を形成
させる。
【0016】この場合のLi2O粉末はごく微小なLi2O粉末
粒(Li2O粒子と称す)の集まりである。本発明では、造
粒に先立って皮膜形成工程によりそのようなLi2O粒子を
金属酸化物で被覆し、得られた被覆Li2O粒子を原料粉末
に用いる。尚、Li2O粒子を金属酸化物で被覆する方法と
しては、ここでは特に限定するものではないが、一般的
には蒸着法などを利用すればよい。
【0017】このような皮膜形成工程を経て得た原料粉
末では、Li2O成分が金属酸化物の被覆によって周囲雰囲
気からほぼ遮断された状態となるため、その保管中や次
工程以降における取扱に際して、Li2O成分と周囲雰囲気
中(例えば、空気中)の水分との反応によるLiOHまたは
LiOH水和物の生成を防ぐことができる。
【0018】造粒工程では、金属酸化物で被覆された被
覆Li2O粒子の集りからなる原料粉末から粒体を造粒す
る。この場合、造粒された粒体の一つ一つは、それぞれ
複数個の原料粉末の集まりからなる。造粒方法について
は、ここでは特に限定するものではないが、例えば回動
ドラムなどの回動体により機械的に造粒する転動造粒法
や、ゲル化可能な担体液中に被覆Li2O粉末を分散させ、
これをゲル化浴中に滴下してゲル粒とした後、加熱処理
などによって担体のゲルを除去するというような湿式造
粒法などを利用することができる。
【0019】また、本発明における造粒工程は、粒体を
構成する複数の被覆Li2O粒子の表面の金属酸化物を融解
または溶融し、被覆Li2O粒子の金属酸化物同士を互いに
融着させることにより複数の被覆Li2O粒子を結合させて
被覆の密な個々の粒体を形成する過程を含んでいても良
い。
【0020】勿論、本発明による製造方法では造粒工程
中も原料粉末のLi2O成分が金属酸化物の被覆によって周
囲雰囲気から遮断された状態に保たれているため、造粒
時の周囲雰囲気をコントロールしなくてもLi2O成分が周
囲雰囲気中に含まれる水分と反応する恐れはない。
【0021】焼結工程では、造粒工程で得られた粒体を
加熱し、粒体中の金属酸化物とLi2Oとを互いに反応させ
てリチウム複酸化物(LiXMYOZ:但し、Mはメタル元素、
X,YZは任意の数)に変換する。
【0022】このときの焼結雰囲気は、例えばアルゴン
ガスなどのような精製・混合調整された不活性ガスとし
ても良いが、必ずしもそのようなガスにする必要はな
く、加熱された空気中での焼結も可能である。
【0023】また焼結温度は、基本的には金属酸化物が
Li2Oと焼結反応するのに適した温度とするが、好ましく
は1000℃以上1450℃以下の温度範囲内とするとよい。即
ち、焼結温度が1000℃よりも低いと金属酸化物とLi2Oと
の反応が不充分となって焼結時間が長くなり、一方、14
50℃よりも高温になると焼結中にLiが蒸発して好ましく
ない。
【0024】以上のようにして得られる個々の粒体は、
リチウムセラミックスとしての複数のLi2O粒子が同様に
リチウムセラミックスとしてのリチウム複酸化物に包ま
れて1つの粒を形成しており、全体としてはやはりリチ
ウムセラミックス粒である。このリチウムセラミックス
粒の全表面はリチウム複酸化物で覆われており、リチウ
ム複酸化物は化学的に安定であるため、得られたリチウ
ムセラミックス粒は周囲雰囲気中に含まれる水分と反応
して変性することがない。勿論、このリチウムセラミッ
クス粒中のLi2O粒子はリチウム複酸化物内に埋没被包さ
れているため、本来は化学的に不安定なLi2O成分が周囲
から遮断された状態に保たれ、従来から懸念されていた
周囲雰囲気中(例えば、空気中)の水分とLi2Oとの接触
による不都合が起きる恐れはない。
【0025】即ち、本発明による製造方法で得られるリ
チウムセラミックス粒は、リチウム複酸化物とLi2O粒子
との複合体であるため、単なるリチウム複酸化物の粒体
よりも酸化リチウム原子密度が高いものとなる。また、
このリチウムセラミックス粒は化学的に安定なリチウム
複酸化物で表面が覆われた構成であるため、保管及び取
扱に際して周囲雰囲気の管理が容易となり、長期に亘っ
て変性しないと言う利点を有している。
【0026】本発明の別の特徴によれば、上述のリチウ
ムセラミックス粒の製造方法において、前記皮膜形成工
程は、アルミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、シリコン
(Si)およびチタン(Ti)からなる群から少なくとも1種の
金属を選択し、予め定められた酸素分圧に調整した雰囲
気中にて前記金属を蒸発させて、Li2O粉末を構成するLi
2O粒子の表面に金属酸化物として蒸着する蒸着工程を含
んでいる。
【0027】即ち、この場合、Li2O粉末を構成するLi2O
粒子は、個々の粒子毎に、或いは幾つかの粒子の集まり
毎に、皮膜形成工程において蒸着により金属酸化物で被
覆されることになる。
【0028】蒸着工程は、予め定められた酸素分圧に調
整した雰囲気中において行うが、この酸素分圧は、Al、
Zr、Si、Tiのうちから選択された金属のシードが蒸発し
た際に、これが容易に酸化してLi2O粒子表面に被着する
ように、蒸着金属の種類に応じて決定される。
【0029】本発明の更に別の特徴によれば、上述のリ
チウムセラミックス粒の製造方法において、前記造粒工
程は、前記原料粉末を高分子樹脂化合物の水溶液に分散
させて滴下原液を得る原液調製工程と、該滴下原液をア
セトン浴中に滴下して高分子樹脂化合物の水溶液をゲル
化させることによりゲル粒とするゲル粒形成工程と、得
られたゲル粒を加熱して高分子樹脂化合物のゲルを取り
除くゲル除去工程とを含んでいる。
【0030】即ち、この場合の造粒工程には、アセトン
中でゲル化可能な高分子樹脂化合物の水溶液におけるゲ
ル化作用を利用した湿式造粒法が採用されている。被覆
Li2O粒子からなる原料粉末を高分子樹脂化合物水溶液に
分散担持させた滴下原液が準備され、この原液はアセト
ン浴中に滴下されて粒状にゲル化される。ゲル粒体は浴
中から取り出されて加熱されることにより高分子樹脂化
合物水溶液のゲルが除去された粒体となり、この粒体が
焼結工程に付される。
【0031】原液調製工程においては、前記皮膜形成工
程で得られた被覆Li2O粒子からなる原料粉末を高分子樹
脂化合物の水溶液に分散担持させて滴下原液とする。こ
の場合に用いる高分子樹脂化合物は水溶液がアセトン中
でゲル化するものであれば良く、例えばポリビニルアル
コールやデキストリンなどを用いることができる。
【0032】原液調製工程で準備した滴下原液は、ゲル
粒形成工程において振動ノズルや滴下電極などのノズル
装置を用いてアセトン浴中に滴下する。この滴下は気中
を介してアセトン浴面に原液の液滴を落下させる方式以
外にも、ノズルで形成した液滴を浴中に静かに衝撃なく
移行させる種々の方式を採用することができ、いずれに
せよ液滴はその表面張力によりほぼ球形で浴中に入り、
その大きさはノズル振動数やノズル装置からの吐出流量
又は圧力の調整で生後可能である。このようにして粒状
となった液滴をアセトンと接触させることにより液滴の
高分子樹脂化合物の水溶液をゲル化させ、原料粉末が分
散担持されたゲル粒を形成する。尚、滴下した液滴をア
セトン浴中にしばらく放置してゲル粒を熟成させても良
い。
【0033】ゲル除去工程では、ゲル粒形成工程で得ら
れたゲル粒をアセトン浴から取り出し、乾燥させて表面
に付着した液体を取り除いた後、予め定めた温度で加熱
することによりゲル粒中の高分子樹脂化合物水溶液のゲ
ルを焼散させる。このとき、同時に粒内の被覆Li2O粒子
表面の金属酸化物被覆を溶融して互いに融着させ、粒の
形を固定する。従って、このときの加熱温度は、ゲルが
焼散する温度で且つ被覆Li2O粒子表面の金属酸化物が溶
融する温度とする。
【0034】本発明の更に別の特徴によれば、上述のリ
チウムセラミックス粒の製造方法において、前記造粒工
程は、前記原料粉末から転動造粒によって粒体を形成す
る工程を含んでいる。
【0035】即ち、この場合は前記皮膜形成工程で得ら
れた原料粉末を転動造粒によって機械的に造粒するもの
であり、原料粉末に適当なバインダーを添加してロータ
ーによる回転ころがり運動によって転動造粒を行い、こ
れにより適当な粒径の粒体を効率よく得ることができ
る。
【0036】造粒装置としては、バインダーを加えた原
料粉末に回転ころがり運動を与えるものであれば良く、
既存の種々の装置、例えば円筒状の容器を用いるドラム
型造粒機などを用いることができる。ドラム型造粒機に
は、原料粉末投入ドラムがドラム中心軸を回動中心とし
て回動する構成のものと、原料粉末投入ドラムがドラム
中心軸から予め定められた距離だけ離れた軸を中心とし
て遊星運動する構成のものとがあるが、特に後者の構成
の造粒機は、複数のドラムを同時に回転させる構成とす
ることもできるので、大量の原料粉末を短時間に処理す
る場合に適している。
【0037】ドラム形造粒機以外にも、原料粉末を傾斜
円盤上に投入して円盤の回転により原料粉末に回転ころ
がり運動を与えるフライングソーサー型造粒機、逆円錐
台形の容器を傾斜軸回りに回転させることにより容器内
に投入した原料粉末に回転ころがり運動を与えるコーン
型造粒機などを用いても良い。勿論、本発明はこれら脂
溶する造粒機の構成で限定されるものではないことは言
うまでもない。
【0038】尚、これら造粒機を用いて粒体を形成する
場合、原料粉末に増粘剤を添加混合したものに回転ころ
がり運動を与え造粒してもよいし、原料粉末を特定の温
度で熱分解する担体物質中に分散させ、これに熱を加え
ながら回転ころがり運動を与えて造粒してもよい。後者
の場合、造粒機による造粒後、担体物質を除去するため
に加熱工程を必要とするが、前者の方法で得られる粒体
よりも小さな粒体を得ることができるという利点があ
る。尚、担体物質としては、例えばメチルアルコール(C
2H5OH)と塩化メチレン(CH2Cl2)とHPC(Hydroxypropyl Ce
llulose)との混合物などが挙げられる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の限定を意図しない
単なる例示のための実施例による図面を参照して本発明
の実施の形態を詳細に説明すると、図1は本発明による
製造方法の一例に係る工程を模式的に示すフローチャー
ト図である。
【0040】本例において、皮膜形成工程では蒸着法を
用い、造粒工程では高分子樹脂化合物の水溶液のゲル化
作用を利用する湿式造粒法を採用している。また、Li2O
粉末を構成するLi2O粒子の表面被覆用金属酸化物として
は酸化チタンを用い、高分子樹脂化合物としてはポリビ
ニルアルコールを用いている。
【0041】(a) 皮膜形成工程 平均粒径10μmのLi2O粒子からなるLi2O粉末を用い、こ
のLi2O粉末を空気と非接触状態に保って雰囲気可変炉に
入れ、しばらく放置した。雰囲気可変炉内の雰囲気は、
酸素分圧が約10-4Torrに調整されたアルゴンガス中にTi
を飽和させた雰囲気となっているが、Tiは酸素より酸化
されるため、酸化チタンが飽和した雰囲気となってい
る。そのため、Li2O粒子は、図2に示したように表面が
酸化チタン膜で覆われた被覆Li2O粒子となり、この酸化
チタン膜で覆われた被覆Li2O粒子の集りを次工程以後の
原料粉末とした。
【0042】(b) 造粒工程 前記皮膜形成工程で得た原料粉末を、濃度10wt%に調整
したポリビニルアルコールの水溶液に投入し、20wt%以
上30wt%以下の濃度で原料粉末(酸化チタン膜で覆われ
た被覆Li2O粒子)を均一に分散させた5wt%ポリビニル
アルコールを含む滴下原液を得た(原液調整工程)。
【0043】この滴下原液を振動ノズルから−20℃に調
整されたアセトン浴中に滴下し、液滴をアセトン浴中で
1時間ほど放置して熟成させた。これにより滴下された
原液の液滴はアセトン浴中で完全にゲル化し、酸化チタ
ン膜で覆われた被覆Li2O粒子が内部に分散したゲル粒と
なった(ゲル粒形成工程)。
【0044】次にアセトン浴中からゲル粒を取り出し、
大気中にて常温(約25℃)下で24時間乾燥させ、乾燥ゲ
ル粒とした。この乾燥ゲル粒をアルゴンガス中にて 400
℃で6時間加熱した。これにより、乾燥ゲル球からポリ
ビニルアルコールのゲルが除去されると共に、酸化チタ
ン膜同士が融着するので複数のLi2O粒子が酸化チタンで
内包された粒体が得られた(ゲル除去工程)。この粒体
の表面は全て酸化チタンで覆われており、Li2O粒子が露
呈することはなかった。
【0045】(c) 焼結工程 このようにして得られた粒体をアルゴンガス中にて1400
℃で4時間加熱した。これにより、酸化チタンが粒中の
リチウムと反応してリチウムタイタネートとなり、図3
に示したような複数のLi2O粒子がリチウムタイタネート
に内包されたリチウムセラミックス粒が得られた。
【0046】得られたリチウムセラミックス粒の1000粒
についてリチウム原子密度を測定して平均を出したとこ
ろ、約0.7g/cm3であった。この値から、Li2Oのリチウム
原子密度0.94g/cm3およびリチウム複酸化物の原子密度
0.27〜0.51g/cm3に対し、本発明によって得られるリチ
ウムセラミックス粒は比較的高いトリチウム増殖能を備
えていることが判った。
【0047】図4は、本発明によるリチウムセラミック
ス粒の製造方法の別の一例に係る工程を模式的に示すフ
ローチャート図である。本例では、皮膜形成工程で得た
原料粉末を、造粒機を用いた転動造粒法により粒体にし
ている。尚、他の条件(皮膜形成方法、選択した金属の
種類、焼結条件など)は、図1で示した例の場合と同様
である。以下、図4について簡単に説明する。
【0048】(a) 皮膜形成工程 平均粒径10μmのLi2O粒子からなるLi2O粉末を用い、こ
のLi2O粉末を空気と非接触状態に保って雰囲気可変炉に
入れ、しばらく放置した。雰囲気可変炉内の雰囲気は、
酸素分圧が約10-4Torrに調整されたアルゴンガス中にTi
を飽和させた雰囲気となっているが、Tiは酸素より酸化
されるため、酸化チタンが飽和した雰囲気となってい
る。そのため、Li2O粒子は、図2に示したように表面が
酸化チタン膜で覆われた被覆Li2O粒子となり、この酸化
チタン膜で覆われた被覆Li2O粒子の集りを次工程以後の
原料粉末とした。
【0049】(b) 造粒工程 皮膜形成工程で得た原料粉末を、粒状化を容易にするた
めの少量のポリビニルアルコールと共にパン型の転動造
粒装置に投入し、回転数が約100rpm以上200rpm以下の範
囲内となるように調整して造粒した。
【0050】(c) 焼結工程 得られた乾燥粒体をアルゴンガス中にて1400℃で4時間
加熱した。これにより酸化チタンが粒中のリチウムと反
応してリチウムタイタネートとなり、図3に示したよう
な複数のLi2O粒子がリチウムタイタネートに内包された
リチウムセラミックス粒が得られた。
【0051】得られたリチウムセラミックス粒の1000粒
についてリチウム原子密度を測定して平均を出したとこ
ろ、約0.68g/cm3 であった。この値も、本例で得られた
リチウムセラミックス粒が比較的高いトリチウム増殖能
を備えていることを示している。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、個々の
粒子構造がリチウム複酸化物により複数のLi2O粒子を包
んだ構造のリチウムセラミックス粒を得ることができ
る。このような粒子構造のリチウムセラミックス粒は、
単にリチウム複酸化物のみからなる従来のリチウムセラ
ミックス粒よりも酸化リチウム原子密度が高く、また個
々の粒体の表面にLi2Oが露出することなく全表面がリチ
ウム複酸化物で覆われているため、化学的に安定であ
る。このため、本発明によるリチウムセラミックス粒は
空気中に放置しても水分などの成分と反応しないので取
り扱いが容易であり、従ってこのリチウムセラミックス
粒を利用する器具・装置にも負担をかけないという利点
がある。
【0053】また本発明による製造方法では造粒工程中
も原料粉末のLi2O成分が金属酸化物の被覆によって周囲
雰囲気から遮断された状態に保たれているため、造粒時
の周囲雰囲気をコントロールしなくてもLi2O成分が周囲
雰囲気中に含まれる水分と反応する恐れはなく、更に、
得られるリチウムセラミックス粒は化学的に安定なリチ
ウム複酸化物で表面が覆われた構成であるため、保管及
び取扱に際して周囲雰囲気の管理が容易となり、長期に
亘って変性しないと言う利点を有している。
【0054】従って、本発明により得られるリチウムセ
ラミックス粒をトリチウム増殖材として使用した場合、
取り扱いに気を使う必要がないばかりでなく、トリチウ
ム増殖能も比較的高いため、効率的に核融合反応を進め
ることができよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による製造方法の一例に係る工程を模式
的に示すフローチャート図である。
【図2】酸化チタンで被覆されたLi2O粒子の概念図であ
る。
【図3】本発明で得られるリチウムセラミックス粒の粒
子構造を示す概念図である。
【図4】本発明による製造方法の別の一例に係る工程を
模式的に示すフローチャート図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のLi2O粒子がリチウム複酸化物(Li
    XMYOZ:但し、MはAl、Zr、Si、Tiのうちの少なくとも1
    種の金属元素、X、Y及びZは任意の数)により被覆さ
    れてひとつの粒を形成してなることを特徴とするリチウ
    ムセラミックス粒。
  2. 【請求項2】 Li2O粉末を構成するLi2O粒子の表面に金
    属酸化物からなる被覆を形成する皮膜形成工程と、 前記皮膜形成工程により得られた被覆Li2O粉末を原料粉
    末に用いて該原料粉末から粒体を形成する造粒工程と、 前記造粒工程で得られた粒体を加熱してセラミックス粒
    とする焼結工程とを含むことを特徴とするリチウムセラ
    ミックス粒の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記皮膜形成工程は、Al、Zr、Si、Tiの
    うちの少なくとも1種の金属を選択し、この選択された
    金属を予め定められた酸素分圧に調整した雰囲気中で蒸
    発させて、Li2O粉末を構成するLi2O粒子の表面に金属酸
    化物として蒸着する蒸着工程を含むことを特徴とする請
    求項2に記載のリチウムセラミックス粒の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記造粒工程は、前記原料粉末を高分子
    樹脂化合物の水溶液に分散させて滴下原液を得る原液調
    製工程と、前記滴下原液をアセトン浴中に滴下すること
    により高分子樹脂化合物の水溶液をゲル化させてゲル粒
    とするゲル粒形成工程と、得られたゲル粒を加熱して高
    分子樹脂化合物のゲルを取り除くゲル除去工程とを含む
    ことを特徴とする請求項2又は3に記載のリチウムセラ
    ミックス粒の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記造粒工程は、前記原料粉末から転動
    造粒によって粒体を形成する工程を含むことを特徴とす
    る請求項2又は3に記載のリチウムセラミックス粒の製
    造方法。
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