JPH11189674A - 新規な熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

新規な熱可塑性樹脂組成物

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JPH11189674A
JPH11189674A JP36758697A JP36758697A JPH11189674A JP H11189674 A JPH11189674 A JP H11189674A JP 36758697 A JP36758697 A JP 36758697A JP 36758697 A JP36758697 A JP 36758697A JP H11189674 A JPH11189674 A JP H11189674A
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JP
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resin
basic amino
amino acid
thermoplastic resin
acyl
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JP36758697A
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Sukeyuki Tanaka
祐之 田中
Naoki Yasuda
直樹 安田
Katsuhiro Otsuka
勝弘 大塚
Ryohei Watanabe
良平 渡辺
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MATSUMURA SANGYO KK
NP KASEI KK
Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
MATSUMURA SANGYO KK
NP KASEI KK
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱可塑性樹脂を成型したときに、耐熱老化性を
改善できる優れた添加剤或いは熱可塑性樹脂組成物を提
供する。 【解決手段】本発明のN−アシル塩基性アミノ酸と充填
剤とを、更に、必要により酸化防止剤、特に常温常圧下
で固体状酸化防止剤を、それぞれ本発明で使用する特定
の熱可塑性樹脂に配合して得られた熱可塑性樹脂組成物
により、これから成型して得られる樹脂成型物の強度物
性及び耐熱老化性が著しく改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な熱可塑性樹
脂組成物、詳しくはそれを成型したときに熱可塑性樹脂
の耐熱老化性を著しく改善することができる熱可塑性樹
脂組成物、それより成型して得られる樹脂成型物及び当
該成型物を含む末端製品(樹脂成型品)に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を使用して、例えば混練成
型して得られる樹脂成型物は樹脂成型品、例えばバンパ
ー製品やインストルメンタルパネルのような自動車部
品、コンピュータハウジングのような電気部品、断熱材
のような建築用品等として多くの分野で使用されてい
る。
【0003】従来、これらの樹脂成型物や成型品を製造
する場合、加熱をしながら混練することが行われている
がこの際生ずる着色の発生や樹脂強度の低下等の点で耐
熱老化性に問題があった。そこで、これを防止すべく酸
化防止剤を添加することが行われていた(酸化防止剤ハ
ンドブック、大成社、昭和51年10月25日初版発行
参照)。
【0004】この様な場合に使用される酸化防止剤とし
て、フェノール系、リン系、アミン系、硫黄系等の酸化
防止剤を添加、使用することにより着色、樹脂強度の低
下を防止しているが、酸化防止剤の分散性が悪く、又、
多量に添加しても着色防止能等を十分に発揮することが
できないし、多量に添加すると、樹脂強度の低下や経済
性の点で障害ともなる。
【0005】他の方法として、脂肪酸、脂肪酸Ca塩等
の脂肪酸金属石鹸、脂肪酸アミド等の通常滑剤として使
用される添加剤を使用する方法もあるが、これ等の方法
では十分な分散効果が得られず、樹脂成型物からブリー
ドアウトし(浸み出し)易い。耐熱老化性改善を目的と
してポリグリセリンと、ヒドロキシカルボン酸の縮重合
物:ポリエステルとの縮合物を用いることが知られてい
る(特開平08−302065号公報参照)が、耐熱老
化性の面で必ずしも満足が得られない。又、熱可塑性樹
脂に、ポリグリセリン脂肪酸エステルを無機フィラーと
共に配合した組成物により耐衝撃性、耐候性を向上でき
ることが報告されている(特開平4−202429号公
報参照)が、同様に上記耐熱老化性については必ずしも
十分な改善が得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記に問題点や課題を
含めて説明した従来の技術から明らかな如く、熱可塑性
樹脂を成型したときに、耐熱老化性を改善できる添加剤
或いは熱可塑性樹脂組成物を提供することが課題となっ
ている。
【0007】本発明の目的は、上記課題の解決、即ち、
特に少量の添加物で成型された熱可塑性樹脂成型物の耐
熱老化性を改善できる熱可塑性樹脂組成物、更にはそれ
より成型して得られる樹脂成型物やそれを含む末端製品
(成型品)を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、N−アシル塩
基性アミノ酸と充填剤を熱可塑性樹脂に併用配合して得
られた熱可塑性樹脂組成物が、これより成型して得られ
る樹脂成型物の強度物性及び耐熱老化性に極めて優れて
いることを見出し、本発明を完成するに到った。ここ
で、熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチ
レン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及
びエンジニアリングプラスチックから成る群より選択さ
れる少なくとも1種を含む樹脂である。
【0009】更に、必要により酸化防止剤を添加、配合
すると一段と効果が高まるので好ましい。即ち、本発明
は、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びエンジニアリン
グプラスチックから成る群より選択される少なくとも1
種を含む熱可塑性樹脂、N−アシル塩基性アミノ酸及び
充填剤を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂組成
物、これより成型して得られる樹脂成型物や成型品、及
び当該組成物に適したN−アシル塩基性アミノ酸と充填
剤の2種を、少なくとも混合又は組み合わせて含有する
熱可塑性樹脂の耐熱老化性改善剤、並びに当該対象の熱
可塑性樹脂である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。
本発明で使用するN−アシル塩基性アミノ酸は、塩基性
アミノ酸の少なくとも1つのアミノ基又はイミノ基がア
シル化された誘導体であり、α−位でないN−、例えば
Nω−アシル塩基性アミノ酸が耐熱老化性改善や流動性
改善の点で好ましい。
【0011】本発明のN−アシル塩基性アミノ酸を構成
する塩基性アミノ酸は、塩基性アミノ酸であれば何れも
採用可能である。L−体に限らず他の異性体、例えばD
−体やDL−体、これら混合物も採用可能である。塩基
性アミノ酸の種類としては、天然に存在し入手し易いと
いう点でリジン、オルニチン、ヒスチジン及びアルギニ
ン、α・γ−ジアルキル酪酸、及びそれらのNα−低級
アルキル置換体が好ましいが、耐熱老化性改善の点で特
にリジン及びオルニチンが好ましい。
【0012】本発明で使用するN−アシル塩基性アミノ
酸は、同一種類のN−アシル塩基性アミノ酸、即ち1種
類の塩基性アミノ酸の同一アシル基によるN−アシル体
でもよく、又複数の異種N−アシル体によるN−アシル
体混合物であってもよい。例えば、同一脂肪酸を構成す
るアシル基によりNω−アシル化された形のアシル体
と、当該脂肪酸を構成するアシル基とは異なる脂肪酸の
アシル基により塩基性アミノ酸のNω−アミノ基がアシ
ル化された形のN−アシル体との混合物でもよい。又、
それを構成する塩基性アミノ酸の種類が複数含まれる混
合物も、本発明のN−アシル塩基性アミノ酸として使用
可能である。
【0013】本発明で使用するN−アシル塩基性アミノ
酸を塩基性アミノ酸から製造する場合の塩基性アミノ酸
は、工業的に製造されている市販品を購入、入手するこ
とができ、例えば味の素製のリジン及びオルニチンを購
入、使用すればよい。
【0014】本発明で使用されるN−アシル塩基性アミ
ノ酸を製造する場合、従来技術を利用して行うこともで
きる。例えば、塩基性アミノ酸を常法のアシル化方法、
特にNω−位アミノ基(及び/又はイミノ基)をアシル
化する方法に付すとよい(例えば、特公昭51−286
10号公報参照)。
【0015】別途、N−アシル塩基性アミノ酸を直接製
造することもできるし、又、例えばモノカルボン酸エス
テルやモノカルボン酸クロライドを使用して製造するこ
ともできる。
【0016】塩基性アミノ酸とモノカルボン酸とを反応
させてN−アシル塩基性アミノ酸を製造する場合のモノ
カルボン酸としては炭化水素系モノカルボン酸が好まし
く、その場合カルボキシル基を1個有する以外は水酸
基、アミノ基、メルカプト基等のカルボキシル基と反応
する官能基を有しない1個のカルボキシル基のみを官能
基として有する有機化合物(炭化水素)が特に好まし
い。更に好ましくは、1個のカルボキシル基以外では分
子内に酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を
を有しないモノカルボン酸であり、例えば炭素数5〜3
1の直鎖若しくは分岐鎖の、飽和又は不飽和アルキル基
(炭化水素残基)を有するモノカルボン酸がより好まし
い。
【0017】前記不飽和アルキル基は、飽和炭化水素基
ではなく、その中に1個か複数の二重結合及び/又は三
重結合を有する炭化水素残基を意味する。芳香族環や脂
環式環を含まない方が好ましい。
【0018】塩基性アミノ酸とモノカルボン酸の直接反
応によりN−アシル塩基性アミノ酸を製造する場合に使
用される脂肪酸としては、例えばカプロン酸、エナンチ
ル酸、カプリル酸、ノナン酸、カプリン酸、オクチル
酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、パルミチ
ン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、
イソノナン酸、アラキン酸等の脂肪族モノカルボン酸等
が挙げられる。
【0019】塩基性アミノ酸のカルボン酸塩から脱水反
応によりN−アシル塩基性アミノ酸を製造する場合は、
例えば上記のモノカルボン酸の塩を使用して加温による
通常の脱水をしながら行われる。通常反応温度は90〜
250℃で行うのが好ましい。250℃以上であると、
反応生成物に着色をきたし、90℃以下であると反応時
間が長くなり、何れも好ましくない。又、反応は窒素気
流下で行う方が着色の少いものが得られる点で好まし
い。反応時間としては0.5〜24時間行うのが一般的
である。反応に際して、反応溶剤や触媒を使用すること
ができる。
【0020】上記脱水反応に溶剤を使用する場合、用い
られる反応溶剤としては、トルエン、キシレン、n−ヘ
キサン、石油エーテル、流動パラフィン等の炭化水素系
溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等
の無水の有機溶剤溶剤が好ましい。
【0021】本発明で使用される熱可塑性樹脂として
は、熱可塑性を示す樹脂であればよいが、その主成分と
して、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含塩素樹脂は耐
熱老化性の改善効果が得られ難いため好ましくない。本
発明で使用できる熱可塑性樹脂としては例えばポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン
共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステ
ル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共
重合体、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、6ナイ
ロン、66ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリフェニ
レンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエー
テルエーテルケトン、ポリイミド等のエンジニアリング
プラスチック、その他複合材料の分野で使用される熱可
塑性樹脂を挙げることができ、これら複数の樹脂を併用
することもできる。
【0022】これらの中で、上記N−アシル塩基性アミ
ノ酸との相溶性、耐熱老化性改善の点でポリオレフィン
系樹脂が好適であり、ポリプロピレン樹脂やエチレン−
プロピレン共重合体樹脂がより適している。
【0023】本発明で使用する充填剤としては、通常複
合材料の分野で用いられるものであれば特に限定されな
い。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、
セラミック繊維(炭化珪素繊維、アルミナ繊維等)、金
属繊維等の繊維類や、ケイ砂、ケイ石、砂利、川砂、海
砂、砕石、カーボンブラック、アセチレンブラック、松
煙、黒鉛、アイボリーブラック、ボーンブラック、パイ
ンブラック、酸化チタン、酸化鉄黒、マンガン黒、イル
メナイト黒、黄鉛、カドミウム黄、亜鉛黄、シアナミド
鉛、ネープルス黄、ウルトラマリン黄、雄黄、朱、カド
ミウム赤、アンチモン赤、ベンガラ、ウルトラマリンレ
ッド、ウルトラマリンバイオレット、コバルトバイオレ
ット、マンガンバイオレット、プルシアンブルー、コバ
ルト青、酸化クロム緑、ギネー緑、クロム緑、亜鉛緑、
緑土、緑青、花緑青、酸化鉄黄、オーカー、シーンナ、
アンバー、ホワイトカーボン、合成ケイ酸塩、無定形シ
リカ、白亜、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、水酸化
カルシウム、ごふん、バライト粉、硫酸バリウム、クレ
イ、との粉、地の粉、タルク、シリカ、ガラス粉、けい
石粉、けいそう土、アスベスト、ワラストナイト、ケイ
酸カルシウム、アルミナ、石膏、アルミニウム粉、ブロ
ンズ粉、鉛丹、シアナミド鉛、クロム酸鉛、硫酸鉛、亜
鉛末、亜酸化鉛、MO・Fe23(MはBa、Sr、C
a、Mg、Zn、Pbの一種又2種以上)より成るフェ
ライト磁性粉末、サマリウム、コバルト、ネオジウム鉄
コバルト、ジルコニウムコバルト、アルミニウム、鉄、
亜鉛、銅、銀、ニッケル、タングステン、モリブデン、
レニウム、ニオブ、タンタル、鉛等を挙げることがで
き、これ等の単独又は複数を使用することができる。
【0024】特に、充填剤としてタルクを使用すると熱
可塑性樹脂成型物はタルク等の充填剤を添加しない場合
と比較して耐熱老化性及び加工性の改善効果が著しく大
きいことが分かった。タルク以外では、加工性改善の効
果(例えば、成型速度の促進)の点でガラス繊維等の繊
維類や、マイカ、クレイ、アスベスト、ワラストナイ
ト、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、ゾノトラ
イト、セピオライト、モスハイジ等が好ましく、粉体の
取り扱い易さ、加工性や経済性の点でより好ましくはガ
ラス繊維、マイカ、クレイ等が挙げられるが、耐熱老化
性の点で更に固体状酸化防止剤を併用するとその効果が
特に著しい点でタルクが最適である。タルクは、特にポ
リエチレン樹脂やエチレン−プロピレン共重合体樹脂等
のポリオレフィン系樹脂に対する効果が著しい。
【0025】本発明で使用するN−アシル塩基性アミノ
酸で処理された充填剤を使用すると少量のN−アシル塩
基性アミノ酸の添加で充分効果的である点で好ましく、
その製造方法としては、例えば(1)充填剤にN−アシ
ル塩基性アミノ酸をそのまま添加し、ヘンシェルミキサ
ー、ボールミル、アトマイザーコロイドミル、バンバリ
ミキサーの攪拌機を用いて表面処理をする乾式法や
(2)塩基性アミノ酸とモノカルボン酸を充填剤に吸着
させた後、加熱し、充填剤表面でN−アシル塩基性アミ
ノ酸を生成させ、同時に表面処理を行う方法(特開昭6
1−4770号公報参照)、や(3)エタノールの塩化
カルシウム溶液中でN−アシル塩基性アミノ酸と充填剤
を混合し、表面処理を行う方法(特開昭60−6756
5号公報参照)等を援用して実施すればよい。
【0026】本発明で酸化防止剤を併用使用する場合、
相乗的に効果が改善されるが、その場合の酸化防止剤の
例として、それ自体常温常圧で固体状が好ましく、通常
複合材料の分野で使用されるものであれば特に限定され
ないが、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、
2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチル
フェノール)、テトラキス{メチレン−3(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト}メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−ト
リス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジ
ル)ベンゼン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−
ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン等のフ
ェノール系酸化防止剤、トリイソデシルホスファイト、
ジフェニルイソデシルホスファイト、トリフェニルホス
ファイト、トリノニルフェニルホスファイト等のリン系
酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステ
アリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオ
ジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、フェニル−β
−ナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニ
レンジアミン等のアミン系酸化防止剤等が挙げられる
が、これらを2種類以上併用することもできる。
【0027】酸化防止剤が常温常圧で液体状の場合、樹
脂や粉体等と混合する際不均一になり易く、一方固体状
の場合、それ自体の分散性が悪いために本発明で使用さ
れるN−アシル塩基性アミノ酸がその分散剤としての作
用を示し、耐熱老化防止に大きく寄与する。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂組成物中のN−アシ
ル塩基性アミノ酸及び充填剤の配合量に関しては、好ま
しくは熱可塑性樹脂100重量部に対して、N−アシル
塩基性アミノ酸0.005〜10重量部、更に好ましく
は0.05〜1重量部程度を、充填剤0.1〜300重
量部、更に好ましくは1〜100重量部を、それぞれ配
合すればよい。
【0029】上記熱可塑性樹脂100重量部に対するN
−アシル塩基性アミノ酸の配合量に関し、当該10重量
部を超える場合、成型物の強度低下を来たし、又、0.
005重量部未満の場合、期待する効果が得られないの
で、何れも好ましくない。
【0030】上記熱可塑性樹脂100重量部に対する充
填剤の配合量に関し、当該300重量部を超える場合、
樹脂組成物の加工が困難であり、又、0.01重量部未
満の場合、充填剤の使用目的である補強効果等がそれ程
得られないので、何れも好ましくない。
【0031】本発明においてはN−アシル塩基性アミノ
酸と充填剤に加えて、更に酸化防止剤を併用して配合使
用することもできその場合、その配合比率としては酸化
防止剤、例えば固体状の酸化防止剤100重量部に対
し、好ましくはN−アシル塩基性アミノ酸0.1〜10
00重量部で使用することができる。更に好ましくは1
〜500重量部である。1000重量部以上では熱可塑
性樹脂組成物の耐熱老化性はそれ以上改善せず、樹脂成
型物の機械的強度の低下を来たし、0.1重量部以下で
は本発明で得られる効果がそれ程大きくないので、それ
ぞれ好ましくない。
【0032】本発明の熱可塑性樹脂組成物を具体的に製
造する方法として、例えば1)例えば固体状である酸化
防止剤を必要により予めN−アシル塩基性アミノ酸で処
理を行ってから熱可塑性樹脂、更に充填剤その他必要に
よりその他の添加剤と混合、混練する方法、2)本発明
のN−アシル塩基性アミノ酸、熱可塑性樹脂、充填剤及
びその他の添加剤を一度に混合、混練する方法、或いは
3)タルク等の充填剤に予め本発明のN−アシル塩基性
アミノ酸で処理を行い、処理を行った充填剤と必要によ
り添加する酸化防止剤及び熱可塑性樹脂を混合、混練す
る方法等がある。以下に、熱可塑性樹脂組成物の具体的
な製造方法を説明する。
【0033】本発明で酸化防止剤を併用使用することが
できることは前記の通りであるが、例えばN−アシル塩
基性アミノ酸で処理された酸化防止剤、例えば固体状酸
化防止剤を調製して使用する場合の調製方法としては、
固体状酸化防止剤にN−アシル塩基性アミノ酸をそのま
ま添加し、ヘンシェルミキサー、ボールミル、アトマイ
ザーコロイドミル、バンバリミキサーの攪拌機を用いて
表面処理をする乾式法等を採用して実施すればよい。
【0034】本発明の組成物を用いて樹脂成型物を製造
する場合、特に困難は無く、常法の樹脂成型方法を利用
することができるが、その製造方法を例示すると、上記
方法で製造した熱可塑性樹脂組成物を用いて、ロール、
プレス、押し出し成型機、トランスファー成型機、射出
成型機により成型して、樹脂成型物を容易に取得するこ
とができる。当然のことながら、得られる樹脂成型物や
成型品も本発明の範囲内にある。
【0035】更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、
必要に応じて本発明の特徴を損なわない範囲で、その他
の添加剤、安定剤、有機又は無機の顔料、染料、可塑
剤、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸アミド等の滑剤、整泡
剤、発泡剤、リン酸エステル、アンチモン、ブロム系等
の難燃剤、紫外線吸収剤、モノグリセライド、アミン化
合物等の帯電防止剤、造核剤(ポリマーの結晶化を促進
し、透明な成型品を与える。)を1種又は複数併用して
含まれることができる。
【0036】本発明には、前記樹脂組成物は勿論、それ
より成型して得られる樹脂成型物や成型品が含まれる
が、更に、N−アシル塩基性アミノ酸及び充填剤の2種
を少なくとも含有する(これ等複数が混合して含まれる
場合や、混合されてはいないがそのために組み合わされ
た形で含まれる場合でもよい。)熱可塑性樹脂用の耐熱
老化性改善剤及びその対象となる熱可塑性樹脂も含まれ
る。
【0037】
【本発明の作用】本発明により得られる効果は以下の機
構で発現するものと考えられる。本発明で使用されるN
−アシル塩基性アミノ酸は、熱可塑性樹脂等の有機マト
リクスとの濡れ性が良好なため、混練時の粘度を低下さ
せることができる。この他、使用されるN−アシル塩基
性アミノ酸が存在することにより樹脂成型物の耐熱老化
性も向上する。耐熱老化性の向上の原因は、樹脂中又は
充填剤に含まれる不純物、例えば鉄や銅等の金属とN−
アシル塩基性アミノ酸がキレートを形成することにより
酸化防止作用を奏することができ、樹脂組成物の耐熱老
化性を一段と向上させるものと考えられる。
【0038】
【実施例】次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びそれ
より成型して得られる樹脂成型物について、その内容を
実施例及び比較例を挙げて詳細に説明する。尚、以下の
実施例は本発明の範囲を限定するものではなく、本発明
の内容をより明確に例示するためにのみ使用される。
又、各例における「部」および「%」はいずれも重量基
準によるものである。
【0039】(実施例1)N−アシル塩基性アミノ酸の
合成1 600mlの反応容器を用いてリジンステアリン酸塩3
5.0gをキシレン300ml中に懸濁し、これを加熱
沸騰させ、共沸蒸留により生成した水を系外に除去し
た。理論量の水を除去したことを確認した後(反応時間
3時間)、冷却後、析出した結晶を濾別し、50%エタ
ノール水100mlで洗浄した。硫酸水溶液を用いて再
結晶してNε−ステアロイルリジン28.8g(収率8
5.9%)を得た(誘導体Aとする)。
【0040】(実施例2)N−アシル塩基性アミノ酸の
合成2 600mlの反応容器を用いてリジンオクタン酸塩3
5.0gをキシレン300ml中に懸濁し、これを加熱
沸騰させ、共沸蒸留により生成した水を系外に除去し
た。理論量の水を除去したことを確認した後(反応時間
3時間)、冷却後、析出した結晶を濾別し、50%エタ
ノール水100mlで洗浄した。硫酸水溶液を用いて再
結晶してNε−オクタノイルリジン26.9g(収率8
1.9%)を得た(誘導体Bとする)。
【0041】(実施例3)N−アシル塩基性アミノ酸の
合成3 600mlの反応容器を用いてオルニチンオレイン酸塩
35.0gをキシレン300ml中に懸濁し、これを加
熱沸騰させ、共沸蒸留により生成した水を系外に除去し
た。理論量の水を除去したことを確認した後(反応時間
3時間)、冷却後、析出した結晶を濾別し、50%エタ
ノール水100mlで洗浄した。硫酸水溶液を用いて再
結晶してNδ−オレイルオルニチン29.1g(収率8
6.9%)を得た(誘導体Cとする)。
【0042】(実施例4)熱可塑性樹脂組成物及び樹脂
成型物の製造1 N−アシル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジ
ン(味の素製フェイメックスL−12)0.02kg、
タルク(松村産業製、ハイ・フィラー #5000P
J、平均粒径1.4〜1.8μm)2kg、及び110
℃、5時間にて予備乾燥した高結晶性エチレン−プロピ
レン共重合体樹脂(市販無安定化樹脂使用)10kgを
混合し(1720rpm,5分)、2軸混練機(池貝
製、PCM30/30型)で混練後(シリンダー温度;
C1=100,C2=220,C3=210,C4=2
10,C5=20、AD(アダプター温度)=220、
スクリュー回転数=250rpm、吐出量=8kg/時
間)、ペレット化を行った。得られたペレットを用い
て、JIS K7210に従い流れ性試験を実施した。
更に、得られたペレットから射出成型機(日本製鋼所、
クロックナーF85、シリンダー温度;ノズル=220
℃、前部=220℃、中央部=210℃、後部=200
℃、射出圧力=360kg/cm2、射出スピード=2
0%、金型温度=45℃)を用い、JIS K7152
に準拠して射出成型を行い、JIS K7139の多目
的試験片を調製した。得られた試験片の外観を目視にて
評価するとともに、曲げ強度(降伏値)をそれぞれJI
S K7203に準じて測定を行った。次に、JIS
K7212に従い熱老化性試験を行い外観の変化を観察
し、評価の結果を表1に示す。 メルトフロー(流れ性)試験条件:230℃、2.16
kgf、A法。JISK7210準拠。 熱老化性試験:表面のひび割れ、外観により評価を実施
(状態の良いものから順番に5〜1の5段階で評価)。
【0043】
【表1】
【0044】(実施例5)実施例4において、N−アシ
ル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジン(味の
素製フェイメックスL−12)0.02kg使用する代
わりに実施例1で得られた誘導体A 0.02kg使用
すること以外何ら変更することなく実施例4を繰り返
し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造し
た(表1参照)。
【0045】(実施例6)実施例4において、N−アシ
ル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジン(味の
素製フェイメックスL−12)0.02kg使用する代
わりに実施例2で得られた誘導体B 0.02kg使用
すること以外何ら変更することなく実施例4を繰り返
し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造し
た(表1参照)。
【0046】(実施例7)実施例4において、N−アシ
ル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジン(味の
素製フェイメックスL−12)0.02kg使用する代
わりに実施例3で得られた誘導体C 0.02kg使用
すること以外何ら変更することなく実施例4を繰り返
し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造し
た(表1参照)。
【0047】(実施例8)実施例4において、Nε−ラ
ウロイルリジン(味の素製フェイメックスL−12)
0.02kg使用する代わりに同化合物0.005kg
使用すること以外何ら変更することなく実施例4を繰り
返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造
した(表1参照)。
【0048】(実施例9)実施例4において、Nε−ラ
ウロイルリジン(味の素製フェイメックスL−12)
0.02kg使用する代わりに同化合物0.1kg使用
すること以外何ら変更することなく実施例4を繰り返
し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造し
た(表1参照)。
【0049】(比較例1)実施例4において、Nε−ラ
ウロイルリジン(味の素製フェイメックスL−12)を
使用しないこと以外は何ら変更することなく実施例4を
繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を
製造した(表1参照)。
【0050】(比較例2−4)実施例4において、Nε
−ラウロイルリジン(味の素製フェイメックスL−1
2)を使用する代わりにグリセリンモノステアリン酸エ
ステル(東京化成製)、ステアリン酸カルシウム塩(東
京化成製)又はエチレンビスステアリン酸アミド(東京
化成製)をそれぞれ使用すること以外は何ら変更するこ
となく実施例4を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物
及び樹脂成型物を製造した(表1参照)。
【0051】(実施例10)熱可塑性樹脂組成物及び樹
脂成型物の製造2 N−アシル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジ
ン(味の素製フェイメックスL−12)0.02kg、
酸化防止剤として固体状酸化防止剤:テトラキス{メチ
レン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート}メタン(チバガイギー製、I
RGANOX1010)0.005kg、タルク(松村
産業製、ハイ・フィラー #5000PJ、平均粒径
1.4〜1.8μm)2kg、及び110℃、5時間に
て予備乾燥した高結晶性エチレン−プロピレン共重合体
樹脂(市販無安定化樹脂使用)10kgを混合し(17
20rpm,5分)、2軸混練機(池貝製、PCM30
/30型)で混練後(シリンダー温度;C1=100,
C2=220,C3=210,C4=210,C5=2
0、AD(アダプター温度)=220、スクリュー回転
数=250rpm、吐出量=8kg/時間)、ペレット
化を行った。得られたペレットを用いて、JIS K7
210に従い流れ性試験を実施した。更に、得られたペ
レットから射出成型機(日本製鋼所、クロックナーF8
5、シリンダー温度;ノズル=220℃、前部=220
℃、中央部=210℃、後部=200℃、射出圧力=3
60kg/cm2、射出スピード=20%、金型温度=
45℃)を用い、JIS K7152に準拠して射出成
型を行い、JIS K7139の多目的試験片を調製し
た。得られた試験片の外観を目視にて評価するととも
に、曲げ強度(降伏値)をそれぞれJIS K7203
に準じて測定を行った。次に、JIS K7212に従
い熱老化性試験を行い外観の変化を観察し、評価の結果
を表2に示す。 メルトフロー試験条件:230℃、2.16kgf、A
法。JIS K7210準拠。 熱老化性試験:表面のひび割れ、外観により評価を実施
(状態の良いものから順番に5〜1の5段階で評価)。
【0052】
【表2】
【0053】(実施例11)実施例10において、N−
アシル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジン
(味の素製フェイメックスL−12)0.02kg使用
する代わりに実施例1で得られた誘導体A 0.02k
g使用すること以外何ら変更することなく実施例10を
繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を
製造した(表2参照)。
【0054】(実施例12)実施例10において、N−
アシル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジン
(味の素製フェイメックスL−12)0.02kg使用
する代わりに実施例2で得られた誘導体B 0.02k
g使用すること以外何ら変更することなく実施例10を
繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を
製造した(表2参照)。
【0055】(実施例13)実施例10において、N−
アシル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジン
(味の素製フェイメックスL−12)0.02kg使用
する代わりに実施例2で得られた誘導体C 0.02k
g使用すること以外何ら変更することなく実施例10を
繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を
製造した(表2参照)。
【0056】(実施例14)実施例10において、Nε
−ラウロイルリジン(味の素製フェイメックスL−1
2)0.02kg使用する代わりに同化合物0.005
kgを使用すること以外何ら変更することなく実施例1
0を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型
物を製造した(表2参照)。
【0057】(実施例15)実施例10において、酸化
防止剤として固体状酸化防止剤:2,6−ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾール(川口化学製、アンテージBHT)
を使用する以外何ら変更することなく実施例10を繰り
返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物を製造
した(表2参照)。
【0058】(実施例16)実施例10において、固体
状酸化防止剤としてテトラキス{メチレン−3(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート}メタン(チバガイギー製、IRGANOX10
10)0.0025kgとトリス(2,4−ジ−t−ブ
チル)ホスファイト(旭電化製、MARK2112)
0.0025kgを使用すること以外何ら変更すること
なく実施例10を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物
及び樹脂成型物を製造した(表2参照)。
【0059】(比較例5)実施例10において、Nε−
ラウロイルリジン(味の素製フェイメックスL−12)
を使用しないこと以外何ら変更することなく実施例10
を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型物
を製造した(表2参照)。
【0060】(比較例6−8)実施例10において、N
ε−ラウロイルリジン(味の素製フェイメックスL−1
2)を使用する代わりにグリセリンモノステアリン酸エ
ステル(東京化成製)、ステアリン酸カルシウム塩(東
京化成製)又はエチレンビスステアリン酸アミド(東京
化成製)をそれぞれ使用すること以外は何ら変更するこ
となく実施例10を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成
物及び樹脂成型物を製造した(表2参照)。
【0061】(実施例17)熱可塑性樹脂組成物及び樹
脂成型物の製造3 N−アシル塩基性アミノ酸としてNε−ラウロイルリジ
ン(味の素製フェイメックスL−12)0.02kg、
タルク(松村産業製、ハイ・フィラー #5000P
J、平均粒径1.4〜1.8μm)2kg、及び110
℃、5時間にて予備乾燥したポリアミド樹脂(市販無安
定化樹脂使用)10kgを混合し(1720rpm,5
分)、2軸混練機(KCK80×2−35VEX
(6))で混練後(フィード温度;60℃、混練1温度
=220℃,混練2温度=220℃,ベンド温度=23
5℃、ネータリング温度=235℃、ダイス温度=23
5℃、スクリュー回転数=70rpm、吐出量=10.
3kg/時間)、ペレット化を行った。得られたペレッ
トを用いて、JIS K7210に従い流れ性試験を実
施した。更に、得られたペレットから射出成型機(日本
製鋼所、N40−BI1、シリンダー温度;ノズル=2
80℃、前部=280℃、中央部=275℃、後部=2
70℃、射出圧力=800kg/cm2、金型温度=6
0〜70℃)を用い、JIS K7152に準拠して射
出成型を行い、JIS K7139の多目的試験片を調
製した。得られた試験片の外観を目視にて評価するとと
もに、曲げ強度(降伏値)をそれぞれJIS K720
3に準じて測定を行った。次に、JISK7212に従
い熱老化性試験を行い外観の変化を観察し、評価の結果
を表3に示す。 メルトフロー試験条件:280℃、2.16kgf、A
法。 熱老化性試験:表面のひび割れ、外観により評価を実施
(状態の良いものから順番に5〜1の5段階で評価)。
【0062】
【表3】
【0063】(比較例9)実施例17において、Nε−
ラウロイルリジン(味の素製フェイメックスL−12)
を使用しないこと以外は何ら変更することなく実施例1
7を繰り返し、同様に熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成型
物を製造した(表3参照)。
【0064】(比較例10−12)実施例17におい
て、Nε−ラウロイルリジン(味の素製フェイメックス
L−12)を使用する代わりにグリセリンモノステアリ
ン酸エステル(東京化成製)、ステアリン酸カルシウム
塩(東京化成製)又はエチレンビスステアリン酸アミド
(東京化成製)をそれぞれ使用すること以外は何ら変更
することなく実施例17を繰り返し、同様に熱可塑性樹
脂組成物及び樹脂成型物を製造した(表3参照)。
【0065】表1〜表3の結果から明らかなように、本
発明で使用するN−アシル塩基性アミノ酸及び充填剤を
併用使用することにより耐熱老化性において優れた効果
が見られる。又、通常使用される滑剤(グリセリンモノ
ステアリン酸エステル、ステアリン酸カルシウム塩、エ
チレンビスステアリン酸アミド)は各種物性、特に強度
物性を低下させるが、耐熱老化性の改善には効果がない
ことも分かった。又、表2から、酸化防止剤を含有する
ことにより、熱老化性が著しく改善できることも分かっ
た。
【0066】
【発明の効果】本発明のN−アシル塩基性アミノ酸、充
填剤及び熱可塑性樹脂を、必要によりこれに更に酸化防
止剤を加えて、含有する熱可塑性樹脂組成物は、これよ
り成型して樹脂成型物としたときに耐熱老化性の点で極
めて著しく改善される。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 77/00 C08L 77/00 101/00 101/00 (72)発明者 安田 直樹 東京都中央区京橋一丁目15番1号 味の素 株式会社内 (72)発明者 大塚 勝弘 群馬県佐波郡玉村町川井155−1 エヌピ ー化成株式会社内 (72)発明者 渡辺 良平 東京都千代田区内神田3−4−14 朝陽ビ ル2F 松村産業株式会社東京営業所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹
    脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂及びエンジ
    ニアリングプラスチックから成る群より選択される少な
    くとも1種を含む熱可塑性樹脂、N−アシル塩基性アミ
    ノ酸及び充填剤を含有することを特徴とする熱可塑性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】N−アシル塩基性アミノ酸を構成するアシ
    ル基が、炭素数5〜31の直鎖若しくは分岐鎖、飽和又
    は不飽和の炭化水素系モノカルボン酸を構成するアシル
    基である請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹
    脂及び/又はエチレン−プロピレン共重合体樹脂である
    請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂、ポ
    リスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系
    樹脂及び/又はエンジニアリングプラスチックであり、
    N−アシル塩基性アミノ酸がα−位でないN−アシル塩
    基性アミノ酸である請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】熱可塑性樹脂100重量部に対して、それ
    ぞれ、N−アシル塩基性アミノ酸0.005〜10重量
    部、及び充填剤0.1〜300重量部を含有する請求項
    1記載の組成物。
  6. 【請求項6】N−アシル塩基性アミノ酸を構成する塩基
    性アミノ酸がリジン、アルギニン、オルニチン及びヒス
    チジンの少なくとも1種である請求項1記載の組成物。
  7. 【請求項7】熱可塑性樹脂がポリプロプレン樹脂及び/
    又はエチレン−プロピレン共重合体樹脂であり、充填剤
    がタルクである請求項1記載の組成物。
  8. 【請求項8】前記請求項の何れかに記載の組成物を使用
    して得られたことを特徴とする樹脂成型物及び当該成型
    物を含む製品。
  9. 【請求項9】前記請求項の何れか一つに規定されるN−
    アシル塩基性アミノ酸及び充填剤の2種を、少なくとも
    含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂、ポリ
    スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹
    脂及びエンジニアリングプラスチックから成る群より選
    択される少なくとも1種を含む熱可塑性樹脂の耐熱老化
    性改善剤及びその対象となる熱可塑性樹脂。
JP36758697A 1997-09-02 1997-12-26 新規な熱可塑性樹脂組成物 Withdrawn JPH11189674A (ja)

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EP00125782A EP1086985B1 (en) 1997-09-02 1998-08-27 Thermoplastic resin composition, agent for improving thermal aging resistance of thermoplastic resin, and resin molded article obtained therefrom
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WO2014142266A1 (ja) * 2013-03-14 2014-09-18 味の素株式会社 化粧料組成物

Cited By (5)

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