JPH11170344A - 射出ブロー成形体 - Google Patents

射出ブロー成形体

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JPH11170344A
JPH11170344A JP34640397A JP34640397A JPH11170344A JP H11170344 A JPH11170344 A JP H11170344A JP 34640397 A JP34640397 A JP 34640397A JP 34640397 A JP34640397 A JP 34640397A JP H11170344 A JPH11170344 A JP H11170344A
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injection blow
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parison
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雅則 滝田
Hiroaki Takemura
博明 竹村
Shingo Odajima
信吾 小田嶋
Keiji Sakamoto
桂司 坂本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コールドパリソン法を用いた場合に成形性の
良好な射出ブロー成形体を提供すること。 【解決手段】 ポリオレフィン系樹脂からなるコールド
パリソンを用いて得られる射出ブロー成形体であって、
該ポリオレフィン系樹脂の固体粘弾性測定で得られる、
弾性率E(Pa)−温度T(℃)の関係における、該ポ
リオレフィン系樹脂の融解に伴う弾性率低下の勾配Sが
0〜−0.2の範囲内にあることを特徴とする射出ブロ
ー成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオレフィン系
樹脂からなる射出ブロー成形体に関し、更に詳しくはコ
ールドパリソン法を用いた場合に成形性の良好な射出ブ
ロー成形体に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】射出ブ
ロー成形体は一般にホットパリソン法およびコールドパ
リソン法によって製造される。ホットパリソン法は、射
出成形された直後の高温状態にあるパリソン(プリフォ
ーム)を割型内に導入し、直ちに該パリソン内にエアー
を吹き込むか、又はパリソンを温調後、該パリソン内に
エアーを吹き込んで所定の形状にブロー成形する方法で
ある。一方、コールドパリソン法は、射出成形されたパ
リソンを一旦冷却・固化させ、別工程において該パリソ
ンを所定の加熱手段で加熱した後に割型内に導入して該
パリソン内にエアーを吹き込んで所定の形状にブロー成
形する方法である。
【0003】これらの方法で得られる成形体のうち、ポ
リエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂から
なるものは、ホットパリソン法およびコールドパリソン
法の何れの方法を用いても容易に成形することができ
る。しかし、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオ
レフィン系樹脂からなる成形体は、ホットパリソン法お
よびコールドパリソン法の何れの方法を用いても成形が
容易ではなく、特にコールドパリソン法によって成形す
ることは非常に難しい。とりわけ、ポリオレフィン系樹
脂からなる厚肉の扁平容器や非対称性容器をコールドパ
リソン法を用いて成形することは極めて困難である。
【0004】ところで、射出ブロー成形用のポリオレフ
ィン系樹脂に関する従来の技術としては、例えば特開昭
63−162740号公報や特開平6−179776号
公報に記載のもの等が知られている。これらのうち、特
開昭63−162740号公報には、エチレン含量が2
0重量%以下のプロピレン系樹脂5〜99重量%とエチ
レン含量が75重量%以上のエチレン系樹脂1〜95重
量%とからなるMFRが0.5〜4.0g/10分のオ
レフィン系樹脂組成物が記載されている。また、特開平
6−179776号公報には、DSCの溶融ピークが二
つ以上あり、融解範囲最大値が120〜165℃であ
り、融解ピークの半値幅が10℃より広く、1/4ピー
ク高さ幅が15℃より大きいポリオレフィン成形組成物
が記載されている。
【0005】しかしながら、特開昭63−162740
号公報に記載の技術はホットパリソン法の成形性の改善
を図ることを目的としており、同公報においてはコール
ドパリソン法の成形性、特に厚肉の扁平容器や非対称性
容器の成形性については何ら考慮されていない。同様
に、特開平6−179776号公報にも、厚肉の扁平容
器や非対称性容器をコールドパリソン法によって成形す
る際の成形性については何ら記載されていない。
【0006】従って、本発明の目的は、コールドパリソ
ン法を用いた場合に成形性の良好な射出ブロー成形体を
提供することにある。また、本発明の目的は、特にコー
ルドパリソン法による厚肉の扁平容器や非対称性容器の
成形性が良好な射出ブロー成形体を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、射出ブロ
ー成形体を形成するポリオレフィン系樹脂の弾性率と温
度との関係に着目し鋭意検討した結果、弾性率の温度変
化が緩やかな樹脂はコールドパリソン法による成形性が
良好であることを見出し更に検討を推し進めたところ、
融解に伴う弾性率低下の勾配が特定の範囲内にあるポリ
オレフィン系樹脂からなる射出ブロー成形体により上記
目的が達成されることを知見した。
【0008】本発明は上記知見に基づきなされたもの
で、ポリオレフィン系樹脂からなるコールドパリソンを
用いて得られる射出ブロー成形体であって、該ポリオレ
フィン系樹脂の固体粘弾性測定で得られる、弾性率E
(Pa)−温度T(℃)の関係における、該ポリオレフ
ィン系樹脂の融解に伴う弾性率低下の勾配Sが0〜−
0.2の範囲内にあることを特徴とする射出ブロー成形
体を提供することにより上記目的を達成したものであ
る。
【0009】また、本発明は、コールドパリソンを用い
た射出ブロー成形用ポリオレフィン系樹脂であって、該
ポリオレフィン系樹脂の固体粘弾性測定で得られる、弾
性率E(Pa)−温度T(℃)の関係における、該ポリ
オレフィン系樹脂の融解に伴う弾性率低下の勾配Sが0
〜−0.2の範囲内にあることを特徴とする射出ブロー
成形用ポリオレフィン系樹脂を提供するものである。
【0010】また、本発明は、ポリオレフィン系樹脂か
らなるコールドパリソンを所定手段によって加熱した後
に割型内に導入し、該パリソンの内部に高圧エアーを吹
き込み該パリソンをブロー成形する工程を含む射出ブロ
ー成形体の製造方法において、上記ポリオレフィン系樹
脂として、固体粘弾性測定で得られる、弾性率E(P
a)−温度T(℃)の関係における、該ポリオレフィン
系樹脂の融解に伴う弾性率低下の勾配Sが0〜−0.2
の範囲内にあるポリオレフィン系樹脂を用いることを特
徴とする射出ブロー成形体の製造方法を提供するもので
ある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の射出ブロー成形体は、ポ
リオレフィン系樹脂からなるコールドパリソンを用いて
得られるものである。本明細書において、「コールドパ
リソン」とは、雄型のコアと雌型のキャビティとで構成
される閉鎖された空間内に溶融樹脂を射出して成形され
た有底パリソンであって、冷却・固化されたものをい
う。また、本明細書において「射出ブロー成形」とは、
加熱され軟化した有底パリソンを割型ではさみ、該有底
パリソンの内部にエアーを吹き込んでブロー成形する方
法のみならず、加熱されて軟化した有底パリソンを割型
ではさみ、該有底パリソンの内部にストレッチピンを挿
入して該有底パリソンを延伸してからエアーを吹き込ん
でブロー成形する方法(射出延伸ブロー成形)をも意味
する。
【0012】上記ポリオレフィン系樹脂は、その固体粘
弾性測定で得られる弾性率E(Pa)−温度T(℃)の
関係における、該ポリオレフィン系樹脂の融解に伴う弾
性率低下の勾配Sが0〜−0.2の範囲内にあるもので
ある。本発明において、勾配Sは、上記ポリオレフィン
系樹脂の弾性率Eと温度Tとの関係から、勾配S=
〔(ΔlogE)/(ΔT)〕より求められる。その具
体的な測定方法は後述する。斯かるポリオレフィン系樹
脂を用いることによって、コールドパリソン法を用いた
場合に成形性の良好な射出ブロー成形体を得ることがで
き、特にコールドパリソン法による厚肉扁平容器や非対
称性容器の成形性が良好な射出ブロー成形体を得ること
ができる。更に詳しくは、勾配Sが−0.2より小さい
場合には、割型内でパリソンをブロー成形する際に該パ
リソンに穴が開いたり、或いは成形体が白化してしま
う。一方、勾配Sが0を超えることは起こり得ない。こ
の理由は、測定中の該ポリオレフィン系樹脂が温度上昇
により炭化する前に、試験片が溶融して切れたり、或い
は測定不能となり測定が終了する為である。勾配Sの好
ましい範囲は0〜−0.18であり、更に好ましくは0
〜−0.13である。
【0013】本発明において、弾性率Eおよび勾配Sは
下記のようにして測定される。上記ポリオレフィン樹脂
から、厚さ50μm、長さ37mm、幅5mmの試験片
を、Solids Analyzer RSA−II(レ
オメトリックス社製)のチャック間に、チャック間距離
22.5mmで取り付ける。試験片の初期長は、該試験
片を測定開始温度まで昇温/安定させた後に、ロードセ
ルで検知される荷重がゼロになるようチャック間距離を
調節した後の当該チャック間距離とする。次いで、この
試験片に周波数0.16Hzで荷重を加え、弾性率Eを
測定する。弾性率Eの測定は、30℃から2℃おきに行
い、試験片が溶融して測定不能になるまで行う。
【0014】このようにして測定された弾性率Eから勾
配Sを求める。即ち、まず、図1に示すように、測定さ
れた弾性率Eの対数値を温度Tに対してプロットしたグ
ラフを作成する。このグラフにおける弾性率Eの測定点
を低温側から3点ずつとり、この3点について回帰直線
を求める。この作業を、測定点を高温側に1点ずつシフ
トさせながら行う。即ち、図1に示す例では、まず、点
1〜点3に関して回帰直線L1を求め、次に点2〜点4
に関して回帰直線L2を求め、更に同様に点3〜点5、
点4〜点6、・・・に関してそれぞれ回帰直線を求め
る。このようにして求められたそれぞれの回帰曲線につ
いて相関係数r2 および勾配を求める。相関係数r
2 は、弾性率Eの測定点が高温側に向かうほど1から離
れていく傾向を一般に示すが、この相関係数r2 が0.
95より小さくなった直前の回帰直線における勾配を勾
配Sの値として採用する。図1に示す例では、点8〜1
0の回帰直線L8における相関係数r2 が0.95で、
点9〜11の回帰直線L9における相関係数r2 が0.
88であるから、相関係数r2 が0.95より小さくな
った直前の回帰直線である回帰直線L8における勾配を
勾配Sの値とする。
【0015】尚、回帰直線の相関係数r2 および勾配S
の値は統計学的に下記式(1)及び(2)からそれぞれ
算出される。
【0016】
【数1】
【0017】
【数2】
【0018】本発明において用い得るポリオレフィン系
樹脂としては、勾配Sの値が上記範囲内にあるものであ
れば如何なるものでも用いることができる。その例とし
ては、エチレンの重合体、プロピレンの重合体、エチレ
ン−プロピレン共重合体、一種以上のα−オレフィンを
含むエチレン主体のエチレン−α−オレフィン共重合
体、一種以上のα−オレフィンを含むプロピレン主体の
プロピレン−α−オレフィン共重合体のような単一のポ
リオレフィン系樹脂が挙げられる。また、二種以上のα
−オレフィンの重合体および/又は共重合比の異なる二
種以上の、上記プロピレン−α−オレフィン共重合体か
らなる樹脂組成物、上記プロピレン−α−オレフィン共
重合体または該樹脂組成物にエチレン系樹脂を30重量
%以下ブレンドしてなる樹脂組成物のような樹脂組成物
も挙げられる。即ち、本明細書において「ポリオレフィ
ン系樹脂」とは、単量体成分としてオレフィンが用いら
れる単一の重合体および共重合体、並びに該重合体や共
重合体を含む樹脂組成物を意味する。
【0019】上記α−オレフィンとしては、例えば上記
ポリオレフィン系樹脂がエチレン主体の共重合体である
場合は、炭素数3〜20のものが好ましく、特に、1−
ヘキセン、1−オクテン、1−ペプテン、4−メチルペ
ンテンが好ましい。上記ポリオレフィン系樹脂がプロピ
レン主体の共重合体である場合は、炭素数2〜10のも
のが好ましく、特に、エチレン、1−ブテンが好まし
い。また、プロピレンやエチレンに対してのα−オレフ
ィンの共重合比は、2.5〜15が好ましい。上記α−
オレフィンは一種又は二種以上が用いられる。
【0020】上記ポリオレフィン系樹脂のうち、(a)
一種以上のα−オレフィンを含むプロピレン主体のプロ
ピレン−α−オレフィン共重合体、(b)二種以上のα
−オレフィンの重合体および/若しくは共重合比の異な
る二種以上の上記(a)の共重合体からなる樹脂組成
物、又は(c)上記(a)の共重合体もしくは上記
(b)の樹脂組成物にエチレン系樹脂を30重量%以下
ブレンドしてなる樹脂組成物を用いると、成形性が一層
良好なるので好ましい。特に、プロピレン主体のプロピ
レン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合
体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合体、及びこれ
ら2種以上の共重合体を含む樹脂組成物、更に上記共重
合体および/又は樹脂組成物に低密度ポリエチレンを加
えた混合物を用いることが好ましい。二種以上の樹脂を
混合して用いる場合、ドライブレンドして成形機に供
給する方法、二軸混練機等であらかじめ溶融混練して
ペレット化したものを成形機に供給する方法等が可能で
ある。の方法は製造コストの点でより好ましく、の
方法は成形性、外観等の点でより好ましい。
【0021】上記ポリオレフィン系樹脂は、勾配Sが上
記範囲内にあることに加えて、メルト・フロー・レート
(以下、「MFR」という)が1〜50g/10分、特
に1〜30g/10分の範囲にあることが成形性の点か
ら好ましい。更に詳しくはMFRが1g/10分に満た
ないと射出成形が困難となる場合があり、50g/10
分を超えるとブロー成形性が悪くなる場合があるので、
上記範囲内とすることが好ましい。MFRは、JIS−
7210(条件14)に従い、荷重21.18N、温度
230℃の条件下で測定されたものである。尚、MFR
は、上記ポリオレフィン樹脂が単一の重合体や共重合体
である場合には、当該重合体や共重合体のMFRを意味
し、上記ポリオレフィン樹脂が樹脂組成物である場合に
は、当該樹脂組成物のMFRを意味する。
【0022】上記ポリオレフィン系樹脂には、勾配Sが
上記範囲を満たす限り、種々の添加剤を配合することが
できる。斯かる添加剤としては、例えばソルビトール系
や有機リン酸塩系等の結晶造核剤、酸化防止剤、帯電防
止剤、スリップ剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料および
充填剤等が挙げられる。これらの添加剤は、上記ポリオ
レフィン系樹脂に対して10重量%以下、特に5重量%
以下配合されることが好ましい。
【0023】次に、上記ポリオレフィン系樹脂を用いた
本発明の射出ブロー成形体の好ましい製造方法について
説明する。まず、雄型のコアと雌型のキャビティとで構
成される閉鎖された空間内に溶融した上記ポリオレフィ
ン系樹脂を射出して、有底筒状パリソンを成形する。射
出成形の条件等は通常の場合と同様である。型から該パ
リソンを取り出して冷却する(このパリソンを一般にコ
ールドパリソンという)。該パリソンの肉厚は、成形体
の肉圧の設計、及び成形体としてボトルを成形する場合
にはネジ部口径や形状により制約を受けることもある
が、1〜20mm、特に2〜10mmであることが成形
サイクル及び容器の透明性、強度、肉圧分布等の成形性
の点から好ましい。
【0024】次に、このパリソンを加熱ゾーンでブロー
成形可能な温度まで加熱する。加熱手段としては、赤外
線ヒーター、遠赤外線等の輻射式ヒーター等によりパリ
ソンの外側から加熱する方法、温調可能なコア等をパリ
ソン内に挿入して内側から加熱する方法を、単独で使用
もしくは併用することができる。また、加熱ゾーンの中
ではパリソンを加熱手段に対して相対的に回転させるな
どして、加熱を均一に行なうことが好ましい。なお、パ
リソンにネジ部等のそれ以上の変形を必要としない部分
がある場合は、その部分を熱遮断した上で加熱を行な
う。パリソンの加熱温度は上記ポリオレフィン系樹脂の
種類にもよるが、一般に該ポリオレフィン系樹脂の融点
から1〜20℃、特に5〜15℃低い温度とすることが
好ましい。この加熱によりパリソンはネジ部を除いて軟
化状態になる。このようにしてネジ部を除いて加熱され
たパリソンを、割型からなるブロー成形部内に導入す
る。そして、パリソン内に高圧エアーを吹き込んでブロ
ー成形する。或いは、低圧エアーを吹き込んだ後、高圧
エアーを吹き込んでブロー成形する。収縮が安定するま
で冷却した後、上記割型から取り出せば、表面が該割型
内部のキャビティの形状通りの形状を有する成形体が得
られる。エアーの圧力は通常の場合と同様であり、一般
に高圧エアーで2×106 〜4×106 Pa、低圧エア
ーで1×104 〜5×105 Pa程度である。また、射
出延伸ブロー成形を行う場合には、割型内に導入された
上記パリソンの内部にストレッチピンを挿入して延伸
(ストレッチ)し、引き続き高圧エアーを吹き込んでブ
ロー成形する。この場合の延伸倍率は、面倍率1.2〜
70倍(縦方向に1〜10倍、横方向に1.2〜7
倍)、特に1.8〜20倍(縦方向に1.2〜4倍、横
方向に1.5〜5倍)であることが、パリソンの設計及
びブロー成形性(延伸性)が良好となるなどの点から好
ましい。
【0025】上記面倍率は、図2(a)に示すパリソン
(プリフォーム)10の高さ(ネジ部11を除く)a及
び平均直径b、並びに図2(b)に示す成形体12の高
さ(ネジ部11を除く)c及び成形体外径dの値から、
下記式より算出される。 面倍率=(c/a)×(d/b) 尚、図2(c)に示すように、パリソン(プリフォー
ム)10の肉厚が変化している場合には、最小肉厚t1
と最大肉厚t2 との平均の肉厚である(t1 +t 2 )/
2が存する部分13における平均直径〔即ち、当該部分
13における内径と外径との平均値〕をもって上記bの
値とする。
【0026】上述の方法によって種々の形状を有する成
形体を得ることができる。特に、本発明においては、従
来コールドパリソン法を用いて成形することが極めて困
難であった扁平形状および/又は非対称形状の容器(例
えば、図3に示すような扁平で且つ非対称形状のボトル
及び図4に示すような扁平のボトル)も容易に得られ
る。しかも、扁平形状の容器の場合には、胴部最大長径
/胴部最小短径の比である扁平率が1.15以上の容器
も容易に得られる。その上、胴部の肉厚が0.2〜3.
0mm、特に0.2〜1.5mmという厚肉の扁平形状
および/又は非対称形状の容器も容易に得られる。ま
た、本発明の射出ブロー成形体は、成形性の良好な上記
ポリオレフィン系樹脂から形成されているので、均一な
肉厚を有し、スクイズ性が良好で、座屈強度の高いもの
となる。
【0027】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
すると共に本発明の有効性を例証する。しかしながら、
本発明の範囲は上記実施例に制限されないことはいうま
でもない。
【0028】〔実施例1〜7及び比較例1〜4〕表1に
示す樹脂をそれぞれ用いて、肉厚5.7mm、長さ10
8mmの有底筒状パリソンを射出成形した。但し、実施
例2〜4では、表1中の括弧内の割合で二種類の樹脂を
ドライブレンドして成形機に供給した。上記パリソン
を、回転させながらブローする温度まで赤外線ヒータで
外側から加熱した。次いで、該パリソンを割型内に導入
し、更に該パリソン内にストレッチピンを挿入して2〜
3倍に縦延伸しながら、2×105 Paの低圧エアーを
吹き込み、次いで2.6×106 Paの高圧エアーを吹
き込みブロー成形した。冷却後、割型から取り出して胴
部が扁平形状である扁平率1.7のボトルを成形した。
このボトルの胴部の肉厚は平均0.6mm(範囲は0.
2〜1.2mm)であった。それぞれの樹脂を用いた場
合の成形性を、それぞれの樹脂の勾配Sと共に表1に示
す。成形性の評価は、ブロー成形可能なパリソン温度範
囲の広さによって行った。加熱条件を変化させながらパ
リソンの加熱を行い、次いで、そのパリソンを金型に導
入してブロー成形を行う。このとき、加熱条件が適当で
あれば目標の形状までブロー成形でき、不適当であれば
ブロー成形の途中で破れるなどして目標の形状に至らな
い。この加熱条件は、金型に導入する直前のパリソンの
特定部分(パリソンの高さ方向の中心部)の温度を放射
温度計にて放射率0.9で測定することによって求めら
れる。以上のテストにより、加熱条件でパリソン温度を
変化させながら目標の形状までブロー成形できる成形可
能な温度を調べ、以下の成形性を判断した。 表1における成形性の判断 ○・・・温度範囲がふれても目標の形状まで安定してブ
ロー成形可能 ×・・・温度範囲がふれたら目標の形状まで安定してブ
ロー成形不可能 この場合、温度のふれ幅は0〜30℃未満のことをい
う。
【0029】
【表1】
【0030】表1に示す結果から明らかなように、コー
ルドパリソン法を用いて、勾配Sが特定の範囲内にある
ポリオレフィン系樹脂から形成された実施例のボトル
(本発明品)は、比較例のボトルに比して成形性が極め
て良好であることが判る。また、表には示していない
が、実施例のボトル(本発明品)は、スクイズ性が良好
であり、また座屈強度の高いものであった。
【0031】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明によれば、
コールドパリソン法を用いた場合に成形性の良好な射出
ブロー成形体が得られる。また、本発明によれば、特に
コールドパリソン法による厚肉の扁平容器や非対称性容
器の成形性が良好な射出ブロー成形体が得られる。更
に、本発明によれば、スクイズ性が良好であり、また座
屈強度の高い射出ブロー成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ポリオレフィン系樹脂の弾性率Eと温
度Tの関係を示すグラフである。
【図2】図2(a)〜(c)はそれぞれ射出ブロー成形
の面倍率の算出に用いられる、パリソン(プリフォー
ム)及び成形体の寸法を示す断面模式図である。
【図3】図3(a)及び(b)は、それぞれ本発明の射
出ブロー成形体の一実施形態を示す正面図および側面図
である。
【図4】図4(a)及び(b)は、それぞれ本発明の射
出ブロー成形体の他の実施形態を示す正面図および側面
図である。
【符号の説明】
10 パリソン(プリフォーム) 12 成形体
フロントページの続き (72)発明者 坂本 桂司 栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会 社研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオレフィン系樹脂からなるコールド
    パリソンを用いて得られる射出ブロー成形体であって、
    該ポリオレフィン系樹脂の固体粘弾性測定で得られる、
    弾性率E(Pa)−温度T(℃)の関係における、該ポ
    リオレフィン系樹脂の融解に伴う弾性率低下の勾配Sが
    0〜−0.2の範囲内にあることを特徴とする射出ブロ
    ー成形体。
  2. 【請求項2】 上記成形体が、扁平率(胴部最大長径/
    胴部最小短径)1.15以上の容器である請求項1記載
    の射出ブロー成形体。
  3. 【請求項3】 上記容器の胴部の肉厚が0.2〜3.0
    mmである請求項2記載の射出ブロー成形体。
  4. 【請求項4】 上記ポリオレフィン系樹脂のメルト・フ
    ロー・レートが1〜50g/10分である請求項1〜3
    の何れかに記載の射出ブロー成形体。
  5. 【請求項5】 上記ポリオレフィン系樹脂が、(a)プ
    ロピレン主体のプロピレン−α−オレフィン共重合体、
    (b)二種以上のα−オレフィンの重合体および/若し
    くは共重合比の異なる二種以上の上記(a)の共重合体
    からなる樹脂組成物、又は(c)上記(a)の共重合体
    もしくは上記(b)の樹脂組成物にエチレン系樹脂を3
    0重量%以下ブレンドしてなる樹脂組成物からなる請求
    項1〜4の何れかに記載の射出ブロー成形体。
  6. 【請求項6】 コールドパリソンを用いた射出ブロー成
    形用ポリオレフィン系樹脂であって、該ポリオレフィン
    系樹脂の固体粘弾性測定で得られる、弾性率E(Pa)
    −温度T(℃)の関係における、該ポリオレフィン系樹
    脂の融解に伴う弾性率低下の勾配Sが0〜−0.2の範
    囲内にあることを特徴とする射出ブロー成形用ポリオレ
    フィン系樹脂。
  7. 【請求項7】 ポリオレフィン系樹脂からなるコールド
    パリソンを所定手段によって加熱した後に割型内に導入
    し、該パリソンの内部に高圧エアーを吹き込み該パリソ
    ンをブロー成形する工程を含む射出ブロー成形体の製造
    方法において、上記ポリオレフィン系樹脂として、固体
    粘弾性測定で得られる、弾性率E(Pa)−温度T
    (℃)の関係における、該ポリオレフィン系樹脂の融解
    に伴う弾性率低下の勾配Sが0〜−0.2の範囲内にあ
    るポリオレフィン系樹脂を用いることを特徴とする射出
    ブロー成形体の製造方法。
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