JPH11155950A - 翼状片付静注針の廃棄用安全カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 翼状片付静注針に簡単にセットでき、翼状片
付静注針の廃棄に際して、誤刺を防止できる翼状片付静
注針の廃棄用安全カバーを提供する。 【解決手段】 一対の挟持片２、３間に翼状片付静注針
２０を挟着することにより誤刺を防止する廃棄用安全カ
バー１である。両挟持片２、３を、ヒンジ部４を介して
連結して合掌状に折り曲げ開閉自在なものとする。挟持
片２、３に挟着状態において静注針２０の翼状片２３が
挟持片２、３の外方に突出しうる翼状片挿通孔８を設け
る。両挟持片２、３のうち一方の挟持片２に差し込み突
部１０を設ける。また、他方の挟持片３に差し込み突部
１０が強制的に差し込み係止される差し込み孔１１を設
ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、点滴や輸血に用
いられる翼状片付静注針の廃棄用安全カバーに関する。

【０００２】

【従来の技術と課題】点滴の際に、針管の基部に左右に
広がる翼状片を備えたいわゆる翼状片付静注針が用いら
れている。前記翼状片は、静注針を看者の身体に絆創膏
等のテープで固定する際に、テープとの接着面積を可及
的広くすることにより、看者の身体への静注針の固定を
確実なものとするためのものであり、この固定により看
者が身体を動かしても、針が穿刺部位から抜け落ちるこ
とがなくなる。

【０００３】而して、この静注針も、点滴等の終了後
は、輸液チューブごと廃棄されるが、廃棄後に針管の先
端を覆うものがないので、廃棄作業中にいわゆる誤刺が
起こる虞があることは、一般の注射針と同様である。

【０００４】そこで、このような誤刺を防止するため
に、例えば特開平８−２０６１９５号においては、輸液
チューブにスライド自在な筒状プロテクターを外嵌し、
該プロテクターを針管にまでスライドさせて針先を覆え
るようにした翼状片付静注針が提案されている。また、
特開平９−６６１０６号においては、左右一対の翼状片
の各々を針管側に回動させうるものとし、両者を並行状
に閉じ合わせた後、その閉じ合わせ状態を保持する手段
を備えた翼状片付静注針が提案されている。

【０００５】このような翼状片付静注針は、プロテクタ
ーや、プロテクター兼用翼状片が、針管を確実に覆って
誤刺を防止するものであるが、そのようなプロテクター
や、プロテクター兼用翼状片は、それらの翼状片付静注
針に元々具備されているものであり、単なる翼状片付静
注針に汎用することができるというものではない。

【０００６】この発明は、このような事情に鑑みてなさ
れたもので、針管を覆うプロテクターを具備しない一般
の翼状片付静注針に簡単にセットでき、翼状片付静注針
の廃棄に際して、誤刺を防止することのできる翼状片付
静注針の廃棄用安全カバーを提供することを目的とする
ものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】而して、この発明は、上
記目的を達成するために、ヒンジ部を介して連結され、
合掌状に折り曲げ開閉自在となされた一対の挟持片から
なり、両挟持片間に翼状片付静注針をその針管を覆って
挟着するものとなされた廃棄用安全カバーであって、静
注針の一対の翼状片の一方が外方に突出しうる翼状片挿
通孔を備えると共に、両挟持片に挟着状態保持手段が設
けられてなることを特徴とする構成を採用した。

【０００８】この構成を採用することにより、一対の挟
持片を開いた状態にした安全カバーの内面に翼状片付静
注針を載置した後、両挟持片を合掌状に閉じ合わせると
いう簡単な操作により廃棄用安全カバーを翼状片付静注
針にセットすることができる。また、その挟着状態にお
いて、翼状片挿通孔に挿通されて外方に突出した静注針
の翼状片が該挿通孔の縁部に引っ掛かることになるの
で、挟着状態の両挟持片間からの静注針の不本意な抜脱
を防止できる。さらに、両挟持片に設けられた挟着状態
保持手段により、両挟持片の挟着状態が確実に保持さ
れ、挟着状態にあるべき両挟持片の不本意な拡開を防止
できる。

【０００９】また、少なくともいずれか一方の挟持片の
内面に、翼状片に対応する凹部が設けられている場合に
は、この凹部内に翼状片が収容されるものとなり、両挟
持片の挟着状態が安定良く保持される。

【００１０】また、少なくともいずれか一方の挟持片の
内面に、針管に対応する凹部が設けられている場合に
は、この凹部内に針管が収容されるものとなり、両挟持
片の挟着状態がより一層安定良く保持される。

【００１１】また、挟着状態保持手段が、一方の挟持片
に設けられた差し込み突部と、他方の挟持片に設けられ
前記差し込み突部が強制的に差し込み係止される差し込
み孔とから構成されている場合には、両挟持片の閉じ合
わせ操作により、差し込み突部が差し込み孔に強制的に
差し込まれて該差し込み孔に係止して両挟持片の挟着状
態が保持されるものとなり、簡素な構成でかつ確実に挟
着状態を保持することができる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、この発明を図示実施形態に
基づいて説明する。

【００１３】図１において、（２０）は翼状片付静注
針、（１）は前記翼状片付静注針（２０）をカバーする
この実施形態に係る廃棄用安全カバーである。

【００１４】前記翼状片付静注針（２０）は、図１に示
すように、半透明でフレキシブルな輸液用チューブ（２
１）の先端開口部に金属製の針管（２２）の基部が差し
込まれるとともに、差し込まれた前記針管（２２）の基
部に左右に広がる一対の軟質樹脂製の翼状片（２３）
（２４）が前記チューブ（２１）の外周面に嵌着されて
いるものである。

【００１５】前記安全カバー（１）は、左右一対の方形
状の挟持片（２）（３）からなり、この両挟持片（２）
（３）間に前記翼状片付静注針（２０）を挟着し、翼状
片付静注針（２０）を覆って静注針による取扱い者の誤
刺を防止するものであって、前記両挟持片（２）（３）
がヒンジ部（４）を介して一体に連結されることで合掌
状に折り曲げ開閉自在となされたものである。

【００１６】前記安全カバー（１）の構成を詳述する
と、図３及び図４に示すように、この安全カバー（１）
は低密度ポリエチレン等の半硬質の樹脂から方形薄板状
に作製され、厚さ１ｍｍ、縦と横の長さはともに５０ｍ
ｍに設定されている。前記安全カバー（１）は、その内
面における中央部に、前記針管（２２）に対応する凹部
（５）及び前記チューブ（２１）の先端部に対応する凹
部（６）としての溝条（７）が前後方向に形成され、こ
の溝条（７）の幅方向中央部がヒンジ部（４）の役目を
果たして、左右一対の挟持片（２）（３）が二つ折り状
に折り曲げうるものとなされている。なお、この図１な
いし図４においては、便宜上図中の左右方向を前後方
向、図中の前後方向を左右方向とする。

【００１７】前記安全カバー（１）の中央部やや前端よ
りの位置には、前記溝条（７）の幅より若干大きな幅を
有する方形状の翼状片挿通孔（８）が貫通状態に設けら
れ、前記翼状片付静注針（２０）を挟着する際に両挟持
片（２）（３）の内側から静注針（２０）の両翼状片
（２３）（２４）のうちいずれか一方の翼状片（２３）
を挿通することにより該翼状片（２３）を両挟持片
（２）（３）の外方に突出させうるものとなされてい
る。

【００１８】さらに、前記安全カバー（１）の両挟持片
（２）（３）には、両挟持片（２）（２）の挟着状態を
保持する挟着状態保持手段（９）が設けられている。こ
の保持手段（９）を説明すると、前記両挟持片（２）
（３）のうち一方の挟持片（２）の内面における中央部
には、差し込み突部（１０）が突設される一方、他方の
挟持片（３）の内面における中央部には、前記差し込み
突部（１０）が強制的に差し込み係止される差し込み孔
（１１）が貫通状態に設けられている。前記差し込み突
部（１０）の先端部には、図２（イ）に示すように、断
面略三角形状の係止用頭部（１０ａ）が設けられる一
方、前記差し込み孔（１１）の縁部には、前記係止用頭
部（１０ａ）に対応し、差し込み孔（１１）の対向する
内縁に向かって突出した抜止め用突片（１１ａ）が設け
られている。前記差し込み突部（１０）は、次のように
して前記差し込み孔（１１）に係止するものである。す
なわち、まず、図１（イ）に示すように開いた状態の両
挟持片（２）（３）を図１（ロ）に示すような閉じ合わ
せ状態となるようにヒンジ部（４）から折り曲げていく
と、係止用頭部（１０ａ）の先端が差し込み孔（１１）
の内縁及び抜止め用突片（１１ａ）の先端に突き当た
る。この状態からさらに両挟持片（２）（３）を閉じ合
わせ方向に折り曲げ続けると、差し込み突部（１０）の
先端、すなわち係止用頭部（１０ａ）が差し込み孔（１
１）に嵌入しながら、差し込み突部（１０）が自ら弾性
変形すると共に、抜止め用突片（１１ａ）を差し込み方
向に弾性変形させ、抜止め用突片（１１ａ）と差し込み
孔（１１）の対向する内縁との距離を、係止用頭部（１
０ａ）が抜止め用突片（１１ａ）を乗り越えることがで
きる距離にまで拡大させる。そして、係止用頭部（１０
ａ）が抜止め用突片（１１ａ）を乗り越えると、抜止め
用突片（１１ａ）が弾性復元し、図２（イ）に示すよう
に係止用頭部（１０ａ）が抜止め用突片（１１ａ）に引
っ掛かった状態となる。こうして差し込み突部（１０）
は差し込み孔（１１）に抜脱不能に係止し、両挟持片
（２）（３）の挟着状態が保持されるのである。

【００１９】また、前記両挟持片（２）（３）のうち一
方の挟持板（３）の内面における中央部やや前端よりの
位置には、前記静注針（２０）の翼状片（２４）に対応
する凹部（１２）が前記翼状片挿通孔（８）に連って左
右方向に設けられている。この凹部（１２）の深さは、
翼状片（２４）の厚みと略同寸法に設定され、翼状片
（２４）を収容しうるものとなされている。

【００２０】上記構成を有する安全カバー（１）を使用
する際には、安全カバー（１）の両挟持片（２）（３）
を開いた状態にしてこれを片手で持ち、他方の手で、図
１（イ）に示すように使用済みの静注針（２０）の両翼
状片（２３）（２４）のうちの一方の翼状片（２３）を
カバー内面から翼状片挿通孔（８）に差し込んで外方に
突出させるとともに、チューブ（２１）の先端部と針管
（２２）とを溝条（７）に沿わせてカバー内面に載置す
る。次いで、両挟持片（２）（３）を合掌状に閉じ合わ
せて静注針（２０）を両挟持片（２）（３）間に挟着す
る。この途中で、チューブ（２１）の先端部と針管（２
２）とが溝条（７）に収容されるとともに、両翼状片
（２３）（２４）のうちの他方の翼状片（２４）が対応
する凹部（１２）に収容され、更に挟持片（２）に設け
られた差し込み突部（１０）が、上述したように対応す
る差し込み孔（１１）に強制的に差し込まれて該差し込
み孔（１１）に係止し、もって両挟持片（２）（３）は
挟着状態に保持される。こうして静注針（２０）は安全
カバー（１）によってカバーされるとともに、翼状片挿
通孔 （８）に挿通された翼状片（２３）が翼状片挿通
孔（８）の縁部に引っ掛かることで挟着状態の両挟持片
（２）（３）間から抜けないものとなされる。そして、
この静注針（２０）を安全カバー（１）ごと廃棄するの
である。

【００２１】なお、上記実施形態においては、翼状片挿
通孔（８）が安全カバーの前後方向の一端寄り中間部に
設けられているが、静注針を載置した時の安定性を考慮
すると、前後方向の中央部に設けることが望ましい。

【００２２】

【発明の効果】上述の次第で、この発明に係る廃棄用安
全カバーは、ヒンジ部を介して連結され、合掌状に折り
曲げ開閉自在となされた一対の挟持片からなり、両挟持
片間に翼状片付静注針をその針管を覆って挟着するもの
となされていることから、開いた状態にした一対の挟持
片の内面に翼状片付静注針を載置した後、両挟持片を合
掌状に閉じ合わせて静注針を挟着するという簡単な操作
により静注針をカバーすることができる。また、翼状片
付静注針の一対の翼状片の一方が挟持片の外方に突出し
うる翼状片挿通孔を備えると共に、両挟持片に挟着状態
保持手段が設けられているので、翼状片挿通孔に挿通さ
れて外方に突出した静注針の翼状片が該挿通孔の縁部に
引っ掛かって静注針が挟着状態の両挟持片間から抜けな
いものとなり、静注針が不本意に引き抜かれてしまうこ
とを防止することができる。しかも、静注針を挟着して
いる両挟持片が挟着状態保持手段によってその挟着状態
に保持されて不本意に開いてしまうこともないという効
果を奏する。従って、翼状片付静注針の廃棄に際して、
確実に誤刺を防止することのできる廃棄用安全カバーを
提供することができる。

【００２３】また、少なくともいずれか一方の挟持片の
内面に、翼状片に対応する凹部が設けられている場合に
は、この凹部内に翼状片が収容されるものとなり、両挟
持片の挟着状態を安定良く保持することができる。

【００２４】また、少なくともいずれか一方の挟持片の
内面に、針管に対応する凹部が設けられている場合に
は、この凹部内に針管が収容されるものとなり、両挟持
片の挟着状態をより一層安定良く保持することができ
る。

【００２５】また、挟着状態保持手段が、一方の挟持片
に設けられた差し込み突部と、他方の挟持片に設けられ
前記差し込み突部が強制的に差し込み係止される差し込
み孔とから構成されている場合には、両挟持片の閉じ合
わせ操作により、差し込み突部が差し込み孔に強制的に
差し込まれて該差し込み孔に係止して両挟持片の挟着状
態が保持されるものとなり得ることから、簡素な構成で
かつ確実に挟着状態を保持することのできる廃棄用安全
カバーを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施形態に係る廃棄用安全カバー
であって、（イ）は同安全カバーをセットする途上の状
態を示す斜視図、（ロ）は同安全カバーをセットした後
の状態を示す斜視図である。

【図２】（イ）は図１（ロ）のII（イ）−II（イ）線断
面図、（ロ）は図１（ロ）のII（ロ）−II（ロ）線断面
図である。

【図３】同安全カバーの展開図である。

【図４】（イ）は図３のIV（イ）−IV（イ）線断面図、
（ロ）は図３のIV（ロ）−IV（ロ）線断面図である。

【符号の説明】

１…廃棄用安全カバー ２、３…挟持片 ４…ヒンジ部 ５…針管に対応する凹部 ７…溝条 ８…翼状片挿通孔 ９…挟着状態保持手段 １０…差し込み突部 １１…差し込み孔 １２…翼状片に対応する凹部 ２０…翼状片付静注針

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ヒンジ部（４）を介して連結され、合掌
   状に折り曲げ開閉自在となされた一対の挟持片（２）
   （３）からなり、両挟持片間に翼状片付静注針（２０）
   をその針管（２２）を覆って挟着するものとなされた廃
   棄用安全カバー（１）であって、 前記翼状片付静注針の一対の翼状片（２３）（２４）の
   一方が挟持片の外方に突出しうる翼状片挿通孔（８）を
   備えると共に、両挟持片（２）（３）に挟着状態保持手
   段（９）が設けられてなることを特徴とする翼状片付静
   注針の廃棄用安全カバー。
2. 【請求項２】 少なくともいずれか一方の挟持片（３）
   の内面に、翼状片（２４）に対応する凹部（１２）が設
   けられてなる請求項１に記載の翼状片付静注針の廃棄用
   安全カバー。
3. 【請求項３】 少なくともいずれか一方の挟持片（２）
   （３）の内面に、針管（２２）に対応する凹部（５）が
   設けられてなる請求項１又は請求項２に記載の翼状片付
   静注針の廃棄用安全カバー。
4. 【請求項４】 挟着状態保持手段（９）が、一方の挟持
   片（２）に設けられた差し込み突部（１０）と、他方の
   挟持片（３）に設けられ前記差し込み突部が強制的に差
   し込み係止される差し込み孔（１１）とから構成されて
   なる請求項１ないし請求項３のいずれかに記載の翼状片
   付静注針の廃棄用安全カバー。