JPH11153555A - 薄膜測定装置 - Google Patents

薄膜測定装置

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JPH11153555A
JPH11153555A JP33352597A JP33352597A JPH11153555A JP H11153555 A JPH11153555 A JP H11153555A JP 33352597 A JP33352597 A JP 33352597A JP 33352597 A JP33352597 A JP 33352597A JP H11153555 A JPH11153555 A JP H11153555A
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JP
Japan
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sample
thin film
glass window
measured
film
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JP33352597A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Kawanaka
博之 川中
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Victor Company of Japan Ltd
Original Assignee
Victor Company of Japan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜の熱膨張係数などの熱的特性やヤング率
などの弾性的特性を、安価で簡便に測定する。 【解決手段】 試料室10全体を水平方向に移動させな
がら、レーザ変位計18のレーザ光をガラス窓16から
試料14に入射することで、試料14の反り形状を測定
する。測定値と試料14の移動距離はコンピュータ20
に取り込まれ、演算処理が行われる。このとき、ガラス
窓16による反射光の影響で、測定結果にうねりが生ず
る。しかし、試料14とガラス窓16間の距離dやガラ
ス窓16の厚みtを5mm前後とすると、反射光の影響が
低減され、良好に試料14の反りが測定できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、薄膜材料の熱膨
張係数などの熱的特性や、ヤング率などの弾性的特性を
測定する薄膜測定装置に関するものである。
【0002】
【背景技術と発明が解決しようとする課題】近年、電子
デバイスの小型化が急速に促進され、その製造技術も飛
躍的に向上している。素子の小型化のためのもっとも有
効な手段として、スパッタ,真空蒸着,CVDなどの薄
膜化技術が利用されている。このため、それら技術の発
展に伴って、薄膜の評価技術の必要性が高まっている。
【0003】最近の傾向として、薄膜磁気ヘッドやマイ
クロマシンといった分野において、数十μmに及ぶ厚膜
が利用され始めてきている。このような場合、積層され
た厚膜と基板,あるいは膜と膜との界面に応力が蓄積さ
れやすくなる。更に、これら薄膜デバイスの作製行程中
には、必ずといってよいほど熱処理の行程が含まれる
が、このときに加えられる熱と、基板及び各積層膜の熱
膨張係数の違いにより、素子内部の応力状態が過剰に変
化してしまう。これらは、薄膜デバイスを製造する上
で、膜剥離や素子特性の劣化の原因となることが多い。
【0004】一方、薄膜の熱膨張係数は、同じ材料のバ
ルク材と比較して成膜方法や成膜条件により大きく変動
する可能性がある。また、成膜後の熱履歴によって膜の
状態は刻々と変化し、単純にバルク材における熱挙動か
ら類推することは難しい。上述した加熱時の膜の熱挙動
を予測するためには、膜の熱膨張係数を正確に測定して
おくことが不可欠である。更に、素子内部の応力状態を
知るためには、膜のヤング率など弾性的な性質も把握し
ておく必要がある。このような熱膨張係数やヤング率を
測定するためには、基板上に膜が成膜された状態で加熱
しながら基板の反り量を測定する必要がある。これは、
熱処理による応力緩和のプロセスを理解する上でも重要
なデータとなる。
【0005】前記反り量を測定する手法としては触針式
変位計がある。これは、触針を試料の表面に接触させて
基板の反りを測定する方法である。この方法では、触針
式変位計の過熱を防止するため、測定温度の上限が限ら
れている。また、過熱状態で基板全域にわたって温度を
一定に保つために、基板をシリコーンオイルなどの耐熱
性流体に浸す方法がある。しかし、流体の耐熱性の限界
により、温度の上限は200度程度である。更に、この
触針式の場合、触針を試料に接触させるために触針にあ
る程度の加重をかける必要があり、これによって試料の
変形が生じる。従って、試料が薄く変形しやすい場合
は、正確な測定が困難であるという不都合がある。
【0006】これに対し、レーザ光を利用する光学的変
位計による方法がある。これは、レーザ光を試料に照射
して、レーザ変位計から試料までの距離を光学的に測定
することで、試料の反り形状を測定するものである。こ
の方法でも、ヒータによって試料を加熱し、試料全域の
温度を一定に保ちながら測定が行われる。しかし、試料
室内の雰囲気ガスの対流によってガスの屈折率の変動が
生じ、レーザ変位計の値が変動するという不都合があ
る。また、加熱により試料室外部も加熱されるために測
定装置自体の過熱も生じ、加熱温度の上限が300℃を
越えることは難しい。
【0007】一方、薄膜デバイスの作製行程中には、3
00℃を越える熱処理行程がある場合が多い。このた
め、上述した方法では、300℃を越える温度領域にお
ける膜の熱挙動を解明するためには不十分である。
【0008】この発明は、以上の点に着目したもので、
その目的は、薄膜の熱膨張係数などの熱的特性やヤング
率などの弾性的特性を良好に測定することである。他の
目的は、安価で簡便に熱膨張係数やヤング率を測定する
ことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明は、試料室内に配置されており、測定対象
の薄膜が形成された試料に、前記試料室に設けられてい
るガラス窓を通じて光学的変位測定手段から光を照射
し、これによる測定結果を利用して前記薄膜の熱的特性
を演算する薄膜測定装置において、試料表面とガラス窓
の距離d,ガラス窓の厚みt,ガラス窓の屈折率n,光
の試料への入射角θ,光学的変位測定手段の受光部の長
さWが、 dsin2θ/cosθ≧W 2tsinθcosθ/(n2−sin2θ)≧W dsin2θ/cosθ−2tsinθcosθ/(n2−sin2θ)≧
W の関係を満たすことを特徴とする。主要な形態の一つに
よれば、反りのない試料の測定結果を利用して、測定対
象の薄膜の測定結果が修正される。
【0010】他の発明は、測定対象の薄膜が形成された
試料を、気体が充填されている試料室の中に配置すると
ともに、この試料を加熱しつつ、前記試料室に設けられ
ているガラス窓を通じて光学的変位測定手段から光を照
射し、これによる測定結果を利用して前記薄膜の熱的特
性を演算する薄膜測定装置において、前記試料室内の気
体圧力を1〜50mTorrの範囲内に保持することを特徴
とする。
【0011】他の形態は、室温と略同程度の温度の空気
を、前記ガラス窓の表面に沿って流すことを特徴とす
る。更に他の形態は、前記試料室を全体として水平方向
に移動する手段を備えたことを特徴とする。あるいは、
前記薄膜の熱的特性の代わりに薄膜の弾性的特性を演算
することを特徴とする。
【0012】この発明の前記及び他の目的,特徴,利点
は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 <実施形態1>この形態は、比較的低い温度範囲で良好
に測定が可能である。本形態の測定装置は、図1に示す
ような構成となっている。同図において、試料室10の
外壁には過熱防止のため冷却水が通されている(図示せ
ず)。ヒータ12により試料14を加熱し、試料室10
内の雰囲気全体を一定温度に保つ。試料14としては、
例えば、直径15mm程度の丸形あるいは短冊形の非常に
小さなもので測定ができる。試料室10の上部には、耐
熱性の透明ガラス窓16が設置されている。試料室10
内は、空気もしくは不活性ガスが充填されている。
【0014】レーザ変位計18から射出されたレーザ光
は、このガラス窓16から試料14に入射する。これに
よって、レーザ変位計18から試料14までの距離を光
学的に測定する。この測定を、試料室10全体を水平方
向(紙面左右方向)に移動させながら行うことで、試料
14の反り形状を測定する。レーザ変位計18による測
定値と、試料14の移動距離は、コンピュータ20に取
り込まれ、演算処理が行われて試料14の反り形状が画
面に表示される。
【0015】次に、図2を参照して測定例を説明する。
測定に使用した試料としては、φ(直径)15mm×t
(厚さ)0.65mmのガラス基板上にSiO2膜を約5
μm成膜し、更に基板裏面からのレーザ光の反射を防ぐ
ために、SiO2膜上に反射膜としてAu膜を約30nm
成膜した。
【0016】図2(A)は、図1の測定装置を用いて前記
試料の反りを測定した結果の一例である。この測定で
は、試料は加熱していない。また、試料14とガラス窓
16の間の距離は0.5mm,ガラス窓16の厚みは2mm
である。図2(A)には、ガラス窓16がある場合とない
場合の測定値が比較して示されている。同図に示すよう
に、ガラス窓16がない場合は試料14の反り形状が良
好に測定されているが、ガラス窓16がある場合は測定
波形にうねりが生じている。
【0017】図2(B)は、試料14とガラス窓16との
間の距離を5mmとするとともに、ガラス窓16の厚みを
0.85mmとした場合の測定結果である。図2(A)と比
較して、試料14とガラス窓16との距離を離すととも
に、ガラス窓16を薄くしている。同様に、試料14は
加熱していない。同様に、ガラス窓16がない場合は試
料14の反り形状が良好に測定されているが、ガラス窓
16を設置した場合は測定波形にうねりが生じている。
【0018】このように、いずれの場合にも、ガラス窓
16があると、良好に反りを測定することができない。
これら波形のうねりは、以下に述べるような原因による
ものである。図5に、測定時におけるレーザ光の反射の
様子を示す。同図に示すように、レーザ光は、透明ガラ
ス窓16で屈折した後試料14に入射する。そして、試
料14で反射し、もう一度ガラス窓16を通り抜けて、
レーザ変位計18の受光部18Aに達する。これをB0
で示す。受光部18Aに達する光が、この光B0のみで
あれば特に不都合は生じない。
【0019】しかし、現実には、ガラス窓16の表面に
よる反射光B1,B2及びB3などが存在する。これら反
射光B1,B2及びB3などが受光部18Aに入射する
と、その出力値が変動してしまう。特に、反射光B2,
B3は、試料反射光B0に最も近い位置にあり、反射光の
強度自体も強い。従って、これら反射光B2及びB3が、
受光部18Aに入射しないようにする必要がある。
【0020】これらのうち、反射光B2が受光部18A
に達するのは、試料14とガラス窓16間の距離dが非
常に近い場合である。例えば、d=0.5mmの状態で試
料4の反りを測定すると、上述したように図2(A)のよ
うな波形になる。一方、反射光B3が受光部18Aに達
するのは、ガラス窓16の厚みtが非常に薄い場合であ
る。例えば、t=0.85mmの場合は、上述したように
図2(B)のようになる。このような距離dと厚さtの値
から、反射光B2,B3の位置を計算し、受光部18Aか
らはずれるような設定,すなわち距離d及び厚さtをい
ずれも大きくする設定とすれば、反射光B2,B3の影響
を低減することができる。図3(A)には、一例として、
d=5mm,t=5mmとした場合の測定結果が示されてい
る。同図に示すように、ガラス窓16がない場合とほと
んど同様の波形が得られる。
【0021】次に、反射光B4,B5などの影響を受ける
可能性もあるが、d=5mm,t=5mm前後の条件では、
ほとんど影響は見られない。なお、これらの反射光B
4,B5についてより確実に対策を施す方法としては、ガ
ラス窓16の表面を図1の紙面に対して斜めに配置する
ことが考えられる。すなわち、紙面に対して垂直の方向
に光の反射方向をずらすことで、その悪影響を低減でき
る。
【0022】良好な測定結果が得られるガラス窓16の
厚みtや距離dについての条件を数式で示すと、以下の
通りとなる。 D02=dsin2θ/cosθ D03=2tsinθcosθ/√(n2−sin2θ) D04=D02−D03 ………(1) D02,D03,D04≧W ここで、Dab:反射光BaとBbの距離,W:受光部18
Aの長さ,θ:レーザ光の入射角,n:ガラス窓16の
屈折率である。
【0023】これらから、 dsin2θ/cosθ≧W 2tsinθcosθ/√(n2−sin2θ)≧W ………(2) dsin2θ/cosθ−2tsinθcosθ/√(n2−sin2θ)≧W となる。このような条件で測定を行うことによって、正
確な試料14の反りの測定が可能となる。
【0024】図3(A)は、上記条件のもとに試料14の
反りを測定した例である。試料14は加熱しておらず、
試料14とガラス窓16の間の距離dは5mm,ガラス窓
16の厚みtは5mmで、上記条件を満足している。ガラ
ス窓16がない場合と同様に、試料14の反りが正確に
測定されている。
【0025】図3(B)は、上記条件を満たすものの、ガ
ラス窓16の表面が測定者の指紋で汚れている場合の例
である。同様に、試料14は加熱せず、試料14とガラ
ス窓16の間の距離dは5mm,ガラス窓16の厚みtは
5mmで、前記最適な測定条件を満足している。同図に示
すように、ガラス窓16がない場合には、試料14の反
り形状が良好に測定されている。しかし、ガラス窓16
を設置した場合は、波形に多数のノイズが重なってい
る。これは、ガラス表面の指紋による汚れが原因である
と考えられる。これからすれば、ガラス表面で光の乱反
射が生じないように、汚れのないきれいで清浄な表面状
態にしておくことが重要である。
【0026】図4は、上記条件を満たすものの、ガラス
表面の仕上げ加工精度が悪く厚み分布がある場合の例で
ある。同様に、試料14は加熱せず、試料14とガラス
窓16の間の距離dは5mm,ガラス窓16の厚みtは5
mmで、前記最適な測定条件を満足している。同図に示す
ように、ガラス窓16がない場合には、試料14の反り
形状が良好に測定されている。しかし、ガラス窓16を
設置した場合は、波形に大きなうねりが生じている。こ
れは、ガラス表面の仕上げ加工精度が悪く、ガラス窓1
6に厚み分布があるのが原因であると考えられる。すな
わち、ガラス窓16に厚み分布があると、レーザ光に光
路差が生じてしまう。
【0027】このような現象は、ガラス窓16の加工精
度を上げることで回避できるが、加工精度を上げるため
に多くのコストがかかってしまう。これは、頻繁に交換
する部品には都合の悪いことである。そこで、ガラス窓
16の厚み分布による測定値の揺らぎを回避するため、
次のような方法で測定を行う。まず、反りのない基板を
通常通り測定し、ガラス窓16の厚み分布によって生じ
る測定値のずれも含めた波形を測定し、コンピュータ2
0(図1参照)にデフォルトデータとして取り込む。次
に、レーザ変位計18とガラス窓16の相対位置が変化
しない状態で測定対象の試料14をセットして同じ測定
を行い、測定データとしてコンピュータ20に取り込
む。こうして得られた2つのデータを演算処理し、測定
データに含まれているガラス厚み分布の影響を除去する
と、試料14の真の反りが測定できる。図6に、以上の
測定結果の一例を示す。
【0028】以上説明したように、本形態によれば、次
のような効果がある。 (1)光学的変位測定手段を使用しているので、非接触で
測定対象試料の反りを測定することができ、触針式では
正確な測定が困難な薄く変形しやすい試料でも測定が可
能となる。 (2)測定対象が、試料室の内部に隔離して設置されるの
で、試料室外部にある測定機構の過熱を抑制することが
できる。 (3)非常に安価な装置及び少ない工数で試料の反りを測
定でき、ひいては薄膜の熱膨張係数αやヤング率Eを演
算で求めることができる。
【0029】<実施形態2>この形態は、比較的高い温
度範囲で良好に測定が可能である。本形態の測定装置
は、同様に図1に示すような構成となっている。本形態
の試料14も、同様にφ15mm×t0.65mmのガラス
基板上に、SiO2膜を約5μm成膜し、更に基板裏面か
らのレーザ光の反射を防ぐために、SiO2膜上に反射
膜としてAu膜を約30nm成膜した。
【0030】図7のグラフG1には、試料室10内を3
80℃に保った1気圧の状態における測定例が示されて
いる。試料14は移動せず、同じ位置を40秒間測定し
続けたときの測定値の揺らぎの様子を示す。試料14の
同じ位置を固定して測定しているにもかかわらず、測定
値は±1μmの範囲で一定せずに揺らいでいる。これ
は、試料室10の内部の雰囲気ガスが、加熱されること
によって対流を起こし、場所による雰囲気ガスの屈折率
の分布が生じたためであると考えられる。雰囲気ガスの
屈折率に分布が生ずると、レーザ光が異常に屈折するよ
うになる。
【0031】そこで、試料室10内部のガスを真空ポン
プ(図示せず)により排気し、圧力を下げることによっ
てガスの対流を抑制し、同様の測定を行った。1気圧か
ら50mTorrまでの圧力範囲においては、測定値の揺ら
ぎを取り去ることはできなかった。しかし、50mTorr
以下の圧力においては、図7のグラフG2に示すよう
に、測定値は安定し、揺らぎのほとんどない正確な測定
が可能となった。
【0032】一方、試料室10を真空に排気した場合、
ヒータ12と試料14との間の微少な隙間に存在する気
体も稀薄になってしまうため、ヒータ12の熱が試料1
4に伝わり難くなる。このため、ヒータ12の温度変化
に対する試料14の温度の応答性が悪くなる可能性があ
る。そこで、ヒータ12の温度変化に対する試料温度の
応答の様子を調べた。その結果を図8に示す。同図は、
ヒータ12のスイッチをONにしてから試料14の温度
が一定になるまでの様子を、ガス圧をパラメータとして
示す。1気圧から1mTorrの範囲においては、試料14
の温度が平衡状態になるまでにはいずれも約20分程度
かかり、ガス圧による差はあまりない。しかし、0.5
mTorr以下になると、急激に試料温度の応答性が悪化
し、0.1mTorrでは50分経過後も試料温度は平衡状
態に達していない。このような場合には、測定に多大の
時間を要し、測定効率が悪くなってしまう。本形態の測
定装置を用いて、試料14の反りを安定して測定するた
めには、ガス対流による揺らぎと試料温度を安定化させ
ることが必要であるが、この条件を満たすための試料室
10内のガス圧力は、1mTorrから50mTorrの範囲内が
好適であることが判明した。
【0033】次に、上述した試料室10内の最適な圧力
条件を利用して、今度は試料温度600℃で同様の測定
を行った。その結果を、図9グラフG3に示す。同図
は、試料14を移動せず、同じ位置を20秒間測定し続
けたときの測定値の揺らぎの様子を示すものである。試
料14の同じ部位を固定して測定しているにもかかわら
ず、測定値は±4μmの範囲で一定せずに揺らいでい
る。これは、試料室10の上部に設けられたガラス窓1
6が加熱され、ガラス上部の空気が加熱されることによ
って外気が対流を起こしたためと考えられる。この対流
によって、場所による空気の屈折率の分布が生じ、レー
ザ光が異常に屈折するようになると考えられる。
【0034】そこで、ガラス窓16上部の空気の温度分
布を除去するために、ガラス窓16上部から温度が室温
で一定の空気をガラス上面を沿うように流した。これに
よって、ガラス窓16上部の空気の対流を強制的に除く
ことが可能となる。図10には、その様子が示されてお
り、ガラス窓16の加熱によるガラス窓上部の空気の対
流を抑制するため、矢印22で示すように一定温度の空
気を噴出する。なお、試料室10の圧力は、上述したよ
うに1〜50mTorrの範囲内に保たれている。この装置
によって測定をやり直した結果、図9のグラフG4に示
すように測定値が安定し、揺らぎのほとんどない正確な
測定が可能となった。
【0035】次に、図10の装置による反りの測定例を
説明する。測定試料14として、Ta25膜,SiO2
膜,及びAl23膜を、以下の2種類の基板(1)熱膨張
係数が5×10-7/℃,ヤング率が7.27×1011dy
n/cm2,ポアソン比が0.29,サイズがφ15mm×t
0.50mmの石英基板,(2)熱膨張係数が120×10-
7/℃,ヤング率が5.59×1011dyn/cm2,ポアソン
比が0.17,サイズがφ15mm×t 0.65mmのガラ
ス(#7622)基板,の上にそれぞれ成膜する。更
に、各膜の表面には、レーザ光に対する高反射率を得る
ため、約40nmのCr膜を形成するとともに、更にCr
膜の変質を防ぐための約40nmのアルミナ保護膜を成膜
する。なお、測定対象であるTa25膜,SiO2膜,
及びAl23膜の膜厚は、それぞれ10μmである。
【0036】図11には、SiO2膜の反りの変化の様
子を温度をパラメータとして示す。同図(A)は基板がガ
ラス,(B)は石英の場合である。これらの図に示すよう
に、室温(R.T.)から600℃の範囲で、良好に反
りの変化が測定できている。また、基板の熱膨張係数の
違いにより、温度に対する試料の反りの変化の度合いが
異なることもはっきりと判る。
【0037】これら測定された反りの波形には多少のノ
イズ成分が含まれるため、反り量を算出する際には二次
曲線によるフィッティング処理を施し、読み取りの誤差
が最小限となるように工夫する。このフィッテイングさ
れた曲線の式から反り量を算出するには、 (反り量δ)=(二次係数)×(x/2)2 …………(3) の関係を用いる。ここで、xは反りの測定長である。こ
れによって求めた反り量δから、 Δδ=(4/3)・(Es ・Δδ・D2)/{(1−νs )・d・l2)……(4) によって求められる。なお、この(4)式中、Esは基板の
ヤング率,νsは基板のポアソン比,Dは基板の厚み,
dは膜の厚み,lは測定長,δは反り量(測定長lの中
点における変位量)である。
【0038】以上のような関係式を利用して求めた温度
(横軸)に対する膜応力(縦軸)の変化の様子は、例え
ば図12に示すようになる。図中、グラフG5はガラス
基板,グラフG6は石英基板の場合である。この膜応力
の変化を最小自乗法によって直線近似し、その直線の傾
きから温度変化に対する膜応力の変化の割合(一次係
数)が算出される。ガラス及び石英という2種の熱膨張
係数の異なる基板を用いているため、これら2本の直線
G5,G6の傾きより、SiO2膜の熱膨張係数αf =
16.2×10-7/℃,Es /(l−νf)=7.11
×1011dyn/cm2と算出できた。
【0039】同様に、Ta25膜について測定した温度
に対する膜応力の変化の様子を、図13に示す。グラフ
G7は基板がガラス,G8は石英の場合である。これら
2本の直線G7,G8の傾きから、Ta2O5膜の熱膨張
係数αf=50.1×10-7/℃,Es /(l−νf)=
1.16×1012dyn/cm2と算出できた。
【0040】同様に、Al23膜について測定した温度
に対する膜応力の変化の様子を、図14に示す。グラフ
G9(○印)は基板がガラス,G10(□印)は石英の
場合である。この場合、膜応力の温度に対する変化には
ヒステリシスがあり、一度加熱を行った後の応力は、加
熱前の応力とはかなり異なる。これは、加熱によって膜
内部の応力が緩和されていることを示している。このよ
うに、膜の熱膨張係数を求めるだけでなく、加熱による
膜応力の緩和課程も同時に観察することができ、有効な
データが得られる。2度目の加熱を行った場合は、膜応
力の緩和は生じない。このときの直線G9,G10の傾
きから、Al23膜の熱膨張係数αf=50.7×10
-7/℃,Es/(l−νf)=1.59×1012dyn/cm2
と算出できた。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次のような効果がある。 (1)非常に簡便な装置構成でありながら、薄膜の熱膨張
係数やヤング率を良好に少ない工数で測定することがで
きる。 (2)熱処理による膜応力の緩和課程も観察することが可
能であり、非常に有効なデータを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による測定装置の一形態を示す図であ
る。
【図2】試料の反りの測定例を示す図である。
【図3】試料の反りの測定例を示す図である。
【図4】試料の反りの測定例を示す図である。
【図5】測定時のレーザ光の反射の様子を示した図であ
る。
【図6】試料の反りの測定データを演算処理によって修
正した例を示す図である。
【図7】試料を380℃に加熱した状態における測定値
の揺らぎを示す図である。
【図8】ヒータの温度変化に対する試料温度の応答の様
子を示す図である。
【図9】試料を600℃に加熱した状態における測定値
の揺らぎを示す図である。
【図10】改良を施した測定装置を示す図である。
【図11】SiO2膜の反りの測定例を示す図である。
【図12】SiO2膜の応力変化を示す図である。
【図13】Ta25膜の応力変化を示す図である。
【図14】Al23膜の応力変化を示す図である。
【符号の説明】
10…試料室 12…ヒータ 14…試料 16…ガラス窓 18…レーザ変位計 18A…受光部 20…コンピュータ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料室内に配置されており、測定対象の
    薄膜が形成された試料に、前記試料室に設けられている
    ガラス窓を通じて光学的変位測定手段から光を照射し、
    これによる測定結果を利用して前記薄膜の熱的特性を演
    算する薄膜測定装置において、 試料表面とガラス窓の距離d,ガラス窓の厚みt,ガラ
    ス窓の屈折率n,光の試料への入射角θ,光学的変位測
    定手段の受光部の長さWが、 dsin2θ/cosθ≧W 2tsinθcosθ/(n2−sin2θ)≧W dsin2θ/cosθ−2tsinθcosθ/(n2−sin2θ)≧
    W なる関係を満たすことを特徴とする薄膜測定装置。
  2. 【請求項2】 反りのない試料の測定結果を利用して、
    測定対象の薄膜の測定結果を修正することを特徴とする
    請求項1記載の薄膜測定装置。
  3. 【請求項3】 測定対象の薄膜が形成された試料を、気
    体が充填されている試料室の中に配置するとともに、こ
    の試料を加熱しつつ、前記試料室に設けられているガラ
    ス窓を通じて光学的変位測定手段から光を照射し、これ
    による測定結果を利用して前記薄膜の熱的特性を演算す
    る薄膜測定装置において、 前記試料室内の気体圧力を1〜50mTorrの範囲内に保
    持することを特徴とする薄膜測定装置。
  4. 【請求項4】 室温と略同程度の温度の空気を、前記ガ
    ラス窓の表面に沿って流すことを特徴とする請求項3記
    載の薄膜測定装置。
  5. 【請求項5】 前記試料室を全体として水平方向に移動
    する手段を備えたことを特徴とする請求項1,2,3,
    又は4のいずれかに記載の薄膜測定装置。
  6. 【請求項6】 前記薄膜の熱的特性の代わりに薄膜の弾
    性的特性を演算することを特徴とする請求項1,2,
    3,4,又は5のいずれかに記載の薄膜測定装置。
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