JPH11103773A - チーズ - Google Patents

チーズ

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JPH11103773A
JPH11103773A JP9284629A JP28462997A JPH11103773A JP H11103773 A JPH11103773 A JP H11103773A JP 9284629 A JP9284629 A JP 9284629A JP 28462997 A JP28462997 A JP 28462997A JP H11103773 A JPH11103773 A JP H11103773A
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heating
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詔一 小泉
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Shigekatsu Sato
重勝 佐藤
Tsuguaki Nishitani
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温でも展延性、包餡適性、練り込み適性を
有し、さらには耐熱保形性を有するチーズ及びこのチー
ズを用いたパイ状あるいは中種食品の提供。 【解決手段】 αsカゼイン比率が25重量%以上のチー
ズを原料チーズ当たり、20重量%以上含み、これに安定
剤、溶融塩及び油脂を特定量添加し、加熱乳化してなる
チーズ。このチーズを電子レンジで加熱してなるパイ状
食品あるいはこのチーズを延伸し中種を包み加熱してな
る中種食品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チーズ本来の風味
を有し、低温でも展延性、練り込み適性、包餡適性を有
し、さらには、耐熱保形性を有するチーズに関する。ま
た、本発明は、上記チーズを用いたパイ状食品及び中種
食品に関する。
【0002】
【従来の技術】チーズは、タンパク質、脂質、カルシウ
ム、ビタミン、ミネラル等の各種栄養素をバランス良く
含んでおり、近年、良質のカルシウム源として、特に注
目され、その需要は年々増加している。また、チーズは
シュレッドしてピザやグラタン等のトッピングとして、
薄くスライスしてパン等に挟んで、また溶融させてフォ
ンデュ等の料理にも利用されている。チーズは、多くの
食素材と相性がよく、組み合わせによっては、その風味
が一層強調されるので、前述の用途以外にも多くの用途
に利用されている。そのような例の一つとして、例えば
特開平 3-80057号公報には、チーズに可塑性及び展延性
を付与し、具材を包み込んで揚げたとき、型崩れがなく
具材のはみ出しが見られないチーズを得るために、キト
サンを配合したチーズに澱粉類を添加して調製したチー
ズが開示されている。この方法によると、澱粉類の使用
が必須であり、チーズ本来の風味が損なわれ、また保存
中にチーズの組織が硬く脆くなってしまうという問題点
がある。
【0003】また、特開平 4-53446号公報には、ナチュ
ラルチーズに油脂、ガム類及び溶融塩を添加し水分を調
整後、加熱、溶融、乳化した後、冷却して調製したチー
ズが開示されている。このチーズは、クロワッサンやパ
イ生地への練り込み易さが検討されており、また薄く伸
ばして、ロールインに適したチーズを得ることを目的と
して、チーズに展延性を付与することも検討されてい
る。しかしながら、得られるチーズは加熱により溶融す
るため、食材を包みこむ外皮、例えば、餃子や春巻きの
皮の代用として、加熱調理に使用することはできない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような現状におい
て、チーズ本来の風味を有し、低温でも展延性を有し、
他の食材を包みこむことができる包餡適性を有し、さら
に他の食材を容易に練り込むことができる練り込み適性
を有すると同時に、加熱しても溶融、型崩れすることの
ない耐熱保形性を有するチーズが求められているが、そ
のようなチーズは未だ開発されていない。本発明の課題
は、チーズ本来の風味を有し、低温でも展延性、包餡適
性、練り込み適性を有し、さらには、耐熱保形性を有す
るチーズを得ることにある。また、本発明の課題は、こ
のようなチーズを原料としてパイ状食品あるいは中種食
品を得ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述した課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、αs カゼイ
ン比率が25重量%以上のチーズを原料チーズ当り20重量
%以上使用し、特定量の安定剤、溶融塩及び油脂を加え
て加熱乳化すると、チーズに上述のような特性、すなわ
ち、低温でも展延性があり、所望する形状に伸ばして他
の食材を包むことができる包餡適性を有し、さらに他の
食材を練り込むことができる練り込み適性を有し、加熱
しても溶融、型崩れしないといった特性を付与すること
ができることを見いだし、本発明を完成させるに至っ
た。
【0006】通常ナチュラルチーズの熟成は、チーズ中
の酵素による乳タンパク質の分解により進行する。一般
にチーズの物性および機能特性は、チーズ中に含まれる
カゼインの構造に依存する。チーズ中には主にαsカゼ
イン、βカゼイン、κカゼインといわれる3種類のカゼ
インが存在するが、この中でチーズの物性に最も寄与が
大きいのがαsカゼインである(R.C.Lawrence, L.K.Cre
amen, and J.Gilles, J. Dairy Sci.70,1748-1760(198
7))。このαsカゼインは主にチーズ中に残存するレン
ネットにより分解を受ける。一方、βカゼインは牛乳中
に含まれるプラスミンにより分解される。また、κカゼ
インは乳凝固過程で、レンネットにより分解され、パラ
κカゼインとグリコマクロペプチドになる。グリコマク
ロペプチドは、水溶性であるため、製造過程でホエーと
ともに排出され、パラκカゼインだけがチーズ中に残存
する。このパラκカゼインは熟成中に酵素により分解さ
れにくく、チーズの物性へ与える影響は少ないカゼイン
である。
【0007】このように、各々のカゼインがそれぞれ別
の酵素により分解されるため、熟成過程でなんらかの外
的要因によりこれら酵素活性のバランスが崩れた場合、
αsカゼインの分解が比較的速く起こる場合と、βカゼ
インの分解が比較的速く起こる場合とが生じる。換言す
れば、チーズの熟度指標として、一般的に知られている
STN/TN比(可溶性窒素率)やNPN/TN比(非タンパク態窒
素率)が同じ値であっても、チーズ中にαsカゼインが
多く残存する場合と、βカゼインが多く残存する場合が
ある。例えば、チェダーチーズとエメンタールチーズと
を比較した場合に同じ熟度であってもエメンタールチー
ズの方がプラスミン活性が高いためαsカゼインの残存
量が多く、その結果としてより硬い物性のチーズとな
る。従って、従来チーズの熟度指標として用いられてい
たSTN/TN比やNPN/TN比のみでは、チーズの物性や機能特
性を決定できない場合がある。
【0008】そこで、本発明者らはナチュラルチーズに
含有されるタンパク質の中で、αsカゼインに着目し、
αsカゼイン比率が25重量%以上のチーズを原料チーズ
当り20重量%以上使用し、これに安定剤、溶融塩を一定
量添加し、さらに油脂を特定量添加して加熱乳化してチ
ーズを調製したところ、風味及び組織が良好で、好まし
い展延性、包餡適性、練り込み適性、さらには耐熱保形
性を有するチーズが得られることを見いだした。また、
得られたチーズは電子レンジで加熱調理することにより
パイ状の食品となるもことも見出した。なお、本発明に
おいてαsカゼイン比率とは、( (αsカゼイン/全カ
ゼイン)×100)のことであり、αsカゼインの含量は、
電気泳動法等公知の方法で測定することができる。
【0009】本発明は、αsカゼイン比率が25重量%以
上のチーズを原料チーズ当たり、20重量%以上用い、こ
れに安定剤を0.3〜20重量%、溶融塩0.5〜5重量%及
び固形分中の脂肪率が50重量%以上となるように油脂を
添加し、加熱乳化されてなる展延性及び耐熱保形性を有
するチーズに関する。また、本発明は、得られたチーズ
を電子レンジで加熱することにより得られるパイ状食品
に関する。さらに、本発明は、得られたチーズを延伸
し、これに中種を包み加熱することにより得られる中種
食品に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のチーズは、低温(10
℃)で、展延性、包餡適性及び練り込み適性を有し、
加熱した場合、耐熱保形性を有するのものである。の
展延性は、チーズを麺棒などで、薄く広げて伸ばすこと
のできる性質をいう。包餡適性は、中種をチーズで包み
込んだときに、チーズが割れたりしないことをいう。ま
た、練り込み適性は、低温の状態で、チーズに他の食品
素材を添加して、容易に混ぜ合わせることができること
をいう。さらにの耐熱保形性は、チーズを煮たり、蒸
したり、焼いたりした時に型崩れせずに、当初の形状を
維持することをいう。
【0011】本発明で使用するαsカゼイン比率が25重
量%以上のチーズは、常法に従って得られるナチュラル
チーズのいずれも用いることができる。例えばゴーダチ
ーズの場合は、0〜2カ月程度熟成させたもの、チェダ
ーチーズの場合は0〜1.5カ月程度熟成させたものを選
び、αsカゼイン比率を確認して用いることができる。
また、本発明ではαsカゼイン比率が25重量%以上のチ
ーズを原料チーズ当たり20重量%以上使用する。20重
量%未満では、低温時の展延性、包餡適性、練り込み適
性及び加熱時の耐熱保形性が示されず、好ましくない。
なお、本発明で使用する原料チーズの指標として用いら
れるαsカゼイン比率は次に記す方法で測定することが
できる。常法に従ってチーズを粉砕し、水に分散溶解し
遠心分離により脱脂し、さらに透析によりチーズ中のタ
ンパク質を単離し、単離したタンパク質を電気泳動で分
子量分布を測定し、αsカゼイン、βカゼイン、κカゼ
インの含量を定量し、αsカゼイン量を求めてチーズ中
の比率を計算する。本発明においては、αs カゼイン比
率が25重量%以上のチーズの使用比率が20重量%以上と
なるようにチーズを用いるものであるが、他に配合する
チーズとしては、特に制限はない。特に、チェダーチー
ズやパルメザンチーズ等を熟成し、風味の強いチーズを
配合すると、さらに風味のよいチーズとなる。
【0012】油脂としては、通常の動植物油脂が用いら
れる。これらの油脂の添加は、本発明の特徴である低温
時の展延性、包餡適性、練り込み適性及び加熱時の耐熱
保形性を付与するのに重要な要素となる。その添加量
は、固形分中の脂肪率が50重量%以上になるように添加
する。50重量%以上添加することにより、チーズに低温
時の展延性、包餡適性、練り込み適性を付与することが
可能となる。50重量%未満では、チーズが硬く脆い組織
となり、展延性、練り込み適性及び包餡適性を付与する
ことができない。また、脂肪率が75重量%を越えると乳
化がうまく行なわれないおそれがあるので脂肪率を75重
量%以下とすることが望ましい。本発明では、脂肪とし
てクリーム、クリームチーズ、バター等の乳脂肪が好ま
しいが、それ以外の動物性油脂や植物性油脂を適宜添加
してもよい。
【0013】安定剤は、0.3〜20重量%の範囲で添加す
る。安定剤をこの範囲で添加することにより、得られる
チーズの低温時の展延性、包餡適性、練り込み適性及び
加熱時の耐熱保形性を向上させることができる。添加率
が、0.3重量%未満では、加熱時の耐熱保形性が低下
し、チーズが溶融、変形してしまう。添加率が20重量%
を超えた場合は、チーズの組織が硬くなり、展延性や包
餡適性を付与することができない。添加する安定剤の種
類としては、キサンタンガム、グアガム、ジェランガ
ム、ローカストビーンガム、カードラン、カラギーナン
等食品添加物として一般に使用されているものであれ
ば、特に制約はなく、安定剤の種類やその添加率を適宜
調整することにより、得られるチーズの食感や風味、展
延性、包餡適性、練り込み適性及び耐熱保形性を調整す
ることができる。
【0014】安定剤とともに添加する溶融塩には、第1
リン酸ナトリウム、第2リン酸ナトリウムあるいはポリ
リン酸塩等が用いられる。これらの溶融塩は、0.5〜5
重量%の範囲で添加する。溶融塩をこの範囲で添加する
ことにより、乳化を安定化させ、得られるチーズの低温
時の展延性、包餡適性、練り込み適性及び加熱時の耐熱
保形性を向上させることができる。添加率が0.5重量%
未満では、乳化が不良となり、得られるチーズの組織が
不均一で脆くなる。添加率が5重量%を超えると、得ら
れるチーズの組織が不均一で脆いチーズとなり、風味及
び食感が悪くなる。
【0015】本発明では、油脂、安定剤及び溶融塩以外
に、得られる最終製品の目的にあわせて卵白、卵黄、ホ
エータンパク質、粉チーズ、再製チーズ、カゼイン等の
タンパク質を添加することができる。タンパク質の添加
により、耐熱保形性を向上させることができる。また風
味や外観の点から、調味料や着色剤等も適量添加するこ
とができる。
【0016】本発明では、前記特定の原料チーズに油
脂、安定剤、溶融塩、必要に応じて添加物を添加して加
熱乳化することにより、本発明の前記した特性を有する
チーズを得ることができる。乳化は、通常チーズ製造に
使用されている乳化機で直接蒸気加熱あるいは間接加熱
により、70〜100 ℃で加熱しながら、30〜3000回転/分
で混練する。特に 100回転/分以上で混練するのが好ま
しい。このようにして得られた乳化物を適宜容器に充填
し、冷却成形することで、本発明のチーズを得ることが
できる。
【0017】また、本発明ではこのようにして得られた
チーズを厚さ0.5〜5cm程の厚さに切断し、電子レンジ
で加熱することでパイ状の構造と食感を有する食品を得
ることができる。なお、電子レンジ加熱は使用する機種
によって異なるが、市販の電子レンジの場合は 500W で
3〜10分加熱することで本発明のパイ状食品が得られ
る。また、このようにして得られたチーズを薄く延伸
し、それに餡、ギョウザの中種等の中種を包み、蒸しあ
るいは焼くことによって中種食品を得ることもできる。
【0018】以下に実施例及び試験例を示し、本発明を
さらに詳しく説明する。
【実施例1】 (1) αs カゼイン比率が10重量%及び25重量%のチーズ
の製造 殺菌乳に対し、乳酸菌スターター(CHR. HANSEN社製) を
1%添加し、30℃で30分間静置させた後、子牛レンネッ
ト(CHR. HANSEN社製) を0.003 %添加し、1時間静置さ
せチーズカードを形成させた。このカードを10mm幅のカ
ードカッティングナイフでサイコロ状に細断し、品温が
60分で38℃となるように緩やかに加熱攪拌しながら、ホ
エーを排除した。その後、得られたチーズカード10kgを
モールドに充填し2kg/cm2 の圧で2時間プレス後、20%
食塩水中に約3時間浸漬し10℃で1〜4ヵ月間熟成させ
た。1ヵ月熟成品は、αs カゼイン比率が25重量%、熟
度 STN/TN 値は14%であった。一方、4ヵ月熟成品は、
αs カゼイン比率が10重量%、熟度 STN/TN 値は23%で
あった。なお、αs カゼイン比率は、チーズ中のタンパ
ク成分をクエン酸塩溶液を用いて単離し、電気泳動分析
により測定した。また、熟度 STN/TN 値は通常用いるケ
ルダール法により測定した。
【0019】 (2) チーズ配合 前記(1) のαsカゼイン比率が10重量%のチーズを原料
とし、これに前記(1)のαsカゼイン比率が25重量%の
チーズの使用比率を0、10、20、40、100 重量%配合し
て原料チーズとし、次の方法でチーズを調製した。原料
チーズ1000gに対して、バター 100g、溶融塩としてリ
ン酸ナトリウム30g、安定剤としてキサンタンガム20
g、重曹10gを添加し、直接蒸気吹き込み式チーズ乳化
機に投入し、回転数 200回転/分で攪拌しながら、約10
分間で85℃に到達させるように加熱乳化を行い、均質で
流動性のある乳化物を得た。これをカートンに充填し、
冷蔵庫内で冷却し、チーズを得た。
【0020】得られたチーズの展延性、包餡適性、練り
込み適性及び耐熱保形性を以下に示す方法で評価した。
結果を表1に示す。 展延性;20gの試料 (チーズ) を15個用意し、10℃で麺
棒で薄く伸ばし、その伸びについて、次の4段階で評価
し、その平均点を算出した (小数点第2位以下を切り捨
てた、以下同様)。4点;伸びが非常に良好、3点;伸
びが良好、2点;部分的に割れを生じた、1点;伸びが
不良(ひび割れを生じた)。 包餡適性;90×90×2mmの試料を15個用意し、10℃で15
gの中種(味付けした挽き肉)を包んで、その時の包み
やすさについて次の4段階で評価し、その平均点を算出
した。4点;大変きれいに包めた、3点;きれいに包め
た、2点;ところどころ割れ目が入った、1点;割れて
包めなかった。 練り込み適性;20gの試料を入れた容器15個を用意し、
これに10℃でパセリのみじん切り2gを小さなホイッパ
ーで練り込んでその時の練り込みやすさについて次の4
段階で評価し、その平均点を算出した。4点;大変容易
に練り込めた、3点;容易に練り込めた、2点;練り込
みずらかった、1点;練り込めなかった。 耐熱保形性;20×20×20mmの立法体に切り出した試料
(チーズ) を15個用意し、 600ワット(W) のオーブント
ースター内で5分間加熱し、加熱後のチーズの高さを測
定し、15個の試料の平均値を耐熱性の指標とした。この
時、高さ15mm以上を耐熱性良好とした。なお、実施例2
〜4の評価方法もこの方法と同じ方法で行なった。以上
の結果を表1に示す。
【0021】
【表1】
【0022】さらに得られたチーズに関して、官能評価
を行なった。官能評価は、試料 (チーズ) 10gを15人の
パネラーにより行なった。組織及び風味について、4
点;非常に良好、3点;良好、2点;どちらともいえな
い、1点;不可の4段階で評価し、その平均点を算出し
た。さらに滑らかさの有無について、評価した。結果を
表2に示す。
【0023】
【表2】
【0024】αsカゼイン比率が25重量%のチーズを20
重量%以上用いて調製したチーズは、展延性、包餡適
性、練り込み適性がいずれも評価点3点以上の優れた値
を示し、その値は使用比率が増加するにつれて向上し
た。また、オーブン加熱後の高さを測定した耐熱保形性
も高さ16mm以上と優れていた。一方、使用比率が10重量
%以下の場合、展延性、包餡適性、練り込み適性、耐熱
保形性ともに良好な結果を得られなかった。官能評価に
関しては、組織、風味、滑らかさともにαsカゼイン比
率が25重量%のチーズの使用比率に関わらず、概ね良好
であった。
【0025】
【実施例2】実施例1(1) と同様の方法で3ヵ月熟成さ
せてαs カゼイン比率15重量%のチーズと 0.5ヵ月熟成
させてαs カゼイン比率30重量%のチーズとを調製し
た。次に、αsカゼイン比率が15重量%のチーズと30重
量%のチーズとを等量配合し、さらに次のようにしてチ
ーズを調製した。原料チーズ1000g (αs カゼイン比率
15重量%のチーズとαs カゼイン比率30重量%のチーズ
との等量混合物 STN/TN:19%)に対して、クリームチー
ズ800g、溶融塩としてリン酸ナトリウム30g、重曹10g
を添加し、さらに安定剤としてグアガムを0、3、10、
200、300g添加し、実施例1と同様に加熱乳化を行い、
均質で流動性のある乳化物を得た。これをカートンに充
填し、冷蔵庫内にて冷却し、チーズを得た。実施例1と
同様の方法で展延性、包餡適性、練り込み適性及び耐熱
保形性を評価した。結果を表3に示す。
【0026】
【表3】
【0027】さらに得られたチーズについて、実施例1
に従って官能評価を行った。結果を表4に示す。
【0028】
【表4】
【0029】安定剤の添加率が0.3〜20重量%のもの
は、展延性、包餡適性、練り込み適性が評価点3点以上
で優れていた。また、オーブン加熱後の高さを測定した
耐熱保形性も高さ16mm以上で優れていた。一方、安定剤
無添加の場合は、展延性、包餡適性、練り込み適性は、
概ね良好であったが、耐熱保形性が好ましくなかった。
また、安定剤の添加率が30重量%の場合、耐熱保形性は
高い値を示したが、展延性、包餡適性、練り込み適性の
評価点がほぼ1点で好ましくなかった。官能評価に関し
ても、安定剤の添加率が0.3〜20重量%のものは、組
織、風味、滑らかさともに良好であった。
【0030】
【実施例3】実施例1(1) と同様の方法で4ヵ月熟成さ
せてαs カゼイン比率10重量%のチーズを調製した。ま
た実施例2と同様の方法でαs カゼイン比率30重量%の
チーズを調製した。得られたαs カゼイン比率が10重量
%のチーズ 600gと30重量%のチーズ 400gを配合し、
次の方法でチーズを調製した。原料チーズ1000g(αs
カゼイン比率10重量%のチーズ600gと30重量%のチーズ
400gとの配合物 STN/TN:21%)に対して、バターを 200
g、安定剤としてローカストビーンガム20g、重曹5
g、溶融塩としてリン酸ナトリウムを0、3、5、25、
50、60g添加し、実施例1と同様に加熱乳化を行い、均
質性のある乳化物を得た。これをカートンに充填し、冷
蔵庫内にて冷却し、チーズを得た。実施例1と同様の方
法で展延性、包餡適性、練り込み適性及び耐熱保形性を
評価した。結果を表5に示す。
【0031】
【表5】 得られたチーズについて、実施例1に従って官能評価を
行なった。結果を表6に示す。
【0032】
【表6】
【0033】溶融塩の添加率が0.5〜5重量%のもの
は、展延性、包餡適性、練り込み適性が評価点3点以上
で優れていた。また、オーブン加熱後の高さを測定した
耐熱保形性も高さ16mm以上で優れていた。一方、溶融塩
無添加及び0.3重量%添加した場合、乳化時にオイルオ
フを生じ、乳化が不良となり、組織も脆くなった。溶融
塩の添加率が6%を超える場合、耐熱保形性は良好なも
のの、展延性、包餡適性、練り込み適性が低下した。官
能評価に関しては、溶融塩の添加率が0.5〜5重量%の
ものは、組織、風味、滑らかさともに良好であった。
【0034】
【実施例4】実施例3と同様にして調製したαsカゼイ
ン比率が10重量%のチーズ 600gと30重量%のチーズ 4
00gを配合し、次の方法でチーズを調製した。原料チー
ズ1000g(αs カゼイン比率が10重量%のチーズ600gと
30重量%のチーズ400gとの配合物 STN/TN:22%)に対し
て、安定剤としてローカストビーンガム20g、重曹5
g、溶融塩としてリン酸ナトリウム25gを添加し、さら
にバターを0、40、 100、200g添加し、実施例1と同様
に、加熱乳化を行い均質で流動性の乳化物を得た。これ
をチーズをカートンに充填し、冷蔵庫内にて冷却し、チ
ーズを得た。実施例1と同様の方法で展延性、包餡適
性、練り込み適性及び耐熱保形性を評価した。結果を表
7に示す。
【0035】
【表7】
【0036】さらに、得られチーズについて実施例1に
従って、官能評価を行なった。結果を表8示す。
【0037】
【表8】
【0038】バター添加率が 100g(固形分中の脂肪率
53%)及び 200g(固形分中の脂肪率59%)では、展延
性、包餡適性、練り込み適性が評価点3点以上となり、
優れていた。また、オーブン加熱後の高さを測定した耐
熱保形性も高さ18mm以上と優れたものとなった。一方、
バター無添加(固形分中脂肪率45%)及び40g添加した
もの(固形分中脂肪率49%)では、耐熱保形性は良好で
あったが、展延性、包餡適性、練り込み適性が低下し
た。官能評価に関しては、バターの添加率が40g(固形
分中の脂肪率49%)以上のものは、組織、食感、風味と
もに良好であった。
【0039】
【実施例5】実施例3と同様にして調製されたαsカゼ
イン比率が10重量%のチーズ 600gと30重量%のチーズ
400gを配合し、次の方法でチーズを調製した。原料チ
ーズ1000g(αs カゼイン比率が10重量%のチーズ600g
と30重量%のチーズ400gとの配合物 STN/TN:21%)に対
して、バターを 100g、安定剤としてローカストビーン
ガム20g、重曹5g、溶融塩としてリン酸ナトリウム25
gを添加し、実施例1と同様に、加熱乳化を行い均質で
流動性のある乳化物を得た。これをカートンに充填し、
冷蔵庫内にて冷却し、チーズを得た。得られたチーズを
90×90×2mmに伸ばし、包餡機を用いて、15gの餡又は
15gのクリームチーズを中種として包み、蒸し器で15分
間蒸して、チーズ菓子を得た。また、90×90×2mmに伸
ばしたチーズに餃子の具を包み、フライパンで2分間焼
き、焼き目をつけ水を加えてさらに3分間蒸した。適度
な焼き色のついた食品が得られた。
【0040】
【実施例6】実施例5で得られたチーズ20gを厚さ5mm
に麺棒で延ばし、電子レンジ(500W)で、3分間加熱し
た。するとチーズは膨張して厚さ10〜15mmのパイ状の組
織となり、色もきつね色で、香ばしさも付与された。グ
ラニュー糖を適量振りかけて食したところ、食感の軽い
パイ菓子となった。
【0041】
【発明の効果】本発明のチーズは、αs カゼイン比率が
25重量%以上のチーズを原料チーズ当り、20重量%以上
配合し、これに特定量の安定剤、溶融塩、脂肪を含有さ
せて加熱乳化させているので、チーズ本来の風味を有
し、低温でも展延性、練り込み適性、包餡適性を有し、
さらには、耐熱保形性を有するチーズが得られる。本発
明のチーズは、麺棒などで薄く延ばし餃子や春巻きの皮
の代用として、他の食材を包み、焼く、蒸す等の加熱調
理ができる。また、低温でも他の食材を容易に練り込む
ことができる。さらに、電子レンジ加熱することによ
り、層状となり、パイ状の食品を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 αsカゼイン比率が25重量%以上のチー
    ズを原料チーズ当り20重量%以上含み、かつ安定剤を0.
    3〜20重量%、溶融塩を0.5〜5重量%及び油脂を脂肪
    率が50重量%以上となるように含み、加熱乳化されてな
    る展延性及び耐熱保形性のあるチーズ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のチーズを電子レンジ加
    熱することにより得られるチーズを原料としたパイ状食
    品。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のチーズを延伸し、これ
    に中種を包み、加熱することにより得られるチーズを原
    料とした中種食品。
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