JPH1097922A - 電磁アクチュエータ用ステータコア - Google Patents

電磁アクチュエータ用ステータコア

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Publication number
JPH1097922A
JPH1097922A JP8248240A JP24824096A JPH1097922A JP H1097922 A JPH1097922 A JP H1097922A JP 8248240 A JP8248240 A JP 8248240A JP 24824096 A JP24824096 A JP 24824096A JP H1097922 A JPH1097922 A JP H1097922A
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JP
Japan
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core
soft magnetic
stator core
electromagnetic coil
electromagnetic actuator
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JP8248240A
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English (en)
Inventor
Tatsuo Iida
達雄 飯田
Takashi Deo
隆志 出尾
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は電磁アクチュエータ用のステータコ
アに関し、簡便な工程で製造でき、かつ、渦電流の早期
消滅を可能とする構造を実現することを目的とする。 【解決手段】 軟磁性材料で構成され、かつ、一方の面
に絶縁皮膜が塗布された軟磁性長板材を、心材49の周
囲に密着巻きする。心材49の周囲に、強磁性を示す軟
磁性部分50と、絶縁性を示す絶縁部分51とが渦状に
形成される。密着巻きされる軟磁性長板材の一部に、予
め、環状溝42を形成するための幅狭部分(“L−H”
の幅を有する部分)を形成しておく。軟磁性長板材を巻
回することにより、環状溝42も同時に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁アクチュエー
タ用ステータコアに係り、特に、電磁力を駆動源として
作動する電磁アクチュエータ用のステータコアとして好
適な、電磁アクチュエータ用ステータコアに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開平4−36530
5号に開示される如く、渦電流の低減を可能とする電磁
アクチュエータ用のステータコアが知られている。電磁
アクチュエータは、ステータコアと共に、電磁コイルお
よびアーマチャを備えている。ステータコアとアーマチ
ャとの間には、エアギャップが形成されている。アーマ
チャは、上記のエアギャップが増減する方向に変位する
ことができる。また、ステータコア、アーマチャ、およ
び、エアギャップは、電磁コイルと錯交する磁気回路を
形成している。
【0003】電磁コイルに電流が供給されると、電磁コ
イルによって発生される磁束が、上記の磁気回路を通っ
て還流する。この際、アーマチャには、エアギャップを
減少させる向きの、すなわち、ステータコアへ向かう吸
引力が作用する。このため、電磁コイルに電流が供給さ
れると、アーマチャにはステータコアへ向かう変位が生
ずる。このように、電磁アクチュエータによれば、電磁
コイルに電流を供給することで、アーマチャに変位を付
与することができる。
【0004】ところで、ステータコアを流通する磁束が
増減すると、ステータコアには、電磁誘導により、その
磁束の変化を妨げる向きに流れる渦電流が発生する。具
体的には、電磁コイルに電流を供給し始めた直後には、
ステータコアを流通する磁束の増加を妨げる向きの渦電
流が、また、電磁コイルを流れる電流を遮断した直後に
は、ステータコアを流通する磁束の減少を妨げる向きの
渦電流が、それぞれステータコアに発生する。電磁アク
チュエータにおいて、優れた応答性を確保し、また、渦
電流損の低減を図るためには、電磁コイルへの電流供給
が開始された後および停止された後にステータコアに発
生する渦電流を、速やかに消滅させる必要がある。
【0005】上記従来のステータコアは、表面に絶縁処
理皮膜が形成された複数の薄板材を重ね合わせることに
より構成されている。また、これら複数の薄板材は、磁
束の主たる流通方向がその長手方向とが一致するように
配設されている。上記の構成によれば、ステータコアの
内部を流通する磁束は、主に、薄板材と平行な平面内を
進行する。この場合、磁束の進行が絶縁処理皮膜によっ
て妨げられることがない。従って、従来のステータコア
は、電磁コイルの発する磁束に対して、小さな磁気抵抗
を示す。
【0006】一方、上記の構成によれば、ステータコア
の内部を流通する磁束の増減に伴って生ずる渦電流は、
薄板材と垂直な平面内を流通する。この場合、薄板材の
表面に形成された絶縁処理皮膜は、渦電流の流通を阻止
する。このため、従来のステータコアは、渦電流に対し
て大きな電気抵抗を示す。
【0007】ステータコアが、渦電流に対して大きな電
気抵抗を示せば、電磁コイルへの電流供給が開始された
後、および、停止された後に、ステータコア内に発生す
る渦電流が早期に消滅する。このため、従来のステータ
コアによれば、電磁アクチュエータに対して優れた応答
性を付与すること、および、電磁アクチュエータの渦電
流損を低減させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のステー
タコアを構成する薄板材は、その板厚にある程度の誤差
を有している。このため、従来のステータコアを製造す
る場合、例えば、最後の薄板材で板厚誤差が吸収される
ようにマッチングを行う、等の作業が必要となる。この
ように、従来のステータコアは、電磁アクチュエータの
特性向上には有益であるものの、その製造が容易ではな
いという課題を有していた。
【0009】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、電磁アクチュエータの特性向上に有益であり、
かつ、簡単に製造することのできる電磁アクチュエータ
用ステータコアを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、少なくとも一方の面に高抵抗皮膜を備
える軟磁性長板材を、渦状に密着巻きすることで形成さ
れる電磁アクチュエータ用ステータコアにより達成され
る。
【0011】本発明において、ステータコアは、渦状に
密着巻きされた軟磁性長板材により形成される。軟磁性
長板材が備える高抵抗皮膜は、ステータコアにおいて渦
状の高抵抗部分を形成する。ステータコアの軸方向に進
行する磁束は、高抵抗部分を貫くことなく進行すること
ができる。このため、かかる磁束に対して、ステータコ
アは、低い磁気抵抗を示す。上記の磁束が増減すると、
ステータコアには、渦状の高抵抗部分と垂直な平面内を
還流しようとする渦電流が発生する。渦電流は、高抵抗
部分を貫かないように流れるため、十分に長い経路を辿
って還流する。このため、ステータコアは、上記の渦電
流に対して高い電気抵抗を示す。ステータコアが渦電流
に対して高い電気抵抗を示すと、磁束に増減が生じた
後、渦電流は速やかに消滅する。
【0012】上記の目的は、請求項2に記載する如く、
上記請求項1記載の電磁アクチュエータ用ステータコア
において、前記軟磁性長板材が、第1の幅を有する幅広
部分と、前記第1の幅に比して所定幅だけ狭い第2の幅
を有し、かつ、所定長連続する幅狭部分と、を備えるこ
と電磁アクチュエータ用ステータコアによっても達成さ
れる。
【0013】本発明において、ステータコアは、軟磁性
長板材の幅広部分で形成される環状の部分(以下、幅広
環状部と称す)と、軟磁性長板材の幅狭部分で形成され
る環状の部分(以下、幅狭環状部と称す)とを備えてい
る。幅狭環状部の一の環状面は、幅広環状部の一の環状
面から所定幅分だけ陥没した位置に形成される。このた
め、ステータコアには、幅狭環状部と重なる位置に、幅
広部分と幅狭部分との幅差に相当する高さを有する環状
溝が形成される。ステータコアは、この環状溝に電磁コ
イルを収納することができる。
【0014】上記の目的は、請求項3に記載する如く、
渦状に形成された軟磁性部分と、前記軟磁性部分相互間
に介在する渦状の高電気抵抗部分と、を備える電磁アク
チュエータ用ステータコアによっても達成される。本発
明において、ステータコアは、軟磁性部分と高電気抵抗
部分とを渦状に形成することで実現される。上記の如く
実現されるステータコアは、その内部を流通する磁束に
対して小さな磁気抵抗を示し、また、その磁気抵抗の増
減に伴って生ずる渦電流に対して大きな電気抵抗を示
す。
【0015】また、上記の目的は、請求項4に記載する
如く、上記請求項3記載の電磁アクチュエータ用ステー
タコアにおいて、前記軟磁性部分が、第1の幅を有する
幅広部分と、前記第1の幅に比して所定幅だけ狭い第2
の幅を有し、かつ、所定長連続する幅狭部分と、を備え
ることを特徴とする電磁アクチュエータ用ステータコ
ア。
【0016】本発明において、ステータコアは、上記請
求項2記載のステータコアと同様に、幅広部分と幅狭部
分との幅差に相当する高さを有する環状溝を備えてい
る。そして、ステータコアは、この環状溝の内部に電磁
コイルを収納することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
電磁アクチュエータ10の全体構成図を示す。電磁アク
チュエータ10は、内燃機関に搭載されて、内燃機関の
吸気弁または排気弁を駆動する。
【0018】電磁アクチュエータ10には、弁体12が
固定されている。弁体12は、内燃機関の吸気弁または
排気弁を構成する部材である。弁体12は、図中下端部
が内燃機関の燃焼室内に露出するようにシリンダヘッド
13に配設される。内燃機関のシリンダヘッド13に
は、吸気ポートおよび排気ポートが形成されている。図
1には、その一方のポート14が表されている。このポ
ート14には、弁体12に対する弁座が形成されてい
る。ポート14は、弁体12が弁座から離座することに
より導通状態となり、また、弁体12が弁座に着座する
ことにより遮断状態となる。
【0019】弁体12には、弁軸15が固定されてい
る。弁軸15は、バルブガイド16により軸方向に摺動
可能に保持されている。バルブガイド16は、シリンダ
ヘッド13に支持されている。また、バルブガイド16
には、電磁アクチュエータ10のロアキャップ17が固
定されている。
【0020】弁軸15の上部には、プランジャ18が固
定されている。プランジャ18は、例えばステンレス鋼
やチタン合金等の如く、硬度の高い非磁性或いは磁気特
定の低い材料で構成されている。プランジャ18は、弁
軸15の軸方向に延在する円筒部19と、円筒部19の
ほぼ軸方向中央部に形成されたリング部20とを備えて
いる。
【0021】弁軸15の上端部には、ロアリテーナ21
が固定されている。ロアリテーナ21とロアキャップ1
7との間には、両者を離間させる方向の付勢力を発生す
るロアスプリング22が配設されている。ロアスプリン
グ22は、ロアリテーナ21を、すなわち弁体12およ
びプランジャ18を、図1における上方へ向けて付勢し
ている。
【0022】一方、プランジャ18の上端部には、アッ
パーリテーナ24が固定されている。アッパーリテーナ
24の上部には、アッパースプリング26の下端部が当
接している。アッパースプリング26の周囲には、その
外周を取り巻くように円筒状のアッパーキャップ27が
配設されている。更に、アッパースプリング26の上端
部は、アッパーキャップ27に螺着されるアジャストボ
ルト28に当接している。アッパースプリング26は、
アッパーリテーナ24を、すなわち、プランジャ18
を、図1における下方へ向けて付勢している。
【0023】プランジャ18の、リング部20の外周に
は、アーマチャ30が接合されている。アーマチャ30
は、Fe,Ni,Co等をベース材料とする軟磁性材料
で構成された環状の部材である。アーマチャ30と、プ
ランジャ18とは、電子ビーム溶接、レーザ溶接、ろう
付け、カシメ、接着等の手法で接合されている。
【0024】アーマチャ30の上方には、第1電磁コイ
ル32及び第1コア34が配設されている。また、アー
マチャ30の下方には、第2電磁コイル36及び第2コ
ア38が配設されている。第1コア34および第2コア
38は、後述の如く、軟磁性材料を主体として構成され
た長板材を渦状に密着巻きすることで形成されている。
第1コア34および第2コア38は、それぞれそれらの
中央部を貫く貫通孔39,40を備えている。また、第
1コア34および第2コア38は、それぞれ第1電磁コ
イル32または第2電磁コイル36を収納するための環
状溝41,42を備えている。
【0025】第1コア34の貫通孔39の一端(図1に
於ける上端)には第1ベアリング43が配設されてい
る。また、第2コア38の貫通孔40の一端(図1に於
ける下端)には第2ベアリング44が配設されている。
プランジャ18の円筒部19は、これら第1ベアリング
43および第2ベアリング44によって摺動可能に保持
されている。
【0026】第1コア34および第2コア38の外周に
は、外筒45が配設されている。第1コア34および第
2コア38は、両者間に所定の間隔が確保されるよう
に、外筒45により保持されている。また、上述したア
ッパーキャップ27は、第1コア34の上端面に当接す
るように、取り付けブラケット46およびボルト47に
より固定されている。一方、上述したロアキャップ17
は、第2コア38の下端近傍に当接するように、シリン
ダヘッド13内部に固定されている。そして、上述した
アジャスタボルト28は、アーマチャ30の中立位置
が、第1コア34と第2コア38との中間点となるよう
に調整されている。
【0027】以下、図2乃至図4を参照して、第2コア
38の構造について説明する。尚、第1コア34の構造
は、第2コア38の構造と異なる所がないため、ここで
はその説明を省略する。図2は、電磁アクチュエータ1
0を図1中に示すII-II 直線に沿って切断した際に得ら
れる第2コア38の平面図を示す。また、図3は、第2
コア38を図2に示すIII-III 直線に沿って切断した際
に得られる断面図を示す。
【0028】図2および図3に示す如く、第2コア38
は、心材49を備えている。心材49は、プランジャ1
8に対して、摺動可能に挿入されている。心材49の周
囲には、心材49を取り巻くように渦状の軟磁性部分5
0が形成されている。軟磁性部分50は、鉄等の軟磁性
材料により構成されている。また、軟磁性部分50相互
の間には、心材49を取り巻くように渦状の絶縁部分5
1が形成されている。従って、軟磁性部分50は、その
内周側または外周側で密着している軟磁性部分50から
絶縁されている。本実施例において、軟磁性部分50の
板厚は、0.5mm以下に設定されている。また、絶縁部
分51の膜厚は数μm に設定されている。
【0029】本実施例において第2コア38は、上述の
如くその環状溝42の内部に第2電磁コイル36を収納
している。図3に示す如く、第2電磁コイル36の軸方
向長さ、および、環状溝42の軸方向長さは、共に所定
値Hに設定されている。同様に、第2電磁コイル36の
環状部の幅、および、環状溝42の溝幅は、共に所定値
Wに設定されている。尚、第2コア38の軸方向長さ
は、所定値Lに設定されている。
【0030】図4は、第2コア38の材料となる軟磁性
長板材52の正面図を示す。第2コア38は、心材49
の周囲に、図4に示す軟磁性長板材52を密着巻きする
ことにより実現される。軟磁性長板材52は、その両端
から長さ“α”または“γ”の部分に、比較的大きな幅
Lを有する幅広部分54,55を備えている。また、軟
磁性長板材52は、それら幅広部分54,55の間に、
比較的小さな幅(L−H)を有し、かつ、所定長“β”
だけ連続する幅狭部分56を備えている。更に、軟磁性
長板材52には、その一方の面に、絶縁部分51を実現
するための絶縁皮膜53が形成されている。絶縁皮膜5
3は、具体的には、軟磁性長板材52の表面に、数μm
の膜厚が確保されるように絶縁性塗料を塗布することで
形成されている。
【0031】第2コア38の製造工程においては、先ず
図4に示す軟磁性長板材52の一端が心材49に固定さ
れる。本実施例においては、幅広部分54側の端部が心
材49に固定される。軟磁性長板材52と心材49との
固定は、例えば、レーザ溶接、かしめ、ろう付け、また
は、接着等により行われる。
【0032】次に、軟磁性長板材52の他端、すなわ
ち、幅広部分55側の端部に所定の張力が付与された状
態で心材49を回転させる作業が行われる。この作業に
よって軟磁性長板材52が、心材49の周囲に密着した
状態で巻回される。軟磁性長板材52の全部分が巻き終
わったら、その終端部が固定された後、巻回された軟磁
性長板材52の周囲に、図2および図3に示す如く、固
定バンド58が装着される。上記の作業により第2コア
38が製造される。
【0033】本実施例において、幅広部分54の長さα
は、心材49の周囲に軟磁性長板材52をその長さαだ
け巻回した場合に、巻回された軟磁性長板材52の直径
が第2電磁コイル36の内径と等しくなるように設計さ
れている。また、幅狭部分56の長さβは、心材49の
周囲に軟磁性長板材52をα+βの長さだけ巻回した場
合に、巻回された軟磁性長板材52の直径が第2電磁コ
イル36の外径と等しくなるように設計されている。更
に、幅広部分55の長さγは、心材49の周囲に軟磁性
長板材52をα+β+γの長さだけ巻回した場合に、巻
回された軟磁性長板材52の直径が第2コア38に付与
すべき直径と等しくなるように設計されている。
【0034】このため、図4に示す軟磁性長板材52を
心材49の周囲に密着巻きすると、第2コア38の外形
を形成できることに加え、精度良く、第2電磁コイル3
6を収納するための環状溝42を形成することができ
る。このように、本実施例の構造によれば、第2電磁コ
イル36の中心軸の周囲に渦状の絶縁部分51を備えと
共に、第2電磁コイル36を収納する環状溝42を備え
る第2コア38を、極めて簡便な手法で実現することが
できる。
【0035】以下、電磁アクチュエータ10の動作につ
いて説明する。第1電磁コイル32および第2電磁コイ
ル36に電流(以下、第1電磁コイル32または第2電
磁コイル36を流れる電流を励磁電流と称す)が流通し
ていない場合は、アーマチャ30がその中立位置、すな
わち、第1コア34と第2コア38との中間に維持され
る。アーマチャ30が中立位置に維持された状態で、第
1電磁コイル32への励磁電流の供給が開始されると、
第1電磁コイル32は、その内外周を還流する磁界を発
生する。
【0036】第1電磁コイル32の周囲には、第1コア
34、アーマチャ30、および、第1コア34とアーマ
チャ30との間のエアギャップで構成され、第1電磁コ
イル32と錯交する磁気回路が形成されている。上記の
如く第1電磁コイル32が発生する磁界は、この磁気回
路を還流する磁束、すなわち、第1コア34の内周側→
エアギャップ→アーマチャ30→エアギャップ→第1コ
ア34の外周側→第1コア34の内周側で表される流通
経路、または、この逆の流通経路を辿って還流する磁束
を発生させる。
【0037】上記の流通経路を辿って還流する磁束が発
生すると、アーマチャ30には、第1コア34とアーマ
チャ30との間のエアギャップを小さくするための電磁
力、すなわち、アーマチャ30を第1コア34側へ付勢
する電磁力が作用する。アーマチャ30に対して上記の
電磁力が作用すると、アーマチャ30、プランジャ1
8、アッパリテーナ24、ロアリテーナ21、弁軸15
および弁体12(以下、これらを総称して可動部60と
称す)は、アッパスプリング26の付勢力に抗って図1
における上方へ向けて変位する。そして、その変位は、
アーマチャ30が第1コア34と当接するまで継続され
る。以下、アーマチャ30が第1コア34と当接する位
置を、アーマチャ30、可動部60、または、弁体12
の閉弁側変位端と称す。
【0038】アーマチャ30が閉弁側変位端に保持され
ている場合に、第1電磁コイル32への励磁電流の供給
が停止されると、その後アーマチャ30を閉弁側変位端
に維持するために必要な電磁力が消滅する。そして、そ
の電磁力が消滅すると、可動部60は、アッパスプリン
グ26に付勢されることにより、図1に於ける下方へ向
けて変位し始める。可動部60の変位量が所定値に達し
た時点で、第2電磁コイル36に適当な励磁電流を流通
させると、今度はアーマチャ30を第2コア38側へ付
勢する電磁力、すなわち、弁体12を図1において下方
へ変位させる電磁力が発生する。
【0039】アーマチャ30に対して上記の電磁力が作
用すると、可動部60は、ロアスプリング22の付勢力
に抗ってアーマチャ30が第2コア38と当接するまで
変位する。以下、アーマチャ30が第2コア38と当接
する位置を、アーマチャ30、可動部60、または、弁
体12の開弁側変位端と称す。従って、本実施例の電磁
アクチュエータ10によれば、第1電磁コイル32と第
2電磁コイル36とに、適当なタイミングで、交互に適
当な大きさの励磁電流を供給することにより、弁体12
を開弁側変位端と閉弁側変位端との間で繰り返し往復運
動させることができる。
【0040】ところで、電磁アクチュエータ10を駆動
するにあたり、第1電磁コイル32または第2電磁コイ
ル36への励磁電流の供給が開始されると、第1コア3
2または第2コア38を取り巻く磁界の環境が急激に変
化する。また、磁界の環境が変化したことによりアーマ
チャ30に変位が生ずると、アーマチャ30が第1コア
32または第2コア38に近づくに連れてそのコアを含
む磁気回路の磁気抵抗が減少する。
【0041】第1コア32または第2コア38を流通す
る磁束は、磁気回路の磁気抵抗が小さくなるに連れて大
きくなる。このため、第1電磁コイル32または第2電
磁コイル36に対して励磁電流が供給され始めると、そ
の後、第1コア34または第2コア38を流通する磁束
は、磁界環境の変化、および、磁気抵抗の変化に起因し
て経時的な変化を示す。
【0042】同様に、第1電磁コイル32または第2電
磁コイル36を流通する励磁電流が遮断されると、その
前後で、第1コア34または第2コア38を取り巻く磁
界の環境が急変する。このため、第1電磁コイル32ま
たは第2電磁コイルに供給されていた励磁電流が停止さ
れるた場合も、その後、第1コア34または第2コア3
8を流通する磁束は、磁界環境の変化に起因して経時的
な変化を示す。
【0043】このように、第1コア34および第2コア
38には、第1電磁コイル32への励磁電流の供給が開
始または停止された直後に、または、第2電磁コイル3
6への励磁電流の供給が開始または停止された直後に、
経時的に強度の変化する磁束が流通する。第1コア34
および第2コア38は導電性の物質である。このため、
それらの内部を貫く磁束に経時的な変化が生ずると、第
1コア34および第2コア38には、電磁誘導により、
その磁束変化を抑制する向きに還流する渦電流が発生す
る。
【0044】図5は、環状の導電体62に生ずる渦電流
64の様子を示す。図5に示す渦電流64は、導電体6
2を紙面表側から裏側へ向かって貫く磁束Φが時間的に
減少する際に発生する。導電体62を紙面表側から裏側
へ向かって貫く磁束Φが減少する場合、導電体62に
は、その減少を妨げる向きに進行する、すなわち、図5
において時計回り方向に進行する渦電流が発生する。
尚、導電体62を貫く上記の磁束Φが時間的に増加する
際には、図5において反時計回り方向に進行する渦電流
が発生する。
【0045】本実施例において、第1コア34に、渦状
の絶縁部分51が形成されていないとすれば、第1電磁
コイル32への励磁電流の供給が開始された直後、およ
び、その励磁電流の供給が停止された直後に、図5に示
す導電体62の場合と同様に、第1コア34の全周を還
流する渦電流が発生する。同様に、第2コア38に、絶
縁部分51が形成されていないとすれば、第2電磁コイ
ル36への励磁電流の供給が開始された直後、および、
その励磁電流の供給が停止された直後に、第2コア38
の全周を還流する渦電流が発生する。
【0046】第1コア34または第2コア38に発生す
る渦電流は、第1コア34または第2コア38の内部を
流通する磁束の変化を妨げる作用を有している。このた
め、第1コア34および第2コア38に発生する渦電流
が、速やかに消滅しない場合、電磁アクチュエータ10
の応答性が悪化すると共に、電磁アクチュエータ10に
おいて大きな渦電流損が生ずる。従って、第1コア34
および第2コア38は、渦電流を早期に消滅させ得る特
性を有していることが望ましい。
【0047】図6は、環状の導電体66を紙面表側から
裏側へ向かって貫く磁束Φが時間的に減少する際に、電
磁誘導によって導電体66に発生する渦電流68を示
す。図6に示す如く、環状体66は、その中心軸を渦状
に取り巻く絶縁部68を備えている。導電体66に生ず
る渦電流は、その絶縁部68を貫いて流れることはな
い。
【0048】このため、磁束Φが減少する場合、導電体
66には、絶縁部68によって隔成される渦状の領域毎
に、それらの外周側を図6に於ける時計回り方向に進行
し、かつ、それらの内周側を図6に於ける反時計回り方
向に進行する渦電流が発生する。尚、上記の磁束Φが増
加する場合には、絶縁部68によって隔成される領域毎
に、それらの外周側を図6に於ける反時計回り方向に進
行し、かつ、それらの内周側を図6に於ける時計回り方
向に進行する渦電流が発生する。
【0049】図6に示す渦電流の流通経路の総和は、図
5に示す渦電流の流通経路の全長に比して長距離であ
る。電磁誘導によって発生する渦電流は、その流通の過
程で抵抗熱に変換されることにより消滅される。従っ
て、渦電流は、その流通経路が長いほど早期に消滅す
る。このため、絶縁部68を備える導電体66によれ
ば、図5に示す導電体62に比して早期に渦電流を消滅
させることができる。
【0050】このように、環状の導電体の内部を還流す
る渦電流(導電体の軸方向に対して垂直な平面内を還流
する渦電流)を早期に消滅させるためには、環状の導電
体に、渦状の絶縁部を設けることが有効である。上述の
如く、第1コア34および第2コア38は、共にその中
心軸を取り巻く渦状の絶縁部分51を備えている。この
ため、第1コア34および第2コア38によれば、その
内部を流通する磁束の変化に伴って発生する渦電流を、
速やかに消滅させることができる。
【0051】ところで、導体を貫く磁束Φの強度が変化
した場合に、渦電流が流通することで消費されるエネル
ギ、すなわち、渦電流損Wは、その導体の固有抵抗ρ、
光速度c、導体の板厚t、磁束Φの変化する周波数f、
および、磁束密度の振幅Bmを用いて次式の如く表すこ
とができる。
【0052】 W=(π2 ・t2 ・f2 ・Bm2 )/(6・ρ・c2 ) ・・・(1) 上記(1)式に示す如く、渦電流損Wは、渦電流が発生
する導体の板厚tの二乗に比例する。従って、その板厚
tが減少されると、渦電流損は大幅な減少を示す。本実
施例において、第1コア34および第2コア38が備え
る軟磁性部分50は、その板厚が上記の如く0.5mm以
下に設定されている。このため、第1コア34および第
2コア38によれば、バルク材によって構成されたステ
ータコア、すなわち、渦状の絶縁部分51を備えていな
いステータコアに比して、渦電流損Wを著しく小さな値
とすることができる。
【0053】第1電磁コイル32から発せられた磁束
は、図1に於ける第1電磁コイル32の上方側で、第1
コア34の内部をその径方向に進行する。また、第2電
磁コイル32から発せられた磁束は、図1に於ける第2
電磁コイル36の下方側で、第2コア38の内部をその
径方向に進行する。これらの場合、磁束は、絶縁部分5
1を貫いて進行しなければならない。しかしながら、本
実施例においては、絶縁部分51の膜厚が数μm と極め
て薄く設定されている。このため、絶縁部分51が大き
な磁気抵抗となることはない。従って、第1コア34お
よび第2コア38を備える電磁アクチュエータ10にお
いては、優れた応答性と、優れたエネルギ特性とが実現
される。
【0054】尚、上記の実施例においては、軟磁性長板
材52の表面に形成された絶縁皮膜53が、前記請求項
1記載の「高抵抗皮膜」に、絶縁部分51が前記請求項
3記載の「高電気抵抗部分」に、所定幅“L”が前記請
求項2および4記載の「第1の幅」に、所定幅“L−
H”が前記請求項2および4記載の「第2の幅」に、ま
た、所定長βが前記請求項2および4記載の「所定長」
に、それぞれ相当している。
【0055】
【発明の効果】上述の如く、請求項1または3記載の発
明によれば、電磁アクチュエータに対して優れた応答性
を付与し、かつ、電磁アクチュエータの渦電流損を低減
し得るステータコアを容易に実現することができる。
【0056】また、請求項2記載の発明によれば、請求
項1に係るステータコアに、容易に、電磁コイルの収納
スペースを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である電磁アクチュエータの
全体構成図である。
【図2】本実施例の電磁アクチュエータを図1に示すII
-II 直線に沿って切断することにより得られる第2コア
の平面図である。
【図3】本実施例の電磁アクチュエータが備える第2コ
アを図2に示すIII-III 直線に沿って切断することによ
り得られる第2コアの断面図である。
【図4】本実施例の電磁アクチュエータが備える第2コ
アの材料となる軟磁性長板材の平面図である。
【図5】環状の導電体に発生する渦電流の様子を表す図
である。
【図6】渦状の絶縁部を備える環状の導電体に発生する
渦電流の様子を表す図である。
【符号の説明】
10 電磁アクチュエータ 12 弁体 18 プランジャ 30 アーマチャ 32 第1電磁コイル 34 第1コア 36 第2電磁コイル 38 第2コア 41,42 環状溝 50 軟磁性部分 51 絶縁部分 52 軟磁性長板材 53 絶縁皮膜 54,55 幅広部分 56 幅狭部分

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の面に高抵抗皮膜を備え
    る軟磁性長板材を、渦状に密着巻きすることで形成され
    ることを特徴とする電磁アクチュエータ用ステータコ
    ア。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の電磁アクチュエータ用ス
    テータコアにおいて、 前記軟磁性長板材が、第1の幅を有する幅広部分と、前
    記第1の幅に比して所定幅だけ狭い第2の幅を有し、か
    つ、所定長連続する幅狭部分と、を備えることを特徴と
    する電磁アクチュエータ用ステータコア。
  3. 【請求項3】 渦状に形成された軟磁性部分と、 前記軟磁性部分相互間に介在する渦状の高電気抵抗部分
    と、 を備えることを特徴とする電磁アクチュエータ用ステー
    タコア。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の電磁アクチュエータ用ス
    テータコアにおいて、 前記軟磁性部分が、第1の幅を有する幅広部分と、前記
    第1の幅に比して所定幅だけ狭い第2の幅を有し、か
    つ、所定長連続する幅狭部分と、を備えることを特徴と
    する電磁アクチュエータ用ステータコア。
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