JPH1094599A - 医療用連結具及びそのキャップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 着脱が簡便であり、治療中に外れないような
医療用連結具を実現する。 【構成】 着脱する連結部の一方又は両方を形状記憶合
金で構成し、形状記憶合金は、形状回復温度をある温度
に設定し、連結具の着脱時にこの形状回復温度より低い
温度で冷却することで、形状記憶合金が変形容易となる
ため着脱が簡便になる。また、接続の場合は、逆に形状
記憶温度以上にすれば、記憶した形状に戻り、容易に脱
離しなくなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】医療用のチューブを連結する
連結具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】 カテーテルを用いた治療に、腹膜透析
療法や経皮静脈栄養療法、経腸栄養療法、インスリン持
続注入療法などがある。カテーテルは患者の体内に埋め
込み、そのカテーテルに透析液や栄養剤などが入った容
器に接続して行う。療法によっては、接続が繁雑に行わ
れるため、安全で且つ着脱が簡便なものが要求されてい
る。例えば腹膜透析療法の場合、透析液バックに針状
（スパイク状）のものを突き刺して接続するスパイクロ
ック方式や異なる熱膨張率の材質を利用して接続する火
炎滅菌方式などがある。火炎滅菌方式については特公昭
６１−５０４５９号公報に記載されている。また、経皮
静脈栄養療法では、ネジ構造を有する雄部と雌部の連結
具が使用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】 腹膜透析療法にお
いて、透析液バックに針状（スパイク状）のものを直接
に突き刺して、接続する方法がある。この場合、透析液
のバックは丈夫に出来ているため、突き刺すためにある
程度の力が必要である。また、雑菌の浸入を防ぐ構造で
あるとは言い難い。また、別な方法として、透析液バッ
クのバックチューブの接続器具とトランスファーチュー
ブに設置された接続器具の各々の材質を異にして、その
熱膨張率を利用して接続する火炎接続方式がある。これ
は特公昭６１−５０４５９号公報に記載されている。こ
の方式の場合、アルコールランプ等の炎を利用するため
に、透析液の炭化等を引き起こし閉塞の原因になる恐れ
がある。また、トランスファーチューブ及びバックチュ
ーブ（シリコンチューブ）の熱による劣化が考えられ
る。更に、火傷の危惧が生じるという欠点がある。ま
た、経皮静脈栄養療法で用いられているネジ構造を有す
る雄部と雌部の連結具の場合、連結具の着脱は簡便であ
るが、その反面治療中に連結具が外れやすいという欠点
がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】 上記に鑑み本発明は、
形状記憶部材の特性を利用して連結具の着脱が簡便であ
り、治療中に外れないような連結具を実現したものであ
る。本発明は、主に着脱する連結部の一方叉は両方を形
状記憶部材で構成するものであるが、形状記憶部材とし
ては、形状記憶合金、形状記憶繊維、形状記憶セラミッ
クス、等少なくとも外部からの温度的、光学的、その他
の刺激に起因した形状変形に対し基の形状への再現可能
な部材を示すものであり、その中でも形状記憶合金は本
発明で好適に用いられる。即ち、形状回復温度をある温
度に設定し、連結具の着脱の時に形状回復温度より低い
温度で冷却することで、形状記憶合金が変形容易とな
り、着脱が簡便なる。また、連結具を接続して使用する
際は、形状回復温度以上に加熱することにより、記憶し
ている形状に戻るために、連結具の形状次第では外れな
くなる。例えば、本発明で使用する形状記憶合金は、Ｎ
ｉ−Ｔｉ（Ｎｉ；５４〜５６重量％、Ｔｉ；残量）又は
Ｎｉ−Ｃｏ−Ｔｉ（Ｎｉ；５３〜５５重量％、Ｃｏ；１
〜３重量％、Ｔｉ；残量）等の合金である。形状回復温
度は、体温以下で形状が回復するように０〜３０℃に設
定した。 連結具に形状記憶合金を使用することで、着
脱が簡便になり、連結具を連結して使用している時に外
れなければ、この限りではない。

【０００５】

【発明の実施の形態】本発明では、記憶された形状に戻
ることで、強固で密着された結合を行う連結部を有する
コネクタ等の連結具であって、その形状は適宜選択され
るものであるが、少なくとも、腹膜透析等の生体内外を
連結するカテーテルに用いられる場合や、人工血管等の
生体埋め込み用チューブのコネクタとして用いられる場
合等の主に医療用として用いられることから、結合時
は、雑菌の混入を防止するために密着強固な状態が形成
される形状も備えるものである。当該連結具は、コネク
タであれば、プラグとソケット等で示される雄部と雌部
等の２つの構成よりなるものであるが、１つの雄部に対
し複数の雌部を一体的にしたもの、あるいはその逆の形
態を有する場合もある。又、外見上１対の連結部である
が、内部は複数の導管が存在したり、同軸状を形成した
りする場合もある。 又、本発明では、連結具の雄部、
雌部の一方叉は他方を形状記憶部材とすればよく、又少
なくとも記憶された形状に起因した密着結合がされれ
ば、雄部、雌部の一部が当該形状記憶部材で形成される
場合即ち複合的構造を取り得る場合もある。ここで、記
憶された形状に起因した密着結合とは、記憶された形状
になることで密着結合することに限らず、記憶された形
状以外の形状になることで密着結合が行われる場合を含
むものであり、形状変形の結果、連結部の密着結合が達
成され、これを繰り返し実現できれば良いことをしめす
ものである。従って、その為の材料、構成を形状記憶部
材は含むものである。接続形態としては、 １．連結具の一方が記憶された形状以外の形状時に他方
を装着し、一方を記憶された形状に戻し、密着状態を形
成する。 ２．連結具の両方が記憶された形状以外の形状時に装着
し、これを記憶された形状に戻し、密着状態を形成す
る。 ３．連結具の一方が記憶された形状時に、他方を装着
し、一方を記憶された形状以外の形状とすることで密着
状態を形成する。これは例えば、雄部と雌部の係止能力
が、形状記憶部材の記憶された形状により、遮られてい
る状態時に両者を装着し、その後、記憶された形状以外
の形状として、両者の係止能力を再現させる構成を示す
ことができる。 ４．連結具の両方が記憶された形状時に装着し、記憶さ
れた形状以外の形状とすることで密着状態を形成する。 尚、形状記憶部材中、形状記憶合金等は、記憶された形
状以外の形状から温度等によって記憶された形状に自己
能力により戻ることができる場合が多数であるが、記憶
された形状以外の形状になる場合、外部より物理的な力
を要するものであり、本発明で示す形状記憶部材は、こ
の物理的な力を加える構造を有する場合もある。記憶さ
れた形状に戻る場合、と記憶された形状以外の形状に移
動する場合、に外部より加えられる温度変化、光変化等
の各種変化は、当該連結具が使用される状況において適
宜選択される。

【０００６】

【作用】形状記憶部材を連結部に有する連結具を使用す
ることにより、連結具の着脱が簡便になる。また、治療
中に連結具の脱落による事故が防ぐことができる。

【０００７】

【実施例】

実施例１ 本発明の実施例は、腹膜透析療法の連結具として例示す
る。図１に示した腹膜透析療法は、腹膜２を体液中の老
廃物を除去する透析膜として用いるものである。患者の
腹腔内に外科手術により植え込んだ腹膜カテーテル４に
接続したトランスファチューブ６と、透析液の入った軟
質プラスチックで出来ている透析液バッグ９に接続した
バッグチューブ８とを連結することにより、透析液を腹
腔内に注入する。この透析液を数時間腹腔内に貯めてい
る間、透析液と腹腔内の毛細血管との溶質濃度勾配及び
浸透圧格差によって水や老廃物を除去する。その後、透
析液を腹膜カテーテル４を介して空の透析液バッグ９に
排出する。この操作を一日に何回か行う。図２に本発明
の医療用連結具を接続した状態の断面図を示し、図３に
連結具が外れた状態の断面図を示す。トランスファーチ
ューブ６とバックチューブ８とを接続する連結具７は、
雄部１０と雌部１１からなる。その連結具７の雌部１１
は形状記憶合金で出来ている。雌部１１にはトランスフ
ァーチューブ６を接続する。雄部１０は形状記憶合金で
ある必要はなく一般的な金属、例えば、純チタンやチタ
ン合金もしくはステンレス系が望ましいが、ポリカーボ
ネートやポリ塩化ビニルなどの合成樹脂でもかまわな
い。雄部１０にはバックチューブ８を接続する。連結具
７を接続した際の液漏れを防ぐために、雄部１０及び雌
部１１には、それぞれシリコーン製のパッキング１２を
取り付けた。雌部１１の形状記憶合金としてＮｉ−Ｃｏ
−Ｔｉ（Ｎｉ；５４重量％−Ｃｏ；２重量％−Ｔｉ；４
４重量％）合金を用いた。このときの形状回復温度を２
０℃に設定した。つまり、形状記憶合金の連結具７の雌
部１１は、２０℃以下の状態では軟化状態で、外圧によ
り変形する。２０℃以上では記憶している形状に戻り、
雄部１０の連結具をゴム弾性的に締め付けることによ
り、治療中は連結具７が外れなくなるという構造であ
る。普段は、連結具７が外れている状態で、トランスフ
ァーチューブ側の連結具にキャップ１３が装着した状態
となっている。その時のキャップ１３を装着した断面図
を図４に示す。キャップ１３の材質には、シリコーンゴ
ムを用いた。 前記の医療用連結具を使用した腹膜透析
療法を説明する。はじめに、雌部１１のキャップ１３を
引き抜く。その後、連結具７の雌部１１を消毒液に漬し
殺菌する。殺菌した連結具の雌部１１を清潔な０℃位の
氷水に漬し、軟化状態にする。その雌部１０に、バック
チューブ８及び透析液バック９に接続した雄部１０を差
し込む。その状態で２０℃以上に暖め、連結具７が外れ
ないことを確認する。その後は、通常の腹膜透析療法を
行う。この時に使用される透析液は、体温（約３６℃）
程度に暖めるため、腹膜透析療法を行っている際は、連
結具７が外れることはない。腹膜透析療法が終わり、連
結具７を外し、キャップ１３を装着する手順は、連結具
の雄部１０を装着する逆手順で行い、本発明の連結具を
用いた腹膜透析を終了する。上記の腹膜透析療法につい
て、疑似的に試験を行ったが、医療用連結具の操作は従
来のものより、簡便に安全に行うことが出来た。本発明
の連結具は、形状記憶合金の特性を生かした医療用チュ
ーブの連結具として、使用するならばこの例示に限るも
のではない。

【０００８】実施例２ 実施例１と同様に腹膜透析療法の例示として上げる。実
施例１で説明した医療用連結具の雄部及び雌部に軸孔よ
りも突出した環状カバーを有した連結具を用いた。 そ
の他の構造は実施例１と同様である。その連結具を接続
した断面図を図５に示し、外した断面図を図６に示す。
また、雌部にキャップを装着した断面図を図７に示す。
図中、雄部１４において、その外側に円筒状の環状カバ
ー１９が配置され、内部に中空部２４を有するの突出部
２１が配置されている。突出部２１は、その外周面が先
端に向かって集束する形状を有し、又その外周面の一環
状面には、凹部２２が形成され、その中空部２４は、バ
ックチューブ８の中空部分と接続している。突出部２１
及び環状カバー１９間の谷部には、環状の殺菌性、抗菌
性等を有するスポンジ１６Ａが配置されている。雌部１
５において、その外側に、雄部１４の環状カバー１９よ
り直径が環状カバー１９の外方向の厚みに対し同等かそ
れ以下の内径を有する円筒状の環状カバー１８が配置さ
れ、内部に中空部２５を有するの突出部２０が配置され
ている。突出部２０は、その内面に環状に凸部２３が設
けられていると共に突出部２０の中空部分２５は、トラ
ンスファーチューブ６と接続している。突出部２０及び
環状カバー１８間の谷部には、環状の殺菌性、抗菌性を
有するスポンジ１６Ｂが配置されている。更に突出部２
０の中空部分２５の内壁面には、環状のパッキング１２
が配置されている。パッキング１２が配置されている付
近の突出部２０の中空部分２５の口径は、雄部１５の突
出部２０の先端の外周口径と略同等の面積を有してい
る。雌部１５は、形状記憶合金で形成されているが、こ
の場合、記憶された形状は図６で示す状態とするもので
ある。雄部１４と雌部１５との接続は、雌部１５が、所
定の温度空間におかれ、記憶された形状以外の形状即ち
柔軟な状態となっている状態において、雄部１４の突出
部２１を雌部１５の突出部２０の中空部２５へ挿入す
る。突出部２０の中空部分は、柔軟な状態であるために
押し広げられ、雄部１４の突出部２１はその先端がパッ
キング１２の部位に到達するまで且つ、突出部２１の外
周に設けられた凹部２２突出部２０の内周に設けられた
凸部２３が嵌合するまで挿入される。この状態におい
て、雄部１４の環状カバー部１９の先端は、雌部１５の
スポンジ１６Ｂと、雌部１５の突出部２０の先端は、雄
部１４のスポンジ１６Ａと圧着状態となる。次にこの連
結した状態で周辺温度を調整する。柔軟な状態を有して
いた為に雄部１４の挿入で変形していた雌部１５は、図
６で示す形状に戻ろうとするため、雌部１５の突出部２
０は、雄部１４の突出部２１の外周面を押圧すると共
に、雌部１５の環状カバー部１８は、雄部１４の環状カ
バー部１９を押圧する。この押圧により、雄部１４と雌
部１５は、強固な結合がされる。又、軸孔よりも軸方向
に突出した環状カバー部１８、１９を有することによっ
て、連結具が手指等に汚損されることのないように配慮
したものである。また、環状カバー１９と軸孔の間のく
ぼみに消毒液を含浸させたスポンジ１６を取り付けるこ
とにより、雑菌等による汚染を防ぐことができる。スポ
ンジ１６には、適宜消毒液を含浸させる。その他は実施
例１と同様に雌部１５に、形状記憶合金のＮｉ−Ｃｏ−
Ｔｉ（Ｎｉ；５４重量％−Ｃｏ；２重量％−Ｔｉ；４４
重量％）を用いた。本発明の環状カバーを有した連結具
を用いた腹膜透析療法としての操作法は、実施例１と同
じである。連結具の雄部１４及び雌部１５に環状カバー
を有することにより、連結具の軸孔に触れることのなく
連結が行えた。

【０００９】

【発明の効果】 本発明の形状記憶合金を用いた医療用
連結具は、一軸タイプの連結法であることから連結工程
が簡単であり、少しの力で完了させることができ取り外
しも簡単である。また冷却等の温度変化も小さい範囲で
済むことから連結部に与える影響も少なく透析液等を炭
化させることもない。また、連結具に環状カバーを有し
た場合、雄部と雌部の軸孔は環状カバー部の内部に没す
るがごとく位置するため、手指による汚損が防げること
から連結する際無菌維持ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の医療用連結具を有した腹膜透析療法
の図。

【図２】 医療用連結具の雄部と雌部を連結させた部分
の断面図。

【図３】 医療用連結具の雄部と雌部を外した部分の断
面図。

【図４】 医療用連結具の雌部にキャップを装着した断
面図。

【図５】 環状カバーを有した医療用連結具の雄部と雌
部を連結させた部分の断面図。

【図６】 環状カバーを有した医療用連結具の雄部と雌
部を外した部分の断面図。

【図７】 環状カバーを有した医療用連結具の雌部にキ
ャップを装着した断面図。

【符号の説明】

１ 背骨 ２ 腹膜 ３ 膀胱 ４ 腹膜透析用カテーテル ５ 腹膜透析用カテーテルとトランスファーチューブを
接続するコネクタ ６ トランスファーチューブ ７ 本発明の医療用連結具 ８ バックチューブ ９ 透析液バック １０ 連結具の雄部 １１ 形状記憶合金の連結具の雌部 １２ パッキン １３ 連結具の雌部のキャップ １４ 環状カバーを有した連結具の雄部 １５ 環状カバーを有した形状記憶合金の連結具の雌部 １６ 消毒液を含浸させたスポンジ １７ 環状カバーを有した雌部のキャップ

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも連結部の一方叉は両方が形状記
   憶部材よりなる医療用連結具及びそのキャップ。
2. 【請求項２】前記連結部が雄部と雌部からなり、なおか
   つ雄部かまたは雌部またはその両方が形状記憶合金から
   成ることを特徴とする医療用連結具及びそのキャップ。
3. 【請求項３】雄部と雌部の両方に、軸孔よりも軸方向に
   突出した環状カバー部を有することによって、手指等に
   汚損されることのない請求項１に記載の医療用連結具及
   びそのキャップ。
4. 【請求項４】軸孔と環状カバー部との隙間に消毒剤をし
   みこませたスポンジ等を有することによって、軸孔への
   菌などの進入を防ぐ構造をもった請求項１に記載の医療
   用連結具及びそのキャップ。