JPH1080991A - 複合シート及びその製造方法 - Google Patents

複合シート及びその製造方法

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JPH1080991A
JPH1080991A JP22312396A JP22312396A JPH1080991A JP H1080991 A JPH1080991 A JP H1080991A JP 22312396 A JP22312396 A JP 22312396A JP 22312396 A JP22312396 A JP 22312396A JP H1080991 A JPH1080991 A JP H1080991A
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Yutaka Matsuyama
裕 松山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 拭き布や瀘過材等として好適な複合シート及
びその製造方法を提供する。 【解決手段】 この複合シートは、紙層と不織布層とが
積層接合されている。紙層は、主体繊維が熱接着性繊維
の融着によって結合されている。不織布層は、分割型複
合繊維の分割により生成した極細繊維を主体として構成
されている。紙層と不織布層とは、熱接着性繊維の融着
によって積層接合され、一体化している。この複合シー
トの表裏面には、多数の皺が形成されて、クレープ構造
を呈している。複合シートの好適な製造方法は、湿紙1
と不織布9とを積層して積層物を得た後、湿紙1面を、
回転するドラムドライヤー7の表面に密着させて、紙層
と不織布層とを接合させて積層シートを得る。その後、
ドラムドライヤー7の表面から積層シートを剥離して、
ドラムドライヤー7の表面速度よりも遅い速度で積層シ
ートを移送して、複合シートを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、拭き布や瀘過布等
として好適に使用される複合シート及びその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、細かい塵埃を拭き取るための
拭き布として、極細繊維を構成繊維とする編織物や不織
布が用いられている。例えば、極細繊維を構成繊維とす
る不織布としては、分割型複合繊維を用いて不織ウェブ
を形成した後、この分割型複合繊維を分割させることに
よって、極細繊維を生成させたものが知られている。こ
のような極細繊維不織布は、極細繊維が細かい塵埃を除
去し、これを極細繊維相互間に捕捉する性能に優れてい
るため、好ましいものである。従って、眼鏡レンズ等の
ガラス類の拭き布として、或いはクリーンルーム用の拭
き布等として用いられている。
【0003】このような拭き布の性能を更に向上させる
ためには、例えば、極細繊維不織布の表裏面に凹凸を設
けて、表面積を拡大させて塵埃捕捉能を高め、更に凸部
による塵埃除去性能を高めることが考えられる。極細繊
維不織布の表裏面に凹凸を設ける手段としては、従来、
布帛類に適用されているクレープ加工を用いる方法があ
る。この方法は、極細繊維不織布の構成繊維として、収
縮性繊維と非収縮性繊維とを混在させておき、収縮性繊
維を収縮させて、非収縮性繊維にたるみやループを形成
させることによって、表裏面に凹凸を発現させる方法で
ある。従って、非収縮性繊維として極細繊維を使用した
場合、この極細繊維よりも収縮しやすい(例えば、熱水
収縮率が極細繊維よりも大きい)別の繊維を採用する必
要がある。また、収縮性繊維も極細繊維と同様に、細か
い塵埃の除去性能に優れ、また繊維相互間に塵埃を良好
に捕捉するものを選択する必要がある。仮に、極細繊維
と同様の性能を備えていない収縮性繊維を採用すると、
表面積を拡大させたり或いは表裏面に凸部を形成させて
も、却って拭き布としての性能が劣る場合がある。従っ
て、上記した方法は、使用する極細繊維及び収縮性繊維
の素材,繊維長及び繊維径(繊度)等の範囲が限定され
るため、自由度が少なく、利用しにくいという欠点があ
る。
【0004】ところで、従来のクレープ紙の製造方法
は、抄紙した湿紙を円筒状ドライヤー上で乾燥すると共
に、ドライヤー表面にドクター刃(クレーピングドクタ
ー刃)を当てて、乾燥した紙を剥離して、クレープ
(皺)を付与するというものであった。クレープを付与
するためには、湿紙がドライヤー表面に密着している必
要があり、また、ドライヤーから剥離した後の紙の搬送
速度は、ドライヤーの周速よりも遅くしなければならな
い。即ち、ドライヤー上では周速と同一の速度で紙は移
動し、ドライヤー上から剥離された後は、紙の移動速度
が遅くなり、この速度差によって、クレープが付与され
るわけである。このようなクレープ紙の製造方法を、極
細繊維を構成繊維とする乾式不織布に、抄紙工程を除い
て適用すれば、表裏面に多数の凹凸(皺)を持つクレー
プ不織布が得られると考えられる。しかしながら、乾式
不織布は、湿紙の如くドライヤー表面に密着しないた
め、ドライヤー上における移動速度と、ドライヤーから
剥離した後の移動速度との差(剥離時における速度差)
出せず、クレープを付与することができない。従って、
従来のクレープ紙の製造方法を採用しても、表裏面に多
数の凹凸を持つ拭き布を得ることは困難であった。
【0005】また、極細繊維不織布よりなる拭き布に吸
液性を付与するため、吸水性を与えるということも考え
られる。吸水性を与えるためには、極細繊維不織布中に
レーヨン繊維やポリビニルアルコール繊維等の吸水性繊
維を混在させる方法や、極細繊維不織布に紙又はレーヨ
ン繊維等の吸水性繊維を構成繊維とする不織布を貼合さ
せる方法等がある。しかし、前者の方法は、極細繊維と
比較的繊維径の太い吸水性繊維とが混在するため、吸水
性繊維の量を多くすればするほど(吸水性を高めれば高
めるほど)、細かな塵埃の除去性能が低下するという欠
点がある。一方、後者の方法は、極細繊維不織布と紙等
との間に糊剤層が介在するため、極細繊維不織布と紙等
との間における水の通過が阻害され、吸水性又は保水性
の大きな向上は望めない。また、紙として、木材パルプ
のみから構成された、一般的な紙を使用すると、紙粉や
木材パルプが脱落し、拭き布としては好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したような観点か
ら、本発明の目的は、従来の極細繊維不織布よりも、塵
埃捕捉性能及び吸液性の両者の性能を一挙に高めること
にある。即ち、本発明は、表裏面に多数の皺を形成させ
て、表面積を拡大すると共に表裏面に凸部を形成して、
塵埃捕捉性能及び塵埃除去性能を向上させると共に、特
定の紙層を特定の手段で極細繊維不織布に接合して、吸
水性を向上させた複合シートを提供しようというもので
ある。なお、表裏面に形成させた多数の皺を持つ状態の
ことを、本発明ではクレープ構造と表現している。
【0007】また、本発明の目的は、上記した複合シー
トを効率良く製造することにある。即ち、本発明は、従
来のクレープ紙の製造方法を特定の方法で採用すること
によって、紙層と乾式不織布との接合と、表裏面におけ
る多数の皺の形成と、乾式不織布中における極細繊維の
生成とを、紙層を形成させるための乾燥工程及びその付
随工程で一挙に行おうというものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明に係る複合シートは、紙層と乾式不織布層とが積層接
合されてなり、該紙層は主体繊維が熱接着性繊維の融着
によって結合されてなり、該乾式不織布層は分割型複合
繊維の分割により生成した極細繊維を主体として構成さ
れてなり、該紙層と該乾式不織布層とは、該熱接着性繊
維の融着によって接合一体化していると共に、全体がク
レープ構造を呈していることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明に係る複合シートの製造方法
は、熱接着性繊維と主体繊維とを含む紙料を抄紙して得
られた湿紙と、分割型複合繊維を構成繊維とする乾式不
織布とを積層して積層物を得た後、該積層物の該湿紙面
を、一定の周速で回転する円筒加熱体の周面に密着させ
て、該湿紙を乾燥させると共に該主体繊維相互間を該熱
接着性繊維の融着によって結合させて紙層を形成せし
め、且つ該紙層と該乾式不織布とを該熱接着性繊維の融
着により接合させて積層シートを得、次いで該円筒加熱
体の周面と該紙層との間にドクター刃を押し当てて、該
円筒加熱体の周面から該積層シートを剥離して、前記一
定の速度よりも遅い速度で該積層シートを移送すること
により、該積層シートにクレープ構造を発現させると共
に、該乾式不織布中の該分割型複合繊維を分割させて極
細繊維を生成させることを特徴とするものである。
【0010】まず、本発明に係る複合シートについて説
明する。複合シートは、紙層と乾式不織布層とを具備す
るものである。紙層は、主体繊維が熱接着性繊維の融着
によって結合されてなるものである。主体繊維として
は、木材パルプ,化学パルプ,合成パルプ(フィブリッ
ド),植物繊維等の天然繊維,レーヨン繊維,ポリエス
テル繊維,ポリアミド繊維,アクリル繊維,ポリプロピ
レン繊維,ポリエチレン繊維等よりなる群から選ばれた
1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができ
る。この説明から明らかなように、本発明において使用
する「主体繊維」という用語は、紙層を構成する主体と
なるもののことを意味しており、通常の木材パルプ,化
学パルプ,合成樹脂をフィブリル化した合成パルプはも
とより、上記した天然繊維,半合成繊維,合成繊維等も
用いられるものである。また、この説明からも明らかな
ように、本発明において「紙層」という用語は、木材パ
ルプ,化学パルプ,合成パルプを主体とする、一般的に
紙(合成紙を含む。)と称呼されるものはもとより、合
成繊維等の繊維を主体とする湿式不織布と称呼されるも
のも含むものである。なお、主体繊維の長さ(繊維長)
や径(繊維径)は、従来より、紙,合成紙或いは湿式不
織布を製造するのに用いられている程度のもので良い。
【0011】複合シートを主として拭き布として使用す
る場合には、紙層中の主体繊維として、木材パルプ,化
学パルプ,レーヨン繊維等の吸水性に優れたものを用い
るのが好ましい。これによって、紙層による吸水性が向
上し、拭き布の吸液力を高めることができるからであ
る。また、紙層に吸油性を与えたり、或いは塵埃吸着力
を向上させるために、有機性油状物質(脂肪族油脂等)
や無機性油状物質(鉱油等)を塗工しておいてもよい。
また、複合シートの吸水性の向上に主眼をおかない場合
には、ポリエステル繊維やポリプロピレン繊維等の疎水
性繊維を使用してもよい。特に、このような疎水性繊維
として、捲縮繊維を使用した場合には、紙層が嵩高で粗
目となり、乾式不織布層が緻密な層となっているため、
瀘過材として好適なものになる。即ち、粗目の紙層で比
較的大きい粉塵を瀘過し、緻密な乾式不織布層で比較的
細かい粉塵を瀘過できるので、緻密な不織布層が目詰ま
りしにくく、瀘過材を長寿命化しうると共に、表面積が
拡大しているので、瀘過面積も広くなって、瀘過材とし
て好適に使用しうるのである。更に、パルプの中でも、
架橋剤で処理した嵩高性パルプや高濃度アルカリ処理パ
ルプを用いると、複合シートに嵩高性を付与することが
でき、拭き布としても瀘過材としても好適である。
【0012】紙層に含有されている熱接着性繊維は、そ
の融着によって、主体である主体繊維相互間を結合させ
るものである。また、紙層と乾式不織布層とを、その融
着によって接合させるものである。熱接着性繊維として
は、乾熱又は湿熱接着性繊維が用いられる。主体繊維
は、熱接着性繊維が接着性を呈する温度で、軟化,溶
融,劣化及び変質しないものが用いられる。一般的に、
熱接着性繊維が接着性を呈する温度は、70〜160℃
の範囲であるのが好ましい。また、熱接着性繊維の具体
例としては、ポリビニルアルコール繊維等の湿熱接着性
繊維,エチレン−酢酸ビニル共重合体繊維,ポリエチレ
ン繊維等の乾熱接着性繊維が用いられる。また、熱接着
性繊維としては、高融点重合体の芯成分と低融点重合体
の鞘成分よりなる芯鞘型複合繊維や、横断面半月状の高
融点重合体と横断面半月状の低融点重合体とが貼合され
てなるサイドバイサイド型複合繊維を用いることもでき
る。この場合、低融点重合体が熱接着性成分となる。高
融点重合体/低融点重合体の組み合わせとしては、ポリ
プロピレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体,ポリエス
テル/ポリエチレン,ポリエステル/変性ポリエステル
等が代表的である。なお、熱接着性繊維の繊維長は、3
〜20mm程度が好ましく、特に5〜10mm程度がよ
り好ましい。また、熱接着性繊維の繊度は、0.5〜1
0デニール程度が好ましく、更に1.0〜7デニール程
度がより好ましく、特に1.5〜5デニール程度が最も
好ましい。
【0013】紙層中における、主体繊維と熱接着性繊維
との混合割合は、主体繊維:熱接着性繊維=50〜9
9:50〜1(重量%)であるのが好ましく、特に70
〜97:30〜3(重量%)であるのがより好ましい。
この範囲を超えて、熱接着性繊維が多すぎると(従っ
て、主体繊維が少なすぎると)、紙層の風合が硬くなっ
てしまう恐れがあり、また主体繊維として木材パルプや
レーヨン繊維等の吸水性繊維を使用した場合には、吸水
性が低下する。また、紙層の乾燥秤量は、10〜50g
/m2程度であるのが好ましく、特に15〜35g/m2
であるのがより好ましい。
【0014】一方、乾式不織布層は、分割型複合繊維の
分割により生成した極細繊維を主体として構成されてい
る。分割型複合繊維は、長繊維でもあっても短繊維であ
っても差し支えない。一般的には、長繊維であるのが好
ましい。長繊維をそのまま堆積させて得られた乾式不織
布(例えば、スパンボンド法によるスパンボンド不織
布)の方が、長繊維を切断して短繊維とした後に得られ
る乾式不織布(例えば、カード法によるカード不織布)
よりも、合理的に製造しうるからである。分割型複合繊
維の繊度は、任意に決定しうる事項であるが、2〜12
デニールであるのが好ましい。分割型複合繊維の繊度
が、2デニール未満であると、分割型複合繊維を溶融紡
糸法によって製造しにくくなる。また、分割型複合繊維
の繊度が12デニールを超えると、分割により生成した
極細繊維の繊度が大きくなる傾向が生じ、乾式不織布層
による細かな塵埃の除去性能が低下する傾向が生じる。
【0015】分割型複合繊維は、その横断面において、
重合体成分Aとこの重合体成分Aとは非相溶性の重合体
成分Bとが貼合されてなるものである。重合体成分Aと
Bとが、非相溶性であるのは両者を分割しやすくするた
めである。分割型複合繊維を分割させると、重合体成分
Aよりなる極細繊維と重合体成分Bよりなる極細繊維に
分割されるのである。重合体成分AとBとの貼合の具体
的形態としては、図1〜図8に示したような形態が挙げ
られるが、これに限定されるものではない。図1及び図
2は、各々、分割型複合繊維の横断面図であり、図1
は、横断面が略楔状の重合体成分Aと横断面が略楔状の
重合体成分Bとが交互に多数貼合されてなり、全体とし
ての分割型複合繊維の横断面形状が円形となっているも
のである。図2は、横断面が略台形状の重合体成分Aと
横断面が略台形状の重合体成分Bとが交互に多数貼合さ
れてなり、全体としての分割型複合繊維の横断面形状が
中空円形(即ち、図2中のCは中空部を示している。)
となっているものである。図1や図2に示した分割型複
合繊維は、それを分割させることによって、重合体成分
Aよりなる極細繊維、及び重合体成分Bよりなる極細繊
維を生成するものである。
【0016】図3〜図5は、横断面が円形の重合体成分
Aが、不定形横断面の重合体成分Bの外周部に、複数個
埋入された状態で貼合されてなるものである。図3のも
のは埋入の程度が大きく、重合体成分Aの外周の半分程
度が埋入されている。図4のものは埋入の程度の小さ
く、重合体成分Aの外周の1/4〜1/6程度が埋入さ
れている。図5のものは埋入の程度が、図3のものより
も更に大きく、3/4〜5/6程度が埋入されている。
図3〜図5に示した分割型複合繊維は、それを分割させ
ることによって、重合体成分Aよりなる極細繊維を生成
するものである。重合体成分Bよりなる繊維は、相対的
に重合体成分Aよりなる極細繊維よりも繊維径の大きい
ものであるが、本発明では分割型複合繊維の分割によっ
て生成した繊維のことを極細繊維と呼んでいるから、重
合体成分Bよりなる繊維も極細繊維の概念に包含される
ものである。
【0017】図6〜図8は、横断面が三日月状の重合体
成分AとBとが、交互に多数積層貼合されてなるもので
ある。図6のものは、三日月状の重合体成分AとBとが
積層貼合され、全体としての分割型複合繊維の横断面形
状が円形となっているものである。図7のものは、全体
してとの分割型複合繊維の横断面形状が中空円形となっ
ている他は、図6の場合と同様である。図8のものは、
全体としての分割型複合繊維の横断面形状が三葉形とな
っている他は、図6の場合と同様である。図6〜図8に
示した分割型複合繊維は、それを分割させることによっ
て、横断面が扁平な帯状の極細繊維を生成する。
【0018】重合体成分Bと重合体成分Aの具体的な組
み合わせ(成分B/成分A)としては、ポリアミド系重
合体/ポリエステル系重合体,ポリオレフィン系重合体
/ポリエステル系重合体,ポリオレフィン系重合体/ポ
リアミド系重合体を用いることができる。そして、ポリ
エステル系重合体としては、ポリエチレンテレフタレー
ト,ポリブチレンテレフタレート,或いはこれらを主成
分とする共重合ポリエステル等を使用することができ
る。ポリアミド系重合体としては、ナイロン6,ナイロ
ン46,ナイロン66,ナイロン610,或いはこれら
を主成分とする共重合ナイロン等を使用することができ
る。ポリオレフィン系重合体としては、ポリプロピレ
ン,高密度ポリエチレン,線状低密度ポリエチレン,エ
チレン−プロピレン共重合体等を使用することができ
る。なお、重合体成分B及び/又は重合体成分A中に
は、所望に応じて、潤滑剤,顔料,艶消し剤,熱安定
剤,耐光剤,紫外線吸収剤,制電剤,導電剤,蓄熱剤等
が添加されていてもよい。
【0019】乾式不織布層は、分割型複合繊維の分割に
より生成した極細繊維を主体として構成されている。従
って、分割型複合繊維外の他の繊維が50重量%以下程
度の割合で混合していても差し支えない。極細繊維の繊
維径(繊度)は、0.1〜1デニール程度が好ましく、
特に0.1〜0.3デニール程度であるのがより好まし
い。極細繊維の繊維径が1デニールを超えると、本発明
に係る複合シートを拭き布としたとき、細かな塵埃を除
去する性能を乾式不織布層に与えにくくなる。極細繊維
の繊維径を0.1デニール未満とすることは、分割型複
合繊維の製造上の理由で困難である。なお、図9は、図
3で示した分割型複合繊維が分割された状態を示した横
断面図であり、重合体成分Aよりなる極細繊維と重合体
成分Bよりなる極細繊維とを生成するものである。ま
た、乾式不織布層の重量は、一般的に紙層よりも重く、
10〜60g/m2程度であるのが好ましく、特に15
〜30g/m2程度であるのがより好ましい。
【0020】分割型複合繊維は、前記したように重合体
成分Aと重合体成分Bとの組み合わせからなるため、分
割によって成分Aに由来する極細繊維A、成分Bに由来
する極細繊維Bが生成する。このとき、極細繊維Aと極
細繊維Bとは、両者共に分割型複合繊維から生成したも
のであるため、同一の長さとなっている。しかしなが
ら、例えば熱収縮率や熱水収縮率等の収縮率の異なる重
合体成分Aと重合体成分Bとを用いて、分割後に熱処理
をすれば、極細繊維Aと極細繊維Bとの熱収縮率が異な
るため、熱収縮率の小さい極細繊維の方が、その長さが
長くなる。そして、この極細繊維にたるみが生じて、比
較的嵩高な風合を持つ複合シートとなる。
【0021】本発明において、紙層と乾式不織布層と
は、紙層に混入されている熱接着性繊維の融着によっ
て、積層接合されている。即ち、紙層に混入されている
熱接着性繊維は、その融着によって、紙層中の主体繊維
相互間を結合するものであると共に、紙層と乾式不織布
層とを接合するものでもある。熱接着性繊維は、一般的
に、紙層中に均一に存在しているため、紙層の表面にも
存在する。そして、この表面に存在する熱接着性繊維の
融着によって、主体繊維と極細繊維とが結合しており、
その結果、紙層と乾式不織布層とが接合されているので
ある。紙層と乾式不織布層との積層接合の程度は、両者
が一体化していると認められる程度であれば、どの程度
の接合強力であっても差し支えない。即ち、複合シート
の取り扱い中に、紙層と乾式不織布層とが簡単に剥離し
たり、或いは両層間に簡単に浮き上がりを生じたりしな
い程度であれば良い。
【0022】紙層と乾式不織布層とが積層接合されてな
る複合シートの表裏面には、多数の皺が形成されて、ク
レープ構造を呈している。この皺は、複合シートの表裏
面に、不規則に設けられていてもよいし、規則的に設け
られていてもよい。また、皺の長さや高さも、どの程度
であっても差し支えない。本発明においては、複合シー
トの幅方向に全幅に亙ってクレープ皺が広がっており、
隣合うクレープ皺の間隔は0.3〜6.0mm程度で規
則的に配列しているのが好ましく、特に0.7〜3.5
mm程度で配列しているのがより好ましい。また、クレ
ープ皺は直線的のみでなく波形にする場合もある。実公
昭49−47372号公報では、刃先の形状を杓子状に
並列させ凹凸にしたドクター刃が開示されている。この
ようなドクター刃によって形成されるクレープ皺は、外
観的には縦横のクロス模様に見える。このドクター刃を
使用して、より効果的に分割型複合繊維を分割すること
もできる。このような多数の皺が設けられていることに
よって、複合シートの表面積が拡大されると共に表裏面
に凸部が形成され、拭き布として使用したときには、保
水性,塵埃捕捉能及び塵埃除去性能が向上する。また、
瀘過材として使用したときには、表面積が拡大されてい
るため、瀘過面積が大きくなる。
【0023】本発明に係る複合シートは、一般的には、
紙層と乾式不織布層との二層のみからなる。従って、複
合シートの表面を紙層とすると、裏面は乾式不織布層と
なっており、いずれの層にも多数の皺が形成されている
ことになる。本発明に係る複合シートの重量は、22〜
110g/m2程度であるのが好ましく、特に25〜7
5g/m2程度であるのがより好ましい。また、本発明
に係る複合シートは、紙層と乾式不織布層との二層のみ
からなるもの同士を貼合したものも包含している。例え
ば、紙層同士が当接するようにして貼合し得られる、片
面側から乾式不織布層/紙層/紙層/乾式不織布層の如
き層構造を持つものも、本発明に係る複合シートの概念
に包含される。このような複合シートは、表裏共に乾式
不織布層となり、両面共に多数の皺が形成されているこ
とになる。
【0024】次に、本発明に係る複合シートの製造方法
について説明する。まず、主体繊維と熱接着性繊維とを
含む紙料を準備する。主体繊維や熱接着性繊維として
は、前記したものを任意に用いることができる。前記し
たもののうち、紙層の主体繊維として捲縮繊維を用いた
い場合には、紙料中に潜在捲縮性繊維を含有させておく
のが好ましい。潜在捲縮性繊維は、紙料中では捲縮が発
現しておらず、乾燥工程において捲縮を発現するもので
ある。このように、潜在捲縮性繊維を用いる理由は、捲
縮繊維は紙料中に均一に分散懸濁しにくいからである。
潜在捲縮性繊維としては、熱水収縮率の異なる二成分が
サイドバイサイド型又は偏心芯鞘型に複合されている複
合繊維を用いるのが好ましい。また、主体繊維として木
材パルプや植物パルプを用いる場合には、得られる紙層
の乾燥湿潤強度を向上させるために、紙料中に紙力増強
剤を混合しておくのが好ましい。紙力増強剤としては、
従来公知のカチオン化澱粉,ポリアクリルアミド,ポリ
アミド・ポリアミン・エポキシ樹脂、カルボキシメチル
セルロース・アルカリ金属塩等が使用できる。以上のよ
うに、本発明においては、主体繊維と熱接着性繊維とそ
の他任意成分とを、常法により水中に懸濁分散させて、
紙料とするのである。この紙料は、円網抄紙法,長網抄
紙法,短網抄紙法,傾斜短網抄紙法,ツインワイヤー
法,フォーマー法等の従来公知の抄紙法によって、抄紙
されて湿紙が形成される。本発明において「湿紙」と
は、紙料を抄紙した後、乾燥させるまでの状態における
湿潤ウェブのことを意味している。
【0025】このような湿紙に、前記した分割型複合繊
維を構成繊維とする乾式不織布を積層した積層物を得
る。乾式不織布は、従来公知の方法で製造することがで
き、例えば分割型複合繊維が長繊維である場合には、ス
パンボンド法を採用する(スパンボンド不織布である)
のが好ましい。また、分割型複合繊維が短繊維である場
合には、カード法を採用する(カード不織布である)の
が好ましい。乾式不織布中における分割型複合繊維は、
繊維相互間が公知の手段で固定されているのが好まし
い。例えば、分割型複合繊維の重合体成分B(重合体成
分Aよりも低融点である。)の融着によって、分割型複
合繊維相互間を融着して固定してもよい。この融着は、
不織布全面ではなく、部分的に施すのが好ましく、特に
融着区域が散点状に配置されてなる、いわゆる点結合不
織布とするのが好ましい。不織布全面が融着固定されて
いると、後の工程で分割型複合繊維を分割させにくいか
らである。また、分割型複合繊維相互間を絡合させるこ
とにより、又は特にカード不織布ではバインダー樹脂で
結合することにより、更には熱融着性繊維で結合するこ
とによって、分割型複合繊維相互間を固定してもよい。
【0026】湿紙と乾式不織布とを積層した積層物の、
湿紙面が加熱面に密着するようにして、湿紙を乾燥す
る。加熱面とは、湿紙が乾燥する程度の温度に加熱され
た面のことであり、具体的には円筒加熱体の周面を意味
している。このような加熱面は、湿紙を乾燥しながら、
積層物を搬送するために、一定の周速で回転している。
この速度は、湿紙を加熱面から剥離する際に、湿紙が乾
燥して紙層となる程度であれば、任意の速度でよい。な
お、本発明において、「積層物」とは、湿紙と乾式不織
布とが積層された状態のものを意味し、また、「積層シ
ート」とは、湿紙が乾燥して形成された紙層と、乾式不
織布とが積層接合した状態のものを意味している。ま
た、本発明において、「乾式不織布」と言うときは、構
成繊維である分割型複合繊維が未だ分割していない状態
である場合を意味し、「乾式不織布層」と言うときは、
分割型複合繊維が分割して、極細繊維が生成した後の状
態である場合を意味している。
【0027】本発明においては、湿紙と加熱面とが密着
していることが必要である。密着しているとは、加熱面
に積層物が固定され、加熱面の周速と積層物の移動速度
とがほぼ同一となっているという意味である。このよう
に両者が密着している理由は、次のとおりである。即
ち、本発明では、加熱面からドクター刃により剥離され
た後の積層シートは、加熱面の周速よりも遅い速度で搬
送され、そのため、剥離前後において、積層シートの移
動速度に差が生じる。そして、この速度差を利用して、
剥離後の積層シートに、皺を生じさせるのである。例え
ば、剥離前後において、積層シートの移動速度が同じで
あれば、積層シートに皺を生じさせることができない。
従って、積層物は加熱面の周速とほぼ同一の速度で移動
するように、加熱面に密着していなければならないので
ある。
【0028】積層物乃至は積層シートを加熱面に密着さ
せる手段としては、積層物乃至は積層シートと加熱面と
の摩擦抵抗を大きくするような方法であれば、どのよう
な方法であっても差し支えない。本発明の製造例では、
湿紙に水分が含有されているため、加熱面と湿紙(積層
物)とが密着しやすくなっている。湿紙中の主体繊維が
パルプの時は、パルプ中のセルロースは金属面との親和
性により湿紙は加熱面に良く密着する。主体繊維が合成
繊維やレーヨン繊維の時は熱接着性繊維の一部としてポ
リビニルアルコール繊維を使用し、その熱水溶解性によ
る接着力によって、湿紙と加熱面をよく密着させること
ができる。
【0029】積層物が加熱面に密着して移動している
際、湿紙は乾燥して紙層となる。即ち、湿紙に含有され
ていた水分が乾燥し、更に、湿紙に含有されている熱接
着性繊維が溶融して、湿紙中の主体繊維相互間を融着す
るのである。また、このとき、湿紙に含有されている熱
接着性繊維が溶融して、乾式不織布中の分割型複合繊維
と融着し、紙層と乾式不織布とが接合されるのである。
このように、紙層と乾式不織布とが積層接合されて、加
熱面上で、積層シートが得られるのである。
【0030】積層シートが得られた後、加熱面からこれ
を剥離する。積層シートと加熱面とは密着しており、し
かも、剥離後の積層シートの移送速度は加熱面の周速よ
りも遅いため、単に引き剥しただけでは剥離しにくい。
従って、加熱面と紙層との間に、ドクター刃を押し当て
て、速度差をつけて剥離するのが一般的である。そし
て、剥離した後の積層シートを、加熱面の周速、即ち剥
離前の積層シートの移動速度よりも、遅い速度で搬送す
る。この結果、剥離前の加熱時に乾式不織布中の分割型
複合繊維の熱収縮率の異なる存在によって、収縮応力が
潜在化し、ドクター刃による加熱面からの剥離で、この
収縮応力は顕在化すること、と移動速度差による折り畳
みにより、その表裏面に多数の皺が形成されると考えら
れる。また、このようなドクター刃による折り畳みによ
り、乾式不織布中の分割型複合繊維に曲げや捩れ等が与
えられ、分割が生じて、重合体成分A及びBよりなる極
細繊維が生成するのである。更に、分割型複合繊維とし
て、熱収縮率の異なる重合体成分A及びBよりなるもの
を用いている場合には、加熱面からの熱の作用によっ
て、重合体成分AとBとが異収縮を起こし、更に分割を
促進させるのである。また、このような分割型複合繊維
を用いている場合には、分割した後においても、加熱面
からの熱の作用によって、成分Aに由来する極細繊維A
及び成分Bに由来する極細繊維Bが異収縮を起こし、熱
収縮率の小さい方の極細繊維の長さが長くなり、この極
細繊維にたるみが生じる。このたるみによって、乾式不
織布層は嵩高性が向上し、更に風合も良好となる。
【0031】以上のような方法で、本発明に係る複合シ
ートが得られるわけであるが、この複合シートはそのま
ま最終製品として用いられても良いし、その他の各種後
加工を施して最終製品としても良い。例えば、後加工と
して、伸長処理或いは加圧処理を施して、製造時に発現
したクレープ構造を低減させても良い。このような処理
によって、表裏面の多数の皺が引き伸ばされ、或いは押
し潰されて大きいクレープ構造は低減するが、前記の収
縮差,ドクター刃による繊維の曲げや捩れ等各繊維単体
の細やかな皺(ミクロクリンプ)は熱セットされていて
そのまま残り、完全に消失することはない。また、後加
工として、揉み加工を施して、乾式不織布層中に未分割
として残存している分型型複合繊維の分割を更に促進さ
せても良い。更に、鉱物油や界面活性剤等の薬剤含浸処
理を施して、塵埃除去性能を向上させても良い。以上の
ように後加工して又は後加工を施さずに、本発明に係る
複合シートを得ることができる。本発明に係る複合シー
トは、前記した拭き布或いは瀘過材として好適に用いる
ことができるが、その他、寝具用シーツ(特に、医療用
ベッドシーツ)、各種包材、テーブルクロス等として、
各種用途に用いることができる。また、拭き布の範疇に
包含されるものであるが、複合シートに水又は界面活性
剤を含有させた、いわゆるウェットティッシュー(ウェ
ットワイパー)としても用いることができる。
【0032】
【実施例】次に、図10に示した装置を用いて、複合シ
ートを得る方法及び複合シートの実施例について説明す
るが、本発明に係る複合シート及びその製造方法は、こ
の実施例に限定されるものではない。
【0033】実施例1 まず、木材パルプ70重量%と熱接着性繊維30重量%
とを均一に混合し、常法により紙料を得た。熱接着性繊
維としては、芯部がポリプロピレンで鞘部がエチレン−
酢酸ビニル共重合体よりなる芯鞘型複合熱接着性繊維で
あって、繊度1.5デニール,繊維長5mmのものを使
用した。ポリプロピレンの融点は167℃であり、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体の溶融温度は110℃である
から、120℃程度に加熱(湿熱下での加熱)すれば、
鞘部が軟化し、熱接着性を発現する。
【0034】この紙料を円網2で抄紙して、湿紙1を形
成し、コンベアー4上に載せて、速度100m/分で搬
送した。湿紙1の秤量は、水分を乾燥させた後の重量
で、10g/m2であった。一方、コンベアー4上に載
せた湿紙1の上に、更に目付25g/m2の乾式不織布
9を積層した。この乾式不織布9は、図3で示した横断
面を持つ分割型複合長繊維100重量%よりなるスパン
ボンド不織布である。分割型複合長繊維は、重合体成分
Aがポリエチレンテレフタレート(融点257℃)で形
成され、重合体成分Bが高密度ポリエチレン(融点13
2℃)で形成されており、繊度3デニールのものであ
る。また、このスパンボンド不織布は、低融点成分であ
る高密度ポリエチレンの溶融による融着区域が部分的に
配置されてなる、点結合のスパンボンド不織布である。
【0035】コンベアー4上に載せられた湿紙1と乾式
不織布9との積層物は、フェルトコンベアー6上に転送
された後、ドラムドライヤー7の加熱面に湿紙1が密着
するようにして、表面速度が100m/分のドラムドラ
イヤー7に転送される。ドラムドライヤー7の表面温度
(加熱面の温度)は120℃に加熱されており、湿紙1
中の水分が蒸発すると共に、熱接着性繊維は軟化して、
木材パルプ相互間を結合する。また、この熱接着性繊維
は、乾式不織布9との積層面にも存在するため、木材パ
ルプと分割型複合長繊維とを結合させ、湿紙1が乾燥し
た紙層と乾式不織布9とを接合する。以上のようにし
て、ドラムドライヤー7の表面上で、紙層と乾式不織布
9とが積層接合した積層シートが得られる。なお、積層
物乃至は積層シートは、ドラムドライヤー7の周面の約
3/4程度の面に、巻回密着している。
【0036】この積層シートは、ドクターナイフ10で
ドラムドライヤー7の表面から剥ぎ取られる。剥ぎ取ら
れた後、ドラムドライヤー7の表面速度(周速)よりも
遅い速度で、つまりドラムドライヤー7上における積層
シートの搬送速度よりも遅い速度で、搬送されるのであ
る。この速度差のために、剥ぎ取られた積層シートは、
加熱面とドクター刃のごく狭い隙間(ドクター刃が加熱
面に接触する箇所の上方で、ドクター刃の肉厚と加熱面
との間に形成される断面略V字上の溝のこと)で細かく
折り込まれて、表裏面に多数の皺が形成される。この皺
は、概ね、積層シートの幅方向全幅に延びる皺であっ
て、不規則に形成されている。また、この折り畳み時、
乾式不織布9中の分割型複合長繊維に、ドラムドライヤ
ー7からの熱,及び折り畳みによる曲げや捩れ等が加わ
って、繊度0.13デニールのポリエチレンテレフタレ
ートよりなる極細繊維と、繊度0.53デニールの高密
度ポリエチレンよりなる極細繊維とに分割割繊されるの
である。
【0037】以上のようにして得られた複合シートは、
紙層と乾式不織布層とが接合して一体化されたものであ
り、全体にクレープ構造を呈するものであった。この複
合シートは、表面積が拡大されていると共に表裏面に多
数の凸部を有しており、且つ紙層に木材パルプが含有さ
れており吸水性も良好であるため、 拭き布として好適
に使用しうるものであった。拭き布としての性能を評価
するために、拭き取り試験を行った結果、表1に示した
とおりであった。
【0038】
【表1】
【0039】なお、拭き取り試験の方法は、次のとおり
である。即ち、1m×0.3mの木床上に、各ゴミ(毛
髪,タルカムパウダー,醤油)を均一に散布し、この木
床上を、各実施例及び比較例で得られたシートで軽く2
往復させて拭く。なお、実施例1〜4に係る複合シート
で拭く際、乾式不織布層が木床に当接するようにした。
そして、当初に散布したゴミの量に対して、どの程度の
ゴミが除去できたかで、拭き取り試験の評価を行った。
この評価は、[(木床上の当初の各ゴミ量−木床上の拭
き取り後の各ゴミ量)/木床上の当初の各ゴミ量]×1
00(%)なる式で得られた値により行い、数値の高い
方が拭き取り性能が良好であることを表している。
【0040】実施例2 繊度2デニール,繊維長7mmのレーヨン繊維70重量
%と、繊度3デニール,繊維長5mmのポリビニルアル
コール繊維(湿熱接着性繊維)3重量%と、繊度2デニ
ール,繊維長5mmの熱接着性繊維27重量%とを均一
に混合し、常法により紙料を得た。熱接着性繊維として
は、芯部がポリエチレンテレフタレートで鞘部が高密度
ポリエチレンよりなる、芯鞘型複合熱接着性繊維を使用
した。ポリエチレンテレフタレートの融点は257℃で
あり、高密度ポリエチレンの融点は132℃であるか
ら、140℃程度に加熱すれば、鞘部が溶融し、熱接着
性を発現する。
【0041】この紙料を円網2で抄紙して、湿紙1を形
成し、コンベアー4上に載せて、速度100m/分で搬
送した。湿紙1の重量は、水分を乾燥させた後の重量
で、20g/m2であった。一方、コンベアー4上に載
せた湿紙1の上に、更に目付35g/m2の乾式不織布
9を積層した。この乾式不織布9は、図2で示した横断
面を持つ分割型複合短繊維100重量%よりなるカード
不織布である。分割型複合短繊維は、重合体成分Aがポ
リエチレンテレフタレート(融点257℃)で形成さ
れ、重合体成分Bがポリプロピレン(融点167℃)で
形成されており、繊度3デニールで繊維長54mmのも
のである。また、このカード不織布は、低融点成分であ
るポリプロピレンの溶融による融着区域が部分的に配置
されてなる、点結合のカード不織布である。
【0042】その後は、実施例1と同一の方法で複合シ
ートを得た。なお、カード不織布中の分割型複合短繊維
は、繊度0.13デニールのポリエチレンテレフタレー
トよりなる極細繊維と、繊度0.13デニールの高密度
ポリエチレンよりなる極細繊維に分割割繊されていた。
このようにして得られた複合シートは、表面積が拡大さ
れていると共に表裏面に多数の凸部が形成されて、クレ
ープ構造を呈しており、且つ紙層に親水性のレーヨン繊
維が含有されているため、吸水性も良好であり、 拭き
布として好適に使用しうるものであった。拭き取り試験
の結果は、表1に示したとおりであった。
【0043】実施例3 繊度1.5デニール,繊維長7mmのポリエステル繊維
70重量%と、繊度2デニール,繊維長5mmの熱接着
性繊維30重量%とを均一に混合し、常法により紙料を
得た。熱接着性繊維は、実施例1で用いたものと同一の
ものを使用した。この紙料を用いて、実施例1の分割型
スパンボンド不織布の重量を30g/m2とする他は、
実施例1と同様にして複合シートを得た。そして、この
複合シートの紙層側に、紙層重量を基準にして鉱油5重
量%を塗工して、
【0044】得られた複合シートは、紙層中の主体繊維
及び熱接着性繊維の種類が異なるだけで、実施例1で得
られた複合シートと同様の外観を有していた。この複合
シートは、表面積が拡大されていると共に表裏面に多数
の凸部が形成されて、クレープ構造を呈しており、且つ
紙層に鉱油が塗工されているため、細かな粉末類よりな
る塵埃を良好に拭き取ることのできるものであった。拭
き取り試験の結果は、表1に示したとおりであった。
【0045】実施例4 繊度2デニール,繊維長7mmの潜在捲縮性ポリエステ
ル繊維75重量%と、繊度2デニール,繊維長5mmの
熱接着性繊維23重量%と、繊度3デニール,繊維長5
mmのポリビニルアルコール繊維(湿熱接着性繊維)2
重量%とを均一に混合し、常法により紙料を得た。潜在
捲縮性ポリエステル繊維は、熱水収縮率高いポリエチレ
ンテレフタレート成分と、熱水収縮率の低いカチオン可
染性ポリエステル成分とがサイドバイサイド型に複合さ
れた複合繊維を使用した。また、熱接着性繊維は、芯部
がポリエチレンテレフタレートで、鞘部が融点110℃
の変性ポリエチレンテレフタレートよりなる、芯鞘型複
合熱接着性繊維を使用した。
【0046】この紙料を用いて、湿紙1の乾燥の秤量
を、水分を乾燥させた後の重量で、30g/m2とし、
且つ実施例1の分割型スパンボンド不織布の重量を30
g/m2とする他は、実施例1と同一の方法で複合シー
トを得た。この方法の場合には、湿紙1を乾燥する段階
で、湿紙1中の潜在捲縮性ポリエステル繊維に捲縮が発
現する。このため、得られた複合シートの目付や外観
は、実施例1に係る複合シートに比べて、異なってい
た。この複合シートは、表面積が拡大されていると共
に、紙層が捲縮繊維の存在によって嵩高で粗目となって
おり、また乾式不織布層が分割型複合長繊維の分割によ
り生成した極細繊維の存在によって緻密になっているた
め、瀘過材として使用するのに好適である。即ち、紙層
で比較的大きな粉塵を予め瀘過した後に、乾式不織布層
で比較的細かい粉塵を瀘過できるため、乾式不織布層の
目詰まりが生じにくく、瀘過材として長寿命のものであ
る。
【0047】比較例1 繊度約3デニール,繊維長約54mmのポリエステル短
繊維が集積されており、ポリエステル短繊維相互間がウ
ォーターニードリングによって絡合されてなる、目付4
0g/m2の乾式不織布を用いて、拭き取り試験を行っ
た。その結果は、表1に示したとおりであった。なお、
この不織布表面には、油剤が2g/m2の割合で塗工さ
れていた。
【0048】比較例2 メルトブローン法で得られたポリプロピレン極細繊維が
集積されてなる、目付45g/m2のメルトブローン不
織布を用いて、拭き取り試験を行い、その結果を表1に
示した。なお、ポリプロピレン極細繊維の繊度は、概ね
0.1デニール程度であった。
【0049】表1の結果から明らかなように、実施例1
〜4に係る複合シートは、比較例1及び2に係る不織布
と比べて、毛髪除去性,タルカムパウダー除去性,醤油
除去性のいずれもが満足のゆく程度の性能を持つもので
あり、拭き布として好適なものであった。なお、タルカ
ムパウダーは、化粧料の一成分として用いられる一般的
なものを用いた。
【0050】
【発明の効果】本発明に係る複合シートは、極細繊維を
主体として構成された乾式不織布層と、任意の主体繊維
と熱接着性繊維で構成された紙層とを具備するものであ
り、なお且つ表裏面には多数の皺が形成されて、クレー
プ構造を呈するものである。従って、乾式不織布層によ
る塵埃除去性能と紙層による塵埃除去性能の両方を発揮
することができ、しかも表面の皺の存在によって、これ
らの塵埃除去性能をより増進させると共に塵埃捕捉性能
をも増進させることができるため、拭き布として好適に
使用することができる。
【0051】また、主体繊維として、吸水性に優れた木
材パルプやレーヨン繊維等を採用した場合には、吸水性
の良好な拭き布とすることができる。紙層に、鉱油等の
油剤を塗工しておいた場合には、油や粉末状塵埃の除去
性能をより向上させた拭き布とすることもできる。ま
た、主体繊維として、捲縮繊維を採用した場合には、紙
層を嵩高な粗目の層とすることができ、極細繊維で構成
された緻密な乾式不織布層の存在及び表裏面の皺の存在
と相俟って、瀘過材として好適に使用することもでき
る。
【0052】本発明に係る複合シートの製造方法は、湿
紙と乾式不織布とを積層した積層物を、湿紙が加熱面と
密着するようにして、湿紙を乾燥させると共に乾式不織
布と接合させ、更に加熱面から湿紙を剥離した後の積層
シートの移送速度を、加熱面の移動速度よりも遅くする
ことによって、表裏面に多数の皺を形成させると共に、
乾式不織布中の分割型複合繊維を分割割繊して極細繊維
を生成させるというものである。即ち、湿紙の乾燥及び
紙層と乾式不織布との接合を一挙に行い、更に、表裏面
の皺の形成と極細繊維の生成とを一挙を行うという方法
であり、極めて合理的に複合シートを得ることができる
という効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図2】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図3】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図4】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図5】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図6】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図7】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図8】本発明において使用する分割型複合繊維の一例
を示した横断面図である。
【図9】図3に示した分割型複合繊維が分割した状態を
示した横断面図である。
【図10】本発明に係る複合シートを得るための装置の
一例を示した概略図である。
【符号の説明】
1 湿紙 7 ドラムドライヤー 9 乾式不織布 10 ドクター刃
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/12 B32B 27/12 (72)発明者 水谷 浩 千葉県八千代市八千代台西10丁目23番地3 号 (72)発明者 山本 勇 京都府宇治市琵琶台1丁目13番地の1 (72)発明者 高部 比古 千葉県松戸市常盤平双葉町20−3 (72)発明者 松山 裕 千葉県松戸市胡録台177 (72)発明者 鈴木 邦夫 東京都武蔵野市中町3丁目10番10号212

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙層と乾式不織布層とが積層接合されて
    なり、該紙層は主体繊維が熱接着性繊維の融着によって
    結合されてなり、該乾式不織布層は分割型複合繊維の分
    割により生成した極細繊維を主体として構成されてな
    り、該紙層と該乾式不織布層とは、該熱接着性繊維の融
    着によって接合一体化していると共に、全体がクレープ
    構造を呈していることを特徴とする複合シート。
  2. 【請求項2】 分割型複合繊維の分割により生成した2
    種の極細繊維A,Bのうち、1種の極細繊維Bの長さ
    は、他の1種の極細繊維Aの長さよりも長く、該極細繊
    維Bにたるみが生じている請求項1記載の複合シート。
  3. 【請求項3】 主体繊維が疎水性捲縮繊維である請求項
    1又は2記載の複合シート。
  4. 【請求項4】 熱接着性繊維と主体繊維とを含む紙料を
    抄紙して得られた湿紙と、分割型複合繊維を構成繊維と
    する乾式不織布とを積層して積層物を得た後、該積層物
    の該湿紙面を、一定の周速で回転する円筒加熱体の周面
    に密着させて、該湿紙を乾燥させると共に該主体繊維相
    互間を該熱接着性繊維の融着によって結合させて紙層を
    形成せしめ、且つ該紙層と該乾式不織布とを該熱接着性
    繊維の融着により接合させて積層シートを得、次いで該
    円筒加熱体の周面と該紙層との間にドクター刃を押し当
    てて、該円筒加熱体の周面から該積層シートを剥離し
    て、前記一定の速度よりも遅い速度で該積層シートを移
    送することにより、該積層シートにクレープ構造を発現
    させると共に、該乾式不織布中の該分割型複合繊維を分
    割させて極細繊維を生成させることを特徴とする複合シ
    ートの製造方法。
  5. 【請求項5】 分割型複合繊維が重合体成分Aと重合体
    成分Bとで形成されており、該重合体成分Aと該重合体
    成分Bとの熱収縮率が異なる請求項4記載の複合シート
    の製造方法。
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