JPH108079A - エンジン用潤滑油添加剤及びエンジン用潤滑油組成物 - Google Patents

エンジン用潤滑油添加剤及びエンジン用潤滑油組成物

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JPH108079A
JPH108079A JP18006096A JP18006096A JPH108079A JP H108079 A JPH108079 A JP H108079A JP 18006096 A JP18006096 A JP 18006096A JP 18006096 A JP18006096 A JP 18006096A JP H108079 A JPH108079 A JP H108079A
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lubricating oil
fatty acid
weight
engine
condensation reaction
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JP18006096A
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English (en)
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Shogo Nomoto
昌吾 野本
Jiro Hashimoto
二郎 橋本
Yukio Kakimoto
幸男 柿本
Shigeaki Takashina
重昭 高階
Junzo Ito
純三 伊藤
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Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】炭素原子数が16〜24の一価飽和脂肪酸
及び/又は炭素原子数が16〜24の一価飽和脂肪酸の
エステルと、β−アミノアルコールの縮合反応生成物か
らなる、エンジン用潤滑油の清浄性の向上作用を有する
ことを特徴とするエンジン用潤滑油添加剤、該添加剤を
含有するエンジン用潤滑油組成物、並びに該添加剤を用
いるエンジン用潤滑油の清浄性の向上方法。 【効果】本発明のエンジン用潤滑油添加剤又はエンジン
用潤滑油組成物を使用することにより、エンジン用潤滑
油の清浄性を顕著に向上させることができる。また、従
来より使用されてきた無灰清浄分散剤の使用量を大きく
減少させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン用潤滑油
の清浄性向上作用を有するエンジン用潤滑油添加剤、該
添加剤を含有するエンジン用潤滑油組成物、並びに該エ
ンジン用潤滑油添加剤を用いたエンジン用潤滑油の清浄
性の向上方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジン用潤滑油がエンジンの高温運転
で酸や熱の影響を受け、劣化する際に生成するスラッジ
が、クランクケースへ堆積したり、ピストンリングを膠
着させたりすることにより、エンジン性能の低下やエン
ジンの故障を引き起こすことがある。かかる問題を回避
すべく、エンジン用潤滑油の清浄性を向上させること、
即ち、上記の堆積や膠着を防止したり、スラッジの生成
そのものを抑制すること、について種々の工夫がなされ
てきた。
【0003】近年、エンジンの高性能化及び排ガス規制
強化によるエンジンの熱負荷は増大しており、エンジン
用潤滑油の清浄性の向上に対する要求がますます高まっ
ている。これまでに、清浄性向上のために、スルホネー
ト、フェネート、サリシレート等の過塩基性金属系清浄
剤及び長鎖アルケニル、アルキル基を有するコハク酸イ
ミド(一般的に「コハク酸イミド」と言われる)を代表
とする含窒素の無灰性分散剤が用いられてきた。これら
の中でもコハク酸イミドが広く用いられているが、清浄
性を満足するためにはコハク酸イミドを多量に用いる必
要があった。コハク酸イミドは数多くの文献に開示され
ており、当技術分野においてよく知られている。このコ
ハク酸イミドの基本形態は、USP 2,992,708 号、USP 3,
018,291号、USP 3,024,237 号、USP 3,100,673 号、USP
3,219,666 号、USP 3,172,892号およびUSP 3,272,746
号に開示されている。また、USP 2,737,496号に記載さ
れたメタクリル酸エステルと含窒素塩基性モノマーの共
重合体などの分散剤も使用されている。しかしながら、
清浄性を向上させるためには、かかる無灰性分散剤を多
量に用いる必要が有り、それにより潤滑油の粘度が増加
することがあるという問題がある。
【0004】脂肪酸とアルカノールアミンから誘導され
る縮合物において、潤滑油添加剤または潤滑油組成物と
しての使用例は、特開平5−105893号公報に自動
車自動変速機用潤滑油として、また特公昭61−215
17号公報および特公平6−74434号公報にエンジ
ン用潤滑油または自動変速機用の潤滑油として開示され
ている。しかしながら、これらに開示されている縮合物
は金属面の摩擦調整剤として述べられており、特に不飽
和の脂肪酸とアルカノールアミンとの縮合物が摩擦低減
に効果があると述べられており、潤滑油等の清浄性の向
上作用については何ら述べられていない。即ち、本発明
においては、一価飽和脂肪酸又は一価飽和脂肪酸のエス
テルとβ−アミノアルコールから誘導される特定の構造
の縮合物が、優れた清浄性の向上作用を有することを見
出したものであり、前記摩擦調整剤とは何ら関係がな
い。
【0005】また、各種燃料添加剤としての使用例とし
て、特開昭55−82191号公報、特開昭55−78
0号公報、WO 9,307,238号では、エマルジョン燃料用乳
化剤としてアルカノールアミドが開示され、USP 4,204,
481 号ではアルコール用燃料の摩耗防止剤としてジエタ
ノールアミンのオレイン酸アミドの利用が開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】今後更にエンジン用潤
滑油の清浄性が要求される状況下、これ以上の従来の無
灰性分散剤の増量はコストのアップ及び潤滑油の粘度増
加をもたらし、限界にあると言われている。従って本発
明の目的は、より少量で効果のある、清浄性向上作用の
優れた新規エンジン用潤滑油添加剤を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、該添加剤を含有するエンジン
用潤滑油組成物を提供することにある。本発明の更に他
の目的は、該添加剤を用いるエンジン用潤滑油の清浄性
の向上方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、炭素原子数16〜
24の一価飽和脂肪酸又は一価飽和脂肪酸のエステルと
β−アミノアルコールとの縮合反応生成物が、不飽和脂
肪酸とアルカノールアミンとの縮合物や従来の無灰性分
散剤よりも優れた清浄性の向上作用を有することを見出
し、本発明を完成させるに至った。
【0008】即ち、本発明の要旨は、(1) 炭素原子
数が16〜24の一価飽和脂肪酸及び/又は炭素原子数
が16〜24の一価飽和脂肪酸のエステルと、下記式
(I)
【0009】
【化5】
【0010】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 はH又は
炭素原子数が1〜2のアルキル基を示し、XはH又は
【0011】
【化6】
【0012】を示す。)で表されるβ−アミノアルコー
ル、の縮合反応生成物からなる、エンジン用潤滑油の清
浄性の向上作用を有することを特徴とするエンジン用潤
滑油添加剤、(2) さらに無灰清浄分散剤及び/又は
金属系清浄剤を含有してなる前記(1)記載の添加剤、
(3) 無灰清浄分散剤が分子量500〜2000の長
鎖アルケニル基又は長鎖アルキル基を有するコハク酸イ
ミドである前記(2)記載の添加剤、(4) 前記
(1)〜(3)いずれか記載の添加剤を含有することを
特徴とするエンジン用潤滑油組成物、(5) 炭素原子
数が16〜24の一価飽和脂肪酸及び/又は炭素原子数
が16〜24の一価飽和脂肪酸のエステルと、下記式
(I)
【0013】
【化7】
【0014】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 はH又は
炭素原子数が1〜2のアルキル基を示し、XはH又は
【0015】
【化8】
【0016】を示す。)で表されるβ−アミノアルコー
ル、の縮合反応生成物を0.001〜20重量%含有す
る前記(4)記載の組成物、(6) 前記(1)〜
(3)いずれか記載の添加剤を用いることを特徴とす
る、エンジン用潤滑油の清浄性の向上方法、に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明のエンジン用潤滑油添加剤は、エンジン用潤
滑油の清浄性の向上作用を有することを特徴とする、一
価飽和脂肪酸及び/又は一価飽和脂肪酸のエステルと、
β−アミノアルコールの縮合反応生成物からなるもので
ある。
【0018】本発明において、縮合反応生成物の原料と
して用いられる脂肪酸とは、炭素原子数16〜24の直
鎖または分岐鎖の一価飽和脂肪酸である。具体的には、
パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラ
キン酸、イソアラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、
イソリグノセリン酸等の炭素原子数16〜24の直鎖又
は分岐鎖の飽和アルキル基を有する一価飽和脂肪酸が挙
げられる。また、一価飽和脂肪酸のエステルとしては、
上記炭素原子数16〜24の一価飽和脂肪酸のメチルエ
ステル、エチルエステル等の炭素数1〜3の低級アルコ
ールエステルが挙げられる。具体的には、パルミチン酸
メチル、イソステアリン酸メチル、イソリグノセリン酸
メチル、ステアリン酸メチル等が挙げられる。
【0019】エンジン用潤滑油の清浄性の向上作用が発
揮されるためには、縮合反応生成物がエンジン用潤滑油
に溶解すること及びその縮合反応生成物が耐熱性を有す
ることが必要である。したがって、原料である一価飽和
脂肪酸及びそのエステルの炭素原子数は、溶解性と耐熱
性の両者の観点からは、炭素原子数16〜20の直鎖飽
和脂肪酸若しくはそのエステル、又は炭素原子数18〜
24の分岐鎖飽和脂肪酸若しくはそのエステルが好まし
い。また、より好ましくは炭素原子数16〜20の直鎖
飽和脂肪酸又はそのエステルが好ましく、特に炭素原子
数18の直鎖飽和脂肪酸又はそのエステルが最も好まし
い。
【0020】本明細書において「エンジン用潤滑油の清
浄性」とは、エンジン用潤滑油中に存在するスラッジに
よる、エンジン性能の低下を招き得るエンジン用潤滑油
の性質をいう。かかる清浄性は、スラッジの絶対的な濃
度の低下だけでなく、部材表面へのスラッジの吸着の抑
制等、スラッジによる作用の実質的な低下により清浄性
が向上する。かかるスラッジは、エンジン用潤滑油がエ
ンジンの高温運転で酸や熱の影響を受け、劣化する際に
生成する。エンジン用潤滑油の清浄性は、例えば後述の
パネルコーキング試験、ホットチューブ試験により評価
することができる。
【0021】また、本明細書において「縮合反応生成
物」とは、一価飽和脂肪酸及び/又は一価飽和脂肪酸の
エステルとβ−アミノアルコールの縮合反応により生成
するアミド、エステル、アミドエステルだけでなく、残
存する未反応原料を含有してなる混合物をいう。かかる
縮合反応生成物は、公知の精製方法により未反応原料の
量を減少させたり、特定の成分の量を増大させたり等し
て用いても良い。
【0022】縮合の対象であるβ−アミノアルコールと
しては、下記式(I)
【0023】
【化9】
【0024】(式中、R1 、R2 、R3 、R4 はHまた
は炭素原子数が1〜2のアルキル基、XはHまたは
【0025】
【化10】
【0026】を示す。)で表される化合物である。一価
飽和脂肪酸やそのエステルと縮合反応を行わせる際、用
いるβ−アミノアルコールは一種類であっても良く、二
種類以上の混合物であっても良い。β−アミノアルコー
ルの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノ
ールアミン、モノ−2−プロパノールアミン及びジ−2
−プロパノールアミン等が挙げられ、モノエタノールア
ミン、ジエタノールアミンが好ましく、特にジエタノー
ルアミンが好ましい。
【0027】縮合反応の際の、一価飽和脂肪酸/一価飽
和脂肪酸のエステルとβ−アミノアルコールとの組み合
わせとしては、1)一価飽和脂肪酸とβ−アミノアルコ
ール、2)一価飽和脂肪酸のエステルとβ−アミノアル
コール、3)一価飽和脂肪酸及び一価飽和脂肪酸のエス
テルとβ−アミノアルコールのいずれであっても良い。
また、一価飽和脂肪酸は、一種のみを原料として用いて
も良く、二種以上の混合物を用いても良い。一価飽和脂
肪酸のエステルについても同様である。
【0028】一価飽和脂肪酸又は一価飽和脂肪酸のエス
テルと、上記β−アミノアルコールから得られる縮合反
応生成物の具体例を次に示す。脂肪酸及び/又は脂肪酸
エステルとモノエタノールアミンの組み合わせの場合、
モノエタノールアミンの脂肪酸アミド、脂肪酸エステ
ル、脂肪酸アミド・エステルおよび未反応物等の混合物
が得られる。かかる混合物を縮合反応生成物として用い
る場合、該生成物中のモノエタノールアミンの脂肪酸ア
ミドの含有率は30重量%以上が好ましく、より好まし
くは50重量%以上、特に75重量%以上が最も好まし
い。
【0029】また、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルと
ジエタノールアミンの組み合わせの場合、ジエタノール
アミンの脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド
・エステル及び未反応物等の混合物が得られる。かかる
混合物を縮合反応生成物として用いる場合、該生成物中
のジエタノールアミンの脂肪酸アミドの含有率は30重
量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上、
特に75重量%以上が最も好ましい。脂肪酸及び/又は
脂肪酸エステルとモノエタノールアミン及びジエタノー
ルアミンの組み合わせの場合、上記組成物の混合物が得
られる。かかる混合物を縮合反応生成物として用いる場
合、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンの脂
肪酸アミドの含有率は30重量%以上が好ましく、より
好ましくは50重量%以上、特に75重量%以上が最も
好ましい。
【0030】また、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルと
ジ−2−プロパノールアミンの組み合わせの場合、ジ−
2−プロパノールアミンの脂肪酸アミド、脂肪酸エステ
ル、脂肪酸アミド・エステルおよび未反応物等の混合物
が得られる。かかる混合物を縮合反応生成物として用い
る場合、該生成物中のジ−2−プロパノールアミンの脂
肪酸アミドの含有率は30重量%以上が好ましく、より
好ましくは50重量%以上、特に75重量%以上が最も
好ましい。また、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルとモ
ノ−2−プロパノールアミンの組み合わせの場合、モノ
−2−プロパノールアミンの脂肪酸アミド、脂肪酸エス
テル、脂肪酸アミド・エステルおよび未反応物等の混合
物が得られる。かかる混合物を縮合反応生成物として用
いる場合、該生成物中のモノ−2−プロパノールアミン
の脂肪酸アミドの含有率は30重量%以上が好ましく、
より好ましくは50重量%以上、特に75重量%以上が
最も好ましい。
【0031】そして、炭素原子数18の直鎖飽和脂肪酸
及び/又はそのエステルとジエタノールアミンとの縮合
反応生成物であって、該生成物中の脂肪酸アミドの含有
率が40重量%以上であるものが特に好ましく、脂肪酸
アミドの含有率が70重量%以上の、炭素原子数18の
直鎖飽和脂肪酸及び/又はそのエステルとジエタノール
アミンとの縮合反応生成物が最も好ましい。なお、縮合
反応生成物中の脂肪酸アミドの量は、反応条件を調整す
ることにより、また精製を行うことにより調整できる。
【0032】本発明のエンジン用潤滑油添加剤に用いる
縮合反応生成物は、例えば下記の方法により製造するこ
とができる。すなわち、一価飽和脂肪酸を、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、ジ−2−プロパノー
ルアミン、及びモノ−2−プロパノールアミンからなる
群より選ばれる1種以上の化合物と共に反応させ、縮合
反応生成物を製造する場合、5〜15mmHgの減圧
下、130〜140℃に加熱し、約7〜10時間生成す
る水を除去しつつ、アミド化反応を行わせることにより
目的の生成物を得ることができる。
【0033】また、例えば一価飽和脂肪酸メチルエステ
ルのような脂肪酸エステルを、モノエタノールアミン、
ジエタノールアミン、ジ−2−プロパノールアミン、及
びモノ−2−プロパノールアミンからなる群より選ばれ
る1種以上の化合物と反応させ、縮合反応生成物を製造
する場合は、NaOMe、アミン等の塩基性触媒の存在
下、100〜110℃に加熱し、次いで5〜15mmH
gに減圧しつつ、生成するメタノールを除去し、約2〜
10時間反応させることにより目的の生成物を得ること
ができる。かかる方法は、脂肪酸エステルからアルカノ
ールアミンの脂肪酸アミドを高収率で得る方法であり、
一価飽和脂肪酸に限らず不飽和等の他の脂肪酸において
も非常に有効な方法である。
【0034】反応生成物中に未反応のβ−アミノアルコ
ール、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、ジ−2−プロパノールアミン、及びモノ−2−プ
ロパノールアミン等の化合物の総含有量が20重量%を
越えて残存していると、エンジン用潤滑油への溶解性、
清浄性の向上作用が急激に低下する場合がある。従っ
て、β−アミノアルコールから選ばれる1種以上の総残
存量を好ましくは20重量%以下、より好ましくは15
重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に5
重量%以下に抑えるのが最も好ましい。目的の縮合反応
生成物中のβ−アミノアルコール、例えばモノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、ジ−2−プロパノール
アミン、及びモノ−2−プロパノールアミン等の残存量
を極力少なくし、かつ目的の成分である脂肪酸アミドを
高収率で得るためには、前記の如く、脂肪酸エステルと
β−アミノアルコールから選ばれる1種以上とを、Na
OMe、アミン等の塩基性触媒の存在下、例えば、10
0〜110℃/5〜15mmHgで反応させる方法が特
に好ましい。
【0035】本発明のエンジン用潤滑油添加剤は、前記
のようにして得られた縮合反応生成物を単独で用いても
優れた清浄性の向上作用を発揮するが、既存の無灰清浄
分散剤及び/又は金属系清浄剤と併用すると、さらに優
れた清浄性の向上作用が発揮される。本発明の縮合反応
生成物と無灰清浄分散剤との量的な関係については、高
い清浄性の向上作用を得る観点から、無灰清浄分散剤に
対する縮合反応生成物の重量比で、好ましくは5〜0.
01、より好ましくは2〜0.01、特に好ましくは1
〜0.05である。また、本発明の縮合反応生成物と金
属系清浄剤との量的な関係については、高い清浄性の向
上作用を得る観点から、金属系清浄剤に対する縮合反応
生成物の重量比で、好ましくは10〜0.01、より好
ましくは5〜0.01、特に好ましくは2〜0.05で
ある。さらに、本発明の縮合反応生成物の無灰清浄分散
剤および金属系清浄分散剤に対する重量比で、好ましく
は2〜0.01、より好ましくは1〜0.01の場合、
高い清浄性の向上作用を有するエンジン用潤滑油添加剤
が得られる。
【0036】ここで言う無灰清浄分散剤とは、エンジン
等の潤滑油に通常用いられるもの(例えば、幸書房の
「石油製品添加剤」 p.318〜p.422 に記載のもの)で、
コハク酸イミド、マンニッヒ反応によりポリブテン、フ
ェノール、ホルムアルデヒド、ポリアミンを反応させて
得られたヒドロキシベンジルアミン、極性モノマーを導
入させたポリメタクリレート等が例示される。好ましく
はコハク酸イミドと業界で呼ばれる無灰清浄分散剤(例
えば、USP 3,172,892 号に記載のもの)である。コハク
酸イミドとしては、分子量500〜2000の長鎖アル
ケニル基又は長鎖アルキル基を有するものが好ましい。
【0037】また、ここでいう金属系清浄剤としては、
従来エンジン用潤滑油添加剤として用いられているもの
(例えば、幸書房の「石油製品添加剤」 p.318〜p.347
に記載のもの)であれば特に限定されないが、例えば石
油スルホン酸(石油スルホネート系金属清浄剤)、合成
スルホン酸、アルキルフェノールサルファイド重合体
(フェネート系金属清浄剤)、アルキルサリチル酸(サ
リシレート系金属清浄剤)等の有機酸のアルカリ土類金
属塩である中性塩、又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含
有する過塩基化物が挙げられる。好ましくは石油スルホ
ネート系金属系清浄剤である。
【0038】本発明のエンジン用潤滑油組成物は、適当
なエンジン用潤滑油又はエンジン用潤滑油組成物中へ本
発明の添加剤を混合することによって容易に調製でき
る。本発明におけるエンジン用潤滑油の基油として有用
な油の例はナフテン系基油、パラフィン系基油および混
合基油および合成油でありうる天然の油である。それ以
外でも、炭化水素が石炭給源から、及びアルキレン重合
体、カルボン酸エステル等のような合成化合物(例え
ば、幸書房の「潤滑油の物理化学」 p.200〜p.218 に記
載のもの)から誘導されうる。他の潤滑油添加剤も本発
明のエンジン用潤滑油組成物に使用されうる。そのよう
な添加剤の例としては、粘度指数向上剤、耐摩耗剤、抗
酸化剤、油性剤、防錆剤、極圧添加剤、流動点降下剤、
分散剤、過塩基性金属系清浄剤、染料および他の潤滑油
に慣用されている添加剤等が挙げられる。
【0039】本発明のエンジン用潤滑油組成物中には、
本発明の、一価飽和脂肪酸及び/又は一価飽和脂肪酸の
エステルとβ−アミノアルコールの縮合反応生成物は、
好ましくは0.001〜20重量%、より好ましくは
0.1〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量
%、特に好ましくは0.1〜2重量%含有される。ま
た、本発明のエンジン用潤滑油組成物中には、本発明の
縮合反応生成物に無灰清浄分散剤を含有してなるエンジ
ン用潤滑油添加剤は、好ましくは0.001〜30重量
%、より好ましくは0.1〜25重量%、さらに好まし
くは1〜15重量%含有される。また、本発明のエンジ
ン用潤滑油組成物中には、本発明の縮合反応生成物に金
属系清浄剤を含有してなるエンジン用潤滑油添加剤は、
好ましくは0.001〜30重量%、より好ましくは
0.1〜20重量%、さらに好ましくは1〜10重量%
含有される。
【0040】さらに、本発明のエンジン用潤滑油組成物
中には、本発明の縮合反応生成物に無灰清浄分散剤およ
び金属系清浄剤を含有してなるエンジン用潤滑油添加剤
は、好ましくは0.001〜30重量%、より好ましく
は0.1〜25重量%、さらに好ましくは5〜20重量
%含有される。また、例えば清浄性の劣るグレードのエ
ンジン用潤滑油に本発明のエンジン用潤滑油添加剤を上
記の如く少量添加するだけで、清浄性の高いオイルにす
ることができる。
【0041】本発明のエンジン用潤滑油添加剤の優れた
清浄性の向上作用について、詳細なメカニズムは明らか
ではないが、次のように効果発現の理由を推定してい
る。本発明のエンジン用潤滑油添加剤として用いる縮合
反応生成物は、その成分中のOH基を介して金属表面に
吸着し、この吸着した成分が油膜を形成することによ
り、油中に発生したスラッジ等の汚れ物質の金属表面へ
の吸着を防止しているものと考えられる。よって、縮合
反応生成物中に、その分子中にOH基を有する成分が含
有されていることが金属吸着に効果的である。特にOH
基が窒素原子に対してβ−位の炭素原子上に位置する構
造を有し、金属に対するキレート形成能を有することが
金属表面吸着に効果的である。さらにはOH基を2個有
する化合物が好ましい。さらにこの構造は、OH基と窒
素原子が共同して油中に発生した汚れ物質と結合しキレ
ート化合物を形成して汚れを可溶化し分散させることに
より、優れた清浄性の向上作用が発揮されるものと推定
される。従って、本発明のエンジン用潤滑油添加剤を用
いることにより、エンジン用潤滑油の清浄性を向上させ
ることができるため、本発明はこのようなエンジン用潤
滑油の清浄性の向上方法をも提供するものである。
【0042】
【実施例】以下、製造例、実施例等により本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等により
なんら限定されるものではない。
【0043】製造例1 ステアリン酸2.5モルおよびジエタノールアミン2.
5モルを2リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲
気下に攪拌しつつ昇温し、次いで150℃にて30mm
Hgの減圧下に脱水しつつ反応を行った。ステアリン酸
に由来する酸価が0.5mgKOH/g以下になり、留
出する水がなくなるのを確認した上で反応を終了し、反
応物を得た。GPC分析(ゲルパーミュエーションクロ
マトグラフィー)により分析し、42重量%のN,N−
ビス−(2−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミドを
得た。他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物と
して得られた。ジエタノールアミンの残存量は1.4重
量%であった。原料のβ−アミノアルコールの残存量は
GPC分析により測定した(以下の製造例においても同
様)。
【0044】製造例2 製造例1と同様の方法により、イソリグノセリン酸2.
5モルおよびジエタノールアミン2.5モルを反応させ
て生成物を得た。GPC分析により40重量%のN,N
−ビス−(2−ヒドロキシエチル)イソリグノセリン酸
アミドを得た。他の成分はアミド・エステル化合物が副
生成物として得られた。ジエタノールアミンの残存量は
1.3重量%であった。
【0045】製造例3 製造例1と同様の方法により、ステアリン酸2.5モル
およびモノエタノールアミン/ジエタノールアミン=1
/1(モル比)の混合物2.5モルを反応させて生成物
を得た。GPC分析により、N,N−ビス−(2−ヒド
ロキシエチル)ステアリン酸アミド及びN−(2−ヒド
ロキシエチル)ステアリン酸アミド(計46重量%)を
得た。他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物と
して得られた。モノエタノールアミン/ジエタノールア
ミンの残存量は1.2重量%であった。
【0046】製造例4 パルミチン酸メチル2.5モルおよびジエタノールアミ
ン2.5モル、触媒としてナトリウムメトキサイド0.
03モルを2リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰
囲気下に攪拌しつつ昇温し、次いで100℃にて20m
mHgの減圧下メタノールを除去しつつ反応を行った。
アミン価が23以下となり、留出するメタノールがなく
なるのを確認した上で反応を終了し、触媒をアニオン吸
着剤で吸着除去した後、反応物を得た。反応物をGPC
分析により分析し、85重量%のN,N−ビス−(2−
ヒドロキシエチル)パルミチン酸アミドを得た。他の成
分はアミド・エステル化合物が副生成物として得られ
た。ジエタノールアミンの残存量は3.5重量%であっ
た。
【0047】製造例5 製造例4と同様の方法により、イソステアリン酸メチル
2.5モルおよびジエタノールアミン2.5モルを反応
させて生成物を得た。GPC分析により83重量%の
N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)イソステアリ
ン酸アミドを得た。他の成分はアミド・エステル化合物
が副生成物として得られた。ジエタノールアミンの残存
量は3.3重量%であった。
【0048】製造例6 製造例4と同様の方法により、イソリグノセリン酸メチ
ル2.5モルおよびジエタノールアミン2.5モルを反
応させて生成物を得た。GPC分析により75重量%の
N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)イソリグノセ
リン酸アミドを得た。他の成分はアミド・エステル化合
物が副生成物として得られた。ジエタノールアミンの残
存量は4.1重量%であった。
【0049】製造例7 製造例4と同様の方法により、ステアリン酸メチル2.
5モルおよびモノエタノールアミン2.5モルを反応さ
せて生成物を得た。GPC分析により84重量%のN−
(2−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミドを得た。
他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物として得
られた。モノエタノールアミンの残存量は3.0重量%
であった。
【0050】製造例8 製造例4と同様の方法により、ステアリン酸メチル2.
5モルおよびジエタノールアミン2.5モルを反応させ
て生成物を得た。GPC分析により85重量%のN,N
−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミド
を得た。他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物
として得られた。ジエタノールアミンの残存量は3.1
重量%であった。
【0051】製造例9 製造例4と同様の方法により、ステアリン酸メチル2.
5モルおよびジ−2−プロパノールアミン2.5モルを
反応させて生成物を得た。GPC分析により70重量%
のN,N−ビス−(2−ヒドロキシプロピル)ステアリ
ン酸アミドを得た。他の成分はアミド・エステル化合物
が副生成物として得られた。ジ−2−プロパノールアミ
ンの残存量は3.5重量%であった。
【0052】製造例10 製造例4と同様の方法により、ステアリン酸メチル2.
5モルおよびモノエタノールアミン/ジエタノールアミ
ン=1/1(モル比)の混合物2.5モルを反応させて
生成物を得た。GPC分析により、N,N−ビス−(2
−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミド及びN−(2
−ヒドロキシエチル)ステアリン酸アミド(計83重量
%)を得た。他の成分はアミド・エステル化合物が副生
成物として得られた。モノエタノールアミン/ジエタノ
ールアミンの残存量は3.2重量%であった。
【0053】比較品1 製造例4と同様の方法により、オレイン酸メチル2.5
モルおよびジエタノールアミン2.5モルを反応させて
生成物を得た。GPC分析により82重量%のN,N−
ビス−(2−ヒドロキシエチル)オレイン酸アミドを得
た。他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物とし
て得られた。ジエタノールアミンの残存量は3.3重量
%であった。
【0054】比較品2 製造例4と同様の方法により、エルカ酸メチル2.5モ
ルおよびジエタノールアミン2.5モルを反応させて生
成物を得た。GPC分析により78重量%のN,N−ビ
ス−(2−ヒドロキシエチル)エルカ酸アミドを得た。
他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物として得
られた。ジエタノールアミンの残存量は3.4重量%で
あった。
【0055】比較品3 製造例4と同様の方法により、ネルボン酸メチル2.5
モルおよびジエタノールアミン2.5モルを反応させて
生成物を得た。GPC分析により77重量%のN,N−
ビス−(2−ヒドロキシエチル)ネルボン酸アミドを得
た。他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物とし
て得られた。ジエタノールアミンの残存量は3.4重量
%であった。
【0056】比較品4 製造例4と同様の方法により、カプリル酸メチル2.5
モルおよびジエタノールアミン2.5モルを反応させて
生成物を得た。GPC分析により84重量%のN,N−
ビス−(2−ヒドロキシエチル)カプリル酸アミドを得
た。他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物とし
て得られた。ジエタノールアミンの残存量は3.0重量
%であった。
【0057】比較品5 製造例4と同様の方法により、ミリスチン酸メチル2.
5モルおよびジエタノールアミン2.5モルを反応させ
て生成物を得た。GPC分析により85重量%のN,N
−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ミリスチン酸アミド
を得た。他の成分はアミド・エステル化合物が副生成物
として得られた。ジエタノールアミンの残存量は2.9
重量%であった。
【0058】実施例1〜30及び比較例1〜30 〔清浄性の評価〕製造例1〜10の縮合反応生成物を用
いて、表1〜3の実施例1〜30に示すエンジン用潤滑
油組成物を調製し、縮合反応生成物を用いないエンジン
用潤滑油組成物(表1〜3の比較例1〜3、11〜1
3、21〜23)や、比較品1〜7を用いたエンジン用
潤滑油組成物(表1〜3の比較例4〜10、14〜2
0、24〜30)と共に、パネルコーキング試験、ホッ
トチューブ試験を行い、その清浄性を調べた。尚、比較
品6および7としては、以下のものを用いた。 比較品6:ステアリルアミン(和光純薬工業(株)製試
薬) 比較品7:ステアリン酸アミド(和光純薬工業(株)製
試薬)
【0059】また、潤滑油組成物の調製に用いた他の成
分は、以下の通りである。 金属系清浄剤:過塩基性スルホネート(オロナイトジャ
パン(株)製、OLOA247E) 無灰清浄分散剤:ポリブテニルコハク酸イミド(ビスタ
イプ、長鎖アルケニル基の分子量=約1000)(オロ
ナイトジャパン(株)製) 極圧潤滑剤:ジアルキルジチオリン酸亜鉛(プライマリ
ータイプ)(ルブリゾール製、LZ−1375) 粘度指数向上剤:ポリメタクリレート(日本アクリル化
学製、プレキソール956) 鉱物油:スーパーオイルA(日本石油(株)製)
【0060】パネルコーキング試験は、パネルコーキン
グ試験器((株)離合社製)を用いて、規定温度に加熱
したアルミニウムパネルに試料油をスプラッシャーで規
定時間はねかけ、試験前後のパネルの重量増加から油の
清浄性を評価する試験である。パネルコーキング試験の
条件は以下の通りである。 スプラッシュ時間:15秒 スプラッシュ停止時間:45秒 パネル温度:310℃ 油温:100℃ 試験時間:3時間
【0061】また、ホットチューブ試験は、図1に示す
装置を用いて試料油の清浄性を評価した。即ち、一定温
度に加温したガラス管内に試料油および空気を挿入し、
潤滑油の劣化による汚れ成分の付着状態を観察し、ラッ
カー評点として評価した。
【0062】〔設定条件〕 油の挿入量:6mL/16時間 空気の挿入量:10mL/min 加熱部温度:280℃
【0063】〔評価方法〕16時間試験後のガラス管を
所定の標準色と照らし合わせて1〜10の評価点を付け
る。 評価点1:ガラス管の汚れ状態が最も多く、黒色に変色
したもの(黒く炭化) 評価点5:ガラス管の汚れ状態が中程度で淡黄色に変色
したもの 評価点10:ガラス管の汚れ状態が最も少なく、ほとんど
元のガラス管と同じ状態のもの 評価点の高いものほど、清浄性が良好であることを示
す。パネルコーキング試験およびホットチューブ試験に
供したエンジン用潤滑油組成物を表1〜3に、試験の結
果を表4〜6に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
【表4】
【0068】
【表5】
【0069】
【表6】
【0070】試験結果から、本発明の縮合反応生成物を
2重量%添加したエンジン用潤滑油組成物(実施例1〜
10)は、本発明の縮合反応生成物を添加せずに無灰清
浄分散剤である市販アルキル(ポリブテニル)コハク酸
イミド(ビスタイプ)を2〜4重量%添加したエンジン
用潤滑油組成物(比較例2、3)に比較して、清浄性が
優れていた。また、不飽和脂肪酸メチルとジエタノール
アミンとの縮合反応生成物(比較品1〜3)や炭素原子
数14以下の飽和脂肪酸メチルとジエタノールアミンと
の縮合反応生成物(比較品4〜5)を2重量%添加した
エンジン用潤滑油組成物(比較例4〜8)や、ステアリ
ルアミンまたはステアリン酸アミドを2重量%添加した
エンジン用潤滑油組成物(比較例9〜10)と比較して
も、清浄性が優れていた。
【0071】さらに、本発明の縮合反応生成物を2重量
%添加したエンジン用潤滑油組成物(実施例1〜10)
の中では、ステアリン酸メチルとジエタノールアミンの
縮合反応生成物を2重量%添加したエンジン用潤滑油組
成物(実施例8)が最も清浄性が優れていた。本発明の
縮合反応生成物2重量%に金属系清浄剤を1.6重量%
併用したエンジン用潤滑油組成物(実施例1〜10)に
比較して、本発明の縮合反応生成物1重量%に金属系清
浄剤1.6重量%と無灰清浄分散剤(市販アルキルコハ
ク酸イミド)4重量%を併用したエンジン用潤滑油組成
物(実施例11〜20)は、さらに清浄性が優れてお
り、本発明の縮合反応生成物を添加せず、無灰清浄分散
剤を5〜7重量%、金属系清浄剤を1.6〜2.5重量
%添加したエンジン用潤滑油組成物(比較例11〜1
3)よりも清浄性が優れていた。
【0072】また、比較品1〜5においても金属系清浄
剤と無灰清浄分散剤を併用したエンジン用潤滑油組成物
(比較例14〜18)は、金属系清浄剤のみを併用した
エンジン用潤滑油組成物(比較例4〜8)に比較して清
浄性は良好であったが、本発明の縮合反応生成物に金属
系清浄剤と無灰清浄分散剤を併用したエンジン用潤滑油
組成物(実施例11〜20)の方が、さらに清浄性が高
いものであった。さらに、本発明のエンジン用潤滑油組
成物(実施例11〜20)は、本発明の縮合反応生成物
に代えて比較品6または7を添加したエンジン用潤滑油
組成物(比較例19〜20)と比較しても、清浄性が優
れていた。特に、本発明のエンジン用潤滑油組成物(実
施例11〜20)の中では、ステアリン酸メチルとジエ
タノールアミンの縮合反応生成物を添加したエンジン用
潤滑油組成物(実施例18)が最も清浄性が優れてい
た。
【0073】なお、実施例11〜20と比較して、本発
明の縮合反応生成物1重量%と併用する無灰清浄分散剤
の量を半減させ、金属系清浄剤の量を約2倍にしたエン
ジン用潤滑油組成物(実施例21〜30)も清浄性が優
れており、本発明の縮合反応生成物を添加せず、無灰清
浄分散剤を3〜5重量%添加したエンジン用潤滑油組成
物(比較例21〜23)や、本発明の縮合反応生成物の
代わりに比較品1〜7を1重量%添加したエンジン用潤
滑油組成物(比較例24〜30)と比較しても優れてい
た。また、本発明のエンジン用潤滑油組成物(実施例2
1〜30)の中においても、ステアリン酸メチルとジエ
タノールアミンの縮合反応生成物を添加したエンジン用
潤滑油組成物(実施例28)が、最も清浄性が優れてい
た。
【0074】実施例11〜20のエンジン用潤滑油組成
物は、ガソリンエンジン用潤滑油として好ましい組成の
ものであり、また実施例21〜30のエンジン用潤滑油
組成物はディーゼルエンジン用潤滑油として好ましい組
成のものである。一般にガソリンエンジン用潤滑油で
は、汚れに対する分散性能力を重視するためコハク酸イ
ミドが多く使用され、ディーゼルエンジン用潤滑油で
は、酸を中和する能力を重視するため塩基価の高い金属
系清浄剤が多用される。表5、表6の結果より、ガソリ
ンエンジン用潤滑油及びディーゼルエンジン用潤滑油の
添加剤として、本発明の縮合反応生成物が優れた清浄性
向上効果を発揮することが分かる。
【0075】
【発明の効果】本発明のエンジン用潤滑油添加剤又はエ
ンジン用潤滑油組成物を使用することにより、エンジン
用潤滑油の清浄性を顕著に向上させることができる。ま
た、従来より使用されてきた無灰清浄分散剤の使用量を
大きく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例で行ったホットチューブ試験の
装置の概略を示す図である。
【符号の説明】
1 ガラス管 2 加熱部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C10N 30:04 40:25 (72)発明者 高階 重昭 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内 (72)発明者 伊藤 純三 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素原子数が16〜24の一価飽和脂肪
    酸及び/又は炭素原子数が16〜24の一価飽和脂肪酸
    のエステルと、 下記式(I) 【化1】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 はH又は炭素原子数が
    1〜2のアルキル基を示し、XはH又は 【化2】 を示す。)で表されるβ−アミノアルコール、の縮合反
    応生成物からなる、エンジン用潤滑油の清浄性の向上作
    用を有することを特徴とするエンジン用潤滑油添加剤。
  2. 【請求項2】 さらに無灰清浄分散剤及び/又は金属系
    清浄剤を含有してなる請求項1記載の添加剤。
  3. 【請求項3】 無灰清浄分散剤が分子量500〜200
    0の長鎖アルケニル基又は長鎖アルキル基を有するコハ
    ク酸イミドである請求項2記載の添加剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3いずれか記載の添加剤を含
    有することを特徴とするエンジン用潤滑油組成物。
  5. 【請求項5】 炭素原子数が16〜24の一価飽和脂肪
    酸及び/又は炭素原子数が16〜24の一価飽和脂肪酸
    のエステルと、 下記式(I) 【化3】 (式中、R1 、R2 、R3 、R4 はH又は炭素原子数が
    1〜2のアルキル基を示し、XはH又は 【化4】 を示す。)で表されるβ−アミノアルコール、の縮合反
    応生成物を0.001〜20重量%含有する請求項4記
    載の組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3いずれか記載の添加剤を用
    いることを特徴とする、エンジン用潤滑油の清浄性の向
    上方法。
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