JPH107792A - オリゴチオフェン重合体及びその製造方法 - Google Patents

オリゴチオフェン重合体及びその製造方法

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JPH107792A
JPH107792A JP16701396A JP16701396A JPH107792A JP H107792 A JPH107792 A JP H107792A JP 16701396 A JP16701396 A JP 16701396A JP 16701396 A JP16701396 A JP 16701396A JP H107792 A JPH107792 A JP H107792A
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仁志 六車
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雅子 湯田坂
Mutsuaki Murakami
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オリゴチオフェンの呈する利点を生かしなが
ら物理的、化学的安定性に優れた高分子材料を提供す
る。 【解決手段】本発明のオリゴチオフェン化合物は、オリ
ゴチオフェンを主鎖に有するポリアミドであるオリゴチ
オフェン重合体であり、本発明のオリゴチオフェン重合
体を製造する方法は、このようなオリゴチオフェン重合
体を蒸着重合法を用いて製造するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学工業や電子工
業の分野で利用し得る電子活性を持つ有機高分子材料に
関し、特にオリゴチオフェン重合体及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、化学工業や電子工業の分野で種々
の有用な材料が提案され、また実用に供されている。
【0003】一般に、有機材料は、無機材料に比べて多
くの種類の化合物が存在するので、様々な機能を実現で
きる可能性を持つ。その中でも、チオフェン化合物はそ
の可能性が高いものと期待されている材料の一つであ
る。
【0004】このチオフェンが多数つながったポリチオ
フェンは、電子活性を持つ高分子化合物として、電子材
料やセンサーの材料として多く開発研究されている。
【0005】また、ポリチオフェンに限らず、チオフェ
ンモノマーを数個から十数個連続的に結合させた「オリ
ゴマー」を用いた薄膜トランジスタ、発光ダイオードな
どのデバイスが、電子工業の分野で数多く提案されてき
ている。
【0006】ここでいう電子活性とは、他の物質と電子
を授受し、その結果安定な酸化状態や還元状態を持つこ
と、又は酸化状態や還元状態において良好な導電性を示
すことなどとして定義されるものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のポリチ
オフェンは、モノマーの連結個数が明確に制御されない
重合体(導電性高分子)であり、しかも枝分かれや欠陥
をもち、非晶質である。しかも、重合触媒などを不純物
として含み、純粋なポリチオフェンの特性を示していな
い。
【0008】したがって、電子活性を随意に変化させた
り、制御したりすることは非常に困難であった。
【0009】一方、オリゴチオフェンは、モノマーの連
結個数によって随意にその電子活性を変えることがで
き、しかも連結個数(重合度)もそろっているので、特
に優れた有用性を発揮し得ると考えられる。
【0010】その証拠として、例えば、オリゴチオフェ
ンは、ポリチオフェンに比べて鋭い電子スペクトルが得
られるし、結晶性がよいので有機化合物の中では最も高
い電子移動度を持つ。
【0011】このようにオリゴチオフェンは、確かに、
電子活性という面では優れているが、低分子であるの
で、物理的、化学的安定性に欠け、したがって実用性に
乏しいという側面がある。例えば、オリゴチオフェン膜
は簡単に有機溶媒に溶解する性質を有する。
【0012】本発明は、上記の課題を解決するものであ
り、オリゴチオフェンの呈する利点を生かしながら物理
的、化学的安定性に優れた高分子材料を提供することを
目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のオリゴチオフェ
ン化合物は、オリゴチオフェンを主鎖に有するポリアミ
ドであるオリゴチオフェン重合体である。
【0014】また、本発明のオリゴチオフェン重合体を
製造する方法は、蒸着重合法を用いて製造するものであ
る。
【0015】以上の構成により、オリゴチオフェンの呈
する利点を生かしながら物理的、化学的安定性に優れた
高分子材料を実際に提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のオリゴチオフェン重合体
は、請求項1記載のように、オリゴチオフェンを主鎖に
有するポリアミドであるオリゴチオフェン重合体であ
る。
【0017】また、本発明のオリゴチオフェン重合体
は、請求項2記載のように、下記の化学式(化4)を繰
り返し単位に有するオリゴチオフェン重合体でもある。
【0018】
【化4】
【0019】(ただしmは1以上3以下の整数、nは2
以上5以下の整数) 以上のオリゴチオフェン重合体は、オリゴチオフェンの
本来有する優れた電子活性を維持しながら、低分子には
ない物理的、化学的安定性を有する。
【0020】一方、このようなオリゴチオフェン重合体
は、請求項3記載のように、蒸着重合法を用いて製造す
ることが好適である。
【0021】より具体的には、請求項4記載のように、
基板をチャンバ内に用意する工程と、前記チャンバ内に
前記基板と対向して第1のヒータ手段に第1の出発材料
を用意する工程と、前記チャンバ内に前記基板と対向し
て第2のヒータ手段に第2の出発材料を用意する工程
と、前記基板、前記第1の出発材料及び前記第2の出発
材料を用意した後、前記チャンバ内を実質的に真空に引
く真空形成工程と、前記真空形成工程後、前記第1のヒ
ータ手段及び前記第2のヒータ手段を加熱して前記基板
上に蒸着膜状に前記第1の出発材料及び前記第2の出発
材料の共重合体を形成する請求項3記載のオリゴチオフ
ェン重合体の製造方法である。
【0022】ここで、請求項5記載のように、第1の出
発材料は下記の(化5)に示す化合物であり、第2の出
発材料は下記の(化6)に示す化合物であることが好適
である。
【0023】
【化5】
【0024】(ただしmは1以上3以下の整数、nは2
以上5以下の整数)
【0025】
【化6】
【0026】以上の製造方法は、実際にオリゴチオフェ
ン重合体を製造し得るのみならず、蒸着重合法を用いて
いるので、純度がよく、超薄膜形成が可能である。
【0027】なお、上記の(化4)と(化5)のmとn
については、理論上はどのような正の整数でもよいが、
現時点で合成することに成功し実際に提供し得るという
観点からは、上記の範囲に限定することが好適である。
【0028】つまり、本実施の形態で用いた合成方法
は、蒸着重合法と呼ばれるものを採用し、真空中で重合
体薄膜を形成した。
【0029】また、(化4)に示すオリゴチオフェン重
合体は、(化5)に示すモノマーであるα,α'−ビス
(アミノメチル)オリゴチオフェンと(化6)に示す2,
2’−ビチオフェン−5,5’−ジカルボニルクロライ
ドの共重合によって合成したものである。
【0030】以下、(化4)に示すオリゴチオフェンを
主鎖に持つポリアミドであるオリゴチオフェン重合体の
合成についてより詳細に説明をする。
【0031】(実施の形態1)本実施の形態において
は、(化4)のオリゴチオフェン重合体のm=1,n=
4の場合の合成について代表的に説明をする。
【0032】この化合物の合成に先立ち、まず、(化
5)に示すモノマーの合成を行なった。
【0033】本実施の形態においては、代表的に(化
5)のm=1、n=4の場合に相当するα,α’−ビス
(アミノメチル)クォータチオフェンの合成方法を説明
する。
【0034】このモノマーは、ジャーナル・オブ・ヘテ
ロサイクリック・ケミストリー(六車他、第33巻、1
73−178ページ、1996年)や特願平6−301
065号に開示された内容に即し、図1に示す工程に従
って合成した。
【0035】具体的には、最初に2−アミノメチルチオ
フェン22.6g(0.2moL)とトリエチルアミン
40.5g(0.4moL)を塩化メチレン200mL
中に用意し氷浴上で撹拌する。
【0036】これに、1,1,4,4,−テトラメチル
−1,4−ジクロロシリエチレン43.1g(0.2m
oL)を塩化メチレン400mLに溶解したものを加え
る。
【0037】そして、氷浴を取り除き窒素置換して、室
温で2時間放置する。次に、ろ過によって塩を取り除
き、塩化メチレンを蒸発させて取り除き、残留物をヘキ
サンで抽出し、ろ過して、再び蒸発させる。
【0038】そして、その残留物を減圧蒸留すると無色
で油状の液体が得られた。なお、沸点は、91℃/2−
3mmHgであった。
【0039】この物質が、図1(a)の工程で得られた
化合物であり、アミノ基を保護したチオフェンである2
−[(2,2,5,5,−テトラメチル−1−アザ−
2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]チオフ
ェンである。
【0040】次に、この2−[(2,2,5,5−テト
ラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペン
チル)メチル]チオフェン5.1g(20mmoL)を
80mLの乾燥蒸留したエーテルに混合し、窒素雰囲気
中、氷浴で冷やす。
【0041】ついで、これに、2.5moL/Lのn−
ブチルリチウムヘキサン溶液を8.8mL(22mmo
L)滴下する。この時、溶液は赤紫色に変化する。以上
が図1(b)に示す工程である。
【0042】ついで30分経過後、図1(c)に示すよ
うに、5.68g(22mmoL)のマグネシウムブロ
マイドエーテラートを固形のまま投入すると、マグネシ
ウムブロマイドエーテラートは直ちに溶解し、溶液は無
色になる。
【0043】ついで、氷浴を取り除き30分放置した後
で、図1(d)に示すように、160mgの1,3−ビ
ス(ジフェニルフォスフィノ)プロパンニッケル(I
I)クロライドを投入し、この後、2.6g(8mmo
L)の2,2’−ジブロモビチオフェンを投入する。
【0044】なお、これらの1,3−ビス(ジフェニル
フォスフィノ)プロパンニッケル(II)クロライドと
2,2’−ジブロモビチオフェンは、順次固形のまま投
入した。
【0045】そして、そのまま一昼夜撹拌した後、4時
間還流した。なお、2,2’−ジブロモビチオフェンの
合成は、市販品のビチオフェンをメタノールから再結晶
し、これに対して2.2倍当量のN−ブロモサクシンイ
ミドを加えて、分子の2及び2’の位置をブロム化し、
そして、これをアセトンから再結晶して生成し、2,
2’−ジブロモビチオフェンを得たものである。
【0046】次に、4時間の還流終了後、沈澱物をヘキ
サンに溶解して抽出し、得られた物質をヘキサンで再結
晶すると黄色の針状結晶が得られ、これが、α,α’−
ビス[(2,2,5,5,−テトラメチル−1−アザ−
2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]クォー
タチオフェンである。
【0047】ついで、図1(g)に示すように、この
α,α’−ビス[(2,2,5,5,−テトラメチル−
1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチ
ル]クォータチオフェン1gを、クロロホルム50mL
に溶解し、3規定の塩酸5mLを加えて沈澱物をろ過す
ると、黄色い粉末のα,α’−ビス(アミノメチル)ク
ォータチオフェン塩酸塩が得られる。このα,α’−ビ
ス(アミノメチル)クォータチオフェン塩酸塩は、水の
再結晶で精製した。
【0048】ついで、図1(h)に示されるように、こ
のα,α’−ビス(アミノメチル)クォータチオフェン
塩酸塩0.5gを水100mLに分散させ、更に、10
%の水酸化ナトリウム水溶液10mLを加えると、分散
していたα,α'ービス(アミノメチル)クォータチオフェ
ン塩酸塩は、明るい黄色の沈澱物になる。
【0049】そして、この沈澱物をろ過するとα,α'−
ビス(アミノメチル)クォータチオフェンが得られる。
【0050】なお、このα,α'−ビス(アミノメチル)ク
ォータチオフェンは、ジメチルホルムアミドで再結晶し
て黄金色の板状結晶として得た。
【0051】ここでこの化合物は、以下のように同定し
た。つまり、赤外吸収スペクトル(KBr)伸縮(NH
2):3334,3284cm-1;芳香族伸縮:308
1,3056cm-1;脂肪族伸縮(CH2):291
0,2851cm-1;面内変角(NH2):1601c
-1;環伸縮:1509,1443cm-1;面外変角
(CH):795cm-1;紫外可視スペクトル(CH2
Cl2) λmax=400nm;元素分析(C18162
4)の理論値C55.64,H4.15,N7.2
1,S33.00に対して測定値C55.35,H4.
07,N7.30,S33.38による。
【0052】さて、次に(化6)に示すモノマーである
2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジカルボニルクロラ
イドの合成について説明をする。
【0053】このモノマーの合成方法は、マクロモレキ
ュール・ケミストリー・ラピッド・コミュニケーション
ズ(P.G.Barber他、第7巻、27−31ペー
ジ、1987年)に開示されたものによったが、以下具
体的に説明をする。
【0054】市販のビチオフェン3.32g(0.02
moL)と乾燥蒸留したエーテル160mLをフラスコ
に入れ氷浴上で撹拌する。
【0055】ついで、これに、図2(a)に示されるよ
うに、1.6moL/Lのn−ブチルリチウムヘキサン
溶液を25mL(40mmoL)滴下し15分放置す
る。ついで、30分還流させたのちドライアイス・アセ
トンバスで冷却する。
【0056】そして、細かく砕いたドライアイスを入
れ、そのまま一晩放置し、得られた沈澱物をろ過する。
【0057】これが、2,2’−ビチオフェン−5,5’
−ジカルボン酸である。この2,2’−ビチオフェン−
5,5’−ジカルボン酸2gを、図2(b)に示すよう
に、10mLのベンゼンと20mLの塩化チオニルの中
で分散させ、一晩還流する。
【0058】そして、冷却すると針状の緑の結晶が析出
し、これが、2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジカル
ボニルクロライドである。
【0059】以上のように得られた(化5)のモノマー
と(化6)の化合物を用いて、(化4)に示す、共重合
体を合成するわけであるが、代表的に、(化4)のm=
1,n=4の場合について説明する。
【0060】本実施の形態においては、重合は、図3に
示す蒸着重合装置を用いた真空中で重合体薄膜を形成す
る蒸着重合法によった。
【0061】図3において、1はチャンバ、2は石英基
板、3はタングステンヒータa、4はタングステンヒー
タbである。
【0062】まず、(化5)のm=1,n=4の場合に
相当するα,α'−ビス(アミノメチル)クォータチオフ
ェンと、(化6)の2,2’−ビチオフェン−5,5’−
ジカルボニルクロライドを、各々タングステンヒータ
a,bにセットしてチャンバ1内に配置し、基板2をタ
ングステンヒータa,bに対向させてチャンバ1内に配
置する。
【0063】ついで、、蒸着重合装置のチャンバー1内
を不図示の真空ポンプで1×10-5Torrの圧力下に
なるように引く。
【0064】そして、石英基板2を、不図示の加熱手段
で80℃に加熱した後、2,2’−ビチオフェン−5,
5’−ジカルボニルクロライドの入ったヒータbを80
℃に加熱する。
【0065】次に、約5分後、α,α'−ビス(アミノメ
チル)クォータチオフェンの入ったヒータaを140℃
までゆっくり昇温する。
【0066】するとこの2つの物質が石英基板2上で重
合を開始し、この基板2上に(化4)の化学式のm=
1,n=4の場合の化合物が薄膜状に形成される。
【0067】図4は、各々(a)α,α'−ビス(アミノ
メチル)クォータチオフェン:(化5)のm=1,n=
4の場合、(b)2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジ
カルボニルクロライド:(化6)、(c)オリゴチオフ
ェンを主鎖に持つポリアミド:(化4)のm=1,n=
4の場合の、赤外スペクトルを示す。
【0068】図4の各スペクトルを観察すると、図4
(c)において、1630cm-1のピークはアミド基中
のカルボニル基(C=O)の伸縮振動によるものであ
り、1537cm-1のピークは、アミド基中のCN伸縮
振動とアミド基のNH面内変角振動によるものである。
これらのピークは、図4(a)と図4(b)におけるモ
ノマーのスペクトル中には観測されない。
【0069】そして、図4(b)中の1725cm-1
強いピークは、塩化カルボニル基の伸縮振動によるもの
であるが、このピークは、重合体のスペクトル図4
(c)中には観測されない。
【0070】さらに、図4(c)の800−1700c
-1の範囲に比較的ブロードで小さなピークが多く観測
される。
【0071】以上の事実より、重合により高分子化合
物、つまり重合体が形成されていることが理解できる。
【0072】次に、図5は、各々(a)α,α'−ビス
(アミノメチル)クォータチオフェン:(化5)のm=
1,n=4の場合、(b)2,2’−ビチオフェン−5,
5’−ジカルボニルクロライド:(化4)、(c)オリ
ゴチオフェンを主鎖に持つポリアミド:(化2)のm=
1,n=4の場合の紫外可視スペクトルを示す。
【0073】特に、図5(a)と図5(c)を比べる
と、得られた重合体:(化4)のm=1,n=4の場合
は、重合反応後もオリゴチオフェンの持つ電子状態が保
たれていることがわかる。
【0074】ここで、最大吸収波長382nmのピーク
は、オリゴチオフェン4量体のπ−π*遷移によるもの
である。また、450nm付近の肩は、振動遷移による
ものである。なお、図5(b)における化合物(化6)
で観測される325nmのピークは、図5(a)の重合
体中ではピークの中うに埋もれて観測されなかった。
【0075】次に、本実施の形態で石英基板2上に蒸着
膜として得られた重合体:(化4)のm=1,n=4の
場合)について耐薬品性の評価試験を行った。
【0076】具体的には、水、メタノール、エタノー
ル、アセトン、ヘキサン、クロロホルムに浸したとこ
ろ、本実施の形態における重合体については、どの薬品
にも溶け出したり、基板からはがれたりすることはな
く、優れた耐薬品性、付着性を実現していることが判明
した。
【0077】(実施の形態2)本実施の形態において
は、(化4)のオリゴチオフェン重合体のm=2若しく
は3の場合,またはn=2,3若しくは5の場合等実施
の形態1以外の組合せのの場合の合成について説明をす
る。
【0078】本実施の形態における重合体の合成につい
ては、実施の形態1と基本的には同様であるため、異な
った部分について概略説明する。
【0079】まず、一方の出発原料の(化5)の場合、
他の数字のm,nに対応した化合物も基本的には同様の
方法で合成できる。
【0080】但し、n=3、5の場合には、n=4と全
く同様であるが、n=2の場合には、図1(b)の後3
0分経過させ、図1(e)の様に、5.58g(44m
moL)のヨウ素を固形のまま投入することが好適で、
これによりヨウ素は直ちに溶解し、溶液は黒くなる。
【0081】ついで、この場合、図1(f)に示すよう
に、氷浴を取り除いて30分放置し、0.24g(10
mmoL)のマグネシウムを固形のまま投入した後、さ
らに60分間放置し、マグネシウムを完全に溶解させ
る。
【0082】さらに、反応系をドライアイス・アセトン
バスで冷却した後、80mgの1,3−ビス(ジフェニ
ルフォスフィノ)プロパンニッケル(II)クロライド
を投入する。
【0083】そして、そのまま一昼夜撹拌した後、ドラ
イアイス・アセトンバスを取り除き4時間還流後、ろ過
して、ろ液に約150mLのヘキサンを加え、水でよく
洗浄をする。この際、生じるヘドロ状の物質も取り除
く。このヘキサン溶液を塩化カルシウムで乾燥後、ヘキ
サンを蒸発させると白色の固体が残る。そして、これ
を、冷メタノールで洗浄し、エタノールで再結晶すると
白色の結晶が得られる。
【0084】これが、α,α’−ビス[(2,2,5,
5,−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−
シクロペンチル)メチル]ビチオフェンであり、以降は
図1(g)、図1(h)の工程を実行することになる。
【0085】また、mが2、3の場合には、nが2であ
るか、3から5のいずれかであるかに対応して、図1
(e)、(f)を経由するか図1(c)、(d)を経由
するかの相違はあるが、前述したm=1の場合と同様に
実行し(化5)のモノマーを得ることができる。
【0086】また、他方の出発材料である(化6)の化
合物については、実施の形態1と全く同じものを用い
る。
【0087】そして、このようにして得られた(化5)
と(化6)の化合物を用いて、(化4)の重合体を合成
するわけであるが、具体的には、実施の形態1と同様
に、図3に示す蒸着重合装置を用いた真空中で重合体薄
膜を形成する蒸着重合法によった。
【0088】但し、蒸着時のヒータ温度等は化合物の種
類によって適宜調整した。図6は、(a)(m,n)=
(1,2)、(b)(m,n)=(1,3)、(c)
(m,n)=(1,5)の重合体の紫外可視スペクトル
を、各々代表的に示す。
【0089】図6によれば、最大吸収波長は、(a)3
37nm、(b)361nm、(c)391nmであ
り、このようなスペクトルから判断すると、これらは、
各出発材料の重合度に対応した電子状態が反映されてい
ることがわかる。
【0090】次に、本実施の形態で石英基板2上に蒸着
膜として得られた各重合体:(化4)のm=1,n=4
以外の場合)について耐薬品性の評価試験を行った。
【0091】本実施の形態においても、水、メタノー
ル、エタノール、アセトン、ヘキサン、クロロホルムに
浸したところ、本実施の形態における重合体について
は、どの薬品にも溶け出したり、基板からはがれたりす
ることはなく、優れた耐薬品性、付着性を実現している
ことが判明した。
【0092】(比較例)耐薬品性、付着性の比較を行な
うために以下の(化7)に示す従来のジメチルクォータ
チオフェンの重合体薄膜を、実施の形態1と同様に、図
3に示す蒸着重合装置を用い真空中で蒸着重合法により
石英基板上に形成した。
【0093】
【化7】
【0094】このジメチルクォータチオフェンを用い、
水、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、ク
ロロホルムに浸してみたところ、水以外の溶媒にはほと
んど溶解した。また、水中では基板から剥離した。
【0095】一方、実施の形態1や実施の形態2におい
て説明した(化4)のオリゴチオフェン重合体は、前述
したようにこれらのどの薬品にも溶け出したり、基板か
らはがれたりすることはない。
【0096】よって、本発明のオリゴチオフェン重合体
は、従来のオリゴチオフェンのような低分子では得るこ
とができない優れた耐薬品性、付着性を実現しているこ
とが確認された。
【0097】
【発明の効果】以上のように、本発明のオリゴチオフェ
ン重合体は、オリゴチオフェンを主鎖に持つポリアミド
であり、オリゴチオフェンの本来有する優れた電子活性
を維持しながら、低分子にはない物理的、化学的安定性
を有するものである。
【0098】したがって、本発明のオリゴチオフェン重
合体は、化学工業及び電子工業の広範な分野において有
効に利用し得るといえる。
【0099】さらに、このようなオリゴチオフェン重合
体は、所定の出発材料を用いた蒸着重合法を用いて好適
に製造することができ、結果物である重合体の純度は極
めて高く、超薄膜状の重合体の形成も可能な点に優位性
が認められるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のオリゴリオフェン重合
体の出発原料となるモノマー(化3)の合成反応図
【図2】同オリゴリオフェン重合体の出発原料となるモ
ノマー(化4)の合成反応図
【図3】同オリゴリオフェン重合体の形成に用いる製造
装置図
【図4】同オリゴリオフェン重合体及び出発材料の赤外
吸収スペクトル図
【図5】同オリゴリオフェン重合体及び出発材料の紫外
可視スペクトル図
【図6】本発明の実施の形態2のオリゴリオフェン重合
体の紫外可視スペクトル図
【符号の説明】
1 チャンバ 2 基板 3 ヒータa 4 ヒータb

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オリゴチオフェンを主鎖に有するポリア
    ミドであるオリゴチオフェン重合体。
  2. 【請求項2】 下記の化学式(化1)を繰り返し単位に
    有するオリゴチオフェン重合体。 【化1】 (ただしmは1以上3以下の整数、nは2以上5以下の
    整数)
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のオリゴチオフェ
    ン重合体を、蒸着重合法を用いて製造するオリゴチオフ
    ェン重合体の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板をチャンバ内に用意する工程と、前
    記チャンバ内に前記基板と対向して第1のヒータ手段に
    第1の出発材料を用意する工程と、前記チャンバ内に前
    記基板と対向して第2のヒータ手段に第2の出発材料を
    用意する工程と、前記基板、前記第1の出発材料及び前
    記第2の出発材料を用意した後、前記チャンバ内を実質
    的に真空に引く真空形成工程と、前記真空形成工程後、
    前記第1のヒータ手段及び前記第2のヒータ手段を加熱
    して前記基板上に蒸着膜状に前記第1の出発材料及び前
    記第2の出発材料の共重合体を形成する請求項3記載の
    オリゴチオフェン重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 第1の出発材料は下記の(化2)に示す
    化合物であり、第2の出発材料は下記の(化3)に示す
    化合物である請求項4記載のオリゴチオフェン重合体の
    製造方法。 【化2】 (ただしmは1以上3以下の整数、nは2以上5以下の
    整数) 【化3】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013056906A (ja) * 2005-08-18 2013-03-28 Nissan Chem Ind Ltd スルフォニルチオフェンポリマー又はオリゴマー化合物及びその製造法

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