JPH1055837A - 雌側端子金具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 雄側端子金具に対する接触圧を高める。 【解決手段】 金属薄板を角筒状に折曲げることにより
挿入部１０が形成されるとともに、その内部には金属薄
板の折曲げられた両端部を重ね合わせてなる板片部１１
が形成される。この板片部１１にはスリット１２を形成
することにより、その上下両側に弾性接触片１４，１５
が形成され、上側の弾性接触片１４は雄側端子金具Ｃの
スリット１２内への挿入に伴って板面に沿って撓み変形
可能とされている。このように本発明では、弾性接触片
１４を板面に沿って撓み変形可能にしたから、板面とは
直交する方向に撓み変形するものに比べてその剛性は高
く、もって雄側端子金具Ｃに対する接触圧を高めること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コネクタに組み付
けられる雌側端子金具に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の雌側端子金具として、図８及び
図９に開示されるものが知られている。この雌側端子金
具は導電性の金属薄板を曲げ加工してなる端子本体１
と、その端子本体１を覆うステンレス製の保護カバー２
とから構成される。端子本体１は、左右両側壁５に連続
する一対の弾性接触片６からなる挿入部３と電線の端末
がかしめ接続されるバレル部４とを連ねて構成される。
そして、弾性接触片６間に雄側端子金具が挿入される
と、各弾性接触片６は開く方向に撓み変形して雄側端子
金具が挟み付けられるようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記弾性接
触片の弾性力はその付け根部分の板厚によって決定され
る。そのため、端子金具の小型化を図るために、成形材
料である金属薄板の板厚を薄くすると、弾性接触片の弾
性力が低下し、雄側端子金具に対する接触圧を十分に確
保できないという問題があった。本発明は、上記事情に
鑑みてなされたもので、その目的は、雄側端子金具を弾
性接触片で挟み付けるタイプの雌側端子金具において、
その接触圧を高めることにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の雌側端子金具は、雄側端子金具を挟
み付ける弾性接触片を備えた雌側端子金具において、弾
性接触片は、金属板材にその端縁において開口するスリ
ットを設けることによってその金属板材に一体に形成さ
れ、スリットへの雄側端子金具の挿入に伴って、金属板
材の板面に沿って撓み変形することに特徴を有する。

【０００５】請求項２記載の雌側端子金具は、請求項１
記載の雌側端子金具において、金属板材を筒状に折曲げ
てなりかつ雄側端子金具が挿入される挿入部を備えると
ともに、その挿入部内には、筒状に折曲げた金属板材の
両端部を重ね合わせてなる板片部を有し、その板片部に
弾性接触片が形成されていることに特徴を有する。

【０００６】請求項３記載の雌側端子金具は、請求項２
記載の雌側端子金具において、挿入部の雄側端子金具が
挿入される挿入口には、その開口縁部を内方へ突出させ
て挿入口を狭めることにより雄側端子金具をスリットに
対して位置決めする位置決め片部が設けられていること
に特徴を有する。

【０００７】請求項４記載の雌側端子金具は、請求項１
乃至請求項３記載の雌側端子金具において、スリットの
開口端縁には雄側端子金具をスリット内へ案内するため
のガイド面が形成されていることに特徴を有する。

【０００８】

【本発明の作用・効果】請求項１の発明によれば、弾性
接触片は板面に沿って撓み変形するため、その剛性は板
面とは直交する方向に撓み変形する従来のものに比べて
高い。従って、スリット内へ挿入された雄側端子金具は
弾性接触片によって強く挟み付けられ、雄側端子金具に
対する接触圧を高めることができる。

【０００９】請求項２の発明によれば、弾性接触片は筒
状に折曲げられた挿入部内に形成されるため、外力等に
よる弾性接触片の変形等が防止される。請求項３の発明
によれば、雄側端子金具が挿入される挿入口には位置決
め片部が設けられている。従って、雄側端子金具は挿入
口を通過する際にスリットに対して位置決めされるか
ら、雄側端子金具を容易にスリット内へ挿入させること
ができる。

【００１０】請求項４の発明によれば、スリットの開口
端縁にはガイド面が形成されているから、たとえば雄側
端子金具が斜めに挿入されたとしても、その雄側端子金
具はこのガイド面に沿ってスリット内へと案内されて行
く。従って、雄側端子金具を確実に弾性接触片に接触さ
せることができる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の雌側端子金具を具
体化した一実施形態について図１乃至図７を参照して説
明する。本実施形態の雌側端子金具は、図１及び図２に
示すように、導電性の金属薄板（例えば、銅合金製の薄
板）を曲げ加工してなり、相手側端子金具である雄側端
子金具Ｃ（図５参照）が挿入される挿入部１０と、電線
の端末がかしめ接続されるバレル部２０とを連ねて構成
される。バレル部２０は、電線の被覆端末から剥き出さ
れた芯線をかしめるワイヤバレル２１と、そのワイヤバ
レル２１の後端側に連なり、電線の被覆端末をかしめる
インシュレーションバレル２２とからなり、各バレル２
１，２２とも一対のかしめ片２１ａ，２２ａを上方に向
けて突出させた形状をなし、そのかしめ片２１ａ，２２
ａによって電線の芯線或いは被覆端末を包み込むように
してかしめるようになっている。

【００１２】挿入部１０は、図３及び図４に示すように
金属薄板を角筒状に折曲げて形成される。即ち、天井板
１０ａの左右両縁部（図３中、左右両縁部）をそれぞれ
下方に折曲げて左右両側壁１０ｂ，１０ｃを形成すると
ともに、さらにその左右両側壁１０ｂ，１０ｃの下縁部
をそれぞれ内側へ折曲げてほぼ中央において突き合わせ
ることにより底板１０ｄを形成する。さらに、底板１０
ｄの中央にて突き合わされた端部をそれぞれ内方（図３
中、上方）へほぼ直角に折曲げかつ相互に重ね合わせる
ことにより板片部１１を形成する。この板片部１１は挿
入部１０内において底面中央から垂直に立上り、かつ上
端部を天井面に当接させている。

【００１３】板片部１１には、図５に示すように前端縁
（図５中、左端縁）から後方にかけて所定長さのスリッ
ト１２が形成されている。このスリット１２幅は、雄側
端子金具Ｃの外径より僅かに狭く設定されている。ま
た、この板片部１１の上縁部は僅かに切り欠かれ、天井
面との間に僅かな隙間１３を形成している。このスリッ
ト１２を挟んだ上下両側部分が本発明の弾性接触片１
４，１５に相当し、上側の弾性接触片１４はその付け根
部分から板面に沿って上方に撓み変形可能となってい
る。さらに、各弾性接触片１４，１５の前端より部位に
は上下に対向して接触突部１４ａ，１５ａが形成されて
おり、スリット１２内に雄側端子金具Ｃが挿入されると
接触突部１４ａが上方に押圧されるようになっている。
また、スリット１２の開口端縁は、上下両縁部が斜めに
切り欠かれてガイド面１２ａとなっており、雄側端子金
具Ｃが斜めに挿入されるとその先端がここに当接し、ス
リット１２内へ案内されるようになっている。

【００１４】挿入部１０の上面には、天井板からランス
１６が切り起こし形成されている。また、挿入部１０の
前端側の開口は、雄側端子金具Ｃを挿入するための挿入
口１７とされており、そこには、その上下両縁部を内側
に折曲げることにより位置決め片部１７ａが形成されて
いる。即ち、挿入口１７がスリット１２の位置に対応し
て狭められ、挿入口１７に挿入される雄側端子金具Ｃの
スリット１２に対する位置決めがなされるようになって
いる。

【００１５】図７は、上記雌側端子金具をコネクタハウ
ジング３０に組み付けた状態を示す。このコネクタハウ
ジング３０内には上下にキャビティ３１が並設されてお
り、その各キャビティ３１の後端側（図７中、右端側）
には上記雌側端子金具を組み付けるための端子組付口３
１ａを備え、かつ前端側（図７中、左端側）には雄側端
子金具Ｃを挿入するための端子挿入口３１ｂを備えてい
る。また、各キャビティ３１内における天井面或いは底
面には係止部３２が切り欠き形成されており、そこにキ
ャビティ３１内に組み付けられた雌側端子金具のランス
１６が係合するようになっている。即ち、各雌側端子金
具は底面同士を向かい合わせた状態でキャビティ３１内
に組み付けられる。

【００１６】次に、本実施形態の作用について述べる。
各雌側端子金具をコネクタハウジング３０に組み付けた
後、雌雄両コネクタを結合させると、雄側端子金具Ｃは
コネクタハウジング３０の端子挿入口３１ｂを介して雌
側端子金具の挿入口１７から挿入部１０内へと挿入され
る。挿入部１０内に入り込んだ雄側端子金具Ｃは、位置
決め片部１７ａによって位置決めされつつスリット１２
内に挿入されさらに奥側へと押し込まれる。ここで、雄
側端子金具Ｃがスリット１２内へ挿入されると、雄側端
子金具Ｃの挿入とともに接触突部１４ａが押し上げら
れ、上側の弾性接触片１４はその付け根部分から板面に
沿って上方に撓み変形する（図６参照）。そして、スリ
ット１２内に挿入された雄側端子金具Ｃは弾性接触片１
４，１５によって強く挟み付けられる。

【００１７】また、挿入部１０内に挿入された雄側端子
金具Ｃが斜めに挿入されたとすると、その雄側端子金具
Ｃの先端はガイド面１２ａに当接することになる。そし
て、コネクタ同士の結合操作とともに、雄側端子金具Ｃ
はガイド面１２ａに沿ってスリット１２内へと案内され
て行き、上記同様に弾性接触片１４，１５によって強く
挟み付けられる。

【００１８】上記構成により本実施形態では、以下の効
果を奏する。 弾性接触片１４は雄側端子金具Ｃの挿入に伴い板面に
沿って撓み変形するため、その剛性は板面に対して直交
する方向に撓み変形する従来のものに比べて高く、もっ
て雄側端子金具Ｃに対する接触圧を高めることができ
る。特に、本実施形態では、板厚を増すことなく接触圧
を高めることができるから端子金具の小型化を図る上で
重要である。

【００１９】弾性接触片１４，１５は挿入部１０内に
形成されるため、外力等による弾性接触片１４，１５の
変形等を防止することができる。 弾性接触片１４，１５は、挿入部１０の底面において
突き合わされた端部を重ね合わせてなるため、その弾性
力は一枚の金属薄板から構成される場合に比べてさらに
高く、もって雄側端子金具Ｃに対する接触圧をより一層
高めることができる。

【００２０】挿入口１７には位置決め片部１７ａが設
けられているから、雄側端子金具Ｃとスリット１２との
位置決めを確実に行うことができる。 スリット１２の開口端縁にガイド面１２ａが形成され
ているから、雄側端子金具Ｃは確実にスリット１２内へ
案内されて行き、確実に雌雄両端子金具を接続させるこ
とができる。

【００２１】なお、本発明は上記実施形態に限定される
ものではなく、例えば次のように変形して実施すること
ができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属す
る。 （１） 上記各実施形態では、上側の弾性接触片１４の
みが板面に沿って撓み変形する構成であったが、各弾性
接触片が板面に沿って撓み変形する構成であってもよ
い。

【００２２】（２） 上記第実施形態では、金属薄板を
筒状に曲げ加工等することにより弾性接触片１４，１５
を挿入部１０内に形成するようにしたが、弾性接触片が
露出する状態に形成されるものであってもよい。

【００２３】（３） 上記第実施形態では、弾性接触片
１４は縦方向（図６中、上方）に押し広げられるように
撓み変形する構成であったが、横方向に撓み変形するよ
うに構成してもよい。

【００２４】（４） 上記実施形態では、板片部１１は
挿入部１０の底面において突き合わされた両端部を折曲
げかつ重ね合わせることにより形成されたが、板片部は
底面において突き合わされた一方の端部のみを内方に折
曲げることによって形成するものであってもよい。その
他、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実
施することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施形態の全体を示す側断面図である。

【図２】同実施形態の平断面図である。

【図３】同実施形態における図１中、III−III線での断
面図である。

【図４】同実施形態の挿入部を示す一部切り欠き斜視図
である。

【図５】同実施形態において雄側端子金具が挿入される
前の状態を示す側断面図である。

【図６】同実施形態において雄側端子金具が挿入された
後の状態を示す側断面図である。

【図７】同実施形態においてコネクタハウジングに組み
付けられた状態を示す側断面図である。

【図８】従来例を示す側断面図である。

【図９】従来例を示す平断面図である。

【符号の説明】

１０…挿入部 １１…板片部 １２…スリット １２ａ…ガイド面 １４，１５…弾性接触片 １７…挿入口 １７ａ…位置決め片部 Ｃ…雄側端子金具

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 雄側端子金具を挟み付ける弾性接触片を
   備えた雌側端子金具において、 前記弾性接触片は、金属板材にその端縁において開口す
   るスリットを設けることによってその金属板材に一体に
   形成され、前記スリットへの雄側端子金具の挿入に伴っ
   て、前記金属板材の板面に沿って撓み変形することを特
   徴とする雌側端子金具。
2. 【請求項２】 請求項１記載の雌側端子金具において、
   金属板材を筒状に折曲げてなりかつ前記雄側端子金具が
   挿入される挿入部を備えるとともに、その挿入部内に
   は、前記筒状に折曲げた金属板材の両端部を重ね合わせ
   てなる板片部を有し、その板片部に前記弾性接触片が形
   成されていることを特徴とする雌側端子金具。
3. 【請求項３】 請求項２記載の雌側端子金具において、
   前記挿入部の前記雄側端子金具が挿入される挿入口に
   は、その開口縁部を内方へ突出させて前記挿入口を狭め
   ることにより前記雄側端子金具を前記スリットに対して
   位置決めする位置決め片部が設けられていることを特徴
   とする雌側端子金具。
4. 【請求項４】 請求項１乃至請求項３記載の雌側端子金
   具において、前記スリットの開口端縁には前記雄側端子
   金具を前記スリット内へ案内するためのガイド面が形成
   されていることを特徴とする雌側端子金具。