【発明の詳細な説明】
睡眠の誘導方法発明の分野
本発明は、睡眠の誘導方法及び睡眠剥奪の評価に関する。特に本発明は、cis-
9,10- オクタデセノアミドを含む脂肪酸の第一アミドの投与による睡眠の誘導方
法、及びcis-9,10- オクタデセノアミドを含む脂肪酸の第一アミドに関して脳脊
髄液を分析することにより睡眠剥奪を評価する方法に関する。背景
睡眠は、その間に身体が休息してその生理学的な力が回復する、自然の周期的
な行動状態である。それは、環境に対する反応性の損失を特徴とする。睡眠中に
は、身体及び脳の両方のある種の生理学的プロセスが、油断なく気を配っている
眠らないでいる状態とは異なって機能する。通常の睡眠は少なくとも2種類の行
動状態からなる。脳電図が大きい振幅のゆっくりした波からなる同調睡眠、及び
脳電図のパターンが高周波数及び低振幅の波を特徴とする非同調睡眠(DS)又
は迅速な眼の動きを特徴とする賦活睡眠(レム睡眠)である。同調睡眠は更に、
ゆっくりした規則的な呼吸、比較的一定の心拍数及び血圧、及びデルタ波の支配
を特徴とする。同調睡眠は通常、そのあとに一定期間の賦活睡眠が続く4段階か
らなる。各サイクルは80乃至120分継続する。これに対し、非同調睡眠は更
に、不規則な心拍数及び呼吸、不随意筋の反射及び運動の期間、及び覚醒の高い
限界値を特徴とする。非同調睡眠の期間は5乃至20分継続し、通常の夜の睡眠
には約90分間隔で起こる。
睡眠の剥奪は、種々の睡眠障害及び環境因子のいずれかから生ずる。不眠症は
、個体が睡眠を開始又は維持することができない一般的な睡眠障害である。先行
技術には、完全な睡眠サイクルを誘導する公知の薬学的方法も、睡眠の剥奪を評
価するための生理学的試料を使用する公知の方法もない。
睡眠障害の診断及び治療は、患者の睡眠剥奪の程度の確認及び/又は定量が助
けになる。不幸なことに、患者により報告される睡眠剥奪の程度を客観的に定量
又は確認することが困難であることがしばしばである。睡眠剥奪と相互に関連し
うる患者により発生する生化学的生成物が必要である。
脳脊髄液は、脳の4つの脳室及び脳及び脊髄のまわりのクモ膜下腔内を循環す
る透明な無色の流体である。脳脊髄液は、第三及び第四の側脳室脈絡叢により分
泌される血液の限外濾過液として生ずる。脳脊髄液は又、神経リンパ液と呼ばれ
る場合もある。4つの脳室及びクモ膜下腔を通過した後、脳脊髄液は主としてク
モ膜柔毛を経て静脈系に再吸収される。脳脊髄液は、それに浸された組織から異
化代謝産物、排出物、及び廃棄物質を除去するための媒体として役立つ。現在ま
で、睡眠剥奪と相互に関連すると報告された脳精髄液から誘導された因子はない
。睡眠剥奪と相互に関連する、被験者より発生する生化学的因子を識別するため
の脳精髄液を分析する方法が必要である。
例えばB.Samuelsson,Les Prix Nobel 1982,pp.153-174 のように、精液のプロ
スタグランジンの発見から、重要な生理学的プロセスにおける脂肪酸及びそれら
の誘導体の役割の認識が増大してきた。
脂肪酸の第一アミドは先行技術においては睡眠誘導又は睡眠剥奪の分析とは結
び付けて考えられてはいない。脂肪酸の第一アミドはウシの腸間膜からの血管由
来の成分として認識されている。(K.Wakamatsu,T.Masaki,F.Itoh,K.Kondo,K.Su
do,Biochemical and Biophysical Research Communications(1990):vol.168(2),
pages423-429。)脂肪酸の第一アミドは又、いかなる機能にも帰することなくヒ
トの血漿中に認められている。(E.Arafat,J.W.Trimble,R.N.Andersen,C.Dass,D.
M.Desiderio,Life Sciences(1989):vol.45(18)pages1679-1687。)要約
睡眠が剥奪されたネコの脳脊髄液から、分子を単離し、化学的に特性決定して
、cis-9,10- オクタデセノアミドであると確認した。この化合物の構造は、質量
スペクトル(MS)、核磁気共鳴スペクトル(NMR)、赤外スペクトル(IR
)、ガスクロマトグラフィー(GC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、及
び化学的分解法により決定した。cis-9,10- オクタデセノアミド以外の脂肪酸の
第一アミドは、ネコ、ラット及びヒトの脳脊髄液の天然成分として確認され、そ
れらの化合物が異なる系統の脳脂質を構成することを示した。特別意味深いこと
に、合成したcis-9,10- オクタデセノアミドは、ラットに注射すると睡眠誘導性
を示
した。総合すればこれらの結果は、脂肪酸の第一アミドが新しい種類の生化学的
な信号分子であることを教示する。
本発明の一面は、脂肪酸の第一アミドの投与により被験者に睡眠を誘導する方
法に関する。好ましい脂肪酸の第一アミドには不飽和を有するアルキル連鎖が含
まれ、以下の式:NH2C(O)(CH2)nCH=CH(CH2)mCH3 (式中、nは
6≦n≦11であり、mは5≦n≦8である。)で表される。アルキル連鎖の不
飽和はcis 配置でもtrans配置でもよい。好ましい脂肪酸の第一アミドはcis-9,1
0-オクタデセノアミドである。その他の好ましい脂肪酸の第一アミドには、tran
s-9,10- オクタデセノアミド、cis-8,9-オクタデセノアミド、cis-11,12-オクタ
デセノアミド、及びcis-13,14-オクタデセノアミドが含まれる。脂肪酸の第一ア
ミドの好ましい投与経路には、腹腔内注射(ip)、皮下注射(sc)、筋肉内注射(im)
、経口摂取(pi)、脊髄注射、及び頭部注射が含まれる。好ましい1日量は1mg乃
至10gである。
本発明の別の面は、患者の相対的な睡眠剥奪の程度を評価する方法に関する。
相対的な睡眠の剥奪は、対照標準の被験者に対して測定する。脳脊髄液の試料を
患者から得た後、脂肪酸の第一アミドに関連するHPLC(高性能液体クロマト
グラフィー)ピークの存在を確認するために分析する。好ましい分析方法におい
ては、脳脊髄液の試料をHPLCにより分別する。次いで脂肪酸の第一アミドに
関連するピークを質量スペクトル分析により確認する。次いで、患者の相対的な
睡眠剥奪の程度を決定するために、患者の脳脊髄液を、対照標準の被験者から得
られた脳脊髄液と比較し、同様にして分析する。
本発明の別の面は、脂肪酸の第一アミドと結合する分子を単離する方法に関す
る。その方法は、被験者の分子を固相支持体に固定させた脂肪酸の第一アミドと
接触させる工程を用いる。次いで結合した分子を、固定させた脂肪酸の第一アミ
ドから溶離することにより単離してもよい。図面の簡単な説明
図1は、対照標準の被験者から得られた脳脊髄液のHPLC分別を示す。脊髄
液のHPLC分析は、Micro monitor を用い、Pharmacia LKB Biotechnology SM
ART Systemで実施する。分別を実施するのに、“μRRC C2/C18,SC 2/10”カラム
を使用した。1%のアセトニトリル/水(0.1%TFA)勾配を用い、100
μl/min の流量を保持した。分別回収器により、2つの波長、215及び280
nmにおける吸収を追跡する検出器から直接試料を回収した。
図2は、睡眠を剥奪された被験者から得られた脳脊髄液のHPLC分別を示す
。HPLC分別を分析すると、54分に生ずる主要な新しいピークがcis-9,10-
オクタデセノアミドの存在と関連することが分かる。
図3は、図2に示されるピークに対応するフラクションから得られる化合物の
質量スペクトルを示す。非共有結合二量体とNa+([M + Na+]+= 304 Da)及びK+
([M + K+]+= 320 Da)付加物の観察から、観察された問題の化合物の質量([M
+ H+]+= 282 Da)はより大きな化合物のフラグメントではないことが確認される
。
図4は、親イオン、m/z = 282 に関するMS2データを示す。図5は、娘イオン
、265 に関するMS3データを示す。明らかにするために、スペクトルに親イオン
、282 が加えてある。
図6は、娘イオン、247 に関するMS3データを示す。明らかにするために、ス
ペクトルに親イオン、282 が加えてある。
図7は、天然の薬剤、cis-9,10- オクタデセノアミド(1)、関連類似物(2
−6)、及び(3)の前駆物質である化合物(7−11)の構造を示す。化合物
(6)は、天然に産出するC22脂肪酸アミドの好ましい構造である。
図8は、脳脊髄液から単離された天然の化合物及びそれらの合成物に関して得
られた縦並びの質量スペクトルを示す。スペクトル(A)及び(C)は、それぞ
れ天然のC18及びC22薬剤に関して得られたフラグメント化データを表す。スペ
クトル(B)及び(D)は、それぞれ合成したcis-9,10- オクタデセノアミド及
びcis-13,14-オクタデセノアミドに関して得られたフラグメント化データを表す
。詳細な説明
略語:衝突誘導解離(CID)、質量分析法/質量分析法(MS/MS又はM
S2)、質量分析法/質量分析法/質量分析法(MS/MS/MS又はMS3)、
特定病原体感染防止条件(SPF)。
睡眠剥奪及びネコの脳脊髄液の採取法:これらの研究には、4匹の成熟した特
定病原体感染防止条件(SPF)のネコ(ニュージャージー州リバティー・コー
ナー(Liberty Corner)にあるリバティー研究所(Liberty Laboratories))を使用
した。試料を採取する際の被験者の体重は3.0乃至4.2kgであった。長期に
わたる脳室内カニューレを確立するために、被験者をまず一般的な麻酔(ハロタ
ン)下におき、挿管してネコの脳定位固定装置(カリフォルニア州ツジュンガ(Tu
junga)にあるデイピド・コフ・インコーポレーテッド(David Kopf Inc.))内に拘
束した。次いで頭の円蓋に穿頭孔をあけ、第四の脳室(2匹のネコ)又は右の側
脳室(2匹のネコ)のいずれかにステンレス鋼のカニューレ(バージニア州ロー
ノーク(Roanoke)にあるプラスチック・プロダクツ(Plastic Products))を挿入
した。配置したカニューレの開通性は、カニューレの外側先端から透明な脳脊髄
液(CSF)が自然に流れるのを観察することにより、又はマイクロリットルシ
リンジ(ネバダ州レノ(Reno)にあるハミルトン・カンパニー(Hamilton Company)
)でカニューレから脳脊髄液を抜きうることにより確認した。次いでカニューレ
及び固定した内部スタイレットを頭蓋内に入れて歯科用のアクリルセメントで固
定した。生化学的な流体を採取する前に被験者を少なくとも2週間回復させた。
被験者は、調整した温度で12時間の明/暗照明周期(照明は午前6時30分に
つけ、午後6時30分に消す)で飼育室内に集団で飼った。脳脊髄液の試料は午
前10時及び12時30分の間に抜き取った。脳脊髄液を採取するには、内部ス
タイレットを除去して移植したカニューレの先端より1mm先に小さな直径のカニ
ューレを挿入した。次いで脳脊髄液を100μl の容量のハミルトンシリンジに
抜き取り、直ちに小さなプラスチックの容器(Eppendorf微小遠心管)に入れ、ド
ライアイスを充填したバケットに入れた。次いで分析するまで試料を−70℃の
冷凍庫に移した。このようにして全部で6つの試料を採取した。個々の試料の容
量は150乃至300μl であった。この手順の他に、2匹のネコを密閉したゆ
っくり動く足踏み車上に22時間おき、睡眠剥奪を強いた。これらの被験者の脳
脊髄液試料をこの睡眠剥奪期間中に採取した。最後に、大槽内に鋭形の皮膚を通
す穿刺を刺すことにより脳脊髄液試料を採取した。
HPLC実験:脳脊髄液の予備的なHPLC分析は、Micro monitor を用い、
Pharmacia LKB Biotechnology SMART Systemで実施した。分別を実施するのに、
“μRRC C2/C18,SC 2/10”カラムを使用した。1%のアセトニトリル/水(0.1
%TFA)勾配を用い、100μl/min の流量を保持した。分別回収器により、
2つの波長、215及び280nmにおける吸収を追跡する検出器から直接試料を
回収した。HPLCと質量分析計との直結もMichrom HPLCを用いて実施した
。物理的分析
睡眠を剥奪されたネコの脳脊髄液からの、化学式がC18H35NOの化合物の単
離を報告する。モデル化合物の合成及び評価及び候補の構造に基づいて、データ
は末端が第一アミドのモノ不飽和アルカン連鎖に匹敵しうることが分かった(M.K
.Jain et.al.,(1992):J.Med.Chem.,vol.35,page 3584)。電気噴霧MS、GC−
MS、TLC、IR、NMR、及び化学的分解法を使用することにより、単離し
たC18H35NOの構造が、図7の化合物(1)として示されるcis-9,10- オクタ
デセノアミドであることが示された。この結果は速い原子衝撃(FAB)及び電
気噴霧質量スペクトル分析と一致する。cis-9,10- オクタデセノアミドがアルキ
ル連鎖の長さ及びオレフィンの位置及び立体配置が異なる脂肪酸の第一アミドの
一群のほんの一であることが示され、ラット及びヒトの脳脊髄液中には関連化合
物も検出しうる。重要なことに、合成したcis-9,10- オクタデセノアミドは、被
験者の動物、例えばラットに注射した場合に睡眠を誘導する性質を示すことも本
出願人は示す。
天然化合物の初期電気噴霧質量分析は、m/z 282[M + H]+、304[M + Na]+、320
[M + K]+、及び564[2M + H]+の質量ピークを示し、化合物の分子量が281 Da
(1)であることを示す。高分解能FAB−MS分析によれば、[M + Na]+イオン
の正確な質量測定が可能であり、観察された質量はm/z 304.2614±0.0006 Daで
あった。この測定により元素の組成が決定され、[M + Na]+の計算値がm/z 304.2
616 Da である分子式C18H35NOに最もよく適合する。縦に並んだ質量分析は
、低分子量範囲の独特なフラグメント化パターンが他の連鎖アルカンと一致する
ことを示した(図8A)。親イオンからの連続した17及び35の中性損失は、
アンモニア次いで水の損失を示した。m/z 265 及び247(1)の娘イオンについて
追加のMS3実験を実施した。種々の合成した候補物質の構造についてMS2及び
MS3のような質量分析を実施した。α‐アミノケトンはフラグメント化パ
ターン分析により天然の薬剤とは容易に区別可能であた。△3,4-1-ヒドロキシ-2
- アミノオクタデカジエン(1)は、MS2実験における低分子量フラグメントの相
対的強度が違うだけで天然脂質とほとんど同一のフラグメント化を示した。
数種の生成物は天然物質のスペクトルと全く同様スペクトルを示すけれども、
図7Bに示すように、cis-9,10- オクタデセノアミドのようなモノ不飽和脂肪酸
アミドから発生するフラグメント化パターンだけは、内生脂質のそれと正確にあ
う。cis-9,10- オクタデセノアミドの親イオンからの17質量単位の中性損失は
、分子がまずその末端アミド基の炭素−窒素結合においてフラグメント化し、ア
ンモニアを放出することを示す。図9C及び9Dに示されるように、MS2及び
MS3フラグメント化パターンが合成したcis-13,14-ドコセノアミドのそれと区
別できないことから、質量分析からも、ヒト及びラットの脊髄液から得られる化
合物の分子式はC22H43NOであることが確認された。天然化合物のC22H43N
O及び合成したcis-13,14-ドコセノアミドはTLC上に同一の溶離特性を示し、
オゾン分解実験は、C22天然薬剤のオレフィンが13,14-位であることを示す。
cis-9,10- オクタデセノアミド及びC18天然脂質は、TLC及びGC−MS上
に同一の溶離特性を示す。TLC(SiO2)は75%のアセテート/ヘキサンを用
いると0.3のRfを提供した。GC−MS分析は、5971A Hewlett Packard 質量
選択的検出器を具備する5890 Hewlett Packard GC で実施した。分割は、長さ3
0m、内径0.25mmのDB-5(0.25mmフィルム)毛細管カラムで実施した。カ
ラム温度は、50℃から290℃まで20℃/分の速度で上昇させるように計画
した。カラムは、290℃の最終温度において更に10分間保持した。インゼク
ターの温度は250℃で、検出器の温度は290℃であった。化合物は、CH2C
l2溶液としてGCに注入した。EI測定における電子エネルギーは、1スキャン
/秒で70eVであった。保持時間:合成したcis-9,10- オクタデセノアミド、1
6.95分;天然化合物、16.96分。
しかしながら、これらの分析的技術では密接に関連する合成した脂肪酸アミド
の二重結合の位置及び立体配置は検出できず、cis-8,9(3)、cis-8,9(1)、ci
s-11,12(4)、及びtrans-9,10(2)オクタデセノアミドはTLC及びGCでは
天然化合物とは区別できなかった。
cis-9,10- オクタデセノアミド、cis-11,12-オクタデセノアミド、及びtrans-
9,10- オクタデセノアミドを以下のようにしてそれぞれの酸から調製した。cis-
9,10- オクタデセン酸(オレイン酸)のCH2Cl2(0.2M)溶液を0℃におい
て塩化オキサリル(3当量)で処理し、25℃において4時間攪拌した。溶媒を
除去して、0℃においてNH4OHの飽和水溶液で処理するとcis-9,10- オクタ
デセノアミドが得られ、このものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40
〜75%酢酸エチル−ヘキサン勾配溶離)で精製した。cis-8,9-オクタデセノア
ミドは以下のようにして合成した。1)スベリン酸モノメチルエステルのTHF
溶液を−20℃においてBH3-THF(1.05当量)で処理し、25℃において
12時間攪拌するとメチル8-ヒドロキシオクタノエート(18)が得られる。2
)メチル8-ヒドロキシオクタノエートのCH2Cl2溶液を0℃においてCBr4(1.
3当量)及びPh3P(1.4当量)で逐次処理し、4℃において10時間攪拌する
とメチル8-ブロモオクタノエートが得られる。3)メチル8-ブロモオクタノエー
トをCH3CN(0.8M)中に溶解させ、還流温度に暖めた。Ph3P(1.1当量
)を溶液に添加し、20時間攪拌を継続すると対応するホスホニウム塩が得られ
た。4)メチル8-ブロモオクタノエートのホスホニウム塩を25℃においてTH
F中に溶解させ、KHMDS(1.1当量)で処理した。還流温度で1時間攪拌
した後、溶液を−78℃に冷却し、デカナール(1.5当量)を添加した。混合
物を25℃に暖め、30分間攪拌すると、メチルcis-8,9-オクタデセノエートが
得られる。5)メチルcis-8,9-オクタデセノエートをTHF−CH3OH−H2O
(3:1:1)中でLiOH(3当量)を用いて加水分解すると、cis-8,9-オクタデ
セン酸が得られる。6)cis-8,9-オクタデセン酸のcis-8,9-オクタデセノアミド
への変換は以下のようにして実施した。
IR、NMR、及び化学的分解法により、そのオレフィンの位置及び立体配置
を含む内生脂質の正確な構造をあいまいでなく決定した。天然化合物のアルキル
連鎖に沿った二重結合の位置は化学的分解により決定した。(O.S.Privett,Progr
ess in the Chemistry of Fats and Other Lipids(1966):vol.9,page 91)。化学
的分解技術をまず合成した脂肪酸アミドについて使用し、このものの分析に貢献
するオゾン分解で確認した。天然薬剤のオゾン分解は以下のようにして実施
した。約100mgの天然脂質をCH2Cl2(300ml)中に溶解させ、−78℃に
冷却した。600mlのオゾン飽和CH2Cl2(−78℃で発生)を混合物に添加し
、−78℃において30分間攪拌を継続した。反応混合物をアルゴンでパージす
ることにより、過剰のオゾンを除去し、オゾン生成物をジメチルスルフィド(過
剰)の添加により還元した。反応混合物を0℃に暖めて1時間攪拌し、次いで2
5℃で1時間攪拌した。溶媒を蒸発させ、残留物を50mlのジエチルエーテル中
に再び溶解させ、GS/MSにより直接分析した。
天然脂質から誘導されたオゾン分解反応混合物のGS−MS分析により、存在
する唯一のC−末端アルデヒドがノニルアルデヒドであることが明らかになった
。GS/MS分析は前述のようにして実施した。アルデヒド生成物を分析するの
に使用したGSプログラムは以下のとおりであった。50℃の初期温度において
4分後、カラムの温度を200℃の最終温度に達するまで10℃/分の速度で上
昇させた。カラムの温度を200℃に更に5分間保持した。保持時間:ノニルア
ルデヒド、10.78分;天然化合物のオゾン分解反応、10.76分。ノニルア
ルデヒドは、アルキル連鎖の末端メチル基から7つのメチレンを除去したオレフ
ィンの位置に対応し、C18脂肪酸の第一アミドの場合には9,10- 位である。
その天然化合物(ニート)のIRスペクトルは3354及び3320(アミドN-H 伸縮)
、2923及び2851(アルカン伸縮)、1656及び1630(アミドIバンド及びIIバンド
)、1466、及び1410cm-1で吸収を示した。シス−9,10−オクタデセノアミドは
天然薬剤のFTIRスペクトルと同一のFTIRスペクトルを示したが、単一の特徴の相
違が内在性脂質及びトランス−9,10−オクタデセノアミドのIRスペクトルで観
察された。何となれば、トランス異性体のみが960cm-1で強い吸収ピークを示し
たからである。天然化合物又はシス−9,10−オクタデセノアミドのいずれもが
二置換トランスアルケンの特徴的なこのIR吸収バンドを示さなかった(W.W.Chris
tie,Lipid Analysis,Pergamon Press,Oxford,1973,128頁)。
徹底的な単離努力により、本発明者らは最終的に内在性脂質約300mg を得るこ
とができ、これはその化合物についてプロトンNMR データを得るのに充分な量と
判明した。前記天然化合物のHPLC単離後に、HPLCフラクションを合わせ、濃縮し
、最小容積のCH2Cl2中で再度懸濁させた。粗生成物のシリカゲルクロマトグラフ
ィ
ー(40〜75%の酢酸エチル/ヘキサン)は天然化合物約300mg を与えた。d1.2に
おけるグリースを含む残留不純物は、合成シス−9,10−オクタデセノアミドと
比較した時にこの領域における1H NMRピーク強さの変化の原因である。1H NMRス
ペクトル(CD3OD,400 MHz)は下記のピークを示した。d5.24(多重線,2H,オレフ
ィン性プロトン),2.09(三重線,2H,H2NC(O)CH2),1.93(多重線,4H,アリルの
プロトン),1.50(多重線,2H,H2NC(O)CH2CH2),1.50-1.23(多重線,アルキルメ
チレンプロトン),及び0.805(三重線,3H,CH3)。トランス−及びシス−9,10−
オクタデセノアミドの1H NMRスペクトルと比較した時、天然化合物及びシス−9
,10−オクタデセノアミドは同一であり、トランス−9,10−オクタデセノアミ
ドとは明らかに異なっていた。天然脂質及びシス−9,10−オクタデセノアミド
のサンプルはトランス異性体とは1H NMRスペクトルのオレフィン性領域及びアリ
ルの領域の両方で区別することができた。トランス異性体のオレフィン性プロト
ンはCD3OD 中でd 5.28にあるが、天然化合物及びシス異性体のオレフィン性プロ
トンはわずかに上の磁場にd 5.24にシフトされる。NMR スペクトルのアリルの領
域において、天然化合物及び合成シス異性体の両方がd 1.94から1.91までの範囲
の4プロトンピークを有し、一方、トランス異性体のアリルのプロトンがd 1.88
〜1.86で観察される。痕跡量のトランス脂肪酸アミドは天然サンプル中に同様に
存在することが明らかであり、おそらくこの薬剤がまた脳の内在性成分であるこ
とを示す。非反芻生物からの組織脂質中の殆どのトランス脂肪酸はおそらく食事
源のみに由来する(R.P.Mensink及びM.B.Katan,Prog.Lipid Res.32,111(1993))
。証拠はこれらの外在性トランス脂肪酸が正常に代謝され、脳脊髄液からのトラ
ンス−9,10−オクタデセノアミドの同定が食用エライジン酸からそのアミド誘
導体への自然変換を示し得ることを示唆する。エライジン酸はヒト脳脂質の痕跡
成分として同定されていた(R.O.Adlof及びE.A.Emken,Lipids21,543(1986))。
また、単離操作中のわずかな異性化が少量のトランス異性体の存在を説明するこ
とができた。こうして、MS、GC、TLC、IR、NMR、及びオゾン分解の使用により、
未知の天然脂質の構造がシス−9,10−オクタデセノアミドであると測定された
。
質量分析法 質量分析法実験をAPI III パーキン・エルマーSCIEX 三−四極質
量分析計及びFisons/VG ZAB-VSE 高分解能磁気セクター質量分析計で行った。
SCIEX に関する空気補助電子噴霧インターフェースを5.0 kVに維持されたインタ
ーフェース噴霧装置の電位によるサンプル導入に使用した。インターフェースプ
レートとサンプリングオリフィスの間の超純粋な窒素のカーテンガス(1.0リット
ル/分)を適用して帯電された液滴の脱溶媒和(desolvation)を助け、粒状物が分
析装置領域に入ることを防止した。サンプルを4.0 ml/分の速度でインターフェ
ースを通って導入した。イオン蒸発法により生じた陽イオンがインターフェース
プレート及び100 mmのオリフィスを通って分析装置に入った。デクラスタリング
(declustering)電位を50-250 V(典型的には100 V)に保って侵入イオンの衝突エ
ネルギーを調節した。低温ポンプを使用して分析計中の表面を冷却(14-18K)して
2x10-5トールの作用圧力及び分析装置領域中の8x10-8トールのシール圧力を保っ
た。Fisons/VG ZAB-VSE 装置を使用して高速原子衝撃(FAB)分析による未知の化
合物の正確な質量測定を行った。10,000の分解能(10 %のバレイ・デフィニッシ
ョン(valley definition))を得て0.7ppm以内までの正確な質量測定を行った。
衝突誘導解離(CID) CID 実験をAPI III パーキン・エルマーSCIEX 三−四極
質量分析計で衝突ガスとして超純粋アルゴン(>99.99 %の純度)を用いて行った
。陽イオンMS/MS データを、第一四極による前駆体イオンの質量選択、第二四極
で生じた解離中のアルゴンとの衝突(3 x 1014原子/cm2のターゲット厚さ)により
獲得した。第三の四極は得られた娘イオンを質量分析した。80 eV の衝突エネル
ギーをこれらの実験で維持した。示されたCID スペクトルは、50以上のシグナル
対ノイズを得るのに必要なスキャンの数に応じて50〜100 スキャンの平均の結果
であった。また、MS/MS/MS(MS3)データを、オリフィスで生じた娘イオンを第一
の四極質量分析装置で質量選択することにより得た。第二の四極衝突セル中のア
ルゴンとの衝突(3 x 1014原子/cm2のターゲット厚さ)は更なる解離を生じ、得ら
れた孫娘イオンを第三の四極質量分析装置で分析した。
結果
ネコの脳脊髄液のHPLC分析は、正常なネコではなく断眠ネコ中に存在するピー
クを生じた。その同定を、質量分析法を含む物理的特性決定により測定した。
このピークの初期電子スプレー質量分析はm/z=282、304、320、及び564 を明
らかにした(図3)。これらのピーク[M+ H+]+(m/z=282)、[M+Na+]+(m/z=
304)、[M+ K+]+(m/z=320)、及び[2M+H+]+(m/z=564)の観察は、化合物の
分子量が281 Daであるという指標であった。陽イオン付加物及び非共有結合二量
体は、そのイオンが更に高い分子量の化合物の断片ではないことを示唆する。
加えて、282[M+ H+]+ピークの同位元素パターンの分析(図3)は1質量単
位により分離された同位元素を明らかにし、こうしてこれが更に高い分子量の化
合物に相当する多重荷電イオンであるという可能性を排除した。高速原子衝撃質
量分析法による高分解能分析は質量=304.2614 ±.0006 Daで観察された[M + Na+
]+イオンの正確な質量測定を可能にした。この測定は元素組成の測定及び分子
式C18H35NO、計算[M + Na+]+質量=304.2616 Daに関する最良のフィットを可能
にした。強いプロトン化シグナルは、その化合物がNa+の存在下でさえも高いプ
ロトンアフィニティーを有することを示し、その化合物がアミンであることを示
唆した。この化合物に関する構造上の情報を得るために、タンデム質量分析を行
った。
このフラクションのタンデム質量分析(図4)はその他の長鎖アルカンと合致
して低分子量範囲に特有の断片化パターンを明らかにした。親イオンからの17及
び35の中性損失はアンモニア続いて水の損失を示した。付加的なMS3実験を娘イ
オン265 及び247 について行った。MS3実験(図6)は、265 娘イオンが断片化
して247 孫娘イオンを生成することを明らかにした。これは、247 が265 娘イオ
ンとは独立の中性損失とは反対に連続の損失(17{-NH3)}続いて18{-H2O)}
の損失)の結果であることを示唆する。
265 イオンのMS3スペクトル中に生じた249 イオンはHPLCフラクション中の別
の成分からのものであることが測定された。281 イオンのCID 分析は夫々イオン
265 及び249 を生成する16及び32の損失を明らかにした。249 イオンはおそらく
m/z=265 の娘イオンから生じた、親イオン、m/z=281 からの孫娘イオンである。
シス−9,10−オクタデセノアミドについて集めたデータを表1に一部要約す
る。
睡眠の誘発に関するプロトコル
合成シス−9,10−オクタデセノアミドを、異なる投薬量:1(n=2)、2(n=2)
、5(n=7)、10(n=10)、20(n=2)、及び50(n=2)mg(n=試験したラットの数)で
自発行動に関するその効果を試験するためにラットに注射(ip)した。光サイクル
をオフにした2時間後の反転暗期間(12:12)中にラットに注射し、それらのホー
ムケージ中で観察した。低投薬量(1mg及び2mg)では、自発行動に関する顕在
効果が見られなかった。しかしながら、5mgの閾値及びその上では、正常な睡眠
に特徴的な閉じられた眼、鎮静された挙動と関連する長く持続する運動休止の誘
発からなる顕著な効果があった。また、正常な睡眠について、ラットは依然とし
て定位反射による聴覚刺激に応答し、刺激の源に対する注意を持続した。加えて
、運動挙動が損なわれた。投与後の挙動鎮静の潜伏期は約4分であり、被験者は
通常1時間(5mg)、2時間(10mg)、又は2.5 時間(20mg及び50mg)後に再度
活性であった。
本発明者らはシス−9,10−オクタデセノアミドをビヒクル及び図7にリスト
された合成類縁体と比較してその睡眠誘発ポテンシャルの構造特異性を推定した
。ビヒクル(食塩溶液中5%のエタノール)又はオレイン酸(5)のいずれもが顕
在挙動効果を示さなかった。トランス−9,10−オクタデセノアミドはそのシス
相対物と同様の薬理効果を示したが、その睡眠誘発性について比較的短い期間に
より測定して効力が極めて小さかった(ラット当たり10mgでは、生物学的効果は
トランス異性体について1時間持続し、またシス異性体について2時間持続した
)。オレフィンがアルキル鎖に沿っていずれかの方向に(8,9(3)位又は11,12
(4)位に)移動された場合、又はアルキル鎖長が22の炭素まで延長された時(6)
、薬理効果の程度及び期間の両方のかなりの減少が観察され、又ラットの運動性
が依然として低下している間に、それらの眼は開いたままであり、それらの警戒
はほんのわずかに影響されることが明らかであった。最後に、シス−9,10−オ
クタデセノアミドを注射されたラットに関するポリソムノグラフィー(polysomno
graphic)研究は、ビヒクル対照と比較した時に徐波睡眠(SWS)の全時間だけでな
くSWS 個々期間の平均の増加を示す。更に特別には、雄SDラット(手術時に300g
)にハロタン麻酔(2〜3%)下に睡眠記録のための電極の通常のセットを移植
し
た。これは被験者の脳電図(EEG)を記録するための海馬の上の頭頂骨中に置かれ
た二つのスクリュー電極と、筋電活性(EMG)により体位トーンを記録するための
頸部筋系中に挿入された二つのワイヤ電極を含んでいた。ラットを食物及び水へ
の随時の接近により個々に収容した。暗−光サイクルを調節した(12:12、10:00p
.m.に光)。手術の1週間後に、ラットを少なくとも3日にわたって記録条件に順
応させた。順応期間の完結後に、ラットは2ml(ip)のビヒクル(5%のエタノー
ル/食塩溶液)、シス−9,10−オクタデセノアミド(10mg)、又はオレイン酸(1
0mg)のいずれかを受けた。ラットをip注射後の4時間(12:00 p.m.〜4:00 p.m.)
にわたって連続的に記録した。ラットを一方向ウィンドーにより挙動の自発変化
について観察した。睡眠記録を目視でスコアーを付け、4段階:覚醒、徐波睡眠
1(SWS1)、徐波睡眠2(SWS2)、及び急速眼球運動(REM)睡眠を測定した。
徐波睡眠(SWS)に関するこれらの増加は覚醒を犠牲にした。REM 睡眠の分布は
変化されないように思われる。一緒になって、これらのデータは、シス−9,10
−オクタデセノアミドが徐波睡眠変調に重要な役割を果たし得ることを示唆する
。
細胞構築の受動的構造要素としての脂質分子の従来の考えは、これらの薬剤が
細胞シグナルを変換し、細胞挙動を変更する際に果たす活性な役割の絶えず増大
している見解に迅速に屈しつつある(例えば、M.Liscovitch及びL.C.Cantley,Ce
ll(1994): 77巻,329頁)。ここで研究された脂肪酸アミドの魅力的な特徴は、
それらが簡単な分子のファミリーに属し、その中で多くの多様性がアルカン鎖の
長さ並びにその一つ以上のオレフィンの位置、立体化学、及び数を単に変化する
ことにより生じ得ることである。重要なことに、それらのカルボキシ末端にアミ
ド修飾を有するその他の神経活性シグナリング分子が、カルボキサミド末端ペプ
チドからアラキドニルエタノールアミドに至るまで報告されていた。カルボキサ
ミド末端ペプチドを使用する神経活性シグナリング分子がB.A.Eipper、D.A.Stof
fers、及びR.E.Mains によりAnnu.Rev.Neurosci.(1992): 15 巻,57頁に開示さ
れている。アラキドニルエタノールアミドを使用する神経活性シグナリング分子
がW.A.Devane、L.Hanus、A.Breuer、R.G.Pertwee、L.A.Stevenson、G.Griffin、
D.Gibson、A.Mandelbaum、A.Etinger、及びR.Mechoulam によりScience(1992):
258巻,1946頁に開示されている。シス−9,10−オクタデセノアミ
ドはコア化学構造の簡単な変化が特異な生理学的成果を有する生物学的エフェク
ターの新規なクラスの一員であることが本明細書に開示される。固定された脂肪酸一級アミドの製造
18−ヘミスクシネート−シス−9,10−オクタデセノアミド(12)を使用して固
定された脂肪酸一級アミドを製造でき、その合成が以下に示される。次いで18−
ヘミスクシネートを、例えば、シグマキットにより与えられるような通常の材料
及びプロトコルを使用して固相アフィニティークロマトグラフィーマトリックス
材料にカップリングし得る。次いでその固定された脂肪酸一級アミドをそれとの
アフィニティーを有する分子を結合し、又溶離によりこのような分子を単離する
のに使用し得る。脂肪酸一級アミドの合成
例示の脂肪酸一級アミドを合成するのに好ましいプロトコルがスキーム1及び
スキーム2に示される。中間体及び最終生成物を特性決定する物理データと一緒
にこれらの合成プロトコルの詳細が以降の節に示される。全ての脂肪酸一級アミ
ドの基本的な合成プロトコルは、出発物質の異なる鎖長、生成物収率、及び種々
のシス生成物及びトランス生成物の分離を除いて同一である。それ故、シス−9
,10−オクタデセノアミド及び幾つかのその他の脂肪酸一級アミドの合成に関す
る合成プロトコルの例示の記載が示され、脂肪酸一級アミドの全クラスに関する
合成プロトコルを説明するのに利用できる。
合成方法
シス−9,10−オクタデセノアミド(1)
0℃のCH2Cl2(8.9mL、0.4M)中のオレイン酸(1.0g、3.55ミリモル、1.0 当量)
の溶液を塩化オキサリル(5.32 mL、CH2Cl2中2.0Mの溶液、10.64 ミリモル、3.0
当量)で滴下して処理した。その反応混合物を25℃で4時間攪拌し、減圧で濃縮
し、0℃に冷却し、飽和NH4OH 水溶液(2.0mL)で処理した。次いでその反応混合
物を酢酸エチル(EtOAc)(100 mL)とH2O(100 mL)の間に分配し、有機層を乾燥させ
(Na2SO4)、減圧で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、5cm x 15cm、40〜100
%のEtOAc-ヘキサン勾配溶離)にかけて白色の固体(0.810g、理論量0.996g、81.
3%)として1を得た。1H NMR(CDCl3,250 MHz): δ6.06(bs,1H,NH2C(O)),5.5
8(bs,1H,NH2C(O)),5.32(m,2H,CH=CH),2.16(t,2H,J=7.5 Hz,CH2C(O)NH2
),2.02(m,4H,CH2CH=CHCH2),1.61(m,2H,CH2CH2C(O)NH2),1.29(b s,14H,
アルキルプロトン),0.87(t,3H,CH3); FABHRMS(NBA/NaI m/e282.2804(C18H3 5
NO + H+は282.2797を要する)。シス異性体とトランス異性体を区別するスペク
トルの領域はδ5.3 から5.2 までのオレフィンプロトン及びδ2.0 から1.8 まで
のアリルプロトンである。これらの領域は天然化合物をシス−9,10−オクタデ
セノアミドとして同定する。
トランス−9,10−オクタデセノアミド(2)
0℃のCH2Cl2(8.9mL、0.4M)中のエライジン酸(1.0g、3.55ミリモル、1.0 当量
)の溶液を塩化オキサリル(5.32 mL、CH2Cl2中2.0Mの溶液、10.64 ミリモル、3.0
当量)で滴下して処理した。その反応混合物を25℃で4時間攪拌し、減圧で濃縮
し、0℃に冷却し、飽和NH4OH 水溶液(2.0mL)で処理した。次いでその反応混合
物を酢酸エチル(EtOAc)(100 mL)とH2O(100 mL)の間に分配し、有機層を乾燥させ
(Na2SO4)、減圧で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、5cm x 15cm、40〜100
%のEtOAc-ヘキサン勾配溶離)にかけて白色の固体として2を得た。シス異性体
とトランス異性体を区別するスペクトルの領域はδ5.3 から5.2 までのオレフィ
ンプロトン及びδ2.0 から1.8 までのアリルプロトンである。これらの領域はそ
の化合物をトランス−9,10−オクタデセノアミドとして同定する。
シス−8,9−オクタデセノアミド(3)
0℃のCH2Cl2(1.5mL、0.31M)中の11(0.130g、0.461 ミリモル)の溶液を塩化
オキサリル(0.69 mL、CH2Cl2中2.0Mの溶液、1.38ミリモル、3.0 当量)で滴下し
て処理した。その反応混合物を25℃で4時間攪拌し、減圧で濃縮し、0℃に冷却
し、飽和NH4OH 水溶液(2.0mL)で処理した。次いでその反応混合物を酢酸エチル(
EtOAc)(100 mL)とH2O(100 mL)の間に分配し、有機層を乾燥させ(Na2SO4)、減
圧で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、5cm x 15cm、40〜100 %のEtOAc-ヘ
キサン勾配溶離)にかけて白色の固体(0.105g、理論量0.130g、80.8%)として3
を得た。1H NMR(CDCl3,250 MHz):δ5.70-5.34(m,4H,NH2C(O)及びCH=CH),2.2
1(t,2H,J=7.5 Hz,CH2C(O)NH2),2.00(m,4H,CH2CH=CHCH2),1.63(m,2H,CH2C
H2C(O)NH2),1.47-1.23(m,20H,アルキルプロトン),0.87(t,3H,RCH3);FABHRMS
(NBA/CSI m/e 414.1762(C18H35NO + Cs+は414.1773を要する)。
シス−11,12−オクタデセノアミド(4)
0℃のCH2Cl2(8.9mL、0.4M)中のΔ11,12 オクタデセン酸(1.0g、3.55ミリモル
、1.0 当量)の溶液を塩化オキサリル(5.32 mL、CH2Cl2中2.0Mの溶液、10.64ミリ
モル、3.0 当量)で滴下して処理した。その反応混合物を25℃で4時間攪拌し、
減圧で濃縮し、0℃に冷却し、飽和NH4OH 水溶液(2.0mL)で処理した。次いでそ
の反応混合物を酢酸エチル(EtOAc)(100 mL)とH2O(100 mL)の間に分配し、有機層
を乾燥させ(Na2SO4)、減圧で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、5cm x 15c
m、40〜100 %のEtOAc-ヘキサン勾配溶離)にかけて白色の固体として4を得た。
オレイン酸(5) オレイン酸(5)(CAS #112-80-1)をアルドリッチ・ケミカル社
(ミルウォーキー、ウィスコンシン)から入手した。
エルカミド(6) エルカミド(6)(CAS #28,057-7)をアルドリッチ・ケミカル社
(ミルウォーキー、ウィスコンシン)から入手した。
メチル−8−ヒドロキシ−オクタノエート(7)
-20 ℃のテトラヒドロフラン(THF)(32.0mL、0.25M)中のスベリン酸モノメチル
エステル(1.5g、7.97ミリモル、1.0 当量)の溶液をBH3・THF(THF中1Mの溶液、7
.97mL、7.97ミリモル、1.0 当量)で滴下して処理した。その反応混合物を一夜
攪拌し、続いて室温に到達させた。次いでその反応混合物を酢酸エチル(100mL)
で希釈し、メタノール(10 mL)及び10%のHCl(10 mL)で反応停止した。NaHCO3(
1X 20mL)、水(2X 10mL)、そして食塩水(1X 10mL)で抽出して、メチル−8−ヒド
ロキシ−オクタノエート(7)を粗白色固体として得た。
メチル−8−ブロモ−オクタノエート(8)
0℃のCH2Cl2(15 mL、0.48M)中の粗メチル−8−ヒドロキシ−オクタノエート
(7、1.24g、7.13ミリモル、1.0 当量)の溶液をCBr4(3.07g、9.27ミリモル、1.
3 当量)及びPPh3(2.61g、9.98ミリモル、1.4 当量)で連続して処理し、その反応
混合物を4℃で10時間攪拌した。次いでその反応混合物を減圧で濃縮し、Et2O(
8 x 10mLで洗浄)で繰り返して洗浄した。Et2O洗浄液を合わせ、減圧で濃縮した
。クロマトグラフィー(SiO2、5cm x 15cm、ヘキサン)にかけて透明な無色の油(1
.25g、理論量1.69g、74.0%)として8を得た。1H NMR(CDCl3,250MHz): δ3.64(
s,3H,C(O)OCH3),3.38(t,2H,J=6.8 Hz,CH2Br),2.29(t,2H,J=7.4 Hz,CH2
C(O)OCH3),1.83(p,2H,CH2CH2Br),1.63(m,2H,CH2CH2C(O)OCH3),1.47- 1.2
8(m,6H,アルキルプロトン)。
メチル−8−トリフェニルホスホラニル−オクタノエート−ブロミド(9)
CH3CN(4.0mL、1.31M)中の8(1.25g、5.23ミリモル、1.0 当量)の溶液をトリ
フェニルホスフィン(1.52g、5.75ミリモル、1.1 当量)で処理し、10時間にわた
って還流させて攪拌した。追加のトリフェニルホスフィン(0.685g、2.61ミリモ
ル、0.5 当量)を反応混合物に添加し、攪拌を5時間にわたって還流下に続けた
。その反応混合物を減圧で濃縮し、Et2O(5 x 10mLで洗浄)で繰り返して洗浄し
た。次いで残っている残渣を最小容積のCH2Cl2に溶解し、減圧で濃縮して無色の
フォーム(2.20g、理論量2.61g、84.3%)として9を得た。1H NMR(CDCl3,250
MHz): δ7.82-7.51(m,15H,ArH),3.70-3.46(m,5H,CH3OC(O)R及びCH2PPh3),
2.13(t,2H,J=7.4 Hz,CH2C(O)OCH3),1.62-1.43(m,6H,アルキルプロトン),
1.30-1.02(m,4H,アルキルプロトン); FABHRMS(NBA)m/e 419.2154(C27H32BrO2
P-Br - は419.2140を要する)。
メチル−シス−8,9−オクタデセノエート(10)
25℃のTHF(7.0mL、0.2M)中の9(0.71g、1.42ミリモル、1.0 当量)の溶液
をKHMDS(3.0mL、THF 中0.5Mの溶液、1.5 ミリモル、1.06当量)で処理し、その
反応混合物を還流下に1時間攪拌した。次いでその反応混合物を-78 ℃に冷却し
、デシルアルデヒド(0.321mL、1.71ミリモル、1.2 当量)で処理し、25℃に温め
、更に30分間攪拌した。次いでその反応混合物を飽和NH4Cl水溶液で処理し、EtO
Ac(100mL)とH2O(100mL)の間で分配した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、減圧
で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、5cm x 15cm、0〜2%のEtOAc-ヘキサ
ン勾配溶離)にかけて無色の油(0.290g、理論量0.422g、68.7%)として10を得た
。1H NMR(CDCl3,250 MHz): δ5.34(m,2H,CH=CH),3.65(s,3H,CH3OC(O)),2
.29(t,2H,J=7.4 Hz,CH2C(O)OCH3),2.00(m,4H,CH2CH=CHCH2),1.61(m,2H
,CH2CH2C(O)OCH3),1.29(bs,20 H,アルキルプロトン),0.86(t,3H,RCH3)
シス−8,9−オクタデセン酸(11)
0℃のTHF-MeOH-H2O(3-1-1 比、4.1 mL、0.2M)中の10(0.245g、0.825 ミリ
モル、1.0 当量)の溶液をLiOH・H2O(0.104g、2.48ミリモル、3.0 当量)で処
理した。その反応混合物を25℃に温め、8時間攪拌し、次いでEtOAc(100mL)と
H2O(100mL)の間で分配した。有機層を10%のHCl H2O 溶液(100mL)及び飽和NaC
l水溶液(100mL)で連続して洗浄し、乾燥させ、減圧で濃縮した。クロマトグラフ
ィー(SiO2、5cm x 15cm、10〜30%のEtOAc-ヘキサン勾配溶離)にかけて無色の油
(0.156g、理論量0.233g、67.0%)として11を得た。1H NMR(CDCl3,250MHz): δ5
.34(m,2H,CH=CH),2.34(t,2H,J=7.4 Hz,CH2COOH),2.01(m,4H,CH2CH=CHC
H2),1.61(m,2H,CH2CH2COOH),1.47-1.23(m,20H,アルキルプロトン),0.87(
t,3H,RCH3)
18−ヘミスクシネート−シス−9,10−オクタデセノアミド(12)
CH2Cl2- CHCl3(3-1、1.60mL、0.1M)中の18(0.047g、0.160M、1.0 当量)の
溶液をEt3N(0.045 mL、0.320 ミリモル、2.0 当量)、無水コハク酸(0.033g、0
.320 ミリモル、2.0 当量)及びDMAP(0.002g、0.016 ミリモル、0.1 当量)で連
続して処理し、その反応混合物を25℃で10時間攪拌した。次いでその反応混合物
をCH2Cl2(50 mL)とH2O(50 mL)の間で分配し、その有機層を10%のHCl 水溶液(
50 mL)及び飽和NaCl水溶液(50 mL)で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減
圧で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、3cmx15cm、0〜10%のMeOH-EtOAc)に
かけて白色の固体(0.051g、理論量0.063、80.3%)として12を得た。1
H NMR(CDCl3,250 MHz): δ6.95(bs,1H,H2NC(O)),5.72(b s,1H,H2NC(O))
,5.34(m,2H,CH=CH),4.08(t,3H,J=6.6 Hz,CH2OC(O)R),2.61(m,4H,ROC(
O)CH2CH2COOH),2.21(t,2H,J=7.5 Hz,CH2C(O)NH2),2.00(m,4H,CH2CH=CHCH2
),1.70-1.52(m,4H,CH2CH2C(O)NH2及びCH2CH2OH),1.29(b s,18H,アルキル
プロトン); FABHRMS(NBA)m/e 398.2893(C22H39NO5+ H+は398.2906を要する)
。
メチル−9−ブロモ−ノナノエート(13)
0℃のCH2Cl2(30 mL、0.2M)中のメチル−9−ヒドロキシ−ノナノエート(1.1g
、5.85ミリモル、1.0 当量)の溶液をCBr4(2.5g、7.54ミリモル、1.3 当量)及びP
Ph3(2.15g、8.19ミリモル、1.4 当量)で連続して処理し、その反応混合物を4℃
で10時間攪拌した。次いでその反応混合物を減圧で濃縮し、Et2O(8 x 10mLで洗
浄)で繰り返して洗浄した。Et2O洗浄液を合わせ、減圧で濃縮した。クロマトグ
ラフィー(SiO2、5cm x 15cm、ヘキサン)にかけて透明な無色の油(1.02g、理論量
1.47g、69.5%)として13を得た。1H NMR(CDCl3,250 MHz): δ3.64(s,3H,C(O)
OCH3),3.38(t,2H,J=6.8 Hz,CH2Br),2.29(t,2H,J=7.4 Hz,CH2C(O)OCH3)
,1.83(p,2H,CH2CH2Br),1.63(m,2H,CH2CH2C(O)OCH3)1.47-1.28(m,8H,
アルキルプロトン)。
メチル−9−トリフェニルホスホラニル−ノナノエート−ブロミド(14)
CH3CN(3.5mL、1.16M)中の13(1.02g、4.06ミリモル、1.0 当量)の溶液をトリ
フェニルホスフィン(1.17g、4.47ミリモル、1.1 当量)で処理し、還流下で10時
間攪拌した。追加のトリフェニルホスフィン(0.532g、2.03ミリモル、0.5 当量)
を反応混合物に添加し、攪拌を還流下で5時間続けた。その反応混合物を減圧で
濃縮し、Et2O(5 x 10mLで洗浄)で繰り返して洗浄した。次いで残っている残渣
を最小容積のCH2Cl2に溶解し、減圧で濃縮して無色のフォーム(1.90g、理論量2.
08g、91.3%)として14を得た。1H NMR(CDCl3,250 MHz): δ7.82-7.51(m,15H,
ArH),3.70-3.46(m,5H,CH3OC(O)R及びCH2PPh3),2.13(t,2H,J=7.4Hz,CH2C(
O)OCH3),1.62-1.02(m,12H,アルキルプロトン); FABHRMS(NBA)m/e433.2312
(C28H34BrO2P -Br - は433.2296を要する)。
メチル−18−t−ブチルジフェニルシリルオキシ−シス−9,10オクタデセノ
エート(15)
25℃のTHF(6.5mL、0.3M)中の14(1.0g、1.95ミリモル、1.0 当量)の溶液を
KHMDS(3.9mL、THF 中0.5Mの溶液、1.95ミリモル、1.0 当量)で処理し、その反
応混合物を還流下で1時間攪拌した。次いでその反応混合物を-78 ℃に冷却し、
3(0.93g、2.35ミリモル、1.2 当量)で処理し、25℃に温め、更に30分間攪拌し
た。次いでその反応混合物を飽和NH4Cl 水溶液で処理し、EtOAc(100mL)とH2O(
100mL)の間で分配した。有機層を乾燥させ(Na2SO4)、減圧で濃縮した。クロマ
トグラフィー(SiO2、5cm x 15cm、0〜2%のEtOAc-ヘキサン勾配溶離)にかけて
無色の油(0.82g、理論量1.07g、76.3%)として15を得た。1
H NMR(CDCl3,250 MHz): δ7.67(m,4H,ArH),7.41(m,6H,ArH),5.34(m,2H
,CH=CH),3.65(m,5H,CH3OC(O)及びCH2OTBDPS),2.29(t,2H,J=7.4 Hz,CH2C
(O)OCH3),2.00(m,4H,CH2CH=CHCH2),1.55(m,4H,CH2CH2C(O)OCH3及びCH2CH2
OTBDPS),1.29(b s,18H,アルキルプロトン)、1.04(s,9H,(CH3)3C)
18−T−ブチルジフェニルシリルオキシ−シス−9,10−オクタデセン酸(16)
0℃のTHF-MeOH-H2O(3-1-1 比、7.3 mL、0.2 M)中の5(0.81g、1.47ミリモル
、
1.0 当量)の溶液をLiOH・H2O(0.188g、4.48ミリモル、3.0 当量)で処理した
。その反応混合物を25℃に温め、8時間にわたって攪拌し、次いでEtOAc(100mL
)とH2O(100mL)の間で分配した。有機層を10%のHCl 水溶液(100mL)及び飽和N
aCl水溶液(100mL)で連続して洗浄し、乾燥させ、減圧で濃縮した。クロマトグラ
フィー(SiO2、5cm x 15cm、10〜30%のEtOAc-ヘキサン勾配溶離)にかけて無色の
油(0.700g、理論量0.790g、88.7%)として16を得た。1H NMR(CDCl3,250MHz):
δ7.67(m,4H,ArH),7.41(m,6H,ArH),5.34(m,2H,CH=CH),3.65(t,3H,J=
6.5 Hz,CH2OTBDPS),2.34(t,2H,J=7.4 Hz,CH2COOH),2.00(m,4H,CH2CH=CH
CH2),1.65-1.50(m,4H,CH2CH2COOH及びCH2CH2OTBDPS),1.47-1.23(m,18H,ア
ルキルプロトン),1.05(s,9H,(CH3)3C); FABHRMS(NBA/CsI)m/e 669.2772(C34
H52O3Si + Cs + は669.2740を要する)。
18−T−ブチルジフェニルシリルオキシ−シス−9,10−オクタデセノアミド
(17)
0℃のCH2Cl2(4.3mL、0.3 M)中の16(0.685g、1.28ミリモル、1.0 当量)の溶
液を塩化オキサリル(1.92 mL、CH2Cl2中2Mの溶液、3.84ミリモル、3.0 当量)で
滴下して処理した。その反応混合物を25℃で4時間攪拌し、減圧で濃縮し、0℃
に冷却し、飽和NH4OH 水溶液(2.0mL)で処理した。次いでその反応混合物をEtOAc
(100mL)とH2O(100mL)の間で分配し、有機層を乾燥させ(Na2SO4)、減圧で濃
縮した。クロマトグラフィー(SiO2、5cm x 15cm、40〜100 %のEtOAc-ヘキサン
勾配溶離)にかけて無色の油(0.520g、理論量0.684g、76.0%)として17を得た。1
H NMR(CDCl3,250 MHz): δ7.67(m,4H,ArH),7.41(m,6H,ArH),5.70-5.34(m
,4H,H2NC(O)及びCH=CH),3.65(t,3H,J=6.5 Hz,CH2OTBDPS),2.21(t,2H,J
=7.5 Hz,CH2C(O)NH2),2.00(m,4H,CH2CH=CHCH2),1.65-1.50(m,4H,CH2CH2C
(O)NH2及びCH2CH2OTBDPS),1.47-1.23(m,18H,アルキルプロトン),1.05(s,9H
,(CH3)3C); FABHRMS(NBA/CsI m/e 668.2929(C34H53O2NSi + Cs+は668.2900を
要する)。
18−ヒドロキシ−シス−9,10−オクタデセノアミド(18)
THF(1.1mL、0.31M)中の17(0.185g、0.345 ミリモル、1.0 当量)の溶液をテ
トラブチルアンモニウムフルオリド(0.69 mL、THF 中1.0Mの溶液、2.0 当量)で
処理し、その反応混合物を25℃で2時間攪拌した。次いでその反応混合物をEtOA
c(50 mL)とH2O(50 mL)の間で分配し、有機層を乾燥させ(Na2SO4)、減圧で濃
縮した。クロマトグラフィー(SiO2、3cm x 15cm、0〜5%のMeOH-EtOAc勾配溶
離)にかけて白色の固体(0.097g、理論量0.103g、94.6%)として18を得た。1H NM
R(CDCl3,250 MHz): δ5.65-5.34(m,4H,H2NC(O)及びCH=CH),3.62(t,3H,J=6
.5 Hz,CH2OH),2.21(t,2H,J=7.5 Hz,CH2C(O)NH2),2.00(m,4H,CH2CH=CHCH2
),1.65-1.50(m,4H,CH2CH2C(O)NH2及びCH2CH2OH),1.29(b s,18H,アルキル
プロトン); FABHRMS(NBA)298.2732(C18H35NO2 + H+は298.2746を要する)。
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