JPH1045581A - 好中球機能低下抑制剤又は感染防御剤 - Google Patents

好中球機能低下抑制剤又は感染防御剤

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JPH1045581A
JPH1045581A JP23123896A JP23123896A JPH1045581A JP H1045581 A JPH1045581 A JP H1045581A JP 23123896 A JP23123896 A JP 23123896A JP 23123896 A JP23123896 A JP 23123896A JP H1045581 A JPH1045581 A JP H1045581A
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cysteine
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infection
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JP23123896A
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Toru Nibu
徹 丹生
Shigeru Abe
茂 安部
Hideyo Yamaguchi
英世 山口
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 L−システイン又はその塩を含有すること
を特徴とする好中球機能低下抑制剤又は感染防御剤。 【効果】 カテーテル感染又は高血糖患者等における
感染を効果的に防御する成分を高濃度に含有する好中球
機能低下抑制剤又は感染防御剤を提供することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、中心静脈栄養療法にお
ける高カロリー輸液施行時のカテーテル感染、高血糖時
における感染等、好中球機能低下によっておこる感染に
対する防御剤又は改善剤を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】中心静脈栄養療法におけるカテーテルの
留置は、カテーテル留置局所からの病原体(通常は病原
性のない又はきわめて低いとされている常在微生物が病
原性を発揮する場合も含めて)の侵入を容易にして、い
わゆるカテーテル感染を引き起こすことが多い。従っ
て、カテーテル感染に対する予防法は、カテーテル留置
局所の消毒による清浄はもちろん、早期に頻繁にカテー
テルを交換することである。
【0003】このような医療措置が施されているにも拘
わらず、カテーテル感染による菌血症あるいは敗血症は
多く、やむなく感染菌に対する抗生剤その他の薬剤を用
いた化学療法の採用を余儀なくされる症例やカテーテル
を抜去せざるを得ない症例が数多く経験されている。
【0004】一方、高血糖患者における易感染の防御又
は改善は、薬剤による血糖値の低下及び抗菌剤の使用等
によって図られている。
【0005】近年、中心静脈カテーテルの挿入手技の容
易化に伴う頻回の使用や長期間の留置、そして一方では
高濃度のグルコースを含む輸液の採用が増えるにつれ
て、カテーテル感染が著しく増加している。特に抗細菌
製剤の多用あるいは乱用によって、深在性真菌症が増加
しつつある。又、これらの多くの感染菌は、菌自体がバ
イオフィルムを形成することによって、投与される抗菌
剤に抵抗し、カテーテル先端に形成された感染巣が全身
性感染の原因になっていることが多い。
【0006】好中球のもつ感染防御機能は、その機能発
揮の場にグルコースが高濃度に存在すると低下する。従
って、高濃度グルコース(10〜30%)を含有する高
カロリー輸液を用いた輸液療法においては、生体の好中
球機能が抑制を受けていると考えられる。しかし、この
ことに対しての具体的対策は何も行われていない。
【0007】又、糖尿病等の血糖コントロール不良の高
血糖患者は、易感染状態で抗菌剤投与の効果が低く、長
期投与を必要とする場合がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】現在、医療に使用され
ている高カロリー輸液の中にはグルコースを高濃度に含
有するものが多い。本発明者らは、高濃度のグルコース
が存在すると好中球の感染防御機能が低下することを、
カンジダの増殖を抑制する活性を指標として試験管内実
験で確認した。
【0009】本発明者らは、高カロリー輸液に含有され
る又は含有されるべき種々のアミノ酸成分について、高
濃度グルコース存在下での好中球の感染防御機能低下の
抑制あるいは回復に及ぼす効果を検討し、L−システイ
ン及びその塩が該効果を有することを実験的に見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0010】本発明の目的は、従来の高カロリー輸液療
法等におけるカテーテル感染を効果的に防御する成分を
高濃度に含有する高カロリー輸液用アミノ酸液、又は、
高血糖患者等における好中球機能低下抑制及び機能回復
に基づく感染防御剤を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明剤は、L−システ
イン及びその塩を高濃度に含有することを特徴とする輸
液又は高カロリー輸液用剤、あるいは高血糖患者等にお
ける好中球の感染防御機能の維持又は回復剤として提供
されるものである。
【0012】本発明剤の形態としては、L−システイン
又はその塩の濃度を高めた輸液、又は、高カロリー輸液
用剤として提供でき、L−システイン又はその塩の濃度
は任意に定めることができるが、好ましくは2〜4mg
/mlである。
【0013】又更に、経口剤として、例えば錠剤、顆粒
剤、カプセル、散剤、液剤等の形態をとることができ、
非経口剤としては、懸濁剤、乳剤、液剤、アンプル及び
注射液等の形態をとることができる。
【0014】本発明剤が輸液として用いられる場合に、
アミノ酸成分としてL−システイン以外の種々のアミノ
酸を含有することも可能である。
【0015】これらの用量は有効成分として大人1人当
たり0.8〜3.2g/日であるが、本発明剤の有効成
分であるL−システイン又はその塩及びL−シスチン
は、食用に供することのできる又は天然の多くの蛋白質
に含有されるアミノ酸の1種であり、本発明の用量内で
は毒性は全く認められない。なお、L−システインは血
中で容易に酸化されてL−シスチンに変化するので、L
−シスチンはL−システインと同様の作用をもつ。
【0016】L−システインは臨床で既に使用されてい
る高カロリー輸液中にアミノ酸の1種として含有されて
いるが、その使用時のL−システイン濃度は0.18〜
0.36mg/mlである。本発明剤は、高濃度グルコ
ースの存在下での好中球感染防御機能の低下をL−シス
テインの使用によって抑制又は機能回復することができ
ることを、本発明者がはじめて明らかにしたことに基づ
き、臨床で使用される高カロー輸液に含有されるL−シ
ステイン濃度を高めることによって、好中球の該機能の
著しい改善が可能になったことにその特徴がある。
【0017】
【実施例】以下本発明を実施例によって詳細に説明する
が、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるも
のではない。
【0018】実施例1 ヒト末梢血から分離した好中球を最終濃度1x10
/mlになるように2.5%ウシ胎児血清加RPMI
1640液体培地に懸濁して好中球懸濁液を調製した。
次に、このそれぞれの懸濁液50μlに、カンジダ・ア
ルビカンス(Candida albicans TI
MM1768)1x10個/ml懸濁液50μlを添
加した。この混合懸濁液を5%C0下、37℃で14
時間放置後、好中球を除いたカンジダ菌体を0.02%
クリスタルバイオレットで染色、590nmと620n
mでの吸光度の差を測定した。好中球単独の抗カンジダ
活性Aは、次式すなわち、カンジダ発育率=好中球−カ
ンジダ混合懸濁液での吸光度/好中球を含まないカンジ
ダ懸濁液での吸光度X100(%) を指標とした。
又、被検物質(L−システイン等)を添加した場合の好
中球の抗カンジダ活性Bは、次式すなわち、カンジダ発
育率=好中球−カンジダ混合懸濁液に被検物質を添加し
た場合の吸光度/好中球−カンジダ混合液に被検物質を
添加しない場合の吸光度X100(%) を指標とし
た。
【0019】好中球−カンジダ混合懸濁液にグルコース
を添加し、その濃度を10倍(2%)に上昇させて同様
に操作したときの好中球の抗カンジダ活性Aは表1に示
すとおりであった。すなわち、グルコース濃度の上昇に
よって著しいカンジダ発育率の上昇(好中球の抗カンジ
ダ活性の著しい低下)が認められた。
【0020】
【0021】実施例2 実施例1で調製した好中球−カンジダ混合懸濁液にグル
コースを添加し、その濃度を10倍(2%)にした。こ
れにL−システイン溶液を添加して、その終濃度を0、
30、60、120μg/mlに調整後、実施例1と同
様に操作して好中球の抗カンジダ活性Bを測定した。そ
の結果を表2に示した。すなわち、添加したL−システ
インの濃度に依存した著しいカンジダ発育率の減少(好
中球の抗カンジダ活性Bの著しい上昇)が認められた。
【0022】
【0023】実施例3 実施例1で調製した好中球−カンジダ混合懸濁液にグル
コースを添加し、その濃度を10倍(2%)にした。次
いで、L−システイン及びL−シスチン以外の各アミノ
酸、すなわち、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−
リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−
スレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−ア
ラニン、L−アスパラギン酸、L−アルギニン、L−ヒ
スチジン、L−プロリン、L−セリン、L−チロシン、
L−グルタミン酸、アミノ酢酸のそれぞれについて、実
施例2と同様の操作を行った。
【0024】その結果、これらのアミノ酸には、実施例
2でL−システインに見られた抗カンジダ活性は確認さ
れなかった。すなわち、好中球の抗カンジダ活性低下を
抑制する働きをもつアミノ酸はL−システインに限られ
た。
【0025】実施例4 現在、臨床で使用されている高カロリー輸液用アミノ酸
液と同等の輸液用アミノ酸液(各種アミノ酸を含有し、
グルコースを含有しない。L−システイン含有量は1m
g/ml)、及びL−システインの濃度を2mg/ml
に高めた輸液用アミノ酸液を調製した。
【0026】実施例1で調製した好中球−カンジダ混合
懸濁液にグルコースを添加し、その濃度を10倍(2
%)にした。これに、L−システイン濃度を高めたアミ
ノ酸混合液を添加して実施例2と同様の操作を行い、好
中球の抗カンジダ活性Bを測定した。その結果を表3に
示した。すなわち、L−システイン濃度に依存した著し
いカンジダ発育率の減少(好中球の抗カンジダ活性Bの
著しい上昇)が認められた。
【0027】
【0028】実施例5 グルコース15%(w/w)、電解質(Na、K
Mg2+、Ca2+、Cl、SO 2−、Zn2+
酢酸塩、グルコン酸塩)5〜50mEqを含む溶液Iを
調製し、これが無菌的であることを確認した。
【0029】次に、L−システイン5mg/ml、その
他のアミノ酸(L−イソロイシン、L−ロイシン、L−
リジン、L−メチオニン、L−フェニルアラニン、L−
スレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−ア
ラニン、L−アスパラギン酸、L−アルギニン、L−ヒ
スチジン、L−プロリン、L−セリン、L−チロシン、
L−グルタミン酸、アミノ酢酸)を0.35〜12mg
/ml濃度範囲内で適宜含む溶液IIを調製し、これが
無菌的であることを確認した。
【0030】溶液Iと溶液II無菌的に混合して高カロ
リー輸液を調製した。
【0031】実施例6 L−システインを精製水に溶解し(濃度20〜200m
g/ml)、高濃度のL−システイン溶液を調製した。
この溶液を高カロリー輸液等に添加してL−システイン
の含有量を高めることができる。
【0032】
【発明の効果】カテーテル感染又は高血糖患者等におけ
る感染を効果的に防御する成分を高濃度に含有する好中
球機能低下抑制剤又は感染防御剤を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安部 茂 東京都板橋区加賀2−11−1 帝京大学医 学部細菌学講座 (72)発明者 山口 英世 東京都板橋区加賀2−11−1 帝京大学医 学部細菌学講座

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−システイン又はその塩を含有するこ
    とを特徴とする好中球機能低下抑制剤又は感染防御剤。
  2. 【請求項2】 L−システイン又はその塩が高濃度であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の好中球機能低下抑
    制剤又は感染防御剤。
  3. 【請求項3】 L−システイン又はその塩を高濃度(2
    〜10mg/ml)に含有することを特徴とする輸液又
    は輸液用剤。
  4. 【請求項4】 輸液が高カロリー輸液である請求項3に
    記載の輸液又は輸液用剤。
JP23123896A 1996-07-29 1996-07-29 好中球機能低下抑制剤又は感染防御剤 Pending JPH1045581A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003520207A (ja) * 1999-12-10 2003-07-02 ケムゲン コーポレーション 酵素による感染治療

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003520207A (ja) * 1999-12-10 2003-07-02 ケムゲン コーポレーション 酵素による感染治療
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