JPH10320551A - 人物照合装置 - Google Patents

人物照合装置

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JPH10320551A
JPH10320551A JP12591597A JP12591597A JPH10320551A JP H10320551 A JPH10320551 A JP H10320551A JP 12591597 A JP12591597 A JP 12591597A JP 12591597 A JP12591597 A JP 12591597A JP H10320551 A JPH10320551 A JP H10320551A
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JP
Japan
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image
person
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arithmetic processing
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JP12591597A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tanaka
博 田中
Naohisa Kosaka
直久 向坂
Haruyoshi Toyoda
晴義 豊田
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Hamamatsu Photonics KK
Original Assignee
Hamamatsu Photonics KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回転・歪み等がある場合にも認識率が高いう
え、短時間で人物を登録できる人物照合装置を提供す
る。 【解決手段】 本発明の人物照合装置は、人物の登録時
にこの者の身体の所定部位のパターンを撮像して参照用
の画像を取得するとともに、人物の照合時に照合対象者
の所定部位のパターンを撮像して照合用の画像を取得す
る撮像部(50)と、参照用画像と照合用画像との間の
類似度を求め、この類似度に基づいて照合対象者が登録
されている人物であるか否かを判定する演算処理部(6
0)と、を備えている。演算処理部は、各参照用画像お
よび照合用画像を電子的にフーリエ変換するとともに、
各参照用画像のフーリエ変換結果を電子的に重ね合わ
せ、この重ね合わせの結果と照合用画像のフーリエ変換
結果とを電子的に乗算した後、この乗算結果を電子的に
逆フーリエ変換することにより上記類似度を求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、身体の所定部位の
パターン認識に基づいて個人を識別する人物照合装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、重要区域への入退出管理や重要設
備の不正操作防止のため、個人識別の必要性が増大して
いる。個人識別のための人物照合装置としては、個人固
有の特徴を識別用パターンとして予め登録しておき、照
合時に再度識別用パターンを取得して、登録しておいた
パターンと照合することにより本人であるか否かを判定
するものが従来から知られている。識別用パターンの照
合は、画像相関演算により求めた類似度から相関ピーク
の最大値を検出することで行うことができる。
【0003】しかしながら、画像相関演算によるパター
ン照合においては、識別感度が高いため、照合画像取り
込み時に歪み・回転などが加わると、人物の認識率が低
下してしまう問題点が生じる。そこで、あらかじめ複数
の参照画像(フィルタ)を登録しておくことにより、歪
み・回転などに対する許容性を大きくすることが行われ
ている。
【0004】しかし、複数のフィルタのそれぞれに対し
て相関演算を行っていたのでは、処理時間の点で問題が
生じる。この点から、複数のフィルタを多重化して登録
しておく方法が考案されている。フィルタの多重化方法
としては、例えば、所定の候補画像を予め取得したパタ
ーン全てとの相関演算を繰り返すことにより最適化し、
複数のパターンの全てと照合可能なようにして、これを
参照フィルタとして登録しておく方法がある。また、光
学式相関演算を用いる方法としては、例えば、フーリエ
変換ホログラム作成時に多重露光することにより多重化
を実現する方法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最適化
フィルタを作成する方法では、相関演算を何度も繰り返
す必要があるため、最適化の演算に非常に時間が掛か
り、結果として登録処理にも非常に時間が掛かるという
欠点がある。また、光学式相関演算を用いて多重露光に
よりフィルタを多重化する方法では、多重露光のための
光学系を精密に設計することが困難なため、正確な多重
化が難しく、精度の高い人物照合が困難であるという問
題がある。この問題の解決方法として、参照光と物体光
の角度を変化させながら記録する角度多重方法や、光の
波長を変化させながら記録する波長多重などの方法も考
案されているが、光学式相関演算のための光学系に加え
て角度可変機構や波長可変機構が必要になるため、装置
が大型化するなど問題点が多い。
【0006】本発明は、上記の問題点に鑑みなされたも
ので、回転・歪み等がある場合にも人物の認識率が高い
うえ、人物の登録を短時間で行うことのできる人物照合
装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明の人物照合装置は、(a)人物の登録時に
この者の身体の所定部位のパターンを複数回撮像して参
照用の画像を複数取得するとともに、人物の照合時に照
合対象者の前記所定部位のパターンを撮像して照合用の
画像を取得する撮像部と、(b)参照用画像と照合用画
像との間の類似度を求め、この類似度に基づいて照合対
象者が登録されている人物であるか否かを判定する演算
処理部と、を備えており、この演算処理部は、各参照用
画像および照合用画像を電子的にフーリエ変換するとと
もに、各参照用画像のフーリエ変換結果を電子的に重ね
合わせ、この重ね合わせの結果と照合用画像のフーリエ
変換結果とを電子的に乗算した後、この乗算結果を電子
的に逆フーリエ変換することにより上記類似度を求める
ことを特徴としている。
【0008】ここで、「この重ね合わせの結果と照合用
画像のフーリエ変換結果とを電子的に乗算」とは、上記
の重ね合わせの結果の位相共役に照合用画像のフーリエ
変換結果を電子的に乗算する場合や、上記の重ね合わせ
の結果に照合用画像のフーリエ変換結果の位相共役を電
子的に乗算する場合の他、上記の重ね合わせの結果に照
合用画像のフーリエ変換結果をそのまま電子的に乗算す
る場合も含まれる。
【0009】本発明の人物照合装置では、複数の参照用
画像を電子的にフーリエ変換してから重ね合わせること
により各参照用画像を多重化した参照フィルタを作成
し、この多重化参照フィルタに基づいて電子的に相関演
算を行う。本発明の人物照合装置では、多重化に際して
重ね合わせを行うだけで良く、従来の最適化による多重
化のように相関演算を何度も行う必要がないことから、
人物登録のための演算時間が非常に短くてすむ。また、
相関演算を電子的に行うことから、環境変化(温度変化
など)による特性変化が生じにくく、従って、装置の周
囲の環境が変化した場合でも、高精度の人物照合を維持
することができる。また、量産の容易な電子デバイスを
用いて演算を実行するので、装置全体としても量産性に
優れている。さらに、光学的に相関演算を行う場合のよ
うに相関演算用の光学系を必要としないので、装置の小
型化も容易である。
【0010】本発明の人物照合装置において、上記の演
算処理部は、各参照用画像のフーリエ変換結果を電子的
に加算することにより重ね合わせを行うものであっても
良い。
【0011】また、上記の演算処理部は、各参照用画像
のフーリエ変換結果を電子的に平均化することにより重
ね合わせを行うものであっても良い。
【0012】また、上記の演算処理部は、各参照用画像
のフーリエ変換結果を所定の基準値から電子的に減算す
ることにより重ね合わせを行うものであっても良い。
【0013】また、上記の演算処理部は、各参照用画像
のフーリエ変換結果を電子的に2乗平均化することによ
り重ね合わせを行うものであっても良い。
【0014】また、上記の演算処理部は、各参照用画像
のフーリエ変換結果を複数の部分領域に相等しく分割
し、各参照用画像のフーリエ変換結果の振幅を各部分領
域ごとに比較して最も大きな振幅を有する参照用画像を
各部分領域ごとに選択し、各部分領域ごとに選択された
参照用画像の当該部分領域を集めて画像を再構成するこ
とにより重ね合わせを行うものであっても良い。
【0015】上記の演算処理部は、各参照用画像のフー
リエ変換結果の振幅項を規格化してから上記の重ね合わ
せを行い、照合用画像のフーリエ変換結果の振幅項を規
格化してから上記の乗算を行うものであっても良い。こ
の場合、取得する画像ごとの強度等の相違に依存せずに
一定条件で本人であるか否かを判定することができるの
で、安定した人物照合が可能である。また、振幅項を規
格化することで画像の強度情報を捨ててしまうため、取
得した画像情報を再現することは極めて困難となり、照
合対象者のプライバシーを保護することができる。
【0016】上記の演算処理部は、各参照用画像のフー
リエ変換結果のパワースペクトラムの総和を規格化して
から上記の重ね合わせを行い、照合用画像のフーリエ変
換結果のパワースペクトラムの総和を規格化してから上
記の乗算を行うものであっても良い。この場合、取得す
る画像ごとの強度等の相違に依存せずに一定条件で本人
であるか否かを判定することができるので、安定した人
物照合が可能である。
【0017】また、上記の演算処理部は、上記の重ね合
わせの後、重ね合わせの結果の振幅項を規格化し、照合
用画像のフーリエ変換結果の振幅を規格化してから上記
の乗算を行うものであっても良い。
【0018】また、上記の演算処理部は、上記の重ね合
わせの後、この重ね合わせの結果のパワースペクトラム
の総和を規格化し、照合用画像のフーリエ変換結果のパ
ワースペクトラムの総和を規格化してから上記の乗算を
行うものであっても良い。
【0019】更に、上記の演算処理部は、各参照用画像
を互いに異なった方向又は量だけ平行移動させてから上
記のフーリエ変換を行うものであっても良い。また、上
記の演算処理部は、各参照用画像のフーリエ変換結果を
互いに異なった方向又は量だけ平行移動させてから上記
の重ね合わせを行うものであっても良い。これらの場
合、各参照用画像に基づく相関ピークが分離される結
果、人物の認識率が高まることになる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明に
おいて同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明
を省略する。
【0021】本実施形態の人物照合装置は、個人の固有
情報として指紋を利用するものであり、照合すべき人物
の指紋を予め登録しておき、照合時に照合対象者から取
得した指紋画像を登録しておいた指紋と照合することで
照合対象者が登録された人物であるか否かを判定する。
【0022】図1は、本実施形態の人物照合装置100
の構成を示す図である。本装置は、LED(発光ダイオ
ード)2a及び2b、ファイバ光学プレート(以下、
「FOP」と略す。)3、並びにCCDカメラ4からな
る撮像部50と、フレームメモリ5、CPU8、RAM
(ランダム・アクセス・メモリ)9、及びHD(ハード
ディスク)10からなる演算処理部60とを備えてお
り、これらに加えて、照合結果を表示する表示部6と、
本装置100を操作するための各種のスイッチが集合し
たスイッチ群7とを備えている。
【0023】まず、撮像部50の構成について説明す
る。LED2a及び2bは、照合対象者の指紋を撮像す
る時に照明の役割を果たす発光素子である。FOP3
は、多数の光ファイバを束ねて一体化した光学像伝達手
段である。FOP3の一方の端面(以下、「入力端面」
と呼ぶ。)には、照合対象者の指が置かれるようになっ
ており、他方の端面(以下、「出力端面」と呼ぶ。)
は、CCDカメラ4の受光面に当接されている。CCD
カメラ4は、FOP3により伝達される照合対象者の指
紋像を撮像するための二次元撮像素子である。
【0024】次に、演算処理部60の構成について説明
する。フレームメモリ5は、CCDカメラ4に接続され
た画像記憶手段であり、CCDカメラ4の出力画像をデ
ィジタル化して記憶する。CPU8は、フレームメモリ
5に記憶された画像に基づいてFFT(高速フーリエ変
換)等の演算を行い、予め登録しておいた参照用画像と
人物照合時に取得した照合用画像との間の類似度を求
め、この類似度に基づいて本人であるか否かを判定す
る。また、このほかにも、スイッチ群7の操作に応じた
LED2a及び2bの発光や、表示部6への照合結果の
表示などを制御する。CPU8が行うFFT演算は演算
量が膨大であるため、CPU8としては、DSP(ディ
ジタル・シグナル・プロセッサ)等の演算能力の高い素
子を内蔵するものを用いると良い。RAM9及びHD1
0は、照合対象者の指紋画像に基づいて作成した参照用
画像(マッチドフィルタ)や暗証番号(ID番号)を記
録するためのものである。
【0025】図2は、人物照合装置100による人物照
合処理の流れを示す図である。以下では、この図を参照
しながら、本装置の動作と人物照合手順について説明す
る。
【0026】本装置により人物を照合するためには、予
め照合の対象となるべき人物の指紋を登録しておく必要
がある(図2の登録処理20)。指紋を登録するには、
スイッチ群7を操作してID番号を指定した上で「登録
処理」を選択し、指をFOP3の入力端面上に置く。そ
の後、スイッチ群7を操作して「取り込み開始」を選択
すると、LED2が点灯し、指紋の画像がFOP3の出
力端面上に形成される。この指紋画像は、CCDカメラ
4により撮像される。こうして撮像された指紋画像(照
合時に撮像される指紋画像と区別するため、「参照指紋
画像」と呼ぶ。)は、フレームメモリ5によってディジ
タル化されて取り込まれる。以上の動作を複数回、例え
ば4回繰り返して、登録する人物の同一指について4つ
の参照指紋画像A、B、C及びDをフレームメモリ5に
取り込む(図2のステップ21)。
【0027】本装置において複数の参照指紋画像を入力
するのは、指紋照合の許容性を高めるためである。各参
照指紋画像の入力する際の指の置き方には種々のものが
考えられるが、普通は、人物照合時において本人が指紋
を入力する際にすると思われる一般的な置き方を4通り
実行すれば良い。
【0028】CPU8は、フレームメモリ5に取り込ま
れた4つの参照指紋画像A、B、C及びDのそれぞれに
対して高速フーリエ変換(FFT)を行う(ステップ2
2)。ここで、各フーリエ変換結果を「REF」の右下に
各参照指紋画像を示すA、B、C、Dの添字を付してRE
FA,REFB,REFC,REFDのように表すと、これらは、 REFA=XA+YA・j,REFB=XB+YB・j REFC=XC+YC・j,REFD=XD+YD・j というように複素表示で表すことができる。なお、上記
において大文字のX,Yは、参照指紋画像のフーリエ変
換結果の実部、虚部であり、参照指紋画像が二次元画像
であることに対応してマトリックスとなっている。すな
わち、参照指紋画像のサイズがN×Nの場合、大文字の
X、YはN行N列のマトリックスを表すことになり、こ
れに応じてフーリエ変換結果REFもN行N列のマトリッ
クスとなる。この場合、マトリックスREFのn行m列要
素を[REF]nm、X、Yのn行m列要素をそれぞれ
[X]nm、[Y]nmのように表すと、[REF]nm=[X]nm
[Y]nm・jである。この表記法は、以降でも必要に応じ
て用いることにする。
【0029】上記の高速フーリエ変換の後、CPU8
は、各フーリエ変換結果の振幅項を1に規格化して位相
項のみを取り出す。以下では、この振幅項の規格化処理
を「位相オンリー化」と呼ぶことにする。参照指紋画像
REF=X+Y・jを位相オンリー化して得られる指紋画像
をREFpo(ここで、添字のPOは位相オンリー(Phase Onl
y)を表す)と表すと、
【0030】
【数1】 である。上記の位相オンリー化が、図2の規格化処理
(ステップ23)である。
【0031】続いて、CPU8は、上記のようにして規
格化した参照指紋画像REFpoA,REFpoB,REFpoC,REFpoD
を全て加算してから、位相共役化する。これにより、各
参照指紋画像を重ね合わせて多重化した参照フィルタが
作成される(ステップ24)。以上の演算処理は、 Multi=REFpoA+REFpoB+REFpoC+REFpoD =(XA′+YA′・j)+(XB′+YB′・j) +(XC′+YC′・j)+(XD′+YD′・j) =(XA′+XB′+XC′+XD′)+(YA′+YB′+
C′+YD′)・j =XM+YM・j Multi*=XM−YM・j のように表される。上記のMultiは、規格化された参照
指紋画像REFpoA,REFpoB,REFpoC,REFpoDの加算結果で
ある。また、上記Multi*は、Multiの位相共役であり、
これが本装置で用いられる参照フィルタである。CPU
8は、この参照フィルタをID番号と共にRAM9及び
HD10に保存する次に、本装置による人物照合処理に
ついて説明する。人物照合時に照合対象者は、スイッチ
群7を操作してID番号を指定した上で「照合処理」を
選択し、照合する指(上記の手順により指紋を登録して
ある指)をFOP3の入力端面上に置く。この間、制御
CPU8は、指定されたID番号に対応した参照フィル
タをRAM9あるいはHD10から読み出す。この後、
スイッチ群7を操作して「取り込み開始」を選択する
と、LED2が点灯し、CCDカメラ4によって照合用
の指紋が撮像される。こうして撮像された照合指紋画像
は、フレームメモリ5によってディジタル化されて取り
込まれる(ステップ25)。なお、照合時の指紋の入力
は、参照指紋の登録の場合と異なり1回でよい。
【0032】この後、登録処理の時と同様に、フレーム
メモリ5に取り込まれた照合指紋画像に対してCPU8
が高速フーリエ変換(FFT)を実行する(ステップ2
6)。以下では、このフーリエ変換結果を、TAG=XT
T・jのように表す。
【0033】次に、CPU8は、このフーリエ変換結果
の振幅項を1に規格化して位相オンリー化する。照合指
紋画像のフーリエ変換結果TAGを位相オンリー化して得
られる指紋画像をTAGpoと表すと、
【0034】
【数2】 である。上記の位相オンリー化が、図2の規格化処理
(ステップ27)である。
【0035】次いで、CPU8は、規格化処理を施され
た照合指紋画像TAGpoと参照フィルタMulti*とを乗算す
る(ステップ28)。これは、 Multi*・TAGpo=(XM−YM・j)・(XT′+YT′・j) =(XM・XT′+YM・YT′)+(XM・YT′−XT′・Y
M)・j のように表される。
【0036】この後、CPU8は、この乗算結果に対し
て逆FFTを実行する(ステップ29)。この変換結果
が、参照指紋画像と照合指紋画像との間の相互相関であ
る。これは、参照指紋画像と照合指紋画像との類似度の
一種である。
【0037】CPU8は、上記のようにして求めた相互
相関から、参照指紋画像と照合指紋画像との間の相関ピ
ークの大きさを検出し、その大きさを所定のしきい値と
比較して参照指紋と照合指紋の一致・不一致を判断する
ことにより照合対象者が登録人物本人であるか否かの判
定を行う(ステップ30)。具体的に説明すると、CP
U8は、相互相関のパワースペクトラムを求めた後、相
関ピークの最大値cpを検出する。CPU8は、人物照合
のため、検出されたcpに対して次のような比較を行う。
但し、以下において、cp_crossは本人以外の相互相関
(他人同士の指紋間の相互相関)の相関ピークの最大値
を表す。このcp_crossは、予め実験により求めておく。
実験に際しては、本人以外の相互相関をなるべく多くの
画像について求めておく方が好ましい。また、マージン
を取ることを考えると、指紋の比較は安全率srを掛けて
行う方が良い。例えば、1割のマージンを取る場合は、
sr=1.1とすれば良い。この場合、照合指紋と参照指紋と
の一致・不一致は、次のように判断される。
【0038】 cp_cross×sr<cp … 指紋一致 cp_cross×sr≧cp … 指紋不一致 指紋が一致すると判断された場合は本人だと判定され、
指紋が不一致であると判断された場合は他人だと判定さ
れる。
【0039】CPU8は、上記のようにして本人である
か否かの判定を行った後、判定結果を表示部6に表示さ
せるとともに、判定結果に応じた照合信号12を外部に
出力する(ステップ31)。照合信号12は、人物照合
結果を利用する外部機器、例えば、重要区域の電磁ドア
ロックに送られ、照合対象者を登録人物本人であると判
定した場合にドアロックを開錠するなどといった動作を
行わせる。
【0040】本実施形態の装置では、参照指紋画像A,
B,C,Dを重ね合わせて多重化したフィルタを用いて
人物照合を行うので、回転・歪み等に対する許容性が向
上し、回転・歪み等がある場合にも人物を高い照合率で
照合することができる。また、複数の参照画像のフーリ
エ変換結果を重ね合わせるだけで多重化フィルタを作成
することができるので、従来の最適化による多重化に比
較して人物登録のための演算時間が非常に短くてすみ、
結果として迅速な登録処理が可能である。特に、本実施
形態の装置では、高速フーリエ変換を用いて演算を行っ
ているので、極めて短時間に人物を登録することができ
る。また、本実施形態の装置では、相関演算を電子的に
行っていることから、環境変化(温度変化など)による
影響が少なく、装置の周囲の環境が変化した場合でも、
高精度の人物照合を行うことができ、信頼性が高い。ま
た、本装置は量産の容易な電子デバイスを用いて演算を
実行するので、量産性に優れている。さらに、相関演算
用の光学系を必要としないので、装置の小型化も容易で
ある。
【0041】更に、本装置では、位相オンリー化により
全ての参照指紋画像及びのフーリエ変換結果の振幅が1
に規格化されているので、画像相関演算により最終的に
得られる相関ピークの最大値を画像強度に依存せずに一
定条件で比較できる。つまり、自己相関値が常に一定と
なる。上述のように本装置では照合指紋及び参照フィル
タ間の相互相関ピークの最大値と本人以外の相互相関ピ
ークの最大値とを比較することにより人物を照合する
が、位相オンリー化によりこの比較を常に一定条件で行
うことができるようになるので、安定した人物照合が可
能となっている。
【0042】また、人物照合装置において、登録される
参照フィルタの暗号化はプライバシーの保護の観点から
非常に重要であるが、本実施形態の人物照合装置が採用
する画像相関演算方式では、個人の識別パターンとして
指紋を用いた場合において、512×512程度の分解
点数で画像を取り込んだ場合に、その画像を128×1
28程度の分解点数に間引いても十分な照合能力が得ら
れる。このように分解点数を間引く場合には、フーリエ
変換を施さないで指紋画像そのものを登録した場合であ
っても、取り込まれた本来の画像情報は残らないことに
なり、特に、マニューシャ特徴などを用いた指紋識別の
データとしてはほとんど利用不可能となる。また、本実
施形態の装置のように位相オンリー型の画像相関演算方
式を採用した場合では、参照指紋画像のフーリエ変換結
果を登録し、位相オンリー化の時に強度情報を捨ててし
まうため、取り込まれた本来の画像情報を再現すること
は極めて困難となる。さらに、本実施形態の装置のよう
に多重化フィルタ方式を用いる場合には、複数の微妙に
異なる指紋画像を多重化するため、より一層もとの画像
を再現することが困難となる。このように、本実施形態
の人物照合装置は、画像相関演算方式を採用するととも
に、参照画像のフーリエ変換結果の振幅項を規格化し、
さらに、多重化フィルタを用いていることから、高度に
暗号化された参照フィルタを用いていることになり、登
録人物のプライバシーを確実に保護することができると
いう利点を有している。
【0043】本発明の人物照合装置は、上記実施形態に
限られるものではなく、様々な変形が可能である。例え
ば、上記の実施形態では、複数の参照指紋画像を電子的
にフーリエ変換した後、このフーリエ変換結果を加算し
て重ね合わせることにより多重化フィルタを作成してい
るが、加算の他にも、(a)各参照指紋画像を平均化す
る方法、(b)各参照指紋画像を一定値から減算する方
法、(c)各参照指紋画像を2乗平均化する方法、
(d)各参照指紋画像のフーリエ変換結果の同一画素を
比較して最も大きな振幅を有する画像を各画素ごとに選
択する方法などによって、上記のフーリエ変換結果を重
ね合わせることができる。以下では、これらの方法につ
いて説明する。
【0044】まず、(a)平均化の場合は、上述のよう
にして規格化された参照指紋画像 REFpoA,REFpoB,REF
poC,REFpoDを平均化してから位相共役化することで、
各参照指紋画像を重ね合わせて多重化した参照フィルタ
が作成される。この演算処理は、次のように表される、 multi=(REFpoA+REFpoB+REFpoC+REFpoD)/4 =(XA′+XB′+XC′+XD′)/4 +(YA′+YB′+YC′+YD′)・j/4 =Xave+Yave・j multi*=Xave−Yave・j この後、上述と同様にして求めた照合指紋画像TAGpoと
上記の参照フィルタmulti*とを乗算し、この乗算結果に
対して逆フーリエ変換を実行することで、参照指紋画像
と照合指紋画像との間の相互相関を得ることができる。
【0045】(b)一定値からの減算の場合は、参照指
紋画像REFpoA,REFpoB,REFpoC,REFpoDを所定の基準値
C(=C1+C2・j)から減算してから位相共役化する
ことで、各参照指紋画像を重ね合わせて多重化した参照
フィルタが作成される。
【0046】この演算処理は、次のように表される、 multi=C−REFpoA−REFpoB−REFpoC−REFpoD =(C1−XA′−XB′−XC′−XD′) +(C2−YA′−YB′−YC′−YD′)・j =Xsub+Ysub・j multi*=Xsub−Ysub・j この後、上述と同様にして求めた照合指紋画像TAGpoと
上記の参照フィルタmulti*とを乗算し、この乗算結果に
対して逆フーリエ変換を実行することで、参照指紋画像
と照合指紋画像との間の相互相関を得ることができる。
【0047】(c)2乗平均化の場合は、上述のように
して規格化された参照指紋画像 REFpoA,REpoB,REFp
oC,REFpoDを2乗平均化してから位相共役化すること
で、各参照指紋画像を重ね合わせて多重化した参照フィ
ルタが作成される。この演算処理は、次のように表され
る、
【0048】
【数3】
【0049】この後、上述と同様にして求めた照合指紋
画像TAGpoと上記の参照フィルタmulti*とを乗算し、こ
の乗算結果に対して逆フーリエ変換を実行することで、
参照指紋画像と照合指紋画像との間の相互相関を得るこ
とができる。
【0050】(d)各参照指紋画像のフーリエ変換結果
の同一画素を比較して最も大きな振幅を有する画像を各
画素ごとに選択する場合については、画像の振幅を比較
する関係上、この処理を行う前に規格化を行うのは好ま
しくない。従って、(d)の方式を採用する場合は、各
参照指紋画像をフーリエ変換した後、規格化処理を行わ
ずに重ね合わせを行う。
【0051】(d)の方式については、参照指紋画像の
フーリエ変換結果(以下、簡単のため、単に「参照指紋
画像」呼ぶ)REFA,REFB,REFC,REFDのマトリックス表
現を用いて説明する。すなわち、各参照指紋画像を、 [REFA]nm=[XA]nm+[YA]nm・j [REFB]nm=[XB]nm+[YB]nm・j [REFC]nm=[XC]nm+[YC]nm・j [REFB]nm=[XD]nm+[YD]nm・j のように表す。ここで添字のn、mは、それぞれ参照指
紋画像の画素の行番号、列番号を表している。参照指紋
画像のサイズがN×Nの場合、n、mは、それぞれ1か
らNの範囲の整数となる。従って、上記のマトリックス
表現は各参照指紋画像の任意の画素を表すことになる。
また、各参照指紋画像の任意の画素(n、m)の振幅
は、 [AMPA]nm=([XA]nm 2+[YA]nm 2)1/2 [AMPB]nm=([XB]nm 2+[YB]nm 2)1/2 [AMPC]nm=([XC]nm 2+[YC]nm 2)1/2 [AMPD]nm=([XD]nm 2+[YD]nm 2)1/2 のように表される。
【0052】ここで説明する重ね合わせ方式(d)を上
記実施形態の装置に適用した場合を考えると、CPU8
は、各参照指紋画像の同一画素の振幅を比較して、最大
の振幅を表す画像を各画素ごとに選択する。CPU8
は、全ての画素についてこのような選択を行い、各画素
ごとに選択された画像の当該画素を集めて画像を再構成
することにより、各参照指紋画像を重ね合わせた多重化
参照画像を作成する。
【0053】以下では、図3を参照しながら、上記処理
を説明する。図3では、参照指紋画像がA〜Dの4つあ
り、各参照指紋画像A〜Dのサイズが4×4である場合
が想定されている。CPU8は、この参照指紋画像A〜
Dの同一画素(1、1)の振幅を比較し、最も大きい振
幅を有する参照指紋画像の当該画素(1、1)を選択し
て、これを多重化参照画像の画素(1、1)とする。す
なわち、図3のように画像Cの画素(1、1)の振幅が
最大のとき、多重化参照画像multiの画素(1、1)
は、 [multi]11=[XC]11+[YC]11・j のようになる。また、CPU8は、各参照指紋画像A〜
Dの同一画素(2、1)の振幅を比較し、最も大きい振
幅を有する参照指紋画像の画素(2、1)を多重化参照
画像の画素(2、1)とする。図3のように画像Dの画
素(2、1)が最大のときは、[multi]21=[XD]21
[YD]21・jとなる。CPU8は、このような処理を全
ての画素について行うことにより多重化参照画像multi
を作成し、この多重化参照画像multiを位相共役化する
ことで参照フィルタmulti*を作成する。この後、上述と
同様にして求めた照合指紋画像TAGpoと上記の参照フィ
ルタmulti*とを乗算し、この乗算結果に対して逆フーリ
エ変換を実行することで、参照指紋画像と照合指紋画像
との間の相互相関を得ることができる。
【0054】上記の方法(a)〜(d)以外にも、複数
の参照指紋画像のフーリエ変換結果の中央値(参照指紋
画像が4つの場合には、4つのうち大きい方から2番目
か3番目の値)をとることによっても多重化を行うこと
ができる。
【0055】また、CPU8は、上記の規格化処理23
や27において、位相オンリー化の代わりにパワースペ
クトラムの総和の規格化を行っても良い。以下、このパ
ワースペクトラムの総和の規格化について説明する。
【0056】ここでは、各参照指紋画像のサイズをN×
Nとし、各参照指紋画像のフーリエ変換結果REFのパワ
ースペクトラムの総和をN×N=N2に規格化する場合
を考える。
【0057】参照指紋画像REF=X+Y・jのパワース
ペクトラムの総和を、
【0058】
【数4】 のように表すと、規格化した結果は、
【0059】
【数5】 のようになる。
【0060】確認のために、参照指紋画像を規格化した
結果のパワースペクトラムの総和を求めると、
【0061】
【数6】 となる。
【0062】CPU8は、上記の演算により各参照指紋
画像A〜Dについて求めたREFA″、REFB″、REFC″、RE
FD″を上記実施形態のREFpoA、REFpoB、REFpoC、REFpoD
の代わりに用いて上記の重ね合わせを行えば良い。
【0063】照合指紋画像のパワースペクトラムの総和
の規格化も、参照指紋の場合と同様に、照合指紋画像の
フーリエ変換結果TAGのパワースペクトラムの総和をN2
に規格化するものとする。具体的には、照合指紋画像TA
G=XT+YT・jのパワースペクトラムの総和を、
【0064】
【数7】 のように表すと、規格化した結果は、
【0065】
【数8】 のようになる。
【0066】確認のために、照合指紋画像を規格化した
結果のパワースペクトラムの総和を求めると、
【0067】
【数9】 となる。
【0068】CPU8は、上記のTAG″を上記実施形態
のTAGpoの代わりに用いて参照指紋画像の重ね合わせと
の乗算28を行えば良い。
【0069】このようにしてパワースペクトラムの総和
を規格化すれば、自己相関値が常に一定となる。前述し
たように、本装置では、照合指紋及び参照フィルタ間の
相互相関ピークの最大値と本人以外の相互相関ピークの
最大値とを比較することにより人物を照合するが、パワ
ースペクトラムの総和を規格化しておけば、この比較を
常に一定条件で行うことができ、安定した人物照合が可
能となる。
【0070】また、CPU8は、上記の規格化処理23
や27において、位相オンリー化に引き続きパワースペ
クトラムの総和の規格化を行っても良い。これは、画像
相関演算により最終的に得られる相関ピークの最大値
を、画像に依存せずに一定条件で比較できるようにする
ためである。本装置では位相オンリー化により全ての振
幅が1となっているので一応の規格化をしていることに
なるのだが、画像相関演算の途中で何らかの付加的画像
処理を行うとパワースペクトラムの総和が一定ではなく
なるので、一切付加処理を行わない場合以外には、パワ
ースペクトラムの総和を一定値に規格化する方が望まし
いのである。
【0071】ここでは、各参照指紋画像のサイズをN×
Nとし、位相オンリー化された参照指紋画像REFpoのパ
ワースペクトラムの総和をN×N=N2に規格化する場
合を考える。
【0072】参照指紋画像REFpo=X′+Y′・jのパ
ワースペクトラムの総和を、
【0073】
【数10】 のように表すと、規格化した結果は、
【0074】
【数11】 のようになる。
【0075】確認のために、参照指紋画像を規格化した
結果のパワースペクトラムの総和を求めると、
【0076】
【数12】 となる。
【0077】CPU8は、上記のようにして求めたREFp
oA″、REFpoB″、REFpoC″、REFpoD″を上記実施形態の
REFpoA、REFpoB、REFpoC、REFpoDの代わりに用いて上記
の重ね合わせを行えば良い。
【0078】照合指紋画像のパワースペクトラムの総和
の規格化も、参照指紋の場合と同様に、位相オンリー化
された照合指紋画像のパワースペクトラムの総和をN2
に規格化するものとする。具体的には、位相オンリー化
された照合指紋画像TAGpo=XT′+YT′・jのパワー
スペクトラムの総和を、
【0079】
【数13】 のように表すと、規格化した結果は、
【0080】
【数14】 のようになる。
【0081】確認のために、照合指紋画像を規格化した
結果のパワースペクトラムの総和を求めると、
【0082】
【数15】 となる。
【0083】CPU8は、上記のTAGpo″を上記実施形
態のTAGpoの代わりに用いて参照指紋画像の重ね合わせ
との乗算28を行えば良い。
【0084】次に、画像相関演算方式には、本実施形態
の装置が採用した[位相オンリー]型のほかにも[位相
+振幅]型があり、こちらを採用することも可能であ
る。[位相+振幅]型を採用した場合、人物登録時に
は、複数の参照画像をフーリエ変換した後、振幅を1に
規格化(位相オンリー化)せずに、必要に応じてパワー
スペクトラムの規格化を行ってから、各フーリエ変換結
果を重ね合わせた後、位相共役化することで参照フィル
タを作成する。人物照合時には、この参照フィルタと照
合画像のフーリエ変換結果とを乗算し、その乗算結果に
対して逆FFTを行って相互相関を求め、この相互相関
に基づいて照合対象者が登録された人物本人であるか否
かの判定を行うことになる。
【0085】このように、[位相オンリー]型及び[位
相+振幅]型のいずれを採用しても人物を照合すること
はできる。しかし、位相オンリー型の場合の相互相関は
[位相+振幅]型の場合よりも相関ピークが鋭くなり、
分離度が向上するので、結果として、本人認識率(照合
対象者が登録人物である場合に照合対象者を登録人物本
人であると認識する確率)及び他人排他率(照合対象者
が登録人物ではない場合に照合対象者を登録人物とは別
人であると認識する確率)を高めることができる。実際
に、本発明者らが[位相オンリー]型と[位相+振幅]
型とを比較してみたところ、[位相オンリー]型の方
が、本人認識率及び他人排他率に関して優れていた。ま
た、[位相オンリー]型は、既に述べたように参照フィ
ルタの暗号化の点でも優れている。
【0086】次に、上記実施形態の装置では、参照画像
の重ね合わせの結果を位相共役化してから照合画像のフ
ーリエ変換結果に乗ずることにより類似度の一種である
相互相関を求めたが、参照画像の重ね合わせの結果を位
相共役化せずに照合画像のフーリエ変換結果を位相共役
化して参照画像の重ね合わせ結果に乗じ、この乗算結果
を逆フーリエ変換しても相互相関を求めることができ
る。このようにして求めた相互相関について相関ピーク
の最大値を検出し、本実施形態の場合と同様の判定処理
を行えば、人物の照合を行うことができる。
【0087】また、上記実施形態の装置では、参照画像
のフーリエ変換結果の振幅項やパワースペクトラムの総
和を規格化してから重ね合わせを行うが、重ね合わせの
後に重ね合わせの結果に対してこれらの規格化を行って
も良い。
【0088】次に、本発明の人物照合装置の演算処理部
は、参照画像の重ね合わせに先だって、以下で説明する
シフト処理(平行移動処理)を行っても良い。このシフ
ト処理は、上述のように取得された複数の参照画像のそ
れぞれを互いに異なる方向又は量だけ平行移動させる処
理である。この平行移動は、フーリエ変換前に行っても
良いし、フーリエ変換後であって重ね合わせの前に行っ
ても良い。重ね合わせの前に規格化を行う場合、このシ
フト処理は規格化の前に行っても良いし、規格化の後に
行っても良い。
【0089】ここでは、上記実施形態のように4つの参
照指紋画像A〜Dを取得し、各々に対してフーリエ変換
前にシフト処理を行った例を挙げる。図4は、シフト処
理を施された各参照指紋画像をコンピュータディスプレ
イ上に表示した中間調画像を表す写真であり、(a)〜
(d)は、参照指紋画像A〜Dをそれぞれシフト処理し
た指紋を示している。各参照指紋画像A〜D及びシフト
指紋A〜Dのサイズは、それぞれ128画素×128画
素である。このシフト処理では、予め各参照指紋画像A
〜Dに共通のxy座標系を定めておき、画像Aを+x方
向に32画素、+y方向に32画素、画像Bを−x方向
に32画素、+y方向に32画素、画像Cを+x方向に
32画素、−y方向に32画素、画像Dを−x方向に3
2画素、−y方向に32画素だけそれぞれ平行移動させ
ている。
【0090】このようにして各参照指紋画像を異なる方
向に平行移動させた後、各参照指紋画像をフーリエ変換
してから必要に応じて規格化を行い、加算等により重ね
合わせてから位相共役化する。そして、必要に応じて重
ね合わせの結果を規格化した後、上述したようにして照
合指紋画像のフーリエ変換結果と乗算し、乗算結果を逆
フーリエ変換することにより、図5に示すような相関分
布が得られる。上記のようにして各参照指紋画像A〜D
を異なる方向に移動させた結果、図5に示されるように
各参照指紋画像A〜Dに対応した4つの相関ピーク20
0A〜200Dが現れるようになる。人物照合時におけ
る所定のしきい値との比較には、例えば4つの相関ピー
クのうち最大のものを使用すれば良い。4つの参照指紋
画像及び照合指紋画像は、それぞれ歪みや回転などによ
って相違があり、この相違に応じて相関ピークの大きさ
にも差異が現れる。上述した最大の相関ピークとは、複
数の参照画像の中で最も歪み、回転等が照合指紋画像と
似ているものと照合指紋画像との相関演算の結果を意味
している。
【0091】なお、シフト処理の効果については、図7
を参照しながら後述する。
【0092】上記の説明ではフーリエ変換前にシフト処
理を行ったが、フーリエ変換の直後にシフト処理を行う
場合、演算処理部は、 REF#=exp(-j2π(aX+bY))・REF のような変換を行うことになる。ここで、a、bは、そ
れぞれx方向、y方向の移動量を表している。また、位
相オンリー化やパワースペクトラムの総和の規格化の後
にシフト処理を行う場合は、上式のREFをREFpoやREF″
に置き換えた変換を演算処理部が行うことになる。その
後、演算処理部は、上記実施形態におけるREFの代わり
に上記のREF#を用いることになる。
【0093】本発明者は、本願の指紋照合装置が採用す
る相関演算方式の有効性を実験により確認した。具体的
には、特定の照合対象者から異なる時間に採取した同一
指の指紋4指の画像をそれぞれ参照指紋画像とし、照合
対象者から別に採取した同一指の指紋85指と別の50
0人から採取した同一指の指紋500指の画像を照合指
紋画像として用いて認識率の調査を行った。
【0094】図6は、上述した本人認識率及び他人排他
率を調べた実験結果を示すグラフである。なお、上述の
ように、本人認識率は、照合対象者が登録人物である場
合に照合対象者を登録人物本人であると認識する確率を
意味し、他人排他率は、照合対象者が登録人物ではない
場合に照合対象者を登録人物とは別人であると認識する
確率を意味する。図中、右下がりのラインが本人認識
率、左下がりのラインが他人排他率を示している。ま
た、図の横軸は人物照合時において相関ピーク値との比
較に用いるしきい値を示し、縦軸は認識率を示してい
る。なお、縦軸の「認識率」は、本人認識率の他、他人
排他率をも含んだ広い意味で用いている。実験に用いた
のは、(a)上述の実施形態の装置(各参照指紋画像を
フーリエ変換した後、位相オンリー化してから加算、共
役化したものを照合指紋画像のフーリエ変換結果と乗算
して相関を求める装置)、(b)(a)において参照画
像のフーリエ変換及び位相オンリー化の後にシフト処理
を行い、複数現れる相関ピークのうち最大のものをしき
い値と比較する装置、(c)(a)において各参照指紋
画像を加算せずに共役化したものをそれぞれ参照フィル
タとして用い、各々を照合指紋画像のフーリエ変換結果
と乗算して各参照フィルタごとに相関を求める装置、で
ある。図中の実線は(a)の装置による実験結果、一点
鎖線は(b)の装置による実験結果、破線は(c)の装
置による実験結果、をそれぞれ示している。なお、図中
の破線のうちAは(c)の装置を用いて各参照フィルタ
ごとに求められた実験結果のうち最も高い本人認識率を
示したもの、Bは(c)の装置による同じ実験結果のう
ち最も低い本人認識率を示したもの、をそれぞれ示して
いる。
【0095】図6に示されるように、しきい値を変化さ
せたときの本人認識率と他人排他率の変化の方向はトレ
ードオフの関係にある。すなわち、しきい値を高く設定
すれば他人排他率は向上するが、本人認識率は低下す
る。逆に、しきい値を低く設定すれば他人排他率は低下
するが、本人認識率は向上する。
【0096】図7は、上記の(a)(参照画像をシフト
処理なしで加算する装置)、(b)(参照画像をシフト
処理してから加算する装置)、(c)(参照画像の加算
を行わない装置)のそれぞれを用いて、1)参照フィル
タと登録人物本人の照合指紋画像との相関値(以下、
「本人対本人の相関値」と呼ぶ)の分布、2)参照フィ
ルタと登録人物以外の人物の照合指紋画像との相関値
(以下、「本人対他人の相関値」と呼ぶ)の分布、を求
めた結果を表している。また、図7(c)には本人対本
人の相関値分布として、上述した1A)最も高い認識率
を示すもの、及び1B)最も低い認識率を示すもの、の
双方が示されている。
【0097】図7に示されるように、本人対本人の相関
値分布と本人対他人の相関値分布との間では重なってい
る部分が存在する。この重なり部分が、本人と他人とを
識別できない領域である。従って、この重なり部分の面
積が小さいほど認識率(本人認識率及び他人排他率)が
良いことになる。
【0098】図7に示されるように、この実験では、加
算を行わない(c)のうち低い認識率を示す1B)の相
関値分布については特に重なりが大きく、その他は大き
な差異のない結果となった。この結果は、本願の人物照
合装置が採用する参照画像の重ね合わせ処理が有効であ
ることを示している。従来のように重ね合わせを用いず
単独の参照画像から参照フィルタを作成して照合画像と
の相関を求める装置でも、参照画像が図7(c)1A)
に示されるような高い認識率を示すものであればよい
が、このような場合は希であり、1B)のような参照画
像を用いて照合が行われる場合も十分に考えられる。参
照用の画像を複数取得し、これらを重ね合わせて参照フ
ィルタを作成するという本願の人物照合装置によれば、
従来のように極端に認識率が低下することを防ぐことが
でき、安定した人物照合を行うことができる。
【0099】また、図7の(a)と(b)を比較すれば
明らかなように、シフト処理を行う(b)では本人対他
人の相関値分布の広がりがシフト処理を行わない(a)
と比べて小さくなっている。これは、シフト処理を行わ
ない場合にほぼ同一箇所で重なっていた各参照画像の相
関ピークが、シフト処理によって分離されて現れるよう
になるためである(図5を参照)。これにより、本人対
本人の相関値分布と本人対他人の相関値分布との重なり
部分、すなわち本人と他人とを識別できない領域が小さ
くなるので、人物の認識率が高まることになる。
【0100】なお、図6においてしきい値を変えると、
これに応じて本人認識率と他人排他率も様々な値をと
る。以下の表は、他人排他率が99%、99.9%、9
9.99%となるようにそれぞれしきい値を設定し、各
しきい値に対して本人認識率を調べた結果を表すもので
ある。
【0101】
【表1】
【0102】この表に示されるように、参照画像の加算
を行わない装置が最も良い結果を示した。しかしなが
ら、加算なしの装置では良い結果と悪い結果との間でば
らつきが非常に大きい。つまり、常によい結果が得られ
るとは限らない。これに対して参照画像の加算、すなわ
ち重ね合わせを行う本願の装置によれば、安定して良好
な結果が得られていることが分かる。
【0103】ここまで説明してきたように、本発明の人
物照合装置は、画像に対して各種の処理(規格化、シフ
ト処理、加算等)を行うことができるが、本発明者はど
のような処理を組み合わせるのが効果的かを考察した。
以下、各処理の組合せを実行する人物照合装置の照合能
力の判断基準を示す。
【0104】事項1:上述した重ね合わせの各方式(加
算、平均化等)は全てほぼ同等 事項2:一度も規格化(特に位相オンリー化)を行わな
いと、照合能力が落ちる 事項3:シフト処理は行った方が効果的 事項4:(位相オンリー化−重ね合わせ−位相オンリー
化)と、(パワースペクトラムの総和の規格化−重ね合
わせ−位相オンリー化)とは、ほぼ同等 (位相オンリー化−重ね合わせ−規格化せず)が最も良
い 事項5:最も優勢なのは事項2 事項6:事項3と事項4では、事項3の方が優勢 本発明者の実験によれば、「参照画像の取得−フーリエ
変換−位相オンリー化−シフト処理−重ね合わせ−規格
化せず」という一連の処理を行う装置の他、「参照画像
の取得−フーリエ変換−位相オンリー化−シフト処理−
重ね合わせ−パワースペクトラムの総和の規格化」を行
う装置も高い照合能力を示した。また、この一連の処理
からシフト処理を除去した処理を行う装置も十分な照合
能力を有していた。
【0105】
【発明の効果】以上、詳細に説明した通り、本発明の人
物照合装置では、複数の参照用画像を電子的に重ね合わ
せた多重化フィルタに基づいて電子的に相関演算を行う
ので、人物の登録を短時間で行うことができるうえ、回
転・歪み等がある場合にも高い認識率で信頼性の高い人
物照合を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る人物照合装置の実施形態の構成を
示す図である。
【図2】図1の装置による人物照合処理の流れを示す図
である。
【図3】各参照指紋画像の同一画素から最も大きな振幅
を有する画像を各画素ごとに選択することによる重ね合
わせの説明図である。
【図4】シフト処理を施された各参照指紋画像をコンピ
ュータディスプレイ上に表示した中間調画像を表す写真
である。
【図5】シフト処理を行った場合の相互相関分布を示す
図である。
【図6】本人認識率及び他人排他率を調べた実験結果を
示すグラフである。
【図7】本人対本人の相関分布及び本人対他人の相関分
布を調べた実験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
2a及び2b…LED、3…FOP(ファイバ光学プレ
ート)、4…CCDカメラ、5…フレームメモリ、6…
表示部、7…スイッチ群、8…CPU、9…RAM(ラ
ンダム・アクセス・メモリ)、10…HD(ハード・デ
ィスク)、50…撮像部、60…演算処理部。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 人物の登録時にこの者の身体の所定部位
    のパターンを複数回撮像して参照用の画像を複数取得す
    るとともに、人物の照合時に照合対象者の前記所定部位
    のパターンを撮像して照合用の画像を取得する撮像部
    と、前記参照用画像と照合用画像との間の類似度を求
    め、この類似度に基づいて前記照合対象者が登録されて
    いる人物であるか否かを判定する演算処理部と、を備え
    る人物照合装置であって、 前記演算処理部は、前記各参照用画像および照合用画像
    を電子的にフーリエ変換するとともに、前記各参照用画
    像のフーリエ変換結果を電子的に重ね合わせ、この重ね
    合わせの結果と前記照合用画像のフーリエ変換結果とを
    電子的に乗算した後、この乗算結果を電子的に逆フーリ
    エ変換することにより前記類似度を求めることを特徴と
    する人物照合装置。
  2. 【請求項2】 前記演算処理部は、前記各参照用画像の
    フーリエ変換結果を電子的に加算することにより前記重
    ね合わせを行うことを特徴とする請求項1記載の人物照
    合装置。
  3. 【請求項3】 前記演算処理部は、前記各参照用画像の
    フーリエ変換結果を電子的に平均化することにより前記
    重ね合わせを行うことを特徴とする請求項1記載の人物
    照合装置。
  4. 【請求項4】 前記演算処理部は、前記各参照用画像の
    フーリエ変換結果を所定の基準値から電子的に減算する
    ことにより前記重ね合わせを行うことを特徴とする請求
    項1記載の人物照合装置。
  5. 【請求項5】 前記演算処理部は、前記各参照用画像の
    フーリエ変換結果を電子的に2乗平均化することにより
    前記重ね合わせを行うことを特徴とする請求項1記載の
    人物照合装置。
  6. 【請求項6】 前記演算処理部は、前記各参照用画像の
    フーリエ変換結果を複数の部分領域に相等しく分割し、
    前記各参照用画像のフーリエ変換結果の振幅を前記各部
    分領域ごとに比較して最も大きな振幅を有する参照用画
    像を前記各部分領域ごとに選択し、前記各部分領域ごと
    に選択された参照用画像の当該部分領域を集めて画像を
    再構成することにより前記重ね合わせを行うことを特徴
    とする請求項1記載の人物照合装置。
  7. 【請求項7】 前記演算処理部は、前記各参照用画像の
    フーリエ変換結果の振幅を規格化してから前記重ね合わ
    せを行い、前記照合用画像のフーリエ変換結果の振幅を
    規格化してから前記乗算を行うことを特徴とする請求項
    1記載の人物照合装置。
  8. 【請求項8】 前記演算処理部は、前記各参照用画像の
    フーリエ変換結果のパワースペクトラムの総和を規格化
    してから前記重ね合わせを行い、前記照合用画像のフー
    リエ変換結果のパワースペクトラムの総和を規格化して
    から前記乗算を行うことを特徴とする請求項1記載の人
    物照合装置。
  9. 【請求項9】 前記演算処理部は、前記重ね合わせの
    後、この重ね合わせの結果の振幅項を規格化し、前記照
    合用画像のフーリエ変換結果の振幅を規格化してから前
    記乗算を行うことを特徴とする請求項1記載の人物照合
    装置。
  10. 【請求項10】 前記演算処理部は、前記重ね合わせの
    後、この重ね合わせの結果のパワースペクトラムの総和
    を規格化し、前記照合用画像のフーリエ変換結果のパワ
    ースペクトラムの総和を規格化してから前記乗算を行う
    ことを特徴とする請求項1記載の人物照合装置。
  11. 【請求項11】 前記演算処理部は、前記各参照用画像
    を互いに異なった方向又は量だけ平行移動させてから前
    記フーリエ変換を行うことを特徴とする請求項1記載の
    人物照合装置。
  12. 【請求項12】 前記演算処理部は、前記各参照用画像
    のフーリエ変換結果を互いに異なった方向又は量だけ平
    行移動させてから前記重ね合わせを行うことを特徴とす
    る請求項1記載の人物照合装置。
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