JPH10316571A - 眼循環障害改善剤 - Google Patents

眼循環障害改善剤

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JPH10316571A
JPH10316571A JP12416597A JP12416597A JPH10316571A JP H10316571 A JPH10316571 A JP H10316571A JP 12416597 A JP12416597 A JP 12416597A JP 12416597 A JP12416597 A JP 12416597A JP H10316571 A JPH10316571 A JP H10316571A
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JP
Japan
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retinal
agent
ocular
eye
optic
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JP12416597A
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English (en)
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Mitsuyoshi Isaka
光良 井坂
Hirosuke Naka
裕亮 中
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Senju Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Senju Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 一般式 【化1】 で表される(±)−4−アミノ−2〔4−(テトラヒド
ロ−2−フロイル)−1−ピペラジニル〕−6,7−ジ
メトキシキナゾリンまたはその製薬上許容される酸付加
塩を有効成分を含有することを特徴とする眼循環障害改
善剤。 【効果】 本発明の眼循環障害改善剤は、特に点眼で優
れた眼循環障害改善作用を有し、かつ毒性等の副作用が
ないので、正常眼圧緑内障、網膜色素変性症、黄斑変性
症、虚血性視神経症、虹彩毛様体炎、網脈動脈閉塞症、
網脈静脈閉塞症、糖尿病性網膜症、網脈病変に続発する
脈絡膜疾患、全身疾患が伴う網膜脈絡膜疾患などの眼循
環障害に起因する各種の疾患の予防・治療剤として安全
に用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は眼循環障害改善剤に
関する。さらに詳しくは、本発明は(±)−4−アミノ
─2〔4─(テトラヒドロ─2─フロイル)─1─ピペ
ラジニル〕─6,7─ジメトキシキナゾリンまたはその
製薬上許容される酸付加塩を有効成分として含有する眼
循環障害改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】眼内の血液循環(以下、「眼循環」とい
う)には眼動脈より分岐する2つの系が存在し、その1
つは毛様動脈を介する循環であり、もう1つは網膜中心
動脈を介する循環である。毛様動脈は脈絡膜、視神経乳
頭部、虹彩、毛様体等の動脈に通じて、血液は渦静脈を
通り眼外に排出される。他方、網膜中心動脈は、視神経
を通り乳頭部で細動脈に分岐し、さらに毛細血管になっ
た後網膜中心静脈に通じている。これら眼循環の障害に
起因する疾患には、正常眼圧緑内障、糖尿病性網膜症、
網膜色素変性症、黄斑変性症、虚血性視神経症、虹彩毛
様体炎、高血圧性網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉
塞症、糖尿病性網膜症、虚血性視神経症、網膜病変に続
発する脈絡膜疾患、全身疾患が伴う網膜脈絡膜疾患など
が挙げられる。以上の疾患は、上述の眼循環の経路につ
いての記載から明らかなように、網膜、視神経乳頭部、
脈絡膜、虹彩、毛様体などの血液循環に障害が起こると
発症する。
【0003】眼循環障害は近年増加している正常眼圧緑
内障(低眼圧緑内障ともいう)の成因の1つと考えられ
てきており、眼循環改善剤を経口投与すると視神経乳頭
部の血流量を増加させ、正常眼圧緑内障が改善されたこ
とが報告されている〔Ca2+拮抗剤の低眼圧緑内障視野
変化に及ぼす影響、日眼会誌、92巻、792〜797
項、1988年〕。正常眼圧緑内障患者は、生体内血管
収縮作用を有するエンドセリン−1(以下、「ET−
1」ということもある)の血中濃度が正常者よりも有意
に高いことが報告されている〔低眼圧緑内障とエンドセ
リン−1(ET−1)、眼紀、43巻、554〜559
項、1992年〕。また眼循環障害は、網膜脈絡膜疾患
の中で最も高頻度に起こる病変である。眼循環障害に起
因する網膜脈絡膜疾患としては、上記緑内障の他に糖尿
病性網膜症、網膜色素変性症、黄斑変性症、虚血性視神
経症、虹彩毛様体炎、高血圧性網膜症、網膜動脈閉塞
症、網膜静脈閉塞症、網膜病変に続発する脈絡膜疾患、
全身疾患が伴う網膜脈絡膜疾患などが挙げられる。網膜
動脈閉塞症および網膜静脈閉塞症の発症原因は不明であ
るが、網膜の動脈または静脈の内腔が閉塞して網膜循環
の障害および乳頭部の循環障害が起きる。そして本患者
の血中ET−1濃度が高値であることも報告されている
(臨床眼科、46巻、431〜434頁、1992
年)。糖尿病性網膜症でも網膜血管に血栓が生じ網膜循
環障害が起こることは周知の事実である。網膜色素変性
症は、学齢期に夜盲で始まり、視野異常や視力障害が次
第に進行し、失明に至り得る両眼性の網膜疾患である。
本症は網膜視細胞及び色素細胞の変性が進行するととも
に網膜脈絡膜血管が細くなり循環障害も起きる。黄斑変
性症においても、眼循環障害が生じているとされてい
る。以上の眼循環障害を伴う疾患の薬物による治療法と
しては、ユベラニコチネート(ユベラN:エーザイ株式
会社製のビタミンE製剤)の経口投与が行なわれている
が、満足な効果は得られていない。視神経障害を伴う視
神経疾患としては、虚血性視神経症等が挙げられる。虚
血性視神経症は、視神経栄養血管の循環障害により発症
する。虹彩毛様体循環障害を伴う疾患としては、虹彩毛
様体炎が挙げられる。
【0004】今までに、眼循環障害の幾つかは、ET−
1が関与している可能性があることが分かってきてい
る。そこで、ET−1を硝子体内に注入することによ
り、視神経乳頭部の血流量が減少することが報告されて
おり〔エンドセリン−1の眼循環に及ぼす影響、日眼会
誌、第97巻、第6号、678〜682項、1993
年〕、ET−1が関与する疾患はこの方法で惹起した眼
循環障害を改善する薬剤が、またET−1の関与が報告
されていない疾患も、投与時に眼循環障害が改善される
薬剤が治療薬となり得ると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これまでのと
ころ、毒性等の副作用がなく、かつ優れた眼循環障害改
善作用を示す薬剤は、未だ満足すべきものが見出されて
いないのが現状である。従って、本発明は、毒性等の副
作用がなく、かつ優れた眼循環障害改善作用を有する薬
剤を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
このような現状に鑑みて、毒性等の副作用がなく、かつ
優れた眼循環障害改善作用を有する薬剤を求めて種々の
化合物を探索した。その結果、本発明者等は、本発明の
眼循環障害改善剤の有効成分である、(±)−4−アミ
ノ─2〔4─(テトラヒドロ─2─フロイル)─1─ピ
ペラジニル〕─6,7─ジメトキシキナゾリン(以下、
「テラゾシン」ということもある。)またはその製薬上
許容される酸付加塩(酸付加塩のうち塩酸塩を「塩酸テ
ラゾシン」ということもある。)(なお、これら両者を
含めて「本発明化合物」と総称することもある。)が、
意外にも予期しなかった優れた眼循環障害改善作用を奏
することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】本発明化合物は、特開昭52−48678
号公報中に記載されている1化合物であるが、当該公報
中には本発明化合物、特に塩酸テラゾシンが高血圧降下
剤として有用である旨の記載があるだけで、本発明化合
物が眼循環障害改善作用を有する旨の記載はない。ま
た、本願出願人は、本発明化合物が眼圧降下作用を有す
ることから、この知見に基づいて当該化合物の緑内障治
療用途について特許出願を行なっている(PCT/JP
95/00920号公報)。本発明化合物が優れた眼循
環障害改善作用を有することについては何れの文献にも
記載はなく、このことは本発明者等が初めて見出したこ
とである。
【0008】すなわち、本発明は、式
【化2】 で表される(±)−4−アミノ─2〔4─(テトラヒド
ロ─2─フロイル)─1─ピペラジニル〕─6,7─ジ
メトキシキナゾリン(すなわちテラゾシン)またはその
製薬上許容される酸付加塩を有効成分として含有する眼
循環障害改善剤に関する。その酸付加塩としては、塩酸
塩、硫酸塩などの無機酸塩、およびマレイン酸塩、酒石
酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩などが挙げられるが、
塩酸塩(すなわち、塩酸テラゾシン)が好ましい。
【0009】本発明の眼循環障害改善剤の有効成分であ
るテラゾシンまたはその製薬上許容される酸付加塩の理
化学的性状およびその製造法は、たとえば上記の特開昭
52−48678号公報に記載されている。
【0010】本発明の眼循環障害改善剤は、後述する試
験例より明らかなように、優れた眼循環障害改善作用を
有し、かつ毒性等の副作用がないので、正常眼圧緑内
障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症、黄斑変性症、虚
血性視神経症、虹彩毛様体炎、網膜動脈閉塞症、網膜静
脈閉塞症、網膜病変に続発する脈絡膜疾患、全身疾患が
伴う網膜脈絡膜疾患などの眼循環障害に起因する各種疾
患の予防・治療のために安全な薬剤として用いることが
できる。
【0011】
【発明の実施の形態】テラゾシンまたはその製薬上許容
される酸付加塩を眼循環障害改善剤として用いる場合、
通常、それ自体公知の薬理学的に許容され得る担体、賦
形剤、希釈剤などと混合し、公知の方法に従って、たと
えば点眼剤、眼軟膏剤、注射剤などの非経口剤として、
または、たとえば錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの経口
剤として製剤化することができるが、点眼剤、特に水性
点眼液として用いることが好ましい。
【0012】たとえば、本発明の眼循環障害改善剤を点
眼剤として用いる場合は、本発明の目的を損なわない限
り、点眼剤に通常配合される緩衝剤、等張化剤、保存
剤、溶解補助剤(安定化剤)、pH調整剤、増粘剤、キ
レート剤などの添加剤を適宜に添加してもよい。
【0013】上記添加剤のうち、緩衝剤としては、たと
えばリン酸塩緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝
剤、酒石酸緩衝剤、酢酸塩緩衝剤、アミノ酸などが挙げ
られるが、酢酸ナトリウム等の酢酸塩を用いるのが好ま
しい。
【0014】等張化剤としては、たとえばソルビトー
ル,グルコース,マンニトールなどの糖類、グリセリ
ン,ポリエチレングリコール,プロピレングリコールな
どの多価アルコール類、塩化ナトリウムなどの塩類など
が挙げられるが、グリセリンを用いるのが好ましい。
【0015】保存剤としては、たとえば塩化ベンザルコ
ニウム、塩化ベンゼトニウム、パラオキシ安息香酸メチ
ル,パラオキシ安息香酸エチルなどのパラオキシ安息香
酸エステル類、ベンジルアルコール、フェネチルアルコ
ール、ソルビン酸またはその塩、チメロサール、クロロ
ブタノールなどが挙げられるが、塩化ベンザルコニウム
を用いるのが好ましい。
【0016】溶解補助剤(安定化剤)としては、たとえ
ばシクロデキストリン類およびその誘導体、ポリビニル
ピロリドンなどの水溶性高分子、界面活性剤などが挙げ
られるが、ポリビニルピロリドンやシクロデキストリン
を用いるのが好ましい。
【0017】pH調整剤としては、たとえば塩酸、酢
酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが
挙げられるが、塩酸を用いるのが好ましい。
【0018】増粘剤としては、たとえばヒドロキシエチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチル
セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロースおよびその塩などが挙げられ
る。
【0019】キレート剤としては、たとえばエデト酸ナ
トリウム、クエン酸ナトリウム、縮合リン酸ナトリウム
などが挙げられる。
【0020】また、本発明の眼循環障害改善剤を眼軟膏
剤として用いる場合、その眼軟膏基剤としては、精製ラ
ノリン、ワセリン、プラスチベース、流動パラフィン、
ポリエチレングリコールなどが適宜に用いられる。
【0021】さらに、本発明の眼循環障害改善剤は、錠
剤、カプセル剤、顆粒剤などの経口剤として、または注
射剤として使用することもできる。
【0022】そして、本発明の眼循環障害改善剤の投与
量は、投与ルート,症状,患者の年齢,体重などによっ
ても異なるが、たとえば成人の正常眼圧緑内障患者に点
眼剤として用いる場合は、有効成分であるテラゾシンま
たはその製薬上許容される酸付加塩を約0.001〜
3.0w/v%、好ましくは約0.03〜1.0w/v
%程度含有する水性点眼液として、症状に応じて1回量
1〜数滴を1日1〜4回投与することが望ましい。
【0023】また、本発明の眼循環障害改善剤を眼軟膏
剤として用いる場合は、有効成分であるテラゾシンまた
はその製薬上許容される酸付加塩を約0.001〜5.
0w/w%、好ましくは0.03〜1.0w/w%程度
含有する眼軟膏剤として、症状に応じて1日1〜4回程
度投与するのが望ましい。
【0024】本発明の眼循環障害改善剤には、本発明の
目的に反しないかぎり、さらに他の眼循環障害改善剤の
1種または2種以上を適宜加えてもよい。
【0025】また、本発明の眼循環障害改善剤には、本
発明の目的に反しないかぎり、上記の眼循環障害改善剤
の他に、他の薬効を有する成分を適宜含有させてもよ
い。
【0026】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳
細に説明し、試験例により本発明の効果を明らかにする
が、これらは単なる例示であって、これらにより本発明
の範囲が限定されるものではない。
【0027】
【実施例】
〔実施例1〕点眼剤 次の処方で水性点眼液を調製した。 塩酸テラゾシン2水和物 0.36 g (テラゾシンとして 0.3 g) 濃グリセリン 2.6 g 酢酸ナトリウム 0.1 g 塩化ベンザルコニウム 0.005g 水酸化ナトリウム 適量 (pH6.0) 滅菌精製水を加えて全量で100mlにする。
【0028】〔実施例2〕点眼剤 次の処方で水性点眼液を調製した。 塩酸テラゾシン2水和物 0.36 g (テラゾシンとして 0.3 g) 塩化ナトリウム 0.9 g 酢酸ナトリウム 0.1 g ポリビニルピロリドン 0.5 g 塩化ベンザルコニウム 0.01 g 水酸化ナトリウム 適量 (pH4.0) 滅菌精製水を加えて全量で100mlにする。
【0029】〔実施例3〕点眼剤 次の処方で水性点眼液を調製した。 塩酸テラゾシン2水和物 0.36 g (テラゾシンとして 0.3 g) 塩化ナトリウム 0.9 g リン酸一水素ナトリウム 0.1 g エデト酸ナトリウム 0.05 g 塩化ベンザルコニウム 0.01 g 水酸化ナトリウム 適量 (pH7.0) 滅菌精製水を加えて全量で100mlにする。
【0030】〔実施例4〕点眼剤 次の処方で水性点眼液を調製した。 塩酸テラゾシン2水和物 0.36 g (テラゾシンとして 0.3 g) 濃グリセリン 2.6 g 酢酸ナトリウム 0.1 g ポリビニルピロリドン 0.5 g 塩化ベンザルコニウム 0.005g 水酸化ナトリウム 適量 (pH6.0) 滅菌精製水を加えて全量で100mlにする。
【0031】〔実施例8〕眼軟膏剤 次の処方で眼軟膏剤を調製した。 塩酸テラゾシン2水和物 0.36 g (テラゾシンとして 0.3 g) 流動パラフィン 1.0 g 白色ワセリン 適量 全量100g
【0032】
【試験例】
〔試験例1〕有色家兎の硝子体内にET−1を注入する
ことによって誘発した眼循環障害モデル眼および正常眼
における、テラゾシンの点眼による視神経乳頭部の血流
量に及ぼす効果
【0033】1.使用動物 体重約2kgの雄性ダッチ種有色家兎を福崎養兎組合よ
り購入し、眼に異常のないことを確かめた後使用した。
飼育は、温度23±3 ℃、湿度55±10%の条件で行
い、固型飼料(ラボRストック、日本農産工業株式会社
製)を1日100g与え、水は水道水を自由摂取させ
た。
【0034】2.被験薬剤 被験薬剤として、実施例1で得られた、塩酸テラゾシン
2水和物を0.36%(塩酸テラゾシンとして0.3
%)(w/v)含有する本発明の眼循環障害改善剤を使
用した。なお、対照として生理食塩液を使用した。
【0035】3.試験方法 1)眼循環障害モデル眼 (1)血流量低下の方法 散瞳させた家兎の両眼にマイクロシリンジ(ハミルトン
社製、25μl)を用いて、ビトレクトミーレンズ(サ
ンコンタクトレンズ社製) で眼底を観察しながら、10
-6M、ET−1(human、SIGMA社製)を10μ
l 硝子体の中央に投与した。
【0036】(2)血流量測定 家兎を保定缶に入れ、ミドリンP(登録商標:参天製薬
株式会社製)で散瞳させ、視神経乳頭部に異常がないか
観察した後、ウレタン( 蒸留水で20%濃度に溶解) 1
g/kgを腹部皮下に投与し全身麻酔を施した。1〜2
時間後に安定した麻酔下で、頭部皮下に皿型不関電極
(バイオメディカルサイエンス社製、BE−R10) を
装着し、両眼の上眼瞼及び下眼瞼に縫合糸を通し上下に
引っ張って開瞼させた。眼球の6時部分の結膜を切開し
下直筋に縫合糸を通して下向きに引っ張って固定させ
た。眼球の6時部分の角膜輪部から約3mmの強膜を27
G針で切開し、そこから針型関電極(バイオメディカル
サイエンス社製、BE−NSP450−30)を硝子体
内を通して視神経乳頭部に刺入した。強膜の切開部と関
電極はアロンアルファー(登録商標:コニシ株式会社
製) で固定した。約1時間放置した後、10%濃度の水
素を約5分間吸入させ、レコーダーに描かれたクリアラ
ンス曲線のベースラインから頂点までの高さを12秒間隔
で測定した。その値を片対数グラフにプロットし最も直
線に乗る部分で直線を引き、その直線から半減期(T
1/2 )を求め、Ketyの理論式により血流量を求め
た。 血流量(ml/分/100g)=69.3/T1/2 血流量の測定はET−1の投与30分前, 投与後は30
分間隔で投与2時間後まで行った。血流量の初期値は、
15分間隔で測定して安定した2回の値を平均した。
【0037】(3)薬物投与 ET−1の投与60分前に、片眼に被験薬剤を50μl
、反対眼には生理食塩液を同様に点眼した。
【0038】2)正常眼 (1)血流量の測定 眼循環障害モデル眼と同様の方法により行った。
【0039】(2)薬物の投与 片眼に被験薬剤を50μl 、反対眼(対照眼)には生理
食塩液を同様に点眼した。
【0040】4.結果 1)眼循環障害モデル眼 対照眼および被験薬剤点眼眼の相対的視神経乳頭血流量
(初期値を100%としたときの各時点の血流量) を図
1に示した。対照眼においては、ET−1の硝子体内注
入後30分から120分まで初期値に対して血流量の低
下がみられ、ET−1注入後90分には最大34.6%
の減少がみられた。しかし、被験薬剤点眼眼では、対照
眼におけるような血流量の減少はほとんど見られず、逆
にET−1投与後60分から150分まで有意に血流量
の減少を抑制した。
【0041】2)正常眼 対照眼および被験薬剤点眼眼の相対的視神経乳頭血流量
(初期値を100%としたときの各時点の血流量) を図
2に示した。対照眼においては、初期値から点眼後18
0分まで90〜105%で推移した。被験薬剤点眼眼で
は点眼後90分まで対照眼と同様の推移を示したが、点
眼後120分に対照眼よりも20%増加(初期値比+1
4%)しており、以降点眼後180分まで同様の傾向を
示した。
【0042】5.結論 現在のところ、〔試験例1〕の眼障害モデル眼および正
常眼に対して塩酸テラゾシン以外の薬剤が有効であった
との報告はほとんどが硝子体内注入であるが、現実的に
は硝子体内注入は臨床上不可能である。このことから、
塩酸テラゾシンが点眼投与でET−1による視神経乳頭
の血流量低下を抑制し、また有意差はないものの正常眼
の視神経乳頭の血流量を増加させたことは臨床的に意義
があることである。従って、塩酸テラゾシンは眼循環障
害に対して臨床的に有用な薬物である。
【0043】以上の〔試験例1〕の結果から、塩酸テラ
ゾシンは、視神経乳頭部の血流量低下を抑制する作用を
有するので、正常眼圧緑内障、糖尿病性網膜症、網膜色
素変性症、黄斑変性症、虚血性視神経症、虹彩毛様体
炎、高血圧性網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞
症、網膜病変に続発する脈絡膜疾患、全身疾患が伴う網
膜脈絡膜疾患などの眼循環障害に起因する各種の疾患の
予防・治療に有用である。
【0044】また、上記の特開昭52−48678号公
報には、塩酸テラゾシンのマウスにおける急性毒性(経
口投与および静脈内投与した場合のID50)は非常に低
い旨が記載されており、実施例1の本発明製剤(塩酸テ
ラゾシンを0.3%含有する水性点眼液)およびそれと
同一処方で塩酸テラゾシンを0.1%含有する水性点眼
液をウサギに13週間連続点眼投与しても眼刺激等の眼
局所毒性は認められなかったことが確認されている。従
って、塩酸テラゾシンは臨床的にも非常に安全な薬剤で
ある。
【0045】
【本発明の効果】本発明の眼循環障害改善剤は、特に点
眼で優れた眼循環障害改善作用を有し、かつ毒性等の副
作用がないので、正常眼圧緑内障、網膜色素変性症、黄
斑変性症、虚血性視神経症、虹彩毛様体炎、網膜動脈閉
塞症、網膜静脈閉塞症、糖尿病性網膜症、網膜病変に続
発する脈絡膜疾患、全身疾患が伴う網膜脈絡膜疾患など
の眼循環障害に起因する各種の疾患の予防・治療剤とし
て安全に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例1において、有色家兎硝子体内に10-6
MのET−1を10μl投与し、被験薬物または生理食
塩液を点眼したのちの相対的視神経乳頭血流量(初期値
を100%としたときの各時点の血流量) を示すグラフ
である。横軸は被験薬物または生理食塩液を点眼したの
ちの時間(分)を、縦軸は相対的網膜視神経乳頭血流量
(ml/分/100g)を表す。各値は平均値±標準誤
差を表す(例数は6)。黒丸は実施例1の塩酸テラゾシ
ン点眼液(被験薬物)、白丸は生理食塩液(対照)を点
眼した場合を示す。対照(生理食塩液)からの有意差
*;P<0.05、**P<0.01
【図2】試験例1において、有色家兎に被験薬物または
生理食塩液を単回点眼したのちの相対的視神経乳頭血流
量(初期値を100%としたときの各時点の血流量) を
示すグラフである。横軸は被験薬物または生理食塩液点
眼後の時間(分)を、縦軸は相対的網膜視神経乳頭血流
量(ml/分/100g)を表す。各値は平均値±標準
誤差を表す(例数は2〜5)。黒丸は実施例1の塩酸テ
ラゾシン点眼液(被験薬物)、白丸は生理食塩液(対
照)を点眼した場合を示す。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 【化1】 で表される(±)−4−アミノ─2〔4─(テトラヒド
    ロ─2─フロイル)─1─ピペラジニル〕─6,7─ジ
    メトキシキナゾリンまたはその製薬上許容される酸付加
    塩を有効成分として含有することを特徴とする眼循環障
    害改善剤。
  2. 【請求項2】 剤形が点眼剤の形態である請求項1記載
    の眼循環障害改善剤。
  3. 【請求項3】 剤形が眼軟膏剤の形態である請求項1記
    載の眼循環障害改善剤。
  4. 【請求項4】 眼循環障害改善剤が、眼内の血液循環障
    害に起因する疾患の予防・治療剤である請求項2ないし
    3のいずれかに記載の眼循環障害改善剤。
  5. 【請求項5】 眼内の血液循環障害に起因する疾患が、
    正常眼圧緑内障、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、糖
    尿病性網膜症、虚血性視神経症、網膜色素変性症、黄斑
    変性症、虹彩毛様体炎、網膜病変に続発する脈絡膜疾患
    および全身疾患が伴う網膜脈絡膜疾患から選ばれる疾患
    の1つである請求項4に記載の眼循環障害改善剤。
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