JPH10296182A - 連続した金属体の樹脂塗膜形成方法 - Google Patents

連続した金属体の樹脂塗膜形成方法

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JPH10296182A
JPH10296182A JP12476297A JP12476297A JPH10296182A JP H10296182 A JPH10296182 A JP H10296182A JP 12476297 A JP12476297 A JP 12476297A JP 12476297 A JP12476297 A JP 12476297A JP H10296182 A JPH10296182 A JP H10296182A
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resin
metal body
resin powder
powder
fused
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Susumu Nihongi
進 二本木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防食被覆層に空隙等を生じることなく、防食
の信頼性の高い金属素線を提供する。 【解決手段】 (A)のように表面処理された金属素線
10を、静電粉体塗装装置に通すことによって(B)の
ように表面に樹脂粉体Pを静電付着させて樹脂粉体層1
0bを形成してから、誘導加熱装置に通して(C)のよ
うに内周部のみが融着して金属素線10の表面に定着し
た半融着樹脂層10cを形成し、更に外周加熱装置に通
すことによって、金属素線10の外周に樹脂粉体Pが全
層で完全融着した樹脂塗膜10dを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば金属線、金
属管、金属棒あるいは金属撚り線等のような連続した金
属体の表面に、防蝕や表面美粧あるいは電気絶縁等を目
的として、樹脂塗膜を形成するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】金属線、金属管、金属棒等のような連続
した金属体の表面に樹脂塗膜を形成するための方法とし
ては、従来から、液状樹脂による塗膜形成法及び樹脂粉
体による塗膜形成法がある。例えば電気機器のトランス
や、モータ及び電磁リレー等のコイルに用いられる被覆
導線(いわゆるエナメル線)の絶縁被覆等には、優れた
電気絶縁性、機械的特性(可撓性)、化学的特性及び耐
熱性が要求され、その形成には、一般に液状樹脂による
塗膜形成法が適用されている。また、フェンスのネッ
ト、鉄筋、橋梁用の鋼製ロープ等の防錆・防食被覆に
は、優れた耐蝕性、機械的強度及び耐熱性が要求され、
その形成には、一般に樹脂粉体による塗膜形成法が適用
される。
【0003】従来技術における液状樹脂による塗膜形成
法は、次のような工程からなる。 (1) 巻き出し機のボビンから連続供給される金属素線を
処理槽に通すことによって、塗膜の定着が良好に行われ
るように前記金属素線の表面処理を行う。 (2) 表面処理した金属素線を液状樹脂塗料槽に通すこと
によって、前記金属素線の表面に液状樹脂を付着させ
る。 (3) 液状樹脂が付着した金属素線を焼付け炉に通し、 2
50〜 500℃の焼付け温度で樹脂塗料を硬化させると共に
前記金属素線の表面に定着させる。 (4) 上記工程によって金属素線の表面に形成される樹脂
塗膜の膜厚は10〜20μm程度の薄いものであるため、い
ったん樹脂塗膜が形成された金属素線を再び液状樹脂槽
に通し、更に焼付け炉に通すといった上記(2)(3)の工程
を複数回(一般に4〜12回)繰り返すことによって、所
要の膜厚の樹脂塗膜で被覆した被覆線とする。 (5) 樹脂塗膜のピンホール等の有無を検査する工程を経
て被覆線を巻き取り機のボビンに巻き取る。
【0004】また、樹脂粉体による塗膜形成法(流動浸
漬塗装法)は、次のような工程からなる。 (1) 巻き出し機のボビンから連続供給される金属素線を
処理槽に通すことによって、塗膜の定着が良好に行われ
るように前記金属素線の表面処理を行う。 (2) 表面処理した金属素線を加熱装置に通すことによっ
て、前記金属素線を粉体状樹脂塗料の溶融可能な温度
(例えばエポキシ樹脂粉体の場合は 120〜 300℃)に加
熱する。 (3) 加熱した金属素線を樹脂粉体流動槽に通すことによ
って、前記金属素線の表面に樹脂粉体(典型的にはエポ
キシ樹脂粉体)を付着させる。付着した樹脂粉体は金属
素線の熱によってある程度融着状態となる。 (4) 樹脂粉体を不完全融着状態で付着させた金属素線を
再び加熱装置に通すことによって、前記樹脂粉体を完全
融着・硬化(硬化条件; 200℃,5min)させ、表面を膜
厚が 200〜 600μmの樹脂塗膜で被覆した被覆線とす
る。 (5) 樹脂塗膜のピンホール等の有無を検査する工程を経
て被覆線を巻き取り機のボビンに巻き取る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の液状樹脂による
塗膜形成法には、次のような問題が指摘される。 (a) 1回の塗料付着・焼付け工程によって形成される塗
膜が薄いので、所要の膜厚となるまで塗料付着・焼付け
工程を何度も繰り返して行う必要があり、生産性が低
い。 (b) 塗料の焼付けの際に発生する溶剤蒸気や他の揮発物
によって、引火の恐れがある。 (c) 液状樹脂中の溶剤が毒性のあるものである場合は、
溶剤蒸気は排気処理装置によって排気するか、回収装置
によって回収する必要があり、費用がかかる。
【0006】また、従来の樹脂粉体による塗膜形成法に
は、次のような問題が指摘される。 (1) 形成される樹脂塗膜の膜厚は、金属素線の加熱温度
と、金属素線の熱容量に依存するため、所定の膜厚(特
に薄膜)とすることが困難である。 (2) エポキシ樹脂粉体は熱硬化性であって延伸性に乏し
いため、可撓性を要求される金属線の場合は、エポキシ
樹脂からなる塗膜にはクラック等を生じ、したがってこ
のような金属線の被覆には適用が困難である。
【0007】本発明は、上記のような事情のもとになさ
れたもので、その技術的課題とするところは、溶剤蒸気
等の発生による危険性がなく、連続した金属体表面に高
信頼性・高品質の樹脂塗膜を高い生産性で形成すること
のできる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した技術的課題を有
効に解決するための手段として、本発明に係る連続した
金属体の樹脂塗膜形成方法は、連続した金属体を静電粉
体塗装装置に連続移送して通すことにより前記金属体の
表面に樹脂粉体を静電付着させてから、前記金属体を誘
導加熱装置に連続移送して通すことにより前記樹脂粉体
を融着させ、前記金属体の表面に定着した樹脂塗膜を形
成するものである。この方法は、前記金属体の電気抵抗
や太さなどによる加熱温度・加熱時間が、樹脂粉体の完
全融着のためのゲル化温度・ゲル化時間よりも大きい場
合に適用可能である。
【0009】本発明では樹脂粉体を用いるので、液状樹
脂のような溶剤等の揮発による危険性が発生しない。静
電粉体塗装装置による金属体表面への樹脂粉体の静電付
着量、言い換えれば樹脂塗膜の厚さは、樹脂粉体に印加
する電荷の制御によって任意に設定できる。金属体の表
面に静電付着した樹脂粉体層は、誘導加熱装置によって
誘導発熱する金属体を介して内周側から加熱されて全層
が完全融着し、前記金属体の表面に定着した樹脂塗膜と
なる。
【0010】なお、本発明において、「連続した金属
体」とは、先に述べた導線、鉄筋、橋梁用の鋼製ロープ
等のような金属線や、金属棒あるいは金属管など、連続
供給される長尺の金属製品をいう。また、「静電粉体塗
装装置」は、樹脂粉体と塗装対象物に互いに反対の電荷
を与え、塗装対象物の表面に樹脂粉体をクーロンの法則
を利用して静電付着させる公知の装置である。
【0011】また、本発明における他の方法は、連続し
た金属体を静電粉体塗装装置に連続移送して通すことに
より前記金属体の表面に樹脂粉体を静電付着させてか
ら、前記金属体を誘導加熱装置に連続移送して通し前記
金属体を誘導発熱させることにより前記樹脂粉体を内周
側から加熱して半融着させ、前記金属体の表面に半融着
樹脂層を形成する。そしてその後、前記金属体を外周加
熱装置に連続移送して通すことにより前記半融着樹脂層
を外周側から加熱して完全融着させ、前記金属体の表面
に定着した樹脂塗膜を形成するものである。この方法
は、前記金属体の抵抗発熱量や熱容量などに係る加熱温
度・加熱時間が、樹脂粉体の完全融着のためのゲル化温
度・ゲル化時間よりも小さい場合に適用される。
【0012】この方法は、静電粉体塗装装置により樹脂
粉体に与える電荷によって樹脂粉体の付着量ひいては樹
脂塗膜の膜厚を制御し、誘導加熱装置による誘導加熱工
程において金属素線の表面と樹脂塗膜との密着・定着性
を確保し、外周加熱装置による加熱工程で樹脂塗膜の性
能を確保するものである。
【0013】なお、本発明において「半融着樹脂層」と
は、静電付着した樹脂粉体層の熱伝導率が低いために、
誘導加熱された金属体の表面に接している内周部は連続
した組織となるように融着しているが、外周側にある樹
脂粉体は融着が不完全で粒子としての形態が残っている
ような組織を有するものである。すなわち、誘導加熱装
置による金属体の加熱温度・加熱時間が、樹脂粉体の完
全融着のためのゲル化温度・ゲル化時間よりも小さい場
合には、樹脂粉体層は、金属体の表面と接触した内周部
のみが融着した半融着状態となるため、前記誘導加熱装
置の後段に外周加熱装置を配置し、この外周加熱装置に
よって樹脂粉体の完全融着のためのゲル化条件を付加す
るものである。
【0014】この方法によれば、誘導加熱装置を通過し
た金属体の表面に形成された半融着樹脂層は、その内周
部が金属体の表面に良好に密着・接合された状態にあ
る。このときの半融着樹脂層の形成条件は、誘導加熱装
置の発振出力による誘導発熱温度の制御及び金属体の通
過時間(通過速度)によって任意に設定することができ
る。そして、前記半融着樹脂層における外周側の不完全
融着状態の樹脂粉体は、金属体が外周加熱装置を通る際
に外周側から加熱されることによって完全に融着し、塗
膜としての連続組織となる。また、このときの融着条件
は、外周加熱装置の温度及びこの外周加熱装置における
金属体の通過時間(通過速度)によって設定することが
できる。
【0015】また、本発明における更に他の方法は、上
述の方法とは逆に、金属体の誘導加熱を樹脂粉体の静電
付着に先行させたもので、すなわち連続した金属体を誘
導加熱装置に連続移送して通すことにより前記金属体を
誘導発熱させてから静電粉体塗装装置に連続移送して通
すことにより、前記金属体の表面に樹脂粉体を静電付着
させると共に半融着させて前記金属体の表面に半融着樹
脂層を形成し、次に前記金属体を外周加熱装置に連続移
送して通すことにより前記半融着樹脂層を外周側から加
熱して完全融着させ、前記金属体の表面に定着した樹脂
塗膜を形成するものである。
【0016】したがってこの方法によれば、誘導加熱装
置を通ることによって所定温度に誘導加熱された連続し
た金属体を静電粉体塗装装置に通すことによって、前記
金属体の表面に静電付着された樹脂粉体は直ちに融着状
態となるが、更にその外側に継続的に静電付着される樹
脂粉体は、金属体の表面からの距離が大きくなるほど伝
熱不足によって不完全融着状態となり、これによって半
融着樹脂層が形成される。このときの半融着樹脂層の厚
さは、誘導加熱装置による前記金属体の加熱温度と、静
電粉体塗装装置により与えられる樹脂粉体の電荷の制御
によって任意に設定される。前記半融着樹脂層における
外周側の不完全融着状態の樹脂粉体は、先に述べた方法
と同様、金属体が外周加熱装置を通る際に外周側から加
熱されることによって完全に融着し、塗膜としての連続
組織となる。
【0017】この方法は、誘導加熱装置による誘導加熱
工程において金属素線の表面と樹脂塗膜との密着・定着
性を確保し、前記誘導加熱装置による加熱量と静電粉体
塗装装置での樹脂粉体への印加電圧によって樹脂塗膜の
膜厚を制御し、外周加熱装置による加熱工程で樹脂塗膜
の性能を確保するものである。
【0018】なお、本発明に係る上述の各方法におい
て、樹脂粉体として熱硬化性樹脂を使用する場合には、
例えば電磁コイルの巻線用の導線などのように、可撓性
を要求される金属体の被覆においては、融着により可撓
性を有する樹脂塗膜を生成するものが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明に係る連続した金
属体の樹脂塗膜形成方法の第一の実施形態を示すもの
で、図中の参照符号10は連続した金属体としての金属
素線、11はこの金属素線10を繰り出す巻き出し機、
17は前記金属素線10を巻き取る巻き取り機で、前記
巻き出し機11から巻き取り機17への前記金属素線1
0の連続移送経路に沿って、表面処理装置12、静電粉
体塗装装置13、誘導加熱装置14及び外周加熱装置1
6が順次配列されている。
【0020】すなわち、巻き出し機11から連続的に繰
り出される金属素線10は、まず表面処理装置12に送
られる。この表面処理装置12では、金属素線10の表
面の油脂や汚れを洗浄したり、表面欠陥を除去し、ある
いは更に、図1におけるA−A’線の位置で金属素線1
0を切断した図5(A)に示すように、後述する樹脂塗
膜に金属素線10の表面に達するような傷がついても容
易に腐食しないように化成化膜10aを形成するといっ
た表面処理が施される。
【0021】表面処理装置12を通過した金属素線10
は、その後段の静電粉体塗装装置13に送られる。静電
粉体塗装装置13は、図6に示すように、上端を開放し
たケース131と、このケース131内の所定の高さに
横架された電極板132と、この電極板132の上に固
定された多孔板133と、電極板132の下側のケース
下部空間に乾燥空気DAを送風する送気管134と、電
極板132にケーブル135aを介して接続された高圧
発生器135と、多孔板133上のチャンバ13aに熱
硬化性の樹脂粉体(例えばエポキシ樹脂粉末)Pを供給
する樹脂粉体供給管136と、チャンバ13a内の樹脂
粉体Pの量を検出するレベルセンサ137と、ケース1
31の上端開口に対向配置されエア吸引による余剰粉体
塗料回収部(図示省略)に接続されたフード138とを
備え、金属素線10はケース131とフード138との
間(チャンバ13a)を図中左側から右側へ向けて一定
速度で移送されるようになっている。
【0022】すなわち、この静電粉体塗装装置13は、
高電圧発生器135で発生させた高電圧を電極板132
に印加することによって、多孔板133を介して樹脂粉
体Pを帯電させると共に、送気管134から所定の圧力
でケース131内に乾燥空気DAを送り込むことによっ
て、帯電した樹脂粉体Pをエアレイトすると、多孔板1
33側からフード138へ向けて上昇する乾燥気流によ
って浮遊する樹脂粉体Pの粒子が、同一符号の電荷によ
って互いに反斥し合うので、チャンバ13a内にほぼ均
一に分布する。一方、チャンバ13a内を一定速度で連
続移送される金属素線10は、その送り機構(図示省
略)等を通じて電気的に接地されている。したがって、
図1におけるB−B’線の位置で金属素線10を切断し
た図5(B)に示すように、静電粉体塗装装置13(チ
ャンバ13a)を通過する過程で、金属素線10の表面
には帯電した樹脂粉体Pがクーロンの法則によって静電
付着し、均一な厚さの樹脂粉体層10bが形成される。
【0023】チャンバ13a内の樹脂粉体Pの堆積量は
レベルセンサ137によって常時検出されており、その
検出値に基づいて、樹脂粉体供給管136からの樹脂粉
体Pの補給が行われる。このため、チャンバ13a内の
樹脂粉体Pは常に一定レベルに維持され、金属素線10
への樹脂粉体Pの付着が安定的に行われる。また、金属
素線10に付着せずにその上側へ通過した余剰粉体塗料
は、フード138を介して回収され、リサイクル使用さ
れる。
【0024】なお、上記樹脂粉体Pとしては、熱硬化反
応による架橋硬化によって耐摩耗性や延伸性及び可撓性
に優れた特性を発現するものが好ましく、具体的には、
例えばECP−208タイプBAエポキシ粉体塗料(住
友ベークライト株式会社製造)、あるいはパウダックス
P70(日本ペイント株式会社製造)などが適用可能で
ある。また、樹脂粉体層10bの層厚(樹脂粉体Pの静
電付着量)は、高電圧発生器135の印加電圧による樹
脂粉体Pの電荷の制御によって所望の厚さに設定するこ
とができる。
【0025】静電粉体塗装装置13を通過することによ
って外周に樹脂粉体Pの静電付着による所定層厚の樹脂
粉体層10bが形成された金属素線10は、その後段の
誘導加熱装置14に送られる。誘導加熱装置14は、高
周波発振器141と、静電粉体塗装装置13からの金属
素線10の移送経路を包囲するように配置されて前記高
周波発振器141からの高周波電力の印加により高周波
磁界を発生する発振コイル142とを備える。したがっ
て、金属素線10は、発振コイル142内を通過する過
程で発生する誘導電流(渦電流)によって発熱し、その
外周の樹脂粉体層10bは、熱硬化性樹脂であるエポキ
シ樹脂粉体Pがいったん溶融され互いに融着するゲル化
過程を経て高分子化され、熱硬化反応により架橋硬化す
るため、図1におけるD−D’線の位置で金属素線10
を切断した図2(D)に示すように、金属素線10の表
面に密着した完全融着組織からなる樹脂塗膜10dが形
成される。
【0026】誘導加熱装置14を通過することによって
外周が樹脂塗膜10cで被覆された金属素線10(被覆
線10’)は、その後段の冷却装置16に送られる。冷
却装置16としては空冷又は水冷方式のものが採用さ
れ、その冷却室内を通過することによって、被覆線1
0’はほぼ常温まで冷却され、巻き取り機17によって
巻き取られる。
【0027】この実施形態で用いられる樹脂粉体Pは、
先に説明したように、熱硬化反応による架橋硬化によっ
て耐摩耗性や延伸性及び可撓性に優れた特性を発現する
ものである。したがって、上述の工程を経て形成される
樹脂塗膜10dは、高張力条件においても金属素線10
の表面に対する優れた接着性を示すと共に、耐摩耗性や
延伸性に優れ、曲げにも強いので、信頼性の高い被覆線
10’が得られる。
【0028】また、上述の方法は、誘導加熱装置14で
の金属素線10の誘導加熱工程において、金属素線10
の抵抗発熱量や熱容量に係る加熱温度や加熱時間が、樹
脂粉体層10bが完全にゲル化可能な温度やゲル化まで
の時間よりも大きい場合に有効である。すなわちこの場
合は、金属素線10からの伝熱によって樹脂粉体層10
bの外周部まで十分にゲル化可能な温度に加熱されるの
で、誘導加熱装置14を通過する過程で金属素線10の
外周に完全融着組織からなる樹脂塗膜10dが形成され
るが、前記金属素線10の加熱温度や加熱時間が、樹脂
粉体層10bが完全にゲル化可能な温度やゲル化までの
時間よりも小さい場合は、誘導加熱装置14を通過する
までに樹脂粉体層10bはその外周部まで十分にゲル化
可能な温度には加熱されない。このような場合は、以下
に説明する第二の実施形態あるいは第三の実施形態によ
る方法を採用する。
【0029】図2は、本発明に係る連続した金属体の樹
脂塗膜形成方法の第二の実施形態を示すもので、上述し
た第一の実施形態と異なる点は、誘導加熱装置14と冷
却装置16との間に外周加熱装置15を配置した点にあ
る。またこの実施形態においては、誘導加熱装置14の
高周波発振器141の出力を、金属素線10の誘導発熱
温度が樹脂粉体Pの融解点に相当する温度となるように
設定する。
【0030】この第二の実施形態による方法は、先に説
明したように、誘導加熱装置14における金属素線10
の加熱温度や加熱時間が、樹脂粉体層10bが完全にゲ
ル化可能な温度やゲル化までの時間よりも小さい場合に
有効である。すなわち、静電粉体塗装装置13を通過す
ることによって図5(B)に示すように外周に所定層厚
の樹脂粉体層10bが静電付着された金属素線10は、
誘導加熱装置14の発振コイル142内を通過する過程
で渦電流の発生により発熱し、この金属素線10の表面
に接している樹脂粉体層10bの内周部では、樹脂粉体
Pがゲル化して熱硬化反応により架橋硬化するが、前記
金属素線10の加熱温度・加熱時間と、樹脂粉体層10
bのゲル化温度・ゲル化時間と、樹脂粉体Pの熱伝導率
との関係から、誘導加熱装置14を通過するまでに樹脂
粉体層10bはその外周部まで十分にゲル化可能な温度
には加熱されない。したがって、誘導加熱装置14の発
振コイル142内を通過する過程で、金属素線10の外
周には、図2におけるC−C’線の位置で金属素線10
を切断した図5(C)に示すように、金属素線10の表
面に密着した完全融着層10c1 と、その外周側の、粒
子としての形態が残存した不完全融着層10c2 からな
る半融着樹脂層10cが形成される。
【0031】誘導加熱装置14の発振コイル142内を
通過することによって外周に半融着樹脂層10cが形成
された金属素線10は、外周加熱装置15に送られる。
この外周加熱装置15における加熱温度は、好ましくは
エポキシ樹脂粉体Pの融着・熱硬化に適した例えば20
0〜280℃に設定されている。このため、金属素線1
0の外周の半融着樹脂層10cは、外周加熱装置15を
通過する過程で外周側から加熱され、溶融して数秒間の
ゲル化過程を経て、熱硬化反応によって完全に硬化し、
先に説明した図5(D)に示すように、完全融着・硬化
したエポキシ樹脂塗膜10dが形成される。
【0032】なお、その他の工程は先の第一の実施形態
とほぼ同様であるため、その説明は省略する。
【0033】次に図3は、本発明に係る連続した金属体
の樹脂塗膜形成方法の第三の実施形態を示すものであ
る。この実施形態は、静電粉体塗装装置13と誘導加熱
装置14を上述した第二の実施形態とは逆の位置関係と
している。また、この実施形態においては、誘導加熱装
置14によって誘導発熱された金属素線10が静電粉体
塗装装置13に到達した時の温度がほぼ樹脂粉体Pの融
解点となるように、誘導加熱装置14とその後段の静電
粉体塗装装置13との距離や移送速度及び金属素線10
の熱容量による金属素線10の温度低下を考慮して、誘
導加熱装置14の高周波発振器141の出力を、金属素
線10の誘導発熱温度が樹脂粉体Pの融解点よりも適宜
高温となるように設定する。
【0034】すなわち、この第三の実施形態において
は、表面処理装置12によって図5(A)に示すように
表面処理された金属素線10は、誘導加熱装置14の発
振コイル142内を通過する過程で誘導発熱し、静電粉
体塗装装置13のチャンバ13a内に送られる。金属素
線10の温度は、樹脂粉体Pの融解点にほぼ相当するた
め、チャンバ13a内で金属素線10の表面に静電付着
された樹脂粉体Pは直ちに溶融して融着するが、更にそ
の外側に継続して静電付着されて行く樹脂粉体Pは、付
着層厚の増大に伴って不完全融着状態となる。このた
め、金属素線10の外周には、図5(B)に示す樹脂粉
体層10bの形成過程を経ることなく、図5(C)に示
す半融着樹脂層10cが形成される。
【0035】静電粉体塗装装置13を通過することによ
って外周に半融着樹脂層10cが形成された金属素線1
0は外周加熱装置15に送られ、その後は第二の実施形
態で説明したのと同様の過程で、金属素線10を樹脂塗
膜10dで被覆してなる被覆線10’が得られる。
【0036】なお、この方法により形成される樹脂塗膜
10dの膜厚精度は、先の第一及び第二の実施形態によ
るものよりも低いが、密着性に優れた比較的厚い樹脂塗
膜の形成に適している。
【0037】次に図4は、本発明に係る連続した金属体
の樹脂塗膜形成方法の第四の実施形態を示すものであ
る。この実施形態は、巻き出し機11から巻き取り機1
7へ向けて、複数条の金属素線10が連続移送され、そ
の連続移送経路に沿って、先の図1に示す第一の実施形
態と同様の配列で表面処理装置12、静電粉体塗装装置
13、誘導加熱装置14及び外周加熱装置16が配置さ
れ、それぞれを前記複数条の金属素線10が通過するよ
うになっている。すなわち、この実施形態は、複数条の
金属素線10に同時に樹脂被覆することによって生産性
を向上させたものである。なお、第二及び第三の実施形
態の装置配列でも、本実施形態と同様に複数条の金属素
線を同時に樹脂被覆する構成とすることができる。
【0038】上述の各実施形態において、静電粉体塗装
装置13としては先に説明した図6に示す構成以外のも
のも適用可能である。
【0039】例えば、図7に示す静電粉体塗装装置13
は、高電圧発生器135によって高電圧が印加される上
部の静電スプレーガン139から、樹脂粉体Pを帯電さ
せながらチャンバ13a内に噴射するようになってお
り、この帯電した樹脂粉体Pを、互いに反斥しながらチ
ャンバ13a内を落下する過程で、図示の断面と直交す
る方向に移送されている金属素線10の表面に静電付着
させるものである(例えば特公平4−55745号公報
参照)。金属素線10の表面に付着せずにケース131
内の流動槽13bに落下した樹脂粉体Pは、送気管13
4から多孔板133を介して前記流動槽13bに噴出す
る乾燥空気DAによってエアレイトされ、再びチャンバ
13a内に舞い上がるので、金属素線10の表面への樹
脂粉体Pの静電付着が上下から効率良く行われる。
【0040】また、樹脂粉体Pとしては、エポキシ樹脂
以外の樹脂材料、例えば熱可塑性樹脂を用いることもで
きる。熱可塑性樹脂を用いる場合は、当然ながら、図5
(C)に示す半融着樹脂層10c及び図5(D)に示す
樹脂塗膜10dの形成過程では熱硬化反応は起こらず、
冷却装置16による冷却過程で硬化する。
【0041】また、上述の各実施形態では、金属素線1
0に樹脂被覆を行う場合について説明したが、金属素線
以外の連続した金属体、例えば鋼撚り線を被覆して防錆
被覆ワイヤを製造する工程等にも適用できる。この場合
は、鋼撚り線を一時的に個々の金属素線に緩解し、本発
明の方法で樹脂塗膜を形成してから撚り戻す。
【0042】
【発明の効果】本発明によると、次のような効果が実現
される。 (1) 樹脂粉体を用いるので、液状樹脂を用いる場合のよ
うな溶剤等の揮発による危険性や公害のない作業環境と
することができる。 (2) 樹脂塗膜の形成工程を何度も繰り返す必要がないの
で、生産性を向上させることができる。 (3) 樹脂塗膜の膜厚が、静電粉体塗装装置により樹脂粉
体に与える電荷の制御によって任意に設定でき、膜厚の
精度を向上することができる。 (4) 樹脂塗膜の内周部が、連続した金属体の表面にこの
金属体の誘導発熱による良好な融着状態となっているの
で、信頼性の高い製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る連続した金属体の樹脂塗膜形成方
法の好ましい第一の実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る連続した金属体の樹脂塗膜形成方
法の好ましい第二の実施形態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る連続した金属体の樹脂塗膜形成方
法の好ましい第三の実施形態を示す説明図である。
【図4】本発明に係る連続した金属体の樹脂塗膜形成方
法の好ましい第四の実施形態を示す説明図である。
【図5】上記各実施形態における樹脂塗膜形成過程を示
す断面図である。
【図6】本発明において用いられる静電粉体塗装装置の
一例を示す概略的な断面図である。
【図7】本発明において適用可能な静電粉体塗装装置の
他の例を示す概略的な断面図である。
【符号の説明】
10 金属素線(連続した金属体) 10b 樹脂粉体層 10c 半融着樹脂層 10d 樹脂塗膜 10’ 被覆線 13 静電粉体塗装装置 14 誘導加熱装置 15 外周加熱装置 P 樹脂粉体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続した金属体を静電粉体塗装装置に連
    続移送して通すことにより前記金属体の表面に樹脂粉体
    を静電付着させる工程と、 表面に樹脂粉体が静電付着された前記金属体を誘導加熱
    装置に連続移送して通すことにより前記樹脂粉体を融着
    させ、前記金属体の表面に定着した樹脂塗膜を形成する
    工程と、からなることを特徴とする連続した金属体の樹
    脂塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 連続した金属体を静電粉体塗装装置に連
    続移送して通すことにより前記金属体の表面に樹脂粉体
    を静電付着させる工程と、 表面に樹脂粉体が静電付着された前記金属体を誘導加熱
    装置に連続移送して通し前記金属体を誘導発熱させるこ
    とにより前記樹脂粉体を内周側から加熱して半融着さ
    せ、前記金属体の表面に半融着樹脂層を形成する工程
    と、 表面に前記半溶融樹脂粉体層を形成した前記金属体を外
    周加熱装置に連続移送して通すことにより前記半融着樹
    脂層を外周側から加熱して完全融着させ、前記金属体の
    表面に定着した樹脂塗膜を形成する工程と、からなるこ
    とを特徴とする連続した金属体の樹脂塗膜形成方法。
  3. 【請求項3】 連続した金属体を誘導加熱装置に連続移
    送して通すことにより前記金属体を誘導発熱させる工程
    と、 前記誘導発熱させた金属体を静電粉体塗装装置に連続移
    送して通すことにより前記金属体の表面に樹脂粉体を静
    電付着させると共に半融着させて前記金属体の表面に半
    融着樹脂層を形成する工程と、 表面に前記半融着樹脂層を形成した前記金属体を外周加
    熱装置に連続移送して通すことにより前記半融着樹脂層
    を外周側から加熱して完全融着させ、前記金属体の表面
    に定着した樹脂塗膜を形成する工程と、からなることを
    特徴とする連続した金属体の樹脂塗膜形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかの記載におい
    て、 樹脂粉体が、熱硬化反応により可撓性を有する樹脂塗膜
    を生成する熱硬化性樹脂からなることを特徴とする連続
    した金属体の樹脂塗膜形成方法。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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