JPH1029584A - 自動二輪車のフロントフォーク取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フロントフォークにおける捩れの発生を防止
し得ると共に、サスペンションの調整においてフロント
フォークの上端部がハンドルバーと干渉することのない
自動二輪車のフロントフォーク取付構造を提供する。 【解決手段】 各フロントフォーク５，６の上方部を挿
通・固定させる円筒部１１，１２を平板状の連結部１３
によって連結してなるフォークホルダ１０と、フォーク
ホルダ１０の連結部１３の後面にボルト２２によって締
着固定されると共にハンドルバー７を固定するアッパー
ブラケット１９と、フォークホルダ１９の連結部１３の
後面にアッパーブラケット１９より下方に締着固定され
るロアブラケット１７とを設け、ステアリングシャフト
１５を介してアッパーブラケット１９とロアブラケット
１７とをフレーム２の前端部に回動自在に支持させると
共に、前記ボルト２２の挿通孔を長孔１３ａ，１３ｂに
形成したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動二輪車のフロ
ントフォークをフレーム前端部に取り付けると共に、前
記ハンドルバーを保持するようにしたフロントフォーク
取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動二輪車の前輪を回動自在に支
持するフロントフォークは、図５及び図６に示す構造に
よってフレームａに取り付けられている。同図におい
て、左右一対のフロントフォークｂ１，ｂ２の上端部に
は、両フォークｂ１，ｂ２を所定の間隔を介して保持す
るアッパーブラケットｃが固定されると共に、前記アッ
パーブラケットｃの下方には、前記アッパーブラケット
ｃと略同一形状をなすロアブラケットｄが固定されてい
る。

【０００３】また、前記アッパー、ロアの両ブラケット
ｃ，ｄの間には、前記フロントフォークｂ１，ｂ２より
やや後端面寄りにステアリングシャフトｅの両端部が固
定されている。このステアリングシャフトｅは、自動二
輪車の骨格をなすフレームａの前端部を構成するヘッド
パイプａ１の内面にベアリングｆ１，ｆ２を介して挿入
されるようになっており、これによって、ヘッドパイプ
ａ１はステアリングシャフトｅを中心に回動自在に支持
され、フロントフォークｂ１，ｂ２とステアリングシャ
フトｅとの連結がなされる。一方、前記アッパーブラケ
ットｃの上面には保持部ｃａ，ｃａが突設されており、
この保持部ｃａ，ｃａの凹部ｃａ１，ｃａ１にハンドル
バーｇの中間部ｇ１を嵌合させた後、固定部材ｈ，ｈを
保持部ｃ１，ｃ１にボルトｉにて締着することによりハ
ンドルバーの中間部を固定し得るようになっている。な
お、図５中、ｊ，ｍはステアリングシャフトｅをヘッド
パイプａ１及びアッパーブラケットｃに固定するための
ナット、ｋはワッシャである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
ハンドルバー取付構造にあっては、アッパーブラケット
ｃとロアブラケットｄとが別体に形成されているため、
転倒などによって比較的強い外力が加わった場合には、
図７に示すように、前輪ｏを保持するフロントフロント
フォークｂ１，ｂ２が捩れ易いという問題があった。ま
た、周知のように自動二輪車では、走行するコースや路
面などの状況に応じてサスペンションを調整することが
必要であり、その調整はフロントフォークとフレームａ
との相対位置の増減、すなわち両ブラケットｃ，ｄ上面
からのフロントフォークｂ１，ｂ２の突き出し量を増減
させることによって行っている。ところが、上記従来の
構造にあっては、ハンドルバーｇがアッパーブラケット
ｃの上面に固定されているため、図６のＡに示すよう
に、フロントフォークｂ１，ｂ２の上端部がハンドルバ
ーｇの下端に当接してしまい、十分な突き出し量が得ら
れず、サスペンションの調整範囲が制限されるという問
題があった。

【０００５】本発明は、前記従来の問題に着目してなさ
れたものであり、フロントフォークにおける捩れの発生
を防止し得ると共に、サスペンションの調整においてフ
ロントフォークの上端部がハンドルバーと干渉すること
のない自動二輪車のフロントフォーク取付構造の提供を
目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、前輪を支持す
る左右一対のフロントフォークの上方部を自動二輪車の
フレームの前端部にステアリングシャフトを中心に回動
自在に保持させると共に、前記ハンドルバーをフロント
フォークと一体的に保持させるようにした自動二輪車の
フロントフォーク取付構造であって、前記各フロントフ
ォークの上方部を挿通固定させる左右一対の円筒部と、
両円筒部を所定の間隔を介して連結する平板状の連結部
とを一体に形成してなるフォークホルダと、前記フォー
クホルダの連結部の後面にボルトによって締着固定され
ると共に、上面にハンドルバーが固定されるアッパーブ
ラケットと、このアッパーブラケットの連結部後面に前
記アッパーブラケットより下方に所定の間隔を介してボ
ルトにより締着固定されるロアブラケットとを設け、前
記アッパーブラケットとロアブラケットとによって回動
自在に支持されたステアリングシャフトに回動自在にフ
レーム前端部を支持させると共に、前記両ブラケットを
締着固定するボルトの挿通孔を長孔に形成し、前記両ブ
ラケットの固定位置を長孔に沿って上下方向へと調整可
能としたものである。

【０００７】上記構成を有する本発明においては、各フ
ロントフォークに対し前後に相反する力が加わったとし
ても、各フロントフォークを保持する両円筒部が平板状
の連結部によって互いに連結されているため、この連結
部が各フォークに加わる力に抗して作用し、捩れの発生
を大幅に低減することができる。また、サスペンション
を調整する場合には、フォークホルダに対するアッパー
ブラケットの固定位置を上下に調整することにより行
う。このとき、ハンドルバーはフロントフォーク上端部
の延長空間より後方に位置しているためハンドルバーと
干渉することはなく、十分な調整量を得ることができ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図１は本発明の実施の形態
を備えた自動二輪車の前方部の構成を示す説明側面図、
図２は、図１に示したフロントフォーク取付構造を示す
分解斜視図、図３は図２に示したフロントフォーク取付
構造の一部縦断説明正面図、図４は図３に示したものの
平面図である。図１に示す自動二輪車１は、車体の骨格
をなすクレードルタイプのフレーム２にエンジン４を保
持させたものとなっており、フレーム２の前端部を構成
するヘッドパイプ３には、図２に示すフロントフォーク
取付構造を介して２本のフロントフォーク５，６が取り
付けられている。

【０００９】図２に示すフロントフォーク取付構造にお
いて、フロントフォーク５，６の上端部には、取付部材
１０が取り付けられる。この取付部材１０は、前記各フ
ロントフォーク５，６の上方部を挿通・固定させる左右
一対の円筒部１１，１２と、、この両円筒部１１，１２
を連結する平板状の連結部１３とにより構成されてい
る。このうち、前記円筒部１１，１２はスリット１１
ａ，１２ａによって一部が切欠形成されており、この円
筒部１１，１２にフロントフォーク５，６を挿通させた
後、ボルト１４を螺合させることにより、フロントフォ
ークの上端部を確固に締着固定し得るようになってい
る。また、前記連結部１３には、上下方向に沿って延出
する長孔１３ａ，１３ａと、１３ｂ，１３ｂとが上下に
所定の間隔を介して形成されている。

【００１０】一方、前記ヘッドパイプ３内には、ステア
リングシャフト１６がベアリング１５ａ，１５ｂを介し
て回動自在に挿通されており、そのステアリングシャフ
ト１５の下端部にはロアブラケット１７が固定されてい
る。また、ステアリングシャフト１５のヘッドパイプ３
の上端からの突出部分には、ナット１８が螺合すると共
に、ナット１８より上方に突出する部分にはアッパーブ
ラケット１９が挿通されており、さらに、アッパーブラ
ケット１９より上方へと突出する部分には、ワッシャ２
４を介してナット２５が螺合している。これにより、ス
テアリングシャフト１５は、ヘッドパイプ３に回動自在
に支持される。

【００１１】前記アッパーブラケット１９には、前述の
ようにステアリングシャフト１５を挿通させるための挿
通孔１９ａが形成されると共に、左右両側部にはそれぞ
れハンドルバー７の中間部７ａを嵌合させる凹面部１９
ａが形成されると共に、各凹面部１９ａの前後両位置に
は螺孔１９ｂが形成されている。また、このアッパーブ
ラケット１９の上面には、前記螺孔１９ｂに螺合するボ
ルト２１，２１によって固定部材２０，２０を固定し得
るようになっており、この固定部材２０，２０には前記
ボルト２１，２１を挿通させるための挿通孔２０ｂ，２
０ｂが形成されると共に、前記アッパーブラケット１９
の凹面部１９ａ，１９ａとの対向位置には凹面部２０
ａ，２０ａが形成されている。

【００１２】そして、自動二輪車のハンドルバー７は、
前記アッパーブラケット１９の凹面部１９ａと固定部材
２０，２０の凹面部２０ａ，２０ａとに嵌合させた状態
で、ボルト２１，２１を螺合させることによって締着固
定される。また、前記アッパーブラケット１９及びロア
ブラケット１７の前端部には、螺孔１９ｃ，１７ｃが形
成されており、前記長孔に挿通させた４本のボルト２２
を各螺孔１９ｃ，１７ｃに螺合させることにより、両ブ
ラケット１９，１７はフォークホルダ１０における連結
部１３の後面に固定されるようになっている。

【００１３】以上のように、この実施の形態におけるフ
ロントフォーク取付構造では、左右一対のフロントフォ
ーク５，６を保持する円筒部が、平板状の連結部１３に
よって連結、保持されているため、例えば転倒時等にお
いて両フロントフォーク５．６の上方部と下方部とに相
反する回転方向への力が加わったとしても、両フロント
フォーク５，６における捩れの発生は抑制される。この
ため、フロントフォークの破損は防止され、自動二輪車
の耐久性は大幅に向上する。また、フォークホルダ１０
と両ブラケット１７，１９とは、ボルト２２によって固
定されるようになっており、ボルト２２は上下に延出す
る長孔１３ａ，１３ｂに挿通されているため、両ブラケ
ット１７，１９は、長孔１３ａ，１３ｂの範囲内でフォ
ークホルダ１０への固定位置を上下に変更することがで
きる。

【００１４】従って、フロントフォークにおけるサスペ
ンションを調整する場合には、前述のように、両ブラケ
ット１７，１９とフォークホルダ１０との相対位置を変
更することによって容易に行うことができる。しかも、
ブラケット１７，１９は、フォークホルダ１０の後方へ
と突出しており、ここにハンドルバー７が保持されてい
るため、フロントフォーク５，６をフレーム２に対して
上方へと移動させる場合にも、ハンドルバー７にフロン
トフォーク５，６が干渉することはなく、長孔１３ａ，
１３ｂの範囲内で自由に固定位置を調整することができ
る。

【００１５】なお、上記実施の形態においては、アッパ
ーブラケット１９及びロアブラケット１７に螺孔を形成
すると共に、フォークホルダ１０に長孔１３ａ，１３ｂ
を形成し、その長孔１３ａ，１３ｂに挿通したボルト２
２を螺孔１９ｃ，１７ｃに螺合させることによって両ブ
ラケット１７，１９を固定するようにしたが、アッパー
ブラケットにボルトを挿通させる長孔を形成し、ここに
挿通させたボルトをフォークホルダに形成した螺孔に螺
合させるようにしても良い。

【００１６】また、両ブラケットとフォークホルダの双
方にボルト挿通孔を形成し、両挿通孔に挿通させたボル
トにナットを螺合させて締着固定するようにしても良
い。この場合、ブラケットとフォークホルダのいずれか
一方の挿通孔を上下方向へと延出する長孔に形成するこ
とで、ブラケットとフォークホルダとの相対位置を上下
に調整することができる。また、このように両ブラケッ
トに挿通孔を形成する場合には、両ブラケットにフォー
クホルダと接する面を上下方向へと延設する必要があ
り、そのためには例えば前記両ブラケットをＬ字状に形
成することが考えられる。

【００１７】

【発明の効果】以上説明した通り本発明によれば、左右
一対のフロントフォークを保持する円筒部が平面状の連
結部によって連結、保持されているため、フロントフォ
ークにおける捩れの発生を抑制することができ、自動二
輪車の耐久性を大幅に向上することができる。また、フ
ォークホルダと両ブラケットとを固定するボルトの挿通
孔が上下に延出する長孔となっており、フォークホルダ
に対する両ブラケットの固定位置を上下に調整すること
ができるため、この調整によってフロントフォークにお
けるクッション特性を容易に変更することができる。し
かも、両ブラケットは、フォークホルダに対して後方へ
と突出しており、ここにハンドルバーが保持されている
ため、フロントフォークをフレームに対して上方へと移
動させる場合にも、ハンドルバーとフロントフォークと
が干渉することはなく、長孔の範囲内で自由に固定位置
を調整することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態を備えた自動二輪車の前方
部の構成を示す説明側面図である。

【図２】図１に示したフロントフォーク取付構造を示す
分解斜視図である。

【図３】図２に示したフロントフォーク取付構造の位置
部縦断説明正面図である。

【図４】図３に示したものの平面図である。

【図５】従来のフロントフォーク取付構造を示す分解斜
視図である。

【図６】図５に示したものの組立状態を示す説明正面図
である。

【図７】図６に示したものにおいてフロントフォークに
捩れが発生した状態を示す説明平面図である。

【符号の説明】

１ 自動二輪車 ２ フレーム ５，６ フロントフォーク ７ ハンドルバー １０ フォークホルダ １１，１２ 円筒部 １３ 連結部 １３ａ，１３ｂ 長孔（ボルトの挿通孔） １６ ステアリングシャフト １７ ロアブラケット １９ アッパーブラケット ２２ ボルト

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前輪を支持する左右一対のフロントフォ
   ークの上方部を自動二輪車のフレームの前端部にステア
   リングシャフトを中心に回動自在に保持させると共に、
   前記ハンドルバーをフロントフォークと一体的に保持さ
   せるようにした自動二輪車のフロントフォーク取付構造
   であって、 前記各フロントフォークの上方部を挿通固定させる左右
   一対の円筒部と、両円筒部を所定の間隔を介して連結す
   る平板状の連結部とを一体に形成してなるフォークホル
   ダと、 前記フォークホルダの連結部後面にボルトによって締着
   固定されると共に、上面にハンドルバーが固定されるア
   ッパーブラケットと、 前記アッパーブラケットの連結部後面に前記アッパーブ
   ラケットより下方に所定の間隔を介してボルトにより締
   着固定されるロアブラケットとを設け、 前記アッパーブラケットとロアブラケットとによって回
   動自在に支持されたステアリングシャフトに回動自在に
   フレーム前端部を支持させると共に、 前記両ブラケットを締着固定するボルトの挿通孔を長孔
   に形成し、 前記両ブラケットのフォークホルダへの固定位置を長孔
   に沿って上下方向へと調整可能としたことを特徴とする
   自動二輪車のフロントフォーク取付構造。