JPH10272420A - 超音波3dトルク共振子及びアクチュエータ - Google Patents

超音波3dトルク共振子及びアクチュエータ

Info

Publication number
JPH10272420A
JPH10272420A JP9114126A JP11412697A JPH10272420A JP H10272420 A JPH10272420 A JP H10272420A JP 9114126 A JP9114126 A JP 9114126A JP 11412697 A JP11412697 A JP 11412697A JP H10272420 A JPH10272420 A JP H10272420A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
torque
electrostrictive
rotor
revolution
rotation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9114126A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Kumada
明生 熊田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
PIEZO TEC KK
Original Assignee
PIEZO TEC KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by PIEZO TEC KK filed Critical PIEZO TEC KK
Priority to JP9114126A priority Critical patent/JPH10272420A/ja
Publication of JPH10272420A publication Critical patent/JPH10272420A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Apparatuses For Generation Of Mechanical Vibrations (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の圧電共振子のID振動に対して電歪公
転子では径方向と周方向を結合したモード回転の2Dト
ルクを利用してきた。ここでは円筒状電歪公転子の径・
周方向に加えて軸方向のモードも結合させ3Dトルク共
振子を実現する。3Dトルク共振子は円筒の全面に3方
向成分を持つ3Dトルクが発生し、内・外接ロータの
外、強力な端面回転モータ、吸入・排出する回転/リニ
アモータ、これらを組合わせた多機能モータを実現し、
さらにその高効率化を目的とする。 【構成】 円筒の肉厚の中心に沿った円周長λの1/4
を軸長とし、径方向に分極した圧電円筒の音速cの1/
λの周波数fの1.5倍の周波数fで非対称励振す
れば3Dトルクが発生し、図1のように圧接したロータ
が回転する。電極配置を内周面は非分割、外周面を4分
割し、対角位同志を直列接続して非対称励振すれば、半
分の電流で遜色のないトルクが発生し、高効率化を達成
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電歪公転子に関わり、超
音波モータ、超音波移動子および超音波トランスデュー
サなどの超音波アクチュエータにおける駆動力発生源と
して利用する素子であり、円筒の全周面に3Dトルクが
発生し、端面に接触されたロータは回転軸が円筒の径方
向、軸方向または円周方向のいずれの方向に保持されて
いても可逆回転が可能であり、円筒に内接または外接さ
れたロータについても同様の現象が見られ、さらに円筒
に内接または外接された移動子が軸方向に吸い込まれた
り、あるいは軸方向に排出されるなどの直線運動を実現
することもでき、その上これらの動作はロータまたは移
動子を固定して共振子自体を動かすこともできる。しか
もこのアクチュエータ一個で上述の幾つかの動作を同時
にまたは順次に行うことができるので、正に夢のアクチ
ュエータを実現することができたと言える。従来このよ
うな多機能アクチュエータは存在しなかったので、広範
な分野への利用は今後の展開に待たざるを得ない。この
意味で本願実施例は産業上の広範な利用分野のほんの一
部に利用した場合の例示にすぎないことを予めお断りし
ておく。
【0002】
【従来の技術】本発明者は円板・円環・円筒またはチュ
ーブなど円形状を有する圧電素子を用いて、電圧による
圧電変形がその中心軸に対して非対称に生ずるごとく励
振することを特徴とする電歪公転子、例えば超音波回転
振動子(特許 第2529233号)、四極回転型超音
波振動子(特願昭62−11375)、円筒型超音波四
極回転型振動子(特願昭62−71594)、パイプ状
電歪公転子及びモータ(特願平1−114249)ある
いは単相可逆回転型電歪公転子モータ(特願平3−26
3349)などを提案してきた。円形状を有する圧電素
子は縮退した回転モードを有するので、非対称励振をす
ると、素子のすべての部分が公転モードに共振し、円周
面に公転トルクが発生する。
【0003】円板・円環状電歪公転子の厚さの方向は中
心軸と平行であり、円筒又はチューブ形状を有する電歪
公転子の厚さの方向は中心軸と垂直な径方向にあるが、
いずれの電歪公転子の場合も圧電セラミックは厚さ方向
に分極されている。厚さに垂直な円面または円周面など
の主面全域に渡って同じ向きに分極されている素子を対
称分極電歪公転子と言い、主面を直径で二等分した領域
同志が互いに逆極性になる向きに分極されている素子を
非対称分極電歪公転子と言う。
【0004】電歪公転子に発生する公転トルクは、用途
によって固有の向きで差支えない場合と、可逆性が要求
される場合とがある。一方回転は単相電圧で励振でき、
非対称分極には非分割電極が、対称分極には二分割電極
が用いられる。可逆回転には、対称分極に対しても非対
称分極に対しても、単相電圧で励振する場合も二(or
四)相電圧で励振する場合も、少なくとも四分割電極が
用いられる。
【0005】この様にして、電歪公転子は圧電素子の形
状、電極配置、励振方法、励振電圧の種類を選ぶことに
より、様々な用途に対して最も相応しい公転トルクが得
られるように開発されてきた。しかしながらこれまでに
利用されてきた公転トルクは、中心軸に垂直で直径を含
む面内の公転モードだけであり、径に垂直な成分を持つ
モードを利用することはできなかった。
【0006】つまり従来の円筒形状の電歪公転子では、
中心軸方向に内接した丸棒、円筒に、或いは軸方向に外
接した丸棒、円筒に、もしくは電歪公転子を挿入できる
丸いトンネル状の内周面を有する物体に、夫々回転トル
クを作用させることはできた。さらに、円筒の長さを径
方向よりも充分長くすると、皿回しの原理により円筒の
中心部よりも強力なトルクを両端部に、中心軸に垂直な
面内で発生させることはできたが、円筒の端面に直径に
垂直なトルクを発生させることはできなかった。
【0007】このため、例えば円板状のロータの回転軸
を公転子の中心軸と同軸に保って公転子の端面に圧接し
ても回転しないので、ロータをすり鉢状にして径方向に
発生するトルクを作用させるなどの工夫が必要であっ
た。さらに円筒形状の電歪公転子の内・外周面に軸方向
に作用する線形トルクを発生させ、リニヤモータに利用
することなどは不可能とされてきた。
【0008】このように見てみると、電歪公転子に限ら
ず従来の振勲子は、発生するトルクが振動モードに固有
の特定な面内だけであり、少なくとも今一つ別の面内で
の運動奇跡を有するトルクをも発生させる多機能化はで
きないと言う欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】中心軸に垂直で直径を
含む面内の公転モードを利用した従来の電歪公転子で
は、径に垂直な成分を持つ公転トルクの発生はできなか
ったが、この欠点を除去し、従来モードだけでなく、同
時に、或いは必要に応じて、径に垂直な成分、及びもし
くは中心軸と径とを含む面内成分を有する3D公転トル
クを発生する電歪公転子を提案することが第1の課題で
ある。
【0010】次に、この3D公転トルクを有する円筒状
の電歪公転子を用いて、内周面、外周面および端面の少
なくとも一つの面に、移動子もしくは固定子を接触さ
せ、径に垂直な面内トルクを駆動力とするモータまたは
アクチュエータを構成する提案、例えば端面回転モー
タ、あるいはリニアモータなどの提案が第2の課題であ
る。
【0011】第3の課題は内周面、外周面および端面に
発生する3D公転トルクを利用して、少なくとも2種類
の動作を同時にもしくは別々に実現できる多機能モータ
例えば、電歪公転子内周面に挿入したをロータを任意の
向きに回転したり、排出或いは吸入を行ったり、ロータ
を任意の向きに回転しながら排出或いは吸入するなどの
多機能動作が可能なモータを提案することである。
【0012】なお電歪公転子では共振の品質係数Qが高
く、励振電圧が低い特徴がある反面、必要以上に大電流
を消費してしまう欠点を有していた。そこで、励振電圧
を変えること無く励振電流を少なくし励振効率を向上す
ることが第4の課題である。
【0013】
【課題を解決するための手段】まず第1課題の3D公転
トルク発生の手段について述べる。従来の圧電共振器で
は、厚さ、長さ、幅、もしくは直径など、それぞれの共
振器に固有の特性軸に沿った振動のモードだけが選択的
に共鳴増幅され共振する。その結果共振器の振幅が最大
になる腹での振動の奇跡は、回転トルクは作れず円弧を
含む広義の1次元往復運動であった。進行波型共振器で
は振動奇跡が局所的には円運動を示すが、共振器全体で
は位相がずれ1次元の波動を形成するだけで重心の移動
は無かった。
【0014】電歪公転子は単相の1次元電圧で2次元の
公転トルクが励振できるので、2D公転トルク発生共振
子と言える。1次元の電気ベクトルを2次元の公転テン
ソルに変換する仕掛けは、円形振動子固有の円周に沿っ
た振動モードと径方向の振動モードとを結合させ、重心
が公転するモード回転型の2次元の公転テンソルを発生
させている。この原理が理解できれば、3D公転トルク
は容易に発生できる。
【0015】3次元の内、径方向をX軸、周方向をY´
軸、及び主軸方向をZ軸と見做すと、X−Y´の結合で
2D公転トルクが発生すれば、X−Y´−Zの結合で3
D公転トルクが発生するのは理の当然である。2次元の
公転と同時に、円筒、丸棒の主軸に沿う固有振動を励振
すれば良い。
【0016】次に第2の課題である共振子の端面で回転
するモータ、あるいはリニアモータなどは、3D公転ト
ルク発生共振子を利用して実現できる。回転軸をZ軸に
沿って保持しながらロータを端面に圧接すると激しく回
転する。回転の向きは両端面とも等しいので、円筒状公
転子にシャフトを通し、シャフトの左右両端から2個の
ロータを通し、公転子を挟む形で円筒の両端面にロータ
を圧接すると、シャフトと共に同方向に回転する。シャ
フトおよびロータの回転を共に拘束すると、公転トルク
の反動で公転子が自転する。次に独立のロータ2個の回
転軸を共にY軸方向に保持し、両端面にそれぞれ圧接す
ると、ロータは互いに逆向きに回転する。2個のロータ
を、Z軸を含む平面と円筒外周との交線の両端の位置に
それぞれ圧接し、2個のロータの回転を共に拘束する
と、公転トルクの反動で公転子は放射状の径方向、すな
わち1本のX軸に沿って、外側または内側に移動する。
【0017】さてリニアモータに関しては、円筒状の公
転子の内径に丁度挿入できる太さで短い円筒または丸棒
を嵌め、公転子を励振すると、円筒または丸棒が励振周
波数次第で吸入または排出される。円筒状の移動子を公
転子に外接した場合にも同じ効果が得られる。さらに移
動子を固定すると、公転トルクの反動で公転子自体がZ
軸方向に移動するリニアモータとなる。
【0018】第3の課題である多機能動作が可能なモー
タを実現する手段は、前述のリニアモータに発生する3
D公転トルクの作用を考察すれば、ヒントが得られる。
吸入または排出される移動子を公転子の端部にセットす
ると、激しく回転する。吸入モードでの公転共鳴状態で
は、円筒の端部は公転の腹になり中心部に節ができるの
で、公転トルクの向きは中心部の節で入れ代わる。内接
ロータの回転の向きは両端部で逆になるが、両端面に圧
接したロータは両者同じ向きに回転するので、端面ロー
タと内接ロータの回転の向きは一方の端部では同じ向き
で、他方の端部では互いに逆向きになり、しかも公転ト
ルクの励振の位相を変えると、すべてのロータが逆転す
るので、様々な種類のトルクを同時にまたは別々に利用
することができる。
【0019】さて、本発明者は先に『電歪公転子の電
極』(特願平2−196202)に於いて、「円板、円
環、円筒状圧電素子の両主面それぞれに複数個設けられ
た電極を用いて非対称励振することにより、素子の重心
が中心の回りを公転する電歪公転子において、両主面間
に中心対称位に配置されている電極が素子の側面を介し
て繋がり、連続面を形成していることを特徴とする電歪
公転子の電極」を提案し実施してきた。その後、電極の
形成方法については様々に検討した結果対称分極の電歪
公転子に対してはこの方式が最善であるとの結論に達し
ていた。
【0020】反面この方式では並列接続に伴う大電流を
流すので、電流を少なくし励振効率を向上する第4の課
題に対しては不利である。両主面夫々に設けた電極の
内、一方の主面の全電極を共通電極とし、他面の中心対
称位に配置された電極同志を共通電極を介して直列接続
して非対称に励振すると、励振電流を少なくできる。
【0021】
【作用】通常の圧電共振では素子の各部分が1次元の奇
跡を描くように振動するのに反して、電歪公転子の共振
状態では、素子の各部分が円形の奇跡を描きながら2次
元に運動する結果、公転子の重心が公転することから、
電歪公転子と名付けた。
【0022】本発明の超音波3Dトルク共振子では素子
の各部分が、径方向のX軸、周方向のY´軸、及び主軸
方向のZ軸の3軸の、すべての方向に振動成分を持つ公
転運動をする。この公転は一つの面内の回転であるが、
その面の方位は定まらない。このことを理解するため、
X軸の方位に注目してみよう。Z軸の方位は公転子の中
心軸に固定されているが、X軸はZ軸に対して放射状に
配位する任意の方向であり、これと直交するY´軸もま
たZ平面内の任意の方向である。しかもZ平面の位置は
Z軸の節を中心とし、両端の2つの腹の間の任意の位置
が可能である。それぞれの軸に沿う振動成分の大きさの
関係は、Z平面の位置に伴って変わるので、公転面の方
位は任意の向きを取ることができ、公転トルクの向きは
3次元に分布していると言える。
【0023】
【実施例】
(実施例1)本発明に係わる超音波3Dトルク共振子及
びアクチュエータの一実施例として、本発明が解決しよ
うとする第1の課題である3D公転トルクを発生する3
D公転子の構成を、まず実施例に基づいて説明する。3
D公転トルクを発生させるには、2次元の公転と同時
に、円筒、丸棒の主軸に沿う固有振動を励振すれば良
い。
【0024】表面に四分割電極A,B,C,およびDを
施した対称分極型電歪公転子1を、二(又は四)相電圧
あるいは単相電圧で励振することにより、可逆回転性の
2D公転トルクが発生する電歪公転共振子を構成するこ
とができる。従来はこの電歪公転子の中心軸と同軸の回
転軸を有するロータを、同心円状に内接或いは外接する
ことにより、ロータに作用する2D公転トルクをモータ
等に利用してきた。
【0025】図1は本発明者が先に提案した『電歪公転
子の電極』(特願平2−196202)に従って、円筒
の主軸2に対する放射状の径3に沿って厚さ方向に分極
した圧電素子の外周面に4分割電極A,B,C,および
Dを施し、その内周面に対向電極A´,B´,C´およ
びD´’を施し、端面スロット5,6,7,及び8を介
して、AとC´,BとD´,CとA´及びDとB´をそ
れぞれ等電位に接続し、両主面間に中心対称位に配置さ
れている電極が素子の側面を介して繋がり、連続面を形
成するごとく構成した対称分極型電歪公転子1の電極に
4相スイッチング電圧を印加し、素子の音速cを中心径
に対する円周すなわち中心円周で割った値の周波数f
で励振すると共振状態になる。このことは中心径の長さ
が丁度一波長に相当し、f、が基本共振周波数に相当
することを意味する。良く知られているように、基本共
振状態にある電歪公転子の内周面に丸棒を内接するよう
に挿入すると、電歪公転子の内周面に発生している公転
トルクによって丸棒はくるくる回転する。この現象を利
用して従来は、公転子の中心軸と同軸の回転軸を有する
ロータを、同心円状に内接或いは外接することにより、
モータ等を構成してきた。しかし、従来の電歪公転子の
基本共振状態では、円筒の端面には公転トルクは発生し
なかった。
【0026】電歪公転子1の中心軸方向の長さを中心円
周の1/4すなわちλ/4に選び、これに共振する周波
数f=1.5fで励振すると、電歪公転子1の円筒
の端面には強力な公転トルクが発生する。その結果中心
に回転シャフト10の付いたロータ9を円筒の端面に圧
接すると、シャフトの支持方向が径3と平行でも直角で
も或いは任意方向でもロータは強力に回転した。次に、
ロータの圧接面を端面から内外周面に変えたところ、端
面と同様に任意の支持方向で回転トルクが得られ、3D
公転トルクの発生していることが確認できた。なおシャ
フトの支持方向が図1(b)に示すように中心軸と径を
含む面内であれば、4相スイッチング電圧の位相を変え
ることにより、ロータの回転の向きをCW又はCCW任
意に切替えできたが、径3及び中心軸2に対して、図1
(a)に示したように、直角方向にシャフトを支持した
場合は励振電圧の位相を変えても、ロータの回転の向き
は変わらなかった。
【0027】(実施例2)実施例1で述べた3D公転ト
ルクを有する円筒状の電歪公転子を用いて、内周面、外
周面および端面の少なくとも一つの面に、移動子もしく
は固定子を接触させ、径に垂直な面内トルクあるいは径
と中心軸とを含む面内トルクを駆動力とするモータまた
はアクチュエータを構成する提案、例えば端面回転モー
タ、あるいはリニアモータの提案などに付いて、実施例
を用いて説明する。
【0028】実施例1で述べたように3D公転トルクを
有する円筒状の電歪公転子1の端面にロータを圧接する
と、ロータは強力に回転した。この3D電歪公転子をス
テータとし端面のトルクを利用したモータの基本構成原
理を説明したのが第2図である。
【0029】シャフト13を串刺して固定支持したロー
タ12を電歪公転子1の端面に、ばねを介して矢印の向
きに圧接した状態で、駆動電力入力端子11に周波数、
スイッチング位相に応じてcw又はccw方向に強力に
回転した。
【0030】(実施例3)3D電歪公転子をステータと
し端面のトルクを利用したモータの基本構成原理につい
て第2図を用いて説明したが、3D電歪公転子の中心軸
に沿ったトルクの発生は、第1図(a)に点線で示した
状態で、3D電歪公転子の円周面にロータ9´を圧接す
ると、回転することから確認できる。ロータの圧接位置
を円周の長さに沿って円周上を移動すると、両端で最も
強いトルクが見られ、中心部では0になる。回転が止ま
る中心部を境としてロータの回転の向きは逆転し、一端
側は時計回り他端側は半時計回りとなる。駆動周波数を
からfに変えると、圧接位置に拘らず、ロータは
逆転した。外周面だけでなく、内周面でも同様な回転ト
ルクが発生するので、これを利用したリニアモータを構
成することができる。
【0031】つぎに3D電歪公転子をステータとするリ
ニアモータの1実施例を説明する。第3図(b)(c)
にそれぞれ側面図と正面図を示したように、周縁部に8
等分の切込み22〜22を人れた鍋状のロータ22
の底中心部をシャフト23で串刺しに固定支持し、切込
みでばね作用を持たせたロータを3D電歪公転子の内周
面に圧接挿入した状態でハウジング24にセットし、シ
ャフトの両端から挿入したベアリングをハウジングに嵌
合し、シャフトが左右に軽く移動できるように支持し
た。
【0032】このように組み立てたリニアモータの給電
端子26〜26に4fで4相スイッチングした直
流電圧を印加したところ、ロータ22は時計回りに回転
しながら点線14で示した位置へ向かって吸い込まれる
ように移動した。このときロータには公転子の中心位置
に向かう復元力が作用するので、シャフトをいづれの端
部に向かって引っ張出しても中心に吸い込まれた。この
リニアモーションは4相駆動電圧の位相を変えても影響
を受けなかったが、半面ロータの回転は逆転したが、回
転の強さはロータの位置には影響されなかった。次に駆
動電圧のスイッチング周波数を4fから、4fに変
えると、ロータは回転しながら、端部に向かって勢い良
く排き出された。吸入・排出運動は駆動周波数f/4
の切り替えで任意に操作できリニアモータとして動
作することが確認できた。
【0033】(実施例4)3D電歪公転子をステータと
し端面のトルクを利用したモータの基本構成原理につい
て第2図を用いて説明したが、この原理に基づいて構成
した強力なモータの一実施例を第4図に示す。3D電歪
公転子31は内周面全面に共通電極が施され、外周面に
は4分割電極が施され、全円周に亘って厚さ方向に同じ
極性で分極されている。4分割電極にはそれぞれ電力端
子ばね36〜36が半田付け固定されている。この
電歪公転子に第2図に示した実施例2の要領でシャフト
33が嵌合されているロータ32をセットし、そのま
ま電力端子36をハウジング34の4本のスリットに合
わせ、スリットの奥に突き当たるまで挿入し、奥のピン
穴に外部からピンを入れ電力端子36の内径に嵌合セッ
トした。次にロータ32を挿入し、ばね37を介し
て、シャフトに捩じ込まれたナット38を回しながら最
適圧接力になるまで締め付け固定した。最後にハウシン
グカバー34のセンター穴にシャフトを通し、ハウジ
ングの管用ねじに締付け、両端からボールベアリング3
5を嵌合セットした。組み上がったモータの電力端子3
〜36をそれぞれベース40の絶縁基板39の給
電端子36〜36と結線して、ハウジングをベース
に固定した。
【0034】出来上がったモータの給電端子36に4f
で4相スイッチングした直流6Vの電圧を印加したと
ころ、約400rpmで回転し、シャフトを手で押さえ
てやっと止めることができる程度の強力なトルクが得ら
れた。スイッチング回路の位相を切り替えることにより
ロータが逆転し、公転子の軸に垂直なトルクを利用した
従来の電歪公転子に比べてさらにパワーアップした実用
性の優れたモータを実現できた。
【0035】(実施例5)第5図は本発明になる3Dト
ルク共振子を用いたアクチュエータの一例として、多機
能モータの構成を示しその有用性を説明する図である。
3D電歪公転子41にはギア43とロータ42が嵌合
されたシャフト43が挿入され、回転/リニア自在に作
動する。回転ロータ45は秒針50と、ギア48
と49はそれぞれ分針50及び時針50と連結さ
れ、シャフト43の前後動で脱着するギア43で駆動
される。
【0036】給電端子46に4fで4相スイッチング
した直流6Vの電圧を印加すると、秒針が回り始めた。
同時にロータ42が点線の位置へ移動し、ギア43
ギア47と噛合い小ギア47を介して、ギア48
と連結している分針50を秒針の1/60の速さで回
した。分針が5分を示すとスイッチング周波数が4f
に切替わり、ロータ42が後退しギア43がギア49
と噛合い小ギア49を介して、ギア49と連結し
ている時針50を2.5度回した。時針が回る間の
0.1秒だけ秒針と分針の動きは止まるが、視覚的には
殆ど分からない。この停止による表示誤差はマイコンで
補正され秒針・時針の動きが僅かに早くなり、結果的に
は正しい時刻を表示した。
【0037】(実施例6)第6図は本発明になる3Dト
ルク共振子の励振電流を少なくし少電力・高効率化を達
成した励振方法の説明図である。(a)は本発明になる
非対称励振の直列接続を、(b)は従来の非対称励振の
並列接続を示したものである。並列接続では外周の4分
割電極にはそれぞれ細い結合手があり、ブリッジ溝70
を通って、4分割された内部電極とそれぞれ繋ってい
る。この電極構成の電歪公転子は対向配置された電力端
子66と68及び67と69に2相電圧のそれぞれのチ
ャンネルを接続することにより、非対称並列励振ができ
るので、共振状態では大電流を消費する。
【0038】これに反して、本発明の少電力化の一実施
例を示す(b)図では、内周面の電極は非分割の共通電
極であり、外周面の電極は単にストレートに4分割され
ているだけの簡単な構造である。外周電極にはそれぞれ
電力端子56,57,58及び59を施した。対向配置
された電力端子56と58及び57と59に、2相電圧
それぞれのチャンネルを接続することにより、非対称直
列励振をすることができた。同じ電圧で駆動して比較し
たところ、直列では並列の1/4になる理論的な予測に
反し、励振電流は約半分であり、その代わり並列時と殆
ど遜色のない早い回転数と、強いトルクとが得られた。
その理由は振動速度の非線形性によるものと考えられ、
並列励振では振動速度が飽和に達し可成りの損失が生じ
ているのに反し、直列接続では飽和をするまでには至ら
ず損失の少ない高効率励振ができたと考えられる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の超音波3
Dトルク共振子は、電歪公転子に径に垂直な成分を持つ
公転トルクを発生させることができ、強力なトルクを有
する端面回転モータを実現し、さらにリニアモータ及び
回転/リニアモータ、次いでこれらを組み合わせた複数
の独立回転及び又はリニアに操作する多機能モータを実
現することができ実用面に測り知れない効果をもたらす
ものと期待している。その上本発明の非対称直列励振法
は少電流、省電力・高効率化を実現すると共に、内周面
電極の分割という困難な工程を省き簡素化したことによ
るコストダウン面での効果も極めて大きなものが期待さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)は本発明に係わる超音波3Dトル
ク共振子の原理説明図である。
【図2】本発明に係わる超音波3Dトルク共振子のリニ
アトルアの原理説明図である。
【図3】(a)は本発明に係わる超音波3Dトルク共振
子を用いて構成したリニアモータの構成説明図、(b)
(c)はそれぞれ本発明に係わる超音波3Dトルク共振
子用いて構成したリニアモータのロータの側面図及び正
面図である。
【図4】本発明に係わる超音波3Dトルク共振子を用い
た端面回転モータの側断面図である。
【図5】本発明に係わる超音波3Dトルク共振子を用い
て構成した多機能モータを利用した時計の側断面図であ
る。
【図6】(a)は本発明に係わる超音波3Dトルク共振
子の本発明による直列励振用電極構造の説明図、(b)
は本発明に係わる超音波3Dトルク共振子の従来の並列
励振用電極構造の説明図である。
【符号の説明】
1,21,31.41.51.61. 超音波3Dト
ルク共振子 2 中心軸 3 径方向を示す
矢印 4 ロータ 5,6,7,8 電極ブリッジ
溝 11,26,36.46.51.61 電力端子ばね 9,12,22,32,42,45 ロータ 10,13,23,33,43,454748
シャフト 14 回転方向を示
す矢印 15 圧接力を示す
矢印 25,35 ボールベアリ
ング 24,35,44, ハウジング 39 絶縁基板 40 ベース 37 ばね 38 ナット 38 ナット 43,47,48,49 ギア 505050 時針、分針、
秒針 A,B,C,D,A´,B´,C´,D´,C電極

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円筒形状を有する圧電素子を用いて、電
    圧による圧電変形がその中心軸に対して非対称に生ずる
    ごとく非対称励振することにより、径方向の振動モード
    と円周方向の振動モードとが結合したモード回転状態が
    誘起され、回転電圧だけでなく単相電圧を用いても回転
    トルクが発生する電歪公転共振子であって、その円筒形
    状の高さ方向の振動とも結合させることにより、径方
    向、円周方向および高さ方向の全てに振動の成分を有す
    る公転共鳴状態を誘起し、立体的なトルクが発生するこ
    とを特徴とする超音波3Dトルク共振子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超音波3Dトルク共振子
    を駆動力発生源としたことにより、同軸はもとより回転
    軸の異なる複数種の回転および線形動作を可能としたこ
    とを特徴とする超音波アクチュエータ。
JP9114126A 1997-03-28 1997-03-28 超音波3dトルク共振子及びアクチュエータ Pending JPH10272420A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9114126A JPH10272420A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 超音波3dトルク共振子及びアクチュエータ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9114126A JPH10272420A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 超音波3dトルク共振子及びアクチュエータ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10272420A true JPH10272420A (ja) 1998-10-13

Family

ID=14629797

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9114126A Pending JPH10272420A (ja) 1997-03-28 1997-03-28 超音波3dトルク共振子及びアクチュエータ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10272420A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002359984A (ja) * 2001-05-31 2002-12-13 Nidec Copal Corp 超音波モータ装置
JP2002359986A (ja) * 2001-05-31 2002-12-13 Nidec Copal Corp 超音波モータ装置
JP2003033058A (ja) * 2001-07-19 2003-01-31 Nidec Copal Corp 超音波モータ装置
JP2003033052A (ja) * 2001-07-10 2003-01-31 Nidec Copal Corp 超音波モータ装置
JP2007060888A (ja) * 2005-07-26 2007-03-08 Pentax Corp 二次元移動装置
WO2007108466A1 (ja) * 2006-03-22 2007-09-27 Nikon Corporation 振動子、振動アクチュエータ、レンズ鏡筒、カメラシステム及び振動アクチュエータの駆動方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002359984A (ja) * 2001-05-31 2002-12-13 Nidec Copal Corp 超音波モータ装置
JP2002359986A (ja) * 2001-05-31 2002-12-13 Nidec Copal Corp 超音波モータ装置
JP2003033052A (ja) * 2001-07-10 2003-01-31 Nidec Copal Corp 超音波モータ装置
JP2003033058A (ja) * 2001-07-19 2003-01-31 Nidec Copal Corp 超音波モータ装置
JP2007060888A (ja) * 2005-07-26 2007-03-08 Pentax Corp 二次元移動装置
WO2007108466A1 (ja) * 2006-03-22 2007-09-27 Nikon Corporation 振動子、振動アクチュエータ、レンズ鏡筒、カメラシステム及び振動アクチュエータの駆動方法
US8159763B2 (en) 2006-03-22 2012-04-17 Nikon Corporation Vibrating element, vibration actuator, lens barrel, camera system and method for driving vibration actuator
JP5218045B2 (ja) * 2006-03-22 2013-06-26 株式会社ニコン 振動アクチュエータ、レンズ鏡筒、カメラシステム及び振動アクチュエータの駆動方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4888569B2 (ja) 超音波モータ
US8330327B2 (en) Piezoelectric oscillator and ultrasonic motor
JP4119903B2 (ja) 平板型圧電超音波モーター
JPH10272420A (ja) 超音波3dトルク共振子及びアクチュエータ
US4983874A (en) Vibrator and ultrasonic motor employing the same
JPH099656A (ja) 超音波振動子および超音波モータ
JPH0947048A (ja) 超音波アクチュエータ用振動子
JP2008312308A (ja) 振動型アクチュエータ
JPS62126874A (ja) 超音波振動子
JP2532425B2 (ja) 超音波モ−タ
JPH09117168A (ja) 超音波モータ
JP2729827B2 (ja) 超音波モータ
JPS63294279A (ja) 圧電駆動装置
JPH0150196B2 (ja)
JP2724731B2 (ja) 超音波モータ
Koc et al. Design of a piezoelectric ultrasonic motor for micro-robotic application
JPH0681523B2 (ja) 振動波モ−タ
JPS63294280A (ja) 圧電駆動装置
JPS63110973A (ja) 圧電駆動装置
JPS6292779A (ja) 両相楕円振動子で駆動する超音波モ−タ
JPH03190575A (ja) 超音波モータ
JP2779416B2 (ja) 超音波モータ
JPH05111268A (ja) 圧電アクチユエータ
JPH01274675A (ja) 超音波モータ
JP2003169486A (ja) 超音波モータ