JPH10244223A - ローラによる展圧工法、および展圧ローラアタッチメント、 並びに被牽引形ローラ - Google Patents

ローラによる展圧工法、および展圧ローラアタッチメント、 並びに被牽引形ローラ

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JPH10244223A
JPH10244223A JP8985797A JP8985797A JPH10244223A JP H10244223 A JPH10244223 A JP H10244223A JP 8985797 A JP8985797 A JP 8985797A JP 8985797 A JP8985797 A JP 8985797A JP H10244223 A JPH10244223 A JP H10244223A
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JP
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roller
exciter
vibration
construction vehicle
eccentric weight
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JP8985797A
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English (en)
Inventor
Toshio Sasaoka
敏男 笹岡
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NEKUSUTO KK
Original Assignee
NEKUSUTO KK
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  • Shovels (AREA)
  • Investigation Of Foundation Soil And Reinforcement Of Foundation Soil By Compacting Or Drainage (AREA)
  • Apparatuses For Generation Of Mechanical Vibrations (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建設車両に取り付けて用いられる展圧用のロ
ーラを改良して、比較的軽量のローラで強力な展圧(締
め固め)が可能で、作業が容易かつ高精度に行なわれ、
振動公害を発生することなく、低コストで施工できるよ
うにする。 【解決手段】 ローラブラケット16はローラ軸を介し
て中空ローラ18を回転可能に支持しており、上記のロ
ーラブラケットはショベル系建設車両のアーム先端に取
り付けられ、もしくは建設車両(トラクタ類)のドロー
バーによって牽引される。前記ローラ軸17に対して回
転自在に管状の偏心重錘軸19が外嵌されていて、この
偏心重錘軸19に対して固定偏心重錘20が固着される
とともに可動偏心重錘22が回動可能に取り付けられて
いる。起振モータ23は偏心重錘軸19を回転駆動し、
位相差制御モータ24は双方の偏心重錘の位相差を増減
調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば油圧ショベ
ルなどの建設車両のアームの先端もしくはトラクタ類の
後部に展圧ローラを取り付けて地盤を締め固める工法、
および、上記の工法を実施するに好適なローラアタッチ
メントもしくは被牽引形ローラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4は、ショベル系建設車両のアームの
先端に従来例のローラを取り付けた状態を示す側面図で
ある。本例のショベル系建設車両はトラック1aの上
に、垂直軸Zを中心として旋回し得る旋回台1bが搭載
されている。上記旋回台1bに対して起伏傾動可能にブ
ーム5が軸支されていて、ブームシリンダ6によって起
伏駆動される。上記ブーム5の先端にアーム7の基端部
が水平軸によって回動自在に軸着されていて、アームシ
リンダ8によって回動駆動される。上記のアーム7は、
本来的にはバケット(図示省略)が装着されていて土砂
の掘削,放出を主たる作業とするのであるが、本例にお
いては上記バケットの代りに展圧ローラ11が取り付け
られている。前記ブーム5の起伏傾動操作およびアーム
7の回動操作によって展圧ローラ11を地盤表面に向け
て押圧しつつ、該展圧ローラ11を地盤上で転動せしめ
て該地盤の締め固め作業(展圧作業)が行なわれる。上
記展圧ローラの転動は、ブーム5およびアーム7の起伏
・回動の複合操作によって行なわれ、作業区域(展圧区
域)内で移動する際はトラック1aによる自走も併用さ
れる。
【0003】土本建設作業における締め固めは、構造物
の基盤を作ったり、構築物の本体部分(例えば堰堤)を
作成したり、作業ヤードのような平面を形成したり、路
床を形成したりする場合に広く行なわれるが、図4に示
したようにショベル系建設車両のアタッチメントとして
展圧ローラを用いるのは高精度の仕上げを要する場合で
あって、特に、路床や路面の締め固めに賞用される。広
大な地域をラフに締め固めるならば、アーム7の先に取
り付けた展圧ローラ11を転動させるというようなもど
かしい手段によることなく、ショベル系建設車両1が地
盤の上を走り回ってトラック1aで踏みつけるなり、或
いはもっと大形大重量のローラ類を牽引して高速走行す
るといった豪快な工法が適している。しかし、例えばア
スファルト路面を仕上げるといった高精度の展圧作業に
は、運転席から地盤の状態や仕上げ状態を目視しながら
ブーム5やアーム7を動かして展圧ローラ11で施工す
ることが好適である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図4に示した従来技術
により、ショベル系建設車両のアームに展圧ローラを装
着して行なう締め固め作業は、高精度仕上げが可能であ
るという長所を有しているが、この長所を失うことなく
作業能率を上げたいという要請が有る。図4において、
実線で示した展圧ローラの代りに、鎖線で示したように
大形で大重量の重展圧ローラ11′を装着して締め固め
を行なうことも考えられるが、重展圧ローラ11′を装
着してフロントアタッチメントの作業半径Rを伸ばし
た場合、トラック1aの接地長さ区域Lの前端fを支点
とする車体の安定性が悪くなって、いわゆる前のめり状
態になって走行が困難になる。図4の従来例で、車体の
安定性を害しない程度の比較的軽量の展圧ローラ11を
用いて強力に展圧するには、ブームシリンダ8を収縮さ
せて展圧ローラ11を地盤表面に押しつけ、トラック1
aの接地長さ区域Lの後端rを支点として車体重量の一
部を展圧ローラ11に掛けることも可能であるが、この
ようにして車体重量を「てこ」を介して展圧ローラ11
に掛けると、作業半径Rの変化に伴って展圧ローラ1
1の接地圧が変化するので、締め固め仕上げ面の寸法精
度維持が難しくなり、その上、作業全域についての圧密
率が均一でなくなるという不具合を生じる。
【0005】比較的軽量のローラで比較的高能率に、比
較的高精度で締め固め得る機器として自走機能を有する
振動ローラ(図示省略)が公知であるが、この振動ロー
ラは作業者が搭乗して運転する構造であって、図4の従
来例におけるがごとく運転室1cの中から仕上がり情況
を客観的に眺めることが出来ないので、高度の熟練を要
する。さらに、振動ローラの運転席には激しい振動が伝
わってくる上に、冷暖房が容易でないから、ショベル系
建設車両1の運転室1cに比して居住性(乗り心地)は
著しく悪い。その上、操向機構や動力源や運転席の設置
を不可欠とする振動ローラの製造コストは、図4におけ
るがごとく建設車両のアタッチメントとして構成される
展圧ローラに比して格段に高価である。しかも、単独の
自走形機器である振動ローラは、登坂能力(一般に約2
0度)以上の急斜面の締め固めることが出来ない。これ
に比して図4の従来例のごとくショベル系機械のアタッ
チメントである展圧ローラは、土砂の安息角以内におい
て急斜面の展圧が可能である。さらに、重要な問題とし
て、振動ローラを運転すると、作業場の周辺地域に振動
公害を及ぼすという問題が有る。従って、ショベル系建
設車両による締め固めに振動技術を導入しようとするな
らば、振動公害防止技術の裏付けを不可欠とする。
【0006】本発明は上述の事情に鑑みて為されたもの
であって、(イ)低廉なコストで、(ロ)比較的小形,
軽量の展圧ローラで大きい締め固め能力を発揮し、
(ハ)格別の熟練を要せず、広い作業区域を、均一に高
精度で展圧仕上げすることができ、(ニ)運転者に過酷
な肉体的負荷や精神的負荷を与えることなく、(ホ)土
砂の安息角以内の急斜面を締め固めることができ、しか
も、(ヘ)振動公害を生じる虞れの無い、ローラによる
展圧工法、および、上記の新規な展圧工法を容易に実施
してその効果を充分に発揮せしめ得る展圧ローラを提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに創作した本発明の基本的な原理について、その1実
施形態に対応する図3を参照して略述すると、ショベル
系建設車両1の旋回台1bに対して起伏駆動可能に搭載
されたブーム5の先端に軸着されて回動されるアーム7
の先端に、起振機15を備えた展圧ローラ11を装着す
る。このとき、アーム7と起振機15との間に緩衝機構
27を設けることが望ましい。上記の起振機15とし
て、起振力の増減調節が可能なものを用いると、振動公
害防止のために望ましい。ショベル系建設車両における
「ブーム」および「アーム」の呼称については未だ確た
る定義が無く、例えば図3におけるブーム5を第1アー
ムと呼び、アーム7を第2アームと呼ぶ例も有る。さら
に関節数が1個増えると、最先端の杆状部分を第3アー
ムと呼んだり、リストと呼んだりしている。本発明にお
いて「アーム」とは、車体に対して傾動可能もしくは回
動可能に軸支された作業機の杆状部材を総称する意であ
って、ブーム,アームと呼ぶときはブーム,アーム,リ
ストの何れか一つもしくは何れか複数を意味する。また
「第何アーム」と呼ぶときは総べてのアームの何れか一
つもしくは複数を意味する。また、建設車両とは自走機
能を有する建設機械をいう。また、本発明においてトラ
クタとは、牽引走行機能を有する車両の総称であって、
ショベル系建設車両の本体部分もしくはトラクタであ
る。
【0008】以上に説明した原理に基づいて、本発明に
係る請求項1のローラによる展圧工法の構成は、ショベ
ル系建設車両のアームの先端にローラを取り付け、上記
のローラを地盤上で転動せしめる展圧工法において、上
記のローラに起振機を取り付け、または、該ローラを回
転可能に支持している部材に起振機を取り付けて、上記
の起振機を作動せしめて該ローラに振動を与え、上記の
ローラを振動させながら前記ショベル系建設車両のアー
ムを作動せしめ、および/または、該ショベル系建設車
両を走行せしめて前記のローラを地盤上で転動せしめる
ことを特徴とする。
【0009】以上に説明した請求項1の発明方法による
と、ショベル系建設車両のアームの先端に取り付けられ
るローラに起振機を装着し、または、該ローラの支持部
材に起振機を取り付けて該ローラを振動させるので、こ
の展圧用のローラは自重およびアームの重力荷重によっ
て地面に押し付けられるとともに、振動加速度によって
地盤にインパクトを与え、軽量の展圧ローラであっても
大きい展圧力を発揮することができる。その上、ショベ
ル系建設車両は動力源(例えばディゼルエンジン)およ
び油圧源(例えば油圧ポンプと作動油タンク)、並びに
油圧制御弁を具備しているのでこれらの油圧系機器類を
利用して共用もしくは借用することができる。従って、
起振機に専用の動力源もしくは電源を新設する必要が無
く、低廉なコストで実施することができる。
【0010】前述のように、振動を利用するのでローラ
本体は軽量のもので足り、従ってショベル系建設車両全
体の重量バランスに著しい悪影響を及ぼす虞れが無い。
さらに、振動機能を有する展圧ローラをショベル系建設
車両にアタッチメントとして装着して使用するので、異
なる工事場へ移動する場合のように長距離輸送する際は
該ショベル系建設車両をトレーラーもしくは大型トラッ
クで輸送すれば、展圧ローラ単独で梱包,輸送の手配を
必要としない。また、同一工事場内で工区間移動したり
車庫と作業場との間を往復するような中距離移動する際
は、当該ショベル系建設車両が自走すれば、これに搭載
されている展圧ローラは一緒に移動せしめられる。ま
た、同一作業エリア内で展圧施工区域内で移動するよう
な短距離移動をする際は、ショベル系建設車両のブー
ム,アームの回動操作および/または自走によって移動
せしめられるので、展圧ローラに操向機構を設ける必要
が無く、また、展圧ローラに直接的に専用運転席を設け
る必要が無く、ショベル系建設車両の運転席,運転室,
計器類を利用することができるので、展圧作業施工用の
コストが低廉である。
【0011】前述のごとくショベル系建設車両の運転席
を借用して展圧ローラによる締め固め作業を操作するの
で、作業状態を客観的に視認することができて、熟練を
要せずに高精度の展圧仕上げを行なうことができる。同
様の理由により、展圧ローラを振動させても運転席が激
しく振動する虞れが無く、その上、ショベル系建設車両
の運転室内は空調されているので居住性が良い。このよ
うにして、運転者の肉体的負荷が緩和されて労働環境が
良く、精神的負荷も軽い。さらに、前記の展圧ローラは
ショベル系建設車両のアームに装着されて該アームによ
って支持されているので、該展圧ローラは3次元的に、
ショベル系建設車両の作業半径内で任意の位置をとるこ
とができ、かつ任意の軌跡を描いて移動することができ
る。従って、自走式振動ローラでは締め固めできないよ
うな急斜面であっても締め固めることができる。上述の
ごとく、自走式振動ローラによっては施工できない作業
条件下において、振動を利用した高能率の展圧作業を遂
行し得るという効果を奏するということは特に注目を要
する。
【0012】請求項2の発明に係るローラによる展圧工
法の構成は、被牽引形のローラを建設車両もしくは農業
車両またはこれに類似するトラクタで牽引走行して地盤
を展圧する工法において、前記被牽引形ローラの回転部
材もしくは該回転部材を支持している部材に起振機を取
り付け、上記の起振機を作動させてローラ回転部材に振
動を与え、該ローラ回転部材を振動させつつ牽引走行す
ることを特徴とする。以上に説明した請求項2の発明方
法によると、被牽引ローラの回転部材(ローラ本体部)
が振動するので、該ローラ回転部材の重力荷重に比して
著しく大きい展圧性能が得られる。その上、被牽引形で
あるから自走式振動ローラに比して操向機構や運転席を
設けなくても良いので製造コストが低廉である。
【0013】請求項3の発明に係るローラによる展圧工
法の構成は前記請求項1もしくは請求項2の発明の構成
要件に加えて、前記の起振機として、起振力の増減調節
可能な偏心重錘回転式の起振機を使用し、起振力を減少
せしめた状態で起振機の回転を開始した後、回転速度を
上昇せしめ、起振機の回転速度が「地盤の共振周波数に
相当する回転速度」および「ショベル系建設車両の共振
周波数に相当する回転速度」を通過した後に起振機の起
振力を増加させて定常的な運転状態に移行し、および/
または、起振機が起振力を発揮して定常的に運転してい
る状態で、該起振機の起振力を減少せしめてから回転速
度を減少せしめ、起振機の回転速度が「ショベル系建設
車両の共振周波数に相当する回転速度」および「地盤の
共振周波数に相当する回転速度」を、起振力の小さい状
態で通過して、回転を停止することを特徴とする。
【0014】以上に説明した請求項3の発明方法による
と、展圧ローラによる展圧作業の開始に先立って起振機
を回転させる際、直ちに定格回転速度まで加速すること
は事実上不可能であって、数秒間の加速期間を必要と
し、この間に振動公害を生じる虞れが有ったことに対応
して、予め起振力を減少させた状態で回転を開始し、起
振力を減少させた状態で加速するので、共振現象を生じ
る危険な回転速度域を無事に通過することができる。す
なわち、地盤の共振周波数に対応する起振機回転速度、
および、アームの共振周波数に対応する起振機回転速度
を、起振力減少状態で通過して加速されるので、地盤の
共振に因る振動公害が防止され、かつ、ショベル系建設
車両のアームの共振に因る損傷の発生が防止される。
【0015】上述の説明における「共振周波数に対応す
る回転速度」とは、概要的には「回転速度を回転数とし
て表したとき、共振周波数と等しい回転数」ということ
であるが、(イ)地盤の共振周波数は必ずしも単一でな
いこと、および(ロ)単純に等しい場合だけでなく、整
数比関係である場合にも共振現象を生じること、を勘案
すると、前記の共振周波数に対応する回転速度」は「共
振現象を生じる危険性の有る、1つもしくは複数の回転
速度領域」の意となる。上述のようにして、起振機の回
転速度が加速される期間中における地盤の共振による振
動公害の発生と、ショベルアームの共振による破損とを
回避し得ることに加えて「起振機付き展圧ローラを搭載
したショベル系車両の原動機(通例的にディゼルエンジ
ン)および、油圧ポンプの負荷を軽減し得るという効果
も派生する。すなわち、起振機の回転速度が加速されて
いる間に該起振機に与えなければならない機械的エネル
ギー量は、「振動を発生するためのエネルギー」と「回
転部材の運動エネルギーとして蓄積される分のエネルギ
ー」との和である。而して、本請求項2の発明を適用し
て起振機の起振力を減少せしめた状態で該起振機を加速
すると、前者の「振動を発生するためのエネルギー」が
僅少で足り、「回転部材に蓄積されるエネルギー」+α
のエネルギーを与えることによって加速することができ
る。
【0016】本発明の基本的思想において、起振機を駆
動するための専用の動力源を設けることなく、ショベル
系建設車両に本来的に設置されている動力源を借用ない
しは共用する。従って、搭載対象であるショベル系建設
車両の仕様諸元が既定であって、このショベル系建設車
両に請求項1の発明を適用する場合、該請求項1又は請
求項2の構成要件に加えて本請求項3の発明に係る構成
を適用すると、大容量の起振機を用いることができ、従
って大きい展圧能力(締め固め性能)を得ることができ
る。展圧作業を中止して起振機の作動を停止するために
減速する際は、これにエネルギーを供給するということ
に係る問題は無いが、減速の途中でショベルアームや地
盤と共振することによるトラブルを発生する危険性が有
ることは、前述した加速の場合と同様である。しかし、
この請求項3の発明によって起振力を減少させた状態で
減速すると、共振に因るトラブルを生じる虞れが無い。
ここに「起振力を減少させる」については、起振力をゼ
ロにすることも一つの形態であるが、必ずしも完全にゼ
ロでなくても良い。すなわち、起振力を減少させた結果
として展圧ローラの振動加速度がg(980cm毎秒
々)以下であれば共振に関するトラブルを招く虞れが無
い。
【0017】請求項4の発明に係る展圧ローラアタッチ
メントの構成は、ショベル系建設車両のアームの先端
に、展圧ローラを回転可能に取り付けた構造の建設車両
用展圧ローラアタッチメントにおいて、上記展圧ローラ
を回転可能に支持しているローラブラケットがアーム先
端に取り付けられており、かつ、上記ローラブラケット
に、偏心重錘が偏心重錘軸によって回転可能に支持され
て成る起振機が取り付けられていて、上記の起振機を作
動させると、発生した振動がローラブラケットを経て展
圧ローラに伝えられるようになっていることを特徴とす
る。
【0018】以上に説明した請求項4の発明に係る展圧
ローラアタッチメントによると、請求項1もしくは同2
の発明に係る展圧工法を容易に、かつ確実に実施するこ
とができる。すなわち、展圧ローラは回転部材であるか
ら、この展圧ローラに起振機を装着することは、何らか
の特別な工夫をしない限り極めて困難である。困難の理
由は主として、(α)展圧ローラに起振機を装着する
と、該展圧ローラの中心線に関する対称性が失われて円
滑な転動が妨げられること、および、(β)起振機が展
圧ローラと一緒に回転すると、該起振機に対して油圧エ
ネルギーもしくは電気エネルギーを供給する手段の形成
が容易でないこと、による。そこで本請求項3の発明に
従って「回転部材である展圧ローラではなく、非回転部
材であるローラブラケット」に起振機を装着することに
より、前記(α)項として示した対称性喪失という不具
合、および、(β)項として示したエネルギー供給の困
難性を回避することができる。
【0019】展圧ローラを回転可能に支持するローラブ
ラケットは完全な静止部材ではなく、ショベル系建設車
両の走行に伴って地盤に対して移動する上に、ブームや
アームの傾動,回動に伴って移動し、360度以内で回
動する部材であるが、展圧ローラのように連続的に回転
する部材ではなく、アームに対して殆ど静止している部
材であるから、このローラブラケットに起振機を取り付
けても展圧ローラの円滑な回転を阻害することも無く、
該起振機に対する油圧エネルギーや電気エネルギーの供
給に格別の困難を生じることも無い。そして、前記のロ
ーラブラケットに取り付けた起振機が作動して該ローラ
ブラケットに振動を与えると、この振動は別段の減衰を
生じることなく、ローラ軸を介して展圧ローラに伝えら
れ、該展圧ローラが振動するので、比較的軽量の展圧ロ
ーラであっても充分な展圧性能を発揮して地盤を締め固
めることができる。
【0020】本請求項4における前記のローラブラケッ
トはショベル系建設車両のアームの先端に取り付けられ
ているので、専用の操向機構を設けなくても、該ショベ
ル系建設車両を走行させることによって中,長距離の移
動が可能であり、また、該ショベル系建設車両を操作し
てブームやアームを動かすことによって展圧ローラの短
距離移動が可能である。このように、専用の操向機構を
設けなくても良いので、公知の機器である自走式の振動
ローラに比して製造コストが低廉である。さらに、前記
のローラブラケットがショベル系建設車両のアーム先端
に取り付けられているので、展圧ローラ専用の運転席や
運転室を設けなくても、該ショベル系建設車両の運転席
や運転室を利用することができるので、製造コストがい
っそう低廉で足りる。
【0021】のみならず、ショベル系建設車両の運転席
上に座っていると、展圧ローラの振動が直接的には運転
者に伝わってこないので労働作業条件が良い。しかも、
ショベル系建設車両の運転席はアーム先端部(すなわち
展圧ローラの位置)から数メートル離れているので、展
圧施工区域の全般的情況や展圧作業状態を客観的な立場
から観察することができ、格別の熟練者でなくても高精
度の展圧仕上げをすることができる。そして、展圧作業
の対象が熱せられたアスファルトである場合は、該アス
ファルトから発生する石油系有機化合物のガスが立ちこ
めて展圧ローラ運転者に肉体的苦痛を与えたり、衛生的
被害を与えたりする場合が少なくないが、本請求項4に
係る展圧ローラアタッチメントは、ショベル系建設車両
の運転室内から操作するので、運転者に肉体的,精神的
に過酷な負荷を与える虞れが無い。
【0022】請求項5の発明に係る展圧ローラアタッチ
メントの構成は、上記請求項4に係る発明の構成要件に
加えて、前記のローラブラケットの根本部が、アームの
先端に対して、緩衝機能を有する弾性部材を介して取り
付けられていて、起振機で発生した振動が別段に減衰す
ること無く展圧ローラに伝えられるとともに、該起振機
で発生した振動がアームに伝わる際には著しく減衰する
ようになっていることを特徴とする。以上に説明した請
求項5の発明によると、展圧ローラを支持しているロー
ラブラケットの根本部が、緩衝機能を有する弾性部材
(例えば防振ゴム,または、コイルスプリングもしくは
リーフスプリング)を介してアーム先端部に装着されて
いるので、起振機で発生した振動によってローラブラケ
ットが激しく振動せしめられても、該振動がショベル系
建設車両のアームに対してはほとんど伝動されない。こ
のため、アームが振動によって疲労破損を誘発される虞
れが無く、また、アームを伝わった振動が運転室を振動
させて居住性(乗り心地)を害したり、耐振性の少ない
計器類を狂わせたりする虞れも無い。
【0023】さらに、起振機で発生した振動がアームに
伝動されないということは、発生した振動エネルギーの
有効利用という面で重要な意義を有している。すなわ
ち、アームによって振動エネルギーを吸収されないの
で、発生した振動エネルギーのほとんど全部が展圧ロー
ラに与えられて有効に締め固め性能に寄与することにな
り、エネルギー効率が向上する。振動エネルギーの利用
効率が向上することの結果として、ショベル系建設車両
に本来的に搭載されている動力源(例えばディゼルエン
ジンや油圧ポンプ)に過負荷を与える虞れも無く、動力
源の燃料消費率(締め固め作業量/消費燃料量)を向上
せしめる。
【0024】請求項6の発明に係る展圧ローラアタッチ
メントの構成は、ショベル系建設車両のアームの先端
に、展圧ローラがローラ軸によって回転可能に支持され
ている構造の建設車両用展圧ローラアタッチメントにお
いて、前記の展圧ローラが中空になっているとともに、
該中空部をローラ軸が貫通しており、かつ、上記中空部
内に収納された偏心重錘が前記ローラ軸によって回転可
能に支持されているとともに、上記偏心重錘をローラ軸
の周りに回転させるモータが設けられていることを特徴
とする。
【0025】以上に説明した請求項6の発明によると、
中空に形成された展圧ローラの中空部をローラ軸が貫通
するとともに、該ローラ軸によって偏心重錘が支持され
て偏心重錘式(別名・振子式)の起振機が形成されてい
るので、前記展圧ローラの外形輪郭は円柱面であること
を失わず、ローラ軸まわりの円滑な回転を阻害されるこ
とも無い。しかも、起振機による振動は中空状の展圧ロ
ーラ内で発生するので、発生した振動は効率良く展圧ロ
ーラに伝えられ、高能率・高効率の展圧作業を可能なら
しめる。前記の偏心重錘を回転せしめるためのモータ
は、中空状の展圧ローラ内に設けられるので、該モータ
に対するエネルギーの供給は、ローラ軸に設けたスイベ
ルジョイント(油圧の場合)を介して、もしくはローラ
軸に設けたスリップリング(電動の場合)を介して、格
別の技術的困難を伴うことなく確実に行なうことができ
る。
【0026】請求項7の発明に係る展圧ローラアタッチ
メントの構成は前記請求項3又は5の構成要件に加え
て、前記の偏心重錘は、駆動用のモータによって回転駆
動される固定偏心重錘と、上記固定偏心重錘と一緒に回
転しつつ該固定偏心重錘に対する回転位相差を調節され
るようになっている可動偏心重錘との組合せから成り、
回転位相差が変化すると固定偏心重錘と可動偏心重錘と
の総合偏心モーメントが変化して起振力が変化するよう
になっていることを特徴とする。以上に説明した請求項
7の発明によると、固定偏心重錘と可動偏心重錘とを一
緒に回転せしめることによって振動を発生させることが
でき、かつ、上記固定偏心重錘と可動偏心重錘との位相
差を変化させて総合偏心モーメントを増減調節すること
ができる。偏心重錘式の起振機における偏心モーメント
を変化させると、回転速度を変えなくても起振力を変化
させることができる。すなわち、起振機の運転を中止す
ることなく継続しつつ、該起振機の起振力を調節して振
動公害の発生を防止することができる。
【0027】請求項8に係る発明の被牽引形ローラの構
成は、展圧用の被牽引ローラにおいて、転動部材もしく
はその支持部材に起振機が取り付けられていて、該起振
機を作動させると転動部材が振動するようになっている
ことを特徴とする。以上に説明した請求項8の発明によ
ると、被牽引形であるが振動を発生させる機構を備えて
いるので、自走機能を有する走行形振動ローラと同レベ
ルの展圧力を発揮することができる。しかも被牽引形で
あるから走行用の原動機を設ける必要が無く、同様の理
由によって操向機構を設ける必要が無く、さらに同様の
理由によって専用の運転席を設ける必要か無いので、走
行形振動ローラと同等の展圧性能を有するに拘らず走行
形振動ローラに比して著しく安価である。その上、被牽
引形であるから運転席に振動が伝わりにくく、居住性が
非常に良い。
【0028】次に、前述のごとく起振力を増減調節する
ことによって振動公害を防止し得る理由について図5を
参照して略述し、かつ、偏心モーメントを制御すること
によって起振力を調節し得る理由について図6を参照し
て略述する。図5は振動装置の運転開始時および運転停
止時における振動数の変化を示す図表で、横軸は時間で
ある。運転開始時点tから、定格運転状態に到達する
時点tまでの間、振動数は矢印cの如く急激に上昇す
る。上記の振動数上昇中に、地盤の固有振動数n、及
びショベルアームの固有振動数nを通過する。しか
し、運転開始時における回転数上昇期間Tは一般に短
時間(例えば約3秒間)であるから、振動装置の振動数
が固有振動数に一致したときの共振の問題は比較的軽度
である。しかし、振動装置6のモータ(図示せず)の通
電を停止した時点tから回転軸が停止する時点t
での間は、回転軸が慣性で回転を続けながら矢印dの如
く次第に減速する。上記の回転数低下期間Tは比較的
長時間(例えば約50秒間)であるから、その途中でシ
ョベルアームの固有振動数nを通過する際、該ショベ
ルアームが共振して損傷を被る虞れが有る。また、地盤
の固有振動数nを通過する際、地盤の共振により振動
公害を生じる虞れが有る。前記の時刻tでモータの通
電もしくは圧力油の送給を停止するとともに、振動装置
の回転重錘の回転位相を変化させて起振力を零にするこ
とができれば、振動装置の運転停止操作の際の共振に関
する問題を防止することができる。
【0029】次に、振動装置に供給されるエネルギー量
について見ると、前記の時刻tからtまで振動装置
6の回転数が上昇するあいだ、該振動装置の偏心重錘
(図示せず)によって振動を発生させつつ増速すると、
これを駆動するために大容量のモータや大容量の動力源
が必要になる。この場合、振動装置の偏心重錘の回転位
相を変化させて起振力を零にした状態で運転を開始し、
定格回転数に達した後に起振力を発揮させることが出来
れば、モータ容量や電源容量を縮少できるので経済的で
ある。定格回転数に達した後は、回転部材にそれ以上回
転エネルギーを蓄積する必要が無く、振動の減衰を補う
だけのエネルギーを補充することによって運転を継続で
きるからである。
【0030】次に、起振機の起振力を増減調節する原理
について述べる。図6は2個の偏心重錘の組み合わせに
よって起振力を変化させる公知技術を説明するために示
したものであって、(A)は2個の偏心重錘が最大起振
力を発揮する状態を表す模式図、(B)は起振力中程度
である状態を表す模式図、(C)は起振力がやや小さい
状態を表す模式図、(D)は起振力がゼロの状態を表す
模式図である。図6(A)に示した2個の偏心重錘のう
ち、9は回転軸2Bに固着された固定偏心重錘であり、
10は回転軸2Cに対して相対的に回動し得る可動偏心
重錘である。本発明において固定偏心重錘とは回転軸に
対する相対的回動を係止された偏心重錘の意であって、
回転軸と一緒に回転する部材であるから、固定とは静止
の意ではない。図6(A)における2個の偏心重錘9,
10の相対的位置は、位相差ゼロの状態である。従っ
て、この図6(A)の状態で、2個の偏心重錘9,10
を歯車4B,4Cで同期させて回転させると起振力が発
生する。
【0031】図6(D)の状態では、2個の偏心重錘
9,10それぞれの重心が、常に参考線M−M(2本の
回転軸2B,2Cを結ぶ線分の垂直2等分線)に関して
対称位置に在るので上下方向の起振力はゼロである。説
明の便宜上、本図6(D)のように2個の偏心重錘の位
相差が180度になって該2個の偏心重錘の総合偏心モ
ーメントがゼロの状態を基準状態と名付ける。
【0032】図6(B),(C)は、それぞれ前記
(A),(D)の中間的状態であるから(A)図の場合
よりも小さく(D)図の場合よりも大きい上下方向起振
力を発生する。そして、(B)図の方が(C)図よりも
(A)図の状態に近いから、起振力の大きい方から順番
に挙げると(A),(B),(C),(D)となる。前
掲の図6において起振力増減制御の原理を示すため、2
本の回転軸2B,2Cを同期回転歯車4B,4Cで同期
回転させる形に描かれているが、構造を簡単にするため
1本の回転軸に2個の偏心重錘を配設することもでき
る。図7は共通の回転軸に対して固定偏心重錘を固着す
るとともに可動偏心重錘を上記共通の回転軸に対する相
対的な回動角位置を調節できるようにした機構の模式図
である。
【0033】固定偏心重錘9は回転軸2に固着されて一
緒に回転する。可動偏心重錘10は回転軸2に対する取
付角位置を円弧矢印α−βのごとく変化させて調節する
ことと、調節した状態を維持することとが出来るように
なっている。本図7に描かれている状態は前掲の図6
(B)に示した状態に対応し、起振力が中等度である。
この状態から、可動偏心重錘を矢印α方向に回動させて
固定すると図6(D)の基準状態に近づいて起振力が減
少する。また矢印β方向に回動させると、図6(A)の
状態に近づいて起振力が増大する。以上のようにして起
振力が調節される。
【0034】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るローラによる
展圧方法を実施するために構成した本発明に係る展圧ロ
ーラアタッチメントの1実施形態を示し、部分的に切断
して描いた模式図である。図示の7は、搭載対象である
ショベル系建設車両のアームであって、両端部以外はボ
ックス構造部7aになっており、先端に二又部7bが形
成されている。図示の13は、ローラ軸14を介して展
圧ローラ11を回転自在に支承しているローラブラケッ
トであって、その根本部は緩衝ゴム12を介して前記ア
ームの二又部7bに固着されている。本発明を実施する
際、前記の緩衝ゴム12に代えてコイルスプリング,も
しくはリーフスプリングを用いることができ、要するに
緩衝機能を有する弾性部材を介してローラブラケット1
3をアーム7の先端に装着すれば良い。前記ローラブラ
ケット13の内側に起振機15が装着されている。本実
施形態においてローラブラケットの内側に設置した理由
は、この部分に余裕空間を得やすいこと、および、起振
機がローラブラケットによって外部障害物の衝突から保
護されるからであるが、本発明を実施する場合、起振機
をローラブラケットの何処に装着しても良い。
【0035】本実施形態の起振機15は、偏心重錘軸1
5aによって固定偏心重錘15bと可動偏心重錘15c
とが回転可能に支持されており、上記固定偏心重錘15
bは偏心重錘軸15aと同期して駆動モータ15dによ
って回転せしめられる。前記可動偏心重錘15cは、上
記偏心重錘軸15aに対して相対的に回動可能であり、
位相制御器15eを介して偏心重錘軸15aによって回
転せしめられる構造である。運転開始時の加速中と、運
転停止時の減速中は、前記位相制御器15eの作用によ
って可動偏心重錘15cと固定偏心重錘15bとが標準
状態(位相差180度で、起振力がゼロの状態)もしく
は標準状態に近い状態にされる。定常運転中は、前記可
動偏心重錘15cと固定偏心重錘15bとの総合偏心モ
ーメントが最大の値になるように位相制御されて最大起
振力を発揮する。これにより、展圧ローラ11が振動せ
しめられ、比較的軽量の展圧ローラを用いても大きい展
圧性能が得られる。上述の作動において、固定偏心重錘
15bと可動偏心重錘15cとの位相差を制御すること
によって起振力が変化する原理は、先に図6および図7
を参照して説明したとおりである。さらに、図1に示し
た実施形態においては、ローラブラケット13の側方
に、起振機などの構成部材が突出していない。従って、
例えば路面を締め固めているとき、縁石などの障害物B
(仮想線で示す)が有っても、該障害物の直近まで展圧
することができる。
【0036】図2は、前掲の図1と異なる実施形態にお
ける展圧ローラアタッチメントの模式的な断面図であ
る。本実施形態の展圧ローラ18は中空ローラ形状,す
なわち、有頂有底の厚肉円筒形をなし、その中心線に沿
ってローラ軸17が貫通している。16は二又状のロー
ラブラケットであるが、本図においては根本部を破断し
て描いてあるので左右二つに分かれて表されていて、そ
れぞれ長手方向に油孔16a,16cが穿たれている。
上記油孔16aは、ローラ軸17に穿たれた油孔17a
に連通し、Oリング16bでシールされてスイベルジョ
イントを形成している。同様に、前記油孔16cはロー
ラ軸17の油孔17bに連通してスイベルジョイントを
形成している。本実施形態の偏心重錘軸19は管状をな
し、前記のローラ軸17に対して相対的回転自在に外嵌
されている。そして、固定偏心重錘20は上記管状の偏
心重錘軸19に固着されて支持され、一緒に回転する。
キー21は、双方の部材の相対的な回転が係止されてい
ることを模式的に表している。可動偏心重錘22は、前
記管状の偏心重錘軸19に対して相対的回動可能に支持
されている。
【0037】図示の23および24はそれぞれ油圧モー
タであって、23は管状の偏心重錘軸19を回転せしめ
る起振モータ、24は上記管状の偏心重錘軸19に対し
て可動偏心重錘22を往復回動せしめる位相差制御モー
タである。上記2個の油圧モータ23,24は、市販品
の中から適宜に選定して使用することができるが、次に
示すような特性を有するものであることを必要とする。
なお、次に示すような特性もしくはこれと特価な特性を
有していれば電気モータを用いても良い。油圧モータ2
3および同24は、その出力回転軸がモータのケーシン
グを貫通していて、管状をなしている。起振用の油圧モ
ータ23は、位相差制御用の油圧モータ24に比して高
速低トルク形のモータであって、一方向回転式(逆転不
能)であっても良い。位相差制御用の油圧モータ24
は、起振用の油圧モータ23に比して低速大トルク形の
モータであって、往復回動可能であり、かつ、モータケ
ーシングに対して回転軸をロックできる構造である。た
だし、油圧ロック出来なくてもブレーキ手段を備えてい
れば良い。
【0038】起振モータ23のケーシングはキー28に
よってローラ軸17に固定されている。そして、該起振
モータ23の出力回転軸は、管状の偏心重錘軸19と一
体的に結合されている。この管状偏心重錘軸19に対し
て固定偏心重錘20が、キー21によって相対的回動を
係止されている。前記の管状偏心重錘軸19は、位相差
制御モータ24の出力回転軸に対しても一体的に連結さ
れている。そして、該位相差制御モータ24のケーシン
グはピン25により、可動偏心重錘22に対して相対的
回動を係止されている。以上の構成により、固定偏心重
錘22は高速低トルク形の起振モータ23によって回転
せしめられる。この固定偏心重錘22に対して可動偏心
重錘22は、位相差制御モータ24によって相対的に往
復回動せしめられ、双方の偏心重錘の位相差が調節され
る。該位相差制御モータ24がロックされ、もしくは制
動されると、可動偏心重錘22は固定偏心重錘20と同
一回転速度で同一回転方向に回転せしめられる。
【0039】次に、図5を併せて参照しつつ図2の起振
機付きローラの使用方法の1例を説明する。この展圧用
の中空ローラ18は、ローラ軸17を介してローラブラ
ケット16で支持されており、該ローラブラケット16
はショベル系建設車両のアームの先端に装着して用いら
れるが、後に図3を参照して説明するようにしてトラク
タで牽引することも出来る。要するに地盤の表面に圧接
しつつ転動し得る状態で用いられる。運転開始に先立っ
て、ローラブラケット16の油孔16cから圧力油を送
給し、油孔17bを経て位相差制御モータ24を回動せ
しめ、可動偏心重錘22を固定偏心重錘20に対して標
準状態(双方の偏心重錘それぞれの重心が回転軸に関し
て対称に位置し、総合偏心モーメントがゼロになり、一
緒に回転しても起振力を生じない状態)ならしめ、この
状態で位相差制御モータ24をロックし、もしくは制動
しておく。上述の状態で、ローラブラケット16の油孔
16aに圧力油を送給し、ローラ軸の油孔17aを経て
起振モータ23を回転させる。これにより、固定偏心重
錘20と可動偏心重錘22とは標準状態を保ちつつ、回
転速度を次第に上昇させてゆく。この加速状態は、図5
の矢印cに相当する。
【0040】矢印cの加速期間中に、地盤の共振周波数
に相当する回転速度nを通過するが、この通過時には
可動偏心重錘22と固定偏心重錘との総合偏心モーメン
トがゼロになっていて起振力を発生しないから、地盤が
共振して振動公害を招く虞れは無い。上述の作動の際、
総合偏心モーメントが完全にゼロでなくても、発生する
起振力の振動加速度がg(重力加速度980センチメー
トル毎秒々)以下であれば振動公害を生じない。このよ
うに、偏心モーメントを完全にゼロにしないで若干の偏
心モーメント量を残存させておくと、その後の操作で偏
心モーメントを増加させるための操作所要力が小さくて
済み、その結果として位相差制御モータ24が小容量で
足りる。前記の矢印cで表される加速期間中に、前記の
共振回転速度nを通過した後、ショベル系建設車両の
アームの共振周波数に相当する回転速度nを通過す
る。この場合も、前記総合偏心モーメントがゼロ(もし
くはg以下)であるから、アームが共振して損傷を被る
虞れが無い。回転速度が上昇して定格回転速度nに到
達すると(図5における点i)、前記位相差制御モータ
24を作動させて可動偏心重錘22と固定偏心重錘20
との位相差を調節し、偏心モーメント量を最大値ならし
め、この状態で該位相差制御モータ24を油圧ロック
し、もしくは機械的に制動して定常的な運転状態に移行
する。
【0041】図5に示した点iから点jまでの間、振動
を発生させながら定常的な運転を遂行して地盤を締め固
めた後、点jで回転動力の供給を断って減速期間T
入るに先立って、図2に示した位相差制御モータ24を
作動させて、可動偏心重錘22と固定偏心重錘20との
位相関係を標準状態(偏心モーメントがゼロの状態)と
し、該位相差制御モータ24を油圧ロックし、もしくは
機械的に制動して標準状態を固定する。このようにして
図5の矢印dのように減速させると、その途中でショベ
ル系建設車両のアームの共振周波数に相当する回転速度
、および、地盤の共振周波数に相当する回転速度n
を通過するが、起振力をゼロにした状態で通過するか
ら共振によるアームの損傷を生じたり、共振による振動
公害を生じたりする虞れが無い。
【0042】図3は、本発明に係る展圧ローラアタッチ
メントを用いて本発明に係るローラによる展圧工法を実
施している状態と、本発明に係る被牽引形ローラを用い
て本発明に係るローラによる展圧工法を実施している状
態とを、模式的に一つの図に纏めて描いた側面図であ
る。すなわち、2種類の実施形態を合体した形で描いた
模式図である。ショベル系建設車両1のアーム7の先端
に、前掲の図1に示した実施形態の起振機15および展
圧ローラ11を、緩衝ゴム12より成る緩衝機構27を
介して取り付けてある。図示を省略するが上記起振機1
5および展圧ローラ11に代えて図2に示した起振機構
付き中空ローラ18を装着しても良い。ショベル系建設
車両は一般に、ブーム5を起伏作動させるブームシリン
ダ6、およびアーム7を回動作動させるアームシリンダ
8、並びに、図示しないバケットに掬い込み・放出作動
を行なわせるバケットシリンダ26を備えているが、上
記のバケットを取り外して展圧ローラ11を取り付けて
いるのでバケットシリンダ26の必要が無くなり、これ
を取り外しておくか休止させておくことになる。従っ
て、該バケットシリンダ26に圧力油を供給していた油
圧ホース、およびバケット操作用の操作弁を、起振機1
5への圧力油供給用、および該起振機の操作用として、
そのまま転用することができる。
【0043】前述のごとく展圧ローラ11に起振機が付
設されていて、該展圧ローラ11に振動を与えるので、
比較的軽量のローラを用いて強力な展圧(締め固め)を
することができる。展圧ローラ11が軽量であると、こ
れを装着したショベル系建設車両1の全体的な重量バラ
ンスが良くなって安定性を増す。このため、本図3に仮
想線で示した位置11″のように展圧ローラを押し出し
て、作業半径をRからRまで延長させても支承無く
作業することができる。すなわち、押出し位置11″の
展圧ローラを持ち上げようとしてブームシリンダ6を伸
ばしても、ショベル系建設車両1のトラック1aがバラ
ンスを崩す(いわゆる尻が浮く)ことなく、安定した姿
勢を保持することができる。
【0044】前述のごとく展圧ローラ11をアーム7の
先端に取り付け、かつ、これに振動を与えつつ作業する
ことが出来るので、自走機能を有する振動ローラ車とほ
ぼ同等の展圧力を発揮できるが、以下に述べるように、
自走式振動ローラ車に比して経済性,作業性,住居性な
ど諸種の面で遥かに優れた性能を有している。さらに、
展圧ローラ11がアーム7の先端に取り付けられてい
て、これを上下に移動させることができるので展圧すべ
き地表が急斜面であったり、展圧仕上げ面が急斜面であ
っても施工することができる。展圧工事の作業者はショ
ベル系建設車両1の運転席1c内に位置して運転し、必
要に応じてトラック1aを走行させたり操向したりする
ことができ、またブーム5の起伏操作やアーム7の回動
操作によって展圧ローラ11を移動させることができ
る。このため、自走形振動ローラ車におけるがごとく、
展圧ローラ専用の運転席や専用の操向機構を設ける必要
が無いので製造コストが著しく安価であり、経済性に優
れている。その上、起振専用の原動機(例えばディゼル
エンジン)、油圧源(作動油タンクや油圧ポンプ)、お
よび制御機器(例えば制御弁など)を設けることなく、
ショベル系建設車両用の原動機で回転駆動されるショベ
ル系建設車両の油圧ポンプから吐出された圧力油の供給
を受けることができるので、いっそう製造コストが低廉
で経済的である。
【0045】前述のようにショベル系建設車両の運転室
1c内で運転すると、展圧ローラ11を数メートル離れ
て高所から観察することができ、しかも該展圧ローラ1
1がこれから展圧しようとしている地表の状態や、展圧
ローラ11が展圧を終えた地面の仕上り具合を正しく判
断することができるので、格別な熟練を要しないで高精
度の展圧仕上げをすることができる。その上、ショベル
系建設車両の運転室1cに設備されている冷,暖房設備
を利用して快適な作業をすることができ、自走式振動ロ
ーラ車におけるがごとく運転者の身体に激しい振動が伝
わってくる虞れが無い(離れていること、および、緩衝
機構27の作用による)。
【0046】最近では、建設車両一般に居住性を向上す
るような改良が行なわれているが、現実の問題として大
形車両ほど居住性が良く、小形車両ほど居住性が劣る。
従って、自走式振動ローラ車の居住性は良くないが、本
図3の実施形態においてはショベル系建設車両の運転室
1cを利用できるので快適な運転環境が得られる。特
に、熱したアスファルトを振動展圧する場合、従来例の
自走形振動ローラの運転者は路面から立ち昇る有毒ガス
に包まれて作業しなければならなかったのに比して、き
わめて快適であるのみならず衛生的である。
【0047】本図3には被牽引形ローラ29をショベル
系建設車両1に連結した状態も描いてあるが、アーム7
の先端に展圧ローラ11を装着しない状態で被牽引形ロ
ーラ29を取り付けるのが基本である。被牽引形ローラ
29を牽引する場合はショベル系建設車両1からブーム
5を取り外して、トラクタという形で牽引することもで
き、また、本来のトラクタ(建設用トラクタか農耕用ト
ラクタか産業用トラクタであるかを問わない)で牽引す
ることもできる。本図3の実施形態における被牽引形ロ
ーラ29は、前掲の図2に示した中空ローラ18を支持
しているローラブラケット16をトラック1aに対して
ドローバー1dで連結した状態と理解して頂いても良
い。該中空ローラの中に、前掲の図2に示したのと同様
ないし類似の起振機構(符号30を付して示す)が設け
られており、該図2について説明したのと同様にして振
動を発生させて強力な展圧を行うことが可能であり、か
つ、該図2について説明したのと同様に起振力を増減調
節して振動公害を防止することもできる。
【0048】展圧ローラ11をショベル系建設車両1の
アーム7に取り付けたときは、該アーム7もしくはブー
ム5を操作して展圧ローラ11を持ち上げ、地表から離
間させて空中に保持することによって振動公害を防止す
ることもできるが、被牽引形ローラ29は常に自重で地
面に当接しており、これを持ち上げて空中に保持するこ
とは出来ないので、位相差制御(起振力制御)による振
動公害防止の必要性は被牽引形ローラの場合の方が大き
い。被牽引形のローラに本発明を適用して起振機を取り
付ける場合、取り付け対象である被牽引形ローラの型式
について別段の制約は無く、通常の円柱面を有するロー
ラでも、円柱面に多数の突起が設けられているローラ
(タンピングローラ,シープスフートローラなど)でも
良い。また、起振機の配置個所についても別段の制約は
無く、回転部材(ローラ本体)に設けても良く、該回転
部材を支持している構造部分(フレーム,シャフトな
ど)に設けても良い。
【0049】
【発明の効果】以上に本発明の実施形態を挙げてその構
成・機能を明らかならしめたように、請求項1の発明方
法によると、ショベル系建設車両のアームの先端に取り
付けられるローラに起振機を装着し、または、該ローラ
の支持部材に起振機を取り付けて該ローラを振動させる
ので、この展圧用のローラは自重およびアームの重力荷
重によって地面に押し付けられるとともに、振動加速度
によって地盤にインパクトを与え、軽量の展圧ローラで
あっても大きい展圧力を発揮することができる。その
上、ショベル系建設車両は動力源(例えばディゼルエン
ジン)および油圧源(例えば油圧ポンプと作動油タン
ク)、並びに油圧制御弁を具備しているのでこれらの油
圧系機器類を利用して共用もしくは借用することができ
る。従って、起振機に専用の動力源もしくは電源を新設
する必要が無く、低廉なコストで実施することができ
る。
【0050】前述のように、振動を利用するのでローラ
本体は軽量のもので足り、従ってショベル系建設車両全
体の重量バランスに著しい悪影響を及ぼす虞れが無い。
さらに、振動機能を有する展圧ローラをショベル系建設
車両にアタッチメントとして装着して使用するので、異
なる工事場へ移動する場合のように長距離輸送する際は
該ショベル系建設車両をトレーラーもしくは大型トラッ
クで輸送すれば、展圧ローラ単独で梱包,輸送の手配を
必要としない。また、同一工事場内で工区間移動したり
車庫と作業場との間を往復するような中距離移動する際
は、当該ショベル系建設車両が自走すれば、これに搭載
されている展圧ローラは一緒に移動せしめられる。ま
た、同一作業エリア内で展圧施工区域内で移動するよう
な短距離移動をする際は、ショベル系建設車両のブー
ム,アームの回動操作および/または自走によって移動
せしめられるので、展圧ローラに操向機構を設ける必要
が無く、また、展圧ローラに直接的に専用運転席を設け
る必要が無く、ショベル系建設車両の運転席,運転室,
計器類を利用することができるので、展圧作業施工用の
コストが低廉である。
【0051】前述のごとくショベル系建設車両の運転席
を借用して展圧ローラによる締め固め作業を操作するの
で、作業状態を客観的に視認することができて、熟練を
要せずに高精度の展圧仕上げを行なうことができる。同
様の理由により、展圧ローラを振動させても運転席が激
しく振動する虞れが無く、その上、ショベル系建設車両
の運転室内は空調されているので居住性が良い。このよ
うにして、運転者の肉体的負荷が緩和されて労働環境が
良く、精神的負荷も軽い。さらに、前記の展圧ローラは
ショベル系建設車両のアームに装着されて該アームによ
って支持されているので、該展圧ローラは3次元的に、
ショベル系建設車両の作業半径内で任意の位置をとるこ
とができ、かつ任意の軌跡を描いて移動することができ
る。従って、自走式振動ローラでは締め固めできないよ
うな急斜面であっても締め固めることができる。上述の
ごとく、自走式振動ローラによっては施工できない作業
条件下において、振動を利用した高能率の展圧作業を遂
行し得るという効果を奏するということは特に注目を要
する。
【0052】請求項2の発明方法によると、被牽引ロー
ラの回転部材(ローラ本体部)が振動するので、該ロー
ラ回転部材の重力荷重に比して著しく大きい展圧性能が
得られる。その上、被牽引形であるから自走式振動ロー
ラに比して操向機構や運転席を設けなくても良いので製
造コストが低廉である。
【0053】請求項3の発明方法によると、展圧ローラ
による展圧作業の開始に先立って起振機を回転させる
際、直ちに定格回転速度まで加速することは事実上不可
能であって、数秒間の加速期間を必要とし、この間に振
動公害を生じる虞れが有ったことに対応して、予め起振
力を減少させた状態で回転を開始し、起振力を減少させ
た状態で加速するので、共振現象を生じる危険な回転速
度域を無事に通過することができる。すなわち、地盤の
共振周波数に対応する起振機回転速度、および、アーム
の共振周波数に対応する起振機回転速度を、起振力減少
状態で通過して加速されるので、地盤の共振に因る振動
公害が防止され、かつ、ショベル系建設車両のアームの
共振に因る損傷の発生が防止される。
【0054】上述の説明における「共振周波数に対応す
る回転速度」とは、概要的には「回転速度を回転数とし
て表したとき、共振周波数と等しい回転数」ということ
であるが、(イ)地盤の共振周波数は必ずしも単一でな
いこと、および(ロ)単純に等しい場合だけでなく、整
数比関係である場合にも共振現象を生じること、を勘案
すると、前記の共振周波数に対応する回転速度」は「共
振現象を生じる危険性の有る、1つもしくは複数の回転
速度領域」の意となる。
【0055】上述のようにして、起振機の回転速度が加
速される期間中における地盤の共振による振動公害の発
生と、ショベルアームの共振による破損とを回避し得る
ことに加えて「起振機付き展圧ローラを搭載したショベ
ル系車両の原動機(通例的にディゼルエンジン)およ
び、油圧ポンプの負荷を軽減し得るという効果も派生す
る。すなわち、起振機の回転速度が加速されている間に
該起振機に与えなければならない機械的エネルギー量
は、「振動を発生するためのエネルギー」と「回転部材
の運動エネルギーとして蓄積される分のエネルギー」と
の和である。而して、本請求項2の発明を適用して起振
機を減少せしめた状態で該起振機を加速すると、前者の
「振動を発生するためのエネルギー」が僅少で足り、
「回転部材に蓄積されるエネルギー」+αのエネルギー
を与えることによって加速することができる。
【0056】本発明の基本的思想において、起振機を駆
動するための専用の動力源を設けることなく、ショベル
系建設車両に本来的に設置されている動力源を借用ない
しは共用する。従って、搭載対象であるショベル系建設
車両の仕様諸元が既定であって、このショベル系建設車
両に請求項1の発明を適用する場合、該請求項1又は請
求項2の構成要件に加えて本請求項3の発明に係る構成
を適用すると、大容量の起振機を用いることができ、従
って大きい展圧能力(締め固め性能)を得ることができ
る。展圧作業を中止して起振機の作動を停止するために
減速する際は、これにエネルギーを供給するということ
に係る問題は無いが、減速の途中でショベルアームや地
盤と共振することによるトラブルを発生する危険性が有
ることは、前述した加速の場合と同様である。しかし、
この請求項3の発明によって起振力を減少させた状態で
減速すると、共振に因るトラブルを生じる虞れが無い。
ここに「起振力を減少させる」については、起振力をゼ
ロにすることも一つの形態であるが、必ずしも完全にゼ
ロでなくても良い。すなわち、起振力を減少させた結果
として展圧ローラの振動加速度がg(980cm毎秒
々)以下であれば共振に関するトラブルを招く虞れが無
い。
【0057】請求項4の発明に係る展圧ローラアタッチ
メントによると、請求項1もしくは同2の発明に係る展
圧工法を容易に、かつ確実に実施することができる。す
なわち、展圧ローラは回転部材であるから、この展圧ロ
ーラに起振機を装着することは、何らかの特別な工夫を
しない限り極めて困難である。困難の理由は主として、
(α)展圧ローラに起振機を装着すると、該展圧ローラ
の中心線に関する対称性が失われて円滑な転動が妨げら
れること、および、(β)起振機が展圧ローラと一緒に
回転すると、該起振機に対して油圧エネルギーもしくは
電気エネルギーを供給する手段の形成が容易でないこ
と、による。そこで本請求項3の発明に従って「回転部
材である展圧ローラではなく、非回転部材であるローラ
ブラケット」に起振機を装着することにより、前記
(α)項として示した対称性喪失という不具合、およ
び、(β)項として示したエネルギー供給の困難性を回
避することができる。
【0058】展圧ローラを回転可能に支持するローラブ
ラケットは完全な静止部材ではなく、ショベル系建設車
両の走行に伴って地盤に対して移動する上に、ブームや
アームの傾動,回動に伴って移動し、360度以内で回
動する部材であるが、展圧ローラのように連続的に回転
する部材ではなく、アームに対して殆ど静止している部
材であるから、このローラブラケットに起振機を取り付
けても展圧ローラの円滑な回転を阻害することも無く、
該起振機に対する油圧エネルギーや電気エネルギーの供
給に格別の困難を生じることも無い。そして、前記のロ
ーラブラケットに取り付けた起振機が作動して該ローラ
ブラケットに振動を与えると、この振動は別段の減衰を
生じることなく、ローラ軸を介して展圧ローラに伝えら
れ、該展圧ローラが振動するので、比較的軽量の展圧ロ
ーラであっても充分な展圧性能を発揮して地盤を締め固
めることができる。
【0059】本請求項4における前記のローラブラケッ
トはショベル系建設車両のアームの先端に取り付けられ
ているので、専用の操向機構を設けなくても、該ショベ
ル系建設車両を走行させることによって中,長距離の移
動が可能であり、また、該ショベル系建設車両を操作し
てブームやアームを動かすことによって展圧ローラの短
距離移動が可能である。このように、専用の操向機構を
設けなくても良いので、公知の機器である自走式の振動
ローラに比して製造コストが低廉である。さらに、前記
のローラブラケットがショベル系建設車両のアーム先端
に取り付けられているので、展圧ローラ専用の運転席や
運転室を設けなくても、該ショベル系建設車両の運転席
や運転室を利用することができるので、製造コストがい
っそう低廉で足りる。
【0060】のみならず、ショベル系建設車両の運転席
上に座っていると、展圧ローラの振動が直接的には運転
者に伝わってこないので労働作業条件が良い。しかも、
ショベル系建設車両の運転席はアーム先端部(すなわち
展圧ローラの位置)から数メートル離れているので、展
圧施工区域の全般的情況や展圧作業状態を客観的な立場
から観察することができ、格別の熟練者でなくても高精
度の展圧仕上げをすることができる。そして、展圧作業
の対象が熱せられたアスファルトである場合は、該アス
ファルトから発生する石油系有機化合物のガスが立ちこ
めて展圧ローラ運転者に肉体的苦痛を与えたり、衛生的
被害を与えたりする場合が少なくないが、本請求項4に
係る展圧ローラアタッチメントは、ショベル系建設車両
の運転室内から操作するので、運転者に肉体的,精神的
に過酷な負荷を与える虞れが無い。
【0061】請求項5の発明によると、展圧ローラを支
持しているローラブラケットの根本部が、緩衝機能を有
する弾性部材(例えば防振ゴム,または、コイルスプリ
ングもしくはリーフスプリング)を介してアーム先端部
に装着されているので、起振機で発生した振動によって
ローラブラケットが激しく振動せしめられても、該振動
がショベル系建設車両のアームに対してはほとんど伝動
されない。このため、アームが振動によって疲労破損を
誘発される虞れが無く、また、アームを伝わった振動が
運転室を振動させて居住性(乗り心地)を害したり、耐
振性の少ない計器類を狂わせたりする虞れも無い。
【0062】さらに、起振機で発生した振動がアームに
伝動されないということは、発生した振動エネルギーの
有効利用という面で重要な意義を有している。すなわ
ち、アームによって振動エネルギーを吸収されないの
で、発生した振動エネルギーのほとんど全部が展圧ロー
ラに与えられて有効に締め固め性能に寄与することにな
り、エネルギー効率が向上する。振動エネルギーの利用
効率が向上することの結果として、ショベル系建設車両
に本来的に搭載されている動力源(例えばディゼルエン
ジンや油圧ポンプ)に過.負荷を与える虞れも無く、動
力源の燃料消費率(締め固め作業量/消費燃料量)を向
上せしめる。
【0063】請求項6の発明によると、中空に形成され
た展圧ローラの中空部をローラ軸が貫通するとともに、
該ローラ軸によって偏心重錘が支持されて偏心重錘式
(別名・振子式)の起振機が形成されているので、前記
展圧ローラの外形輪郭は円柱面であることを失わず、ロ
ーラ軸まわりの円滑な回転を阻害されることも無い。し
かも、起振機による振動は中空状の展圧ローラ内で発生
するので、発生した振動は効率良く展圧ローラに伝えら
れ、高能率・高効率の展圧作業を可能ならしめる。前記
の偏心重錘を回転せしめるためのモータは、中空状の展
圧ローラ内に設けられるので、該モータに対するエネル
ギーの供給は、ローラ軸に設けたスイベルジョイント
(油圧の場合)を介して、もしくはローラ軸に設けたス
リップリング(電動の場合)を介して、格別の技術的困
難を伴うことなく確実に行なうことができる。
【0064】請求項7の発明によると、固定偏心重錘と
可動偏心重錘とを一緒に回転せしめることによって振動
を発生させることができ、さらに、上記固定偏心重錘と
可動偏心重錘との位相差を変化させて総合偏心モーメン
トを増減調節することができる。偏心重錘式の起振機に
おける偏心モーメントを変化させると、回転速度を変え
なくても起振力を変化させることができる。すなわち、
起振機の運転を中止することなく継続しつつ、該起振機
の起振力を調節して振動公害の発生を防止することがで
きる。
【0065】請求項8の発明によると、被牽引形である
が振動を発生させる機構を備えているので、自走機能を
有する走行形振動ローラと同レベルの展圧力を発揮する
ことができる。しかも被牽引形であるから走行用の原動
機を設ける必要が無く、同様の理由によって操向機構を
設ける必要が無く、さらに同様の理由によって専用の運
転席を設ける必要か無いので、走行形振動ローラと同等
の展圧性能を有するに拘らず走行形振動ローラに比して
著しく安価である。その上、被牽引形であるから運転席
に振動が伝わりにくく、居住性が非常に良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るローラによる展圧方法を実施する
ために構成した本発明に係る展圧ローラアタッチメント
の1実施形態を示し、部分的に切断して描いた模式図で
ある。
【図2】前掲の図1と異なる実施形態における展圧ロー
ラアタッチメントの模式的な断面図である。
【図3】本発明に係る展圧ローラアタッチメントを用い
て本発明に係るローラによる展圧工法を実施している状
態と、本発明に係る被牽引形ローラを用いて本発明に係
るローラによる展圧工法を実施している状態とを、模式
的に一つの図に纏めて描いた側面図である。すなわち、
2種類の実施形態を合体した形で描いた模式図である。
【図4】ショベル系建設車両のアームの先端に従来例の
ローラを取り付けた状態を示す側面図である。
【図5】振動装置の運転開始時および運転停止時におけ
る振動数の変化を示す図表で、横軸は時間である。
【図6】2個の偏心重錘の組み合わせによって起振力を
変化させる公知技術を説明するために示したものであっ
て、(A)は2個の偏心重錘が最大起振力を発揮する状
態を表す模式図、(B)は起振力中程度である状態を表
す模式図、(C)は起振力がやや小さい状態を表す模式
図、(D)は起振力がゼロの状態を表す模式図である。
【図7】共通の回転軸に対して固定偏心重錘を固着する
とともに可動偏心重錘を上記共通の回転軸に対する相対
的な回動角位置を調節できるようにした機構の模式図で
ある。
【符号の説明】
1…ショベル系建設車両 1a…トラック 1b…旋回台 1c…運転室 1d…ドローバー 2…回転軸 2B,2C…回転軸 4…同期回転用伝動歯車 4B,4C…同期回転用伝動歯車 5…ブーム 6…ブームシリンダ 7…アーム 7a…ボックス構造部 7b…二又部 8…アームシリンダ 9…固定偏心重錘 10…可動偏心重錘 11…展圧ローラ 11′…重展圧ローラ 12…緩衝ゴム 13…ブラケット 14…ローラ軸 15…起振機 15a…偏心重錘軸 15b…固定偏心重錘 15c…可動偏心重錘 15d…駆動モータ 15e…位相差制御器 16…ローラブラケット 16a…油孔 16b…Oリング 16c…油孔 17…ローラ軸 17a,17b…油孔 18…中空ローラ 19…管状の偏心重錘軸 20…固定偏心重錘 21…キー 22…可動偏心重錘 23…起振モータ 24…位相差制御モータ 25…ピン 26…バケットシリンダ 27…緩衝機構 28…キー 29…被牽引形ローラ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ショベル系建設車両のアームの先端にロ
    ーラを取り付け、上記のローラを地盤上で転動せしめる
    展圧工法において、 上記のローラに起振機を取り付け、または、該ローラを
    回転可能に支持している部材に起振機を取り付けて、上
    記の起振機を作動せしめて該ローラに振動を与え、 上記のローラを振動させながら前記ショベル系建設車両
    のアームを作動せしめ、および/または、該ショベル系
    建設車両を走行せしめて前記のローラを地盤上で転動せ
    しめることを特徴とする、ローラによる展圧工法。
  2. 【請求項2】 被牽引形のローラを建設車両もしくは農
    業車両またはこれに類似するトラクタで牽引走行して地
    盤を展圧する工法において、 前記被牽引形ローラの回転部材もしくは該回転部材を支
    持している部材に起振機を取り付け、 上記の起振機を作動させてローラ回転部材に振動を与
    え、該ローラ回転部材を振動させつつ牽引走行すること
    を特徴とする、ローラによる展圧工法。
  3. 【請求項3】 前記の起振機として、起振力の増減調節
    可能な偏心重錘回転式の起振機を使用し、 起振力を減少せしめた状態で起振機の回転を開始した
    後、回転速度を上昇せしめ、 起振機の回転速度が「地盤の共振周波数に相当する回転
    速度」および「ショベル系建設車両の共振周波数に相当
    する回転速度」を通過した後に起振機の起振力を増加さ
    せて定常的な運転状態に移行し、 および/または、 起振機が起振力を発揮して定常的に運転している状態
    で、該起振機の起振力を減少せしめてから回転速度を減
    少せしめ、 起振機の回転速度が「ショベル系建設車両の共振周波数
    に相当する回転速度」および「地盤の共振周波数に相当
    する回転速度」を、起振力の小さい状態で通過して、回
    転を停止することを特徴とする、請求項1もしくは請求
    項2に記載したローラによる展圧工法。
  4. 【請求項4】 ショベル系建設車両のアームの先端に、
    展圧ローラを回転可能に取り付けた構造の建設車両用展
    圧ローラアタッチメントにおいて、 上記展圧ローラを回転可能に支持しているローラブラケ
    ットがアーム先端に取り付けられており、 かつ、上記ローラブラケットに、偏心重錘が偏心重錘軸
    によって回転可能に支持されて成る起振機が取り付けら
    れていて、上記の起振機を作動させると、発生した振動
    がローラブラケットを経て展圧ローラに伝えられるよう
    になっていることを特徴とする、展圧ローラアタッチメ
    ント。
  5. 【請求項5】 前記のローラブラケットの根本部が、ア
    ームの先端に対して、緩衝機能を有する弾性部材を介し
    て取り付けられていて、起振機で発生した振動が別段に
    減衰すること無く展圧ローラに伝えられるとともに、該
    起振機で発生した振動がアームに伝わる際には著しく減
    衰するようになっていることを特徴とする、請求項4に
    記載した展圧ローラアタッチメント。
  6. 【請求項6】 ショベル系建設車両のアームの先端に、
    展圧ローラがローラ軸によって回転可能に支持されてい
    る構造の建設車両用展圧ローラアタッチメントにおい
    て、 前記の展圧ローラが中空になっているとともに、該中空
    部をローラ軸が貫通しており、 かつ、上記中空部内に収納された偏心重錘が前記ローラ
    軸によって回転可能に支持されているとともに、上記偏
    心重錘をローラ軸の周りに回転させるモータが設けられ
    ていることを特徴とする、展圧ローラアタッチメント。
  7. 【請求項7】 前記の偏心重錘は、駆動用のモータによ
    って回転駆動される固定偏心重錘と、上記固定偏心重錘
    と一緒に回転しつつ該固定偏心重錘に対する回転位相差
    を調節されるようになっている可動偏心重錘との組合せ
    から成り、 回転位相差が変化すると固定偏心重錘と可動偏心重錘と
    の総合偏心モーメントが変化して起振力が変化するよう
    になっていることを特徴とする、請求項4もしくは請求
    項6に記載した展圧ローラアタッチメント。
  8. 【請求項8】 展圧用の被牽引ローラにおいて、転動部
    材もしくはその支持部材に起振機が取り付けられてい
    て、該起振機を作動させると転動部材が振動するように
    なっていることを特徴とする被牽引形ローラ。
JP8985797A 1997-03-05 1997-03-05 ローラによる展圧工法、および展圧ローラアタッチメント、 並びに被牽引形ローラ Pending JPH10244223A (ja)

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002066458A (ja) * 2000-08-30 2002-03-05 Chowa Kogyo Kk 複数の回転系統を有する機械の位相制御装置、および同制御方法
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CN118498329A (zh) * 2024-07-19 2024-08-16 山西弘基电力工程有限公司 一种电力施工立体作业辅助装置

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