JPH10242742A - 送受信アンテナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ほぼ全方位的な指向性を有し、配置された姿勢
に起因する感度上のばらつきがない上、比較的効率のよ
い送受信を行なうことができ、信頼度の高い識別システ
ム等を構築可能な送受信アンテナを提供。 【解決手段】本送受信アンテナは、被検査移動体（６
０）に向けて検査波を発射し、上記移動体（６０）から
の身分証明情報等を含む応答波を受信する送受信アンテ
ナにおいて、第１脚（１１）と第２脚（１２）とがＬ型
をなす如く配された磁性体からなる磁心（１０）と、こ
の磁心（１０）の第１脚（１１）から第２脚（１２）に
亘って巻装され、前記検査波および応答波の送受信を行
なうアンテナ素子用コイル（２０）とを備えている。磁
心１０の背面にはアース板３０が設置される事が好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば入室者チェ
ック等を行なうために、被検査移動体に向けて検査波を
発射し、上記移動体からの身分証明情報等を含む応答波
を受信するための識別システム用として好適な送受信ア
ンテナに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のこの種の送受信アンテナとして
は、棒状コアに巻線を施した構造を有するＩ型アンテ
ナ、環状コアに巻線を施した構造を有するＯ型アンテナ
が主として用いられていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来の送受信
アンテナのうち、Ｉ型アンテナは、一方向に強い指向性
を有しているため、配置された姿勢如何によって、被検
査移動体への通信が良好に行なわれる場合と全く駄目な
場合とがある。つまりＩ型アンテナは安定した感度を確
保できない欠点を有している。またＯ型アンテナは、全
方位指向性のものであるため、Ｉ型アンテナのような、
配置された姿勢に起因する感度上のばらつきは殆どな
い。しかしその反面、エネルギーが分散してしまうた
め、効率のよい送受信を行なえないという欠点があっ
た。

【０００４】本発明の目的は、ほぼ全方位的な指向性を
有し、配置された姿勢に起因する感度上のばらつきがな
い上、比較的効率のよい送受信を行なうことができ、信
頼度の高い識別システム等を構築可能な送受信アンテナ
を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、本発明の送受信アンテナは、以下の如
く構成されている。 （１）本発明の送受信アンテナは、被検査移動体に向け
て検査波を発射し、上記移動体からの身分証明情報等を
含む応答波を受信する送受信アンテナにおいて、第１脚
と第２脚とがＬ型をなす如く配された磁性体からなる磁
心と、この磁心の第１脚から第２脚に亘って巻装され、
前記検査波および応答波の送受信を行なうアンテナ素子
用コイルと、を具備したことを特徴としている。 （２）本発明の送受信アンテナは、被検査移動体に向け
て検査波を発射し、上記移動体からの身分証明情報等を
含む応答波を受信する送受信アンテナにおいて、第１脚
と第２脚とがＬ型をなす如く配された磁性体からなる磁
心と、この磁心の第１脚から第２脚に亘って巻装され、
前記検査波および応答波の送受信を行なうアンテナ素子
用コイルと、このアンテナ素子用コイルを巻装された前
記磁心を、この磁心の第１脚と第２脚とを含む平面と平
行な一側面で保持する如く設けられ、当該一側面の面積
が少なくとも上記磁心の被保持面の面積よりも広く設定
されたアース板と、を具備したことを特徴としている。

【０００６】

【発明の実施の形態】

（第１実施形態）図１，図２は本発明の第１実施形態に
係る送受信アンテナの構成を示す図で、図１は識別シス
テムへの適用例を示すブロック図、図２の（ａ）および
（ｂ）は正面図および側面図である。

【０００７】図１および図２に示すように、この送受信
アンテナＡは、磁心１０と、アンテナ素子用コイル２０
と、アース板３０とからなっている。磁心１０は、例え
ば高透磁率のフェライト等により一体成形された磁性体
からなり、第１脚１１と第２脚１２とがＬ型をなす如く
配されたものとなっている。アンテナ素子用コイル２０
は、単一の絶縁被覆導線を上記磁心１０の第１脚から第
２脚に亘って複数ターン（例えば３４ターン）づつ連続
的に同一方向に巻回したものであり、その両端に引き出
し線２１および２２を有している。かくして上記アンテ
ナ素子用コイル２０は、検査波および応答波の送受信を
行なえるものとなっている。アース板３０は、アンテナ
素子用コイル２０を巻装された前記磁心１０を、この磁
心１０の第１脚１１と第２脚１２とを含む平面と平行な
一側面で保持する如く設けられている。このアース板３
０の上記一側面の面積は、少なくとも上記磁心１０の被
保持面の面積よりも広く設定されている。

【０００８】前記アンテナ素子用コイル２０の引き出し
線２１および２２は、図１に示す如く、送受信回路４０
に接続されている。送受信回路４０は身分証明（ＩＤ）
識別回路５０と接続されている。６０は被検査移動体と
してのＩＤカードである。

【０００９】なお実際の使用に際しては、送受信アンテ
ナＡは例えばドア横の壁等に埋設され、磁心１０および
アンテナ素子用コイル２０の外側は化粧板あるいは壁紙
等で覆われる。

【００１０】かくして本実施形態の送受信アンテナＡ
は、被検査移動体であるＩＤカード６０に向けて検査波
を発射し、上記ＩＤカード６０からの身分証明情報等を
含む応答波を受信し得るようになっている。

【００１１】（実験例）図３は第１実施形態に係る送受
信アンテナＡの特性を、従来の送受信アンテナＢ，Ｃの
特性と比較するために行なった実験の内容を示す斜視図
である。

【００１２】図３の（ａ）に示す如く、本実施形態に係
る送受信アンテナＡとしては、アース板３０として横幅
Ｌ1 が７０mm、縦幅Ｌ2 が１２０mmのアルミニウム板を
用いると共に、このアース板３０の上に、第１脚１１の
長さ１９mm，第２脚１２の長さ１９mm，太さ（外径）
７．５mmのＬ型磁心１０に、自己インダクタンスが２７
μＨ±５％のアンテナ素子用コイル２０を巻装したアン
テナ本体１を取付けたものを用意した。そして上記コイ
ル２０に１３４．２ｋＨz 程度の周波数の電気信号を印
加し、磁心１０の第１脚１１を含むアース板３０と垂直
な平面内を、被検査移動体６０を図示の姿勢（０°また
は９０°）を保ったまま、矢印で示す如く移動させたと
きのＸ方向指向性と、磁心１０の第２脚１２を含むアー
ス板３０と垂直な平面内を、被検査移動体６０を図示の
姿勢（０°または９０°）を保ったまま矢印で示す如く
移動させたときのＹ方向指向性とを計測した。

【００１３】図３の（ｂ）に示す如く、第１の従来例に
係る送受信アンテナＢとしては、アース板として本実施
形態に係る送受信アンテナＡのアース板３０と同じもの
を使用し、このアース板の上に、外径２５mm，内径９．
５mm，厚み７mmのＯ型磁心に自己インダクタンスが２７
μＨ±５％のアンテナ素子用コイルを巻装したアンテナ
本体２を取付けたものを用意した。そして上記コイルに
本実施形態の場合と同様に電気信号を印加し、且つ本実
施形態の場合と同様にアース板と垂直な平面内における
Ｘ方向指向性とＹ方向指向性とを計測した。

【００１４】図３の（ｃ）に示す如く、第２の従来例に
係る送受信アンテナＣとしては、本実施形態に係る送受
信アンテナＡのアース板３０と同じアース板を用い、こ
のアース板の上に、太さ（直径）８mm、長さ２５mmのＩ
型磁心に自己インダクタンスが２７μＨ±５％のアンテ
ナ素子用コイルを巻装したアンテナ本体３を取付けたも
のを用意した。そして上記コイルに本実施形態の場合と
同様に電気信号を印加し、且つ本実施形態の場合と同様
にアース板と垂直な平面内におけるＸ方向指向性とＹ方
向指向性とを計測した。

【００１５】図４〜図７は上記実験の結果を示す図で、
図４はＸ方向指向性（被検査移動体の姿勢…０度）を示
す図であり、図５はＸ方向指向性（被検査移動体の姿勢
…９０度）を示す図であり、図６はＹ方向指向性（被検
査移動体の姿勢…０度）を示す図であり、図７はＹ方向
指向性（被検査移動体の姿勢…９０度）を示す図であ
る。

【００１６】図４〜図７から分かるように、本実施形態
に係るＬ型磁心を有する送受信アンテナＡは、いずれの
ケースにおいても、すべての方位角度に対して４０mm以
上の通信距離が安定に確保されており、高レベルで安定
な指向性を呈している。

【００１７】これに対して第１の従来例に係るＯ型磁心
を有する送受信アンテナＢは、すべてのケースにおいて
通信距離が４０mm以下であり、低レベル安定形の指向性
を呈している。また第２の従来例に係るＩ型磁心を有す
る送受信アンテナＣは、Ｘ方向指向性（被検査移動体の
姿勢…０度）、Ｙ方向指向性（被検査移動体の姿勢…０
度）のときには本実施形態の特性を上回るほど十分な通
信距離が安定に確保されるが、その反面、上記以外のケ
ースでは通信距離が極端に短くなり４０mmに満たない。
つまりＩ型磁心を有する送受信アンテナＣの場合は、ア
ンテナ本体３と被検査移動体６０との相対的な向きによ
って、通信距離に大きなばらつきが生じる。

【００１８】（変形例）前述の実施形態に示された送受
信アンテナは、下記の変形例を含んでいる。 ・Ｌ型の磁心１０にアンテナ素子用コイル２０を巻装し
たアンテナ本体１が、複数個併設されているもの。

【００１９】・二つのＬ型の磁心１０が、口の字状をな
す如く、互いに対向して配設されているもの。 ・Ｌ型の磁心１０の第１脚１１と第２脚１２に対するア
ンテナ素子用コイル２０の巻回方向が逆になっているも
の。

【００２０】・Ｌ型の磁心１０を二つの棒状の磁心を一
体的に結合して形成したもの。 ・第１脚１１と第２脚１２との間にギャツプが形成され
ているもの。 ・第１脚１１と第２脚１２とが鋭角または鈍角をなすよ
うに連結されているもの。

【００２１】・第１脚１１と第２脚１２とが若干円弧状
に湾曲しているもの。 （実施形態における特徴点）実施形態（変形例を含む）
に示された送受信アンテナの特徴点をまとめると次の通
りである。 ［１］実施形態に示された送受信アンテナは、被検査移
動体（６０）に向けて検査波を発射し、上記移動体（６
０）からの身分証明情報等を含む応答波を受信する送受
信アンテナにおいて、第１脚（１１）と第２脚（１２）
とがＬ型をなす如く配された磁性体からなる磁心（１
０）と、この磁心（１０）の第１脚（１１）から第２脚
（１２）に亘って巻装され、前記検査波および応答波の
送受信を行なうアンテナ素子用コイル（２０）と、を具
備したことを特徴としている。

【００２２】上記送受信アンテナにおいては、第１脚
（１１）および第２脚（１２）がＬ型に配された磁心
（１０）にアンテナ素子用コイル（２０）が巻装された
ものとなっていることから、十分なエネルギーを持った
検査波が、ほぼ全方位的に放射される事になる。その結
果、いずれの方位に対しても安定な指向性を呈する事に
なり、配置された送受信アンテナの姿勢や検知時におけ
る被検査移動体の姿勢等の影響をほとんど受けずに済
む。かくして配置された送受信アンテナの姿勢に起因す
る感度上のばらつきが極めて少いものとなる。したがっ
て比較的効率のよい送受信を安定に行なうことができ、
信頼度の高い識別システム等を構築可能な送受信アンテ
ナを得ることができる。 ［２］実施形態に示された送受信アンテナは、被検査移
動体（６０）に向けて検査波を発射し、上記移動体（６
０）からの身分証明情報等を含む応答波を受信する送受
信アンテナにおいて、第１脚（１１）と第２脚（１２）
とがＬ型をなす如く配された磁性体からなる磁心（１
０）と、この磁心（１０）の第１脚（１１）から第２脚
（１２）に亘って巻装され、前記検査波および応答波の
送受信を行なうアンテナ素子用コイル（２０）と、この
アンテナ素子用コイル（２０）を巻装された前記磁心
（１０）をこの磁心（１０）の第１脚（１１）と第２脚
（１２）とを含む平面と平行な一側面で保持する如く設
けられ、当該一側面の面積が少なくとも上記磁心（１
０）の被保持面の面積よりも広く設定されたアース板
（３０）と、を具備したことを特徴としている。

【００２３】したがって上記送受信アンテナにおいて
は、［１］と同様の作用効果を奏する上、アース板（３
０）の存在により、磁心（１０）の背面側へのエネルギ
ー放射が制限されるため、一層効率の良い送受信が可能
となる利点を有する。 ［３］実施形態に示された送受信アンテナは、上記
［１］に記載された送受信アンテナであって、かつＬ型
の磁心（１０）が、高透磁率のフェライトコアからなっ
ている。したがって上記送受信アンテナにおいては、品
質が安定化する上、製作加工が容易であるため、安価に
製作可能である。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、ほぼ全方位的な指向性
を有し、配置された姿勢に起因する感度上のばらつきが
ない上、比較的効率のよい送受信を行なうことができ、
信頼度の高い識別システム等を構築可能な送受信アンテ
ナを提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係る送受信アンテナの
構成を示す図で、識別システムへの適用例を示すブロッ
ク図。

【図２】本発明の第１実施形態に係る送受信アンテナの
構成を示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面
図。

【図３】本発明の第１実施形態に係る送受信アンテナＡ
の特性を、従来の送受信アンテナＢ，Ｃと比較するため
に行なった実験の内容を示す斜視図。

【図４】上記実験の結果を示す図で、Ｘ方向指向性（被
検査移動体の姿勢…０度）を示す図。

【図５】上記実験の結果を示す図で、Ｘ方向指向性（被
検査移動体の姿勢…９０度）を示す図。

【図６】上記実験の結果を示す図で、Ｙ方向指向性（被
検査移動体の姿勢…０度）を示す図。

【図７】上記実験の結果を示す図で、Ｙ方向指向性（被
検査移動体の姿勢…９０度）を示す図。

【符号の説明】

１…アンテナ本体 １０…磁心 １１…第１脚 １２…第２脚 ２０…アンテナ素子用コイル ２１，２２…引き出し線 ３０…アース板 ４０…送受信回路 ５０…ＩＤ識別回路 ６０…ＩＤカード Ａ．Ｂ．Ｃ…送受信アンテナ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】被検査移動体に向けて検査波を発射し、上
   記移動体からの身分証明情報等を含む応答波を受信する
   送受信アンテナにおいて、 第１脚と第２脚とがＬ型をなす如く配された磁性体から
   なる磁心と、 この磁心の第１脚から第２脚に亘って巻装され、前記検
   査波および応答波の送受信を行なうアンテナ素子用コイ
   ルと、 を具備したことを特徴とする送受信アンテナ。
2. 【請求項２】被検査移動体に向けて検査波を発射し、上
   記移動体からの身分証明情報等を含む応答波を受信する
   送受信アンテナにおいて、 第１脚と第２脚とがＬ型をなす如く配された磁性体から
   なる磁心と、 この磁心の第１脚から第２脚に亘って巻装され、前記検
   査波および応答波の送受信を行なうアンテナ素子用コイ
   ルと、 このアンテナ素子用コイルを巻装された前記磁心を、こ
   の磁心の第１脚と第２脚とを含む平面と平行な一側面で
   保持する如く設けられ、当該一側面の面積が少なくとも
   上記磁心の被保持面の面積よりも広く設定されたアース
   板と、 を具備したことを特徴とする送受信アンテナ。