JPH10237262A - アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

アクリル系樹脂組成物

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JPH10237262A
JPH10237262A JP3908497A JP3908497A JPH10237262A JP H10237262 A JPH10237262 A JP H10237262A JP 3908497 A JP3908497 A JP 3908497A JP 3908497 A JP3908497 A JP 3908497A JP H10237262 A JPH10237262 A JP H10237262A
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JP
Japan
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copolymer
resin composition
acrylic resin
phosphorus compound
molecule
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Application number
JP3908497A
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English (en)
Inventor
Norio Numata
憲男 沼田
Masaki Tono
正樹 戸野
Bunji Yamaguchi
文治 山口
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐侯性が優れると共に燃焼時に充分な耐火性
能を有し、しかも形状保持が良好であることによって使
用用途がより広くなり、上記建築材料の被覆等、耐火性
能が必要な場所にも施工可能であり、耐火断熱性能を一
定時間持続できるアクリル系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 櫛型骨格を有する分岐型共重合体、星型
骨格を有する分岐型共重合体、(A−B−A)n 型ブロ
ック共重合体及び(A−B)n 型ブロック共重合体から
選ばれる少なくとも1種の熱可塑性アクリル系共重合
体、リン化合物ならびに分子中に水酸基を有する炭化水
素化合物からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アクリル系樹脂組
成物に関し、特に、耐火性を有するアクリル系樹脂組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】建築材料の分野においては、従来から建
築基準法等の規制によって耐火性が要求されている。一
方、樹脂材料は近年の用途拡大に伴って、建築材料とし
て広く用いられるようになり、耐火性能を有する樹脂材
料が要求されるようになってきた。
【0003】このような耐火性能としては、単に樹脂材
料自体が燃え難いばかりでなく、火炎を裏面に回すこと
がない性質等も要求されている。樹脂材料中の樹脂成分
及び有機成分は、本質的に燃焼又は溶融する性質を有す
るので、いかに長時間燃焼又は溶融せずに保たれるかが
重要な性能となる。
【0004】このため、耐火性を付与するために無機成
分を配合する技術が各種提案されているが、自着性を有
しない無機成分は脱落し易く、結果的に裏面に火炎を侵
入させてしまうため、いかに長時間脱落しないか等が問
題となる。
【0005】例えば、特開平6−25476号公報に
は、ポリオレフィン樹脂に、赤リン又はリン化合物、及
び熱膨張性黒鉛とが添加された樹脂組成物が開示されて
いる。この樹脂組成物は、酸素指数から見た場合には十
分な難燃性を有するため、燃えにくい材料であるといえ
る。
【0006】しかし、建築分野において要求されてい
る、鉄骨を被覆する、外壁の裏面を被覆する、間
仕切りの裏面を被覆する、等の被覆用途に用いる場合
は、材料自身が燃えにくいだけでは十分でなく、さらに
火炎に接した状態で被覆した面の温度を上昇させないと
いう性能が要求される。
【0007】これに対して、従来の上記樹脂組成物で
は、耐火試験や防火試験における裏面の温度を30分間
260℃以下に抑えるという基準を満たすことができな
い(耐火性不充分)だけでなく、脆い灰分だけの状態と
なり残渣が脱落する(形状保持性不充分)ため、断熱層
としての機能を早期に失うという問題点があった。
【0008】また、アクリル系樹脂に、水酸化アルミニ
ウムや三酸化アンチモンを配合する方法も提案されてい
るが、難燃性が不充分であり、耐火試験や防火試験にお
いて30分間の基準に耐えることができなかった。
【0009】以上に示したように、従来技術には、耐火
性と形状保持性とを同時に満足し得る樹脂組成物の提案
がなく、この種の材料の要請が大きい建築材料分野にお
いて耐火性能として要求される基準を満たすことができ
ないために、使用用途が限定され、壁の裏打ち材や鉄骨
の被覆材等に単独で使用することができないという問題
点があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐侯
性が優れると共に燃焼時に充分な耐火性能を有し、しか
も形状保持が良好であることによって使用用途がより広
くなり、上記建築材料の被覆等、耐火性能が必要な場所
にも施工可能であり、耐火断熱性能を一定時間持続でき
るアクリル系樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
発明(以下、第1発明という)であるアクリル系樹脂組
成物は、櫛型骨格を有する分岐型共重合体、星型骨格を
有する分岐型共重合体、(A−B−A)n 型ブロック共
重合体、及び、(A−B)n 型ブロック共重合体から選
ばれる少なくとも1種の熱可塑性アクリル系共重合体1
00重量、ならびに、リン化合物及び分子中に水酸基を
有する炭化水素化合物の合計量50〜900重量部から
なることを特徴とする。
【0012】本発明の請求項2記載の発明(以下、第2
発明という)であるアクリル系樹脂組成物は、櫛型骨格
を有する分岐型共重合体、星型骨格を有する分岐型共重
合体、(A−B−A)n 型ブロック共重合体、及び、
(A−B)n 型ブロック共重合体から選ばれる少なくと
も1種の熱可塑性アクリル系共重合体100重量、なら
びに、リン化合物、分子中に水酸基を有する炭化水素化
合物及び無機充填剤の合計量50〜900重量部からな
ることを特徴とする。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。第
1発明で用いられる熱可塑性アクリル系共重合体は、櫛
型骨格を有する分岐型共重合体、星型骨格を有する分岐
型共重合体、(A−B−A)n 型ブロック共重合体、及
び、(A−B)n 型ブロック共重合体から選ばれる少な
くとも1種である。
【0014】アクリル系樹脂はポリオレフィン系樹脂等
と比較して、耐侯性等に優れた樹脂であり、エラストマ
ー的性質や粘着性にも優れている。エラストマーや粘着
剤として用いられるアクリル系樹脂は、通常重量平均分
子量が50万から100万の高分子量体が用いられてお
り、エラストマーとして用いるときには押出成形、粘着
剤として用いるときは、溶液又は水分散液状態として塗
工される。
【0015】このような高分子量体では、充填剤を多量
に配合しようとすると押出成形時や乾燥時に充填剤が表
面に析出し、粘着性が得られないばかりでなく、伸びの
ないもろもろの状態の成形体しか得られず、特に無機化
合物を配合する場合は樹脂100重量部に対して10重
量部程度しか配合することができなかった。
【0016】本発明で用いられる熱可塑性アクリル系共
重合体は、溶融時の粘度が低く、充填剤やその他の化合
物を多量に配合しても平滑な表面を有する美麗な成形体
を得ることができる。このため耐火性能を発現するため
に十分な量のリン化合物、分子中に水酸基を有する炭化
水素化合物、無機充填剤が配合された成形体を形成する
ことが可能であり、耐侯性に優れた耐火目地材、耐火被
覆材、耐火制振材等を得るのに特に適している。
【0017】上記櫛型骨格を有する分岐型共重合体は、
一方の末端に重合性の(メタ)アクリレート基を有し、
他方の末端に重量平均分子量2000〜60000の非
重合性重合体を有するいわゆるマクロモノマー5〜30
重量%と、炭素数4〜12のアルキル基を側鎖に有する
(メタ)アクリル酸エステル40〜95重量%とを共重
合体させて得ることができる。さらに、上記以外の共重
合可能な単量体を30重量%まで含有してもよい。
【0018】上記マクロモノマーとして、東亜合成化学
社等より販売されているものを使用することができる。
また、上記マクロモノマーとしては、末端にある非重合
性重合体のガラス転移温度が50℃以上のものを用いる
ことが好ましい。
【0019】上記星型骨格を有する分岐型共重合体は、
単素数4〜12のアルキル基を側鎖に有する(メタ)ア
クリル酸エステルと、該(メタ)アクリル酸エステルと
共重合可能な単量体とからなる混合モノマーを多官能連
鎖移動剤の存在下で第一段目の重合反応を行い、さらに
共重合可能な単量体を投入して第2段目の反応を行うこ
とにより得ることができる。また、第1段目と第2段目
の反応順序を替えて、第2段目で(メタ)アクリル酸エ
ステル共重合体を形成させるようにしてもよい。
【0020】上記星型骨格を有する分岐型共重合体とし
ては、炭素数4〜12のアルキル基を側鎖に有する(メ
タ)アクリル酸エステル70〜95重量%と、共重合可
能な単量体30〜5重量%とからなる共重合体が好まし
い。
【0021】上記炭素数が4〜12のアルキル基を側鎖
に有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例え
ば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n
−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、ア
クリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチ
ル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル
酸ラウリル等が挙げられ、これらは単独で使用されても
よく、2種以上が併用されてもよい。
【0022】上記(メタ)アクリル酸エステルのアルキ
ル基の炭素数が、3以下又は13以上となると、得られ
る熱可塑性アクリル系共重合体が固くなりすぎるため、
初期粘着性が低下する。
【0023】上記(メタ)アクリル酸エステルと共重合
させる単量体は、アクリル系共重合体の凝集力を高める
ために用いられるものであって、極性基を有する単量体
が好ましい。極性基を有する単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、(無
水)マレイン酸、フマル酸、カルボキシエチル(メタ)
アクリレート等のカルボキシル基含有モノマー;2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシ
ブチルアクリレート、カプロラクトン変成(メタ)アク
リレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレ
ート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートな
どの水酸基含有モノマー;アクリロニトリル、N−ビニ
ルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル
ラウリロラクタム、アクリロイルモルホリン、(メタ)
アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミノ
基、アミド基含有モノマーなどの高極性モノマーの他、
酢酸ビニル、スチレン、メチル(メタ)アクリレートな
どの中程度の極性モノマーが挙げられる。これらの単量
体は、単独で使用されてもよく、2種以上が併用されて
もよい。
【0024】また、第2段目で使用する単量体として
は、第2段目の反応により形成する(共)重合体のガラ
ス転移温度が50℃以上となるものが好ましい。
【0025】上記多官能連鎖移動剤としては、トリチオ
グリセリン、トリメチロールプロパントリチオグリコレ
ート、トリメチロールトリチオプロピオネート等の3官
能メルカプタン;ペンタエリスリトールテトラキスチオ
グリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプ
ロピオネート等の4官能メルカプタンなどの多官能メル
カプタンから選ばれる1種以上を用いればよい。
【0026】上記(A−B−A)n 型及び(A−B)n
型ブロック共重合体において、Aはビニル重合体ブロッ
クを示し、Bは、一般式CH2 =CR1 COOR2 (式
中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R2 は炭素数
2〜14のアルキル基を示す)で表される(メタ)アク
リル酸エステルを構成単位として含む(共)重合体ブロ
ックを示す。
【0027】上記Aで示されるビニル重合体ブロック部
分(Aブロック部分)を形成するビニル化合物として
は、例えば、スチレン、メチルメタクリレート、α−メ
チルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレー
ト、アクリロニトリル、酢酸ビニル等が挙げられ、特に
スチレン、メタクリレートの使用が好ましい。
【0028】上記Aブロック部分のガラス転移温度(T
g)は、凝集力及び粘着性を良好にするためには、20
℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上である。
【0029】上記Bで示される(共)重合体ブロック
(Bブロック部分)を形成する、炭素数2〜14のアル
キル基を有するアクリル酸エステルとしては、例えば、
アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリ
ル酸ter−ブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル
酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アク
リル酸ラウリル等が挙げられ、これらは単独で用いられ
てもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】また、上記Bブロック部分を形成する、炭
素数2〜14のアルキル基を有するメタクリル酸エステ
ルとしては、例えば、メタクリル酸n−オクチル、メタ
クリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等
が挙げられ、これらは単独で用いられてもよく、2種以
上が併用されてもよい。
【0031】上記(A−B−A)n 型及び(A−B)n
型ブロック共重合には、粘着性及び接着性のバランスを
取るために、上記極性基を有する単量体が共重合されて
もよい。
【0032】上記ブロック共重合体は、例えば、特公昭
59−33148号公報に記載されている方法によって
製造することができる。すなわち、水酸基やハロゲン基
を有する連鎖移動剤、重合開始剤を用いてアクリル系単
量体混合物を重合し、さらに多官能イソシアネート化合
物等を作用させることにより、末端反応性共重合体を得
ることができる。
【0033】上記熱可塑性アクリル系共重合体の構成成
分中、(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、40〜
99.5重量%が好ましい。(メタ)アクリル酸エステ
ルの使用量が、40重量%未満では熱可塑性アクリル系
共重合体の凝集力が高くなりすぎて初期粘着性が低下
し、99.5重量%を超えると凝集力が低くなりすぎる
ため、十分な保持力を得ることができなくなる。
【0034】また、上記熱可塑性アクリル系共重合体の
構成成分中、上記極性基を含有する単量体の使用量は、
全単量体中30重量%以下が好ましい。使用量が30重
量%を超えると凝集力が高くなりすぎるため、初期粘着
性が低下する。
【0035】上記構成成分から熱可塑性アクリル系共重
合体を得る方法としては、例えば、溶液重合、乳化重
合、懸濁重合、塊状重合等の重合方法が採用可能である
が、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有モノマ
ーとの共重合性が良好であり、更に塗工粘度を制御しや
すく、かつ架橋剤や粘着付与樹脂等も配合、混合しやす
いことから溶液重合が好適である。
【0036】重合開始方法としては加熱によりラジカル
を発生する熱重合法;紫外線照射によってラジカルを発
生させる紫外線重合法など、公知の重合開始方法を用い
ることができる。熱重合法で行う場合は、重合開始剤と
して、例えば、ベンゾイルパーオキシド等の過酸化物;
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾビス系
化合物を用いることができる。上記アクリル系共重合体
を得る際、重合反応のばらつきを抑え分子量を適度に制
御する目的で、構成成分の混合モノマー溶液中に連鎖移
動剤が添加されてもよい。
【0037】上記連鎖移動剤としては、例えば、n−ド
デシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のチ
オール類や四塩化炭素等のハロゲン化合物が挙げられ
る。
【0038】上記で得られた熱可塑性アクリル系共重合
体の重量平均分子量(Mw)は、小さくなると十分な凝
集力が得られず、大きくなると溶液粘度が大きくなって
重合性や塗工性が低下するので、10万〜150万が好
ましくは、より好ましくは30万〜80万である。
【0039】上記で得られた熱可塑性アクリル系共重合
体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーション
クロマトグラフィ(GPC)法により標準ポリスチレン
換算分子量として求めることができる。具体的には、未
架橋のアクリル共重合体をテトラヒドロフラン(TH
F)に溶解して0.1〜0.5重量%濃度の溶液を調製
し、THFを分散媒としたゲル充填カラムで分離し、そ
の溶出時間分布から求めることができる。
【0040】上記熱可塑性アクリル系共重合体として
は、常温で粘着性を有するものが好ましい。溶液状のア
クリル系粘着剤に、充填剤や他の化合物を多量に配合す
ると、溶剤乾燥時に配合物が表面に析出してしまい、平
滑な表面を有する粘着シートが得られ難い。しかし、上
記熱可塑性アクリル系共重合体として、常温で粘着性を
有するものを用いることにより、より良好な粘着性を有
するシートを得ることができ、簡易施工性に優れた耐火
性粘着シートに用いることができる。
【0041】上記常温で粘着性を有する熱可塑性アクリ
ル系共重合体としては、1つ又は2つのガラス転移温度
(Tg)を有し、その一つのピーク温度が−70℃〜2
0℃の範囲にあるものが好ましい。上記Tgのピーク温
度が、−70℃未満では凝集力が低すぎて粘着力が低下
し易くなり、20℃を超えると凝集力が大きくなりすぎ
るため、常温で粘着性を示さなくなる。
【0042】特に、上記アクリル系共重合体が、粘着性
を発現するためには、共重合成分としてガラス転移温度
(Tg)の低い成分と高い成分とを有し、一方の成分の
Tgが−70℃〜20℃の範囲にあり、もう一方の成分
のTgが50℃以上であることが好ましい。Tgが50
℃未満では、ホットメルト性と、保持力とのバランスを
とり難くなる。
【0043】このようにTgが50℃を超える共重合成
分は、上述のように櫛型骨格を有する分岐型共重合体に
おいては側鎖を形成する成分として、星型骨格を有する
分岐型共重合体においては第2段階目で反応させる成分
として、また、ブロック共重合体においてはA成分とし
て存在させることにより、常温粘着性を有する組成物を
得ることができる。これらのTgが高い成分の割合は、
5〜30重量%であることが好ましい。分岐鎖またはブ
ロック部分の割合が、5%重量未満では、凝集力が低下
して保持力が得られ難くなり、30重量%を超えると、
凝集力が高くなりすぎるため、ホットメルト性や初期粘
着性が低下し易くなる。
【0044】上記Tgが50℃を超える共重合成分とし
ては、例えば、メチルメタクリレート、スチレン、イソ
ボロニル(メタ)アクリレート、α−メチルスチレン等
が挙げられる。
【0045】上記熱可塑性アクリル系共重合体には、本
発明の目的を阻害しない範囲で、公知のテルペン系樹
脂、C5 、C9 系石油樹脂、ロジンエステル系樹脂等の
粘着付与樹脂や、安定剤等が配合されてもよい。
【0046】第1発明で用いられるリン化合物として
は、特に限定されず、例えば、赤リン;トリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニ
ルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キ
シレニルジフェニルホスフェート等の各種リン酸エステ
ル;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネ
シウム等のリン酸金属塩;ポリリン酸アンモニウム類;
下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。な
かでも、ポリリン酸アンモニウム類、又は下記一般式
(1)で表される化合物が好ましい。
【0047】
【化1】
【0048】式中、R1 、R3 は、水素、炭素数1〜1
6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は、炭素数
6〜16のアリール基を示す。R2 は、水酸基、炭素数
1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、炭素数
1〜16の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシル基、炭
素数6〜16のアリール基、又は、炭素数6〜16のア
リールオキシ基を示す。
【0049】上記赤リンとしては、市販の赤リンを用い
ることができるが、耐湿性、混練時に自然発火しない等
の安全性の点から、赤リン粒子の表面を樹脂でコーティ
ングしたものが好ましい。
【0050】上記ポリリン酸アンモニウム類としては、
例えば、ポリリン酸アンモニウム、メラミン変性ポリリ
ン酸アンモニウム等が挙げられるが、取り扱い性の点か
らはポリリン酸アンモニウムが好ましい。また、ポリリ
ン酸アンモニウム類の市販品としては、例えば、ヘキス
ト社製「AP462」、住友化学工業社製「スミセーフ
P」等が挙げられる。
【0051】上記一般式(1)で表される化合物として
は、例えば、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメ
チル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、
プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチルプ
ロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジ
メチル−ブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェ
ニルホスホン酸、ジオクチルフェニルホスホネート、ジ
メチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、メチ
ルプロピルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジオ
クチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチル
フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ビス
(4−メトキシフェニル)ホスフィン酸等が挙げられ、
これらは単独で用いられても、2種以上が併用されても
よい。
【0052】第1発明で用いられる分子中に水酸基を有
する炭化水素化合物としては、特に限定されないが、炭
素数1〜50のものが好ましい。ただし、デンプンのよ
うな重合体に関しては、モノマーユニット中の炭素数
が、この範囲内にあるものをいう。
【0053】また、上記分子中に水酸基を有する炭化水
素化合物としては、特に、分子中に水酸基を2つ以上有
する多価アルコールが好ましく、このような多価アルコ
ールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコ
ール、ブタンジオール1, 4、ヘキサンジオール1,
6、モノペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトー
ル、トリペンタエリスリトール、ネオペンタエリスリト
ール、ソルビトール、イノシトール、マンニトール、グ
ルコース、フルクトース、デンプン、セルロース等が挙
げられ、これらは単独で用いられても、2種以上が併用
されてもよい。また、上記炭化水素化合物の重縮合物が
用いられてもよい。
【0054】上記分子中に水酸基を有する炭化水素化合
物としては、分子中の水酸基数と炭素数との比(水酸基
数/炭素数)=0.2〜2.0であるものが好ましく、
より好ましくはペンタエリスリトール類、ソルビトー
ル、マンニトール等に代表される、(水酸基数/炭素
数)=0.7〜1.5のものである。
【0055】水酸基数が上記範囲にある炭化水素化合物
は、燃焼時に脱水縮合して炭化層を形成するのに好適で
ある。(水酸基数/炭素数)が0.2未満であると、燃
焼時には脱水縮合よりも炭素鎖が分解し易くなるため、
十分な炭化層を形成することができなくなる。また、
(水酸基数/炭素数)が2.0を超えると、炭化層形成
には差し支えないが、耐水性が格段に低下する。耐水性
が低下すると、例えば、成形時サンプルを水冷した場合
に上記炭化水素化合物が溶出したり、成形後保管する際
に湿度によりブリードアウトする等の問題を生じる。
【0056】第1発明の樹脂組成物において、上記リン
化合物及び分子中に水酸基を有する炭化水素化合物の添
加量は、上記熱可塑性アクリル系共重合体100重量部
に対して、両者の合計量として50〜900重量部であ
り、好ましくは100〜700重量部、より好ましくは
200〜500重量部である。
【0057】上記2成分の合計量が50重量部に満たな
いと、十分な耐火性能が発揮されず、900重量部を超
えると、上記熱可塑性アクリル系共重合体が不足してバ
インダー的役割を果たすことができなくなるため、各種
の成形が困難となる。
【0058】さらに、上記配合量範囲において、より高
い耐火性能と燃焼残渣の形状保持性を付与するために
は、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物とリン化合
物との重量比(炭化水素化合物/リン化合物)=0.0
5〜20となるように添加するのが好ましく、より好ま
しくは0.3〜10、さらに好ましくは0.4〜5であ
る。
【0059】上記分子中に水酸基を有する炭化水素化合
物をリン化合物に対して、重量比で0.05〜20倍添
加することによって、耐火性能は向上し、かつ形状保持
性も向上する。重量比(炭化水素化合物/リン化合物)
が、0.05倍未満であると燃焼後の発泡焼成層が脆く
なって使用に耐えられなくなり、20倍を超えると発泡
膨張せず、充分な耐火性能が得られない。
【0060】第1発明では、リン化合物と、分子中に水
酸基を有する炭化水素化合物とを組み合わせることによ
り、充分な耐火性を有し、かつ燃焼後の残渣を強固なも
のにし、形状保持を図るもので、分子中に水酸基を有す
る炭化水素化合物に対するリン化合物の割合が大きすぎ
ると、燃焼時に大きく膨張するため、断熱層が非常に脆
くなり、充分な形状保持性を有する膨張断熱層が得られ
なくなる。
【0061】第1発明の耐火性組成物の耐火性能は、こ
れら2成分(リン化合物、分子中に水酸基を有する炭化
水素化合物)それぞれが、以下の性質を発揮することに
より発現するものと考えられる。即ち、加熱によりリン
化合物は脱水し、発泡すると共に炭化触媒としても作用
する。分子中に水酸基を有する炭化水素化合物は、リン
化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、形状保持性
の優れた断熱層を形成する。つまり、このリン化合物及
び分子中に水酸基を有する炭化水素化合物の2成分によ
る相互作用によって、優れた耐火性能を発揮すると考え
られる。
【0062】次に、第2発明について説明する。第2発
明のアクリル系樹脂組成物は、熱可塑性アクリル系共重
合体、リン化合物、分子中に水酸基を有する炭化水素化
合物及び無機充填剤からなることを特徴とする。
【0063】第2発明で用いられる、熱可塑性アクリル
系共重合体、リン化合物及び分子中に水酸基を有する炭
化水素化合物としては、第1発明で使用されるものと同
様の成分が用いられる。
【0064】第2発明で用いられる無機充填剤として
は、特に限定されず、例えば、シリカ、珪藻土、アルミ
ナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグ
ネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライ
ト類、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化
アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、ドー
ンナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸
バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム、タルク、クレ
ー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白
土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス
繊維、ガラスビーズ、シリカ系バルーン、窒化アルミニ
ウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グ
ラファイト、炭素繊維、炭素バルーン、木炭粉末、各種
金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム「MO
S」、チタン酸ジルコン酸亜鉛、アルミニウムボレー
ト、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、ホ
ウ酸亜鉛、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、
フライアッシュバルーン、シラス、シラスバルーン、脱
水汚泥等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。
【0065】上記無機充填剤の中でも、周期表II又はII
I 族に属する金属の、金属塩あるいは酸化物は、発泡焼
成物を得て燃焼後も強固に形状を保持する点(高い形状
保持性を有する点)で好ましく、含水無機物は、加熱時
に脱水して吸熱性を発揮するため高い耐熱性が得られる
点で好ましい。これらの具体例としては、例えば、炭酸
カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、
水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0066】第2発明のアクリル系樹脂組成物におい
て、熱可塑性アクリル系共重合体100重量部に対し
て、上記リン化合物、分子中に水酸基を有する炭化水素
化合物及び無機充填剤の合計量50〜900重量部が添
加される。上記3成分の合計量が、50重量部未満で
は、十分な耐火性が発揮されず、900重量部を超える
と、熱可塑性アクリル系共重合体が不足してバインダー
的な役割を果たすことができなくなり、各種成形が困難
となる。
【0067】第2発明において、第1発明と同様の理由
により、分子中に水酸基を有する炭化水素化合物/リン
化合物との重量比(炭化水素化合物/リン化合物)=
0.05〜20となるように添加するのが好ましく、よ
り好ましく0.3〜10、さらに好ましくは0.4〜5
である。
【0068】さらに、第2発明において、上記無機充填
剤とリン化合物の重量比(無機充填剤/リン化合物)=
0.01〜50となるように添加するのが好ましく、よ
り好ましく0.3〜15、さらに好ましくは0.5〜7
である。
【0069】第2発明において、無機充填剤をリン化合
物に対して、重量比で0.01〜50倍添加することに
より、さらに耐火性が向上し、かつ形状保持性も向上す
る。重量比が、0.01倍未満であると、発泡焼成層の
力学的強度が小さくなって脆くなる。また、リン化合物
は無機充填剤のバインダー的な役割を果たすので、無機
充填剤をリン化合物に対して、50倍を超えて添加する
と、リン化合物がバインダー的な役割を果たすことがで
きなくなり、かつ発泡膨張しないため、充分な耐火性能
が得られなくなる。
【0070】本発明の耐火性アクリル系樹脂組成物にお
いて、上記無機充填剤が添加されない場合でも、充分な
耐火性、形状保持性を発現するが、無機充填剤を添加す
ることによって、燃焼後の残渣がより強固なものとなる
ので、形状保持性がより一層向上する。
【0071】第2発明の耐火性アクリル系樹脂組成物の
耐火性能は、上記3成分(リン化合物、分子中に水酸基
を有する炭化水素化合物及び無機充填剤)それぞれが、
以下の性質を発揮することにより発現する。即ち、加熱
によりリン化合物が脱水して発泡すると共に炭化触媒と
しても作用する。分子中に水酸基を有する炭化水素化合
物は、リン化合物の触媒作用を受けて炭化層を形成し、
形状保持性の優れた断熱層を形成する。無機充填剤は、
骨材的な役割を果たし、炭化層をより強固なものとす
る。
【0072】本発明では、組成物の物性を損なわない範
囲で、更に、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸
化防止剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋
剤、滑剤、軟化剤、顔料等が添加されてもよい。
【0073】本発明のアクリル系樹脂組成物は、各成分
を単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニー
ダーミキサー、ロール等の混練装置を用いて得られる。
【0074】
【発明の実施の形態】以下に実施例を掲げて本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではない。
【0075】熱可塑性アクリル系共重合体(a)の調製 メチルメタクリレート30重量部(以下、重量部を
「部」と略記する)、n−ブチルアクリレート60部、
重合性ポリスチレン(東亜合成社製、商品名;マクロマ
ーAS−6、Mw=13000)10部、連鎖移動剤と
してn−ドデシルメルカプタン0.15部及び溶剤とし
て酢酸エチル80部を、撹拌機、還流冷却管、温度計、
滴下ロート及び窒素ガス導入口を備えた五つ口フラスコ
に仕込み、撹拌しながら窒素ガスで30分間パージして
モノマー溶液中及びフラスコ内の空気を置換した。次い
で、昇温して70℃に保持しながら、熱重合開始剤とし
てアゾビスイソブチロニトリル0.03部を1部の酢酸
エチルに溶解した溶液を滴下ロートより滴下した。反応
開始後、窒素ガス気流下で、そのままの温度で10時間
反応させ、櫛型骨格を有する熱可塑性アクリル系共重合
体溶液を得た。得られた共重合体溶液を真空乾燥して溶
剤、未反応モノマーを除去し、櫛型骨格を有する熱可塑
性アクリル系共重合体(a)を調製した。
【0076】熱可塑性アクリル系共重合体(b)の調製 メチルメタクリレート30部、n−ブチルアクリレート
60部、重合性ポリスチレン(東亜合成社製、商品名;
マクロマーAS−6、Mw=13000)10部に代え
て、n−ブチルアクリレート80部、N−ビニルカプロ
ラクタム5部、重合性ポリメチルメタクリレート(東亜
合成社製、商品名;マクロマーAA−10、Mw=24
000)15部を使用したこと以外は、アクリル共重合
体(a)と同様にして重合、乾燥し、櫛型骨格を有する
熱可塑性アクリル系共重合体(b)を得た。
【0077】熱可塑性アクリル系共重合体(c)の調製 スチレン30部、及び、連鎖移動剤としてトリメチロ−
ルプロパントリグリコレート1部を仕込み、140℃に
加熱した。1時間加熱後、転化率が80%を超えた時点
で温度を降下させ、2−エチルヘキシルアクリレート4
0部、n−ブチルアクリレート20部、酢酸ビニル10
部及び酢酸エチル80部を加え、アクリル共重合体
(a)の反応と同様にして窒素ガスをパージした後、ア
ゾビスイソブチロニトリル0.03部を加え、さらに1
時間毎にアゾビスイソブチロニトリルを0.01部づつ
追加投入しながら10時間反応した。得られた熱可塑性
アクリル系共重合体溶液を真空乾燥して、星型骨格を有
する熱可塑性アクリル系共重合体(c)を調製した。
【0078】熱可塑性アクリル系共重合体(d)の調製 スチレン20部、酢酸エチル20部、重合開始剤として
4,4’−アゾビス(4−シアノー1−ペンタノール)
(以下、ACPと略記する)0.4部、連鎖移動剤とし
てnードデシルメルカプタン0.1部とし、80℃中で
反応させたこと以外は、熱可塑性アクリル系共重合体
(a)と同様にして重合した。15時間重合反応を継続
した後反応を終了させ、末端水酸基ポリスチレンを得
た。次に、2,4ートリレンジイソシアネート1部をト
ルエン10部に溶解した5つ口フラスコ中に、末端水酸
基ポリスチレンを3時間かけて滴下した。滴下終了後4
時間反応を続け、末端反応性ポリスチレンを得た。一
方、別の5つ口フラスコに、エチルアクリレート60
部、メチルメタクリレート20部及びACP0.1部を
仕込み、窒素ガス気流下80℃で、12時間重合反応を
行った。次いで、ジブチルチンジラウレート0.2部を
加え40℃に保った後、先に調製した末端反応性ポリス
チレンを1時間かけて滴下し、更に5時間反応を続け
て、ブロック共重合体溶液を得た。得られたブロック共
重合体を真空乾燥して、ブロック型の熱可塑性アクリル
系共重合体(d)を調製した。
【0079】熱可塑性アクリル系共重合体(e)の調製 メチルメタクリレート30部、n−ブチルアクリレート
60部、エチルアクリレート10部、連鎖移動剤として
n−ドデシルメルカプタン0.05部、及び、溶剤とし
て酢酸エチル80部を、撹拌機、還流冷却管、温度計、
滴下ロート及び窒素ガス導入口を備えた五つ口フラスコ
に仕込み、撹拌しながら窒素ガスで30分間パージして
モノマー溶液中及びフラスコ内の空気を置換した。次い
で、昇温して70℃に保持しながら、熱重合開始剤とし
てアゾビスイソブチロニトリル0.03部を1部の酢酸
エチルに溶解した溶液を滴下ロートより滴下した。反応
開始後窒素ガス気流下で、そのままの温度で10時間反
応させ、熱可塑性アクリル系共重合体溶液を得た。得ら
れた熱可塑性共重合体溶液を真空乾燥して溶剤、未反応
モノマーを除去し、分岐のない熱可塑性アクリル共重合
体(e)を調製した。
【0080】(実施例1〜6、比較例1〜4)上記で得
られた熱可塑性アクリル系共重合体100重量部に、表
1に示した配合量の、リン化合物、分子中に水酸基を有
する炭化水素化合物及び無機充填剤を、ロールを用いて
溶融混練してアクリル系樹脂組成物を得た後、140℃
でプレス成形して評価用試験片を作製した。
【0081】上記実施例及び比較例で得られた評価用試
験片につき、下記(1)〜(3)の性能評価を行い、そ
の結果を表1に示した。
【0082】(1)可撓性の評価 試験片を180度に折り曲げた際に、 ・弾性があり割れなかったものを○ ・割れたものを×、とした。
【0083】(2)粘着性の評価 試験片についてJIS Z0237に準じてボールタッ
ク法による評価を行った。表中、「なし」は止まったボ
ールがないものを示す。
【0084】(3)耐火性の評価 ステンレス製プレート(長さ100mm、幅100m
m)上に置いた試験片(長さ100mm、幅100m
m、厚さ4mmに切断したもの)を、ホットプレート上
で片面500℃まで加熱してもう一方の面の温度(裏面
温度)を測定し、下記の評価基準により評価した。 ・裏面温度が260℃未満のものを○ ・裏面温度が260℃以上のものを×
【0085】(4)燃焼後の形状保持性 上記試験片(長さ100mm、幅100mm、厚さ3m
m)に、コーンカロリーメータ(アトラス社製「CON
E2A」)を用いて、50kW/m2 の熱量を30分間
照射(水平方向)して燃焼させた。燃焼後の残渣を切断
して作製した試験片(長さ50mm、幅50mm)上
に、金属板(長さ50mm、幅50mm、厚さ1mm)
の載せ、さらに金属板上に、10g、50gの分銅を載
せ、残渣が崩れる(めりこむ、ひびが入る)か否かを目
視観察し、下記の評価基準により形状保持性を評価し
た。 ・10g、50gともに残渣に崩れが生じなかったもの
を◎ ・50gで残渣に崩れが生じたが、10gで残渣に崩れ
が生じなかったものを○ ・10gで残渣に崩れが生じたものを×
【0086】なお、形状保持性評価で×と評価したもの
は、非常に脆いため、試験片を切り出すことすら困難で
あり、かつ試験片を長手方向に立てた時に崩れるため、
実際の耐火試験等で垂直に施工して使用する場合(例え
ば、外壁の裏面を被覆する等)には脱落を生じ、耐火性
能を発現するのは短時間であると予想される。
【0087】
【表1】
【0088】なお、表1において、下記の成分を使用し
た。 〔リン化合物〕 ・ポリリン酸アンモニウム(住友化学社製「スミセーフ
P」) ・赤リン(ヘキスト社製「AP−422」) 〔分子中に水酸基を有する炭化水素化合物〕 ・モノペンタエリスリトール:和光純薬社製、OH/C
=0.8 ・D−ソルビトール:和光純薬社製、OH/C=1.0 ・コーンスターチ:日本食品化工社製「PA220」、
OH/C=0.5 OH:水酸基数、C:炭素数
【0089】〔無機充填剤〕 ・水酸化アルミニウム(昭和電工社製「ハイジライト4
2M」) ・水酸化マグネシウム(備北粉化工社製「ライトン
A」)
【0090】
【発明の効果】本発明により得られる熱可塑性アクリル
系樹脂組成物は、特定の組成の櫛型、星型またはブロッ
ク型共重合体からなるアクリル系共重合体を樹脂成分と
して使用するため、耐侯性が優れると共に無機化合物及
び有機化合物が多量に含有されても成形性と粘着性とに
優れた組成物を得ることができ、加熱時に膨張断熱層を
形成し、さらにその形状を保持することにより優れた耐
火性を発現するため、建築材料等の幅広い用途に使用可
能である。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 櫛型骨格を有する分岐型共重合体、星型
    骨格を有する分岐型共重合体、(A−B−A)n 型ブロ
    ック共重合体、及び、(A−B)n 型ブロック共重合体
    から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性アクリル系共重
    合体100重量、ならびに、リン化合物及び分子中に水
    酸基を有する炭化水素化合物の合計量50〜900重量
    部からなることを特徴とするアクリル系樹脂組成物。
    〔式中、Aはビニル重合体ブロック示し、Bは一般式C
    2 =CR1 COOR2(式中、R1 は水素原子又はメ
    チル基を示し、R2 は炭素数2〜14のアルキル基を示
    す)で表される(メタ)アクリル酸エステルを構成単位
    として含む(共)重合体ブロックを示す〕
  2. 【請求項2】 櫛型骨格を有する分岐型共重合体、星型
    骨格を有する分岐型共重合体、(A−B−A)n 型ブロ
    ック共重合体、及び、(A−B)n 型ブロック共重合体
    から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性アクリル系共重
    合体100重量、ならびに、リン化合物、分子中に水酸
    基を有する炭化水素化合物及び無機充填剤の合計量50
    〜900重量部からなることを特徴とするアクリル系樹
    脂組成物。〔式中、Aはビニル重合体ブロックを示し、
    Bは一般式CH2 =CR1 COOR2 (式中、R1 は水
    素原子又はメチル基を示し、R2 は炭素数2〜14のア
    ルキル基を示す)で表される(メタ)アクリル酸エステ
    ルを構成単位として含む(共)重合体ブロックを示す〕
  3. 【請求項3】 熱可塑性アクリル系共重合体が常温で粘
    着性を有することを特徴とする請求項1又は2記載のア
    クリル系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性アクリル系共重合体が、1つ又
    は2つのガラス転移温度(Tg)を有し、その1つのピ
    ーク温度が−70〜20℃の範囲にあることを特徴とす
    る請求項1〜3項のうちいずれか1項記載のアクリル系
    樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 分子中に水酸基を有する炭化水素化合物
    とリン化合物との重量比(炭化水素化合物/リン化合
    物)が0.05〜20であることを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 分子中に水酸基を有する炭化水素化合物
    とリン化合物との重量比(炭化水素化合物/リン化合
    物)が0.05〜20であり、かつ無機充填剤とリン化
    合物との重量比(無機充填剤/リン化合物)が0.01
    〜50であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか
    1項に記載のアクリル系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 リン化合物がポリリン酸アンモニウムで
    ある請求項1〜6のいずれか1項に記載のアクリル系樹
    脂組成物。
  8. 【請求項8】 分子中に水酸基を有する炭化水素化合物
    が、分子中に少なくとも二つの水酸基を有し、分子中の
    水酸基数と炭素数との比(水酸基数/炭素数)が0.2
    〜2.0であることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
    か1項に記載のアクリル系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 無機充填剤が含水無機物である請求項2
    〜9のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 無機充填剤が周期表II又はIII 族に属
    する金属の、金属塩及び/ 又は金属酸化物である請求項
    2〜10のいずれか1項に記載のアクリル系樹脂組成
    物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002105385A (ja) * 2000-09-28 2002-04-10 Nisshin Sangyo:Kk 塗布式断熱材

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