JPH10235656A - ディスク成形用金型及びその製造方法 - Google Patents

ディスク成形用金型及びその製造方法

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JPH10235656A
JPH10235656A JP12444497A JP12444497A JPH10235656A JP H10235656 A JPH10235656 A JP H10235656A JP 12444497 A JP12444497 A JP 12444497A JP 12444497 A JP12444497 A JP 12444497A JP H10235656 A JPH10235656 A JP H10235656A
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JP
Japan
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metal film
disk
base material
molding die
disk molding
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JP12444497A
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Inventor
Takahiro Igari
孝洋 猪狩
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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  • Manufacturing Optical Record Carriers (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ディスクに歪み、面うねり、突起等を生じさ
せることなく、非常に高精度にディスクを成形すること
ができ、しかも、母材から金属膜が剥離してしまうよう
な問題が生じるようなこともない、優れたディスク成形
用金型を提供する。 【解決手段】 焼結材からなる母材1上に、Irからな
る金属膜2が形成されてなるディスク成形用金型におい
て、母材1に対する金属膜2の引っ掻き試験によって測
定される付着強度を300g以上とする。具体的には、
母材1上に金属膜2をスパッタリングによって成膜し、
そのときの成膜速度を0.14μm/min以上とす
る。ここで、金属膜2の膜厚は、3μm以上とすること
が好ましく、より好ましくは12μm程度とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、母材上に金属膜が
形成されてなるディスク成形用金型及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ディスク状の記録媒体としては、例え
ば、エンボスピットによって情報信号が予め書き込まれ
る光ディスクや、記録膜の相変化を利用して情報信号が
書き込まれる相変化型光ディスクや、記録膜の磁気光学
効果を利用して情報信号が書き込まれる光磁気ディスク
や、磁気的に情報信号が書き込まれる磁気ディスク等が
ある。
【0003】これらの記録媒体は、記録媒体の基板とな
るディスク上に記録膜等が形成されてなる。ここで、記
録媒体の基板となるディスクは、所定の形状に成形され
たプラスチック等からなる。そして、このディスクは、
通常、所望するディスク形状に対応したスタンパを用意
し、そのスタンパを型として射出成形することにより成
形される。
【0004】このようなスタンパを作製する際は、通常
は、先ず、ガラス原盤上にフォトレジストを塗布し、当
該フォトレジストに対して、所望するディスク形状に対
応するようにレーザカッティングを行い、その後、フォ
トレジストに対して現像処理を施す。これにより、所望
するディスク形状に対応したパターンが、フォトレジス
トに形成される。そして、このように形成されたパター
ン上に、無電解メッキによってNi膜を形成し、その
後、このNi膜を剥離する。そして、このNi膜がディ
スク成形用のスタンパとされる。
【0005】しかしながら、上述のように形成されるス
タンパは、その膜厚が0.3mm程度と薄く、このた
め、このようなスタンパを用いて成形されたディスクに
は、歪みや面うねりが生じやすい。特に、コンピュータ
の外部記憶装置等に使用されるハードディスクのよう
に、磁気ヘッドを微少に浮上させた状態で記録再生を行
うような記録媒体では、数mmピッチで100nm程度
以下の微少な面うねりでも、ヘッドクラッシュや再生波
形の乱れの原因となってしまう。したがって、このよう
な記録媒体に使用されるディスクは、上述したような薄
いスタンパを用いての成形を行うことができない。
【0006】なお、スタンパの膜厚を厚くすることがで
きれば、スタンパに生じる歪みや面うねりを抑制するこ
とも可能であるが、上述したようなスタンパの作製方法
では、スタンパの膜厚を厚くすることは困難であり、上
述したようなスタンパでは、歪みや面うねりの問題は避
けることができない。
【0007】そこで、歪みや面うねりの無いディスクを
成形する方法として、上述のようなスタンパを用いるの
ではなく、15mm程度の厚い金型を直接エッチングし
たものを、ディスク成形用金型として使用する手法が提
案されている。このようなディスク成形用金型では、十
分な厚みがあるので、金型に歪みや面うねりが生じるよ
うなことがなく、ディスクを精度良く成形することが可
能となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】金型を直接エッチング
したものをディスク成形用金型として使用する手法にお
いて、金型の母材となる材料には、通常、焼結材が使用
される。しかしながら、焼結材の内部には空孔が存在す
るため、焼結材をそのまま金型として用いると、ディス
クを成形したときに、空孔の部分に対応してディスクに
突起ができてしまう。
【0009】このような突起は、例えば、磁気ヘッドを
微少に浮上させた状態で記録再生を行うような記録媒体
において、ヘッドクラッシュの原因となる。磁気ヘッド
の浮上量は高記録密度化に伴って減少する傾向にあり、
最近のハードディスクでは、ヘッド浮上量は50nm程
度以下にまでなってきている。したがって、このような
ハードディスクでは、50nm程度の突起でもヘッドク
ラッシュの原因となる。そこで、高記録密度化に対応す
るためには、50nm以上の突起がディスク表面に全く
無いようにすることが必要不可欠となっている。したが
って、高記録密度化に対応するためには、空孔の部分に
対応してディスクに突起ができてしまいやすい焼結材を
そのまま金型として用いる手法は、好ましくない。
【0010】また、焼結材は、場所によってエッチング
にばらつきが生じやすく、エッチングを行ったときに凹
凸が発生しやすい。このため、たとえ焼結材に空孔が存
在していなかったとしても、焼結材をそのまま金型とし
て用いたのでは、微細なパターンを有するディスクを精
度良く成形することは困難である。
【0011】以上のように焼結材をそのまま金型として
用いることは好ましくない。そこで、金型を直接エッチ
ングしたものをディスク成形用金型として使用する際
は、焼結材を母材とし、この母材上に、空孔が無く、且
つエッチングにばらつきが生じるようなことがない金属
膜を形成することが好ましい。すなわち、母材上に形成
された金属膜を、所望するディスクのパターンに対応す
るようにエッチングするようにすればよい。このように
することで、上述したような問題は、全て回避すること
ができる。
【0012】しかしながら、母材上に金属膜を形成した
ときには、金属膜が母材から剥離してしまうことがある
という問題が新たに生じる。例えば、金属膜を母材上に
スパッタリングによって成膜した場合、金属膜の内部応
力の影響により、成膜直後に金属膜が母材から剥離して
しまうことがある。また、このような金型では、母材上
に金属膜を形成した後に、金型表面の平面度を高めるた
めの研磨が必要となるが、研磨時のストレスによって金
属膜が母材から剥離してしまうことがある。
【0013】また、金属膜は、ディスク成形時に母材か
ら剥離してしまうこともある。このようにディスク成形
時に剥離した金属膜は、成形されたディスクに突起等の
欠陥を生じさせる。したがって、金属膜は、ディスク成
形時においても、母材から剥離しないようになされてい
ることが必要不可欠である。
【0014】また、例えば、図9(A)に示すように、
母材101の表面に付着していたゴミ102が金属膜1
03の内部に残っていると、図9(B)に示すように、
ゴミ102が金属膜103の成膜後に剥離して、その部
分にピンホール104を形成してしまうことがある。そ
して、このようなピンホール104が存在していると、
当該ピンホール104がディスクに転写されてしまい、
ディスクに突起状の欠陥を生じさせてしまう。
【0015】本発明は、以上のような従来の実情に鑑み
て提案されたものであり、ディスクに歪み、面うねり、
突起等を生じさせることなく、非常に高精度にディスク
を成形することができ、しかも、母材から金属膜が剥離
してしまうような問題が生じるようなこともない、優れ
たディスク成形用金型及びその製造方法を提供すること
を目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明に係るディスク成
形用金型は、母材上に金属膜が形成されてなるディスク
成形用金型であって、上記金属膜が300g以上の付着
強度にて母材に付着していることを特徴とするものであ
る。ここで、上記金属膜は、成形するディスク形状に対
応するようにエッチングされていてもよい。
【0017】上記ディスク成形用金型において、金属膜
の材料としては、Irが好適である。また、母材の材料
としては、Fe、Cr、V、C、Mo、Si、Mnから
選ばれる少なくとも1種の元素を含有する焼結材が好適
であり、更に、この焼結材は、75重量%以上のFeを
含有するとともに、20重量%以下のCrを含有するこ
とが好ましい。
【0018】以上のような本発明に係るディスク成形用
金型では、金属膜が300g以上の付着強度にて母材に
付着しているので、母材から金属膜が剥離してしまうよ
うなことがない。
【0019】一方、本発明に係るディスク成形用金型の
製造方法は、母材上に金属膜が成膜されてなるディスク
成形用金型を作製する際に、上記金属膜を、0.14μ
m/min以上の成膜速度にてスパッタリングによって
成膜することを特徴とするものである。なお、上記金属
膜をスパッタリングによって成膜する前には、上記母材
に対して逆スパッタを施すことが好ましい。また、上記
金属膜を成膜した後には、成形するディスク形状に対応
するように上記金属膜をエッチングするようにしてもよ
い。
【0020】上記ディスク成形用金型の製造方法におい
て、金属膜の材料としては、Irが好適である。また、
母材の材料としては、Fe、Cr、V、C、Mo、S
i、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有する
焼結材が好適であり、更に、この焼結材は、75重量%
以上のFeを含有するとともに、20重量%以下のCr
を含有することが好ましい。
【0021】以上のような本発明に係るディスク成形用
金型の製造方法では、金属膜を0.14μm/min以
上の成膜速度にてスパッタリングによって成膜するよう
にしているので、金属膜が母材に強固に付着する。した
がって、本発明を適用して作製されたディスク成形用金
型は、母材から金属膜が剥離してしまうようなことがな
い。
【0022】また、本発明に係る他のディスク成形用金
型は、母材表面に母材よりも高硬度な金属膜が被着され
てなり、当該金属膜面がディスク成形面とされているこ
とを特徴とする。ここで、金属膜の厚さは3μm以上で
あることが好ましく、また、金属膜には、深さ50nm
以上の欠陥が無いことが好ましい。なお、この金属膜
は、例えばスパッタリングによって母材表面に被着され
てなる。
【0023】このディスク成形用金型においても、金属
膜の材料としては、Irが好適である。また、母材の材
料としては、Fe、Cr、V、C、Mo、Si、Mnか
ら選ばれる少なくとも1種の元素を含有する焼結材が好
適であり、更に、この焼結材は、75重量%以上のFe
を含有するとともに、20重量%以下のCrを含有する
ことが好ましい。
【0024】このディスク成形用金型では、ディスク成
形面を形成する金属膜を、母材よりも硬度の高い強固な
膜としているので、当該金属膜が母材から剥離し難く、
ディスク成型面は非常に安定で強固な面となる。しか
も、金属膜の厚さを3μm以上とすることにより、金属
膜上におけるピンホールの発生数を大幅に低減すること
ができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】図1に、本発明を適用したディスク成形用
金型の一例を示す。このディスク成形用金型は、中央に
開口部を有する円盤状のディスクを射出成形によって成
形するための金型であり、図1に示すように、焼結材か
らなる母材1と、母材1上に形成された金属膜2とから
なる。
【0027】上記母材1は、円環状に形成された焼結材
からなり、その外径は、成形するディスクの直径に相当
しており、中央に形成された開口部3は、成形するディ
スクの中央に形成される開口部に対応している。この母
材1を構成する焼結材は、Fe、Cr、V、C、Mo、
Si、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素を含有す
ることが好ましく、更には、75重量%以上のFeを含
有するとともに、20重量%以下のCrを含有すること
が好ましい。
【0028】一方、母材1上に形成された金属膜2は、
Irからなり、300g以上の付着強度にて母材1に付
着している。したがって、この金属膜2は、母材1から
剥離し難くなっている。そして、この金属膜2の表面
は、図示していないが、所望するディスク形状に対応す
るようにエッチングされている。すなわち、この金属膜
2には、所望するディスク形状に対応した微細なパター
ンがエッチングによって形成されている。なお、ここで
は、所望するディスク形状に対応したパターンが形成さ
れているものとしたが、所望するディスクが、エンボス
ピット等を有していない、平面なディスクであるなら
ば、金属膜2にパターンを形成することなく、その表面
を平坦な面とすればよい。
【0029】以上のようなディスク成形用金型を用いて
ディスクを成形する際は、図2に示すように、一対のデ
ィスク成形用金型11,12を射出成形装置のキャビテ
ィ部に組み込む。すなわち、成形するディスクの一方の
面に対応する第1のディスク成形用金型11と、成形す
るディスクの他方の面に対応する第2のディスク成形用
金型12とを用意し、第1のディスク成形用金型11を
射出成形装置の固定側型板13に組み込み、第2のディ
スク成形用金型12を射出成形装置の可動側型板14に
組み込む。
【0030】そして、可動側型板14を動かして金型を
閉じた状態で、固定側型板13の側に形成された注入孔
15から、第1のディスク成形用金型11と第2のディ
スク成形用金型12との間に溶融樹脂を導入する。そし
て、この樹脂が固化した後、可動側型板14を動かして
金型を開き、ディスク中央の不要な部分を除去した上
で、ディスクを金型から取り出す。これにより、第1の
ディスク成形用金型11及び第2のディスク成形用金型
12に形成されたパターンが転写されたディスクが得ら
れる。
【0031】つぎに、以上のようなディスク成形用金型
の製造方法について、図3に示す工程図を参照しながら
説明する。
【0032】上記ディスク成形用金型を製造する際は、
先ず、ステップS1に示すように、円環状に形成された
焼結材からなる母材を、Irからなる金属膜を成膜する
ためのRFマグネトロンスパッタ装置のチャンバ内に装
着する。このとき、母材上に成膜する金属膜の材料であ
るIrターゲットもチャンバ内に装着しておく。
【0033】次に、ステップS2に示すように、チャン
バ内を5.0×10-5Pa以下にまで排気し、その後、
ステップS3に示すように、チャンバ内に、Arガス圧
が0.2Paとなるように、Arガスを流量20SCC
Mにて導入する。
【0034】次に、ステップS4に示すように、母材と
Irターゲットと間のシャッタを閉じた状態で、逆スパ
ッタを行う。この逆スパッタは、先ず、逆スパッタ投入
電力100Wで10分間行い、次に、逆スパッタ投入電
力200Wで10分間行う。このように逆スパッタを行
うことにより、母材の表面状態が良好なものとなり、母
材上に金属膜を成膜したときに、母材に対する金属膜の
付着強度が高まる。
【0035】次に、逆スパッタ投入電力を20Wに下げ
た上で、ステップS5に示すように、Irターゲットに
対する放電を開始させ、Irターゲットに対してプリス
パッタを行う。このプリスパッタは、先ず、ターゲット
投入電力150Wで5分間行い、次に、ターゲット投入
電力300Wで5分間行い、次に、ターゲット投入電力
800Wで1分間を行う。
【0036】次に、ステップS6に示すように、母材と
Irターゲットとの間のシャッタを解放し、その後、ス
テップS7に示すように、シャッタの解放後速やかに、
RFバイアスとして働く逆スパッタ投入電力を上げて、
バイアススパッタを行う。このバイアススパッタは、先
ず、逆スパッタ投入電力200Wで1分間行い、次に、
逆スパッタ投入電力150Wで1分間行い、次に、逆ス
パッタ投入電力100Wで1分間行い、次に、逆スパッ
タ投入電力50Wで1分間行い、次に、逆スパッタ投入
電力20Wで1分間行う。
【0037】次に、ステップS8に示すように、RFバ
イアスとして働く逆スパッタ投入電力を0Wにした上
で、ターゲット投入電力を800Wにし、Irターゲッ
トに対してメインスパッタを行う。これにより、母材上
にIrからなる金属膜が成膜される。そして、本発明で
は、このときの金属膜の成膜速度を0.14μm/mi
n以上とする。これにより、後述する付着強度の測定結
果からも分かるように、金属膜が母材に強固に付着する
こととなる。
【0038】なお、以上のようにRFマグネトロンスパ
ッタ装置を用いて母材上に金属膜を成膜する際は、冷却
水を用いて母材を冷却しておく。これにより、より良好
な膜質の金属膜が母材上に形成される。
【0039】以上の工程により、母材上に金属膜が形成
されてなるディスク成形用金型が得られる。この後、ス
テップS9に示すように、RFマグネトロンスパッタ装
置のチャンバ内から金属膜が成膜された母材を取り出
し、その後、必要に応じて、金型表面の平面度を高める
ために金属膜の表面を研磨したり、成形するディスク形
状に対応するように金属膜をエッチングする等の加工を
施す。
【0040】ここで、母材上に成膜された金属膜の表面
を研磨する際は、例えば図4に示すように行う。すなわ
ち、Sn等からなる円盤状の定盤21にディスク成形用
金型22の金属膜を摺接させ、ダイヤモンド等からなる
砥粒を含有するスラリー23を定盤21上に噴霧する。
そして、ディスク成形用金型22に所定の荷重A1を負
荷した状態で、図4中の矢印B1で示すように定盤21
を回転させるとともに、図4中の矢印B2で示すように
ディスク成形用金型22を回転させ、更に、図4中の矢
印B3で示すように定盤21の半径方向に往復するよう
にディスク成形用金型22を動かす。これにより、ディ
スク成形用金型22を構成する金属膜の表面が研磨され
る。
【0041】つぎに、金属膜の成膜速度と、母材に対す
る金属膜の付着強度との関係を調べた結果について説明
する。
【0042】本発明者は、金属膜の成膜速度と、母材に
対する金属膜の付着強度との関係を調べるために、金属
膜の成膜速度を0.04μm/minとしたディスク成
形用金型と、金属膜の成膜速度を0.10μm/min
としたディスク成形用金型と、金属膜の成膜速度を0.
16μm/minとしたディスク成形用金型とを作製し
た。そして、これらのディスク成形用金型について、母
材上に成膜された金属膜の付着強度を測定した。また、
これらのディスク成形用金型について、図4に示したよ
うに金属膜の表面を研磨したときに、金属膜が剥離する
かを試した。結果を図5に示す。
【0043】なお、金属膜の付着強度は、図6に示すよ
うに、母材31上に金属膜32が形成されてなるディス
ク成形用金型33に対して引っ掻き試験を行うことによ
り測定した。この引っ掻き試験では、ディスク成形用金
型33を構成する金属膜32の表面に、先端の曲率半径
が0.5mmの針34をほぼ垂直にあてた状態で、図6
中の矢印B4に示すように、ディスク成形用金型33を
10mm/secにて動かす。そして、このときに針3
4に加える荷重A2を変化させ、金属膜32が母材31
から剥離するときの荷重A2の大きさを測定する。そし
て、本明細書では、この荷重A2の値を金属膜32の付
着強度としている。
【0044】図5に示すように、金属膜の成膜速度を
0.04μm/minとしたディスク成形用金型では、
金属膜の付着強度が約210gであり、この金属膜の表
面を研磨したら金属膜が剥離してしまった。また、金属
膜の成膜速度を0.10μm/minとしたディスク成
形用金型では、金属膜の付着強度が約280gであり、
このディスク成形用金型でも、金属膜の表面を研磨した
ら金属膜が剥離してしまった。これに対して、金属膜の
成膜速度を0.16μm/minとしたディスク成形用
金型では、金属膜の付着強度は約400gであり、この
金属膜の表面を研磨しても金属膜が剥離してしまうよう
なことはなかった。
【0045】以上の結果から分かるように、金属膜の成
膜速度を上げることにより、金属膜の付着強度を高め
て、金属膜の剥離を防ぐことができる。具体的には、図
5から分かるように、金属膜の付着強度を300g程度
以上としておけば、金属膜の表面を研磨しても金属膜が
剥離してしまうようなことがなくなる。そして、金属膜
の成膜速度を0.14μm/min程度以上としておけ
ば、金属膜の付着強度を300g程度以上とすることが
できる。すなわち、金属膜の成膜速度を0.14μm/
min程度以上としておけば、研磨しても剥離するよう
なことのない金属膜を母材上に形成することができる。
【0046】つぎに、本発明を適用したディスク成形用
金型について、母材表面上に形成される金属膜の膜厚
と、金属膜に生じるピンホールとの関係を中心に説明す
る。
【0047】ディスク成形用金型の一例を図7に示す。
このディスク成形用金型は、図1に示したディスク成形
用金型と同様に、中央に開口部を有する円盤状のディス
クを射出成形によって成形するための金型であり、焼結
材からなる母材41と、母材41の上に形成された金属
膜42とからなる。
【0048】上記母材41は、円環状に形成された焼結
材からなり、その外径は、成形するディスクの直径に相
当しており、中央に形成された開口部43は、成形する
ディスクの中央に形成される開口部に対応している。こ
の母材41を構成する焼結材は、Fe、Cr、V、C、
Mo、Si、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素を
含有することが好ましく、更には、75重量%以上のF
eを含有するとともに、20重量%以下のCrを含有す
ることが好ましい。
【0049】一方、母材41の上に形成された金属膜4
2は、母材41よりも高硬度な材料からなる膜であり、
例えばIrからなる。そして、この金属膜42の表面が
ディスク形成面となる。ここで、金属膜42は、スパッ
タリングによって成膜する。ただし、金属膜42の成膜
方法は、母材41の表面の凹凸を埋めることができ、し
かも成膜後の表面が十分に平滑なものとなるような方法
であればよく、例えば、鍍金法や真空蒸着法等によって
成膜するようにしてもよい。
【0050】このとき、金属膜42の表面は十分に平滑
化しておき、ピンホール等の欠陥が無いようにしてお
く。例えば、磁気ヘッドを微少に浮上させた状態で記録
再生が行われる磁気ディスクの場合、磁気ヘッドの浮上
量以上の突起がディスク表面に存在していると、当該突
起に磁気ヘッドがぶつかってしまう。したがって、磁気
ヘッドの浮上量以上の突起がディスク表面に存在しない
ようにする必要がある。そして、磁気ヘッドの浮上量
は、およそ50nm程度であるので、50nm以上の突
起がディスクに形成されないように、ディスク成形面と
なる金属膜42は、少なくとも深さ50nm以上の欠陥
が無いようにしておく。
【0051】この金属膜42の表面は、上述したよう
に、ディスク成形面となる。したがって、金属膜42の
表面には、図示していないが、所望するディスク形状に
対応するようにエッチングが施されている。すなわち、
この金属膜42には、所望するディスク形状に対応した
微細なパターンがエッチングによって形成されている。
なお、ここでは、所望するディスク形状に対応したパタ
ーンが形成されているものとしたが、所望するディスク
が、エンボスピット等を有していない、平面なディスク
であるならば、金属膜42にパターンを形成することな
く、その表面を平坦な面のままとすればよい。
【0052】この金属膜42の膜厚は、金属膜42が母
材41の上に均一に被着しており欠陥が全く無いなら
ば、所望するパターンの深さよりも厚ければよい。した
がって、例えば、ディスク面上に深さ200nm程度の
凹凸としてサーボパターンを形成するようなときには、
金属膜42の膜厚は200nm以上とすればよい。しか
しながら、母材41は、焼結材からなるため、その表面
には微細な凹凸が存在している。そこで、金属膜42
は、母材の表面の凹凸を埋めることができる程度以上の
膜厚とする必要がある。具体的には、金属膜42の膜厚
を、数μm程度とすることにより、母材41の表面の凹
凸が埋まり、母材41の表面の材料欠陥を封止すること
が可能となる。
【0053】しかしながら、金属膜42の膜厚を、母材
41の表面の凹凸が埋まる程度の膜厚としても、母材4
1の表面に付着していたゴミの影響等により、金属膜4
2にピンホールが生じることがある。そして、このよう
なピンホールの数は、金属膜42の膜厚に大きく依存し
ている。そこで、ピンホール数と、金属膜42の膜厚と
の関係を調べた。結果を図8に示す。
【0054】図8に示すように、金属膜42の膜厚を厚
くすることにより、ピンホールの発生数は大幅に減少す
る。これは、母材41の表面にゴミが付着していたとし
ても、金属膜42の膜厚を厚くすることにより、金属膜
42が剥離してしまうようなことが無くなり、ピンホー
ルが発生しなくなるからである。そして、具体的には、
図8に示すように、金属膜42の膜厚が3μm以上にな
ると、ピンホールの発生数は大幅に低減し、更に、金属
膜42の膜厚が12μm以上になると、ピンホールは殆
ど発生しなくなっている。
【0055】したがって、ピンホールを無くすという観
点から、金属膜42の膜厚は、3μm以上とすることが
好ましく、更には、12μm以上とすることがより好ま
しい。ただし、製造コスト等の観点からは、金属膜42
の膜厚は薄い方が好ましい。したがって、金属膜42の
膜厚としては、ピンホールが殆ど発生しない範囲で最も
薄い膜厚である12μm程度が最適である。
【0056】つぎに、以上のようなディスク成形用金型
の製造方法の一例について説明する。なお、以下に説明
するディスク成形用金型の作製プロセスは、十分に粉塵
等が除去されたクリーンルーム内において行うことが好
ましい。
【0057】先ず、円環状に形成された焼結材からなる
母材41を、中性洗剤及び純水により洗浄し、乾燥させ
る。乾燥後、母材41をスパッタ装置のチャンバ内に装
着し、後工程で金属膜42が成膜される面に対して逆ス
パッタを施す。具体的には、例えば、Arガス圧0.7
Paのもとで、150WのRF放電を10分間行い、母
材41の表面をスパッタする。これにより、母材41の
表面がクリーニングされ、後工程で母材41の表面に金
属膜42を成膜したときに、母材41に対する金属膜4
2の付着強度が高まる。
【0058】次に、Arガス圧を0.2Pa、投入電力
を800W、温度を室温として、DCマグネトロンスパ
ッタにより、母材41に対向するように配されたIrタ
ーゲットをスパッタして、母材41の表面にIrからな
る金属膜42を成膜する。このとき、金属膜42の膜厚
は、14μm程度とする。
【0059】このように成膜された直後の膜には、凹凸
及び膜厚分布があるので、このままの状態ではディスク
の成形には適さない。そこで、以上のように成膜された
金属膜42の表面を、図4に示したように研磨して平坦
化する。そして、研磨時に印加する荷重A1を調整する
ことにより、研磨効率及び平行度を調整しながら金属膜
42の表面を研磨して、最終的に金属膜42の膜厚が1
2μm程度となるようにする。このように研磨すること
により、深さが50nmを越えるような欠陥は金属膜4
2から無くなり、十分に平坦な面が得られる。
【0060】以上の工程により、表面が十分に平坦化さ
れたディスク成形用金型が完成する。このディスク成形
用金型では、金属膜42の材料として母材41よりも高
硬度なものを採用しており、しかも、その膜厚を十分に
厚くしているので、金属膜42が剥離することによって
ピンホールが生じてしまうようなことがない。すなわ
ち、このディスク成形用金型では、たとえ母材41の表
面にゴミが残っていたとしても、そのようなゴミは十分
な膜厚を有する強固な金属膜42によって覆われるの
で、そのようなゴミに起因してピンホールが生じるよう
なことはない。したがって、このディスク成形用金型を
用いることにより、欠陥のないディスクを製造すること
が可能となる。
【0061】なお、所望するディスクが、サーボパター
ンを示すエンボスピット等のような所定のパターンを有
するディスクである場合には、以上のように表面が十分
に平坦化された金属膜42に対してエッチングを施し
て、所望するディスク形状に対応したパターンを金属膜
42に形成して用いればよい。
【0062】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、母材から金属膜が剥離してしまうような問題
が生じるようなことがない、優れたディスク成形用金型
を提供することができる。したがって、本発明によれ
ば、金型を直接エッチングしたものをディスク成形用金
型として使用することが可能となる。そして、このよう
なディスク成形用金型を用いることにより、ディスクを
成形する際に金型に歪みや面うねり等が生じるようなこ
とがなくなり、ディスクを非常に精度良く成形すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したディスク成形用金型の一例を
示す斜視図である。
【図2】ディスク成形用金型を射出成形装置のキャビテ
ィ部に組み込んだ状態を示す断面図である。
【図3】本発明を適用したディスク成形用金型の製造方
法の一例について、その工程を示す図である。
【図4】ディスク成形用金型の表面を研磨する様子を示
す模式図である。
【図5】ディスク成形用金型を構成する金属膜につい
て、その成膜速度と付着強度との関係を示す図である。
【図6】ディスク成形用金型を構成する金属膜の付着強
度を測定する引っ掻き試験の様子を示す模式図である。
【図7】本発明を適用したディスク成形用金型の一例を
示す斜視図である。
【図8】金属膜の膜厚とピンホールの数との関係を調べ
た結果を示す図である。
【図9】母材上のゴミに起因して、金属膜にピンホール
が形成される様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1 母材、 2 金属膜

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材上に金属膜が形成されてなるディス
    ク成形用金型において、 上記金属膜が300g以上の付着強度にて母材に付着し
    ていることを特徴とするディスク成形用金型。
  2. 【請求項2】 上記金属膜が、成形するディスク形状に
    対応するようにエッチングされていることを特徴とする
    請求項1記載のディスク成形用金型。
  3. 【請求項3】 上記金属膜がIrからなることを特徴と
    する請求項1記載のディスク成形用金型。
  4. 【請求項4】 上記母材が、Fe、Cr、V、C、M
    o、Si、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素を含
    有する焼結材からなることを特徴とする請求項1記載の
    ディスク成形用金型。
  5. 【請求項5】 上記焼結材は、75重量%以上のFeを
    含有するとともに、20重量%以下のCrを含有するこ
    とを特徴とする請求項4記載のディスク成形用金型。
  6. 【請求項6】 母材上に金属膜が成膜されてなるディス
    ク成形用金型を作製する際に、 上記金属膜を、0.14μm/min以上の成膜速度に
    てスパッタリングによって成膜することを特徴とするデ
    ィスク成形用金型の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記金属膜をスパッタリングによって成
    膜する前に、上記母材に対して逆スパッタを施すことを
    特徴とする請求項6記載のディスク成形用金型の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 上記金属膜を成膜した後、成形するディ
    スク形状に対応するように上記金属膜をエッチングする
    ことを特徴とする請求項6記載のディスク成形用金型の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 上記金属膜がIrからなることを特徴と
    する請求項6記載のディスク成形用金型の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記母材が、Fe、Cr、V、C、M
    o、Si、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素を含
    有する焼結材からなることを特徴とする請求項6記載の
    ディスク成形用金型の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記焼結材は、75重量%以上のFe
    を含有するとともに、20重量%以下のCrを含有する
    ことを特徴とする請求項10記載のディスク成形用金型
    の製造方法。
  12. 【請求項12】 母材表面に母材よりも高硬度な金属膜
    が被着されてなり、当該金属膜面がディスク成形面とさ
    れていることを特徴とするディスク成形用金型。
  13. 【請求項13】 上記金属膜の厚さが3μm以上である
    ことを特徴とする請求項12記載のディスク成形用金
    型。
  14. 【請求項14】 上記金属膜がIrからなることを特徴
    とする請求項12記載のディスク成形用金型。
  15. 【請求項15】 上記母材が、Fe、Cr、V、C、M
    o、Si、Mnから選ばれる少なくとも1種の元素を含
    有する焼結材からなることを特徴とする請求項12記載
    のディスク成形用金型。
  16. 【請求項16】 上記焼結材は、75重量%以上のFe
    を含有するとともに、20重量%以下のCrを含有する
    ことを特徴とする請求項15記載のディスク成形用金
    型。
  17. 【請求項17】 上記金属膜が、成形するディスク形状
    に対応するようにエッチングされていることを特徴とす
    る請求項12記載のディスク成形用金型。
  18. 【請求項18】 上記金属膜は、スパッタリングによっ
    て上記母材表面に被着されてなることを特徴とする請求
    項12記載のディスク成形用金型。
  19. 【請求項19】 上記金属膜に、深さ50nm以上の欠
    陥が無いことを特徴とする請求項12記載のディスク成
    形用金型。
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