JPH10205005A - 建造物用の固定具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 木造建造物の横架材の柱との接合部分に大き
な荷重が加わっても横架材が陥没することの無い建造物
用の固定具を提供すること。 【解決手段】 軸組構法の木造建造物の柱と横架材とを
接合固定する建造物用の固定具であって、横架材の一側
面と当接する架材当接片１と、架材当接片１の両縁端か
ら延設し立設された架材固定片２、２と、架材当接片１
から架材固定片２、２の立設と逆方向に設けられた、柱
が固定される柱固定部３と、を備え、架材当接片１を、
柱固定部２に固定される柱の木口面の面積より大きい面
積を有して形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、軸組構法の木造建
造物の柱と横架材との接合固定に用いる建造物用の固定
具に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、住宅建築においても施工現場での
工期の短縮が要望されている。また、熟練技術者の不足
を補うとともに地震などの揺れに対する耐震性の向上を
図るため、軸組構法の木造建造物の施工においても各所
に専用の固定具が使用されている。

【０００３】例えば、図８に示す建造物用の固定具は、
本出願人にて提案されて実開平７−３２００９として開
示されているもので、軸組構法の骨組みにおける、桁、
梁、胴差し、土台等の横架材と、柱との接合固定を容易
にできるようにしたものである。この建造物用の固定具
は、横架材である土台Ｈの上面と当接する架材当接片１
と、この架材当接片１の両縁端から延設して、両縁端か
ら垂下した、土台Ｈに固定される架材固定片２と、架材
当接片１の両縁端から立ち上がった、柱Ｖの側面が固定
される立直片３と、を備え、且つ、架材当接片１の中央
部から柱Ｖの木口面に突き刺さる切り起こし片７を突出
して、鉄などの金属材料にて形成されている。

【０００４】上記の建造物用の固定具は、切り起こし片
７を柱の木口面ＳＶに突き刺すことにて土台Ｈに柱Ｖを
仮立設できる。そして、仮立設した状態にて柱Ｖと土台
Ｈとの位置合わせをするときに、この固定具を土台Ｈに
沿って移動させることができ、施工時の調整作業が容易
なものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、都市
部を中心に、住環境の向上を目的として３階建て構造の
木造住宅が普及しつつある。上記の建造物用の固定具
を、この３階建て住宅等の、単位面積当たりの重量の大
きな軸組構法による木造建造物に用いた場合、柱Ｖと土
台Ｈ等の横架材との接合部に、より大きな荷重が加わる
こととなって柱が横架材の一部を陥没させることがあっ
た。その結果、住宅の骨組みに僅かな狂いを発生させる
こととなった。

【０００６】本発明は、上記事由に鑑みてなしたもの
で、その目的とするところは、木造建造物の横架材の柱
との接合部分に大きな荷重が加わっても横架材が陥没す
ることの無い建造物用の固定具を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の建造物用の固定具は、軸組構法の木
造建造物の柱と横架材とを接合固定する建造物用の固定
具であって、横架材の一側面と当接する架材当接片と、
架材当接片の両縁端から延設し立設された架材固定片
と、架材当接片から架材固定片の立設と逆方向に設けら
れた、柱が固定される柱固定部と、を備え、架材当接片
を、柱固定部に固定される柱の木口面の面積より大きい
面積を有して形成している。これにより、柱固定部に固
定される柱の木口面は、該木口の面積より大きい面積の
架材当接片に当接されるものとなる。

【０００８】また、請求項２記載の建造物用の固定具
は、請求項１記載の柱固定部は、この柱固定部に固定さ
れる柱の外径寸法と略同一寸法外径の４角筒形状に、且
つ、前記架材固定片は、この架材固定片に固定される横
架材の外径寸法と略同一長さ外径寸法に形成している。
これにより、柱固定部の外周面が柱の側面と、架材固定
片の外面が横架材の側面と、それぞれ同一平面を形成す
るものとなる。

【０００９】また、請求項３記載の建造物用の固定具
は、請求項１又は２記載の架材当接片と前記柱固定部と
に固着されて、前記の柱と横架材との交点にその一端が
固定される筋かいを固定する、筋かい固定手段を付加し
ている。これにより、筋かい固定手段に、柱と横架材と
の交点にその一端か固定される筋かいが固定されるもの
となる。

【００１０】また、請求項４記載の建造物用の固定具
は、請求項１乃至３記載の架材固定片は、架材当接片の
反対側の縁端に、鉄骨梁の水平片の表側に木質の板材を
固着した横架材の鉄骨梁水平片を固定する固定孔を設け
た鍔部を形成している。これにより、鉄骨梁の水平片の
表側に木質の板材を固着した横架材の鉄骨梁水平片が架
材当接片の反対側の縁端の鍔部に固定されるものとな
る。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の建造物用の固定具
の第１の実施の形態を図１乃至図３に基づいて、第２の
実施の形態を図４及び図５に基づいて、第３の実施の形
態を図６及び図７に基づいて、それぞれ説明する。

【００１２】［第１の実施の形態］図１は、第１の実施
の形態の建造物用の固定具の斜視図である。図２は、図
１に示す建造物用の固定具を用いた柱と土台との施工状
態を示した分解図である。図３は、図１に示す建造物用
の固定具を用いて壁材を設置したときの施工状態を示し
た断面図である。

【００１３】この建造物用の固定具は、軸組構法の木造
建造物の柱と、横架材である、桁、梁、胴差し、土台等
とを接合固定する建造物用の固定具で、例えば、図２に
示す、土台Ｈの一側面と当接する架材当接片１と、架材
固定片２、２と、架材当接片１から架材固定片２、２の
立設と逆方向に設けられた、柱Ｖが固定される柱固定部
３とを備え、鉄などの金属材料にて形成されている。

【００１４】架材当接片１は、柱固定部３に固定される
柱Ｖの木口面ＳＶの面積より大きい面積を有している。
架材固定片２、２は、この架材固定片２、２に固定され
る横架材である土台Ｈの外径寸法Ｈ１と略同一長さの外
径寸法をもって、架材当接片１の両縁端から延設し立設
されている。柱固定部３は、この柱固定部３に固定され
る柱Ｖの外径寸法Ｖ１、Ｖ１と略同一寸法外径（例えば
１０５mm）の４角筒形状を有している。架材固定片２、
２及び柱固定部３には、釘孔６が設けられている。柱固
定部３は、側面矢視コ字状の中央基部である架材当接片
１とは溶接等にて固着されている。

【００１５】以上説明した建造物用の固定具にて、柱と
例えば横架材である土台とを接合固定するときは、ま
ず、図２に示すように、柱Ｖの一端の４側面、及び土台
Ｈの柱Ｖと接合部分の、架材固定片２、２に当接する２
側面を、それぞれ所定幅寸法だけ段差部Ｖｄ、Ｈｄを形
成するためのほぞ加工を行う。次いで、土台Ｈに、上記
の建造物用の固定具の架材当接片１を当接させる。そし
て、この状態にて柱Ｖを柱固定部３へ挿入し、この固定
具を土台Ｈに沿って移動させて土台Ｈとの位置合わせを
して、その後、釘５にて釘打ちし柱Ｖと土台Ｈとを接合
固定する。

【００１６】以上説明した建造物用の固定具によると、
柱固定部３に固定される柱Ｖの木口面ＳＶは、木口面Ｓ
Ｖの面積より大きい面積の架材当接片１に当接されるも
のとなるので、木造建造物の横架材である土台Ｈの柱Ｖ
との接合部分に大きな荷重が加わっても土台Ｈが陥没す
ることが無い。また、柱固定部３の外周面が柱Ｖの側面
と、架材固定片２の外面が土台Ｈの側面と、それぞれ同
一平面を形成するものとなるので、図３に示すように、
外装壁材Ｐ１、あるいは石膏ボード等の内装壁材Ｐ２を
柱Ｖ、あるいは土台Ｈなどの横架材Ｈへ釘打ちする際
に、容易に隙間を生ずることなく設置でき、以て、簡単
に壁材を設けることができる。

【００１７】なお、上記の説明にて、建造物用の固定具
の柱固定部を、この柱固定部に固定される柱の外径寸法
と略同一寸法外径の４角筒形状で、且つ、前記架材固定
片を、この架材固定片に固定される横架材の外径寸法と
略同一長さ外径寸法のものとして説明したが、本発明は
そのもののみに限定するものでなく適宜設定できる。

【００１８】［第２の実施の形態］図４は、第２の実施
の形態の建造物用の固定具の斜視図である。図５は、図
４に示す建造物用の固定具を用いた柱と土台及び筋かい
との施工状態を示した説明図で、（ａ）は筋かいの加工
図、（ｂ）は施工状図である。

【００１９】この建造物用の固定具は、筋かい固定手段
を付加した点のみが第１の実施の形態と異なるもので、
他の構成部材は第１の実施の形態のものと同一である。

【００２０】このものの筋かい固定手段は、図５に示す
ように、柱Ｖと横架材Ｈとの交点にその一端が固定され
る筋かいＤＢを固定する平板状の筋かい固定片４と、こ
の筋かい固定片４の直交する、一方の縁端から延設し立
設された架材当接片１に固着される第１固着片４ａと、
他方の縁端から延設し立設された柱固定部３に固着され
る第２固着片４ｂと有し、鉄などの金属材料にて形成さ
れている。そして、第１固着片４ａが架材固定片１に、
第２固着片４ｂが柱固定部３にそれぞれ溶接等にて固着
されている。筋かい固定片４には、釘孔６が設けられて
いる。

【００２１】以上説明した建造物用の固定具は、柱Ｖと
例えば横架材である土台Ｈ及び梁Ｈ２とを接合固定する
ときは、第１の実施の形態のものと同じく、図２に示す
ように、柱Ｖの一端の４側面、及び土台Ｈと梁Ｈ２の柱
Ｖと接合部分の、架材固定片２、２に当接する２側面
を、それぞれ所定幅寸法だけ段差部Ｖｄ、Ｈｄを形成す
るためのほぞ加工を行う。次いで、図５の（ｂ）に示す
ように、土台Ｈに、上記の建造物用の固定具の架材当接
片１を当接させる。そして、この状態にて柱Ｖを柱固定
部３へ挿入し、この固定具を土台Ｈに沿って移動させて
土台Ｈとの位置合わせをして、その後、釘５にて釘打ち
し柱Ｖと土台Ｈとを接合固定した後、さらに柱Ｖと梁Ｈ
２とを接合固定する。その後、柱Ｖと土台Ｈ、梁Ｈ２と
の交点にその一端が固定される筋かいＤＢを固定するた
め、図５の（ａ）に示すように、筋かいＤＢの両端が架
材当接片１と柱固定部３とに当接するように、筋かいＤ
Ｂの両端部ＤＢＳの面取り加工を行う。次いで、図５の
（ｂ）に示すように、筋かいＤＢの両端を筋かい固定片
４に当接させて釘５にて釘打ちし、筋かいＤＢを固定す
る。

【００２２】以上説明した建造物用の固定具によると、
筋かい固定片４に、柱Ｖと横架材である土台Ｈ、梁Ｈ２
との交点にその一端か固定される筋かいＤＢが固定され
るものとなるので、筋かいを例えばボルト締め等によら
ず、簡単に軸組構法の構造用部材である柱Ｖと横架材Ｈ
とに固着できる。

【００２３】［第３の実施の形態］図６は、第３の実施
の形態の建造物用の固定具の斜視図である。図７は、図
６に示す建造物用の固定具を用いた柱と梁との施工状態
を示した分解図である。

【００２４】この建造物用の固定具は、架材固定片２の
形状が第１の実施の形態と異なるもので、他の構成部材
は第１の実施の形態のものと同一である。

【００２５】このものの架材固定片２は、図６に示すよ
うに、架材当接片２の反対側の縁端に、図７に示す、鉄
骨梁Ｈａの水平片Ｈａ２の表側に木質の板材Ｈｂ、Ｈｂ
を固着した横架材Ｈの鉄骨梁水平片Ｈａ２を固定する、
固定孔２ｂが設けられた鍔部２ａが形成されている。

【００２６】上記の横架材Ｈは、軸組構法の木造建造物
において、横架材として土台、梁等に使用されるもの
で、詳しくは、鉄骨梁Ｈａは、例えばＨ形鋼で、大略２
００ｍｍの高さを有する垂直片Ｈａ１と、大略１００ｍ
ｍの幅を有する水平片Ｈａ２とを有する。水平片Ｈａ２
は、所定の間隔で後述する板材Ｈｂを所定のボルトによ
り固定するためのボルト貫通用の孔が形成されている。
板材Ｈｂは、木質板で、例えば大略１００ｍｍの幅と大
略５０ｍｍの厚さを有し、長手方向に所定間隔で鉄骨梁
Ｈａに固定するためのナットの外形より僅かに大きい内
径とそのナットの厚さと大略同一の深さの段差を有する
所定のボルト貫通用の孔が設けられている。この板材Ｈ
ｂは、前記鉄骨梁Ｈａに所定のボルトにて固定され、複
合梁材としての横架材Ｈを形成する。

【００２７】以上説明した建造物用の固定具は、柱Ｖと
例えば梁である横架材Ｈとを接合固定するときは、第１
の実施の形態のものと同じく、図２に示すように、柱Ｖ
の一端の４側面を、所定幅寸法だけ段差部Ｖｄを形成す
るためのほぞ加工を行い、柱Ｖを柱固定部３へ挿入す
る。次いで、この固定具を、梁としての横架材Ｈに沿っ
て移動させて横架材Ｈの上記のボルト貫通用の孔と固定
孔２ｂとの位置合わせをして、釘５にて釘打ちし柱Ｖと
接合固定した後、さらにこの固定具と横架材Ｈの水平片
Ｈａ２とを所定のボルトにて接合固定する。

【００２８】以上説明した建造物用の固定具によると、
鉄骨梁Ｈａの水平片Ｈａ２の表側に木質の板材Ｈｂを固
着した横架材Ｈの鉄骨梁水平片Ｈａ２が架材当接片２の
反対側の縁端の鍔部２ａに固定されるので、柱Ｖと横架
材Ｈとをより強固に固着できる。

【００２９】

【発明の効果】請求項１記載の建造物用の固定具は、柱
固定部に固定される柱の木口面は、該木口の面積より大
きい面積の架材当接片に当接されるものとなるので、木
造建造物の横架材である土台の柱との接合部分に大きな
荷重が加わっても土台が陥没することが無い。

【００３０】また、請求項２記載の建造物用の固定具
は、請求項１記載のものの効果に加え、柱固定部の外周
面が柱の側面と、架材固定片の外面が横架材の側面と、
それぞれ同一平面を形成するものとなるので、外装壁
材、あるいは石膏ボード等の内装壁材を柱、あるいは土
台などの横架材へ釘打ちする際に、容易に隙間を生ずる
ことなく設置でき、以て、簡単に壁材を設けることがで
きる。

【００３１】また、請求項３記載の建造物用の固定具
は、請求項１又は２記載のものの効果に加え、筋かい固
定手段に、柱と横架材との交点にその一端か固定される
筋かいが固定されるものとなるので、筋かいを、簡単に
軸組構法の構造用部材である柱と横架材とに固着でき
る。

【００３２】また、請求項４記載の建造物用の固定具
は、請求項１乃至３記載のものの効果に加え、鉄骨梁の
水平片の表側に木質の板材を固着した横架材の鉄骨梁水
平片が架材当接片の反対側の縁端の鍔部に固定されるの
で、柱と横架材とをより強固に固着できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態の建造物用の固定具
の斜視図である。

【図２】図１に示す建造物用の固定具を用いた柱と土台
との施工状態を示した分解図である。

【図３】図１に示す建造物用の固定具を用いて壁材を設
置したときの施工状態を示した断面図である。

【図４】本発明の第２の実施の形態の建造物用の固定具
の斜視図である。

【図５】図４に示す建造物用の固定具を用いた柱と土台
及び筋かいとの施工状態を示した説明図で、（ａ）は筋
かいの加工図、（ｂ）は施工状態図である。

【図６】本発明の第３の実施の形態の建造物用の固定具
の斜視図である。

【図７】図６に示す建造物用の固定具を用いた柱と梁と
の施工状態を示した分解図である。

【図８】従来例の斜視図である。

【符号の説明】

１ 架材当接片 ２ 架材固定片 ２ａ 鍔部 ２ｂ 鉄骨梁水平片を固定する固定孔 ３ 柱固定部 ４ 筋かい固定片（筋かい固定手段） Ｈ 横架材 Ｖ 柱 ＳＶ 木口面

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸組構法の木造建造物の柱と横架材とを
   接合固定する建造物用の固定具であって、 横架材の一側面と当接する架材当接片と、架材当接片の
   両縁端から延設し立設された架材固定片と、架材当接片
   から架材固定片の立設と逆方向に設けられた、柱が固定
   される柱固定部と、を備え、 架材当接片を、柱固定部に固定される柱の木口面の面積
   より大きい面積を有して形成したことを特徴とする建造
   物用の固定具。
2. 【請求項２】 前記柱固定部は、この柱固定部に固定さ
   れる柱の外径寸法と略同一寸法外径の４角筒形状に、且
   つ、前記架材固定片は、この架材固定片に固定される横
   架材の外径寸法と略同一長さ外径寸法に形成したことを
   特徴とする請求項１記載の建造物用の固定具。
3. 【請求項３】 前記架材当接片と前記柱固定部とに固着
   されて、前記の柱と横架材との交点にその一端が固定さ
   れる筋かいを固定する、筋かい固定手段を付加したこと
   を特徴とする請求項１又は２記載の建造物用の固定具。
4. 【請求項４】 前記架材固定片は、架材当接片の反対側
   の縁端に、鉄骨梁の水平片の表側に木質の板材を固着し
   た横架材の鉄骨梁水平片を固定する固定孔を設けた鍔部
   を形成したことを特徴とする請求項１乃至３記載の建造
   物用の固定具。