JPH10170553A - リアルタイム波形表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 最小・最大値データをメモリに格納すると共
に、格納された最小・最大値を用いて表示処理を行う表
示書き換え手段を付加することにより、リアルタイムに
波形の表示態様を切替えることのできる波形測定器を実
現する。 【解決手段】 複数チャンネルのデジタル変換された波
形データを受け取り、各チャンネルごとに最小・最大値
を作成する最小・最大値作成回路と、最小・最大値に基
づき全チャンネルの表示波形を生成する表示処理回路
と、最小・最大値を格納するメモリと、メモリから指定
チャンネルの最小・最大値のデータを読み出して全画面
の書換え処理を行う全画面書換え処理回路と、表示手段
を備え、表示処理回路と全画面書換え処理回路とを選択
的に動作させて全チャンネル波形表示と指定チャンネル
のみの波形表示をリアルタイムに切替えることができる
ように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、リアルタイム波形
表示装置に関し、特にリアルタイム記録とメモリサンプ
リング動作が並行に行われているときのグラフィックデ
ィスプレイ上の表示方式の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より、測定した波形をリアルタイム
に記録および表示すると共にこれに並行して波形メモリ
に測定波形データを格納する機能を備えた波形測定器
は、例えばオシログラフィックレコーダ等としてよく知
られている。

【０００３】図３にこの種の波形測定器の要部構成図を
示す。アナログ入力信号はアナログ・デジタル変換器
（以下AD変換器という）１でデジタル変換され、最小・
最大値作成回路２および測定値格納メモリ３にそれぞれ
入力される。ただし、最小・最大値作成回路２とメモリ
３へのデータ取り込みのタイミングは、任意に設定する
ことができ、ＡＤ変換値を適宜間引いて最小・最大値作
成回路２およびメモリ３へ取り込むことができるように
なっている。

【０００４】最小・最大値作成回路２では、取り込んだ
最初の２点のデータを大小によって最小−最大値（以下
min-max値という）に分け、３点目以降のデータからは
このmin-max値と比較しながら順次min-max値を更新して
ゆく。このようにして得られるmin-max値は、表示画面
上では図４に示すように各min-maxの間を表示ドットで
補間した形で表示する。

【０００５】更に詳細な動作を順を追って説明すれば次
の通りである。図５に示すように、 (1) ＡＤ値を測定し、メモリ３への格納タイミングなら
ばそのＡＤ変換値をメモリ３に格納する。メモリ３への
格納タイミングでない場合はＡＤ変換値を取り込まない
で次のステップへ移る。

【０００６】(2) min-max値作成回路２はその内部メモ
リ（図示せず）に前記ＡＤ値を取り込み新たにmin-max
値を求める（更新する）。更新値は表示処理回路４によ
り処理し（ min-max値の中間を直線で補間し）ＬＣＤ
（ Liquid Crystal Display ）表示器５用の表示メモリ
（ビットマップメモリ：図示せず）に格納する。 (3) ＬＣＤ画面の表示更新のタイミングであれば、上記
表示メモリの内容を表示する。 (4) min-max値作成回路２はその内部メモリの内容を初
期化する。

【０００７】上記動作を繰り返して測定した波形をＬＣ
Ｄ表示器５上に表示する。なお、複数チャンネルの入力
の場合は、全チャンネル並行して同時にＡＤ変換し、そ
の後はチャンネルごとにmin-max値の作成とメモリへの
測定値格納を行うようにしている。また、上記各部に必
要な制御は図示しない制御回路により行われる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】ところで、この種の波
形測定器では、複数の波形表示と任意の単一波形表示を
リアルタイムに切り替えることができないという問題が
あった。

【０００９】すなわち、例えば図６の（ａ）に示すよう
に複数の波形を同時表示している場合に、途中で同図
（ｂ）に示すように任意の波形の１つだけをピックアッ
プして表示し、他の波形はすべて消去する。その後改め
て同図（ｃ）に示すように、消去した波形を復帰表示さ
せる。このように表示態様をリアルタイムに切替えるこ
とが従来の波形測定器ではできないという問題があっ
た。

【００１０】更に説明すれば、図３、図５からも明らか
なように、min-max値の作成部分に、バックアップ部分
と通常の表示処理と並行したバックアップデータのため
の表示処理モードが存在しないため、波形表示に関する
操作（複数表示された波形から必要な波形のみを表示
し、また一度消去した波形の復帰表示など）をリアルタ
イムに行うことができないという問題があった。

【００１１】従来、波形測定器に要求されたバックアッ
プの機能としては、一定周期のＡＤ変換データのメモリ
への保存が重要視されていて、波形表示のmin-maxデー
タのバックアップはあまり重要視されていなかった。も
ちろん現在でも一定周期でＡＤ変換データをメモリへ保
存する機能は重要であるが、近年ある波形現象において
未確定データ（チャートに記録するまでもないデータ）
を簡単に把握するという面から画面上の波形切替え操作
をリアルタイムに行う機能は波形測定器に重要な機能と
なってきた。

【００１２】本発明の目的は、このような点に鑑み、 m
in-max値データをメモリに格納すると共に、格納された
min-max値を用いて表示処理を行う表示書き換え手段を
付加することにより、リアルタイムに波形の表示態様を
切替えることのできる波形測定器を提供することにあ
る。

【００１３】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明では、複数チャンネルのデジタル変換さ
れた波形データを受け取り、各チャンネルごとに、最初
の２点を大小によって最小・最大値に格納し、３点目以
降は前記２点と比較して最小・最大値を更新して格納す
るようにした最小・最大値作成回路と、この最小・最大
値作成回路で作成された最小・最大値のデータに基づき
全チャンネルの表示波形を生成する表示処理回路と、少
なくとも、前記最小・最大値作成回路で作成された全チ
ャンネルの最小・最大値のデータを格納するメモリと、
このメモリより指定チャンネルの最小・最大値のデータ
を読み出して全画面の書換え処理を行う全画面書換え処
理回路と、前記表示処理回路または前面書換え処理回路
の出力に基づいて波形表示を行う表示手段を備え、前記
表示処理回路と全画面書換え処理回路とを選択的に動作
させ、全チャンネル波形表示と指定の任意チャンネルの
みの波形表示をリアルタイムに切替えることができるよ
うに構成したことを特徴とする。

【００１４】

【作用】最小・最大値作成回路で作成されたデータはメ
モリに格納すると共に表示処理回路にも与える。全チャ
ンネル波形表示のときは表示処理回路により表示メモリ
に波形データを書込み、指定チャンネル表示のときはメ
モリより当該チャンネルの最小・最大値データを読み出
して全画面書換え処理回路により表示メモリに波形デー
タを書込む。表示処理回路と全画面書換え処理回路とを
選択的に動作させることにより、全チャンネルまたは任
意の１チャンネルの表示態様を容易に切替えることがで
きる。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明を詳しく
説明する。図1は本発明に係る波形測定器の一実施例を
示す構成図である。図1において、図３と同等部分には
同一符号を付し、その部分の説明は省略する。なお、図
１において図３と異なるところはメモリ３１と全画面書
換え処理回路３２からなる部分である。

【００１６】メモリ３１にはＡＤ変換器１からの生デー
タ（波形生データ）とmin-max値作成回路２からのmin-m
ax値データを格納する。全画面書換え処理回路３２は波
形書換え指令があるとメモリ３１から指定のチャンネル
のmin-max値を受け表示メモリに波形を作成し全画面を
書き換える処理を行う。なお、表示処理回路４は従来と
同様に全チャンネルのmin-maxデータ表示のための処理
を行う。

【００１７】このような構成における動作を図２のフロ
ーを参照して次に説明する。 (1) 複数チャンネルの入力信号を複数のＡＤ変換器によ
り並列して同時にＡＤ変換する。ＡＤ変換値データはmi
n-max 値作成回路２およびメモリ３１に入力される。

【００１８】(2) min-max値作成回路２において新たに
取り込んだＡＤ変換値（測定値）を基にmin-max値を更
新する。 (3) min-max値をメモリ３１に格納するタイミングであ
れば、次のステップ(4)へ移る。格納タイミングでなけ
れば、(8) 項へ移る。

【００１９】(4) 前記更新min-max値をメモリ３１に格
納する。なお、ＡＤ変換データ（いわゆる生データ）も
メモリ３１に格納される。 (5) 全チャンネルにわたり前記(2) から(4) までを繰り
返す。

【００２０】(6) 全チャンネルについて上記の処理が終
了すると、波形更新処理を行う。この処理は、詳しくは
後に説明するが、表示処理回路４または全画面の書換え
処理回路３２により行われる。 (7) 波形更新処理の後はメモリ３１に格納したmin-max
値を初期化する。 (8) 上記(1) に戻る。

【００２１】さて、通常の表示、すなわち全チャンネル
の波形表示の場合は、表示処理回路４により全チャンネ
ルのmin-max値のデータに基づいて波形更新処理を行
い、図６の（ａ）または（ｂ）のように表示する。

【００２２】任意の１チャンネル表示の場合は、全画面
の書換え処理回路３２によりメモリ３１から当該チャン
ネルのmin-max値データを読み出して波形更新処理を行
い、図６の（ｂ）に示すように表示する。

【００２３】表示方式の切替えの指令および任意の１チ
ャンネルの選択指定などは図示しない制御回路により行
なわれる。

【００２４】なお、本発明の以上の説明は、説明および
例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎな
い。したがって本発明はその本質から逸脱せずに多くの
変更、変形をなし得ることは当業者に明らかである。

【００２５】例えば、 メモリ３１をバッテリバックア
ップとするようにしてもよい。そのような構成とするこ
とにより、瞬停後に瞬停前の波形を容易に再生すること
ができる。また、表示処理回路または全画面書換え処理
回路あるいは両方の回路に、波形を圧縮あるいは拡大し
て表示できる機能を持たせることもできる。さらに、メ
モリ３１には、１画面以上の長さの表示データを格納す
るに十分な容量を持たせ、上記圧縮機能により一時的に
波形の時間軸方向を圧縮して表示し、過去の現象も同時
に把握できるようにすることもできる。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば次の
ような効果がある。 (1) サンプル中の波形をリアルタイムに切替え表示でき
るため、複数のチャンネルの波形表示の態様から任意の
１チャンネルの波形のみの表示態様に容易に切替えるこ
とができ、測定を中断することなく波形の把握を容易に
行うことができるようになった。もちろん、波形把握後
は全チャンネル波形表示に容易に切替えることができ
る。 (2) 表示画面の１画面以上の長さをメモリに格納するよ
うにすれば、一時的に波形の時間軸方向を圧縮して表示
し、過去の現象を把握することも可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る波形測定器の一実施例を示す構成
図

【図２】本発明の波形測定器の動作フロー

【図３】従来の波形測定器の一例を示す構成図

【図４】min-max値およびその表示状態を説明するため
の図

【図５】従来の波形測定器における動作フロー

【図６】波形表示態様を示す図である。

【符号の説明】

１ ＡＤ変換器 ２ 最小・最大値作成回路 ４ 表示処理回路 ５ ＬＣＤ表示器 ３１ メモリ ３２ 全画面書換え処理回路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】複数チャンネルのデジタル変換された波形
   データを受け取り、各チャンネルごとに、最初の２点を
   大小によって最小・最大値に格納し、３点目以降は前記
   ２点と比較して最小・最大値を更新して格納するように
   した最小・最大値作成回路と、 この最小・最大値作成回路で作成された最小・最大値の
   データに基づき全チャンネルの表示波形を生成する表示
   処理回路と、 少なくとも、前記最小・最大値作成回路で作成された全
   チャンネルの最小・最大値のデータを格納するメモリ
   と、 このメモリより指定チャンネルの最小・最大値のデータ
   を読み出して全画面の書換え処理を行う全画面書換え処
   理回路と、 前記表示処理回路または前面書換え処理回路の出力に基
   づいて波形表示を行う表示手段を備え、前記表示処理回
   路と全画面書換え処理回路とを選択的に動作させ、全チ
   ャンネル波形表示と指定の任意チャンネルのみの波形表
   示をリアルタイムに切替えることができるように構成し
   たことを特徴とする波形測定器。
2. 【請求項２】前記表示処理回路または全画面書換え処理
   回路、あるいは両方の回路に、波形の圧縮・拡大の機能
   を持たせたことを特徴とする請求項１記載の波形測定
   器。
3. 【請求項３】前記メモリには、１画面以上の長さの表示
   データを格納するに十分な容量を持たせ、前記圧縮機能
   により一時的に波形の時間軸方向を圧縮して過去の現象
   も同時に波形表示できるように構成したことを特徴とす
   る請求項２記載の波形測定器。