JPH10157999A - フォークリフトトラックのマスト装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 チェーンホイールサポートを案内するための
ガイドバーが左右のマストの間にあると、オペレータの
前方視界の妨げとなる。 【解決手段】 アウタマスト２とリフトシリンダ１のシ
リンダチューブ２０とを車幅方向で互いにオーバーラッ
プするように予め一体に形成する。シリンダチューブ２
０とインナマスト３とが車幅方向でオーバーラップする
ようにインナマスト３をアウタマスト２に案内させる。
チェーンホイール１４を支持しているチェーンホイール
サポート９を、ガイド部材２５を介してインナマスト３
のフランジ部２２に案内支持させ、インナマスト３をチ
ェーンホイールサポート９案内用のガイドバーと兼用す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、フォークリフトト
ラックのマスト装置に関し、特にフリーリフト機構を備
えたマスト装置の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】マスト装置構成要素の数の削減と重量軽
減を目的としたマスト装置として特開昭５７−１７５６
９９号公報に記載されているものがある。また、フリー
リフト機構を備えたマスト装置において、オペレータの
前方視認性を改善したものとして例えば特開平５−３１
９７９３号公報および特開平８−４８４９８号公報に記
載されているものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前者のマスト装置で
は、左右のアウタマストとそれに対応する左右のリフト
シリンダのシリンダチューブとを予め一体に形成したも
ので、このタイプのものではアウタマストの外側面に中
空状のシリンダチューブ相当部が外接するように予め一
体化されているにすぎず、左右のマストそのものの車幅
方向での幅寸法の縮小化におのずと限界があり、必ずし
も前方視界を改善することができない。

【０００４】また、後者のマスト装置では、フリーリフ
ト量を確保するべく、左右のリフトシリンダのピストン
ロッド同士を相互に連結しているチェーンビーム（チェ
ーンホイールサポート）をアウタマスト側のガイドバー
に案内させる一方で、その左右一対のガイドバーのピッ
チを相対的に拡大させることによりオペレータの前方視
界の妨げにならないようにしているものであるが、左右
のマストのスパン内に一対のガイドバーが位置している
ことには変わりがなく、さらなる前方視界の改善の余地
を残している。

【０００５】本発明は以上のような課題に着目してなさ
れたもので、外側マストとリフトシリンダのシリンダチ
ューブとが予め一体に形成された構造を前提とした上
で、フリーリフト機構に必須とされたガイドバーを廃止
することにより、前方視界の妨げを解消して、より一層
の広視界化を実現した構造を提供しようとするものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の発明
は、左右一対の外側マストと該外側マストに個別に対応
する左右のリフトシリンダとが車幅方向で相互にオーバ
ーラップするように各外側マストとそれに対応するリフ
トシリンダのシリンダチューブとを予め一体に形成する
とともに、前記各シリンダチューブと、上端部同士がタ
イビームを介して相互に連結された左右の内側マストと
が、車幅方向で相互にオーバーラップするように、前記
リフトシリンダによって昇降駆動される内側マストを各
外側マストに案内支持させ、左右のリフトシリンダの出
力ロッド同士をチェーンホイールサポートで連結して、
このチェーンホイールサポートにはリフトチェーンが巻
き掛けられる左右一対のチェーンホイールを支持させる
とともに、前記タイビームとそれよりも下方に位置する
チェーンホイールサポートとの間の距離をフリーリフト
量として設定して、そのチェーンホイールサポートを左
右の内側マストに対して直接的に案内支持させたことを
特徴としている。

【０００７】請求項２に記載の発明は、請求項１に記載
の発明におけるチェーンホイールサポートと左右の内側
マストとの間にガイド部材が介装されていることを特徴
としている。

【０００８】請求項３に記載の発明は、請求項１または
２に記載の発明における各チェーンホイールが外側マス
トもしくはリフトシリンダの外側に配置されていて、こ
のチェーンホイールが車幅方向に伸びる軸を介してチェ
ーンホイールサポートに回転可能に装着されていること
を特徴としている。

【０００９】請求項４に記載の発明は、請求項３に記載
の発明における各内側マストはその前後端部に案内面を
有していて、この前後二箇所の案内面によってチェーン
ホイールサポートが案内支持されていることを特徴とし
ている。

【００１０】請求項５に記載の発明は、請求項４に記載
の発明における各内側マストは、ウェブとその前後のフ
ランジ部とにより断面略Ｉ型形状もしくはＨ型形状のも
のとして形成されていて、そのフランジ部がチェーンホ
イールサポートを案内支持するための案内面として設定
されていることを特徴としている。

【００１１】したがって、請求項１，２に記載の発明で
は、外側マストとこの外側マストと一体のリフトシリン
ダのシリンダチューブおよび内側マストがそれぞれ車幅
方向で相互にオーバーラップしていることから、左右の
マストそれぞれの車幅方向での寸法が縮小化されて、オ
ペレータの前方視界を妨げる領域が小さくなる。

【００１２】しかも、内側マストが、チェーンホイール
サポートを案内するためのガイドバーを兼ねていて、左
右のマストのスパン内にガイドバーが存在しないことか
ら、チェーンホイールサポートは内側マストそのものに
案内される形でフリーリフト動作を行うことになり、こ
れによってもまたオペレータの前方視界を広く確保でき
る。

【００１３】特に請求項３に記載の発明では、チェーン
ホイールが左右のマストの外側に配置されているため、
左右のマストのスパン内にはガイドバーとともにチェー
ンホイールも存在しなくなって、オペレータの前方視界
を妨げるものがなくなる。

【００１４】請求項４に記載の発明では、チェーンホイ
ールサポートが、内側マストの前後二箇所に設定された
案内面に支持されていて、フリーリフト動作時における
チェーンホイールの昇降動作が内側マストに沿ってスム
ーズに行われる。

【００１５】特に請求項５に記載の発明では、内側マス
トが断面Ｉ型形状もしくはＨ型形状のものとして形成さ
れていることから、内側マスト自体の剛性確保と案内面
の確保とを両立できるようになる。

【００１６】

【発明の効果】請求項１，２に記載の発明によれば、左
右の外側マストと内側マストおよびリフトシリンダの三
者が車幅方向で相互にオーバーラップしているのに加え
て、左右の内側マストが、チェーンホイールサポートを
案内するためのガイドバーを兼ねていて、その左右のマ
スト同士の間にガイドバーが存在しないため、左右のマ
ストそれぞれの車幅方向での寸法の縮小化とガイドバー
の実質的な廃止とによってオペレータの前方視界を妨げ
る領域が著しく小さくなり、オペレータの前方視界をよ
り広く確保して、荷役作業の作業性を改善できる。

【００１７】特に請求項３に記載の発明のように、チェ
ーンホイールサポートに支持されたチェーンホイールが
外側マストもしくはリフトシリンダの外側に配置されて
いることにより、このチェーンホイールおよびリフトチ
ェーンが視界の妨げとなることもなくなり、これによっ
てもまたオペレータの前方視界を一段と広く確保できる
効果がある。

【００１８】請求項４に記載の発明によれば、内側マス
トの前後二箇所の案内面によってチェーンホイールサポ
ートが案内支持されていることから、請求項３に記載の
発明と同様の効果のほかに、フリーリフト動作時におけ
るチェーンホイールサポートの昇降動作が安定して且つ
スムーズに行われる効果がある。

【００１９】特に請求項５に記載の発明のように、内側
マストが断面Ｉ型形状もしくはＨ型形状のものとして形
成されていることにより、内側マストそのものの剛性も
しくは機械的強度の確保と、チェーンホイールサポート
を案内するための案内面の確保とを両立でき、スペース
的な面でも有利となる効果がある。

【００２０】

【発明の実施の形態】図１〜３は本発明の第１の実施の
形態を示す図であって、フリーリフト機構を備えた二段
マストの例を示している。

【００２１】図１〜３に示すように、リフトシリンダ１
と一体の左右のアウタマスト２の内側にインナマスト３
が昇降可能に配設されている。左右のアウタマスト２，
２同士はアッパビーム４や図示外のクロスビーム等を介
して互いに平行に連結されている一方、左右のインナマ
スト３，３同士はタイビーム５を介して互いに平行に連
結されている。そして、各インナマスト３の内側にはリ
フトブラケット６が昇降可能に配設されているととも
に、このリフトブラケット６にフィンガバー（キャリッ
ジ）７が固定されており、このフィンガバー７に図示外
のフォークが装着される。

【００２２】また、図２に示すように、インナマスト３
が最下降位置にある状態においても、インナマスト３の
上端部がアウタマスト２の上端面よりも所定量だけ突出
して段差をもつように双方のマスト２，３の長さが設定
されていて、後述するように、タイビーム５とそのタイ
ビーム５よりも下方に位置するチェーンホイールサポー
ト９との間の距離がフリーリフト量ａとして設定されて
いる。

【００２３】左右一対のリフトシリンダ１のロッド（出
力ロッド）８，８同士はアッパビーム４およびタイビー
ム５と平行なチェーンホイールサポート９を介して相互
に連結されている。このチェーンホイールサポート９
は、各ピストンロッド８の上端に直接連結されたサポー
トプレート１０と、これら一対のサポートプレート１０
を架橋的に連結しているサポートビーム１１、および各
サポートプレート１０の下面に結合されてアウタマスト
２と一体のリフトシリンダ１の外側に位置しているサポ
ートブラケット１２とから形成されている。そして、各
サポートブラケット１２には車幅方向に伸びる水平な軸
１３を介してチェーンホイール１４が回転可能に装着さ
れている。

【００２４】前記チェーンホイール１４にはリフトチェ
ーン１５が巻き掛けられていて、このリフトチェーン１
５の一端はチェーンアンカーブラケット１６を介してア
ウタマスト２に連結されているとともに他端は同じくチ
ェーンアンカーブラケット１７を介してフィンガバー７
に連結されている。

【００２５】そして、図２の状態からリフトシリンダ１
が伸長動作すると、チェーンホイールサポート９の上昇
動作に伴ってチェーンホイール１４が回転しつつ一体的
に上昇し、その結果としてフィンガバー７がインナマス
ト３に沿ってリフトシリンダ１の伸長速度の倍の速度で
上昇し、やがてはチェーンホイールサポート９がタイビ
ーム５に当接することになる。これがマスト高さの変化
を伴わないでフィンガバー７単独で最低位置から上昇さ
せることができるフリーリフト動作であり、チェーンホ
イールサポート９がタイビーム５に当接した後になおも
リフトシリンダ１が伸長動作すると、以降はチェーンホ
イールサポート９とタイビーム５との当接によってイン
ナマスト３が押し上げられ、フィンガバー７はインナマ
スト３の上昇速度の倍の速度でインナマスト３に沿って
上昇することになる。

【００２６】先に述べた左右のアウタマスト２は、図３
に示すようにウェブ１８とその前後に曲折形成されたフ
ランジ部１９とによって断面略コ字状のものとして形成
されているものの、そのウェブ１８の中間部にリフトシ
リンダ１の主要な要素である円環状のシリンダチューブ
２０が予め一体に形成されており、このシリンダチュー
ブ２０の中心とウェブ１８の中心とを一致させてある。

【００２７】一方、左右のアウタマスト２の内側に配設
される左右のインナマスト３は、ウェブ２１とその前後
のフランジ部２２とにより断面略Ｉ型形状もしくはＨ型
形状のものとして形成されていて、そのインナマスト３
のフランジ部２２の一端がアウタマスト２側のフランジ
部１９の内側に入り込むことでアウタマスト２に対しイ
ンナマスト３が昇降可能に案内されている。

【００２８】すなわち、アウタマスト２およびこれと一
体のシリンダチューブ２０はその寸法が車幅方向で相互
にオーバーラップしていると同時に、シリンダチューブ
２０とインナマスト３もまたその寸法が車幅方向で相互
にオーバーラップしており、結果的にアウタマスト２と
リフトシリンダ１およびインナマスト３の三者が車幅方
向で部分的に相互にオーバーラップすることで、左右の
マストの幅寸法Ｗの縮小化が図られている。

【００２９】そして、図１，３に示すように、アウタマ
スト２の長さの範囲内では、そのアウタマスト２に対し
アングル状のライナ２３を介してインナマスト３のフラ
ンジ部２２が昇降可能に案内されていて、アウタマスト
２に対するインナマスト３の車幅方向および車両前後方
向での位置規制がなされている。

【００３０】一方、図１，２に示すように、アウタマス
ト２よりもその上方に突出しているインナマスト３の上
端部ではその前後のフランジ部２２がチェーンホイール
サポート９の案内面として設定されていて、これらのフ
ランジ部２２に対してサポートプレート１０側のガイド
溝２４がチャンネル状のガイド部材２５を介してスライ
ド可能に案内支持されている。

【００３１】すなわち、左右のインナマスト３は実質的
にチェーンホイールサポート９を案内支持するためのガ
イドバーを兼ねているものであって、前述したフリーリ
フト動作時にはフリーリフト量ａの範囲内でインナマス
ト３のフランジ部２２に案内されるかたちでチェーンホ
イールサポート９が昇降動作することになる。

【００３２】このように、本実施の形態によれば、アウ
タマスト２、インナマスト３およびリフトシリンダ１の
オーバーラップによって左右のマストの車幅方向の寸法
Ｗの縮小化が図られているのに加えて、インナマスト３
自体がチェーンホイールサポート９を案内するガイドバ
ーを兼ねていて、左右のインナマスト３，３同士のスパ
ン内に従来のようにガイドバーが存在しないことから、
それによってオペレータの前方視界をより広く確保する
ことができるようになり、荷役作業時の作業性および安
全性を改善できる。

【００３３】その上、左右のチェーンホイール１４もア
ウタマスト２もしくはリフトシリンダ３の外側に配置さ
れているため、このチェーンホイール１４やリフトチェ
ーン１５がオペレータの前方視界の妨げとなることがな
く、これによってもまた一層のオペレータの広視界化を
実現することができる。

【００３４】図４，５は本発明の第２の実施の形態を示
す図で、チェーンホイール３６の配置位置とチェーンホ
イールサポート３１の案内支持構造が第１の実施の形態
と異なっている。

【００３５】この第２の実施の形態では、チェーンホイ
ールサポート３１が、サポートビーム３２と、その両端
に連結されて平面視で略Ｌ字状をなすサポートプレート
３３とから形成されていて、左右のサポートプレート３
３は各リフトシリンダ１のロッド８に連結されている。
サポートプレート３３のうちインナマスト３の後方側に
位置する部分の下面にはサポートブラケット３４が連結
されており、このサポートブラケット３４には車幅方向
に伸びる水平な軸３５を介してチェーンホイール３６が
回転可能に支持されている。

【００３６】なお、このチェーンホイール３６に巻き掛
けられたリフトチューン３７の一端がアウタマスト２側
に、他端がリフトブラケット６もしくはフィンガバー７
に連結されている点は第１の実施の形態と同様である。

【００３７】そして、前記サポートプレート３３にはガ
イド溝３８が形成されており、このガイド溝３８がガイ
ド部材３９を介してインナマスト３のうち後方側のフラ
ンジ部２２にスライド可能に案内支持されている。

【００３８】この第２の実施の形態では、アウタマスト
２とインナマスト３およびリフトシリンダ１の三者が車
幅方向で相互にオーバーラップしているのに加えて、左
右のインナマスト３のスパン内にチェーンホイールサポ
ート３１を案内するためのガイドバーがないために、オ
ペレータの前方視界の妨げが少なくその前方視界をより
広く確保できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態を示す図で、図２の
平面図。

【図２】本発明の第１の実施の形態を示すマスト装置の
要部構成説明図。

【図３】図２のＡ−Ａ線に沿う断面図。

【図４】本発明の第２の実施の形態を示すマスト装置の
要部構成説明図。

【図５】図４の平面図。

【符号の説明】

１…リフトシリンダ ２…アウタマスト（外側マスト） ３…インナマスト（内側マスト） ５…タイビーム ８…ロッド（出力ロッド） ９…チェーンホイールサポート １０…サポートプレート １１…サポートビーム １２…サポートブラケット １３…軸 １４…チェーンホイール １５…リフトチューン ２０…シリンダチューブ ２１…ウェブ ２２…フランジ部（案内面） ２４…ガイド溝 ２５…ガイド部材 ３１…チェーンホイールサポート ３２…サポートビーム ３３…サポートプレート ３４…サポートブラケット ３５…軸 ３６…チェーンホイール ３７…リフトチェーン ３８…ガイド溝 ３９…ガイド部材

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右一対の外側マストと該外側マストに
   個別に対応する左右のリフトシリンダとが車幅方向で相
   互にオーバーラップするように各外側マストとそれに対
   応するリフトシリンダのシリンダチューブとを予め一体
   に形成するとともに、 前記各シリンダチューブと、上端部同士がタイビームを
   介して相互に連結された左右の内側マストとが、車幅方
   向で相互にオーバーラップするように、前記リフトシリ
   ンダによって昇降駆動される内側マストを各外側マスト
   に案内支持させ、 左右のリフトシリンダの出力ロッド同士をチェーンホイ
   ールサポートで連結して、このチェーンホイールサポー
   トにはリフトチェーンが巻き掛けられる左右一対のチェ
   ーンホイールを支持させるとともに、 前記タイビームとそれよりも下方に位置するチェーンホ
   イールサポートとの間の距離をフリーリフト量として設
   定して、そのチェーンホイールサポートを左右の内側マ
   ストに対して直接的に案内支持させたことを特徴とする
   フォークリフトトラックのマスト装置。
2. 【請求項２】 前記チェーンホイールサポートと左右の
   内側マストとの間にガイド部材が介装されていることを
   特徴とする請求項１記載のフォークリフトトラックのマ
   スト装置。
3. 【請求項３】 前記各チェーンホイールが外側マストも
   しくはリフトシリンダの外側に配置されていて、このチ
   ェーンホイールが車幅方向に伸びる軸を介してチェーン
   ホイールサポートに回転可能に装着されていることを特
   徴とする請求項１または２記載のフォークリフトトラッ
   クのマスト装置。
4. 【請求項４】 前記各内側マストはその前後端部に案内
   面を有していて、この前後二箇所の案内面によってチェ
   ーンホイールサポートが案内支持されていることを特徴
   とする請求項３記載のフォークリフトトラックのマスト
   装置。
5. 【請求項５】 前記各内側マストは、ウェブとその前後
   のフランジ部とにより断面略Ｉ型形状もしくはＨ型形状
   のものとして形成されていて、そのフランジ部がチェー
   ンホイールサポートを案内支持するための案内面として
   設定されていることを特徴とする請求項４記載のフォー
   クリフトトラックのマスト装置。