JPH10152591A - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 成形が容易で製品の外観が良く、撥水性およ
び摺動性に優れ低比重のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を
提供する。 【解決手段】 このポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポ
リ塩化ビニル系樹脂１００重量部、ガラス中空球２０〜
２００重量部、可塑剤１０〜２００重量部、メタクリル
酸メチル系共重合体１〜２０重量部および潤滑剤０．１
〜５重量部を配合してなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、低比重で外観が良
く、しかも撥水性および摺動性に優れ、軽量化が求めら
れるポリ塩化ビニル系樹脂製品の原料として好適なポリ
塩化ビニル系樹脂組成物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、比重の高いポリ塩化ビニル系樹脂
の組成物によって成形される製品のうち、軽量化が要求
されるものについては、発泡剤の添加により比重を低く
することで製品の軽量化を図っていた。しかしながら、
この方法では発泡倍率をコントロールすることが難し
く、製品の表面にまで発泡して外観を損ねてしまうこと
があった。また、低比重の充填剤を添加して軽量化を図
る方法も採られているが、充填剤を多量に添加する必要
があり、組成物の成形性および充填剤の分散性の点で問
題があった。また、比重が１未満の低比重のポリ塩化ビ
ニル系樹脂組成物は、例えば、パッキン材やフライフィ
ッシング用の釣り糸に使用されるが、パッキン材は組み
付け時の作業上、摺動性が必要であり、釣り糸は巻き取
り時の絡まりと水滴の付着を防止するために摺動性およ
び撥水性が必要である。しかしながら、従来の低比重ポ
リ塩化ビニル系樹脂組成物には撥水性および摺動性を兼
ね備えたものはなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決し、成形が容易で製品の外観が良く、撥水性および
摺動性に優れた低比重の製品が得られるポリ塩化ビニル
系樹脂組成物を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の目的
を達成するために、鋭意研究を重ねた結果、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂、ガラス中空球、可塑剤、メタクリル酸メチ
ル系共重合体および潤滑剤を混和して得られたポリ塩化
ビニル系樹脂組成物は、低比重で撥水性および摺動性に
優れていることを見出し、本発明に到達したものであ
る。すなわち、本発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂１００
重量部、ガラス中空球２０〜２００重量部、可塑剤１０
〜２００重量部、メタクリル酸メチル系共重合体１〜２
０重量部および潤滑剤０．１〜５重量部を配合したポリ
塩化ビニル系樹脂組成物である。

【０００５】

【発明の実施の形態】以下、本発明のポリ塩化ビニル系
樹脂組成物について詳細に説明する。本発明に用いるポ
リ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体、
５０重量％以上の塩化ビニル単量体とビニル系単量体と
の共重合体又はこれら以外の重合体に塩化ビニルをグラ
フト重合させたグラフト共重合体等が例示される。その
中でも、塩化ビニル単独重合体が好ましい。また、上記
ポリ塩化ビニル系樹脂は通常、平均重合度が３００〜８
０００のものを用いるが、成形性と機械的物性とのバラ
ンスを考慮すると平均重合度は５００〜３０００のもの
が好ましい。

【０００６】塩化ビニル単量体と共重合できる上記ビニ
ル系単量体としては、エチレン、プロピレン、ブチレン
等のα−オレフィン類、酢酸ビニル、カブロン酸ビニ
ル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニル
エステル類、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエ
ーテル、ドデシルビニルエーテル、フェニルビニルエー
テル等のアルキルビニルエーテル類、エチルアクリレー
ト、ｎ−ブチルアクリレート、ｎ−ブチルメタクリレー
ト、２−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメ
タクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸のエステ
ル類、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル
類、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、臭化ビニル、塩化
プロピレン等のハロゲン化オレフィン類、Ｎ−フェニル
マレイミド、Ｎ−シクロヘキシルマレイミド等のＮ−置
換マレイミド類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロ
ニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のアクリ
ル系誘導体等が挙げられ、これらは一種単独又は二種以
上を組み合わせて用いる。

【０００７】また、本発明に用いるガラス中空球は、通
常に市販されているものでよいが、成形時に圧力や剪断
力等で破壊されてしまうと添加量を増量しなければなら
ないので、耐圧強度の強いものがよい。ガラス中空球は
上記ポリ塩化ビニル系樹脂１００重量部に対して、２０
〜２００重量部、好ましくは４０〜１００重量部の範囲
で添加する。２０重量部未満では十分にポリ塩化ビニル
系樹脂組成物が低比重とはならず、２００重量部を超え
ると成形するのが困難となり、また、成形できても機械
強度が劣悪となる。

【０００８】また、本発明に用いる可塑剤は、上記塩化
ビニル系樹脂と相溶性のものであればよい。例えば、フ
タル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−ｎ−
オクチル（ＤＯＰ）、フタル酸ジイソデシル、フタル酸
ブチルベンジル等のフタル酸エステル類、アジピン酸ジ
ブチル、アジピン酸ジ−ｎ−ヘキシル、セバシン酸ジブ
チル等の脂肪族二塩基酸エステル類、リン酸トリブチ
ル、リン酸トリ−２−ｎ−エチルヘキシル、リン酸トリ
クレシル、リン酸トリフェニル等のリン酸エステル類、
トリメリット酸−トリ−２−エチルヘキシル、トリメリ
ット酸トリブチル等のトリメリット酸エステル類、ペン
タエリスリトールエステル、ジエチレングリコールベン
ゾエート等のグリコールエステル類、エポキシ化大豆
油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化エステル類、ア
セチルトリブチルシトレート、アセチルトリオクチルシ
トレート、トリ−ｎ−ブチルシトレート等のクエン酸エ
ステル類、テトラ−ｎ−オクチルピロメリテート、ポリ
プロピレンアジペート、ポリエステル系可塑剤が挙げら
れ、これらは一種単独又は二種以上を組み合わせて使用
する。これらの可塑剤は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂１
００重量部に対して、１０〜２００重量部、好ましくは
３０〜１００重量部の範囲で添加する。１０重量部未満
では得られる製品が硬くなり、中空球が割れ、比重が大
きくなり、２００重量部を超えると可塑剤のブリードア
ウトによって製品の外観を損ね、撥水性が低下するよう
になる。

【０００９】また、本発明に用いるメタクリル酸メチル
系共重合体には、メタクリル酸メチルとアクリル酸エス
テルとの共重合体を使用する。該アクリル酸エステルに
は、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸
ｎ−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸２−エ
チルヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ｎ−
ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸２−エ
チルヘキシル等が挙げられ、これらは一種単独又は二種
以上を組み合わせて使用する。メタクリル酸メチル系共
重合体は、上記ポリ塩化ビニル系樹脂１００重量部に対
して、１〜２０重量部、好ましくは１〜１０重量部の範
囲で添加する。１重量部未満では本発明のポリ塩化ビニ
ル系樹脂組成物を成形することが困難であり、２０重量
部を超えると溶融温度が高くなりすぎてガラス中空球を
破壊してしまい、比重が大きくなる。

【００１０】また、本発明に用いる潤滑剤は、製品に撥
水性および摺動性を与えるものであればよい。例えば、
低分子ワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワ
ックス、流動パラフィン等の脂肪族炭化水素系滑剤、ス
テアリルアルコール等の高級脂肪族アルコール系滑剤、
ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビ
スステアロアミド等の脂肪族アミド系滑剤、モノステア
リン酸グリセリン、ジアミノステアリン酸エチル、ブチ
ルステアレート等の脂肪族エステル系滑剤、金属石け
ん、シリコーンが挙げられ、これらは一種単独又は二種
以上を組み合わせて用いる。これらの潤滑剤は、上記ポ
リ塩化ビニル系樹脂１００重量部に対して、０．１〜５
重量部、好ましくは０．５〜３重量部の範囲で添加す
る。０．１重量部未満では撥水性および摺動性を与える
ことができず、５重量部を超えると潤滑剤がブリードア
ウトを起す。

【００１１】本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物に
は、上記の主たる成分に加えて必要に応じ、ポリ塩化ビ
ニル系樹脂に対して一般に使用される安定剤、改質剤、
充填剤、着色剤等を本発明の目的を損なわない範囲で添
加配合することができる。上記安定剤には、例えば、三
塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸、塩基性亜硫酸鉛、二
塩基性フタル酸鉛、鉛白、鉛のラウレート又はステアレ
ート等の鉛系安定剤、ブチルすずマレート、オクチルす
ずマレート、ジ−ｎ−アルキルすずメルカプチド、ジ−
ｎ−アルキルすずジラウレート、ジブチルすずジマレー
ト、ジブチルすずラウリルメルカプチド、ジオクチルす
ずＳ，Ｓ’−ビス−（イソオクチルメルカプトアセテー
ト）、ジブチルすずビス−イソオクチルチオグリコレー
ト、ジ−（ｎ−オクチル）すずマレートポリマー、ジブ
チルすずメルカプトプロピオナート等のすず系安定剤、
カルシウム、カドミウム、バリウム又は亜鉛のラウレー
ト又はステアレート等の有機金属塩系安定剤および金属
石けん系安定剤、アンチモンメルカプトカルボン酸塩又
はエステル塩のようなアンチモン系安定剤、ホスフェー
ト系安定剤、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等
のエポキシ化油安定剤、ＢＨＴ、硫黄、メチレン基等で
二量体化したビスフェノール等のヒンダードフェノー
ル、サリチル酸エステル、ベンゾフェノン、ベンゾトリ
アゾール等の紫外線吸収剤が挙げられ、これらは一種単
独又は二種以上を組み合わせて使用する。

【００１２】上記改質剤には、例えば、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合
体、塩素化ポリエチレン、メチルメタクリレート−ブタ
ジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジ
エン−スチレン共重合体、アクリルゴム等の耐衝撃改良
剤、アクリロニトリル−ブタジエン−α−メチルスチレ
ン共重合体、メチルメタクリレート−アクリル酸共重合
体、その他マレイミドを使用した共重合体等の耐熱改質
剤、三酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、アンチモ
ン酸ソーダ、リン酸エステルおよびリン酸化合物、塩素
化パラフィン、塩素化オレフィン、ヘキサブロモベンゼ
ン等の難燃化剤、部分架橋ＮＢＲ、アクリルゴム、ポリ
ウレタン等の弾性付与剤、さらには発泡剤、耐電防止
剤、界面活性剤、導電性付与剤等の中から任意に選択
し、一種単独又は二種以上を組み合わせて使用する。

【００１３】上記充填剤には、例えば、重質炭酸カルシ
ウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、ドーソナイト等の炭酸塩系、シリカ、
ケイ藻土、酸化チタン等の酸化物系、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム等の水酸化物系、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム等の（亜）硫酸塩系、タルク、クレ
ー、マイカ、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩系、カーボ
ンブラック、グラファイト等の炭素系、ガラス短繊維、
金属繊維、カーボン短繊維、カーボン繊維等の無機繊維
系、鉄粉、銅粉等の金属粉系、ポリイミド、シリコーン
等の耐熱性樹脂が挙げられ、これらは一種又は二種以上
を組み合わせて使用する。

【００１４】上記着色剤には、従来プラスチックの着色
に慣用されているものの中から任意に選択して使用する
ことができる。例えば、アルミニウム粉、ブロンズ粉等
の金属粉類、カーボンブラック等の炭素塩類、酸化チタ
ン、亜鉛華、べんがら等の酸化物類、沈降性硫酸バリウ
ム等の硫酸塩類、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシ
ウム等の炭酸塩類、クレー、郡青等のケイ酸塩類、黄鉛
等のクロム酸塩類、コバルトブルー等のアルミン酸塩
類、紺青等のフェロシアン化合物類等の無機顔料、トル
イジンレッド、パーマネントカーミンＦＢ、ジスアゾエ
ローＡＡＡ，レーキレッドＣ等のアゾ顔料類、フタロシ
アニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレ
ッド等の多環式顔料類、ビクトリアピュアブルーＢＯレ
ーキ、アルカリブルートーナー等の染付レーキ類、アジ
ン顔料類、蛍光顔料類等の有機顔料および塩基性染料、
酸性染料、油溶染料、分散染料等の染料が挙げられ、こ
れらは一種又は二種以上を組み合わせて使用する。

【００１５】上記成分からなる本発明のポリ塩化ビニル
系樹脂組成物は、従来のポリ塩化ビニル系樹脂組成物と
同様に、スーパーミキサー、リボンブレンダー等の混合
機で混合した後、バンバリーミキサー、ミキシングロー
ル、単軸又は二軸押出機等により混練し、造粒および成
形する。造粒した本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物
は、押出成形、射出成形、ブロー成形等により製品化さ
れるが、ガラス中空球の分散状態や製品外観を考えると
押出成形が最も適する。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の具体的態様について実施例お
よび比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施
例の記載に限定されるものではない。

【００１７】表１および表２に示した処方の各成分（重
量部）を、容量２０リットルのヘンシェルミキサーに投
入して混合し、その混合物をＬ／Ｄ＝２２、圧縮比３．
０のフルフライトスクリューを使用した５０ｍｍ単軸押
出機で造粒して試料（ペレット）を得た。これらのもの
について、下記の方法で試験を行い、その結果を表１お
よび表２に併記した。また、使用した各成分の明細を下
記に示す。

【００１８】試験方法 （成形テスト）試料（ペレット）をＬ／Ｄ＝２２、圧縮
比３．０のフルフライトスクリューを使用した５０ｍｍ
単軸押出機で下記の条件により５ｍｍΦのサンプルを押
し出し、そのサンプルの比重の測定および外観を観察し
た。 （摺動性）試料（ペレット）をＬ／Ｄ＝２２、圧縮比
３．０のフルフライトスクリューを使用した５０ｍｍ単
軸押出機で下記の条件により３０ｍｍ幅、厚さ１ｍｍの
サンプルを押し出し、そのサンプルの摩擦係数を測定す
ることで摺動性の評価とした。摩擦係数の測定はＨＥＩ
ＤＯＮ表面性測定器（新東科学社製、商品名）を使用
し、摺動条件はボール圧子法、荷重５０ｇで行った。 （撥水性）摺動性の評価で作成したサンプルを５ｃｍの
長さに切断し、比重計を使用して、浸水前のサンプルの
重さ（ａ）の測定および浸水させた後、空気中で３秒た
った時の重さ（ｂ）を測定し、（ｂ）−（ａ）を求めて
撥水性の評価とした。

【００１９】（成分の明細） ・塩化ビニル系樹脂（表中、ＰＶＣとする）：「ＴＫ−
１３００」（信越化学工業社製、商品名、平均重合度１
３００の塩化ビニル単独重合体） ・塩化ビニル系樹脂（同前）：「ＴＫ−２５００ＬＳ」
（信越化学工業社製、商品名、平均重合度２２５０の塩
化ビニル単独重合体） ・ガラス中空球：「グラスバブルスＳ６０」（住友スリ
ーエム社製、商品名） ・メタクリル酸メチル共重合体：「メタブレンＰ−５５
１Ａ」（三菱レーヨン社製、商品名） ・潤滑剤Ａ：シリコーンオイル（信越化学工業社製、商
品名ＫＦ−５４） ・潤滑剤Ｂ：ポリエチレンワックス（アライドケミカル
社製、商品名ＡＣ−６Ａ） ・発泡剤：アドジカルボンアミド

【００２０】

【表１】

【００２１】

【表２】

【００２２】表１に示した結果から明らかなように、本
発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は低比重で成形品の
外観も良く、撥水性および摺動性も良好であった。

【００２３】

【発明の効果】本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物
は、成形が容易で製品の外観が良く、撥水性および摺動
性に優れ低比重であるため、パッキン材や釣り糸の原料
として好適である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ポリ塩化ビニル系樹脂１００重量部、ガ
   ラス中空球２０〜２００重量部、可塑剤１０〜２００重
   量部、メタクリル酸メチル系共重合体１〜２０重量部お
   よび潤滑剤０．１〜５重量部を配合したポリ塩化ビニル
   系樹脂組成物。