JPH1014183A - 回転電機のコイル支持固定方法 - Google Patents
回転電機のコイル支持固定方法Info
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- JPH1014183A JPH1014183A JP15585896A JP15585896A JPH1014183A JP H1014183 A JPH1014183 A JP H1014183A JP 15585896 A JP15585896 A JP 15585896A JP 15585896 A JP15585896 A JP 15585896A JP H1014183 A JPH1014183 A JP H1014183A
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- rotating electric
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Abstract
(57)【要約】
【課題】特に熟練した経験に基づく作業を殆ど必要とし
ないでコイルを比較的容易に且つ確実に支持固定し、作
業効率を高める。 【解決手段】回転電機のコイル1(上コイル1a及び下
コイル1b)を固定子鉄心2のスロット6内に配置した
ときのコイル1とスロット6との隙間20に挿入可能な
チューブ状部材21と、この部材21内に注入後に硬化
可能な充填部材22とを予め用意し、コイル1の外側表
面の少なくとも一部をチューブ状部材21で覆い、この
部材21とコイル1とをスロット6内に挿入配置し、こ
のチューブ状部材6とコイル1間の隙間(注入位置)a
1に充填部材22を圧入して両部材21、22で隙間2
0を埋め、その後に充填部材22を硬化させることによ
り、両部材21、22を介してコイル1を固定子鉄心2
で支持固定する。
ないでコイルを比較的容易に且つ確実に支持固定し、作
業効率を高める。 【解決手段】回転電機のコイル1(上コイル1a及び下
コイル1b)を固定子鉄心2のスロット6内に配置した
ときのコイル1とスロット6との隙間20に挿入可能な
チューブ状部材21と、この部材21内に注入後に硬化
可能な充填部材22とを予め用意し、コイル1の外側表
面の少なくとも一部をチューブ状部材21で覆い、この
部材21とコイル1とをスロット6内に挿入配置し、こ
のチューブ状部材6とコイル1間の隙間(注入位置)a
1に充填部材22を圧入して両部材21、22で隙間2
0を埋め、その後に充填部材22を硬化させることによ
り、両部材21、22を介してコイル1を固定子鉄心2
で支持固定する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水車発電機及び
タービン発電機等の回転電機のコイル支持固定方法に係
り、特に固定子コイルを鉄心スロット内に挿入して固定
子鉄心で支持固定する方法の工夫に関する。
タービン発電機等の回転電機のコイル支持固定方法に係
り、特に固定子コイルを鉄心スロット内に挿入して固定
子鉄心で支持固定する方法の工夫に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、水車発電機及びタービン発電機
等の回転電機では、固定子鉄心の鉄心スロット(以下、
単に「スロット」と呼ぶ)内に挿入配置された固定子コ
イル(以下、単に「コイル」と呼ぶ)が、その導体自身
に流れる電流と、固定子鉄心を磁路とした磁束の内のス
ロットを横切る成分との相互作用により、機械軸の半径
方向に発生する所定の電磁力を受けて振動するため、こ
の電磁振動を抑制可能なコイル支持固定方法が採用され
ている。この方法の一例を図14を参照して説明する。
等の回転電機では、固定子鉄心の鉄心スロット(以下、
単に「スロット」と呼ぶ)内に挿入配置された固定子コ
イル(以下、単に「コイル」と呼ぶ)が、その導体自身
に流れる電流と、固定子鉄心を磁路とした磁束の内のス
ロットを横切る成分との相互作用により、機械軸の半径
方向に発生する所定の電磁力を受けて振動するため、こ
の電磁振動を抑制可能なコイル支持固定方法が採用され
ている。この方法の一例を図14を参照して説明する。
【0003】図14に示すコイル1及び固定子鉄心2を
備えた回転電機においては、コイル1として導体3の外
周部を絶縁層4を介して低抵抗コロナ防止層5で覆う断
面矩形状の2つのコイル(上コイル1a及び下コイル1
b)を使用し、この両コイル1a、1bが固定子鉄心2
内に形成された断面矩形状のスロット6内の上下に収納
されている。このスロット6内の上下方向には、図示の
如く、両コイル1a、1bの夫々を介して複数のスペー
サ、即ちコイル底スペーサ7、コイル間スペーサ8、及
び楔下スペーサ9が夫々配置され、その楔下スペーサ6
の上部のスロット開口部に楔10が堅く打ち込まれる。
また、スロット6の一方の側壁と両コイル1a、1bの
一方の側面との隙間には、半導電性の波形積層板11が
打ち込まれる。
備えた回転電機においては、コイル1として導体3の外
周部を絶縁層4を介して低抵抗コロナ防止層5で覆う断
面矩形状の2つのコイル(上コイル1a及び下コイル1
b)を使用し、この両コイル1a、1bが固定子鉄心2
内に形成された断面矩形状のスロット6内の上下に収納
されている。このスロット6内の上下方向には、図示の
如く、両コイル1a、1bの夫々を介して複数のスペー
サ、即ちコイル底スペーサ7、コイル間スペーサ8、及
び楔下スペーサ9が夫々配置され、その楔下スペーサ6
の上部のスロット開口部に楔10が堅く打ち込まれる。
また、スロット6の一方の側壁と両コイル1a、1bの
一方の側面との隙間には、半導電性の波形積層板11が
打ち込まれる。
【0004】このような回転電機では、複数のスペーサ
7〜9及び楔10を使用して両コイル1a、1bをスロ
ット6内の上下方向の所定位置に支持固定すると共に、
その両コイル1a、1bを波形積層板11によりスロッ
ト6内の他方の側壁側に押し付け、そのばね力と圧接面
の摩擦力とを用いて上述の半径方向の振動を抑制するコ
イル支持固定方法が採用されている。ここで、波形積層
板11の代わりに、半導電性の平板積層板をコイル1と
スロット6間の隙間に応じて複数枚堅く打ち込む方法も
知られている。
7〜9及び楔10を使用して両コイル1a、1bをスロ
ット6内の上下方向の所定位置に支持固定すると共に、
その両コイル1a、1bを波形積層板11によりスロッ
ト6内の他方の側壁側に押し付け、そのばね力と圧接面
の摩擦力とを用いて上述の半径方向の振動を抑制するコ
イル支持固定方法が採用されている。ここで、波形積層
板11の代わりに、半導電性の平板積層板をコイル1と
スロット6間の隙間に応じて複数枚堅く打ち込む方法も
知られている。
【0005】また、立て軸型の回転電機の場合には、通
常、図15に示すように、固定子鉄心2の上端面2aか
ら外側に露出する複数のコイル1…1の内の互いに隣接
するコイル間の各エンド部にU字形状の下がり止め12
を取り付け、この下がり止め12を用いて、例えばコイ
ル1…1の自重と長期間の運転によりコイル固定力が低
下した場合でもコイル1…1の下方への移動を回避する
コイル支持固定方法が知られている。
常、図15に示すように、固定子鉄心2の上端面2aか
ら外側に露出する複数のコイル1…1の内の互いに隣接
するコイル間の各エンド部にU字形状の下がり止め12
を取り付け、この下がり止め12を用いて、例えばコイ
ル1…1の自重と長期間の運転によりコイル固定力が低
下した場合でもコイル1…1の下方への移動を回避する
コイル支持固定方法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の回転電機のコイル支持固定方法にあっては、積
層板の打ち込み等に熟練した経験が必要であったため、
必ずしも作業効率が良いものではなく、特に慣れていな
い場合には作業に長時間を要してしまうことがあった。
また、コイルとスロット側壁間には積層板を介して熱伝
導性の悪い空気層が形成されるため、スロット内の熱拡
散が悪くなって、運転中のコイル温度で長時間にコイル
になじみや、楔及び積層板等の有機材料に枯れが生じ、
その結果、電磁振動の抑制効果が低減してコイルの絶縁
層の摩耗が進行し、その摩耗状況によっては不都合な事
態が発生する可能性があった。
た従来の回転電機のコイル支持固定方法にあっては、積
層板の打ち込み等に熟練した経験が必要であったため、
必ずしも作業効率が良いものではなく、特に慣れていな
い場合には作業に長時間を要してしまうことがあった。
また、コイルとスロット側壁間には積層板を介して熱伝
導性の悪い空気層が形成されるため、スロット内の熱拡
散が悪くなって、運転中のコイル温度で長時間にコイル
になじみや、楔及び積層板等の有機材料に枯れが生じ、
その結果、電磁振動の抑制効果が低減してコイルの絶縁
層の摩耗が進行し、その摩耗状況によっては不都合な事
態が発生する可能性があった。
【0007】また、立て軸型の回転電機の場合でも、各
コイル間のエンド部が成すU字形状の微妙な違いに合わ
せて下がり止めを正確に取り付ける必要があったため、
上記と同様に必ずしも作業効率が良いものではなく、多
くの場合に取り付け作業に長時間を要していた。
コイル間のエンド部が成すU字形状の微妙な違いに合わ
せて下がり止めを正確に取り付ける必要があったため、
上記と同様に必ずしも作業効率が良いものではなく、多
くの場合に取り付け作業に長時間を要していた。
【0008】この発明は、このような従来の問題を考慮
してなされたもので、特に熟練した経験に基づく作業を
殆ど必要としないでコイルを比較的容易に且つ確実に支
持固定し、作業効率を高めることを、主要な目的とす
る。また、この発明は、スロット内の熱拡散を良くして
電磁振動の抑制効果をより効果的に発揮させることを、
別の目的とする。
してなされたもので、特に熟練した経験に基づく作業を
殆ど必要としないでコイルを比較的容易に且つ確実に支
持固定し、作業効率を高めることを、主要な目的とす
る。また、この発明は、スロット内の熱拡散を良くして
電磁振動の抑制効果をより効果的に発揮させることを、
別の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明に係る回転電機のコイル支持固
定方法は、回転電機のコイルを固定子鉄心のスロット内
に配置したときの上記コイルとスロットとの隙間に挿入
可能な挿入体と、この挿入体内に注入後に硬化可能な充
填材とを用意し、上記コイルの外側表面の少なくとも一
部を上記挿入体で覆い、この挿入体と上記コイルとを上
記スロット内に挿入配置し、この挿入体内の所定の注入
位置に上記充填材を圧入して当該挿入体及び充填材で上
記隙間を埋め、その後に上記充填材を硬化させることに
より、上記挿入体及び充填材を介して上記コイルを上記
固定子鉄心で支持固定することを特徴とする。
め、請求項1記載の発明に係る回転電機のコイル支持固
定方法は、回転電機のコイルを固定子鉄心のスロット内
に配置したときの上記コイルとスロットとの隙間に挿入
可能な挿入体と、この挿入体内に注入後に硬化可能な充
填材とを用意し、上記コイルの外側表面の少なくとも一
部を上記挿入体で覆い、この挿入体と上記コイルとを上
記スロット内に挿入配置し、この挿入体内の所定の注入
位置に上記充填材を圧入して当該挿入体及び充填材で上
記隙間を埋め、その後に上記充填材を硬化させることに
より、上記挿入体及び充填材を介して上記コイルを上記
固定子鉄心で支持固定することを特徴とする。
【0010】請求項2記載の発明では、前記挿入体とし
て、前記隙間に挿入可能な肉厚を有するチューブ状部材
を使用し、このチューブ状部内の所定の注入位置に前記
充填材を圧入している。
て、前記隙間に挿入可能な肉厚を有するチューブ状部材
を使用し、このチューブ状部内の所定の注入位置に前記
充填材を圧入している。
【0011】請求項3記載の発明では、前記チューブ状
部材内の注入位置として、前記コイルとチューブ状部材
との隙間を使用している。
部材内の注入位置として、前記コイルとチューブ状部材
との隙間を使用している。
【0012】請求項4記載の発明では、前記チューブ状
部材内の注入位置として、そのチューブ状部材内の肉厚
方向の位置に軸方向に沿って形成した穴を用いている。
部材内の注入位置として、そのチューブ状部材内の肉厚
方向の位置に軸方向に沿って形成した穴を用いている。
【0013】請求項5記載の発明では、前記チューブ状
部材内の肉厚方向の位置として、上記スロット内の2つ
の互いに対向する側壁面の内の少なくとも一方を臨む上
肉厚方向の位置を用いている。
部材内の肉厚方向の位置として、上記スロット内の2つ
の互いに対向する側壁面の内の少なくとも一方を臨む上
肉厚方向の位置を用いている。
【0014】請求項6記載の発明では、前記チューブ状
部材として、半導電性のゴム状弾性体で形成したチュー
ブ状部材を用いている。「ゴム状弾性体」としては、例
えば変形能、耐熱性、耐オゾン性、及び高張力を有する
シリコーンゴムが望ましい。
部材として、半導電性のゴム状弾性体で形成したチュー
ブ状部材を用いている。「ゴム状弾性体」としては、例
えば変形能、耐熱性、耐オゾン性、及び高張力を有する
シリコーンゴムが望ましい。
【0015】請求項7記載の発明では、前記半導電性の
ゴム状弾性体として、少なくともカーボン粉を配合した
ゴム状弾性体を用いている。配合物としては、カーボン
粉のほか、望ましくは高熱伝導性の無機充填材を加え
る。
ゴム状弾性体として、少なくともカーボン粉を配合した
ゴム状弾性体を用いている。配合物としては、カーボン
粉のほか、望ましくは高熱伝導性の無機充填材を加え
る。
【0016】請求項8記載の発明では、前記充填材とし
て、半導電性のエポキシ樹脂を使用している。
て、半導電性のエポキシ樹脂を使用している。
【0017】請求項9記載の発明では、前記半導電性の
エポキシ樹脂として、少なくともカーボン粉を配合した
室温硬化型又は加熱硬化型のエポキシ樹脂を用いてい
る。配合物としては、カーボン粉のほか、好ましくはマ
イカ又は高熱伝導性の無機充填材を、望ましくは更に高
熱伝導性の無機充填材を加える。
エポキシ樹脂として、少なくともカーボン粉を配合した
室温硬化型又は加熱硬化型のエポキシ樹脂を用いてい
る。配合物としては、カーボン粉のほか、好ましくはマ
イカ又は高熱伝導性の無機充填材を、望ましくは更に高
熱伝導性の無機充填材を加える。
【0018】請求項10記載の発明では、前記回転電機
として、立て軸型の回転電機を使用し、この回転電機の
固定子鉄心の上端面側に配置されるコイル用下がり止め
として、当該上端面側に露出する前記挿入体に形成した
受け部を用いている。
として、立て軸型の回転電機を使用し、この回転電機の
固定子鉄心の上端面側に配置されるコイル用下がり止め
として、当該上端面側に露出する前記挿入体に形成した
受け部を用いている。
【0019】請求項11記載の発明に係る回転電機のコ
イル支持固定方法は、回転電機のコイルを固定子鉄心の
スロット内に配置したときの上記コイルとスロットとの
隙間に圧入可能な圧入体を用意し、当該コイルの外側表
面の少なくとも一部を上記圧入体で覆い、この圧入体と
上記コイルとを上記スロット内に圧入して上記隙間を上
記圧入体で埋めることにより、上記圧入体を介して上記
コイルを上記固定子鉄心で支持固定することを特徴とす
る。
イル支持固定方法は、回転電機のコイルを固定子鉄心の
スロット内に配置したときの上記コイルとスロットとの
隙間に圧入可能な圧入体を用意し、当該コイルの外側表
面の少なくとも一部を上記圧入体で覆い、この圧入体と
上記コイルとを上記スロット内に圧入して上記隙間を上
記圧入体で埋めることにより、上記圧入体を介して上記
コイルを上記固定子鉄心で支持固定することを特徴とす
る。
【0020】請求項12記載の発明では、前記圧入体と
して、前記隙間よりも大きい肉厚を有するスリーブ状部
材を使用している。
して、前記隙間よりも大きい肉厚を有するスリーブ状部
材を使用している。
【0021】請求項13記載の発明では、前記スリーブ
状部材として、硬化後に弾性力が発現可能な半導電性の
弾性体で形成したスリーブ状部材を用いている。
状部材として、硬化後に弾性力が発現可能な半導電性の
弾性体で形成したスリーブ状部材を用いている。
【0022】請求項14記載の発明では、前記半導電性
の弾性体として、無機繊維又は有機繊維から成る織布又
は不織布に半導電性エラストマーを含浸して硬化させた
弾性体を用いている。「無機繊維」としては、例えばガ
ラス繊維又はアルミナ繊維を、「有機繊維」としては、
例えばポリエステル又はポリアミドを使用する。
の弾性体として、無機繊維又は有機繊維から成る織布又
は不織布に半導電性エラストマーを含浸して硬化させた
弾性体を用いている。「無機繊維」としては、例えばガ
ラス繊維又はアルミナ繊維を、「有機繊維」としては、
例えばポリエステル又はポリアミドを使用する。
【0023】請求項15記載の発明では、前記半導電性
エラストマーとして、少なくともカーボン粉を配合した
シリコーンゴムを用いている。配合物としては、カーボ
ン粉のほか、望ましくは高熱伝導性の無機充填材を加え
る。
エラストマーとして、少なくともカーボン粉を配合した
シリコーンゴムを用いている。配合物としては、カーボ
ン粉のほか、望ましくは高熱伝導性の無機充填材を加え
る。
【0024】請求項16記載の発明では、前記回転電機
として、立て軸型の回転電機を使用し、この回転電機の
固定子鉄心の上端面側に配置されるコイル用下がり止め
として、前記圧入体の上記上端面側から外部に露出する
側に形成した受け部を用いている。
として、立て軸型の回転電機を使用し、この回転電機の
固定子鉄心の上端面側に配置されるコイル用下がり止め
として、前記圧入体の上記上端面側から外部に露出する
側に形成した受け部を用いている。
【0025】
(第1実施形態)以下、この発明の第1実施形態を図1
及び図2に基づいて説明する。ここで、従来と実質的に
同等の構成要素については、同一符号を付し、その説明
を簡略又は省略する。
及び図2に基づいて説明する。ここで、従来と実質的に
同等の構成要素については、同一符号を付し、その説明
を簡略又は省略する。
【0026】図1及び図2に示すコイル1及び固定子鉄
心2を備えた回転電機は、コイル1として導体3を絶縁
層4を介して低抵抗コロナ防止層5で覆う断面矩形状の
2つのコイル(上コイル1a及び下コイル1b)を使用
し、この両コイル1a、1bを固定子鉄心2内に形成し
た断面矩形状のスロット6内の上下に複数のスペーサ、
即ちコイル底スペーサ7、コイル間スペーサ8、及び楔
下スペーサ9と支持固定用の楔10とを介して配置した
構成で、スロット6内のコイル1とスロット6との隙間
20を埋める、本発明の挿入体及び充填材を成すチュー
ブ状部材21及び充填部材22を要部に備えている。
心2を備えた回転電機は、コイル1として導体3を絶縁
層4を介して低抵抗コロナ防止層5で覆う断面矩形状の
2つのコイル(上コイル1a及び下コイル1b)を使用
し、この両コイル1a、1bを固定子鉄心2内に形成し
た断面矩形状のスロット6内の上下に複数のスペーサ、
即ちコイル底スペーサ7、コイル間スペーサ8、及び楔
下スペーサ9と支持固定用の楔10とを介して配置した
構成で、スロット6内のコイル1とスロット6との隙間
20を埋める、本発明の挿入体及び充填材を成すチュー
ブ状部材21及び充填部材22を要部に備えている。
【0027】ここで、この実施形態の回転電機のコイル
支持固定方法を説明する。
支持固定方法を説明する。
【0028】まず、コイル1のスロット6内挿入前に、
チューブ状部材21及び充填部材22を用意する。チュ
ーブ状部材21については、耐熱性及び耐オゾン性に優
れた半導電性のゴム状弾性体を使用して、上述の隙間2
0に挿入可能な肉厚と、固定子鉄心2の内部及びその外
側露出部をカバー可能な軸長と、コイル1の外側表面に
対して充填材22が注入可能な隙間(注入位置)a1を
成す内のり寸法とで形成する。ここで、半導電性のゴム
状弾性体としては、例えば耐熱性及び耐オゾン性に優れ
たシリコーンゴムにカーボン粉末を配合して体積抵抗率
を102 〜104 程度に調整し、望ましくは更に高熱伝
導性の無機充填材を配合して熱伝導率をより一層向上さ
せたものを用意する。
チューブ状部材21及び充填部材22を用意する。チュ
ーブ状部材21については、耐熱性及び耐オゾン性に優
れた半導電性のゴム状弾性体を使用して、上述の隙間2
0に挿入可能な肉厚と、固定子鉄心2の内部及びその外
側露出部をカバー可能な軸長と、コイル1の外側表面に
対して充填材22が注入可能な隙間(注入位置)a1を
成す内のり寸法とで形成する。ここで、半導電性のゴム
状弾性体としては、例えば耐熱性及び耐オゾン性に優れ
たシリコーンゴムにカーボン粉末を配合して体積抵抗率
を102 〜104 程度に調整し、望ましくは更に高熱伝
導性の無機充填材を配合して熱伝導率をより一層向上さ
せたものを用意する。
【0029】充填部材22については、半導電性のエポ
キシ樹脂を使用し、このエポキシ樹脂として、例えば室
温硬化型又は加熱硬化型のエポキシ樹脂にカーボン粉末
を配合して体積抵抗率を102 〜104 程度に調整し、
好ましくは潜在性硬化触媒を配合して硬化反応熱による
触媒反応で分子間の架橋密度をより高くして耐熱性及び
機械強度をより一層向上させ、望ましくは上記と同様の
高熱伝導性の無機充填材を配合して熱伝導率をより一層
向上させたものを用意する。
キシ樹脂を使用し、このエポキシ樹脂として、例えば室
温硬化型又は加熱硬化型のエポキシ樹脂にカーボン粉末
を配合して体積抵抗率を102 〜104 程度に調整し、
好ましくは潜在性硬化触媒を配合して硬化反応熱による
触媒反応で分子間の架橋密度をより高くして耐熱性及び
機械強度をより一層向上させ、望ましくは上記と同様の
高熱伝導性の無機充填材を配合して熱伝導率をより一層
向上させたものを用意する。
【0030】このように両部材21、22が用意される
と、このチューブ状部材21でコイル1を覆い、このと
きにコイル1の外側表面及びチューブ状部材20の内側
表面で形成された充填部材注入用の隙間a1の一方の開
放端部を、そこに位置するチューブ状部材21の外側表
面からガラスコード等の紐状体23で縛り付けて密封し
ておく。
と、このチューブ状部材21でコイル1を覆い、このと
きにコイル1の外側表面及びチューブ状部材20の内側
表面で形成された充填部材注入用の隙間a1の一方の開
放端部を、そこに位置するチューブ状部材21の外側表
面からガラスコード等の紐状体23で縛り付けて密封し
ておく。
【0031】この隙間a1の端末処理が終了すると、コ
イル1とチューブ状部材21とを一体にスロット6内に
コイル底スペーサ7、コイル間スペーサ8を介して挿入
して軸方向の所定位置に配置すると共に、スロット開口
側から楔下スペーサ9を介して楔10を打ち込むことに
より、コイル1とチューブ状部材21とをスロット6内
の上下方向の所定位置に支持する。
イル1とチューブ状部材21とを一体にスロット6内に
コイル底スペーサ7、コイル間スペーサ8を介して挿入
して軸方向の所定位置に配置すると共に、スロット開口
側から楔下スペーサ9を介して楔10を打ち込むことに
より、コイル1とチューブ状部材21とをスロット6内
の上下方向の所定位置に支持する。
【0032】この状態で、スロット6内のコイル1及び
チューブ状部材21間の隙間a1の他方の開放端部から
充填部材22を圧入すると、この充填部材22の隙間a
1内の圧入量に比例して、チューブ状部材21がスロッ
ト6内で膨脹して側壁6a、6bに押し当てられ、その
結果、両部材21、22の存在下で、即ち空気層が殆ど
存在しない状態で隙間20が埋まっていく。その後に充
填部材22を硬化させることにより、コイル1がスロッ
ト6内の隙間20を埋めたチューブ状部材21及び充填
部材22を介して固定子鉄心2で強固に支持固定され
る。
チューブ状部材21間の隙間a1の他方の開放端部から
充填部材22を圧入すると、この充填部材22の隙間a
1内の圧入量に比例して、チューブ状部材21がスロッ
ト6内で膨脹して側壁6a、6bに押し当てられ、その
結果、両部材21、22の存在下で、即ち空気層が殆ど
存在しない状態で隙間20が埋まっていく。その後に充
填部材22を硬化させることにより、コイル1がスロッ
ト6内の隙間20を埋めたチューブ状部材21及び充填
部材22を介して固定子鉄心2で強固に支持固定され
る。
【0033】従って、この実施形態によれば、従来のよ
うに積層板の打ち込み等の熟練した経験がなくても、チ
ューブ状部材及び充填部材の挿入及び圧入等の比較的簡
単な作業のみでコイルを固定子鉄心で正確に且つ強固に
支持固定でき、作業効率を従来よりも大幅に高めること
ができる。
うに積層板の打ち込み等の熟練した経験がなくても、チ
ューブ状部材及び充填部材の挿入及び圧入等の比較的簡
単な作業のみでコイルを固定子鉄心で正確に且つ強固に
支持固定でき、作業効率を従来よりも大幅に高めること
ができる。
【0034】また、コイル及びスロット内壁間の隙間を
チューブ状部材及び充填部材で空気層が殆ど存在するこ
となく埋めるようにしたため、スロット内の熱拡散性が
各段に向上し、その結果、コイルの温度上昇が大幅に抑
制され、従来のような運転中のコイルのなじみや楔等の
有機材料の枯れの発生を殆ど回避できる。特に、熱拡散
性を高める効果は、チューブ状部材及び充填部材に高熱
伝導性の無機充填材を配合した場合により最大限に発揮
させることができる。
チューブ状部材及び充填部材で空気層が殆ど存在するこ
となく埋めるようにしたため、スロット内の熱拡散性が
各段に向上し、その結果、コイルの温度上昇が大幅に抑
制され、従来のような運転中のコイルのなじみや楔等の
有機材料の枯れの発生を殆ど回避できる。特に、熱拡散
性を高める効果は、チューブ状部材及び充填部材に高熱
伝導性の無機充填材を配合した場合により最大限に発揮
させることができる。
【0035】また、チューブ状部材及び充填部材を半導
電性材料で形成したため、運転中にコイル内又はコイル
とスロット壁間における放電発生も殆ど回避できる利点
もある。
電性材料で形成したため、運転中にコイル内又はコイル
とスロット壁間における放電発生も殆ど回避できる利点
もある。
【0036】なお、この実施形態では、チューブ状部材
21内の注入位置として、コイル1及びチューブ状部材
21間の隙間a1を用いてあるが、この発明は必ずしも
これに限定されるものではなく、チューブ状部材21内
であればよい。例えば、チューブ状部材の肉厚部に軸方
向に沿って予め形成した穴を使用してもよい。この穴を
用いた変形例を図3〜図6に示す。
21内の注入位置として、コイル1及びチューブ状部材
21間の隙間a1を用いてあるが、この発明は必ずしも
これに限定されるものではなく、チューブ状部材21内
であればよい。例えば、チューブ状部材の肉厚部に軸方
向に沿って予め形成した穴を使用してもよい。この穴を
用いた変形例を図3〜図6に示す。
【0037】図3及び図4に示す第1変形例では、チュ
ーブ状部材内の注入位置として、スロット6内の2つの
互いに対向する側壁面の一方6aを臨む側のチューブ状
部材21a内の肉厚部(スロット側壁面と直接接する部
位の内部)に形成した1つの穴a2を使用する。
ーブ状部材内の注入位置として、スロット6内の2つの
互いに対向する側壁面の一方6aを臨む側のチューブ状
部材21a内の肉厚部(スロット側壁面と直接接する部
位の内部)に形成した1つの穴a2を使用する。
【0038】即ち、この変形例のコイル支持固定方法で
は、穴a2の一方の端部を密閉構造とし、この穴a2に
上記と同等の方法を用いて充填材22を圧入してチュー
ブ状部材21aを膨脹させ、そのチューブ状部材21a
及び穴a2内の充填部材22で隙間20を埋め、その後
に充填材22を硬化させることにより、コイル1をスロ
ット6内の両部材21a、22を介して固定子鉄心2で
支持固定するようになっている。
は、穴a2の一方の端部を密閉構造とし、この穴a2に
上記と同等の方法を用いて充填材22を圧入してチュー
ブ状部材21aを膨脹させ、そのチューブ状部材21a
及び穴a2内の充填部材22で隙間20を埋め、その後
に充填材22を硬化させることにより、コイル1をスロ
ット6内の両部材21a、22を介して固定子鉄心2で
支持固定するようになっている。
【0039】従って、この変形例によれば、上記と同等
の効果に加え、コイル挿入用の開口部(穴)を含めた2
重穴構造のチューブ部材を使用し、穴の一方の端部を密
閉するようにしたため、ガラスコードを用いた端末処理
を削減できる分、作業工程をより一層簡素化できるほ
か、充填部材をコイルに非接触で注入するため、コイル
の分解点検時にコイルとチューブ部材とを比較的容易に
分離でき、その再組立作業を含めた作業性をより一層向
上させることができる。
の効果に加え、コイル挿入用の開口部(穴)を含めた2
重穴構造のチューブ部材を使用し、穴の一方の端部を密
閉するようにしたため、ガラスコードを用いた端末処理
を削減できる分、作業工程をより一層簡素化できるほ
か、充填部材をコイルに非接触で注入するため、コイル
の分解点検時にコイルとチューブ部材とを比較的容易に
分離でき、その再組立作業を含めた作業性をより一層向
上させることができる。
【0040】図5及び図6に示す第2変形例では、チュ
ーブ状部材内の注入位置として、スロット6内の2つの
互いに対向する側壁面の一方ではなく、両方6a、6b
を臨む側のチューブ状部材21b内の肉厚部に形成した
2つの穴a3、a3を使用し、上記変形例と同等のコイ
ル支持固定方法により、充填材22を2つの穴a3、a
3内に圧入してチューブ状部材21bを膨脹させた状態
で硬化させるようになっている。
ーブ状部材内の注入位置として、スロット6内の2つの
互いに対向する側壁面の一方ではなく、両方6a、6b
を臨む側のチューブ状部材21b内の肉厚部に形成した
2つの穴a3、a3を使用し、上記変形例と同等のコイ
ル支持固定方法により、充填材22を2つの穴a3、a
3内に圧入してチューブ状部材21bを膨脹させた状態
で硬化させるようになっている。
【0041】従って、この変形例によれば、上記第1変
形例と同等の効果に加え、コイル挿入用の開口部を含め
た3重穴構造のチューブ部材を使用し、隙間を埋める際
にスロットの側壁に対向する両側に形成した2つの穴に
充填部材を注入するため、チューブ状部材をより一層均
等に膨脹させることができる。
形例と同等の効果に加え、コイル挿入用の開口部を含め
た3重穴構造のチューブ部材を使用し、隙間を埋める際
にスロットの側壁に対向する両側に形成した2つの穴に
充填部材を注入するため、チューブ状部材をより一層均
等に膨脹させることができる。
【0042】なお、充填部材注入用の穴の配置及び形状
に関しては、上記2つの変形例に限定されるものではな
く、充填部材を注入可能で且つチューブ状部材を膨脹さ
せて隙間を埋めることができるものであればよい。
に関しては、上記2つの変形例に限定されるものではな
く、充填部材を注入可能で且つチューブ状部材を膨脹さ
せて隙間を埋めることができるものであればよい。
【0043】また、チューブ状部材及び充填部材の構成
材料に関しては、この発明の着想を逸脱しない範囲のも
のであればよい。
材料に関しては、この発明の着想を逸脱しない範囲のも
のであればよい。
【0044】(第2実施形態)次に、この発明に第2実
施形態を図7及び図8に基づいて説明する。
施形態を図7及び図8に基づいて説明する。
【0045】図7及び図8に示す回転電機は、上記のチ
ューブ状部材21及び充填部材22の代わりに、スロッ
ト6内の隙間20を埋める、本発明の圧入体を成すスリ
ーブ状部材24を備えている。
ューブ状部材21及び充填部材22の代わりに、スロッ
ト6内の隙間20を埋める、本発明の圧入体を成すスリ
ーブ状部材24を備えている。
【0046】ここで、この実施形態の回転電機のコイル
支持固定方法を説明する。
支持固定方法を説明する。
【0047】まず、スリーブ状部材24を用意する。こ
のスリーブ状部材24としては、硬化後に弾性力が発現
可能な半導電性の弾性体、例えば半導電性エラストマー
を使用して、スロット6の内のり寸法よりもコイル1が
大きくなる肉厚tの条件、即ちスロット6内の隙間20
の半径方向の全間隔A(A/2+A/2)に対して肉厚
tが[t>A/2]の関係を満たす条件で形成する。
のスリーブ状部材24としては、硬化後に弾性力が発現
可能な半導電性の弾性体、例えば半導電性エラストマー
を使用して、スロット6の内のり寸法よりもコイル1が
大きくなる肉厚tの条件、即ちスロット6内の隙間20
の半径方向の全間隔A(A/2+A/2)に対して肉厚
tが[t>A/2]の関係を満たす条件で形成する。
【0048】半導電性エラストマーに関しては、例えば
硬化後に弾性力が発現する耐熱性、耐オゾン性、高張力
に優れたシリコーンゴムにカーボン粉末を配合して体積
抵抗率を102 〜104 程度に調整し、これを無機繊維
又は有機繊維から成る織布又は不織布に含浸して硬化さ
せて高弾力性、耐熱性、耐オゾン性、高張力性を発揮さ
せ、望ましく高熱伝導性の無機充填材を更に配合して熱
伝導率をより一層向上させたエラストマーを使用する。
無機繊維としては、望ましくはガラス繊維又はアルミナ
繊維を、有機繊維としては、望ましくはポリエステル又
はポリアミドを使用する。
硬化後に弾性力が発現する耐熱性、耐オゾン性、高張力
に優れたシリコーンゴムにカーボン粉末を配合して体積
抵抗率を102 〜104 程度に調整し、これを無機繊維
又は有機繊維から成る織布又は不織布に含浸して硬化さ
せて高弾力性、耐熱性、耐オゾン性、高張力性を発揮さ
せ、望ましく高熱伝導性の無機充填材を更に配合して熱
伝導率をより一層向上させたエラストマーを使用する。
無機繊維としては、望ましくはガラス繊維又はアルミナ
繊維を、有機繊維としては、望ましくはポリエステル又
はポリアミドを使用する。
【0049】このようにスリーブ状部材24が用意され
ると、このスリーブ状部材24でコイル1を覆い、その
コイル1とスリーブ状部材24とをスロット6内にコイ
ル底スペーサ7、コイル間スペーサ8を介して隙間なく
圧入し、スロット開口側から楔下スペーサ9を介して楔
10を打ち込む。そこで、コイル1がスロット6内の隙
間20を埋めたスリーブ状部材24を介して固定子鉄心
2で強固に支持固定される。
ると、このスリーブ状部材24でコイル1を覆い、その
コイル1とスリーブ状部材24とをスロット6内にコイ
ル底スペーサ7、コイル間スペーサ8を介して隙間なく
圧入し、スロット開口側から楔下スペーサ9を介して楔
10を打ち込む。そこで、コイル1がスロット6内の隙
間20を埋めたスリーブ状部材24を介して固定子鉄心
2で強固に支持固定される。
【0050】従って、この実施形態によれば、上記と同
等の効果に加え、充填部材を注入する工程が不要とな
り、作業効率をより一層高める利点ができる。また、高
弾力性、耐熱性、耐オゾン性、高張力性のスリーブ状部
材を使用することにより、運転中のコイルのなじみや枯
れの発生をより一層抑制できる。
等の効果に加え、充填部材を注入する工程が不要とな
り、作業効率をより一層高める利点ができる。また、高
弾力性、耐熱性、耐オゾン性、高張力性のスリーブ状部
材を使用することにより、運転中のコイルのなじみや枯
れの発生をより一層抑制できる。
【0051】なお、スリーブ状部材の構成材料に関して
は、この発明の着想を逸脱しない範囲のものであればよ
い。
は、この発明の着想を逸脱しない範囲のものであればよ
い。
【0052】(第3実施形態)次に、この発明の第3実
施形態を図9及び図10に基づいて説明する。この実施
形態は、この発明に係る回転電機のコイル支持固定方法
を立て軸型の回転電機に適用し、特にコイルの下がり止
めを工夫したものである。ここで、上記各実施形態と実
質的に同等の構成要素については、同一符号を付し、そ
の説明を簡略又は省略する。
施形態を図9及び図10に基づいて説明する。この実施
形態は、この発明に係る回転電機のコイル支持固定方法
を立て軸型の回転電機に適用し、特にコイルの下がり止
めを工夫したものである。ここで、上記各実施形態と実
質的に同等の構成要素については、同一符号を付し、そ
の説明を簡略又は省略する。
【0053】図9及び図10に示す立て軸型の回転電機
では、第1実施形態と同等のチューブ状部材21及び充
填材22のほか、複数のコイル1…1用の下がり止めと
して、チューブ状部材21内の固定子鉄心2の上端面2
aから外側に露出するコイル1及びチューブ状部材21
間の隙間a1の端部に上記と同様の充填部材22を注入
し且つスロット6の内のり寸法よりも大きい断面矩形状
の受け部25を配置している。
では、第1実施形態と同等のチューブ状部材21及び充
填材22のほか、複数のコイル1…1用の下がり止めと
して、チューブ状部材21内の固定子鉄心2の上端面2
aから外側に露出するコイル1及びチューブ状部材21
間の隙間a1の端部に上記と同様の充填部材22を注入
し且つスロット6の内のり寸法よりも大きい断面矩形状
の受け部25を配置している。
【0054】ここで、この実施形態の回転電機のコイル
支持固定方法では、上記第1実施形態と同等の工程でコ
イル1及びチューブ状部材21をスロット6内に挿入配
置した後に、充填部材22を受け部25を介して隙間a
1に圧入して硬化させることにより、両部材21、22
を介してコイル1を固定子鉄心2で支持固定すると共
に、受け部25内をブロック状に埋めた充填部材22を
介してコイル1とチューブ状部材21とを互いに一体化
し、その受け部25を上端面2aを介して固定子鉄心2
で支持することにより、コイル1…1の下方への移動を
抑制する。
支持固定方法では、上記第1実施形態と同等の工程でコ
イル1及びチューブ状部材21をスロット6内に挿入配
置した後に、充填部材22を受け部25を介して隙間a
1に圧入して硬化させることにより、両部材21、22
を介してコイル1を固定子鉄心2で支持固定すると共
に、受け部25内をブロック状に埋めた充填部材22を
介してコイル1とチューブ状部材21とを互いに一体化
し、その受け部25を上端面2aを介して固定子鉄心2
で支持することにより、コイル1…1の下方への移動を
抑制する。
【0055】従って、この実施形態によれば、従来のよ
うにU字形状の下がり止めを各コイルのエンド部毎の形
状に合わせて取り付ける手間が省け、充填部材の注入等
の比較的簡単な工程のみでコイル用下がり止めを確実に
形成でき、その結果、従来の下がり止めの取り付け作業
よりも大幅に作業時間を短縮できる利点がある。
うにU字形状の下がり止めを各コイルのエンド部毎の形
状に合わせて取り付ける手間が省け、充填部材の注入等
の比較的簡単な工程のみでコイル用下がり止めを確実に
形成でき、その結果、従来の下がり止めの取り付け作業
よりも大幅に作業時間を短縮できる利点がある。
【0056】なお、この実施形態では、受け部25を上
記第1実施形態に適用してあるが、この発明はこれに限
定されるものではなく、上述の各種チューブ状部材やス
リーブ状部材にも十分適用できる。この適用例を図11
〜図13に示す。
記第1実施形態に適用してあるが、この発明はこれに限
定されるものではなく、上述の各種チューブ状部材やス
リーブ状部材にも十分適用できる。この適用例を図11
〜図13に示す。
【0057】図11は、上述の2重穴構造のチューブ状
部材21aに受け部25aを適用した場合を、図12
は、上述の3重穴構造のチューブ状部材21bに受け部
25bを適用した場合を、図13は上述のスリーブ状部
材24に受け部25cを適用した場合を夫々説明するも
のである。これらの場合でも、上記と同等の効果を発揮
させることができる。特に、スリーブ状部材24の場合
には、受け部25c内の充填部材として、室温硬化型の
エポキシ樹脂を使用することが望ましい。
部材21aに受け部25aを適用した場合を、図12
は、上述の3重穴構造のチューブ状部材21bに受け部
25bを適用した場合を、図13は上述のスリーブ状部
材24に受け部25cを適用した場合を夫々説明するも
のである。これらの場合でも、上記と同等の効果を発揮
させることができる。特に、スリーブ状部材24の場合
には、受け部25c内の充填部材として、室温硬化型の
エポキシ樹脂を使用することが望ましい。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、コイルの外側表面の少なくとも一部を挿入体で覆
い、この挿入体とコイルとをスロット内に挿入配置し、
この挿入体内の所定の注入位置に充填材を圧入して挿入
体及び充填材でスロット内の隙間を埋め、その後に充填
材を硬化させることにより、コイルをスロット内の隙間
を埋めた挿入体及び充填材を介して固定子鉄心で支持固
定することを要部としたため、特に熟練した経験を必要
としない比較的簡単な作業のみで、コイルをスロット内
に強固に支持固定できる。
ば、コイルの外側表面の少なくとも一部を挿入体で覆
い、この挿入体とコイルとをスロット内に挿入配置し、
この挿入体内の所定の注入位置に充填材を圧入して挿入
体及び充填材でスロット内の隙間を埋め、その後に充填
材を硬化させることにより、コイルをスロット内の隙間
を埋めた挿入体及び充填材を介して固定子鉄心で支持固
定することを要部としたため、特に熟練した経験を必要
としない比較的簡単な作業のみで、コイルをスロット内
に強固に支持固定できる。
【0059】また、コイルとスロット内壁間に隙間が殆
ど存在しないため、スロット内の熱拡散性が向上してコ
イルの温度上昇を大幅に抑制でき、その結果、運転中の
コイル温度に起因するコイルのなじみや有機材料の枯れ
等の発生を殆ど回避でき、電磁振動の抑制効果をより最
大限に発揮させることができる。
ど存在しないため、スロット内の熱拡散性が向上してコ
イルの温度上昇を大幅に抑制でき、その結果、運転中の
コイル温度に起因するコイルのなじみや有機材料の枯れ
等の発生を殆ど回避でき、電磁振動の抑制効果をより最
大限に発揮させることができる。
【図1】この発明の第1実施形態の回転電機のコイル支
持固定方法を説明する要部断面図。
持固定方法を説明する要部断面図。
【図2】回転電機のスロット内を回転子側から見た要部
断面図。
断面図。
【図3】第1変形例を説明する回転電機のスロット内の
要部断面図。
要部断面図。
【図4】回転電機のスロット内を回転子側から見た概略
の要部断面図。
の要部断面図。
【図5】第2変形例を説明する回転電機のスロット内の
要部断面図。
要部断面図。
【図6】回転電機のスロット内を回転子側から見た要部
断面図。
断面図。
【図7】この発明の第2実施形態の回転電機のコイル支
持固定方法を説明する要部断面図。
持固定方法を説明する要部断面図。
【図8】回転電機のスロット内を回転子側から見た要部
断面図。
断面図。
【図9】この発明の第3実施形態の回転電機のコイル支
持固定方法を説明する要部正面図。
持固定方法を説明する要部正面図。
【図10】回転電機のコイルエンド部を回転子側から見
た要部断面図。
た要部断面図。
【図11】2重穴構造のチューブ状部材に受け部を適用
した場合を説明する要部断面図。
した場合を説明する要部断面図。
【図12】3重穴構造のチューブ状部材に受け部を適用
した場合を説明する要部断面図。
した場合を説明する要部断面図。
【図13】スリーブ状部材に受け部を適用した場合を説
明する要部断面図。
明する要部断面図。
【図14】従来の回転電機のコイル支持固定方法を説明
する要部断面図。
する要部断面図。
【図15】従来の立て軸型の回転電機でのコイル支持固
定方法を説明する要部正面図。
定方法を説明する要部正面図。
1 コイル 1a 上コイル 1b 下コイル 2 固定子鉄心 3 導体 4 絶縁層 5 低抵抗コロナ防止層 6 スロット 7 コイル底スペーサ 8 コイル間スペーサ 9 楔下スペーサ 10 楔 11 波形積層板 12 下がり止め 20 隙間 21、21a、21b チューブ状部材 22 充填部材 23 紐状体(ガラスコード等) 24 スリーブ状部材 25,25a、25b、25c 受け部
Claims (16)
- 【請求項1】 回転電機のコイルを固定子鉄心のスロッ
ト内に配置したときの上記コイルとスロットとの隙間に
挿入可能な挿入体と、この挿入体内に注入後に硬化可能
な充填材とを用意し、上記コイルの外側表面の少なくと
も一部を上記挿入体で覆い、この挿入体と上記コイルと
を上記スロット内に挿入配置し、この挿入体内の所定の
注入位置に上記充填材を圧入して当該挿入体及び充填材
で上記隙間を埋め、その後に上記充填材を硬化させるこ
とにより、上記挿入体及び充填材を介して上記コイルを
上記固定子鉄心で支持固定することを特徴とする回転電
機のコイル支持固定方法。 - 【請求項2】 前記挿入体として、前記隙間に挿入可能
な肉厚を有するチューブ状部材を使用し、このチューブ
状部内の所定の注入位置に前記充填材を圧入した請求項
1記載の回転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項3】 前記チューブ状部材内の注入位置とし
て、前記コイルとチューブ状部材との隙間を使用した請
求項2記載の回転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項4】 前記チューブ状部材内の注入位置とし
て、そのチューブ状部材内の肉厚方向の位置に軸方向に
沿って形成した穴を用いた請求項2記載の回転電機のコ
イル支持固定方法。 - 【請求項5】 前記チューブ状部材内の肉厚方向の位置
として、上記スロット内の2つの互いに対向する側壁面
の内の少なくとも一方を臨む上記肉厚方向の位置を用い
た請求項4記載の回転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項6】 前記チューブ状部材として、半導電性の
ゴム状弾性体で形成したチューブ状部材を用いた請求項
2乃至5のいずれか1項記載の回転電機のコイル支持固
定方法。 - 【請求項7】 前記半導電性のゴム状弾性体として、少
なくともカーボン粉を配合したゴム状弾性体を用いた請
求項6記載の回転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項8】 前記充填材として、半導電性のエポキシ
樹脂を使用した請求項1乃至5のいずれか1項記載の回
転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項9】 前記半導電性のエポキシ樹脂として、少
なくともカーボン粉を配合した室温硬化型又は加熱硬化
型のエポキシ樹脂を用いた請求項8記載の回転電機のコ
イル支持固定方法。 - 【請求項10】 前記回転電機として、立て軸型の回転
電機を使用し、この回転電機の固定子鉄心の上端面側に
配置されるコイル用下がり止めとして、当該上端面側に
露出する前記挿入体に形成した受け部を用いた請求項1
乃至9のいずれか1項記載の回転電機のコイル支持固定
方法。 - 【請求項11】 回転電機のコイルを固定子鉄心のスロ
ット内に配置したときの上記コイルとスロットとの隙間
に圧入可能な圧入体を用意し、当該コイルの外側表面の
少なくとも一部を上記圧入体で覆い、この圧入体と上記
コイルとを上記スロット内に圧入して上記隙間を上記圧
入体で埋めることにより、この圧入体を介して上記コイ
ルを上記固定子鉄心で支持固定することを特徴とする回
転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項12】 前記圧入体として、前記隙間よりも大
きい肉厚を有するスリーブ状部材を使用した請求項11
記載の回転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項13】 前記スリーブ状部材として、硬化後に
弾性力が発現可能な半導電性の弾性体で形成したスリー
ブ状部材を用いた請求項12記載の回転電機のコイル支
持固定方法。 - 【請求項14】 前記半導電性の弾性体として、無機繊
維又は有機繊維から成る織布又は不織布に半導電性エラ
ストマーを含浸して硬化させた弾性体を用いた請求項1
3記載の回転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項15】 前記半導電性エラストマーとして、少
なくともカーボン粉を配合したシリコーンゴムを用いた
請求項14記載の回転電機のコイル支持固定方法。 - 【請求項16】 前記回転電機として、立て軸型の回転
電機を使用し、この回転電機の固定子鉄心の上端面側に
配置されるコイル用下がり止めとして、前記圧入体の上
記上端面側から外部に露出する側に形成した受け部を用
いた請求項11乃至15のいずれか1項記載の回転電機
のコイル支持固定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15585896A JPH1014183A (ja) | 1996-06-17 | 1996-06-17 | 回転電機のコイル支持固定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15585896A JPH1014183A (ja) | 1996-06-17 | 1996-06-17 | 回転電機のコイル支持固定方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1014183A true JPH1014183A (ja) | 1998-01-16 |
Family
ID=15615049
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP15585896A Pending JPH1014183A (ja) | 1996-06-17 | 1996-06-17 | 回転電機のコイル支持固定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1014183A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001069709A (ja) * | 1999-08-24 | 2001-03-16 | Hitachi Ltd | 回転電機 |
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- 1996-06-17 JP JP15585896A patent/JPH1014183A/ja active Pending
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