JPH10134607A - 車両用灯具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】リフレクタの変位量を少なくし得て、しかも、
灯具後方の作業スペースを容易に確保することができる
車両用灯具を提供する。 【解決手段】レンズ１２によってランプハウジング１１
の前面開口１１ａが閉成され、光軸調整用のアジャスト
スクリュー２３がランプハウジング１１の後壁１１ｂに
設けられ、ランプハウジング１１とレンズ１２とによっ
て形成される灯室１３内にアジャストスクリュー２３の
回転によって傾動するリフレクター１４が設けられ、リ
フレクター１４にアジャストスクリュー２３の先端と対
向する位置に小孔１４ｆが形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車両用灯具、特
に、灯室内にリフレクタを設けると共に、このリフレク
タを光軸調整のためにアジャストスクリューの回転操作
によって傾動可能とした車両用灯具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば、図３に示すように、ラン
プハウジング１の前面開口１ａがレンズ２に閉成され、
ランプハウジング１の後壁１ｂに光軸調整用のアジャス
トスクリュー３，４が設けられ、ランプハウジング１と
レンズ２とによって形成される灯室５内にアジャストス
クリュー３，４の回転によって傾動するリフレクター６
が設けられ、リフレクター６にバルブ（図示せず）が保
持された車両用灯具７が知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の如く
構成された車両用灯具７には、空気抵抗を減らすという
観点から近年の車体デザインによっては、車体前方から
後方に向けて回り込むようなレンズ設計となっている場
合があるが、このような場合には車両用灯具７の後方ス
ペース、即ち、ランプハウジング１と車体との間に作業
スペースがないことが多く、特に、上述したように車体
後方側へと回り込んだ部分にあっては、ランプハウジン
グ１とレンズ２との間隔が狭くなる。

【０００４】一方、リフレクタ６の脚部６ａにはアジャ
ストスクリュー３のネジ部３ａと螺合するスクリューマ
ウンティング８が設けられ、アジャストスクリュー３を
回転させることでスクリューマウンティング８がネジ部
３ａ上を進退動し、この進退動と一体にリフレクタ６が
傾動するが、このリフレクタ６の傾動時にアジャストス
クリュー３の先端がリフレクタ６のダミー部６ｂに当接
してしまうと傾動範囲が狭くなるため、この先端とダミ
ー部６ｂとの間を広く確保しなければならず、この間を
確保すると、ランプハウジング１と車体との間に作業ス
ペースの確保は非常に困難となる。

【０００５】尚、光軸調整時のリフレクタ６の変位量
（傾動量）を極力少なくするためにはアジャストスクリ
ュー３，４と螺合するスクリューマウンティング８，８
並びに図示を略すピボット軸の回動支点位置を略同一平
面上に位置させることが好ましいが、このためには、こ
れらを全体的にレンズ２から退避させないと実現せず、
上述した作業スペースの確保が困難な場合には、その実
現が困難であり、スクリューマウンティング８，８の位
置並びにピボット軸の支点位置を後方に移動することが
可能な場合においても車両用灯具７の全体が大型化する
といった問題が生じていた。

【０００６】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので
あって、リフレクタの変位量を少なくし得て、しかも、
灯具後方の作業スペースを容易に確保することができる
車両用灯具を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】その目的を達成するた
め、請求項１に記載の発明は、ランプハウジングの前面
開口がレンズに閉成され、前記ランプハウジングの後壁
に光軸調整用のアジャストスクリューが設けられ、前記
ランプハウジングと前記レンズとによって形成される灯
室内に前記アジャストスクリューの回転によって傾動す
るリフレクターが設けられ、該リフレクターにバルブが
保持された車両用灯具において、前記リフレクタに前記
アジャストスクリューの先端と対向する位置に小孔が形
成されていることを要旨とする。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に、本発明の車両用灯具の実施
の形態を図面に基づいて説明する。

【０００９】図１，図２において、車両用灯具１０は、
前面開口１１ａを有するランプハウジング１１と、前面
開口１１ａを閉成するレンズ１２と、ランプハウジング
１１とレンズ１２とで形成された灯室１３内に設けられ
たリフレクタ１４と、リフレクタ１４に保持されたバル
ブ１５と、リフレクタ１４を傾動させる光軸調整機構と
を備えている。

【００１０】この光軸調整機構は、ランプハウジング１
１の後壁１１ｂに設けられてリフレクタ１４を保持する
もので、車体左右に位置する一対のアジャストスクリュ
ー機構部１６，１７と、この一対のアジャストスクリュ
ー機構部１６，１７の一方側の車体下方（若しくは車体
上方）に位置するボールジョイント部（公知のため図示
せず）とを備え、一対のアジャストスクリュー機構部１
６，１７の一方の調整操作によってボールジョイント部
を回動支点としてリフレクタ１４が車体上下方向に傾動
し、一対のアジャストスクリュー機構部１６，１７の他
方の調整操作によってボールジョイント部を回動支点と
してリフレクタ１４が車体左右方向に傾動するものであ
る。

【００１１】ランプハウジング１１には、前面開口１１
ａの開口縁部に沿って係合溝１１ｃが形成されており、
この係合溝１１ｃにはホットメルト材料等のシール材１
８が充填されている。また係合溝１１ｃにはレンズ１２
の脚部１２ａが係合する。ランプハウジング１１の後壁
１１ｂは、その一部が平坦となっており、その平坦部分
にアジャストスクリュー機構部１６，１７が設けられて
いる。また、アジャストスクリュー機構部１６，１７の
後壁１１ｂから外部に露出した部分は、少なくともその
上方を後壁１１ｂに一体に形成された庇状のフランジ１
１ｄ，１１ｅに覆われている。

【００１２】レンズ１２のリフレクタ１４と対向する裏
面には、バルブ１５から出射されてリフレクタ１４で反
射された照明光束を所定の配光パターンに屈折させる多
数のプリズム１２ｂ（図２の縦横及び斜めのプリズムラ
インとして表示）が形成されている。尚、このプリズム
１２ｂは、レンズ１２の形状や車体設置位置、リフレク
タ１４の反射パターン設計、灯具の種類（例えば、前照
灯やフォグランプ）等によって所定の配光パターンが得
られるように光学設計される。

【００１３】リフレクタ１４は、その表面に反射被膜が
蒸着されており、バルブ１５から出射された照明光束を
反射する放物面形状の有効反射部１４ａと、バルブ１５
から出射された照明光束を無効とする無効反射部１４ｂ
と、レンズ１２の形状に合わせて延在された見かけ上の
ダミー部１４ｃとを一体に有する。また、有効反射部１
４ａ及びダミー部１４ｃの背面側には脚部１４ｄ，１４
ｅが突出形成されている。さらに、ダミー部１４ｃに
は、その表裏に貫通する小孔１４ｆが形成されており、
この小孔１４ｆの表面側の開口形状はレンズ１２の対向
する部分に形成されたプリズム１２ｂのプリズムライン
に略一致する形状となっている。

【００１４】アジャストスクリュー機構部１６は、後壁
１１ｂの平坦部分を貫通するアジャストスクリュー１９
と、アジャストスクリュー１９の外部側の端部にスプラ
イン結合された駆動ギヤ２０と、駆動ギヤ２０のギヤ部
２０ａと対向するようにギヤ部２１ａを形成し且つアジ
ャストスクリュー２０に相対回転可能に支持された空転
ギヤ２１と、脚部１４ｄに保持されたスクリューマウン
ティング２２とを備えている。尚、スクリューマウンテ
ィング２２には脚部１４ｄを貫通するアジャストスクリ
ュー１９のネジ部１９ａが螺合しており、各ギヤ部２０
ａ，２１ａ間に挿入されるドライバー等の工具の回転操
作によって駆動ギヤ２０とアジャストスクリュー１９と
が一体に同方向に回転し、この回転によりスクリューマ
ウンティング２２がネジ部１９ａ上を進退動することで
リフレクタ１４が傾動する。この際、空転ギヤ２１は駆
動ギヤ２０の回転に伴う工具の回転操作を補助するよう
に工具と噛み合って駆動ギヤ２０と逆方向に回転する。

【００１５】アジャストスクリュー機構部１７は、後壁
１１ｂの平坦部分を貫通するアジャストスクリュー２３
と、アジャストスクリュー２３に相対回転可能に支持さ
れた空転ギヤ２４と、脚部１４ｅに保持されたスクリュ
ーマウンティング２５とを備えている。

【００１６】アジャストスクリュー２３は、透明な樹脂
材料（例えば、ポリカーボネイト、ペット、アクリル
等）によって形成されており、その外部側の端部に位置
する環状のフランジ部２３ａと、フランジ部２３ａに形
成されたギヤ部２３ｂと、脚部１４ｅ並びに小孔１４ｆ
を貫通すると共にスクリューマウンティング２５と螺合
するネジ部２３ｃと、ネジ部２３ｃの先端に形成された
テーパ状の受光部２３ｄとが一体に形成されいる。尚、
アジャストスクリュー２３は、図１の破線で示すよう
に、その使用される樹脂材料によって、軸線方向中心を
空洞としたりインサート成形による鉄等の芯材を設けて
もよい。

【００１７】上記の構成において、アジャストスクリュ
ー機構部１７の操作によってリフレクタ１４を傾動させ
る場合には、バルブ１５を点灯させ（バルブ１５の光軸
を調整するためにリフレクタ１４を傾動させるため、必
ずバルブ１５は点灯させる）た後、各ギヤ部２３ｂ，２
４ａ間にドライバー等の工具を挿入し、この工具を回転
操作させることによってアジャストスクリュー２３が回
転すると同時に、空転ギヤ２４がアジャストスクリュー
２３の回転に伴う工具の回転操作を補助するように工具
と噛み合ってアジャストスクリュー２３と逆方向に回転
する。

【００１８】そして、このアジャストスクリュー２３の
回転によりスクリューマウンティング２５がネジ部２３
ｃ上を進退動することでリフレクタ１４が傾動する。

【００１９】一方、アジャストスクリュー２３は、透明
な樹脂材料によって形成されているため、バルブ１５の
点灯に伴い、その照明光束の一部が小孔１４ｆを貫通し
てリフレクタ１４の表面側に露出した受光面２３ｄに受
光された後、受光面２３ｄからネジ部２３ｃを経てフラ
ンジ部２３ａへと導かれる。

【００２０】従って、バルブ１５からの照明光束の一部
によってフランジ部２３ａ並びにその周囲が照明される
ため、フランジ部２３ａの存在が明確となり、その周囲
が暗い環境化にあっても光軸調整作業を容易に行うこと
ができる。

【００２１】尚、小孔１４ｆを設けてアジャストスクリ
ュー２３の先端を貫通させたことにより、アジャストス
クリュー２３をレンズ１２側へと変位させることがで
き、しかも、灯具の奥行を深くすることなくスクリュー
マウンティング２２，２５を同一垂直平面上に位置させ
ることが容易となる。

【００２２】従って、 （１）リフレクタ１４の変位量を少なくし得て、安定し
た配光を得ることができる。することができる。

【００２３】（２）灯具本体の小型化、軽量化、材料費
削減等を実現し得て、しかも、灯具本体後方の作業スペ
ースを容易に確保することができる。

【００２４】（３）機能効率の良い位置にアジャストス
クリュー２３をセットすることができる。

【００２５】（４）リフレクター１４の回転支点を前方
寄りとすることができ、振動・衝撃等の外力に対する耐
久性を向上させることができる。

【００２６】（５）レンズ１２に入射する照明光線が安
定すると同時に、光軸調整時の入射光線の移動量が少な
くなり配光変化を少なくすることができる。

【００２７】等の各種の相乗効果を同時に発揮させるこ
とが可能となる。

【００２８】このように、本発明の車両用灯具１０にあ
っては、アジャストスクリュー２３を透明な樹脂材料に
よって形成すると共に、このアジャストスクリュー２３
の先端をリフレクタ１４に形成された小孔１４ｆを貫通
させてリフレクタ１４の表面側から露出させたことによ
り、バルブ１５からの照明光束の一部を灯具本体後部へ
と導いてその周囲を照明させることができ、しかも、従
来のアジャストスクリュー３よりもアジャストスクリュ
ー２３をレンズ１２側へと変位させることができるの
で、アジャストスクリュー２３の存在を明確にして作業
性を向上させることができるばかりでなく、リフレクタ
１４の変位量を少なくし得て、しかも、灯具後方の作業
スペースを容易に確保することができる。

【００２９】また、アジャストスクリュー２３の先端は
バルブ１５から出射された照明光束をアジャストスクリ
ュー２３のネジ部２３ｃに向けて屈折させる受光面２３
ｄとなっているため、バルブ１５から出射された照明光
束の一部を効率良く灯具本体の後方へと導くことができ
る。

【００３０】さらに、小孔１４ｆの開口形状をレンズ１
２に形成されたプリズム１２ｂのプリズムラインに略一
致させたことにより、小孔１４ｆを目立たなくすること
ができ、外観上の見栄えを損なわない車両用灯具１０と
することができる。

【００３１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の車両用灯
具にあっては、リフレクタにアジャストスクリューの先
端と対向する位置に小孔が形成されていることにより、
リフレクタの変位量を少なくし得て、しかも、灯具後方
の作業スペースを容易に確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態に係わる車両用灯具を示
し、車両用灯具の水平方向の断面図である。

【図２】同じく、車両用灯具の正面図である。

【図３】従来の車両用灯具を示し、車両用灯具の水平方
向の断面図である。

【符号の説明】

１０…車両用灯具 １１…ランプハウジング １１ａ…前面開口 １１ｂ…後壁 １２…レンズ １３…灯室 １４…リフレクター １４ｆ…小孔 ２３…アジャストスクリュー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 友江 神奈川県伊勢原市板戸80番地 市光工業株 式会社伊勢原製造所内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ランプハウジングの前面開口がレンズに閉
   成され、前記ランプハウジングの後壁に光軸調整用のア
   ジャストスクリューが設けられ、前記ランプハウジング
   と前記レンズとによって形成される灯室内に前記アジャ
   ストスクリューの回転によって傾動するリフレクターが
   設けられ、該リフレクターにバルブが保持された車両用
   灯具において、 前記リフレクタに前記アジャストスクリューの先端と対
   向する位置に小孔が形成されていることを特徴とする車
   両用灯具。
2. 【請求項２】前記小孔の開口形状が前記レンズに形成さ
   れたプリズムラインに略一致することを特徴とする請求
   項１又は請求項２に記載の車両用灯具。
3. 【請求項３】前記アジャストスクリューは透明な樹脂材
   料によって形成されていると共に、その先端に前記バル
   ブから出射された照明光束を前記アジャストスクリュー
   のネジ部に向けて屈折させる受光面を設けたことを特徴
   とする請求項１に記載の車両用灯具。