JPH0979860A - 圧電振動子及びその製造方法 - Google Patents

圧電振動子及びその製造方法

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JPH0979860A
JPH0979860A JP7260886A JP26088695A JPH0979860A JP H0979860 A JPH0979860 A JP H0979860A JP 7260886 A JP7260886 A JP 7260886A JP 26088695 A JP26088695 A JP 26088695A JP H0979860 A JPH0979860 A JP H0979860A
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piezoelectric
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piezoelectric element
detecting
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JP7260886A
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English (en)
Inventor
Shinichiro Mihara
慎一郎 三原
Toshiro Higuchi
俊郎 樋口
Yutaka Yamagata
豊 山形
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Mitsubishi Cable Industries Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動子に恒弾性金属を用いる圧電振動ジャイ
ロの場合、この振動子の側面に板状の駆動用圧電素子や
検出用圧電素子を接着剤により接合しなければならない
ため、接着工程の作業性の悪化によって振動子1の小型
化が制限される。また、振動が接着剤層によって振動減
衰されるので、感度も低下する。 【解決手段】 振動子1の駆動面1eと検出面1fに水
熱合成法によって直接圧電性膜を形成し、これを駆動用
圧電素子2と検出用圧電素子3とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧電振動ジャイ
ロ等に用いられる圧電振動子及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】圧電振動ジャイロは、近年高感度で小型
かつ安価な製品が開発されるようになって来たので、自
動車用のナビゲーションシステムやビデオカメラの手振
れ防止装置等の一般民生用としても広く利用されてい
る。この圧電振動ジャイロは、圧電素子自体を振動子と
することができる。しかし、圧電素子は、振動の内部減
衰が大きく、振動の検出感度が低くなるという欠点があ
る。従って、この圧電振動ジャイロは振動の内部減衰が
小さく(即ち、先鋭度Qが大きい)、かつ弾性の温度係
数が小さい恒弾性金属を振動子に用いる場合が多い。な
お、この圧電振動ジャイロは、振動子の形状によっても
音片型と音叉型に分類され、振動モードによっても共振
型と非共振型に分類される。
【0003】上記恒弾性金属を振動子に用いた音片型で
共振型の圧電振動ジャイロの一般的なモデルを図6に示
す。ここでは、振動子1に四角柱形状の恒弾性金属を用
いている。そして、この振動子1の一方の側面(駆動面
1e)には駆動用圧電素子2が接合され、これに直交す
る他方の側面(検出面1f)には検出用圧電素子3が接
合されている。なお、これらの駆動用圧電素子2と検出
用圧電素子3は、それぞれ対向する側面に向かい合わせ
に1対ずつ接合してもよい。
【0004】上記圧電振動ジャイロは、駆動用圧電素子
2に交番電界を加えると、図7に模式的に示すように、
この駆動用圧電素子2がZ軸方向に伸縮して、振動子1
がX軸方向に振動する。このとき、図6に示すように、
振動子1にZ軸を中心とした角速度Ωの回転が生じる
と、X軸方向に振動する振動子1にY軸方向(X軸とZ
軸に直交する方向)のコリオリの力Fcが発生し、この
振動子1がY軸方向に歪む。そして、この振動子1の歪
みを検出用圧電素子3で電気信号に変換すれば、コリオ
リの力Fcの大きさを測定することができる。ここで、
振動子1の等価質量をmとし、X軸方向の振動速度をv
とすると、このコリオリの力FC は、 FC =2mvΩ によって表され、角速度Ωに比例した大きさとなる。従
って、圧電振動ジャイロは、検出用圧電素子3で測定し
たコリオリの力FC の大きさと既知の定数である等価質
量m及び振動速度vに基づき、振動子1に生じた回転の
角速度Ωを検出することができる。また、ここで検出し
た角速度Ωを微分すれば角加速度が算出でき、この角速
度Ωを積分すれば振動子1の角度(向き)が算出でき
る。
【0005】自動車用のナビゲーションシステムは、G
PS[Global Positioning System]衛星からの電波を受
信して自動車の現在の緯度や経度を算出することにより
測位を行う。しかし、大きなビルディングの陰やトンネ
ル内では、このGPS衛星の電波が受信できなくなる。
そこで、多くのナビゲーションシステムでは、上記圧電
振動ジャイロと車速センサを設けることにより、自動車
の向きと移動距離を算出してGPSによる測位結果を補
正するいわゆるハイブリット航法を採用している。
【0006】また、上記圧電振動ジャイロは、ビデオカ
メラの手振れの検出に用いることもできるので、この手
振れによるビデオ画面の揺れを補正するビデオカメラの
手振れ防止装置に利用することができる。さらに、工場
内で用いる無人搬送車の位置検出に利用することによ
り、この無人搬送車を案内するためのガイドラインを不
要にしたり、ロボットアームの位置検出等に利用するこ
ともできる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記圧電振
動ジャイロは、これを利用する装置全体のサイズを小さ
くするため以外にも、共振周波数を高くしてかつ応答性
を向上させるために、振動子1をできるだけ小型化する
ことが要請されている。特に共振型の圧電振動ジャイロ
の場合、共振周波数の先鋭度Qを高めることにより感度
は向上するが、逆にこの共振周波数が高くなると応答性
が低下するという欠点を生じるので、振動子1の小型化
による応答性の向上が強く要請されている。
【0008】しかしながら、振動子1に恒弾性金属を用
いる圧電振動ジャイロの場合、この振動子1の駆動面1
eや検出面1fにセラミックスの板である駆動用圧電素
子2や検出用圧電素子3を接着剤により接合しなければ
ならない。このため、従来の圧電振動ジャイロでは、振
動子1が小型になるほど接着工程の作業性が悪くなり、
圧電素子2,3を所定位置に正確に張り付けることが困
難になるので、この振動子1の小型化が制限されるとい
う問題があった。また、圧電素子2,3は、エポキシ樹
脂や紫外線硬化型接着剤等のポリマーの接着剤を用いて
振動子1の側面に接合されるので、駆動用圧電素子2の
振動を振動子1に伝える際や振動子1の歪みを検出用圧
電素子3に伝える際に、これらの変位が接着剤層によっ
て振動減衰されて感度が低下するという問題もあった。
【0009】この発明は、かかる事情に鑑みてなされた
ものであり、水熱合成法によって圧電素子を直接振動子
の表面に形成することにより、接着剤層による感度の低
下を防止すると共に、振動子の小型化を可能にする圧電
振動子及びその製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、上記課
題を解決するために、弾性金属からなる振動子の表面
に、水熱合成法によって成膜された圧電性膜からなる圧
電素子を備えたことを特徴とする。また、弾性金属か
らなる振動子の表面に、水熱合成法によって圧電性膜を
成膜することにより圧電素子を形成することを特徴とす
る。との手段によれば、板状の圧電素子を接着剤で
弾性金属の振動子に接合する必要がなくなるので、この
圧電素子の振動を振動子に伝える際や振動子の歪みを圧
電素子に伝える際に接着剤層による振動減衰をなくすこ
とができる。また、圧電素子を組み立て工程により接合
するのではなく、振動子の表面に直接圧電性膜を成膜す
るので、小型の振動子の複雑微小な形状の面にも容易に
圧電素子を形成することができるようになる。さらに、
この成膜工程では大量のバッチ処理が可能となる。しか
も、水熱合成法による成膜を行うので、膜厚が厚く振動
子に強固に付着する圧電性膜を得ることが可能となる。
【0011】さらに、前記の弾性金属が恒弾性金
属であることを特徴とする。の手段によれば、振動子
に恒弾性金属を用いるので、温度変化による影響を低減
させることができる。
【0012】さらに、前記〜の振動子が、一辺2
mmの正六面体よりも小さいサイズであることを特徴と
する。の手段によれば、圧電振動子が2mm角以下の
大きさとなるので、振動子を十分に小型化することがで
きる。
【0013】或いは、前記〜の振動子の表面が、
少なくともこの振動子における互いに平行ではない駆動
面と検出面であることを特徴とする。の手段によれ
ば、振動子の表面の互いにねじれの位置関係にある面を
駆動面と検出面として、少なくともこれら駆動面と検出
面に圧電素子を形成するので、駆動面での振動方向に直
交する方向の力成分を検出面で検出することができるよ
うになる。
【0014】或いはまた、前記の振動子が、表裏に
駆動面を有すると共に、この駆動面の幅よりも薄い板状
の駆動部と、この駆動部の長さ方向に隣接して繋がり、
表裏に駆動面と直交する検出面を有すると共に、この検
出面の幅よりも薄い板状の検出部とを備えたことを特徴
とする。の手段によれば、駆動面の圧電素子の歪みが
検出面の圧電素子に対し与える影響を少なくすることが
できるので、検出面の圧電素子に発生するノイズを低
減することができるようになる。
【0015】さらに、前記の圧電振動子を圧電振
動ジャイロとして用いることを特徴とする。の手段に
よれば、駆動面の圧電素子により振動子に振動を与える
と共に、この振動方向に直交する方向のコリオリの力を
検出面の圧電素子で検出することにより、圧電振動子を
圧電振動ジャイロとして用いることができるようにな
る。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面を参照して説明する。図1乃至図5はこの発明の
一実施形態を示すものであって、図1は圧電振動ジャイ
ロの全体斜視図、図2は振動子の全体斜視図、図3はオ
ートクレープの縦断面図、図4は高温オ−ブンの構造を
示す縦断面図、図5は水熱合成法による圧電性膜の成膜
方法を説明するためのフローチャートである。尚、図6
及び図7に示した圧電振動ジャイロと同様の機能を有す
る構成部材には同じ番号を付記する。
【0017】この実施形態では、図2に示すように、駆
動部1bと検出部1cを分離した振動子1を用いる音片
型で共振型の圧電振動ジャイロについて説明する。振動
子1は、弾性の温度係数が小さい恒弾性金属としてエリ
ンバ合金(Cr12%,Ni36%,Fe52%の合
金)が用いられ、これによって温度変化による共振周波
数の変動が抑制される。また、この振動子1は、一端側
から順に支持部1aと駆動部1bと検出部1cと重り部
1dとが形成されている。支持部1aは、円柱形状を成
す基部であり、この部分で振動子1を圧電振動ジャイロ
の台座等に固定するようになっている。駆動部1bは、
表裏面の幅よりも薄い方形の板状であり、一方の側面が
支持部1aの端面に繋がっている。また、検出部1c
は、駆動部1bに対して90°捻れた角度に配置された
表裏面の幅よりも薄い方形の板状であり、一方の側面が
駆動部1bの他方の側面に繋がっている。そして、駆動
部1bの表裏面がそれぞれ駆動面1eとなり、この駆動
面1eと直交する検出部1cの表裏面がそれぞれ検出面
1fとなる。重り部1dは、検出部1cの他方の側面に
繋がるほぼ正六面体状であり、振動子1の振動の際の重
りとなる。これら支持部1a〜重り部1dからなる振動
子1は、超精密加工によって全体の長さが2mm以下に
形成される。
【0018】上記振動子1の駆動面1eには、図1に示
すように、駆動用圧電素子2が形成され、検出面1fに
は、検出用圧電素子3が形成される。これらの圧電素子
2,3は、いずれも水熱合成法によって振動子1の表面
に直接成膜されたPZT(PbZrTiO3[lead zirco
nate titanate])の圧電性膜によって構成される。この
圧電性膜は、駆動面1eと検出面1f上にのみそれぞれ
分離してパターン形成してもよいし、振動子1の表面全
体に形成した圧電性膜の駆動面1e上の部分を駆動用圧
電素子2とし、検出面1f上の部分を検出用圧電素子3
として用いるようにしてもよい。圧電性膜が駆動面1e
と検出面1fに分離してパターン形成されている場合、
これらの圧電性膜がそのまま圧電素子2,3となる。図
1は、圧電素子2,3となる圧電性膜が駆動面1eと検
出面1fに分離してパターン形成されている場合を例示
する。また、圧電性膜を振動子1の表面全体に形成して
いる場合には、駆動面1e上の圧電性膜が駆動用圧電素
子2となり、検出面1f上の圧電性膜が検出用圧電素子
3となる。この振動子1は、全体の長さが2mm以下の
微小かつ複雑な形状であるが、水熱合成法を用いれば、
駆動面1eや検出面1f等の上に容易に圧電性膜を形成
することができる。
【0019】上記水熱合成法による圧電性膜の成膜方法
を説明する。水熱合成法によりPZTの薄膜を成膜する
ためには、Pb(鉛)とZr(ジルコニウム)とTi
(チタン)の各金属塩の水溶液を使用する。そして、本
実施形態では、表1に示す各金属塩を純水に溶解した水
溶液を使用する。
【0020】
【表1】
【0021】なお、TiCl4 については、加水分解に
よるTiO2 の生成を防ぐために、氷で冷却しながら蒸
留水を滴下して溶解を行うようにする。また、鉱化剤に
は濃度が8Nと4NのKOH(水酸化カリウム)の水溶
液を用いる。水熱合成法は、上記水溶液を所定の割り合
いで混合して振動子1を投入し加熱及び加圧を行うこと
により、この振動子1の表面にPZTの薄膜を形成する
成膜方法である。このため、本実施形態では、上記水溶
液と振動子1を図3に示すオートクレーブ11に密封し
て、図4に示す高温オ−ブン12で加熱することにより
水熱処理を行う。オートクレーブ11は、ステンレス製
の外管11a内にフッ素樹脂製の内管11bを嵌入させ
たものであり、フッ素樹脂製の内蓋11c、及びステン
レス製の外蓋11dによってこの内管11bの内部を密
封できるようにした圧力釜である。高温オ−ブン12
は、高温チャンバ−12aを所定温度に加熱すると共
に、外部のモータ12bによって回転駆動される保持具
12cをこの高温チャンバ−12a内に設けた加熱装置
である。従って、上記水溶液と振動子1を入れたオート
クレーブ11をこの高温オ−ブン12の保持具12cに
バインドにより装着して回転させれば、オートクレーブ
11内を加熱しさらに熱膨張により加圧すると共に、水
溶液や振動子1を攪拌してムラなく成膜を行うことがで
きる。なお、この際の保持具12cの回転速度は25回
/分程度とする。
【0022】ところで、水熱合成法により直接振動子1
の表面にPZTの薄膜(圧電性膜)を形成すると、この
圧電性膜が振動子1の恒弾性金属に付着する力が弱くな
り振動によって剥離を生じるおそれがある。そこで、本
実施形態では、図5に示すように、成膜工程を核生成プ
ロセスと結晶成長プロセスの2段階に分けている。即
ち、まずステップ(以下「S」という)1で、振動子1
の恒弾性金属の表面に電解メッキや溶着によってTi
(チタン)をコーティングする。次に、オートクレーブ
11の内管11b内にZrOCl2 水溶液とPb(NO
3 2 水溶液を2mlと7ml注入すると共に(S
2)、濃度が8NのKOH水溶液を12ml注入し(S
3)、Tiをコーティングした振動子1を投入して(S
4)、速やかに蓋11cを取り付け密封する。そして、
このオートクレーブ11を157°Cの温度に保持した
高温オ−ブン12の保持具12cに装着して回転させる
ことにより、8時間にわたり核生成プロセスの水熱処理
を行う(S5)。すると、振動子1の表面のTiと水溶
液中のZrイオン及びPbイオンとが反応して、PbZ
rO3 (PZ)、PbTiO3 (PT)、PZTを主と
する核が生成され、このPZの核が振動子1の表面に強
く付着する。
【0023】上記核生成プロセスの水熱処理が完了する
と、高温オ−ブン12から引き上げたオートクレーブ1
1よりただちに振動子1を取り出し、この振動子1を約
20分間超音波洗浄した後に乾燥する(S6)。そし
て、再度オートクレーブ11の内管11b内にTiCl
4 水溶液とZrOCl2 水溶液とPb(NO3 2 水溶
液を0.89mlと1.85mlと7.27ml注入す
ると共に(S7)、濃度が4NのKOH水溶液を12m
l注入し(S8)、核を形成した振動子1を投入して
(S9)、速やかに蓋11cを取り付け密封する。ま
た、このオートクレーブ11を120°Cの温度に保持
した高温オ−ブン12の保持具12cに装着して回転さ
せることにより、48時間にわたり結晶成長プロセスの
水熱処理を行う(S10)。すると、振動子1の表面に
生成された核に水溶液中のTiとZrとPbが析出しP
bZrTiO3 (PZT)の結晶が成長して、20〜3
0μm程度の膜厚の圧電性膜が形成される。しかも、こ
のPZTの圧電性膜は、前段階での核上に成長するので
振動子1の表面に強く付着する。また、圧電素子2,3
として用いる圧電性膜は、このように20〜30μm程
度の厚い膜厚が必要となるが、スパッタリングや蒸着等
の他の薄膜形成法ではこのような厚い膜厚を形成するの
が困難であるのに対して、水熱合成法を用いれば容易に
十分な膜厚を得ることができる。
【0024】上記水熱合成法により振動子1の表面全体
に圧電性薄膜が形成されると、この振動子1の駆動面1
eと検出面1f上にそれぞれ電極4が形成される。電極
4は、Au(金)、Al(アルミニウム)又はNi(ニ
ッケル)等が用いられる。ところで、電極4は、互いに
直交する駆動面1eと検出面1fに形成する必要があ
り、この電極4の図示しないリード部も振動子1の他の
表面に形成する必要があるので、2次元的なパターン形
成を行う通常のフォトエッチング技術を用いることは困
難である。そこで、このような場合の電極4のパターン
形成法としては、エキシマレーザ(紫外線レーザ)を用
いる方法が考えられる。これは、まず圧電性薄膜を覆う
ように振動子1の表面全体にレジスト膜を塗布し、次に
電極4やリード部の形成部分のレジスト膜をエキシマレ
ーザの照射によるアブレーションによって蒸散させてか
ら蒸着によりAu等の電極膜を形成し、残ったレジスト
膜を除去することにより所定パターンの電極4を形成す
る方法である。振動子1は、全体の長さが2mm以下の
微小かつ複雑な3次元形状であるが、このようなレーザ
を用いたパターン形成を行えば、電極4を正確に所定位
置に形成することができる。
【0025】また、上記エキシマレーザは装置が高価で
あるため、YAGレーザ(赤外線レーザ)を用いること
もできる。ただし、通常のレジスト膜は赤外線をほとん
ど吸収しないので、予めレジスト膜に緑色等の色素を混
合して赤外線を吸収させるようにする必要がある。この
方法では、まず圧電性薄膜を覆うように振動子1の表面
全体にAu等の電極膜を蒸着し、さらにその上にレジス
ト膜を塗布する。次に、電極4やリード部を形成しない
部分にYAGレーザを照射して、レジスト膜だけでなく
電極膜と圧電性膜まで蒸散させる。そして、残ったレジ
スト膜を除去すれば、所定パターンの電極4を形成する
ことができる。従って、この方法によれば、図1に示す
ように、電極4のみならず圧電性膜も振動子1の駆動面
1eと検出面1fにのみパターン形成されて、これらが
それぞれ駆動用圧電素子2と検出用圧電素子3を構成す
ることになる。なお、この場合のレジスト膜は、圧電性
膜のエッジ部分で圧電性膜(PZT)等がメタライズさ
れて短絡が発生するのを防止するために塗布される。
【0026】上記構成の圧電振動ジャイロは、駆動面1
e側の電極4と振動子1との間に交流電圧を印加して駆
動用圧電素子2に交番電界を加えると、この振動子1の
重り部1dがX軸方向に振動する。ただし、この際、駆
動用圧電素子2の振動により駆動部1bには歪みは生じ
るが、隣接する検出部1cにはこの歪みはごくわずかし
か生じないので、検出用圧電素子3に不要なノイズは殆
ど現れない。ここで、振動子1にZ軸を中心とした角速
度Ωの回転が生じると、重り部1dにY軸方向のコリオ
リの力が発生し、検出部1cがY軸方向に歪む。そし
て、この歪みが検出用圧電素子3に伝わると、検出部1
c側の電極4と振動子1との間にコリオリの力に比例し
た電位差が発生する。従って、この電位差によりコリオ
リの力の大きさを測定すれば、振動子1に加わった角速
度Ωを検出することができる。
【0027】以上説明したように、本実施形態の圧電振
動ジャイロによれば、圧電性膜によって構成される圧電
素子2,3が振動子1の駆動面1eと検出面1fに直接
形成されるので、接着剤層の振動減衰による感度の低下
を防止することができる。また、水熱合成法によって圧
電性膜が形成されるので、小型の振動子1の複雑微小な
形状の駆動面1eや検出面1fにも容易に圧電素子2,
3を形成することができ、圧電性膜の膜厚も十分に厚く
することができる。さらに、水熱合成法による成膜工程
では、大量のバッチ処理が可能となり、この成膜工程を
2段階に分けることにより、圧電性膜を振動子1の表面
に強固に付着させることができる。しかも、本実施形態
では、駆動部1bと検出部1cを分離した形状の振動子
1を用いるので、駆動用圧電素子2の振動による駆動部
1b自体の歪みが直接検出部1cにはあまり影響せず、
検出用圧電素子3に不要なノイズが発生してS/N比が
低下するのを防止することができる。
【0028】なお、この発明の実施の形態では、振動子
1としてエリンバ合金を用いたが、他の恒弾性金属を用
いてもよく、恒弾性金属以外の弾性金属、弾性材を用い
ることも可能である。また、本実施形態では、圧電素子
2,3を構成する圧電性膜としてPZTを用いたが、圧
電性を有する圧電性膜であれば他の組成のものであって
もよい。
【0029】さらに、この実施の形態では、音片型の振
動子1を図2に示すような複雑な形状としたが、図6に
示したような四角柱形状やその他三角柱形状や円柱又は
円筒形状等の任意の形状とすることもできる。また、本
発明は、音片型に限らず、振動子1を弾性金属で形成す
る音叉型にも実施することが可能であり、共振型と非共
振型のいずれであってもよい。
【0030】或いはまた、この実施の形態では、圧電振
動ジャイロに用いる圧電振動子について説明したが、他
の用途に用いる圧電振動子であっても同様に実施可能で
あり、駆動用圧電素子2のみを形成した圧電振動子でも
同様である。
【0031】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の圧電振動子及びその製造方法によれば、圧電素子と振
動子との間の接着剤層による振動減衰を回避することが
できるので、圧電素子の振動が効率良く振動子に伝わ
り、この振動子の歪みを圧電素子で検出する場合にも高
感度で検出することができるようになる。また、小型の
振動子の複雑微小な形状の面にも容易に圧電素子を形成
することができるので、振動子の小型化を可能とし応答
性を向上させるだけでなく、圧電振動ジャイロとして用
いる場合に、駆動面の圧電素子の歪みが検出面の圧電素
子に直接影響を与えないような形状にして、検出時のS
/N比を高めることができるようになる。
【0032】さらに、圧電性膜の成膜工程では大量のバ
ッチ処理が可能となるので、組み立て工程に比べ、品質
を容易に均一化することができる。しかも、水熱合成法
によりこの成膜を行うので、他の薄膜形成法に比べて、
膜厚の厚い圧電性膜を形成することが容易になり圧電素
子としての十分な性能を発揮できるだけでなく、この圧
電性膜の振動子に対する付着力を高めて圧電素子の剥離
等のおそれをなくすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態を示すものであって、圧
電振動ジャイロの全体斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態を示すものであって、振
動子の全体斜視図である。
【図3】この発明の一実施形態を示すものであって、オ
ートクレーブの縦断面図である。
【図4】この発明の一実施形態を示すものであって、高
温オ−ブンの構造を示す縦断面図である。
【図5】この発明の一実施形態を示すものであって、水
熱合成法による圧電性膜の成膜方法を説明するためのフ
ローチャートである。
【図6】恒弾性金属を振動子に用いた音片型の圧電振動
ジャイロの一般的なモデルを示す全体斜視図である。
【図7】図6の圧電振動ジャイロの振動の様子を模式的
に示す斜視図である。
【符号の説明】
1 振動子 1e 駆動面 1f 検出面 2 駆動用圧電素子 3 検出用圧電素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三原 慎一郎 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 樋口 俊郎 神奈川県横浜市都筑区荏田東3丁目4番26 号 (72)発明者 山形 豊 神奈川県横浜市青葉区美しが丘西3丁目11 番3号ウエストビレッヂ203号

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性金属からなる振動子の表面に、水熱
    合成法によって成膜された圧電性膜からなる圧電素子を
    備えたことを特徴とする圧電振動子。
  2. 【請求項2】 弾性金属からなる振動子の表面に、水熱
    合成法によって圧電性膜を成膜することにより圧電素子
    を形成することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記弾性金属が恒弾性金属であることを
    特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧電振動子及
    びその製造方法。
  4. 【請求項4】 前記振動子が、一辺2mmの正六面体よ
    りも小さいサイズであることを特徴とする請求項1乃至
    請求項3のいずれかに記載の圧電振動子及びその製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記振動子の表面が、少なくともこの振
    動子における互いに平行ではない駆動面と検出面である
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記
    載の圧電振動子及びその製造方法。
  6. 【請求項6】 前記振動子が、表裏に駆動面を有すると
    共に、この駆動面の幅よりも薄い板状の駆動部と、この
    駆動部の長さ方向に隣接して繋がり、表裏に駆動面と直
    交する検出面を有すると共に、この検出面の幅よりも薄
    い板状の検出部とを備えたことを特徴とする請求項5に
    記載の圧電振動子及びその製造方法。
  7. 【請求項7】 前記圧電振動子を圧電振動ジャイロとし
    て用いることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載
    の圧電振動子及びその製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999019688A1 (fr) * 1997-10-09 1999-04-22 Kabushiki Kaisha Tokai Rika Denki Seisakusho Gyroscope oscillant pourvu d'une couche mince au titanate zirconate de plomb (pzt)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999019688A1 (fr) * 1997-10-09 1999-04-22 Kabushiki Kaisha Tokai Rika Denki Seisakusho Gyroscope oscillant pourvu d'une couche mince au titanate zirconate de plomb (pzt)
US6378368B1 (en) 1997-10-09 2002-04-30 Kabushiki Kaisha Tokai Rika Denki Seisakusho Oscillation gyro equipped with thin PZT film

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