JPH0972779A - 音声波形のピッチ検出装置 - Google Patents

音声波形のピッチ検出装置

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JPH0972779A
JPH0972779A JP7226896A JP22689695A JPH0972779A JP H0972779 A JPH0972779 A JP H0972779A JP 7226896 A JP7226896 A JP 7226896A JP 22689695 A JP22689695 A JP 22689695A JP H0972779 A JPH0972779 A JP H0972779A
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JP
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pitch
orthogonal function
waveform
function component
components
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JP7226896A
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English (en)
Inventor
Takahiko Terada
隆彦 寺田
Hiroaki Fukuda
拓章 福田
Mikio Higashiyama
三樹夫 東山
Takayoshi Hirata
能睦 平田
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Pioneer Corp
Original Assignee
Pioneer Electronic Corp
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Publication date
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    • GPHYSICS
    • G10MUSICAL INSTRUMENTS; ACOUSTICS
    • G10GREPRESENTATION OF MUSIC; RECORDING MUSIC IN NOTATION FORM; ACCESSORIES FOR MUSIC OR MUSICAL INSTRUMENTS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR, e.g. SUPPORTS
    • G10G7/00Other auxiliary devices or accessories, e.g. conductors' batons or separate holders for resin or strings
    • G10G7/02Tuning forks or like devices

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Acoustics & Sound (AREA)
  • Multimedia (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 音声認識、音声合成、自動採譜、カラオケ採
点、機械診断等に用いられるピッチ検出装置において、
検出精度を上げると共に演算処理及び装置を単純化す
る。 【解決手段】 音声波形のピッチ検出装置は、音声波形
を入力として、その基本波のピッチを検出する。ピッチ
検出装置は、音声波形を形成する周期毎の直交関数成分
のうち音声波形に対するエネルギの寄与度が高いものか
ら順に複数個抜き取って出力する直交関数成分出力手段
と、出力された複数個の直交関数成分が夫々有する周期
の相対的な関係に基づいて、出力された複数個の直交関
数成分のうちの一つをピッチとして抽出するピッチ抽出
手段とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンピュータを用
いた音声認識、音声合成、自動採譜、カラオケ採点、機
械診断等における音声波の周波数分析の技術分野に属
し、特に、音声波の基本波のピッチを検出するピッチ検
出装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】音波や振動波に対する周波数分析の実用
的な方法としては、FFT(高速フーリエ変換)を利用
したものが知られている。しかしながら、このFFTを
用いた方法では、観測区間(時間)Lに対応する波形の
高調波についてのスペクトル分析結果しか正確には得ら
れないため、比較的細かい周波数分布を有する音声波の
基本波のピッチ(周期)を抽出するためには、周波数に
ついての分解能や精度が十分ではない。
【0003】そこで従来は、音声波のピッチを検出する
技術としては、例えば、音声波をピッチフィルタを用い
てフィルタリングし、得られた信号のゼロクロスタイミ
ング(振幅0レベルをクロスするタイミング)を検出し
て、ピッチを特定するものが知られている。このピッチ
フィルタの中心周波数としては、所定幅の窓関数で区切
られるフレーム周期毎に推定された平均ピッチが用いら
れる。
【0004】このように、従来の技術によれば、ピッチ
フィルタの中心周波数の推定を適格に行うことを条件と
して、音声波のピッチ検出を比較的精度良く行うことが
できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、音声認識、音
声合成、自動採譜、カラオケ採点、機械診断等に用いら
れるピッチ検出装置においては、検出精度を上げると共
に演算処理及び装置を単純化する要請は強い。
【0006】しかしながら、上述した従来の方法によれ
ば、ピッチ検出精度は、ピッチフィルタの中心周波数の
推定の確からしさに依存するため、正しい推定をするた
めには、例えばケプストラム法などの複雑な処理が必要
となる。この結果、ピッチ検出装置における演算処理及
び装置の複雑化を招いていた。
【0007】そこで、本発明は、検出精度が高いと共に
演算処理及び装置が比較的単純であるピッチ検出装置を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第1発明の音声波形のピッチ検出装置は、音声波形
を入力として該音声波形の基本波のピッチを検出するピ
ッチ検出装置であって、音声波形を形成する周期毎の直
交関数成分のうち音声波形に対するエネルギの寄与度が
高いものから順に複数個抜き取って出力する直交関数成
分出力手段と、該出力された複数個の直交関数成分が夫
々有する周期の相対的な関係に基づいて、出力された複
数個の直交関数成分のうちの一つをピッチとして抽出す
るピッチ抽出手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】第2発明の音声波形のピッチ検出装置は、
第1発明の音声波形のピッチ検出装置において、直交関
数成分出力手段は、抜き取った直交関数成分を再合成し
て得られる合成信号のエネルギの音声波形のエネルギに
対する割合が所定値を越えた時に抜き取り及び出力を停
止することを特徴とする。
【0010】第3発明の音声波形のピッチ検出装置は、
第2発明の音声波形のピッチ検出装置において、直交関
数成分出力手段は、エネルギに対する割合が所定値を越
える前に、予め設定した個数の抜き取り及び出力を行っ
た場合には、当該抜き取り及び出力を停止することを特
徴とする。
【0011】第4発明の音声波形のピッチ検出装置は、
第1から第3発明の音声波形のピッチ検出装置におい
て、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数成
分のうち最も長い周期を有するものをピッチとして抽出
することを特徴とする。
【0012】第5発明の音声波形のピッチ検出装置は、
第1から第3発明の音声波形のピッチ検出装置におい
て、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数成
分のうち奇数次の倍音の関係にあるものを弁別し、該弁
別した直交関数成分のうち最も長い周期を有する直交関
数成分をピッチとして抽出することを特徴とする。
【0013】第6発明の音声波形のピッチ検出装置は、
第1から第3発明の音声波形のピッチ検出装置におい
て、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数成
分のうち周期が整数比の関係にある組み合わせを弁別
し、該弁別した組み合わせのうち最も多くの整数比の関
係を持つ組み合わせを選定し、該選定した組み合わせに
含まれる全ての直交関数成分の周期の整数倍となる周期
を持つ直交関数成分をピッチとして推定することを特徴
とする。
【0014】第7発明の音声波形のピッチ検出装置は、
第1から第6発明の音声波形のピッチ検出装置におい
て、直交関数成分出力手段は、音声波形に対するエネル
ギの寄与度が最も高い直交関数成分を第1の直交関数成
分として出力すると共に該第1の直交関数成分を音声波
形から抜き取った第1の残波形を求め、続いて、該第1
の残波形を形成する周期毎の直交関数成分のうち該第1
の残波形に対するエネルギの寄与度が最も高い直交関数
成分を第2の直交関数成分として出力すると共に該第2
の直交関数成分を第1の残波形から抜き取った第2の残
波形を求め、以下同様に、第n(n:2以上の自然数)
の残波形を形成する周期毎の直交関数成分のうち該第n
の残波形に対するエネルギの寄与度が最も高い直交関数
成分を第n+1の直交関数成分として出力すると共に該
第n+1の直交関数成分を第nの残波形から抜き取った
第n+1の残波形を求めることを特徴とする。
【0015】
【作用】第1発明によれば、音声波形が入力されると、
直交関数成分出力手段は、音声波形を形成する周期毎の
直交関数成分のうち音声波形に対するエネルギの寄与度
が高いものから順に複数個抜き取って出力する。従っ
て、直交関数成分出力手段が、ピッチを検出すべき音声
波形の性質に応じて適当な個数の直交関数成分を抜き取
るようにすれば、基本波や基本波のハーモニクス(高調
波)が出力されることになる。かかる基本波及びそのハ
ーモニクスは、一定(即ち、整数倍)の関係をもってお
り、且つ一つの基本波のハーモニクス同志も、一定(整
数比)の関係をもっているので、ピッチ抽出手段は、出
力された複数個の直交関数成分が夫々有する周期の相対
的な関係に基づいて、出力された複数個の直交関数成分
のうちの一つをピッチとして抽出できることになる。
【0016】第2発明によれば、第1発明において、直
交関数成分出力手段は、抜き取った直交関数成分を再合
成して得られる合成信号のエネルギの音声波形のエネル
ギに対する割合が、例えば99%といったように予め定
めた所定値を越えた時に抜き取り及び出力を停止する。
この結果、ピッチ抽出手段によりピッチを検出するため
に適当な個数の基本波とそのハーモニクスとを自動的に
出力できることになり、不必要なまでに直交関数成分出
力手段による抜き取りを行わなくて済む。
【0017】第3発明によれば、第2発明において、直
交関数成分出力手段は、音声波形のエネルギに対する割
合が所定値を越える前に、例えば10個といったように
予め設定した個数の抜き取り及び出力を行った場合に
は、当該抜き取り及び出力を停止する。従って、第3発
明において、音声波形の性質などにより直交関数成分の
取り出しをいくら行っても、例えば99%といった所定
値を越えない場合に、直交関数成分出力手段による抜き
取りを不必要なまでに続けなくて済む。
【0018】第4発明によれば、第1から第3発明にお
いて、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数
成分のうち最も長い周期を有するものをピッチとして抽
出する。ここで、直交関数成分出力手段により読み出さ
れた成分中に通常含まれている基本波とそのハーモニク
スとの周期については、基本波の周期がハーモニクスの
周期の整数倍となるという関係を有しているので、多く
の場合、最も長い周期を有するものとして基本波の成分
をピッチとして抽出できることになる。
【0019】第5発明によれば、第1から第3発明にお
いて、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数
成分のうち奇数次の倍音の関係にあるものを弁別し、該
弁別した直交関数成分のうち最も長い周期を有する直交
関数成分をピッチとして抽出する。ここで、直交関数成
分出力手段により読み出された成分中に通常含まれてい
る基本波とそのハーモニクスとの周期については、基本
波の周期がハーモニクスの周期の整数倍となるという関
係を有している。更に、直交関数成分出力手段により読
み出された成分中に含まれていることがある基本波のサ
ブハーモニクス(基本波の倍の周期を持つ音波成分)の
ハーモニクスのエネルギは、基本波のハーモニクスのエ
ネルギと比べて大変小さいため、直交関数成分出力手段
により適当な個数だけ読み出された成分中にはサブハー
モニクスのハーモニクスは殆ど又は全く含まれていな
い。従って、たとえ基本波の周期よりも長い周期を持つ
サブハーモニクスが直交関数成分出力手段により読み出
された場合であっても、読み出された成分のうち奇数次
の倍音の関係にあるのは基本波とそのハーモニクスに他
ならないので、かかる奇数次の倍音の関係にあるものの
うち最も長い周期を持つものとして基本波の成分をピッ
チとして抽出できることになる。
【0020】第6発明によれば、第1から第3発明にお
いて、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数
成分のうち周期が整数比の関係にある組み合わせを弁別
し、該弁別した組み合わせのうち最も多くの整数比の関
係を持つ組み合わせを選定する。ここで、音波検出時の
帯域制限等との関係から、直交関数成分出力手段により
読み出された成分中に基本波やその2倍音等が存在して
いない場合であっても、読み出されたハーモニクスの周
期については、基本波の周期の整数倍となり、よって読
み出されたハーモニクス相互間には互いに整数比の関係
が存在する。更に、直交関数成分出力手段により読み出
された成分中に含まれていることがある基本波のサブハ
ーモニクスのハーモニクスのエネルギは、基本波のハー
モニクスのエネルギと比べて大変小さいため、直交関数
成分出力手段により適当な個数だけ読み出されるサブハ
ーモニクスのハーモニクスの個数は、基本波のハーモニ
クスの数よりも少ない。従って、たとえ基本波や2倍音
等が読み出されない場合であっても、基本波のハーモニ
クスの集合(組み合わせ)は、周期が整数比の関係にあ
る組み合わせを弁別し、該弁別した組み合わせのうち最
も多くの整数比の関係を持つものとして選定することが
できる。よって、該選定した組み合わせに含まれる全て
の直交関数成分(即ち、基本波のハーモニクス)の周期
の整数倍となる周期を持つ直交関数成分を基本波のピッ
チとして推定することができる。このように、直交関数
成分出力手段により取り出された成分に存在しない基本
波の成分がピッチとして抽出できることになる。
【0021】第7発明によれば、第1から第6発明にお
いて直交関数成分出力手段は、先ず、音声波形に対する
エネルギの寄与度が最も高い直交関数成分を第1の直交
関数成分として出力すると共に該第1の直交関数成分を
音声波形から抜き取った第1の残波形を求める。続い
て、該第1の残波形を形成する周期毎の直交関数成分の
うち該第1の残波形に対するエネルギの寄与度が最も高
い直交関数成分を第2の直交関数成分として出力すると
共に該第2の直交関数成分を第1の残波形から抜き取っ
た第2の残波形を求める。以下同様に、第n(n=2,
3,4,...)の残波形を形成する周期毎の直交関数
成分のうち該第nの残波形に対するエネルギの寄与度が
最も高い直交関数成分を第n+1の直交関数成分として
出力すると共に該第n+1の直交関数成分を第nの残波
形から抜き取った第n+1の残波形を求める。よって、
直交関数成分出力手段は、極めて効率良く、音声波形を
形成する周期毎の直交関数成分のうち音声波形に対する
エネルギの寄与度が高いものから順に抜き取って出力す
ることができる。
【0022】
【実施例】次に図面を参照して本発明の好適な実施例を
説明する。 (1)第1実施例 図1に、本発明の第1実施例であるピッチ検出装置を示
す。
【0023】図1において、ピッチ検出装置1は、電気
音響変換機2、f(周波数)スペクトル解析部3、ピッ
チ抽出部4及び記憶部5を備えて構成されている。ピッ
チ検出装置1は、音声波のピッチを検出する装置とし
て、音声認識装置、音声合成装置、自動採譜装置、カラ
オケ採点装置、機械診断装置等に好適に組み込まれるも
のである。電気音響変換機2は、入力された音声波を電
気信号に変換する装置であり、例えばマイクロフォンを
備えて構成されている。
【0024】fスペクトル解析部3は、直交関数成分出
力手段の一例を構成しており、電気音響変換機2からの
信号で表された音声波形に対し、GHA(一般調和解
析)によるfスペクトル解析を行うように構成されてい
る。ここで、このfスペクトル解析部3の動作について
具体的に説明する。
【0025】fスペクトル解析部3は、以下の(I)〜
(III)の動作を行う。即ち: (I)先ず、所定の時間幅を持つ観測区間Lにおいて観
測された連続信号x0 (t)からフーリエ係数S(f)
を、次の式「数1」を用いて夫々計算する。
【0026】
【数1】 但し、それぞれの周波数成分の周期をT、周波数をf
(s)として、T=1/f(s)、nT≦L、n:整
数、nT:整数であり、nは周期が観測区間Lの中に何
個入いっているかを示す数値である。なお、かかる所定
の観測区間Lの幅としては、音声波のピッチを抽出する
ためには、例えば10〜20msといった値が実用上適
度な幅であることが経験的に分かっている。従って音声
波のピッチ抽出用には、例えば、48,000Hzのサ
ンプリング周波数の下、Lは例えば512サンプルから
なる。
【0027】より具体的には、図2に示す様に、例えば
Lが512サンプルの長さを持つとすれば、n=1に対
して、T=512(=L)、511(=L−1×1),
510(=L−1×2),...,258(=L/2+
1×2),257(=L/2+1×1)の256個のT
夫々について、フーリエ係数を計算する。n=2に対し
て、T=256(=L/2),255.5(=L/2−
0.5×1),255(=L/2−0.5×
2),...,129(=L/4+0.5×2),12
8.5(=L/4+0.5×1)の256個のT夫々に
ついて、フ−リエ係数を計算する。以下同様にサンプル
数512に対して取り得るn及びTについて、フ−リエ
級数を計算する。
【0028】このように、本実施例によれば、GHAに
より、基本周波数に対し十分に細かい周波数についてフ
−リエ解析結果が得られる。これは、前述のFFT(高
速フ−リエ変換)が基本周波数の1,2,3,
4,...,256(L/2)倍という粗い周波数につ
いての解析結果しか得られないことと比べて、本願発明
が目的とするピッチ抽出の精度を高めるためには大変有
効である。(II)次に、計算された係数から区間Lに
おける、次の式「数2」で示した残差ε(t、f)の、
次の式「数3」で示したエネルギE(f)を最小とする
周波数f1 を、この時の係数S(f1 )とC(f1 )と
共に求める。
【0029】
【数2】
【0030】
【数3】 (III)次に、原信号x0 (t)から、上記(II)
で求めたエネルギを最小とする周波数f1 の周波数成分
を取り除いた残成分である、次の式「数4」で示した信
号x1 (t)を新たに原信号と見なして、上記(I)か
ら(III)に示した計算を繰り返す。
【0031】
【数4】 以上のように、fスペクトル解析部3は、電気音響変換
機2からの信号で表された音声波形に対し、GHAによ
るfスペクトル解析を行う。
【0032】再び図1に戻って、ピッチ抽出部4は、以
上のようにしてfスペクトル解析部3が得たN(N:自
然数)本の周波数成分の中から、図3のフローチャート
を用いて後で説明するように、ピッチ抽出手段の一例と
してピッチを抽出するように構成されている。
【0033】記憶部5は、ICメモリ、磁気ディスク、
光ディスク等から構成されており、以上のようにピッチ
抽出部4により観測区間毎に抽出されたピッチを記憶す
る。この区間毎に抽出されたピッチを全区間でつなぐこ
とにより、時間的な変化が記述できる。
【0034】また、必要に応じて抽出したピッチを正弦
波として図示しないスピーカから出力する様にしても良
い。ここで、図3のフローチャートを用いて、第1実施
例におけるピッチ抽出動作について説明する。
【0035】図3において、fスペクトル解析部3から
GHAによる読み出しを行う(ステップS1)。次に、
振幅の大きい順にk個の成分を取り出す(ステップS
2)。kの値は、対象とする音声波の特質に基づいて経
験的に定められる適当な値として予め設定されている。
取り出されたk個の成分のうち最も周期の長いものをピ
ッチとする(ステップS3)。ここで、基本波とそのハ
ーモニクス(高調波)との基本的な性質により、GHA
により読み出した複数の成分のうちで最も周期の長い周
波数成分が音声波の基本波に対応する場合が多い。本実
施例のピッチ抽出は、このような基本波とそのハーモニ
クスとの基本的な性質に基づくものである。
【0036】ここで、第1の実施例により、男性ボーカ
ルの音声信号に対しピッチ抽出を行った例を示す。この
例では、サンプリング周波数は、48,000Hzであ
り、GHAにおける分析長は1024点(21.3m
s)である。GHAにより抽出された正弦波を図4の表
1に示す。表1中、左列の成分番号“n/6”は、取り
出された6個の成分の中でn番目にパワーが大きい成分
であることを示している。この例では、GHAにより分
析された結果から、パワーの大きい順にユーザーが予め
決定した本数である6個だけ取り出している。このGH
Aにより得られた分析結果から、ピッチを抽出すると、
図中矢印で示した周波数の低い(即ち、周期の長い)正
弦波である“成分番号1/6”の成分(212Hz付近
の信号成分)がピッチとして抽出される。このように、
第1実施例によれば基音のピッチが正しく検出されてい
る。 (2)第2実施例 第2実施例の構成は、図1に示した第1実施例の構成と
ほぼ同様であるが、ピッチ抽出部4は、以下のようにピ
ッチ抽出動作を行うように構成されている点が異なる。
【0037】ここで、図5のフローチャートを用いて、
第2実施例におけるピッチ抽出部のピッチ抽出動作につ
いて説明する。なお、図3のフローチャートと同じステ
ップについては同じ参照符号を付す。
【0038】図5において、fスペクトル解析部からG
HA結果を読み出すステップであるステップS20は、
以下のように行われる。即ち、第1実施例においては一
定個数(k個)の成分を取り出していたが(図3のステ
ップS2)、第2実施例においては、単純に一定個数の
成分を取り出すのではなく、入力信号のエネルギに対し
て、取り出した成分のエネルギの合計が、例えば99%
といった所定割合に達するまで、取り出しを行う。但
し、幾ら読み込んでも所定パーセントに達しないという
不都合を回避するために、所定の回数を行っても所定パ
ーセントに達しない場合には、その時点で取り出しを中
止するものとしてある(ステップS20)。なお、リア
ルタイムで、GHAとピッチ抽出を行う場合には、上記
所定割合に達するまで、GHAを繰り返せば不必要にG
HAを行う必要がなくなり有利である。
【0039】具体的には、かかるステップS20におい
ては先ず、処理の対象とする、ある時間区間内で、離散
時間波形のエネルギ和Eoを求める(ステップS2
1)。初期設定として、取り出した成分の個数をカウン
トするカウント値iを“0”にする(ステップS2
2)。次に、予め対象とする音声波の性質に応じて設定
した最大で何個まで成分を取り出すかを示す基準個数i
sと、カウント値iとの大小を比較する(ステップS2
3)。ここで、i>isでなければ(NO)、GHAに
より得られた1番目からi番目までの正弦波の和のエネ
ルギEiを求める(ステップS24)。更に、入力信号
のエネルギに対し取り出した成分のエネルギの合計が何
割に達するまで成分の取り出しを行うかを示す予め設定
され基準割合Esと、求めたエネルギの比Ei/Eoと
の大小を比較する(ステップS25)。ここで、Ei/
Eo>Esでなければ(NO)、カウント値iを1つイ
ンクリメントして(ステップS26)、上述のステップ
S23へ戻る。ステップS23で、i>isであれば
(YES)、ステップS27に分岐して、現在のカウン
ト値iを、成分の取り出し回数Nとする(ステップS2
7)。ステップS25で、Ei/Eo>Esであれば
(YES)、同様にステップS27に分岐して、現在の
カウント値iを、成分の取り出し回数Nとする(ステッ
プS27)。次に、ステップS28では、周期Tの長い
順に、GHAにより得られた正弦波に番号を付ける。具
体的には、夫々T1 ,T2 ,...,TN とする(ステ
ップS28)。
【0040】以上のようにして、全体としてステップS
20で示したGHA結果の読み出し動作を終了する。続
いて、ステップS3に進み、第1実施例の場合と同様
に、取り出された成分のうち最も周期の長いものをピッ
チとして判断し、処理を終了する(ステップS3)。
【0041】第2実施例によれば、GHA結果の読み出
しを行うに際し、適当な回数までは、所定パーセントに
達するまで読み出しを行い、この適当な回数に達しても
所定パーセントに達しない場合には、その時点で読み出
しを止めるようにしたので、ピッチ抽出の精度を常に高
く維持することができると共に不必要なまでに処理を行
うという実用上の不都合を回避できる。 (3)第3実施例 第3実施例の構成は、図1に示した第1実施例の構成と
ほぼ同様であるが、ピッチ抽出部4は、以下のようにピ
ッチ抽出動作を行うように構成されている点が異なる。
【0042】ここで、図6のフローチャートを用いて、
第3実施例におけるピッチ抽出部のピッチ抽出動作につ
いて説明する。なお、図3及び図5のフローチャートと
同じステップについては同じ参照符号を付す。
【0043】図6において、ステップS20までは、図
5に示した第2実施例と同じ動作を行う。なお、このス
テップS20を、図3に示したステップS1及びS2で
置き換えても、以下の説明から明らかなように第3実施
例は有効に機能する。
【0044】ここで、第1及び2実施例においては取り
出された成分のうち最も周期の長いものをピッチとして
判断していたが(図3及び図5のステップS3)、第3
実施例においては、単純に周期が最も長いものをピッチ
とするのではなく、ステップS31以下で、ハーモニク
スの関係にある成分を先ず判断し、その並びの性質から
基本波を見付け出すことを特徴としている。
【0045】具体的には、図6において、先ず初期設定
として、ハーモニクスの関係を順次判断するための第1
のカウンタのカウント値jを1にする(ステップS3
1)。次に、カウント値jとステップS20で得られた
Nの値の大小を比較する(ステップS32)。ここで、
j≧Nでなければ(NO)、ハーモニクスの関係を順次
判断するための第2のカウンタのカウント値kをj+1
とし(ステップS33)、k>Nであるか否かを判断す
る(ステップS34)。ここで、k>Nであれば(YE
S)、jを1つインクリメントして(ステップS3
5)、ステップS32に戻る。また、ステップS34
で、k>Nでなければ(NO)、Tj/Tkに最も近い
整数をIjkとして求める(ステップS36)。なお、
Tj(Tk)とは、ステップS28で並べられた周期の
並びの中でj(k)番目の周期を表す。続いて、“Ij
k−Tj/Tk”の絶対値が所定の微小数εよりも小さ
いか否かを判断する(ステップS37)。ここで、小さ
くなければ(NO)、kを1つインクリメントした後
(ステップS38)、ステップS34に戻り、小さけれ
ば(YES)、更にIjkは奇数であるか否かを判断す
る(ステップS39)。ここで、Ijkが奇数でなけれ
ば(NO)、kを1つインクリメントした後(ステップ
S38)、ステップS34に戻る。一方、Ijkが奇数
であれば(YES)、ピッチはTjであると判断して
(ステップS40)、処理を終了する。また、ステップ
S32で、j≧Nであれば(YES)、観測の誤差や条
件により、ピッチを見付けることは出来なかったとして
(ステップS41)、処理を終了する。なお、このステ
ップS41では、ピッチが発見できなかった旨の表示又
は出力をするのがピッチの検出精度をユーザに伝える見
地からは好ましい。更に、かかる表示や出力に代えて又
は加えて、最も長周期のT1 をピッチとして定めても良
い。
【0046】図7の表2に、サンプリング周波数fs=
48,000Hzとし且つN=5とした場合の、GHA
により読み出された成分夫々の周期T1 〜T5 の値を、
周期の長い順に並べた例を具体的に示す。表2には、各
周期に対するf1 〜f5 の値も示してあり、更に、基本
波のハーモニクス及びサブハーモニクスについては基本
波の何倍であるかも示してある。表2の中で、例えば周
波数f1 の値99.48Hzは、f1 =fs/T1 =4
8,000/482.5=99.48Hzとなってい
る。この例の場合、図6に示したフローチャート中のカ
ウント値j及びkは、図8の表3に示したように動く
(表3の上から下へ向かって動く)。この結果、(j,
k)=(1,2)、(1,3)、(1,5)、(2,
5)は、例えばε=0.1と定めた場合には、“Ijk
−Tj/Tk”の絶対値が十分に小さくなるため、ハー
モニクスの関係にあると判断される。一方、表3の中
で、他の(j,k)の組み合わせの場合には、ハーモニ
クスの関係に無いと判断される。
【0047】この様に測定誤差の許容値を示す基準値ε
を導入することによって、測定条件やGHAの精度等に
起因して、読み出された2つの直交関数成分の周期の比
が正しく整数比とはならない場合であってもハーモニク
スの関係を捜し出すことができる。
【0048】ここで、第1の条件たる、(j,k)がこ
の関係を有すること、及び第2の条件たる、“Tj/T
k”に最も近い整数が奇数であることの二つの条件を同
時に満足するjに対応する周期Tjをピッチとして判断
する。たとえサブハーモニクスが無視できない程の大き
さを持つためGHAにより読み出されたとしても、サブ
ハーモニクスのハーモニクスは、基本波のハーモニクス
に比べて遥かに小さいので、GHAにより読み出され難
い。このため、基本波の周波数よりも低いサブハーモニ
クスが含まれていたとしても、基本波及びそのハーモニ
クスの周波数との関係から、サブハーモニクスの場合に
は“Tj/Tk”に最も近い整数が偶数となってしまう
ため、この第2の条件を満たさないことになる。即ち、
この第2の条件を満たすのは、基本波の場合である。
【0049】従って、この例では、二つの条件を満たす
(j,k)=(2,5)に対応するT2 がピッチとして
判断される。一方、最も周期は長いが、基本波のサブハ
ーモニクスの周期である、(j,k)=(1,2),
(1,3)及び(1,5)に対応するT1 については、
“Tj/Tk”が偶数となるので、基本波のピッチでは
ないと判断される。なお、この例の場合、実際の処理
は、図8の表3の上から順に進み、(j,k)=(2,
5)においてT2 がピッチであると判断された時点で中
止される。
【0050】図15に、第3実施例によりピッチを抽出
した際の、原信号の波形とピッチの波形とを示す。な
お、図15の中段の波形は、GHAにより読み出した6
つの主な成分を再度合成して得た波形を示している。
【0051】図15において、原波形W1とこれから取
り出された6つの主な周波数成分から合成した波の波形
W2とは、かなり似ていることが分かる。これは、6つ
の主な成分による寄与が大きいことを示している。一
方、これらの波形W1及びW2において肉眼で容易に見
受けられるため一見基本波のように見える最も長い周期
の周波数成分は、波形W3から分かるように、ピッチと
して抽出されていないことが分かる。
【0052】以上のように、第3実施例によれば、GH
Aにより読み出された成分中に存在する基本波及びその
ハーモニクスを、当該ハーモニクスが基本波の周期の正
数倍の周期を持つという性質を利用して、探し出す(判
断する)ので、基本波の周期よりも低い雑音や基本波の
半分の周期を持つサブハーモニクスが存在していたとし
ても、その雑音等を基本波として検出することはなくな
る。この結果、第1及び第2実施例より正確で信頼性の
高いピッチ検出を行える。
【0053】ここで、第3実施例により、ピアノ音(A
4)をスタジオで測定して得た音声信号に対しピッチ抽
出を行った例を示す。この例では、サンプリング周波数
は、48,000Hzであり、GHAにおける分析長は
1024点(21.3ms)である。GHAにより抽出
された正弦波を図9の表4に示す。表4中、左列の成分
番号“n/6”は、取り出された6個の成分の中でn番
目にパワーが大きい成分であることを示している。この
例では、GHAによる分析を、“信号のパワー/元の信
号のパワー≧99%”という基準により打ち切りを行っ
た結果として取り出された正弦波の数が6個になったも
のである。このGHAにより得られた分析結果から、ピ
ッチを抽出すると、大きい振幅と低い周波数とを持つサ
ブハーモニクス(220Hz付近の信号成分)の影響を
受けること無く、図中矢印で示した“成分番号3/6”
の成分(440Hz付近の信号成分)がピッチとして抽
出される。このように、第3実施例により基音のピッチ
が正しく検出されている。 (4)第4実施例 第4実施例の構成は、図1に示した第1実施例の構成と
ほぼ同様であるが、ピッチ抽出部は、以下のようにピッ
チ抽出動作を行うように構成されている点が異なる。
【0054】ここで、図10のフローチャートを用い
て、第4実施例におけるピッチ抽出部のピッチ抽出動作
について説明する。なお、図3及び図5のフローチャー
トと同じステップについては同じ参照符号を付す。
【0055】図10において、ステップS20までは、
図5に示した第2実施例と同じ動作を行う。なお、この
ステップS20を、図3に示したステップS1及びS2
で置き換えても、以下の説明から明らかなように第4実
施例は有効に機能する。
【0056】ここで、第3実施例においては、ハーモニ
クスの関係にある成分を先ず判断し、その並びの性質か
ら基本波を見付け出していたが、第4実施例では、更に
基本波が帯域制限などにより失われており、そのハーモ
ニクスのみが存在している場合にも、ハーモニクスの性
質を考慮することにより基本波を見付け出すことを特徴
としている。
【0057】具体的には、図10において、先ず初期設
定として、ハーモニクスの関係を順次判断するための二
つのカウンタのカウント値j、kの組み合わせの最大数
を示すカウンタのカウント値Lmaxを0にする(ステ
ップS51)。次に、カウント値jを1にする(ステッ
プS52)。カウント値jとステップS20で得られた
Nの値の大小を比較する(ステップS53)。ここで、
j≧Nでなければ(NO)、カウント値j、kの組み合
わせの数を示すカウンタのカウント値Lを0にし(ステ
ップS54)、カウント値kをj+1にし(ステップS
55)、k>Nであるか否かを判断する(ステップS5
6)。ここで、k>Nであれば(YES)、jを1つイ
ンクリメントして(ステップS57)、ステップS53
に戻る。また、ステップS56で、k>Nでなければ
(NO)、何次のハーモニクスを考慮しているかを示す
カウンタのカウント値lを1にする(ステップS5
8)。ここで、何次のハーモニクスまで考慮するかを示
す所定数Hとカウント値lとの大小を比較する(ステッ
プS59)。かかる所定数Hを例えば10とすれば、実
用上測定可能なエネルギをもつような成分について考慮
するには十分である。従って、所定数Hは、例えば10
以下の数字を適宜ピッチ抽出精度や目的に応じてユーザ
が定めれば良い。このステップS59で、l>Hであれ
ば(YES)、カウント値kを1つインクリメントして
(ステップS60)、ステップS56に戻る。一方、ス
テップS59で、l>Hでなければ(NO)、何次のハ
ーモニクスを考慮しているかを示す他のカウンタのカウ
ント値mをl+1にし(ステップS61)、m>Hであ
るか否かを判断する(ステップS62)。ここで、m>
Hでなければ(NO)、“(Tj/Tk)/(m/l)
−1”の絶対値が所定の微小数εより小さいか否かを判
断する(ステップS63)。ここで、小さくなければ
(NO)、mを1つインクリメントした後(ステップS
64)、ステップS62に戻り、小さければ(YE
S)、lを1つインクリメントしてから(ステップS6
5)、mを1つインクリメントした後(ステップS6
4)、ステップS62に戻る。一方、ステップS62
で、m>Hであれば(YES)、Lmax<Lであるか
否かを判断する(ステップS66)。ここで、Lmax
<Lであれば(YES)、LmaxをLとし、Jmax
をjとし、lmaxをlとした後(ステップS67)、
lを1つインクリメントし(ステップS68)、ステッ
プS59に戻る。一方、ステップS66で、Lmax<
Lでなければ(NO)、ステップS68にそのまま進
み、lを1つインクリメントした後、ステップS59に
戻る。
【0058】ステップS53において、j≧Nであれば
(YES)、ステップS69に分岐し、Lmax=0で
あるか否かを判断する。Lmax=0でなければ(N
O)、ピッチは、Tjmax*lmax(但し、Tjm
ax:Tjの最大値、lmax:lの最大値)であると
判断して(ステップS70)、処理を終了する。一方、
ステップS69において、Lmax=0であれば、ピッ
チを見付けることができなかったとし(ステップS7
1)、処理を終了する。なお、ステップS71で、ピッ
チが発見できなかった旨の表示又は出力をするのがピッ
チの検出精度をユーザに伝える見地からは好ましい。ま
た、この表示や出力に代えて又は加えて、最も長周期の
1 をピッチとして判断しても良い。
【0059】ここで、第4実施例において、100Hz
を基音としたハーモニクスが混ざった音声信号に対しピ
ッチ抽出を行った例を示す。この例では、サンプリング
周波数は、48,000Hzであり、GHAにおける分
析長は1024点(21.3ms)である。図11の表
5に、N=5とした場合の、GHAにより読み出された
成分夫々の周期T1 〜T5 の値を、周期の長い順に並べ
た例を具体的に示す。表5には、各周期に対するf1
5 の値も示してあり、基本波のハーモニクス及びサブ
ハーモニクスについては、基本波の何倍であるかも示し
てある。なお、この例では、GHAによる分析を、“信
号のパワー/元の信号のパワー≧99%”という基準に
より打ち切りを行っている。この例の場合、図10に示
したフローチャート中のカウント値j及びkは、図12
の表6に示したように動く。なお、この表6中、(b)
の“m/l”は、図13の表7に示したように、lを1
からH、mをl+1からHで動かして、(a)の“Tj
/Tk”に最も近い値の組み合わせのものを選ぶように
している。この例では、H=10としている。なお、図
12の表6の中で、“−”の印は、“(a)/(b)−
1”の絶対値が基準となる微小値ε未満となるような
l、mの組み合わせがなかったことを示している。
【0060】図12の表6を、lに注目して書き直す
と、図14に示す表8が得られる。表8において、jと
lとを固定して、いくつのmの値を取り得るかという組
み合わせの数を、lの小さいほうから順に見付けてい
く。この例では、j=2、l=4の場合が、相当する。
即ち、lmax=3,lmax=4ということになる。
本実施例では、組み合わせの数が同じ時には、jの小さ
い方(周波数の低い方)が優先されるものとする。この
結果、この例では、Tj×l=T2 ×4=481.2と
なり、ピッチに当たる周波数は、図11の表5から分か
るようにGHAにより取り出された成分としては存在し
ていないが、99.75Hzであると判断される。この
ように、第4実施例によれば、基音やその2倍音や3倍
音が失われているにも拘らず、基音のピッチが正しく検
出されている。
【0061】以上のように、第4実施例によれば、帯域
制限などの影響から、原信号の中ではピッチが失われて
いたとしても、ピッチを見付けることが可能となる。こ
の結果、より正確で信頼性の高いピッチ検出を行える。
【0062】なお、以上の実施例においては、電気音響
変換機から音声信号を得る構成としたが、これを音声波
信号を発生させる装置で置き換えても、本実施例はほぼ
同様に有効に機能する。
【0063】
【発明の効果】第1発明によれば、直交関数成分出力手
段は、音声波形を形成する周期毎の直交関数成分のうち
音声波形に対するエネルギの寄与度が高いものから順に
複数個抜き取って出力し、ピッチ抽出手段は、出力され
た複数個の直交関数成分が夫々有する周期の相対的な関
係に基づいて、出力された複数個の直交関数成分のうち
の一つをピッチとして抽出するので、比較単純な演算処
理及び装置を用いて、検出精度を高くできる。この結
果、第1発明の音声波形のピッチ検出装置を用いて、精
度の高い音声認識装置、音声合成装置、自動採譜装置、
カラオケ採点装置、機械診断装置等を比較的低コストで
作成できる。
【0064】第2発明によれば、第1発明において、直
交関数成分出力手段は、抜き取った直交関数成分を再合
成して得られる合成信号のエネルギの音声波形のエネル
ギに対する割合が、予め定めた所定値を越えた時に抜き
取り及び出力を停止するので、不必要なまでに直交関数
成分出力手段による抜き取りを行わなくて済み、実用上
便利である。
【0065】第3発明によれば、第2発明において、直
交関数成分出力手段は、音声波形のエネルギに対する割
合が所定値を越える前に、予め設定した個数の抜き取り
及び出力を行った場合には、当該抜き取り及び出力を停
止するので、第3発明において、直交関数成分出力手段
による抜き取りを無駄に続けなくて済み、実用上大変便
利である。
【0066】第4発明によれば、第1から第3発明にお
いて、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数
成分のうち最も長い周期を有するものをピッチとして抽
出するので、非常に単純な演算処理及び装置により、基
本波の成分をピッチとして抽出できる。
【0067】第5発明によれば、第1から第3発明にお
いて、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数
成分のうち奇数次の倍音の関係にあるものを弁別し、該
弁別した直交関数成分のうち最も長い周期を有する直交
関数成分をピッチとして抽出するので、たとえ基本波の
周期よりも長い周期を持つサブハーモニクスが直交関数
成分出力手段により読み出された成分に含まれている場
合であっても、基本波の成分をピッチとして抽出でき、
即ち、非常に精度の高いピッチの検出が可能となる。
【0068】第6発明によれば、第1から第3発明にお
いて、ピッチ抽出手段は、出力された複数個の直交関数
成分のうち周期が整数比の関係にある組み合わせを弁別
し、該弁別した組み合わせのうち最も多くの整数比の関
係を持つ組み合わせを選定するので、たとえ基本波や2
倍音等が読み出された成分として存在しない場合であっ
ても、基本波の成分をピッチとして抽出でき、即ち、非
常に精度の高いピッチの検出が可能となる。
【0069】第7発明によれば、第1から第6発明にお
いて直交関数成分出力手段は、エネルギの寄与度が最も
高い直交関数成分を直交関数成分として出力すると共に
該直交関数成分を音声波形から抜き取った残波形を求め
て、残波形に対して同様の処理を繰り返すので、極めて
効率良く、直交関数成分を順に抜き取って出力すること
ができ、全体としても極めて効率良くピッチを検出する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るピッチ検出装置のブロッ
ク図である。
【図2】本発明の実施例に係るGHAにおいて解析され
る周波数成分を示す説明図である。
【図3】第1実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図4】第1実施例によるピッチ検出の具体例を示す表
1である。
【図5】第2実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図6】第3実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図7】第3実施例の動作を説明するための表2であ
る。
【図8】第3実施例の動作を説明するための表3であ
る。
【図9】第3実施例によるピッチ検出の具体例を示す表
4である。
【図10】第4実施例の動作を示すフローチャートであ
る。
【図11】第4実施例の動作を説明するための表5であ
る。
【図12】第4実施例の動作を説明するための表6であ
る。
【図13】第4実施例の動作を説明するための表7であ
る。
【図14】第4実施例の動作を説明するための表8であ
る。
【図15】第3実施例のピッチ抽出にかかる波形を示す
チャートである。
【符号の説明】
1…ピッチ検出装置 2…電気音響変換機 3…fスペクトル解析部 4…ピッチ抽出部 5…記憶部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平田 能睦 東京都八王子市石川町2568−9

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音声波形を入力として該音声波形の基本
    波のピッチを検出するピッチ検出装置であって、 前記音声波形を形成する周期毎の直交関数成分のうち前
    記音声波形に対するエネルギの寄与度が高いものから順
    に複数個抜き取って出力する直交関数成分出力手段と、 該出力された複数個の直交関数成分が夫々有する周期の
    相対的な関係に基づいて、前記出力された複数個の直交
    関数成分のうちの一つをピッチとして抽出するピッチ抽
    出手段とを備えたことを特徴とする音声波形のピッチ検
    出装置。
  2. 【請求項2】 前記直交関数成分出力手段は、前記抜き
    取った直交関数成分を再合成して得られる合成信号のエ
    ネルギの前記音声波形のエネルギに対する割合が所定値
    を越えた時に抜き取り及び出力を停止することを特徴と
    する請求項1に記載の音声波形のピッチ検出装置。
  3. 【請求項3】 前記直交関数成分出力手段は、前記割合
    が所定値を越える前に、予め設定した個数の抜き取り及
    び出力を行った場合には、当該抜き取り及び出力を停止
    することを特徴とする請求項2に記載の音声波形のピッ
    チ検出装置。
  4. 【請求項4】 前記ピッチ抽出手段は、前記出力された
    複数個の直交関数成分のうち最も長い周期を有するもの
    をピッチとして抽出することを特徴とする請求項1から
    3のいずれか一項に記載の音声波形のピッチ検出装置。
  5. 【請求項5】 前記ピッチ抽出手段は、前記出力された
    複数個の直交関数成分のうち奇数次の倍音の関係にある
    ものを弁別し、該弁別した直交関数成分のうち最も長い
    周期を有する直交関数成分をピッチとして抽出すること
    を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の音
    声波形のピッチ検出装置。
  6. 【請求項6】 前記ピッチ抽出手段は、前記出力された
    複数個の直交関数成分のうち周期が整数比の関係にある
    組み合わせを弁別し、該弁別した組み合わせのうち最も
    多くの整数比の関係を持つ組み合わせを選定し、該選定
    した組み合わせに含まれる全ての直交関数成分の周期の
    整数倍となる周期を持つ直交関数成分をピッチとして推
    定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項
    に記載の音声波形のピッチ検出装置。
  7. 【請求項7】 前記直交関数成分出力手段は、前記エネ
    ルギの寄与度が最も高い直交関数成分を第1の直交関数
    成分として出力すると共に該第1の直交関数成分を前記
    音声波形から抜き取った第1の残波形を求め、続いて、
    該第1の残波形を形成する周期毎の直交関数成分のうち
    該第1の残波形に対するエネルギの寄与度が最も高い直
    交関数成分を第2の直交関数成分として出力すると共に
    該第2の直交関数成分を前記第1の残波形から抜き取っ
    た第2の残波形を求め、以下同様に、第n(n:2以上
    の自然数)の残波形を形成する周期毎の直交関数成分の
    うち該第nの残波形に対するエネルギの寄与度が最も高
    い直交関数成分を第n+1の直交関数成分として出力す
    ると共に該第n+1の直交関数成分を前記第nの残波形
    から抜き取った第n+1の残波形を求めることを特徴と
    する請求項1から6のいずれか一項に記載の音声波形の
    ピッチ検出装置。
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