JPH0967413A - パイプ用ポリエチレン樹脂 - Google Patents

パイプ用ポリエチレン樹脂

Info

Publication number
JPH0967413A
JPH0967413A JP15692696A JP15692696A JPH0967413A JP H0967413 A JPH0967413 A JP H0967413A JP 15692696 A JP15692696 A JP 15692696A JP 15692696 A JP15692696 A JP 15692696A JP H0967413 A JPH0967413 A JP H0967413A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
polyethylene resin
relaxation
oxygen
polymerization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15692696A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinao Shinohara
義尚 篠原
Yasuhisa Mizuno
靖久 水野
Eiji Tanaka
栄司 田中
Yasuhiro Kashiwagi
泰弘 柏木
Yoshinori Suzaki
美紀 須崎
Koji Yokoyama
孝司 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP15692696A priority Critical patent/JPH0967413A/ja
Publication of JPH0967413A publication Critical patent/JPH0967413A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 剛性、耐衝撃性及び応力下での長期耐久性
(耐環境応力亀裂特性、成形パイプの熱間内圧クリープ
特性)に優れたパイプ用ポリエチレン樹脂の提供。 【解決手段】 チーグラーナッタ触媒を用いて製造さ
れ、かつ、下記(1)〜(4)の各物性を有する線状ポ
リエチレンであることを特徴とするパイプ用ポリエチレ
ン樹脂。 (1)メルトフローレートが0.02〜0.2g/10
分 (2)流動比(フローレシオ)が50以上 (3)密度が0.945〜0.960g/cm3 (4)応力緩和測定によって得られる緩和パラメータH
が2.00×10-8dyn/cm2 以下

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剛性、耐衝撃性及
び応力下での長期耐久性(耐環境応力亀裂特性、成形パ
イプの熱間内圧クリープ特性)に優れたパイプ用ポリエ
チレン樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンパイプは、軽量で施工が容
易であり、腐食せず、土中への埋設に耐える剛性と地盤
変動に追従できる可とう性とを有している、等々の特徴
により近年その使用量が急激に増加している。ポリエチ
レンパイプに要求される特性は、(1)これら特徴のほ
かに、(2)施工時及び施工後の衝撃に耐えられる十分
な耐衝撃性とともに(3)ガスや水道水などの圧力下で
の良好な長期耐久性(具体的には耐環境応力亀裂特性、
熱間内圧クリープ特性)を有することである。現状で
は、(1)及び(2)の実用性が満足され、(3)の長
期耐久性については、ISOで定めた規格であるパイプ
の内圧が円周応力換算で8MPa 程度の状態で、常温にて
50年間の耐久性を有すると言われる材料が使用されて
いる。しかし、これら材料は、ガスや水道の本管の様な
大口径でかつ内圧が高い用途に使用するには、未だ長期
耐久性が不足であり、小口径の枝管等に使用されている
程度である。
【0003】ポリエチレンパイプの長期耐久性は、パイ
プに加わる内圧が円周方向の引張応力として働いて長期
にわたり材料に加わることによるストレスクラックに対
する耐久性、すなわち引張応力下でのESCR特性であ
ると考えられている。したがって、ポリエチレンパイプ
の長期耐久性を向上させるためには、この引張応力下で
のESCR特性を向上させる必要がある。上述した従来
のパイプ用ポリエチレン材料の定引張応力下でのESC
R特性を後記の測定方法で評価したところ、80℃の界
面活性剤水溶液中、4MPa の引張応力でたかだか20時
間以下であった。ESCR特性を向上させる方法として
は、ポリエチレンの分子量を高くすることや、密度を下
げることが有効であると知られている。しかし、分子量
を高くすると流動性が低下してパイプ押出特性はじめ他
の成形性、たとえば射出成形性等が著しく悪化すると言
う問題が生じる。また、密度を下げると剛性が低下して
好ましくなくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術の上記欠点を解消して剛性、耐衝撃性が良好に維持
されたまま引張応力下でのESCR特性が改善されて、
成形パイプの長期耐久性が著しく改良され、かつ、成形
性、生産性等にも優れたパイプ用ポリエチレン樹脂を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討の結果、チーグラーナッタ触
媒を用いて製造された特定の物性を有する線状ポリエチ
レンが上記目的を達成することを見出して本発明を完成
した。
【0006】すなわち、本発明は、「チーグラーナッタ
触媒を用いて製造され、かつ、下記(1)〜(4)の各
物性を有する線状ポリエチレンであることを特徴とする
パイプ用ポリエチレン樹脂。 (1)メルトフローレートが0.02〜0.2g/10
分 (2)流動比(フローレシオ)が50以上 (3)密度が0.945〜0.960g/cm3 (4)応力緩和測定によって得られる下記式(I)の緩
和パラメータHが2.00×10-8dyn/cm2 以下
【0007】
【数2】 (ただし、E(τ)は時間τでの緩和弾性率であ
る。)」である。
【0008】
【発明の実施の形態】線状ポリエチレン 本発明で使用する上記の線状ポリエチレンは、チーグラ
ーナッタ触媒を用いて製造される。チーグラーナッタ触
媒として好適な触媒は、(a)少なくともMg、Ti、ハロ
ゲンを含む固体触媒成分と(b)有機アルミニウム化合
物からなる触媒系である。この様な触媒系としては、例
えば、特開昭49−119980号、同49−5818
9号、同50−142689号、同56−61406号
等の各公報記載の触媒系を挙げることができる。これら
の触媒は、他の触媒、例えば三塩化チタン−アルキルア
ルミニウム系触媒、四塩化チタン−トリアルコキシバナ
ジル−アルキルアルミニウム系触媒等の触媒より重合活
性、着色等の点で有利である。チーグラーナッタ触媒以
外の触媒を用いて製造された線状ポリエチレンは、共重
合性の制御や分子量分布の制御が難しく満足なESCR
特性を得ることが困難であるので好ましくない。
【0009】上記の好適なチーグラーナッタ触媒系のう
ち、特に活性が高く、分子量分布制御がし易く、フィッ
シュアイが生成しにくい等の点から特開昭56−614
06号等に記載のMgの酸素含有有機化合物とTiの酸素含
有有機化合物と有機アルミニウムハロゲン化合物との反
応生成物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒系が
好ましい。
【0010】この反応生成物を調製する際に用いられる
Mgの酸素含有有機化合物としては、一般式 Mg(OR1)m
1 2-m(式中、R1 はアルキル基、アリール基又はシク
ロアルキル基を示し、X1 はハロゲン原子を示し、mは
1又は2を示す。)で表される化合物、例えばマグネシ
ウムジエトキシド、マグネシウムジメトキシド、マグネ
シウムジフェノキシド、マグネシウムモノエトキシクロ
リド、マグネシウムモノフェノキシクロリド、マグネシ
ウムモノエトキシブロミド、マグネシウムモノエトキシ
ヨウジド等を挙げることができる。このうち特にマグネ
シウムジエトキシドが好ましい。
【0011】また、Tiの酸素含有有機化合物としては、
一般式 Ti(OR2)n 2 4-n(式中、R2 はアルキル基、
アリール基又はシクロアルキル基を示し、X2 はハロゲ
ン原子を示し、nは1〜4を示す。)で表される化合
物、例えばテトラエトキシチタン、テトラ−n−ブトキ
シチタン、ジエトキシジクロルチタン、ジ−n−ブトキ
シジクロルチタン、トリエトキシモノクロルチタン、ト
リ−n−ブトキシモノクロルチタン、エトキシトリクロ
ルチタン、n−ブトキシトリクロルチタン、メトキシト
リブロムチタン等を挙げることができる。このうち特に
トリ−n−ブトキシモノクロルチタンが好ましい。
【0012】また、有機アルミニウムハロゲン化合物と
しては、一般式AlR3 p 3 3-p(式中、R3 はアルキル
基、アリール基又はシクロアルキル基を示し、X3 はハ
ロゲン原子を示し、pは0<p<3の数を示す。)で表
される化合物、例えばエチルアルミニウムジクロリド、
エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニ
ウムモノクロリド、n−プロピルアルミニウムジクロリ
ド等を挙げることができる。このうち特にエチルアルミ
ニウムセスキクロリドが好ましい。
【0013】上記各化合物の反応は、まずMgの酸素含有
有機化合物とTiの酸素含有有機化合物とを混合し、10
0℃〜160℃に加熱して均一な液状物を調製する。均
一な液状物が生成し難い場合はにはアルコールを存在さ
せることが好ましい。アルコールとしてはエチルアルコ
ール、n−ブチルアルコール、n−オクチルアルコール
等を挙げることができる。
【0014】次いで不活性炭化水素溶媒を添加して不活
性炭化水素溶液とする。この様にして得られる不活性炭
化水素溶液に有機アルミニウムハロゲン化合物を添加し
て常温〜100℃で反応させると、反応生成物は沈殿と
して得られ、未反応物は不活性炭化水素溶媒で洗浄除去
される。
【0015】各成分の量比は、マグネシウム化合物に対
するチタン化合物のモル比Ti/Mgで0.1〜10、マグ
ネシウム化合物のモル数とチタン化合物のモル数の和に
に対するアルミニウム化合物のモル数の比(〔Al化合
物〕/{〔Mg化合物〕+〔Ti化合物〕})で1〜20で
あることが好ましい。
【0016】一方、(b)の共触媒として用いられる有
機アルミニウム化合物としては、一般式AlR4 q 4 3-q
(式中、R4 はアルキル基、アリール基又はシクロアル
キル基を示し、X4 はハロゲン原子を示し、qは1〜3
の数を示す。)で表される化合物、例えばトリエチルア
ルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−
n−ブチルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、ジ−n−プロ
ピルアルミニウムモノクロリド等を挙げることができ
る。このうちトリエチルアルミニウム及びジエチルアル
ミニウムモノクロリドが好ましく、特にジエチルアルミ
ニウムモノクロリドを用いた場合に高分子量、低分子量
各重合体の分子量分布が広く、かつ高分子量重合体の分
子量を容易に超高分子量とすることが可能であるので分
子量分布制御の自由度が広く、また生成ポリマー中にフ
ィッシュアイを生成しにくい。一般に共触媒をジエチル
アルミニウムモノクロリドとすることにより重合活性は
低下する傾向にあるのでより高活性を発現し得る固体触
媒成分の使用が必須であり、この点からも特開昭56−
61406号等に記載の触媒の使用が好ましい。なお、
これらの有機アルミニウム化合物を混合して使用するこ
ともできる。
【0017】本発明においては、上記触媒系を用いて4
0〜100℃の温度でエチレンの単独重合又はエチレン
と他のα−オレフィンとの共重合を行う。重合方法とし
ては気相重合法、炭化水素溶媒中で行うスラリー重合法
が用いられる。炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ヘプ
タン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロ
ヘキサン等の脂環式炭化水素等の不活性炭化水素溶媒を
挙げることができる。また、共重合成分である他のα−
オレフィンとしては、一般式R5 −CH=CH2 (式
中、R5 は炭素数1〜12のアルキル基を示す。)で表
される化合物、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘ
キセン、4−メチル−1−ペンテン等を挙げることがで
きる。共重合成分の含有量は、通常、5重量%以下であ
る。
【0018】本発明のパイプ用ポリエチレン樹脂は、上
記の様な高活性チーグラーナッタ触媒を用いて、反応条
件の異なる2基以上の反応器において、低圧多段重合法
によって製造すること(エチレンの単独重合、或いは、
エチレンと他のα−オレフィンとの共重合)が可能であ
るが、好適な製造法の一例を示すと、チーグラーナッタ
触媒を用いてエチレンと他のα−オレフィン(炭素数3
〜12)との共重合を行うに際し、(イ)重合反応を2
段階、すなわち第1の反応帯域で重合して得られた反応
物の存在下に第2の反応帯域において更に重合する方法
で行い、(ロ)第1及び第2の反応帯域のいずれか一方
の帯域において、気相中のエチレンに対するモル比で
0.5〜5の水素の存在下、エチレンの単独重合を行
い、重合体Aを重合体生成量の30重量%以上70重量
%以下の量を生成させ、(ハ)他方の反応帯域におい
て、気相中のエチレンに対するモル比で0.001〜
0.5の水素の存在下、エチレンと他のα−オレフィン
との共重合を行い、共重合体Bを重合体生成量の30重
量%以上70重量%以下の量を生成させ、(ニ)この様
にして得られる重合体を、前記の様な最終物性、即ちM
FRが0.02〜0.2g/10分、FRが50〜17
0、密度(ρ)が0.945〜0.960g/cm3
範囲の物性にし、かつ、それらを調節することにより緩
和パラメータHが2.00×10-8dyn/cm2 以下
のものを得ることができる。
【0019】従来、本発明者らは、パイプとしての耐久
性を向上させるために密度(ρ)とMFRを独立して変
動させていたが、本発明において新たに緩和パラメータ
Hを見出し、このパラメータHが耐久性を支配するこ
と、並びに、このパラメータHがMFR、FR、ρでコ
ントロールされることを突き止めた。したがって、公知
の重合手段に従ってMFR、FR、ρを前記の様な所定
範囲内でコントロールすることにより、パラメータHを
目標値範囲に入れることができ、これにより耐久性の優
れたポリエチレン、ひいてはパイプを得ることが可能と
なったものである。すなわち、該パラメータHは、MF
R、FR、ρの3つの因子を所定範囲内で調節する方
法、又は、いずれか2つの因子を所定範囲内に設定し、
残り1つの因子を前記の様な所定範囲内で調節する方法
等の方法によって調節することができる。
【0020】上記した各条件について説明するに、
(イ)の2段階重合は、連続重合方式、回分重合方式の
何れでも行うことができる。連続重合方式の場合は、反
応器をシリーズにつなぎ、第1段の反応器で重合して得
られた反応物を第2段の反応器に導入して重合を続け
る。一方、回分重合方式の場合は、反応器1基にて逐次
反応させる。このうち連続重合方式の方が好ましい。ま
た、該2段階の重合反応は、(ロ)及び(ハ)の重合条
件で行い、(ニ)の物性を有するポリエチレン重合体樹
脂を生成させる。上記(ニ)におけるMFRとFR及び
密度のそれぞれは、上記(ロ)及び(ハ)において、エ
チレン、水素又は触媒の供給量、第1段と第2段の重合
体分率若しくは重合温度を制御することによって調節す
ることができる。
【0021】以上の様な方法で得られるポリエチレン樹
脂は、下記(1)〜(4)の各物性を有する線状ポリエ
チレンである。 (1)メルトフローレート(MFR)が0.02〜0.
2g/10分、好ましくは0.03〜0.15g/10
分、特に好ましくは0.03〜0.1g/10分 (2)流動比(フローレシオ:FR)が50以上、好ま
しくは60以上、特に好ましくは75以上 (3)密度が0.945〜0.960g/cm3 、好ま
しくは0.948〜0.960g/cm3 、特に好まし
くは0.950〜0.955g/cm3 (4)応力緩和測定によって得られる前記式(I)の緩
和パラメータHが2.00×10-8dyn/cm2
下、好ましくは1.95×10-8dyn/cm2 以下、
特に好ましくは1.90×10-8dyn/cm2 以下
【0022】この線状ポリエチレンのMFRが上記範囲
未満では流動性が著しく悪くなり成形性が不十分でパイ
プの生産性が満足されないばかりでなく、射出成形で継
ぎ手等を成形する際に成形できないか、或いは成形でき
ても外観が著しく不良となり、一方、上記範囲超過では
成形時にダイスから出た樹脂が垂れ易く良好な成形がで
きないばかりでなく、パイプの長期耐久性や耐衝撃性が
不足するので好ましくない。
【0023】また、FRは、メルトインデクサーを用い
て190℃にて11.6kg荷重での10分間の押出量を
1.16kg荷重での10分間の押出量で除した数値で表
現されるポリエチレンの分子量分布の目安を表す物性で
あって、FR値が小さければ分子量分布が狭く、逆に大
きければ分子量分布が広いことを表す。このFRが上記
範囲未満では成形性に劣る様になる。FRの好適な上限
は一般に170程度であり、値が大き過ぎると低分子量
成分の影響により耐衝撃性が低下する傾向にある。さら
に、密度が上記範囲未満ではパイプとしての剛性が著し
く不足して埋設後土圧により変形を起こし易く、一方、
上記範囲超過ではパイプの長期耐久性が不足するので好
ましくない。
【0024】また、緩和パラメータHは、以下の理論か
ら導かれるパラメータであり、Hが特定の範囲にあるポ
リエチレンは長期耐久性が良好である。すなわち、長期
耐久性を発現するためには、短時間で応力が緩和する成
分の割合が多いことが要求されるものと考えられる。こ
の応力緩和を評価するためには、試験片に対し一定歪み
を与えたときに、その試験片に発生する応力を歪みで除
して得られる弾性率の時間変化を測定することによって
求められる緩和弾性率曲線を評価すればよいことが知ら
れている。実際には、温度を変化させて測定することに
より、温度−時間換算則を用いて長い時間範囲の緩和弾
性率を得る。この緩和弾性率から緩和分布関数を求める
方法は、Schwarz-Staverman 、Leaderman らによって提
唱されており(文献:1972年誠文堂新光社発行「物
体の変形学」第201〜204頁、参照)、彼らによれ
ば、j時間での緩和スペクトルh(j) は、次式(II)で
表される。
【0025】
【数3】 (式中、 E(k) (kj)=dk E/dtk であり、緩和弾性
率を時間tでk回微分したものである。) これをk=1で近似すると、次式(III)が得られる。
【0026】
【数4】 長時間(j=103 秒)での緩和分布関数h(103
をHとすると、Hは次式(IV)で表される。
【0027】
【数5】 ここで、100 秒での測定値を用い、次式(V) が得ら
れるので、
【0028】
【数6】 Hは、実験値より、次式(I) の通り求めることができ
る。
【0029】
【数7】
【0030】この通り、前記式(I)の緩和パラメータ
H(dyn/cm2 )は、特定の時間(103 秒) にお
ける緩和分布関数に対応するパラメータであって、実験
値から求めることができる。Hが上記範囲内にあること
は、すなわち、十分に長時間での緩和分布関数が小さい
ことを意味し、これは、長時間で応力が緩和する成分の
割合が少なく好ましいことを表している。
【0031】任意成分 本発明のポリエチレン樹脂においては、本発明の効果を
著しく損なわない範囲で任意成分を配合することができ
る。この任意成分としては、通常のポリオレフィン用添
加剤や配合剤として知られ又は用いられるもの、例え
ば、酸化防止剤、中和剤、耐候性改良剤、気泡防止剤、
分散剤、帯電防止剤、滑剤、分子量調整剤(過酸化物
等)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、防
曇剤、アンチブロッキング剤、難燃剤、導電性付与剤、
架橋剤、架橋助剤、金属不活性化剤、殺菌剤、防黴剤、
蛍光増白剤、充填剤、着色剤、離型剤、発泡剤、透明化
剤、加工助剤、結晶核剤、軟化剤又は硬度調整剤(オイ
ル・ワックス等)、光沢付与剤、シボ鮮明化剤、物性調
整剤(他の樹脂・ゴム等)等を挙げることができ、これ
らは適宜組み合わせて、成形原材料から成形体を製造す
るまでの任意の段階において配合することができる。
【0032】上記のポリエチレン樹脂及び所望により任
意成分を、直接成形機に投入して成形することもできる
が、一般には、予め、これら成分を溶融混練してペレッ
ト状の成形用材料となし、これを成形するのが望まし
い。パイプ成形は、通常、押出成形法で行うが、パイプ
継ぎ手等は射出成形法で成形されることもある。成形
は、単層ばかりでなく複層で成形する場合もある。
【0033】
【実施例】以下、具体例をもって本発明をさらに説明す
る。例中、樹脂の各物性は以下の方法にて評価した。 ○ MFR:JIS K6760準拠。 ○ 密度:JIS K6760準拠。 ○ 耐衝撃性:JIS K7110(23℃)準拠でI
zod衝撃強度を評価。 ○ スティフネス:ASTM D747準拠。 ○ ESCR:JIS K6760の、定応力環境応力
亀裂試験の装置を用い、水温を80℃とし、試験液には
1%の高級アルコールのスルホン酸ナトリウム水溶液を
使用し、初期引張荷重を4MPa として測定した(試験片
は、1mm厚のプレス板を用い、引張部の中央に深さ
0.3mmのノッチを入れる)。 ○ 応力緩和:オーク製作所製オプトレオメータ「HR
S−100」を使用し、試験片は、プレス成形した後に
100℃で10時間アニーリングしたもので、大きさが
30mm×5mm×0.3mmのものを使用した。測定
は、1mm/秒の速度で1mm引っ張った後の応力緩和
を温度を変化させて測定し、30℃におけるマスターカ
ーブにより評価した。 ○ 熱間内圧クリープ:東芝機械社製65φ押出機、安
田機鋼社製スパイラル式ダイス、IKG社製真空式冷却
水槽を使用して、樹脂温度が約210℃、水槽中の冷却
水の水温は約20℃、引取速度約65cm/分にて外径
60mmφ、肉厚5mmのパイプを成形し、これをIS
O−DIS 1167に準拠して80℃で円周応力が5
MPa となる様に内圧を調整してクリープテストして長期
耐久性を評価した。
【0034】実施例1 (A)固体触媒の調製 Mg(OC2 5)2 の115gとTi(OC4 9)3 clの1
51gとn−C4 9OHの37gとを150℃で6時
間混合して均一化し、冷却後ベンゼンを所定量加えて均
一溶液にした。次いで、所定温度にてエチルアルミニウ
ムセスキクロライドを457g滴下し1時間攪拌した。
さらに、n−ヘキサンにて洗浄を繰り返して固体触媒2
20gを得た。
【0035】(B)重合 得られた触媒成分(ただし、実施例1(A)の5バッチ
分、約1kg)を用い、0.6m3 の反応器を2基直列に
接続した装置を用いて連続重合を行った。第1重合槽に
はn−ヘキサンを70kg/時、ジエチルアルミニウムモ
ノクロリドを3.63g/時、固体触媒成分を1.88
g/時、エチレンを31kg/時及び水素を連続的に供給
し、温度を90℃、気相中の水素/エチレンモル比を
2.8に保って連続重合を行った。第2重合槽には第1
重合槽の重合体スラリーを連続的に供給するとともにn
−ヘキサン47kg/時、エチレン25.7kg/時を連続
的に供給し、温度を65℃、気相中の水素/エチレンモ
ル比を0.05、1−ブテン/エチレンモル比を0.0
5に保って連続重合を行った。
【0036】第2重合槽から連続的にスラリーを抜出
し、遠心分離器で固液分離した後、重合体を乾燥した。
第1重合槽及び第2重合槽からは定期的に少量のスラリ
ーを採取し、ポリマー濃度を分析した。この様にして、
3日間の連続重合を行い、第1段目と第2段目の重合体
分率60/40の重合体を得た。得られた重合体は、9
0mmφ押出機を用いて所定の条件で混練、ペレット化
した後、物性測定に供した。測定結果は表1に示した。
【0037】実施例2 実施例1において、第1重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を3.3に保って連続重合を行い、第2重合槽
においては気相中の水素/エチレンモル比を0.08、
1−ブテン/エチレンモル比を0.04に保って連続重
合を行った。
【0038】実施例3 実施例1において、トリエチルアルミニウムを共触媒と
した。第1重合槽の気相中の水素/エチレンモル比を
2.2に保って連続重合を行い、第2重合槽においては
気相中の水素/エチレンモル比を0.01、1−ブテン
/エチレンモル比を0.1に保って連続重合を行った。
【0039】実施例4 実施例3において、第2重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を0.03とし、第1段目と第2段目の重合体
分率を50/50として連続重合を行った。
【0040】実施例5 実施例1において、第1重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を5.0に保って連続重合を行い、第2重合槽
においては気相中の水素/エチレンモル比を0.15、
1−ブテン/エチレンモル比を0.05とし、第1段目
と第2段目の重合体分率を52/48として連続重合を
行った。
【0041】比較例1 実施例1において、第1重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を2.5に保って連続重合を行い、第2重合槽
においては気相中の水素/エチレンモル比を0.4、1
−ブテン/エチレンモル比を0.05とし、第1段目と
第2段目の重合体分率を50/50として連続重合を行
った。
【0042】比較例2 実施例5において、第2重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を0.25、1−ブテン/エチレンモル比を
0.01とし、第1段目と第2段目の重合体分率を51
/49として連続重合を行った。
【0043】比較例3 実施例5において、第2重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を0.25、1−ブテン/エチレンモル比を
0.12とし、第1段目と第2段目の重合体分率を48
/52として連続重合を行った。
【0044】比較例4 実施例5において、第2重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を0.25、1−ブテン/エチレンモル比を
0.015とし、第1段目と第2段目の重合体分率を5
1/49として連続重合を行った。
【0045】比較例5 比較例1において、第1重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を1.2に保って連続重合を行い、第2重合槽
においては気相中の水素/エチレンモル比を0.2、1
−ブテン/エチレンモル比を0.07として連続重合を
行った。
【0046】比較例6 比較例1において、第1重合槽の気相中の水素/エチレ
ンモル比を3.8に保って連続重合を行い、第2重合槽
においては気相中の水素/エチレンモル比を0.33、
1−ブテン/エチレンモル比を0.05とし、第1段目
と第2段目の重合体分率を40/60として連続重合を
行った。
【0047】
【表1】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、剛性、耐衝撃性及び応
力下での長期耐久性(耐環境応力亀裂特性、成形パイプ
の熱間内圧クリープ特性)に優れたパイプ用ポリエチレ
ン樹脂が得られると言った顕著な効果が奏される。特に
長期耐久性については、従来のパイプ用ポリエチレン材
料の定引張応力下でのESCR特性が、前述の通り、8
0℃の界面活性剤水溶液中、4MPa の引張応力でたかだ
か20時間以下であったのに対し、本発明の樹脂では、
4MPa の引張応力で100時間以上破断せず、さらに、
熱間内圧クリープ試験で、80℃、5MPa の条件下では
意外にも1000時間で割れが発生しなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏木 泰弘 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化学 株式会社水島開発研究所内 (72)発明者 須崎 美紀 岡山県倉敷市潮通3丁目10番地 三菱化学 株式会社水島開発研究所内 (72)発明者 横山 孝司 東京都港区三田三丁目13番16号 株式会社 アストロ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チーグラーナッタ触媒を用いて製造され、
    かつ、下記(1)〜(4)の各物性を有する線状ポリエ
    チレンであることを特徴とするパイプ用ポリエチレン樹
    脂。 (1)メルトフローレートが0.02〜0.2g/10
    分 (2)流動比(フローレシオ)が50以上 (3)密度が0.945〜0.960g/cm3 (4)応力緩和測定によって得られる下記式(I)の緩
    和パラメータHが2.00×10-8dyn/cm2 以下 【数1】 (ただし、E(τ)は時間τでの緩和弾性率である。)
  2. 【請求項2】チーグラーナッタ触媒が、Mgの酸素含有有
    機化合物とTiの酸素含有有機化合物と有機アルミニウム
    ハロゲン化合物との反応生成物と有機アルミニウム化合
    物とからなる触媒系である、請求項1に記載のパイプ用
    ポリエチレン樹脂。
  3. 【請求項3】Mgの酸素含有有機化合物が、マグネシウム
    ジエトキシドである、請求項2に記載のパイプ用ポリエ
    チレン樹脂。
  4. 【請求項4】Tiの酸素含有有機化合物が、トリ−n−ブ
    トキシモノクロルチタンである、請求項2に記載のパイ
    プ用ポリエチレン樹脂。
  5. 【請求項5】有機アルミニウムハロゲン化合物が、エチ
    ルアルミニウムセスキクロリドである、請求項2に記載
    のパイプ用ポリエチレン樹脂。
  6. 【請求項6】有機アルミニウム化合物が、トリエチルア
    ルミニウム及び/又はジエチルアルミニウムモノクロリ
    ドである、請求項2に記載のパイプ用ポリエチレン樹
    脂。
JP15692696A 1995-06-22 1996-06-18 パイプ用ポリエチレン樹脂 Pending JPH0967413A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15692696A JPH0967413A (ja) 1995-06-22 1996-06-18 パイプ用ポリエチレン樹脂

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15625495 1995-06-22
JP7-156254 1995-06-22
JP15692696A JPH0967413A (ja) 1995-06-22 1996-06-18 パイプ用ポリエチレン樹脂

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0967413A true JPH0967413A (ja) 1997-03-11

Family

ID=26484059

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15692696A Pending JPH0967413A (ja) 1995-06-22 1996-06-18 パイプ用ポリエチレン樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0967413A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002036644A1 (fr) * 2000-10-31 2002-05-10 Japan Polychem Corporation Resine de polyethylene, tuyau et joint utilisant une telle resine
JP2004263119A (ja) * 2003-03-04 2004-09-24 Asahi Kasei Chemicals Corp 優れた耐クリープ特性を有するポリエチレンパイプ
JP2011105882A (ja) * 2009-11-19 2011-06-02 Kohjin Co Ltd 架橋ポリエチレンからなる再生樹脂組成物及び熱収縮性フィルム
JP2014534330A (ja) * 2011-12-01 2014-12-18 ボレアリス・アクチェンゲゼルシャフトBorealis Ag 耐低速亀裂成長性が改善されたパイプを製造するためのマルチモーダルポリエチレン組成物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002036644A1 (fr) * 2000-10-31 2002-05-10 Japan Polychem Corporation Resine de polyethylene, tuyau et joint utilisant une telle resine
JP2004263119A (ja) * 2003-03-04 2004-09-24 Asahi Kasei Chemicals Corp 優れた耐クリープ特性を有するポリエチレンパイプ
JP2011105882A (ja) * 2009-11-19 2011-06-02 Kohjin Co Ltd 架橋ポリエチレンからなる再生樹脂組成物及び熱収縮性フィルム
JP2014534330A (ja) * 2011-12-01 2014-12-18 ボレアリス・アクチェンゲゼルシャフトBorealis Ag 耐低速亀裂成長性が改善されたパイプを製造するためのマルチモーダルポリエチレン組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0785954B1 (en) New polypropylene composition with broad mwd
MXPA05010567A (es) Composiciones de poliolefina resistentes al impacto.
JP2007538119A (ja) 耐衝撃性ポリオレフィン組成物
TW200906861A (en) Process for the preparation of soft propylene polymer compositions
JP6702731B2 (ja) エチレン−α−オレフィン共重合体
EP2147026B1 (en) Soft propylene polymer compositions
JP2008528779A (ja) 射出成形用プロピレンポリマー組成物
WO2012062735A1 (en) Improved process for polymerising propylene
JP2022510678A (ja) オレフィン系共重合体およびその製造方法
EP1611175A2 (en) Catalyst grain size
NO129465B (ja)
JPWO2018025863A1 (ja) ヘテロファジックプロピレン重合材料
JP3378517B2 (ja) プロピレン系重合体、その製造方法およびそれから得られる発泡成形体
KR100376397B1 (ko) 폴리에틸렌 수지 파이프
EP2452959B1 (en) Process for producing propylene random copolymers and their use
WO2010133434A1 (en) Propylene polymer compositions
DE102012019961A1 (de) Verfahren zur Herstellung einer festen Katalysatorkomponente für die Olefinpolymerisation
JPH0967413A (ja) パイプ用ポリエチレン樹脂
JPH0931264A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物およびその組成物からなる容器
JP2015227459A (ja) 容器用ポリエチレン樹脂組成物及びそれよりなる成形体
JP2014019806A (ja) ポリエチレン樹脂組成物
KR102117623B1 (ko) 올레핀계 공중합체 및 이의 제조방법
DE102009058469A1 (de) Verfahren zur Herstellung einer Vorstufe einer festen Katalysatorkomponente zur Olefinpolymerisation
JP3666384B2 (ja) プロピレン共重合体
US20180112070A1 (en) Polyethylene for pipe and joint, and molded body thereof