JPH09512276A - A群ストレプトコッカス細菌ポリサッカライドの免疫原性組成物及び免疫法 - Google Patents

A群ストレプトコッカス細菌ポリサッカライドの免疫原性組成物及び免疫法

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JPH09512276A JP7527802A JP52780295A JPH09512276A JP H09512276 A JPH09512276 A JP H09512276A JP 7527802 A JP7527802 A JP 7527802A JP 52780295 A JP52780295 A JP 52780295A JP H09512276 A JPH09512276 A JP H09512276A
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ザブリスキー,ジョン・ビー
タイ,ジョーゼフ・ワイ
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ザ・ロックフェラー・ユニバーシティ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、A群ストレプトコッカスによって引き起される感染及び疾患に対する免疫化のための、新規免疫原性組成物及びワクチン、それらを製造する工程、ならびに方法を提供する。この組成物は、タンパク質又はリポソームに共有結合して免疫原性結合体を形成する、A群ストレプトコッカス細菌ポリサッカライドを含有する。本発明のための免疫化の方法は、免疫原性を示す量のA群ポリサッカライドを個体に投与することを含む。A群ポリサッカライドは、単独で、又はタンパク質と結合させた、又はリポソームと結合させた、ワクチンとして投与してよい。加えて、A群ポリサッカライドは、アジュバントを伴ってよい。本発明は、A群ストレプトコッカスの感染及び疾患に罹患するおそれの最もある集団、すなわち成人、妊婦及び、特に、幼小児のために、能動及び受動双方の免疫防御を与えるのに特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 A群ストレプトコッカス細菌ポリサッカライドの免疫原性組成物及び免疫法 発明の分野 本発明は、A群ストレプトコッカス細菌によって引き起される感染及び疾患に 対する、新規な免疫原性組成物、それらを製造する方法、及びヒトをはじめとす る恒温動物を免疫する方法の分野に関する。 発明の背景 年齢群別の感染率が示すとおり、A群ストレプトコッカス細菌疾患は、小児疾 患である(1〜3)。髄膜炎(4)やヘモフィルス髄膜炎Haemophilus meningit is(5)、ジフテリア(6)その他(7、8)のような、このカテゴリーのその 他の疾患と同様に、症例の大部分は幼い子供に発症し、年齢とともに感染率は低 下する。こうして、年齢18歳までに、A群ストレプトコッカス細菌感染症の発 生率は相対的に低くなる(1〜3)。このことは、この群の生物に対する何らか の型式の自然免疫が、他の小児感染症で見出されたのと同様に、経時的に発生す る可能性があることを示唆するものと思われる。 数十年にわたる実験で、Lancefieldとその同僚らは(9〜11)、ヒトに感染 する溶血性ストレプトコッカス細菌の大部分は、A群であると確証した。この識 別は、A群ストレプトコッカス細菌の炭水化物に対する血清学的反応に基づいて いた。その後の研究は、主要抗原決定基がN−アセチルグルコサミンであること を報告した(12、13)。マウスでの防御試験及び沈降アッセイを用いて、こ れらのA群ストレプトコッカス細菌は、この生物の表面に存在する、抗原的に異 なるMタンパク質の存在に基づいて、血清型へと更に下位区分された。特定のM 血清型に対する抗体は、マ ウス感染モデルで防御的であることが明確に示されている(14)。ヒトでは、 A群ストレプトコッカス細菌の感染からの回復は、感染生物に型特異的である、 長期持続性免疫を伴うことが多い(11)。しかし、いずれの場合も、防御はM 血清型特異的であり、他の血清型に対する防御にまで広がることはない。加えて 、ヒト血清は、多型(multiple)Mタンパク質血清型特異抗体をめったに含まな いことが、多数の研究で立証されている(11、15)。これらの、ヒトと実験 動物の双方での古典的な実験は、A群ストレプトコッカス細菌の毒性におけるM タンパク質の重要な役割を確証し、Mタンパク質の血清型特異性が存在するアミ ノ末端部分と、より最近の、分子の共通C反復領域とのいずれかに対する防御抗 体を誘発すると思われるストレプトコッカスワクチンを開発しようとする(16 )、数多くの失敗に終った試みの根拠となっていた。 しかし、この群の細菌に対する自然免疫の増加を示唆するA群感染の、年齢に 関連する性質を考慮すると、これが、Mタンパク質の、より一般的な領域に仕向 けられた抗体の緩慢な増加を表すのか、あるいは、関心を受けることが比較的少 なかった他の表面抗原が、自然に獲得されたこの非血清型特異的防御に役割を果 たし得るのかという疑問が残る。例えば、モルモットでは、ヒアルロン酸カプセ ルが、C群感染の毒性に重要な役割を果たし(17)、抗ヒアルロン酸抗体が、 動物(18、34)及びヒト(19)で検出されている。A群ストレプトコッカ スからのヒアルロン酸は、定式化された、カプセルに封入したか、又はリポソー ムに結合させたA群ストレプトコッカス細菌による免疫の後に、ウサギで免疫原 性であるとして報告された(18)。ワクチンでのリポソームの利用も報告され ている(31)。ストレプトコッカス細胞壁のムコペプチド画分の注射は、実験 動物に短寿命の防御を誘発するが(20)、ヒトでのその役割は、不 明のままである。 群特異的炭水化物は、ポリラムノース骨格からなり、A群の場合は、これに、 N−アセチルグルコサミンが非還元性末端位に存在する(図1a)。A群の変種 のストレプトコッカス細菌が、記載され特徴付けられている(12、13)。こ れらのストレプトコッカスでは、ポリラムノース骨格は存在するが、N−アセチ ルグルコサミンで修飾されないままである(図1b)。初期の実験では、ウサギ に、Mタンパク質を欠くA群ストレプトコッカス全菌体を注射し、これが、A群 炭水化物に対する沈降性抗体を誘発することが示された。しかし、これらの抗体 は、マウスの受動防御の研究では、Mタンパク質陽性A群ストレプトコッカスの 攻撃誘発(challenge)に対して受動防御性ではなかった(14)。その上、類似 の沈降性抗体をヒトで立証するいくつかの初期の試みは、失敗に終り、沈降性炭 水化物抗体は、ストレプトコッカス感染に対する防御に重要な役割を果たさない ことを示唆した。 しかしながら、抗体の増加を検出する初期の方法の大部分は、これらの抗体が 抗原の添加によって沈降可能になる能力に依存していたため、特異的抗原に対し ては反応性であるにもかかわらず、そのようなアッセイでは沈降しない多くの抗 体が、検出されずに残された。A群ストレプトコッカス細菌のヒアルロン酸カプ セルに反応する抗体は、一つの好例を与える。この問題の除去に的を絞った研究 で、1965年に始まる一連の報告(21,22)は、抗体を検出するための直 接と間接との双方の凝集手法を採用した。直接凝集は、沈降性抗体を検出したが 、間接凝集は、沈降性抗体と非沈降性抗体との双方を測定すると思われた。興味 深いのは、これらのヒトの血清中の直接凝集性抗体、すなわち沈降性抗体が、主 にポリラムノース骨格であるA群変種炭水化物に対して向けたものであったのに 対 し、非沈降性抗体に対して向けられた間接凝集の手法は、N−アセチルグルコサ ミン決定基に対する高力価の抗体を検出したという、Karakawaらによる立証であ った(22)。 様々なストレプトコッカス感染からのヒト血清を用いた、Zimmermanらによる その後の研究(23)は、これらの非沈降性抗体の出現率が、ストレプトコッカ ス感染について注意深く追跡かつ治療されていた集団での30%という低い数字 から、A群ストレプトコッカスに最近感染した集団での84%という高い数字ま で変動することを示した。A群炭水化物に対する抗体力価は、17歳でピークに 達し、心臓病を伴うリウマチと、伴わないリウマチとで、この炭水化物に対する 抗体力価に差がないことにも彼らは注目した。これらの結果は、抗A群炭水化物 抗体は、リウマチ性心臓病患者では、弁損傷のない患者に比して持続的に上昇し たという、Dudding及びAyoubによる結果(24)と相違する。 これらの抗体が防御に役割を果たすのか否かとの疑問は、評価するのが困難で ある。Lancefieldの古典的なオプソニン食作用アッセイは、既知のMタンパク質 血清型特異抗体を有する高度免疫のウサギ血清を加えた選択したヒト全血を用い た(15、25、26)。ヒト全血の選択は、次の二つの事実に基づいて行った ;(1)Mタンパク質反応性抗体を全く含まないこと、及び/又は(2)血清型 特異的ウサギ抗血清の非存在下では、ストレプトコッカスの食作用を促進しない と思われること。正常なヒト血清それ自体が食作用を促進するか否かの疑問は、 今まで真剣に取り組まれてこなかった。 発明の要旨 本発明は、A群ストレプトコッカスによる感染に対して哺乳動物を防御するた めの免疫原性組成物を提供する。この免疫原性組成物は、下記の構 造: (式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり、nは 、ラムノースの3位にグリコシド結合したβ−D−GlcpNAc基に対し、免 疫応答をなすに充分な平均分子量のポリサッカライドを規定するのに充分大きな 数である)を有する、免疫原性を示す量のA群ストレプトコッカスポリサッカラ イド(GASP)及び担体を含む。GASPのこの領域は、殺菌性抗体の形成を 誘発するエピトープを規定する。 該免疫原性組成物中に存在するGASPは、遊離ポリサッカライドの形態で、 又はリポソームを形成できるリン脂質若しくはタンパク質にGASPが共有結合 した結合体の成分として、存在してよい。破傷風トキソイド、コレラトキシン、 ジフテリアトキソイド又はCRM197のような、天然若しくは組換え細菌性タン パク質は、結合体として有用な適切なタンパク質の例である。もう一つの実施態 様では、リン脂質に共有結合したGASPを含有するリポソームに、免疫原性タ ンパク質を組み込む。 この免疫原性組成物は、ワクチンとしても有用であり、水酸化アルミニウム、 リン酸アルミニウム、モノホスホリル脂質A、QS21又はステアリルチロシン のようなアジュバントを更に含んでよい。本発明の免疫原性組成物は、A群スト レプトコッカス感染による感染に対する能動又は受動防御を誘発することができ る。受動防御のためには、本発明の免疫原性組成物でできているワクチンで哺乳 動物を免疫し、次いで、その哺 乳動物から免疫原性抗体を回収することによって、免疫原性抗体を製造する。 本発明はまた、免疫原性を示す量の本発明の組成物を投与することによって、 A群ストレプトコッカス細菌による感染に対して哺乳動物を免疫する方法も提供 する。 もう一つの実施態様では、本発明は、免疫原性組成物を製造する方法であって 、GASPをリポソームに共有結合させる工程;疎水性タンパク質を可溶化する のに適した緩衝液に、そのリポソームを溶かす工程;溶かしたリポソームを、緩 衝液に溶かしたタンパク質と一緒にして、リポソームとタンパク質との複合体を 形成する工程を含む方法を提供する。次いで、このタンパク質/リポソーム複合 体を緩衝液から分離する。 本発明の目的は、予防及び診断の目的のための用途を有する抗体を出現させる のに有用な、免疫原性組成物を提供することである。本発明のもう一つの目的は 、免疫原性を示す量のGASPを投与することによって、A群ストレプトコッカ ス細菌に対して哺乳動物を免疫する方法を提供することである。もう一つの目的 は、GASPをタンパク質に共有結合させて、免疫原性結合体を形成する方法を 提供することである。好適実施態様では、この結合体は、 (式中、R′は、末端還元性糖の還元及び酸化生成物である)で示される式を有 する。本発明の更なる目的は、A群ストレプトコッカスの感染及び疾患に罹患す るおそれが最もある集団、すなわち成人、妊婦及び、特に、幼小児でのA群スト レプトコッカスによる感染に対する防御を与える免疫 原性組成物の用途である。 図面の簡単な説明 図1は、A群の炭水化物(図1A)及びA群の変種の炭水化物(図1B)の構 造図を模式的に表したものである。A群炭水化物の三次元構造の描写は、この炭 水化物の血清学的特異性が、この炭水化物のN−アセチルグルコサミン部分に対 するものであることを明確に裏付ける。 図2は、トリニダード及びニューヨークからの年齢5歳及び10歳の正常な小 児での、A群ストレプトコッカス炭水化物抗体のELISAによる力価測定をグ ラフで示したものである。読みは、405nmでの1.0ODの終点測定であった 。 図3は、A群−リポソームに反応する抗体を有することが既知であるヒト血清 を用いた阻害ELISA研究をグラフで示したものである。血清を、405nmで OD値1.0を示すよう適切に希釈し、様々な濃度の様々な抗原と37℃で1時 間混合して、10,000rpmで5分間遠心分離した。上清を、実施例3に記載 のELISAアッセイで、反応性について試験した。データは、試験した血清の 平均を表す。 図4は、洗浄したヒトの血液を用い、これに、実施例1に概説したように、R PMI及び補体を含む試験管に各種の血清を加える、間接殺菌性アッセイをグラ フで示したものである。最初の接種物は、9CFUのA群6型ストレプトコッカ スであった。パネルAは、正常ウサギ血清を含む回転させたチューブ内の生物の 生育を示す。パネルBは、A群炭水化物に反応する高ELISA力価のヒト血清 を有する静置したチューブ内での生育を示す。パネルCは、パネルBと回転させ たチューブ内であること以外同じである、ヒト血清による生育阻害を示す。 図5は、図4に記載の間接殺菌性アッセイをグラフで示したもの である。生物は、血清型3(D58/11/3株)、血清型6(S43株)、血 清型14(S23/101/5株)及び血清型28(T28/isoA/5株) であった。左の軸は、静置したチューブと対比させた回転させたチューブでのコ ロニー形成単位の数を示す。右の軸は、静置したチューブと対比させた回転させ たチューブでの生物の殺菌パーセントを示す。 図6は、間接殺菌性アッセイに対するヘパリンの効果をグラフで示したもので ある。間接殺菌性アッセイは、記載のとおりに、しかし二回実施した。一方の組 の静置したチューブ及び回転させたチューブにヘパリン(5単位/ml)を加え、 他方の組のチューブは、正常な殺菌性アッセイの対照とした。Lancefieldが記載 した方法にならった殺菌性アッセイに用いたヘパリンの基準量は、10単位/ml である(33〜35)。認識できるとおり、ヘパリンは、通常記載される濃度の 半分で、抗A群炭水化物抗体に依存する殺菌量を劇的に減少させた。 図7は、ELISAアッセイで測定した限りでの、抗A群アッセイの炭水化物 力価の殺菌性アッセイをグラフで示したものである。17個体のヒト血清を、血 清型6の生物を用いて両アッセイで試験した。200,000を超えるCHO力 価を示す血清はすべて(13/13)、殺菌性アッセイで80%を超える殺菌を 示すことに注目されたい。対照的に、200,000未満の力価を有する4血清 のうち一つだけが、この生物のオプソニン食作用を促進し、食作用の程度は、よ り高い力価の血清で観察された程度よりはるかに低かった。 図8は、実施例1に記載したようなオプソニン食作用による殺菌性アッセイを グラフで示したものである。生物の食作用を、静置した対照に比しての、生物の 殺菌のパーセントで示す。棒グラフは、N−アセチルグルコ サミンアフィニティーカラムによる吸着前の殺菌パーセント、アフィニティーカ ラムによる吸収後の殺菌パーセント、及びカラムから溶出した抗体の殺菌パーセ ントを示す。N−アセチルグルコサミンアフィニティーカラムによる吸収後では すべての血清の殺菌が全くないこと、及びアフィニティーカラムからの抗体の溶 出後ではオプソニン食作用による殺菌活性が部分的に回復していることに注目さ れたい。標準誤差は、殺菌が完全に欠如した、吸収された血清の場合を除き、そ れぞれの場合に示してある。 図9は、A群ストレプトコッカス炭水化物による免疫化後に、高力価の抗A群 炭水化物抗体を有することが公知である、ウサギ血清のオプソニン食作用指数を グラフで示したものである。生物の食作用を、静置した対照に比しての、生物の 殺菌のパーセントで示す。<50,000の力価の生物の食作用の欠如、75, 000の力価での殺菌の漸増、及び100,000を上回る力価での完全な食作 用に注目されたい。これらの研究に用いた生物はA群6型株であり、接種物は4 コロニー形成単位であった。 発明の詳細な説明 他の炭水化物抗原、すなわちニューモコッカスの(27)、メニンゴコッカス の(4)、及びヘモフィルスの(5)ポリサッカライドによる防御の年齢関連誘 導と一緒にヒト血清中の炭水化物抗体を検出する公知の血清学的データを考慮し て、本発明者らは、正常集団と、ストレプトコッカス感染集団との双方での炭水 化物抗体の存在について、様々なヒト血清を再試験することにした。これらの調 査には、ストレプトコッカス感染後の続発症の患者も含まれた。精製したA群炭 水化物を合成ホスファチジルエタノールアミンに共有結合させ、リポソームに組 込み、ELISAに基 づくアッセイに用いた。本発明は、A群炭水化物抗原に対する抗体が、ヒト血清 中に容易に検出されることを立証する。その上、地理的集団、及びストレプトコ ッカス性疾患への曝露に応じて、これらの抗体の量には、年齢に関連する依存性 がある。A群炭水化物に対する抗体力価の上昇は、公知のストレプトコッカス感 染の後にも立証された。これらの抗体、又はこれらの抗体のA群炭水化物に反応 する一部がオプソニン食作用を促進できるか否かという問題に取り組むために、 本発明者らは、改変したLancefield殺菌性アッセイを用いた。得られたデータは 、これらの抗体がオプソニン性であり、これらのオプソニン性A群炭水化物抗体 に対するエピトープが、非還元性末端N−アセチルグルコサミン残基であること を立証する。 本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるA群ストレプトコッカス細菌に よる感染に対する防御のための、免疫原性組成物と、免疫化の方法との双方を提 供する。本発明の免疫原性結合体は、A群ストレプトコッカスポリサッカライド (GASP)を、適切なタンパク質又はリポソーム形成リン脂質に共有結合で結 合させることによって形成される。 A群ストレプトコッカスの単離及び生育、ならびにA群ポリサッカライドの調 製は、McCarty(28)及びDuboisら(31)が記載したとおりの手順に従って 達成され、これらを参考として援用する。単離されたGASPは、下記: (式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり、nは 、免疫原性であるのに充分な平均分子量のポリサッカライドを規 定するのに充分大きい、繰り返し単位の数である)で示される化学構造を有する 。好ましくは、nは約1〜約50である。更に好ましくは、nは約3〜約30で あって、最適量は約20である。本明細書中で用いられる限り、ポリサッカライ ドという用語は、いかなるものであってもよいサッカライドの重合体を包含する ことを意味し、ジサッカライド、オリゴサッカライド等々を包含する。上記ポリ サッカライド構造を生産するA群の変種ストレプトコッカスの培養物は、アメリ カンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection,Rockv ille,MD)に寄託されている。GASPは、個体に免疫応答を誘発するのに充分 な大きさのものでなければならない。最も好ましくは、平均分子量が約10,0 00キロダルトンである。単一繰り返し量のGASPは、約500キロダルトン の分子量を有する。 本発明の好適実施態様では、GASPはタンパク質に共有結合して、結合体を 形成する。そのような結合体は、好ましくは、ポリサッカライドに対する免疫応 答を、T細胞非依存性であるそれについては、T細胞依存性に転換する。したが って、個体が忍容し、かつT細胞依存性応答を誘発できる、いかなるタンパク質 又はそのフラグメントも、GASPとの結合物に適している。基本的には、いか なるタンパク質も、結合タンパク質となり得る。具体的には、選ばれるタンパク 質は、A群ポリサッカライドとの結合に用いるための、少なくとも1個の遊離ア ミノ基をもっていなければならない。好ましくは、このタンパク質は、いかなる ものであってもよい天然又は組換え細菌性タンパク質であり、それ自体、幼若哺 乳動物と成体哺乳動物との双方に、T細胞依存性応答を誘発する免疫原である。 そのようなタンパク質の例は、破傷風トキソイド、コレラトキシン、ジフテリア トキソイド及びCRM197を包含するが、これらに限定されない。結合体 タンパク質のその他の候補は、シュードモナス、スタフィロコッカス、ストレプ トコッカス、百日咳菌、及び大腸菌をはじめとするエンテロトキシン産生性細菌 を包含する。 好適実施態様では、本発明の結合体分子は、末端還元性糖の修飾された形態を 介してGASPが結合する、タンパク質のコアを含む。そのため、そのような結 合体分子は、単官能化GASP結合タンパク質を含む。好ましくは、複数のGA SP、より具体的には約1〜12のGASPが各タンパク質に結合している。最 も好ましくは、少なくとも約5GASPが各タンパク質に結合している。 もう一つの実施態様では、GASPは、各GASPの2個以上の部位を介して タンパク質に結合している。殺菌性エピトープは、GASP繰り返し単位の側鎖 に存在すると思われるため、GASPの官能化、及びタンパク質との結合は、免 疫原性を示す量の殺菌性エピトープを保存するような方法で、実施しなければな らない。 GASPが結合するタンパク質は、未変性トキシン又は無毒化トキシン(すな わちトキソイド)であってよい。また、タンパク質トキシンの無毒の突然変異形 態を用いてもよい。好ましくは、そのような突然変異は、未変性トキシンのエピ トープを保持する。そのような突然変異させたトキシンは、「交差反応性物質」 、すなわちCRMと呼ばれている。活性ジフテリアトキシンからのただ1個のア ミノ酸の変化を有し、免疫学的にはそれから区別できないCRM197は、幼児に 広く用いられているHaemophilus influenzaeの結合ワクチンの成分である。 CRM197タンパク質を生産するCorynebacterium diphtheriaC7株(β19 7)の培養株は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Rockville,MD)に 寄託されている(受託番号ATCC第53281 号)。 タンパク質のフラグメントも、T細胞エピトープを規定するのに充分な長さ、 すなわち、好ましくは少なくとも10アミノ酸のものであるならば、GASPに 結合するのに用いてよい。 非常に多くの結合方法が、本発明のA群ポリサッカライド−タンパク質結合体 を生成するのに用いられ得る。好ましくは、用いられる方法は、ラムノースの3 位にグリコシド結合したβ−D−GlcpNAc側鎖に存在する、殺菌性エピト ープの免疫原性を保存する方法になると思われる。ただ1個のGASPが、2個 以上のタンパク質分子を結合するときは、得られる結合体は、そのタンパク質に 関して架橋結合している。架橋結合の程度、及び結合体分子全体の大きさは、結 合反応の際に用いられる、当業者には周知の条件のルーチンな変数によって調節 してよい。そのような変数は、例えば、結合反応の速度、ならびに反応混合物中 に存在するタンパク質及びGASPの比率を包含する。 ポリサッカライドをタンパク質に結合するための様々な化学的方法が、当該分 野において公知であり、かつ記載されている。例えば、米国特許第4,644,059号 (本明細書中で参考として援用する)は、ホモ二官能性リンカーとしてアジピン 酸ジヒドラジド(ADH)を用いて製造した結合体を記載している。米国特許第 4,695,624号(やはり本明細書中で参考として援用する)は、バイジェネリック な(bigeneric)スペーサーを用いてポリサッカライド及び結合体を製造する方法 を記載している。結合体を設計するのに用いられる様々な調製法及びファクター の概説が、William E.Dick及びMichel Beurret,Contrib.Microbiol.Immunol . (1989),Vol.10,pp.48-114で考察されており、やはり本明細書中で参考として 援用する。本発明のGASP−タンパク質結合体の好適な結合方法は、米国 特許第4,356,170号(やはり本明細書中で参考として援用する)に記載の還元的 アミノ化である。略述すると、この好適実施態様では、GASPの末端還元性糖 を、穏やかな還元剤、例えば水素化ホウ素ナトリウム又はその等価物を用いて還 元して、環を開裂する。 次いで、メタ過ヨウ素酸ナトリウム又はその等価物による選択的酸化を用いて 、末端アルデヒド基を形成する、先に還元した糖部分の末端ビシナルヒドロキシ ル基を酸化する。これが、選ばれたタンパク質担体に共有結合できることになる 、活性化されたGASPを形成する。本発明のもう一つの実施態様では、この活 性化GASPを、リポソームの形態である、ホスファチジルエタノールアミンの ようなリン脂質に共有結合させてもよい。活性化GASPの化学構造は、下記: (式中、R′は、末端還元性糖の、アルデヒド残基(CHO)を形成する部分以 外の、末端還元性糖の還元及び酸化生成物である)のとおりである。ポリサッカ ライド約10mgを、適切には、約20mMのメタ過ヨウ素酸ナトリウム溶液約1ml を用いて、室温で約10〜15分間で酸化する。反応時間は、同等の酸化を得る ために、過ヨウ素酸塩の別の分量を調節して変化させることができる。末端還元 性糖の還元及び開裂は、還元性糖のビシナルヒドロキシル基を、グリコシド結合 したβ−D−GlcpNAc側鎖に存在するそれよりはるかに反応性にさせる。 しかし、追加の結合部位も同様に、グリコシド結合したいくつかのβ−D−Gl cpNAc残基の酸化を通じて生じてもよい。次いで、活性化GASPと、選ば れた結合性タンパク質とを、シアノホウ水素酸(cyanoborohydrate)イオン又は 他の 還元剤の存在下で、担体タンパク質のアミノ基をGASPの末端アルデヒド基と カップリングさせることによって、結合させる。これによって、A群ポリサッカ ライドとタンパク質とが、式II: のとおり、−CH2−NH−タンパク質結合を介して結合される。この還元的ア ミノ化工程から得られるGASP−タンパク質結合体は、好ましくは、限定され た架橋結合を有し、好ましくは、水溶液に可溶である。これが、本発明のGAS P−タンパク質結合体をワクチンの用途に好適な候補物質にする。 本発明のもう一つの実施態様では、GASPを、免疫原性組成物を形成するリ ポソームに埋め込む。リポソームは、Bリンパ球に対する「キャッピング」効果 を誘導できる能力のために、結合体に用いられることが多い。理論に拘束される ことなく、GASP−リポソーム結合体は、キャッピング、それによるB細胞リ ンパ球の活性化を通じて、抗体力価を上昇させると考えられている。キャッピン グの現象は、細胞生物学の分野では周知である。略述すると、リポソームの構造 的特徴のために、リポソームは、抗原とともに埋め込まれ、それによって、多価 免疫原性構造を創出することができる。リポソームの細胞膜のレセプター分子が 可動であるため、これらのレセプターの多くは、二価の試薬によって架橋結合さ れて、二次元性沈降領域、すなわち「パッチ」を形成できる。これらのパッチは 、B細胞リンパ球の極性末端で合体又は集積して、リンパ球の細胞膜にキャップ を形成する。抗原がB細胞リンパ球にキャッピングするこの作用は、エフェクタ ーヘルパーT細胞の存在下で実施されるならば、B細胞リ ンパ球による抗体生産を活性化することになる。 ポリサッカライドをリポソームに結合させる様々な方法が、当該技術分野にお いて公知であり、記載されている。例えば、米国特許第5,283,185号(本明細書 中に参考として援用する)は、カチオン性脂質と補助脂質(co-lipid)との混合 脂質分散物を調製し、次いで、この分散物に核酸を導入して複合体を形成するこ とによる、細胞内への核酸の移入を記載している。そうして、細胞をこの複合体 で処理する。本発明の好適実施態様では、微細な針による注人、又は、好ましく は、Fillit,H.M.Milan Blake,Christa MacDonald及びMaclyn McCarty(1988) ,Immunogenicity of liposome-bound hyaluronate in mice,J.Exp.Med.,16 8:971-982(本明細書中に参考として援用する)に記載の音波処理のいずれかに よって、脂質を水溶液に分散することによって、リポソームを生成する。 GASP成分に共有結合させたリン脂質を含むリポソームを調製するには、公 知の方法を用いてリポソームを形成する。例えば、本発明の一実施態様では、ホ スファチジルエタノールアミンをクロロホルムのような溶媒に溶かし、容器に加 える。溶媒のクロロホルムを除去し、それによって、容器をホスファチジルエタ ノールアミンで被覆する。水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のような水性 緩衝液を容器に加え、混合物を音波処理してリポソームを形成する。次いで、好 ましくは還元及びその後の酸化によって、活性化しておいたGASPを等モル量 のリポソームに加え、生理食塩水、リンゲル液又は、最も好ましくは、リン酸緩 衝生理食塩水(PBS)の存在下で、2成分を一晩混合する。次いで、混合物に シアノホウ水素化ナトリウム(sodium cyanoborohydride)を加えて、ホスファチ ジルエタノールアミンとGASPポリサッカライドとの間に安定的な共有 結合を形成する。遠心分離、分子ふるいクロマトグラフィー又は透析によって、 式III: (式IIIのR′及びnは、前に記載したとおりであり、R2はホスファチジルエタ ノールアミンである)に示したような最終生成物をシアノホウ水素化ナトリウム から分離してよい。 好適実施態様では、GASP−リポソームをタンパク質と一緒にして、疎水性 タンパク質をリポソームに組み込む。一方法によれば、GASP−リポソームを β−オクチルグルコシドの5%溶液中で可溶化する。リポソームに加えようとす るタンパク質も、5%のβ−オクチルグルコシド中で可溶化し、タンパク質とリ ポソームとを一緒にする。タンパク質をリポソームに組み込むために混合した後 、β−オクチルグルコシドを透析によって除去する。そうして、得られたGAS P−リポソーム−タンパク質複合体は、免疫原又はワクチンとして用いてよい。 Fillit,H.M.,M.McCarty及びM.S.Blake,(1986),The induction of antib odies to hyaluronic acid by immunization of rabbits with encapsulated st reptococci,J.Exp.Med.,164:762-776(本明細書中に参考として援用する) に記載のベンゾキノンの使用によるような、他の比較的好適ではない手法を用い て、GASPをリン脂質に結合してもよい。しかし、そのような試薬の使用は、 本発明の組成物をワクチンとして用いようとするならば、望ましくない可能性が ある。 本発明の免疫原性組成物は、予防及び診断の目的に有用な抗体を出現させる手 段として用いてよい。診断は、A群ストレプトコッカスによっ て生起される様々な感染及び疾患を監視し検出する際に、特に有用である。本発 明のもう一つの実施態様では、A群ストレプトコッカスの感染又は疾患にかかる おそれのある個体で、能動及び受動双方の免疫防御に用いるための免疫原として 、免疫原性組成物を用いる。受動的防御のために用いられる免疫原性抗体は、い かなるものであってもよい本発明の免疫原性組成物で哺乳動物を免疫し、次いで 、γ−グロブリン画分中の、又は血清としての、あるいは該哺乳動物からの特異 的抗体として、殺菌性抗体を回収することによって、製造する。本明細書で用い られる限り、本発明のワクチンは、A群ストレプトコッカス細菌の感染に対して 役立つか、又は防御を与える抗体を誘発することが可能である。 その上、A群ポリサッカライドは、単独で、好ましくは水酸化アルミニウム、 リン酸アルミニウム、モノホスホリル脂質A、QS21又はステアリルチロシン のようなアジュバントを伴う免疫剤として、用いてよい。本発明のもう一つの実 施態様は、A群ストレプトコッカスによる感染に対する免疫防御として、免疫原 性組成物を用いることである。特に、本発明は、A群ストレプトコッカス細菌の 感染及び疾患に罹患するおそれの最もある集団、すなわち成人、妊婦及び、特に 、幼小児のために防御を与えることになると思われる。 本発明の免疫原性組成物及びワクチンは、代表的には、薬理学的に受容可能な 適切な担体、例えば生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水その他の注射可能液体に 、GASP又は結合体を分散させることによって形成する。ワクチンは、非経口 的に、例えば皮下、腹腔内、又は筋肉内投与する。ワクチン中には、慣用の添加 物、例えば、乳糖又はソルビトールのような安定剤、及びリン酸アルミニウム、 水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、モノホスホリル脂質A、QS21又は ステアリルチロシンのよう なアジュバントも存在してよい。 免疫原性組成物の投与量は、免疫原性として有効な結果を誘発する投与量にな る。投与量は、通常、体重1kgあたり約0.01〜約10μgの範囲内である。 最適免疫のためには、一連のものとしてその投与量を与えてよい。投与単位形態 のワクチンは、約0.01〜約10μg(マイクログラム)と等価のGASP又 は結合体の量で与えられ得る。 下記の非限定的な実施例によって、本発明を説明する。 実施例1 生育方法、調製方法及びA群ストレプトコッカス炭水化物抗体のアッセイ方法 、並びに成人及び小児におけるそれらの新規なワクチンとしての使用方法を以下 にあげる: A群ストレプトコッカスの生育 −70℃のA群ストレプトコッカスのシードストックを、3g/LのTodd Hewitt Broth及び3g/Lのイーストエクストラクト(GAS培地)を含む培地プレート 上に画線接種(streak)した。このプレートを37℃で48時間インキュベーショ ンした。この時点で、コロニー(8−9)を200mlのGAS培地振盪フラスコ に移し、18時間、37℃で、120rpmで生育させた。シード培養物(150m l)を15Lの発酵槽(New Brunswick,BioFlo 4)のTodd Hewitt Brothに移した。 培養物を7〜8時間pH7.0で37℃で生育させる。培養物が定常期(600nm での吸光度が約1.5)に達したときにグルコースを3g/L添加した。培養物を 更に8時間生育させ、採取した。最終的な吸光度は600nmでおよそ2.7であ る。 A群ストレプトコッカスのポリサッカライドの調製 水600ml中の60gのA群ストレプトコッカスの細胞を75mlの4N の硝酸ナトリウム及び75mlの氷酢酸とあわせた。この溶液を15分間撹拌し、 ss34ローターで11,000rpmにて10分間遠心分離した。この上清を取 り出し、水で透析して凍結乾燥した。凍結乾燥した粗抽出物から、溶出液として PBS用いてSephadex G-50カラム(Pharmacia)を通してゲル濾過することにより A群ポリサッカライドを精製した。カラムから溶出した画分をDubois(30)のフェ ノール硫酸アッセイを用いて炭水化物の存在に関してモニターした。炭水化物陽 性画分をプールし、4℃で水で透析して凍結乾燥した。このポリサッカライド調 製物(240mg)は、1%(w/w)未満のタンパク質と核酸を含んでいた。その純 度をAM-500 BRUKERスペクトロメーターを用いて500MHzの1H−NMRにより 更に確認した。 リポソームの調製:A群ストレプトコッカス炭水化物をMcCarty(28)によって 先に記載された方法により単離した。凍結乾燥した材料を再懸濁して10mg/ml に調整し、Fillitら(18)によって先に記載されたベンゾキノン(ストレプトコッ カスヒアルロン酸塩として本明細書中に参考として援用する)を結合剤として用 いる方法を用いてリポソームに共有結合させた。簡単に述べると、GASPをベ ンゾキノンと反応させて活性化された中間体を形成させる。次いで、この中間体 を更にリポソームの形態のホスファチジルエタノールアミンと反応させて免疫原 性GASP−リポソーム複合体を形成させる。 ELISAアッセイ:ELISA法は、以下の改変をともなって実質的にFillitら(18)に よって記載された方法であった。ヒトの血清による予備試験は、マイクロタイタ ープレートを感作するための、PBS中0.5μgCHO/ml、pH7.2のリポ ソーム調製物が、リポソーム対照調製物に対して最小のバックグラウンドを有す る最良の結果を与えることを示した。 したがって、マイクロタイタープレート(Dynatech plates,USA)の1ウェルあた りに100μlの調製物を入れ、37℃で一晩インキュベーションした。次いで 、このプレートをELISA洗浄緩衝液(10mM酢酸ナトリウム、100mMNa Cl、0.1% Brij 35,pH8.0)で3回洗浄した。ヒト血清を同じELIS A緩衝液で希釈し、得られた100μlの血清希釈物をそのプレートに入れて3 7℃で1時間インキュベーションした。すべての血清を2個ずつ行った。適切に 洗浄した後、ヤギF(ab′)2抗ヒトIgG(γ鎖特異的)又はIgM(μ鎖 特異的)、アルカリホスフアターゼ結合体(Tago,Inc.,USA)の1:1,000 希釈物を二次抗体として用いて更に1時間37℃でインキュベーションした。更 に3回ELISA緩衝液で洗浄した後、0.1Mジエタノールアミン、pH9.6 中のホスファターゼ基質(Sigma 104)をそのウェルに添加し、そのプレートを1 時間37℃でインキュベーションして405nmでElida V(Physica Co.)装置で 読み取った。その希釈率での読みが1.0を与える力価が報告された。 殺菌性アッセイ:Lancefield(15,25,26)によって記載された間接的殺菌性ア ッセイは、以下のようにして行った:種々の株の生物を37℃で18時間Todd H ewitt Brothで生育させる。一晩培養したもののサンプルを最初に新鮮なTodd He witt Broth中で1:2に希釈し、更に2時間37℃で生育させた。懸濁物を1: 100に希釈した後、50μlのTodd Hewitt Broth中に5〜15コロニーの間に 分配されるように連続して2倍希釈を行った。ヘパリン処理した血液をヒト食細 胞用供給源として用いた。食細胞懸濁物中の自己血漿の存在を避けるため、この 血液を2,000rpmで10分間遠心分離して血漿を取り除き、ペレットをPB S(pH7.2)で3回洗浄し、最後に、もとの血液サンプルと同じ容 量になるようにRPMI(Gibco-BRL,Co.,Rockville,MD)で懸濁した。少量の抗 炭水化物抗体を有することが知られている正常なドナーから新しく単離した血清 を用いて補体をこのアッセイ系に供給し、そしてこの血清は繰り返しA群ストレ プトコッカスによって0℃で吸収され、アリコートにして−70℃で保存された (29)。使用する前に、この補体供給源を、補体活性及びA群炭水化物抗体が 存在しないことの両方に関して分析した。この殺菌性アッセイは、密閉されたチ ューブ内で2本ずつ行った。反応混合物は以下のとおりである:RPMIに懸濁 された300μlのヒト食細胞、100μlのヒト補体、200μlの試験すべき 血清、及び50μlの希釈したストレプトコッカス培養物。Lancefieldのアッセ イのように、2本のチューブのうち1本を37℃で3時間上下に回転させ、2本 目のチューブはコントロールとし、同じ温度で静置した。3時間後、各チューブ から100μlを血液寒天注入プレート(blood agar pour plate)に接種し、一 晩37℃でインキュベーションした。次いで、各プレート上のコロニー数を計数 した。オプソニン食作用(opsonophagocytic)を、特定の血清のストレプトコッカ ス殺菌の%とし以下の式により計算した:(1−回転させた試験血清中のcfu/静 置したチューブ中のcfu)×100。 ヒト血清のN−アセチルグルコサミン抗体の吸収:PBS中のSepharoseビー ズ(Sigm aChemical Co.)に結合させたN−アセチルグルコサミンの50%懸濁物 600μlを滅菌エッペンドルフチューブに入れ、4℃で14,000rpmにて1 0分間遠心分離した。上清を取り除き、300μlの血清をビーズに添加した。 懸濁物を37℃で1時間上下に回転させた。同じ条件でもう一度遠心分離した後 、吸収された血清を取り出して先に記載したように殺菌性アッセイに使用した。 アフィニティーカラ ムからN−アセチルグルコサミンを取り出すために、吸収された抗体を含むビー ズを1mlのツベルクリンシリンジにパックし、それに0.15MのNaCl、pH 2.2中の0.58%(v/v)氷酢酸を通過させた。溶出物を280nmでの吸収に よりモニターし、そのピーク画分を集め、PBS(pH7.2)で透析して、Amic on centriprep 30 concentrator(Amicon,Beverly,MA)を用いて濃縮し、もと の血清容量に戻した。 ヒト血清:この研究に関与した個体は、トリニダード、ニューヨーク市、及び グレートレイク海軍トレーニング基地のものであった。彼らの年齢は、5〜20 歳の範囲であった。血液は静脈穿刺により取得し、血清は標準的な滅菌技術によ り回収した。すべての血清の年齢、由来、及び健康状態は表Iに示すとおりであ る。 殺菌性アッセイ:ヒト血清がA群炭水化物抗体を有すること、及びこれらの抗 体の力価は個体により変動することが確立されたので、本発明者らは次に、これ らの抗体がインビトロアッセイ系においてもオプソニン食作用を増進するかとい う問題に取り組んだ。殺菌性アッセイは Dr.Lancefield(15,25,26)によって用いられたものと実質的に同じであり、ヒ ト血清の試験のため上記のような改変をともなった。図4は、食作用アッセイの 結果を示す。A群ストレプトコッカス株の血清型6の9コロニー形成単位を接種 することにより、正常ウサギ血清の存在下で回転させたチューブ内のコロニー数 が著しく増加した(パネルA)。パネルBは、ヒト血清を用いた静置したチュー ブ内のわずかな増加を示す。明らかに対照的に、ヒト血清を入れて回転させたチ ューブ(パネルC)は、完全に生物の生育を阻んでいた(パネルB及びCを比較 )。 観察されたA群ストレプトコッカスのオプソニン食作用は、1つの血清型に限 定されないことを確かめるため、Mタンパク質血清型が異なる他の3つのA群株 を用いて、これらの実験を繰り返した。図5からわかるように、他の3つの株は すべて6型株に観察されたのと同様の形式でヒト血清存在下で食作用を示した。 殺菌された割合は、回転させたチューブと静置したチューブを比較した場合80 〜100%で変動した。血清型3、14、28株はDr.Lancefieldが彼女の食作 用アッセイ(15,25,26)に用いたのと同じ株である。 抗CHO力価とヒト血清によるオプソニン食作用間の関係:食作用アッセイを 用いると、ヒト血清は、A群ストレプトコッカスの食作用を増進する能力におい て異なることがあきらかである。一般に、与えられた血清の食作用特性は抗A群 炭水化物抗体の力価と相関した。図6からわかるように、200,000以上の 力価を示しているすべての血清は、80%以上殺菌したが、200,000未満 の力価の4血清のうち3つはそうではなかった。CHO力価が40,000であ る1つの血清は食作用を増進したが、殺菌力は高力価の抗CHO清で観察される 殺菌力より遥かに低かった。 ヘパリン処理した血液とヘパリンのない血液でのアッセイにおけるヒト血清に よる食作用の研究 :ヘパリンが多くの補体の成分に結合して不活性化する能力、 及び本発明者らの食作用アッセイと以前に用いられたそれらとを相関させる能力 が公知なので、上記の正常ヒト血清のオプソニン食作用能力を、ヘパリン存在下 及び非存在下で食作用アッセイにおいて試験した。ヘパリン処理したヒト血液を 静脈穿刺により取り出し、上記のように多量のPBSで洗浄し、2つのアリコー トに分けた。1つのアリコートはRPMIで元の容量に再懸濁し、上記のように オプソニンアッセイを行った。2つ目のアリコートは同じように処理したが、5 単位/mlのヘパリンを加え、その後もう一方のアリコートと同じようにアッセイ を行った。 図6に示す結果により、ヘパリン非存在下ではヒト血清によるA群ストレプト コッカスの食作用は平均94%であったことが明らかにされる。しかし、ヘパリ ン存在下では、同じ血清が同じ接種物で平均12%の食作用しか達成し得なかっ た。 吸収実験:ストレプトコッカス炭水化物部分のどの部分が殺菌性作用を行って いるかを決定する努力において、ヒト血清を、方法の部で記載したように、Seph aroseビーズに結合させたN−アセチルグルコサミンに吸収させた。次いで、吸 収された血清及び吸収されなかった血清を標準的な殺菌性アッセイに用いた。図 7は、これらの実験の結果を示す。吸収されなかった血清は明らかにストレプト コッカスの食作用を高めた。対照的に、ビーズに結合させたN−アセチルグルコ サミンに吸収された血清は、オプソニン化した抗体を寄せ付けなかった。生育対 照としての正常ウサギ血清は、食作用を高めなかった。これらの実験は、本発明 者らの殺菌性アッセイにおいては、A群炭水化物の非還元末端N−アセチルグル コサミン残基 に対する抗体がA群ストレプトコッカスの食作用において非常に重要であること を示した。これらの結果を確認するために、N−アセチルグルコサミンアフィニ ティーカラムに吸収された選択された血清由来の抗体を溶出させ、殺菌性アッセ イに用いた。図9に示されるように、これらの実験は、このアフィニティーカラ ムから溶出したN−アセチルグルコサミン特異的抗体が、この血清の食作用性殺 菌活性を部分的に回復させ得ることを示した。 A群ストレプトコッカス炭水化物に反応性の、沈降性抗体及び非沈降性抗体を 測定するために設計された方法を用いて、この炭水化物をホスファチジルエタノ ールアミンに共有結合させ、マイクロタイタープレートに結合し得るリポソーム に組み込んだ。この方法は、大部分のヒト血清がA群ストレプトコッカスポリサ ッカライドに対する抗体を含んでいることを明らかに証明する。 驚くべきことに、本発明者らは、地理的に異なる地域の小児は、A群炭水化物 に対するそれらの力価において著しい差異を示すことを見いだした。ストレプト コッカス被曝量(膿痂疹及び咽頭炎の両方)は、ニューヨークに比べるとトリニ ダードの方が高いが、ストレプトコッカス感染は、ニューヨークでも一般的であ る。このような状況において、Zimmermanら(23)は、注意深くモニターされ、A 群ストレプトコッカス感染が処置されている患者のモニターされていないグルー プと比較して低いA群炭水化物抗体の力価に注目した。更に、一般に、炭水化物 抗原は、T細胞とは独立しており、したがって、抗原への反復した曝露が抗体応 答を導き出すために必要であることが考えられる。 猩紅熱の急性期及び回復期にある患者から得た血清を用いた研究は、A群スト レプトコッカス炭水化物に対する抗体力価は、すでにその疾患の 開始時には存在していたが、回復期には2倍に増加したことを示唆している。急 性のストレプトコッカス感染の後のARF血清を試験した場合、A群炭水化物の 力価は、合併性猩紅熱血清と比較して、猩紅熱の開始にともなって提示される時 点の方が低いが、ARFにともなって提示される時点では、4倍に増加していた 。このことは、おそらく、合併性猩紅熱患者と比較して、抗原に対するより強い 免疫応答を示唆する。A群炭水化物に対する抗体力価は、ARFを発現していな い猩紅熱患者においてみられる抗体力価より著しく低かった。A群炭水化物及び A群変種炭水化物を用いた阻害研究は、これらの抗体の大部分がその群の炭水化 物上のA群特異的非還元性末端N−アセチルグルコサミン残基に対するものであ りラムノース骨格に対するものではないことをはっきりと示す。 これらの炭水化物抗体がA群ストレプトコッカスのオプソニン食作用を増進す るかどうかという問題は、肯定的に解答され、オプソニン化の程度は抗炭水化物 抗体のレベルとよく相関していた。100,000未満のELISA力価は、一 般に効果的でないが、200,000以上の力価を有する大部分の血清は食作用 を高めた。重要な観察は、少なくとも他の3つの株の異なる血清型もまた食作用 を示したので、このオプソニン食作用がA群ストレプトコッカスの1つの血清型 に限定されないという事実であった。オプソニン化におけるN−アセチルグルコ サミン反応性抗体の役割の重要性は、ヒト血清由来のこれらの抗体の吸収がこの 血清の殺菌活性を完全に破壊したこと、そしてこれらの抗体が溶出され殺菌性ア ッセイに添加されて戻された場合、殺菌力が回復したことの事実によって証明さ れた。 ヒト血清を用いた殺菌性アッセイのキネティクス(反応速度論)に関するいく つかの観察は、コメントするに値する。第1に、殺菌性アッセイに おいては、ストレプトコッカスのわずかな接種量でも効果的であったが、多量の 接種はヒト血清が生物をオプソニン化する能力をしばしば埋没させてしまった。 第2に、殺菌活性は、はじめの頃、Dr.Lancefieldが彼女のヒト血清及び型特異 的抗体の研究(15,25,26)で観察したのと同様の方法で希釈しない血清を用いて 行われていた。対照的に、所定の型特異的タンパク質で免疫された動物血清は、 1:20又はそれ以上の希釈でも効果的であった。 実施例2 正常小児におけるA群炭水化物反応性抗体力価の比較:本発明者らの最初の努 力を、正常小児がA群ストレプトコッカス炭水化物に対する抗体を発現している かどうか、及びそれらの抗体の力価は個体の年齢及びその個体が住んでいる地理 的な地域によって変動するかということに向けた。したがって、A群炭水化物反 応性抗体力価を、材料と方法の部で記載したELISAアッセイにより、トリニ ダードの正常な5歳及び10歳の個体(ストレプトコッカス高被曝)から得た血 清について測定し、ニューヨークの同じ歳の小児(ストレプトコッカス低被曝) と比較した。図2は、5歳では、トリニダードの小児の94%が1:10,00 0未満の抗体力価を示し、その平均抗体力価は1:158,472であったこと を示す。これらの抗体力価は、10歳で試験された小児の血清と著しく異ならな かった。対照的に、ニューヨーク地域の5歳の小児は平均1:6,100という 著しく低い力価を示し、それは10歳では1:25,500に増加した。ニュー ヨーク地域のどちらの年齢の小児の力価も、ニューヨークの小児ではその69% が1:10,000より高い力価を有していたという事実によって示されるよう に、トリニダードの対応する小児の力価より明らかに低かった。 A群炭水化物に対する免疫応答がIgGクラスによるものかIgMクラスによ るものかを決定するために、以下の実験を行った。A群炭水化物に対して高い力 価を示している選択された血清を、ELISAアッセイにおいて405nmの読み が1.0となるように、適当に希釈した。次いで、各血清をアフィニティー精製 したヒト抗IgG又は抗IgMアルカリホスファターゼ結合体二次抗体を用いて 試験した。表IIに見られるように、ストレプトコッカス炭水化物に対して検出さ れた大部分の抗体は、IgGクラスであり、わずかに最小の反応がIgMクラス で見られた。 各血清は、ELIDA V リーダーで405nmでの吸光度が1.0の読みを与えるよう に適当に希釈された。 実施例3 A群反応性抗体の部分的構造決定:Zimmermanら(23)は、いくつかのヒト血清 が、A群変種ストレプトコッカスから単離されたその群の炭水化物と反応性の抗 体を含み、したがって、A群ポリサッカライド分子のポリラムノース骨格部分に 対してのものであったことを以前に示した。個々の血清中の末端N−アセチルグ ルコサミンA群決定基に反応性の抗体と比較し て、これらのラムノース骨格反応性抗体の量を測定するために、A群及びA群変 種の精製された炭水化物を両方とも用いて正常血清の阻害研究を行った。先のよ うに、A群炭水化物リポソーム複合体を用いてマイクロタイタープレートを感作 した。100μlの適当な血清を異なる濃度の炭水化物と混合し、37℃の水槽 で1時間インキュベーションした。この混合物を10,000rpmで5分間遠心 分離し、上清をELISAアッセイで反応させた。コントロールには生理食塩水 を混合した血清を入れた。図3に示すように、正常血清中の抗A群炭水化物反応 性抗体の大部分は、A群炭水化物部分、すなわち、N−アセチルグルコサミン決 定基に対するものであった。A群変種炭水化物でいくつかの阻害が観察されたが 、同じ程度の阻害を達成するために必要とされる量は、A群炭水化物より1,0 00〜5,000倍高かった。A群変種炭水化物は約4%N−アセチルグルコサ ミンが混入しているので(A群炭水化物では36%)検出された阻害のいくつか は、残存しているN−アセチルグルコサミンとの反応であり得る。このことは、 血清の免疫反応性の大部分が、精製N−アセチルグルコサミン(Sigma)添加によ りELISAアッセイにおいてA群抗体反応性が低下することによって観察され 得るN−アセチルグルコサミン部分に対するものであることを示した。このこと は、非常に関係のあるモノサッカライドN−アセチルグルコサミンの添加により いかなる阻害もないことと直接比較できる。 実施例4 ARF患者における抗A群炭水化物抗体力価とAPSGN患者における力価と の比較 :抗A群炭水化物抗体力価が、詳細に記録されている(well documented) ストレプトコッカス感染後の続発症の患者によって異なるかどうかを測定するた め、急性のリュウマチ熱患者(ARF)から得 た血清サンプルを、急性のストレプトコッカス感染後の糸球体腎炎患者(APS GN)から得た血清と比較した。すべての血清はトリニダードで入院加療され詳 細に記録されたARF及びAGN患者から入手し、その疾患の急性期の治療の前 に取り出した。表IIIは、その結果をまとめたものであり、疾患の開始時では、 ARF患者と比べてAPSGN患者の血清中では、A群炭水化物に対する反応性 が高い(<50%)ことがわかる。トリニダードの正常な小児と比較した場合、 これらの患者の力価とトリニダードの正常な小児の力価との間には著しい違いが あった(図2参照)。 実施例5 合併性ストレプトコッカス感染症とARFの対比による患者の抗A群炭水化物 抗体力価の測定 :グレートレイクの血清の採集は全て1964年にグレートレイ ク海軍トレーニング基地で猩紅熱にかかった患者から得た。これらの患者の少数 は引き続き古典的なARFを発症した。したがって、血清は以下のようなこれら の患者から選択した:1)猩紅熱の急性の開始時、2)猩紅熱の回復期(4週間 後)、又は3)急性のストレプトコッカス感染後のARFの開始時(3〜4週間 目)。表IIIは、少数の場合においては、A群炭水化物に対する反応性は疾患の 開始時(猩紅熱を提示した時点と定義する)と比べると回復期には増大したこと を示す。A群炭水化物に対する抗体力価のこれらの増大は、合併性猩紅熱並びに 猩紅熱を発症して4週間後のARFの患者において見られた。研究した数は少な いが、ARFの患者においては、猩紅熱の開始時点でも、4週間後のリュウマチ 熱の発症の時点でも合併性猩紅熱のケースと比較した場合、A群炭水化物に対す る力価は低いということは興味深い。 実施例6 A群ポリサッカライド−タンパク質結合体 A.A群ポリサッカライドの還元性末端のNaBH4還元 精製A群ポリサッカライド(GASP)(100mg)を10mlの水に溶解し、 この溶液のpHを0.5NのNaOHで10に合わせた。固体NaBH4(100mg) をこの溶液に加え、次いで、この反応混合物を室温で2時間インキュベーション し、過剰な水素化ホウ素を1MのAcOHで分解した。この溶液を冷所で水で透 析し、凍結乾燥させ、91mgの還元GASPを得た。 B.制御された過ヨウ素酸塩酸化によるA群ポリサッカライドへの末端 アルデヒドの導入 還元されたGASP(90mg)を4.5mlの水に溶解し、次いで、4.5mlの5 0mMNaIO4とあわせた。室温で30分後、過剰な過ヨウ素酸塩を1mlのエチ レングリコールの添加によって分解し、この溶液を冷所で水で透析して凍結乾燥 し、73mgの酸化されたGASPを得た。 C.GASP−TT結合体及びGASP−HSA結合体 酸化されたGASPを、NaBH3CNを用いて還元的アミノ化によりモノマ ー性破傷風トキソイド(TT)(SSI,Copenhagen,Denmark)又はヒト血清アルブ ミン(HSA)のいずれかに結合させた。 酸化されたGASP(40mg)及びモノマー性TT(20mg)若しくはHSA (20mg)のいずれかを0.2Mのリン酸緩衝液、pH7.4(0.7ml)に溶解 した。NaBH3CN(20mg)の添加に続いて、この反応混合物を37℃で4 日間インキュベーションした。結合の進行を反応混合物の少量のアリコートをSu perose-12(Pharmacia)のHPLCにかけることによりモニターした。結合体は 、溶出液としてPBS用いてSuperdex G-200(Pharmacia)のカラムでのクロマト グラフィーにより精製した。カラムから溶出した画分をWaters R403示差屈折計 、及び280nmでのU.V分光法によりモニターした。A群ポリサッカライド− 結合体を含む画分をプールし、透析して凍結乾燥した。結合体のタンパク質含有 量はBradford(Bradford,N.M.,1976.Anal.Biochem.72:248-253)の方法によ り、ヒト血清アルブミンを標準として用いて推定した。炭水化物含有量はDubois ら(30)の方法により精製GASPを標準として用いて測定した。TT結合体は、 39%(w/w)の炭水化物と61%(w/w)のタンパク質を含んでいた。ポリサッカラ イドに関しては平均分子量10,000Kd(デキストランを分子量マーカーとし て用いたSuperose-12でのHPLC による測定、及び分子量マーカーのレーザー散乱による測定)と、モノマー性T Tに関しては分子量150,000Kdであると仮定すると、GASP−TT結合 体は、ポリサッカライドとTTとのモル比がそれぞれ9〜10:1であった。 実施例7 免疫及び免疫アッセイ A.免疫の手順 5羽の雌のNZW(New Zealand,white)ウサギ(7〜8週齢)のグループに 、背中の2カ所の皮下に、非結合天然A群ポリサッカライド又は−TT結合体の いずれかを10mcg、総容量0.5mlで、ワクチン接種した(3週間の間隔をあ けて3回)。ワクチンは、非吸着形態か又はオキシ水酸化アルミニウム(alumini um oxyhydroxide)(Alhydrogel; Superfos,Denmark)若しくはステアリルチロシ ン(ST)に吸着した形態で、どちらも1.0mg alum/ml生理食塩水若しくは1. 0mg ST/ml生理食塩水の濃度で与えられた。チメロサール(Thimerosal)を最終濃 度1/10,000となるようにワクチンに加えた。5羽のウサギのグループは 、最初の注射では完全フロイントアジュバント(Sigma Laboratories)中で、続く 追加免疫注射では不完全フロイントアジュバント中で、乳化された結合体ワクチ ンを受けた。各動物から、0、21、42、及び52日目に血清を集めた。 B.ELISA マイクロタイタープレート(Nunc Polysorb ELISA plates)をPBSで1.0mc g/mlに希釈した100ngのGASP−HSA結合体でコートし、プレートを37 ℃で1時間インキュベーションした。コーティングの後、プレートを0.05% tween 20を含むPBS(PBS−T)で洗浄し、 PBS中の0.5%BSAで室温で1時間ブロックした。次いで、ウェルを、ウ サギ抗血清をPBS−Tで連続2倍希釈したもの100μLで満たし、プレート を室温で1時間インキュベーションした。PBS−Tで洗浄した後、プレートに 100μLのパーオキシダーゼ標識ヤギ抗ウサギIgG(H&L)(Kirkegaard & Perr y Laboratories)を入れて室温で30分間インキュベーションし、次いで、PB S−Tで5回洗浄した。最後に、50μLのTMBパーオキシダーゼ基質(Kirkeg aard & Perry Laboratories)を各ウェルに加えて、室温で10分間プレートをイ ンキュベーションし、反応を50μLの1M H3PO4を添加することにより停止 した。このプレートをMolecular Devices Emaxマイクロプレートリーダーを用い て、650nmを対照波長として、450nmで読み取った(表IV参照)。 本発明者らはこれまでに本発明の多くの実施態様を記載してきたが、基本的な 構造を変更して本発明の方法を利用する他の実施態様を提供し得ることは明らか である。したがって、本発明の範囲は、実施例という手段によりこれまでに提示 されてきた特定の実施態様によるより、むしろ本明細書に付随する請求の範囲に よって規定されることが理解されるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TT,UA, UG,UZ,VN (72)発明者 ブレイク,ミラン・エス アメリカ合衆国、アイオワ 52246、アイ オワ・シティ、シルバン・グレン・コート 2553 (72)発明者 ザブリスキー,ジョン・ビー アメリカ合衆国、ニューヨーク 10021、 ニューヨーク、ヨーク・アベニュー 1385 (72)発明者 タイ,ジョーゼフ・ワイ アメリカ合衆国、ペンシルベニア 19034、 フォート・ワシントン、シナモン・ドライ ブ 1370 (72)発明者 ミション,フランシス アメリカ合衆国、メリーランド 20723、 ローレル、カントリー・メドーズ・レーン 9735

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 免疫原性組成物であって、免疫原性を示す量の、次式(I) 式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり; nは、その免疫原性組成物が、免疫原性を示すように充分大きく、かつ、充分 な平均分子量を有するようにするのに充分な数である で示されるA群ポリサッカライド、及び担体を含み、それにより、該組成物が、 A群ストレプトコッカス細菌による感染に対し、哺乳動物を防御することを特徴 とする組成物。 2. nが約1〜約50である、請求項1記載の免疫原性組成物。 3. A群ポリサッカライドが、約10,000Kdの分子量を有する、請求項2 記載の免疫原性組成物。 4. 該免疫原性組成物が、体重1キログラム当り約0.01μg〜約10μgの 単位投与量で、個体に投与される、請求項1記載の免疫原性組成物。 5. 担体が、生理食塩水、リンゲル液及びリン酸緩衝生理食塩水よりなる群か ら選ばれる、請求項1記載の免疫原性組成物。 6. 該免疫原性組成物が、アジュバントを更に含む、請求項5記載の免疫原性 組成物。 7. 該アジュバントが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、モノホス ホリル脂質A、QS21及びステアリルチロシンよりなる群から選ばれる、請求 項6記載の免疫原性組成物。 8. 免疫原性ポリサッカライド−タンパク質結合体分子であって、次式(I) : 式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり、nは 、式(I)において示されるラノムースの3位にグリコシド結合したβ−D−G lcpNAc基に対し免疫応答をなすに充分大きな数である で示され、殺菌性抗体の形成を誘発するエピトープを規定するA群ポリサッカラ イドであって、かつ、該ポリサッカライドがタンパク質に共有結合していること を特徴とする、結合体分子。 9. 該ポリサッカライドが、第二級アミノ結合を介して、タンパク質に結合し て、次式(II): 式中、R′は末端還元糖(これは、式(II)の−CH2−NH−タンパク質第 二級アミノ結合において表わされていない)の還元及び酸化生成物である で示される結合体を形成する、請求項8記載の免疫原性ポリサッカライド−タン パク質結合体。 10. タンパク質が、いかなるものであってもよい天然又は組換えの細菌タンパ ク質である、請求項9記載の免疫原性ポリサッカライド−タンパク質結合体。 11. タンパク質が、破傷風トキソイド、コレラトキシン、ジフテリアトキソイ ド又はCRM197よりなる群から選ばれる、請求項10記載の免疫原性ポリサッ カライド−タンパク質結合体。 12. タンパク質が、破傷風トキソイドである、請求項11記載の免疫原性ポリ サッカライド−タンパク質結合体。 13. nが約1〜約50である、請求項12記載の免疫原性ポリサッカライド− タンパク質結合体。 14. nが約3〜約30である、請求項13記載の免疫原性ポリサッカライド− タンパク質結合体。 15. ポリサッカライドが、約10,000Kdの分子量を有する、請求項14記 載の免疫原性ポリサッカライド−タンパク質結合体。 16. 結合体のタンパク質が、T−細胞エピトープを含み、かつ、少なくとも、 約10個のアミノ酸の長さを有する、請求項8記載の免疫原性ポリサッカライド −タンパク質結合体。 17. A群ストレプトコッカスによる感染に対して防御するためのワクチンであ って、免疫原性を示す量の、次式(I): 式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり、nは 、式(I)において示されるラノムースの3位にグリコシド結合したβ−D−G lcpNAc基に対し免疫応答をなすに充分大きな数である で示され、殺菌性抗原の形成を誘発するエピトープを規定するA群ポリサッカラ イド、及び担体を含み、それにより、該組成物がA群ストレプト コッカス細菌による感染に対し、哺乳動物を防御することを特徴とする、ワクチ ン。 18. 免疫原性組成物が、次式(I): 式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり、nは 1〜50の数である で示され、ポリサッカライドがタンパク質に共有結合している、A群ポリサッカ ライドを含む、請求項17記載のワクチン。 19. 該ポリサッカライドが、第二級アミノ結合を介して、タンパク質に結合し て、次式(II): 式中、R′は、末端還元糖(これは、式(II)の−CH2−NH−タンパク質 第二級アミノ結合において表わされていない)の還元及び酸化生成物である で示される結合体を形成する、請求項18記載のワクチン。 20. タンパク質が、いかなるものであってもよい天然又は組換えの細菌タンパ ク質である、請求項19記載のワクチン。 21. タンパク質が、破傷風トキソイド、コレラトキシン、ジフテリアトキソイ ド及びCRM197よりなる群から選ばれる、請求項20記載のワクチン。 22. ポリサッカライド−タンパク質結合体のタンパク質が、破傷風トキ ソイドである、請求項21記載のワクチン。 23. ポリサッカライド−タンパク質結合体のnが約3〜約30である、請求項 22記載のワクチン。 24. 結合体のポリサッカライドが、約10,000Kdの分子量を有する、請求 項23記載のワクチン。 25. 該ワクチンが、体重1キログラム当り約0.01μg〜約10μgの単位 投与量で、個体に投与される、請求項24記載のワクチン。 26. A群ストレプトコッカス細菌による感染に対し哺乳動物を免疫する方法で あって、免疫原性を示す量の、次式(I): 式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり; nは、A群ポリサッカライドが免疫原性であるように充分大きく、かつ、平均 分子量を有するようにするのに充分な数である で示されるポリサッカライドを、個体に投与することを特徴とする方法。 27. nが約1〜約50である、請求項26記載の方法。 28. nが約3〜約30である、請求項27記載の方法。 29. A群ポリサッカライドが、約10,000Kdの分子量を有する、請求項2 8記載の免疫方法。 30. 該A群ポリサッカライドが、体重1キログラム当り約0.01μg〜約1 0μgの単位投与量で、個体に投与される、請求項29記載の免疫方法。 31. ポリサッカライドが、生理食塩水、リンゲル液及びリン酸緩衝生理食塩水 よりなる群から選ばれる担体と共に投与される、請求項30記載の免疫方法。 32. 該ポリサッカライドが、アジュバントを更に含む、請求項31記載の免疫 方法。 33. 該アジュバントが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、モノホス ホリル脂質A、QS21及びステアリルチロシンよりなる群から選ばれる、請求 項32記載の免疫方法。 34. 哺乳動物がヒトである、請求項26記載の免疫方法。 35. ヒトが小児である、請求項34記載の免疫方法。 36. 免疫原性結合体分子であって、次式(I): 式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり、nは 、式(I)において示されるラノムースの3位にグリコシド結合したβ−D−G lcpNAc基に対し免疫応答をなすに充分大きな数である で示され、殺菌性抗体の形成を誘発するエピトープを規定し、かつ、リポソーム に共有結合して結合体分子を形成するA群ポリサッカライド、を含むことを特徴 とする結合体分子。 37. リポソームが、カチオン性脂質から構成される、請求項36記載のポリサ ッカライド−リポソーム結合体。 38. リポソームが、ホスファチジルエタノールアミンを含む、請求項37記載 のポリサッカライド−リポソーム結合体。 39. 該A群ポリサッカライドが、約10,000Kdの分子量を有する、請求項 38記載のポリサッカライド−リポソーム結合体。 40. 該免疫原性複合体が、体重1キログラム当り約0.01μg〜約10μgの 単位投与量で、個体に投与される、請求項39記載のポリサッカライド−リポソ ーム結合体。 41. ポリサッカライド−リポソーム結合体が、更に、該リポソームに埋め込ま れたタンパク質を含む、請求項36記載の結合体。 42. 免疫原性を示す量の、請求項37記載の組成物を投与することによってA 群ストレプトコッカス細菌による感染に対し、免疫する方法。 43. 該リポソームがホスファチジルエタノールアミンを含み、該ポリサッカラ イドが、第二級アミノ結合を介してホスファチジルエタノールアミンに結合して 、次式(III): 式中、R′は、式(III)の第二級アミノ結合のNH基に結合した末端還元性 糖部分を除く末端還元性糖の還元及び酸化の生成物であり、R2はホスファチジ ルエタノールアミンである で示される結合体を形成する、請求項42記載の免疫方法。 44. nが約1〜約50である、請求項43記載の免疫方法。 45. ポリサッカライドが、約10,000Kdの分子量を有する、請求項44記 載の免疫方法。 46. 該ポリサッカライド−リポソーム結合体が、体重1キログラム当り約0. 01μg〜約10μgの単位投与量で、個体に投与される、請求項45記載の免 疫方法。 47. ポリサッカライド−リポソーム結合体が、生理食塩水、リンゲル液及びリ ン酸緩衝生理食塩水よりなる群から選ばれる担体と共に投与される、請求項46 記載の免疫方法。 48. 該ポリサッカライド−リポソームが、アジュバントを更に含む、請求項4 6記載の免疫方法。 49. 該アジュバントが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、モノホス ホリル脂質A、QS21及びステアリルチロシンよりなる群から選ばれる、請求 項48記載の免疫方法。 50. 該アジュバントが、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、モノホス ホリル脂質A、QS21及びステアリルチロシンよりなる群から選ばれる、請求 項49記載の免疫方法。 51. 免疫原性組成物が、次式(I): 式中、Rは、末端還元性L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり、nは 、式(I)において示されるラノムースの3位にグリコシド結合したβ−D−G lcpNAc基に対し免疫応答をなすに充分大きな数である で示され、殺菌性抗体の形成を誘発するエピトープを規定し、かつ、リポソーム に共有結合しているA群ポリサッカライドを含む、請求項18記載のワクチン。 52. リポソームに埋め込まれた、天然又は組換えの細菌タンパク質を、更に含 む、請求項51記載のワクチン。 53. 細菌タンパク質が破傷風トキソイドである、請求項52記載のワク チン。 54. ポリサッカライド−リポソーム組成物のnが、約1〜50である、請求項 53記載のワクチン。 55. ワクチンのポリサッカライド−リポソーム組成物が、約10,000Kdの 分子量を有する、請求項54記載のワクチン。 56. ワクチンが、体重1キログラム当り約0.01μg〜約10μgの単位投与 量で、個体に投与される、請求項55記載のワクチン。 57. A群ストレプトコッカス細菌からの殺菌性抗体を含む受動免疫付与用免疫 組成物であって、 該抗体が、請求項1、8、37及び42のいずれか1項に記載の免疫原性組成 物のいずれかによって、 個体を免疫することによって産生されることを特徴とする組成物。 58. 殺菌性抗体が、血清、ガンマーグロブリン画分又は精製抗体調製物中に存 在する、請求項57記載の免疫組成物。 59. 免疫原性を示す量の、請求項57記載の免疫組成物を投与することによっ て個体に受動免疫を付与する方法。 60. 次式(I): 式中、Rは、末端還元L−ラムノース又はD−GlcpNAcであり; nは充分な平均分子量のポリサッカライドが免疫原性であると規定するに充分 大きな繰り返し単位の数である で示されるA群ポリサッカライド及びホスファチジルエタノールアミンを 含むリポソームを共有結合させる方法であって、 a)ホスファチジルエタノールアミンからリポソームを形成し、 b)末端糖を還元し、還元した糖を酸化して末端アルデヒドを形成することに よってA群ポリサッカライドを活性化し、 c)活性化されたA群ポリサッカライドと、リポソームを一緒にし、還元アミ ノ化によりリポソームにA群ポリサッカライドを共有結合させて、A群ポリサッ カライド−リポソーム結合体を形成し;そして d)A群ポリサッカライド−リポソーム結合体を回収する ことを特徴とする方法。
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