JPH0946806A - トロリー線用横向き集電装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】集電装置本来の集電特性の低下を招くことなし
にアームの垂れ下がりを有効に防止しでき、尚且つ一つ
の牽引基部に対して一対のアーム及び集電ヘッドを備え
るタンデム型にも実現可能な、トロリー線用横向き集電
装置の提供。 【解決手段】牽引基部に回転自在に横にして取り付けら
れたシャフト；シャフトに揺動自在に取り付けられたア
ーム；アームの伸長端側で横に軸支された集電ヘッドを
備え、アームの上下方向の揺動に連動して上下方向に揺
動可能な当て板を設ける一方、その当て板に対向して固
定ブラケットを設け、この固定ブラケットとかかる当て
板との間に弾性体を固定ブラケットまたは当て板の一方
に離間可能に設け、アームが下方向へ傾いた時点で当該
弾性体を弾圧してアームの下方向への傾きを制限するよ
うにした。弾性体を圧縮コイルバネにして、この上端を
係止するピンが固定ブラケットに上下スライド可能に縦
貫通すると良い。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、トロリー線用の集
電装置に関し、より具体的には被集電面を横向きにして
布設されたトロリー線を横方向から集電するための集電
装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ホイストやクレーン等の移動機器の給電
線として用いられるトロリー線は、銅の如き導電性の良
い金属材料を導体とし、電気的安全性の確保から横断面
略Ｕ字形の絶縁カバーを被せ、絶縁カバーの一対の脚部
にて制限された開口の奥底に導体の一部を露出し被集電
面としていた。

【０００３】一方、集電装置は、牽引棒に固定する牽引
基部とこの牽引基部に一端を枢着したアームとこのアー
ムの伸長端に軸支した集電ヘッドとを有し、集電ヘッド
をトロリー線に向かって弾性付勢させ、集電ヘッドの集
電子を導体の被集電面に押圧接触させた状態で移動機器
の移動走行により牽引移動させることにより集電走行に
供している。

【０００４】通常、この種のトロリー線は、被集電面を
下向きにして布設されており、このため、集電装置は、
トロリー線の下方に位置させて、アームを上方にバネ付
勢させることにより集電ヘッドを押し上げるようにして
いた。

【０００５】ところで、近年では、トロリー線の布設ス
ペースを小さくするため、トロリー線の被集電面が横向
きとなるようにトロリー線を布設するケースが多く、こ
れに対応する集電装置も当然ながら横向きの姿勢で集電
に供することとなっていた。この場合、集電装置は、上
述した押し上げ型の集電装置をそのまま横倒しにした格
好で流用しており、そのことで生じがちな集電ヘッドの
垂れ下がりを防止するために、アームの回転軸にアーム
と反対方向に棒を伸長させ、この棒の伸長端に錘を付け
て、集電ヘッドとのバランスをとるようにしていた。そ
のため錘はバランサーとも称されていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術の集
電装置において、棒及び錘によるバランス方式は、一つ
の牽引基部に対して１本のアーム及び集電ヘッドを備え
るシングルタイプの集電装置の場合には採用できるが、
一つの牽引基部に対して対のアーム及び集電ヘッドを反
対方向に備えるタンデム型の集電装置の場合には、棒と
錘が干渉してしまうために採用でき難かった。

【０００７】タンデム型の集電装置の特徴を活用し、一
対のアーム相互を弾性体で連結することによりアームの
上下揺動を規制した横向き集電装置が既に提案されてい
る。（実開平２−９７８０１号、特開平７−７５２０６
号） 上記の弾性体相互連結構造によれば、アームの垂れ下が
りの抑制には効果がある反面、弾性体によって一対のア
ームが連結されることで、トロリー線の上下の曲がりに
付随して集電ヘッドが上下に変移するときに、一方の集
電ヘッドの上下揺動が他方の集電ヘッドに伝わり、集電
ヘッドの上下変移動作がスムーズに行われず、ひいては
集電ヘッドがトロリー線の絶縁カバーの開口部分を擦り
易かった。

【０００８】上記のバランサー方式及び弾性体連結方式
の何れにしても、アームの揺動を常時制限するものであ
り、集電特性の低下につながり易かった。

【０００９】そこで、本発明の目的は、集電装置本来の
集電特性の低下を招くことなしにアームの垂れ下がりを
有効に防止し得る、トロリー線用横向き集電装置を提供
することにある。また、その他の目的としては、一つの
牽引基部に対して１本アーム及び集電ヘッドを備えるシ
ングル型は勿論、一つの牽引基部に対して一対のアーム
及び集電ヘッドを備えるタンデム型にも実現可能なこの
種の集電装置を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明により提供するト
ロリー線用横向き集電装置は、牽引基部と、この牽引基
部に回転自在に横にして取り付けられたシャフトと、こ
のシャフトに揺動自在に取り付けられた状態でトロリー
線と並行に伸長させるアームと、このアームの伸長端側
で横に軸支された集電ヘッドとを備え、この集電ヘッド
をトロリー線に向かって横方向に弾性付勢させる構造の
集電装置であって、当該アームの上下方向の揺動に連動
して上下方向に揺動可能な当て板を設ける一方、その当
て板に対向して固定ブラケットを設け、この固定ブラケ
ットとかかる当て板との間に弾性体を固定ブラケットま
たは当て板の一方に離間可能に設け、アームが下方向へ
傾いた時点で当該弾性体を弾圧してアームの下方向への
傾きを制限するようにしたものである。

【００１１】弾性体には種々のものが考えられ、無垢の
ゴム質弾性体でも良いが、好ましくは、圧縮コイルバネ
からなり、このコイルバネの上端を係止するピンが固定
ブラケットに上下スライド可能に縦貫通してなるもので
ある。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は本発明にかかるトロリー線
用集電装置の好ましい実施例を示すもので、（イ）は平
面図、（ロ）は要部の正面図である。１は牽引基部にし
て、移動機器の牽引棒Ｐの垂直部分に固定しうべく対の
クランプ片でなり、一方のクランプ片においてシャフト
２を横にして回転自在に取り付けている。４はアームに
して、一端をシャフト２にピン結合して左右（図面上で
は上下）に揺動可能に取り付けており、シャフト２の回
転も加わることで上下左右に揺動可能にして伸長してい
る。伸長端側には集電ヘッド３を横倒し状態で軸支して
いる。１１は引張りバネにして、アーム４の伸長端と牽
引基部１とに張架させることで、アーム４を左右の一方
側に傾動させ、ひいては、集電ヘッド３をトロリー線Ｔ
の横向き被集電面に向かって横方向から弾性付勢する構
造となっている。

【００１３】上記のような基本構造に対して本実施例で
は、当て板５、固定ブラケット６及び弾性体となる圧縮
コイルバネ８等が取り付けてなるものである。しかし
て、当て板５は、シャフト２にピン結合することにより
シャフト２の回転に連動して上下方向に揺動可能とされ
ている。一方の固定ブラケット６は、牽引基部１に動か
ないように固定して当て板５に下方で対向するように伸
長させている。そして、圧縮コイルバネ８は、固定ブラ
ケット６の上面に樹立するように載せられ、その上端に
ピン１０の頭部フランジ１０ａを係止し、さらにピン１
０を圧縮コイルバネ８内を通しつつ固定ブラケット６の
縦方向の貫通孔７に上下スライド可能に縦貫通させてな
るものである。従って、当て板５がピンの頭部フランジ
１０ａに当接し荷重を加わった時点で、ピン１０が下方
に押し下げられるとともに圧縮コイルバネ８を圧縮し、
その時の弾発力にて当て板５を受け止めるのである。

【００１４】９はストッパーピンにして、固定ブラケッ
ト６の下側に突出したピン１０部分に串刺しにすること
で、ピン１０が固定ブラケット６の上側に抜け出すのを
防ぐものである。

【００１５】さて、以上のように構成された本実施例の
集電装置によれば、横倒し状態の集電ヘッド３をトロリ
ー線５の横向き被集電面に横方向から弾性付勢して接触
させた状態で、移動機器の牽引力にて走行させることに
より、所定の集電走行に供する。

【００１６】上記の集電走行中において、アーム４には
それ自身及び集電ヘッド７の荷重によって常に下方へ垂
れ下がろうとするモーメントが働く。しかして、アーム
４が垂れ下がろうとすると、これを枢支しているシャフ
ト２も回転しこれに連動する当て板５も同様に下方に傾
く。この下方の傾きにより当て板５がピンの頭部フラン
ジ１０ａに当接して荷重をかけることになる。荷重を受
けたピン１０は下方へ押し下げられ、これとともに圧縮
コイルバネ８を圧縮し、同時に圧縮した分だけ圧縮コイ
ルバネ８に弾発力を生じてピン１０を押し上げる力が働
き、それら相反する力の均衡にて当て板５が受け止めら
れ、ひいてはアーム４の一定以上の垂れ下がりを規制す
ることができるのである。

【００１７】当て板５がピン１０の頭部に当接すると
き、ピンが押し下げられると同時に圧縮コイルバネ８の
圧縮にて衝撃が吸収されることになり、アーム４への衝
撃力が緩和される。

【００１８】集電ヘッド３がトロリー線Ｔの絶縁カバー
の開口部によりガイドされた状態での集電走行する時、
アーム４はピン１０から離間して軽快に揺動できるの
で、アーム４に必要な本来の揺動に規制を与えず集電特
性の維持が可能となる。

【００１９】図１の実施例は、一つの牽引基部１に対し
て１本のアーム４及び集電ヘッド３となるシングル型の
集電装置であるが、一つの牽引基部に対して２本のアー
ム及び集電ヘッドを反対向きに対設する所謂タンデム型
の集電装置においても本発明が適用できる。図２はその
タンデム型の集電装置の実施例を示すもので、図１と同
一部分には同一符号を用いているので、図１に関する前
述の説明を参照されたい。図から明らかなように、当て
板５、固定ブラケット６及び圧縮コイルバネ８等は一つ
の牽引基部１の左右に対設するシャフト２，２のそれぞ
れに取り付けられ、個々に独立した運動が可能である。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したような本発明のトロリー線
用横向き集電装置によれば、集電装置本来の集電特性の
低下を招くことなしにアームの垂れ下がりを有効に防止
し、また、その他の目的としては、一つの牽引基部に対
して１本アーム及び集電ヘッドを備えるシングル型は勿
論、一つの牽引基部に対して一対のアーム及び集電ヘッ
ドを備えるタンデム型にも実現可能なこの種の集電装置
を提供するという所期の目的を達成することができる。

【００２１】なおまた、本発明によれば、既存の集電装
置に簡易な部品の付加により所望の機能を果たす装置が
得られ、構成部品数も少なくて経済的であり、また、集
電ヘッドの電流容量により集電ヘッドの大きさ（重量）
が変わった場合でも、弾性体（圧縮コイルバネ）のみを
交換すれば、何れの電流容量の集電装置にも採用できる
等の効果も奏することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかるトロリー線用横向き集電装置の
実施例を示し、（イ）は平面図、（ロ）は要部正面図。

【図２】本発明にかかるトロリー線用横向き集電装置の
他の実施例を示す平面図。

【符号の説明】

１ 牽引基部 ２ シャフト ３ 集電ヘッド ４ アーム ５ 当て板 ６ ブラケット ７ 貫通孔 ８ 圧縮バネ ９ ストッパーピン １０ ピン １０ａ 頭部フランジ １１ 引張りバネ Ｐ 牽引棒 Ｔ トロリー線（被集電面）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】牽引基部と、この牽引基部に回転自在に横
   にして取り付けられたシャフトと、このシャフトに揺動
   自在に取り付けられた状態でトロリー線と並行に伸長さ
   せるアームと、このアームの伸長端側で横に軸支された
   集電ヘッドとを備え、この集電ヘッドをトロリー線に向
   かって横方向に弾性付勢させる構造の集電装置であっ
   て、当該アームの上下方向の揺動に連動して上下方向に
   揺動可能な当て板を設ける一方、その当て板に対向して
   固定ブラケットを設け、この固定ブラケットとかかる当
   て板との間に弾性体を固定ブラケット若しくは当て板の
   一方に離間可能に設け、アームが下方向へ傾いた時点で
   当該弾性体を弾圧してアームの下方向への傾きを制限す
   るようにした、トロリー線用横向き集電装置。
2. 【請求項２】弾性体は、圧縮コイルバネからなり、この
   コイルバネの上端を係止するピンが固定ブラケットに上
   下スライド可能に縦貫通してなる、請求項１記載のトロ
   リー線用横向き集電装置。