JPH0941386A - 法面の補強・緑化工法およびその布製シート - Google Patents

法面の補強・緑化工法およびその布製シート

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JPH0941386A
JPH0941386A JP7209338A JP20933895A JPH0941386A JP H0941386 A JPH0941386 A JP H0941386A JP 7209338 A JP7209338 A JP 7209338A JP 20933895 A JP20933895 A JP 20933895A JP H0941386 A JPH0941386 A JP H0941386A
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slope
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ground
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英一 小堂
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 法面の補強と緑化との両立を安価かつ容易に
確保するとともに、地盤の掘削等により生じた掘削土の
再利用を可能とする。 【構成】 地盤14の掘削により生じた掘削土から現地発
生土を分別、採取し、この現地発生土に肥料材を混合し
て、植物の生育土壌となる表土10とする。そして、所定
の種子の付着された布製シート16を所定大の網目を持つ
ネット状カバー17、スクリーン18と共に永久アンカー20
に連結し、このスクリーンと地盤14の法面14a との間の
空間12に表土10を詰め込んで、法面の緑化基盤15として
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、地盤の掘削等に
より形成された傾斜面(法面)の保護、補強を行う工
法、特に、補強と同時に植物の生育可能な緑化基盤を法
面に造成可能とする法面の補強・緑化工法およびその布
製シートに関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、地盤の掘削や盛り土等により
生じた地盤の傾斜面(法面)は、種々の法面保護工によ
って保護、補強されている。このような法面保護工とし
て、たとえば、法面の形状に沿って型枠材(法枠)を設
置し、この型枠材にモルタル・コンクリートを吹き付け
ることによって法面を保護、補強するフリーフレーム工
法等の吹付法枠工や、砂質土に連続長繊維を三次元的に
からませて法面に敷設し、砂質土に疑似粘着力と変形抵
抗性とを持たせることで法面を保護、補強するテクソル
工法等の補強土工法が知られている。
【0003】前者の吹付法枠工によれば、モルタル・コ
ンクリートが地盤の法面に直接的に吹き付けられるた
め、法面、法枠が一体となり、法面に十分な強度が確保
できる。また、法面が地盤に対する擁壁として機能する
ため、地盤の安定化が十分にはかられる。
【0004】上記吹付法面工においては、法枠の設置等
に熟練工による特殊技能が要求される。これに対し、後
者の補強土工法においては、砂質土に連続長繊維を三次
元的にからませれば足りるため、施工の機械化が可能と
なり、施工の際の作業性が向上される。
【0005】ところで、近年の土木事業においては、自
然破壊が大きな問題となっており、法面の緑化による景
観の向上や環境の保全および自然保護が、地盤の掘削、
盛り土等により生じた法面に広く要求されている。しか
しながら、上記の吹付法枠工においては、モルタル・コ
ンクリートを地盤の法面に直接的に吹き付けるため、法
面における緑化基盤の造成が容易に行えない。また、上
記補強土工法では、植物の生育し難い砂質土を法面に敷
設するため、この補強土工法においても、緑化基盤が得
られない。
【0006】そこで、たとえば、上記補強土工法におけ
る砂質土に代えて、肥料材の混合された粘性の高い埴壤
土を土壌とし、この埴壤土に適当な植物の種子を混合し
て連続長繊維とからませることにより、この埴壤土の層
(土壌)を法面での植物の生育基盤(緑化基盤)とする
テクソルグリーン工法等のような緑化工法が提供されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな埴壤土と連続長繊維との組み合わせによる公知の緑
化工法においては、上記のように、埴壤土と連続長繊維
とを三次元的にからませて法面に敷設するにすぎないた
め、法面の表面的な強度しか得られず、地盤の擁壁とし
ての機能性は期待できない。
【0008】そこで、たとえば、前述した吹付法枠工と
上記緑化工法とを組み合わせることで法面の補強、緑化
の双方を得る構成が考えられる。しかし、吹付法枠工に
おいては、モルタル・コンクリートを法面に直接的に吹
き付けるため、法枠間に砂質土と連続長繊維との吹き付
けによる緑化基盤を造成しても、法面に対する緑化基盤
の安定化が容易に確保できない。
【0009】そして、この場合においては、法枠間毎に
緑化基盤を造成するため、緑化基盤の造成後における型
枠材の露出が避けられない。従って、法面の景観を損な
い、十分な自然環境の復元がはかれない。
【0010】更に、吹付法面工は、上述したように、コ
ストが高く、また、特殊技能を持つ熟練工による作業が
要求されるため、施工が容易に行えない。そして、公知
の緑化工法では、その施工の際に、所定の土に肥料材、
種子等を混合し団粒化させる混合・攪拌のための装置、
埴壤土を吹き付けるための装置、および、連続長繊維を
吹き付けるための装置等の種々の専用の装置が必要とな
るため、施工が煩雑化しやすいとともに、その施工にか
なりの設備投資が要求される。
【0011】従って、公知の吹付法枠工と緑化工法との
組み合わせにおいては、コストの上昇が避けられず、法
面の補強と緑化との両立が安価かつ容易に確保できな
い。
【0012】また、公知の緑化工法においては、埴壤土
と連続長繊維とを三次元的にからませるとはいえ、法面
の表面上への吹き付けによって、緑化基盤となる土壌を
法面に沿って造成しているにすぎない。つまり、急勾配
の法面等においては、緑化基盤となる土壌の層がさほど
厚くできず、緑化に適した基盤の造成が十分に行えなく
なる虞れがある。
【0013】ところで、地盤等の掘削においては、多量
の掘削土が生じ、この掘削土は、通常不要となるため、
土捨場と称する所定の廃棄場所に廃棄することになる。
しかし、掘削土は多量であるため、掘削土の廃棄場所が
容易に確保できず、廃棄場所に苦慮しているのが現状で
ある。
【0014】そこで、掘削土を緑化基盤の土壌として再
利用することも考えられるが、公知の緑化工法において
は、所定の埴壤土、つまりは専用の土に肥料材、種子等
を混合して植物の生育可能な表土とし、これを法面に沿
って敷設することで緑化基盤とするため、地盤の掘削等
により生じた掘削土の再利用がはかれない。
【0015】この発明は、法面の補強と緑化との両立を
安価かつ容易に確保するとともに、地盤の掘削等により
生じた掘削土の再利用を可能とする法面の補強・緑化工
法の提供を目的としている。
【0016】また、上記法面の補強・緑化工法での使用
に適する布製シートの提供を、この発明の別の目的とし
ている。
【0017】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、この発明の法面の補強・緑化工法によれば、少なく
とも所定大の石礫、根系の除去によって、地盤の掘削に
より生じた掘削土から現地発生土を分別、採取し、この
現地発生土に肥料材を混合して、植物の生育土壌となる
表土としている。
【0018】また、土壌中で少なくとも部分的に自然分
解可能であり、かつ浸水性、保水性および保温性を持つ
布製シートに、現地周辺の植物調査に基づいて選定され
た肥料木となる在来種の木本植物の種子、および、草本
植物の種子の少なくともいずれかを付着させるととも
に、永久アンカーを所定の複数箇所で対象地盤に定着さ
せている。
【0019】そして、地盤の法面を全面的に覆った布製
シートと、所定の植物の幹の通過可能な所定大の網目に
形成されて、布製シートを全面的に覆って配置されたネ
ット状カバーと、所定の植物の幹の通過可能な所定大の
網目を持つ網状に形成されて、ネット状カバーの外方に
配置されたスクリーンとを、永久アンカーへの係止、連
結により、地盤の法面から布製シートまでの間に所定の
空間を設けた状態で、法面の全面に配設、固定するとと
もに、この地盤の法面と布製シートとの間の空間に、表
土を詰め込んで緑化基盤としている。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながらこの発
明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】この発明に係る法面の補強・緑化工法にお
いては、図1に示すように、表土10を、地盤14の法面
(傾斜面)14a に沿って規定された空間12の内部に詰め
込むことによって、植物の生育可能な法面の緑化基盤15
としている。
【0022】そして、この発明においては、たとえば、
所定大以上の石礫、根系等の除去によって、地盤14の掘
削により生じた掘削土から現地発生土を分別、採取し、
この現地発生土を表土10に利用することによって、掘削
土の再利用を可能としている。掘削土からの現地発生土
の選別は、たとえば、バイブレータースクリーン等の選
別機械(図示しない)によって行われ、通常、3cm四方
程度の目を持つメッシュ状スクリーンを通過したもの
が、掘削土からの現地発生土として選別、採取される。
【0023】ここで、この発明では、この掘削土から採
取した現地発生土に肥料材を混合して、植物の生育土壌
となる表土10を得ている。
【0024】ところで、土壌に生育するある種の微生物
が、植物生体に大きな役割を果たしていることが一般に
知られ、この種の微生物として、微生物菌、光合成菌、
放射金、糸状菌、担子菌、酵母菌等が挙げられる。通
常、これら微生物の生育、繁殖に適する環境として、土
壌中のpHがアルカリ性または中性であることが好ましい
とされている。
【0025】しかし、掘削土から採取した現地発生土の
pHが常に最適に保たれているとは限らず、通常は酸性側
に傾いていることが多いとされる。土壌中のpHが酸性側
に傾いていると、微生物の働きが低下するため、植物の
発芽、生育の妨げとなる虞れがある。
【0026】そこで、この発明の法面の補強・緑化工法
においては、たとえば、アルカリ性植物繊維を基盤に培
養した上記微生物を、保水性の高い素材からなる基材に
含有させて微生物混合材とし、この微生物混合材を肥料
材として現地発生土に混合することで、植物の生育に適
した表土10を得ている。
【0027】なお、微生物混合材の基材として、たとえ
ば、植物繊維系素材、多孔質系素材の2種類が利用さ
れ、各基材への微生物の含有により、2系統の微生物混
合材が形成される。そして、この2系統の微生物混合材
が、たとえば、適当な比率で混在されて、現地発生土に
混合される。
【0028】微生物混合材の基材となる植物繊維系素材
として、たとえば、バークタイヒ、ピートモス等が利用
できる。また、たとえば、バイオカーボン、モクタン、
ヤシガラ、人工陶土等が、微生物混合材の基材となる多
孔質系素材として利用できる。
【0029】このような微生物混合材は、土壌中のpHを
中性程度に調整する、いわゆるpH調整機能を有すること
が一般に知られている。つまり、このような微生物混合
材を現地発生土に混合させると、微生物混合材によるpH
調整により、土壌のpHが5.5〜7.0 に調整されるため、
酸性であった現地発生土のpHを中性程度に維持すること
が可能となる。
【0030】そして、現地発生土のpHを中性程度に維持
することによって、基材に含有された微生物の生育、繁
殖が促進されるため、植物生体の発芽、生育に適した表
土10が確保できる。
【0031】つまり、微生物混合材を肥料材として混合
することによって、採取した現地発生土を植物の発芽、
生育に適した土壌(表土)に改良できるため、緑化基盤
15の土壌としての現地発生土、つまりは掘削土の再利用
が十分に可能となる。
【0032】ここで、多孔質系素材を基材とする微生物
混合材においては、多孔質系素材の持つ高い保水性によ
り、基材が微生物の生育のよい基盤となる。
【0033】また、植物繊維系素材を基材とする微生物
混合材においては、微生物が基材の植物繊維を徐々に分
解して植物全体に供給するため、pH調整機能を持つ肥料
材としての効果が持続される。
【0034】つまり、植物繊維系素材、多孔質系素材を
基材とする2系統の微生物混合材を適当な比率で混在さ
せて肥料材とし、これを現地発生土に混合することで、
持続性の高いpH調整機能が十分に確保できる。
【0035】なお、現地発生土に対する、植物繊維系素
材、多孔質系素材を基材とする2系統の微生物混合材の
混在の比率は、現地発生土の土質、環境等に応じて適宜
調整される。そして、ここでは、上記2系統の微生物混
合材を現地発生土に適当な比率で混在させるものとして
例示しているが、これに限定されず、たとえば、現地発
生土の土質、環境等によっては、いずれか1系統の微生
物混合材のみを肥料材として現地発生土に混合してもよ
い。
【0036】また、この発明の実施の形態においては、
微生物混合材を表土10に混合する肥料材として具体化し
ているが、表土を植物の生育可能な土壌に改良できれば
よいため、微生物混合材に限定されず、たとえば、他の
成分の肥料等を、ここでいう肥料材に利用してもよい。
【0037】そして、図1に示すように、この発明にお
いては、地盤の法面14a と、法面を全面的に覆った布製
シート16との間に所定の空間12が規定され、この空間内
に上記表土10を詰め込むことで、法面に沿った表土の敷
設を行っている。
【0038】ここで、この発明においては、布製シート
16が、土壌中で少なくとも部分的に自然分解可能であ
り、かつ浸水性、保水性および保温性を持って形成され
ている。そして、現地周辺の植物調査に基づいて選定さ
れた肥料木となる在来種の木本植物の種子、および、草
本植物の種子が、たとえば、貼着や埋め込み等によっ
て、布製シート16の裏面、表面の少なくともいずれかに
予め付着されている。
【0039】なお、肥料木となる木本植物の種子とし
て、たとえば、その地域に適したマメ科の根粒植物が選
定される。
【0040】布製シート16は、たとえば、土壌中で自然
分解可能であり、かつ浸水性、保水性および保温性を持
つ繊維分解素材と、耐腐食性の化学繊維とを適当な割合
で混合させた不織布から形成されている。
【0041】布製シート16の繊維分解素材として、たと
えば、天然繊維やジュート繊維等が利用できる。一般に
は、天然繊維である綿、麻等が、上記不織布の繊維分解
素材として使用される。
【0042】ところで、天然繊維等の繊維分解素材自体
はさほど大きな剛性を持たない。しかしながら、この発
明の布製シート16をなす不織布においては、この天然繊
維等の繊維分解素材に耐腐食性の化学繊維を混合させて
いるため、剛性の高い強靱な化学繊維が不織布、つまり
は布製シートの補強材として機能し、布製シートとして
要求される程度の強度が不織布に付与される。
【0043】なお、綿、麻等の天然繊維は浸水性、通気
性を持つため、これらの繊維分解素材を備えた不織布か
らなる布製シート16によれば、種子の発芽、植物の生育
等に適した水分、酸素等の供給が確実に得られる。従っ
て、布製シート16が植物の生育等の妨げとなることもな
い。
【0044】そして、土壌中での経年変化により、不織
布の繊維分解素材部分は土壌中で分解し消滅される。そ
のため、この点からも、不織布、つまりは布製シート16
が種子の発芽、植物の生育等の妨げとなることがない。
【0045】このような布製シート16においては、布製
シートに付着された植物の根系の伸長する6か月程度で
繊維分解素材を土壌中に分解、消滅させることが好まし
い。そして、この布製シート16をなす不織布によれば、
繊維分解素材に対する化学繊維の混合量の比率によっ
て、その消滅までの期間が調整できるため、表土10を覆
うのに適した布製シートが容易に確保できる。
【0046】なお、繊維分解素材の自然分解、消滅され
る時期においては、通常、布製シート16に付着された種
子の植物の根系が伸長し、残された化学繊維と共に表土
10にからむため、植物の根系が表土の補強材として機能
する。従って、繊維分解素材の分解、消滅後において
も、表土10の強度は十分に維持されて、天然繊維の消滅
後における表土の侵食や滑落が防止される。
【0047】ここで、この発明の実施の形態において
は、繊維分解素材と化学繊維との混合によりなる不織布
を布製シート16の素材として具体化している。しかし、
少なくとも部分的に自然分解可能であるとともに、布製
シート16としての強度を確保可能であれば足りるため、
これに限定されず、たとえば、繊維分解素材のみからな
る不織布を、所定大の網目を持つ耐腐食性素材のネット
で被覆して布製シートとしてもよい。
【0048】このような繊維分解素材の不織布とネット
との組み合わせにより形成された布製シート16において
も、ネットによって、布製シートとしての強度が十分に
確保できる。そして、経年変化による繊維分解素材の自
然分解、消滅が得られるとともに、残されたネットと植
物の根系とのからみに起因する表土10の補強が得られる
ため、布製シート12の繊維分解素材の消滅後における表
土の侵食、滑落等が防止できる。
【0049】更に、布製シート16の繊維分解素材とし
て、前記と同様の綿、麻等の天然繊維が使用できるた
め、天然繊維の浸水性、通気性により、種子の発芽、植
物の生育等に適した水分、酸素等の供給が確実に得られ
る。
【0050】なお、このような法面の緑化に用いられる
植物としては、通常、直径3cm程度以下の幹の植物がほ
とんどであるため、不織布を覆うネットの網目を3cm程
度の大きさとすることで、布製シートに対する植物の
芽、根および幹の通過が容易に得られる。従って、緑化
に利用される植物の幹、根系の通過可能な大きさの網目
を持つネットで天然繊維等の繊維分解素材の不織布を覆
うことによって、植物の成長を妨げない布製シート16が
容易に確保できる。
【0051】また、不織布からなる布製シート16に限定
されず、たとえば、前記ネットと同様の網目を持つ耐腐
食性のメッシュ状化学繊維の繊維間に、土壌中で自然分
解可能であり、かつ浸水性、保水性および保温性を持つ
分解質の繊維を織り込んだ織布から、布製シートを形成
してもよい。
【0052】このような布製シート16においても、メッ
シュ状化学繊維が補強材として機能するため、布製シー
トとしての強度十分に確保できる。そして、分解質の繊
維が土壌中に自然分解、消滅した後においても、メッシ
ュ状化学繊維と植物の根系とのからみにより、表土10が
確実に補強される。
【0053】つまり、上記のような、少なくとも部分的
に自然分解可能な布素材から、布製シート16を形成すれ
ば、布製シートとしての強度が十分に確保できるとも
に、経年変化に伴う表土10の露出が確実に得られるた
め、表土を覆うのに適した布製シートが容易に確保でき
る。
【0054】図1に加えて図2を見るとわかるように、
この発明においては、永久アンカー20が、所定の複数箇
所で、地盤14に対して定着、若しくは緊張、定着され
る。そして、このような布製シート16は、地盤14に定着
された上記の永久アンカー20に対し、布製シートを全面
的に覆うネット状カバー17、および、ネット状カバーの
外方に配置されたスクリーン18と共に連結、係止され
て、地盤の法面14a から所定の空間12を介した位置に配
設、固定されるとともに、この空間内に前記表土10を詰
め込んで、植物の生育可能な緑化基盤15を造成してい
る。
【0055】ネット状カバー17は、たとえば、耐久処理
素材から、植物の幹の通過可能な程度の大きさの網目、
つまりは3cm程度以上の網目を有して成形されている。
【0056】また、スクリーン18として、たとえば、L
型鋼によって四角形に枠組みされた枠体22に、所定の植
物の幹の通過可能な大きさの四角形の網目状に配置され
た複数の線状鋼材からなる網体24を架設、固着した所定
大のユニットが利用できる。そして、図1、図2に加え
て図3を見るとわかるように、このスクリーン18のユニ
ットは、上下方向、左右方向にそれぞれ並設され、地盤
14に定着された永久アンカー20の頭部定着部延出端20a
への各コーナーの突き合わせのもとでの係止、連結によ
って、布製シート16、ネット状カバー17と共に地盤の法
面14a に対して配置、固定されている。
【0057】図2を見るとわかるように、たとえば、ス
クリーン18のユニットの各コーナに、永久アンカー20の
径に対応する切欠き26が設けられ、切欠きを介して延出
された永久アンカーの頭部定着部延出端20a に対し、ス
クリーン、布製シート16およびネット状カバー17が一体
に連結、係止されている。
【0058】この種の永久アンカー20のアンカー引張材
として、たとえば、防錆加工の施されたPC鋼棒、PC鋼よ
り線および鋼棒等が利用できる。そして、永久アンカー
20は、公知の工法により、たとえば、図3に示すよう
に、上下左右に1m 程度ずつ離反した等間隔位置で、地
盤14に対して定着、若しくは緊張、定着される。
【0059】なお、この発明の実施の形態においては、
永久アンカー20が、端末にねじ部を有するPC鋼棒として
例示されている。そして、この永久アンカー20のねじ部
に対する、座鉄板28を介したナット30の螺着により、布
製シート16、ネット状カバー17およびスクリーン18が永
久アンカーの頭部定着部延出端20a 、つまりは永久アン
カーに対して連結されている(図1、図2参照)。
【0060】また、スクリーン18は、布製シート16、ネ
ット状カバー17を地盤の法面14a から離反不能に押さえ
れば足りるため、その網目の大きさは、植物の幹の通過
可能な程度の大きさであれば、特に限定されない。この
発明の実施の形態において、スクリーン18の網目の大き
さは、7.5cm 程度に形成されている。
【0061】そして、並設されたスクリーン18は、L 型
鋼の横孔32を利用したU 形クリップ34の嵌着によって離
反不能に相互に連結されている。
【0062】上記のように、この発明の法面の補強・緑
化工法においては、地盤14の掘削により生じた掘削土か
ら現地発生土を分別、採取し、この現地発生土に肥料材
となる微生物混合材を混合することによって、植物の生
育土壌となる表土10を得ている。つまり、この発明で
は、掘削土が植物の生育土壌となる表土10として再利用
され、分別された所定大以上の大きさの石礫、植物の根
系等を地盤14の掘削の際の生じた廃棄土として廃棄すれ
ば足りるため、掘削により生じる廃棄土の量が確実に低
減される。
【0063】従って、掘削土(廃棄土)の廃棄場所の確
保が比較的容易になるとともに、廃棄量の軽減に伴っ
て、廃棄に要する費用も確実に低減化される。
【0064】また、この発明では、木本植物、草本植物
の種子の付着された布製シート16と地盤の法面14a との
間の空間12に表土10を詰め込むことによって法面の緑化
基盤15としている。つまり、布製シート16と地盤の法面
14a との間に規定された空間12の奥行が緑化基盤15の層
となるため、緑化基盤の層が安定した状態で十分に厚く
造成できる。
【0065】そして、表土10は、布製シート16、ネット
状カバー17およびスクリーン18によって覆われているた
め、表土の侵食等が施工直後から確実に防止できる。
【0066】更に、布製シート16が高い保温性を持つた
め、布製シートでの表土10の被覆により、表土の凍土、
凍害等が防止でき、地山の風化の抑制効果が十分に期待
できる。
【0067】また、この発明では、永久アンカー20が、
地盤14に対し、等間隔離反した多数の箇所において定
着、若しくは緊張、定着されているため、地盤に対する
布製シート16、ネット状カバー17およびスクリーン18の
固定ばかりでなく、永久アンカーによる地盤の安定化も
同時に確保できる。このように、多数の永久アンカー20
を地盤14に定着させることによって、永久アンカーの挿
入された深さ分が、地盤の擁壁として機能するため、法
面14a の補強、ひいては地盤の強化が確実にはかられ
る。
【0068】つまり、この発明の法面の補強・緑化工法
によれば、法面14a の補強、緑化の両立が、施工を複雑
化することなく可能となる。そして、この発明において
は、特殊な施工技術や設備等が必要ないため、安価な施
工が可能となる。
【0069】更に、この法面の補強・緑化工法において
は、現地周辺の植物調査に基づいて選定した在来種の木
本植物の種子、草本植物の種子を布製シート16に付着し
て発芽、生育させている。つまり、この工法において
は、その地域の土壌環境に適した木本植物、草本植物を
生育させることで、その地域本来の自然林に近い緑化を
可能としている。また、現地発生土を表土10として再利
用することで、その土壌に堆積した種子による草本植物
等の生育も期待できるため、この点においても、自然林
に近い緑化が可能となる。
【0070】なお、上記の実施の形態においては、木本
植物の種子、草本植物の種子の双方を布製シート16に付
着させているが、植生による緑化が可能であれば足りる
ため、木本植物の種子、草本植物の種子の双方に限定さ
れず、たとえば、いずれか一方の種子のみを布製シート
に付着させる構成としてもよい。
【0071】ここで、木本植物においては、その根系が
斜面の奥行方向や上部方向に伸長する特性を持つため、
土層を斜面上に止める補強・保護効果が得られる。つま
り、木本植物を法面14a の緑化に利用することにより、
木本植物の根系が、地盤の法面14a に対する緑化基盤15
の連結材、補強材として機能するため、緑化基盤の強度
が十分に高く維持できる。
【0072】そして、この発明では、スクリーン18によ
って、法面14a が全体的に覆われている。つまり、この
発明によれば、表土10に対する木本植物の根系のからみ
合いに加えて、緑化基盤15の全面がスクリーン18によっ
て支持されるため、緑化基盤の全体的な強度が確実に高
くなり、強風等に起因する植物の倒れが十分に阻止でき
る。
【0073】ここで、肥料木となる木本植物として、そ
の地域に適したマメ科の根粒植物等を利用すれば、肥料
木が、菌根の働きによる空中窒素固定作用のもとで植物
体中に蓄えられた窒素分を落葉、落枝や根系からの分泌
物等により土壌中、つまりは表土中に供給するため、表
土10の地力を高める等の肥料効果が期待できる。従っ
て、追肥等の要求されない永久的な緑化が、法面14a の
緑化基盤15において可能となる。
【0074】そして、この発明においては、上述したよ
うに、布製シート16をなす布素材が、少なくとも部分的
に自然分解可能であるため、緑化基盤15の造成後での経
年変化により、布製シートによって覆われた表土10が、
繊維分解素材の消滅のもとで露出される。そのため、肥
料木となるマメ科の植物の落葉、落枝との接触がはから
れ、これらからの窒素分の供給が容易に得られる。
【0075】従って、自然分解可能な繊維分解素材を含
む布素材によって布製シート16を形成することで、自然
生体を最大限に生かした緑化が容易に可能となる。
【0076】ここで、この発明の実施の形態において
は、スクリーン18として、L 型鋼からなる枠体22と複数
の線状鋼材からなる網体24との組み合わせが例示されて
いる。しかし、高い剛性のもとで布製シート16を押さえ
るとともに、植物の生育を妨げない程度の大きさの網目
を持てば足りるため、これに限定されず、木製の枠体内
に金網等の網目材を架設させた構成としてもよい。ま
た、たとえば、略円形や六角形等の種々の形状の網目の
樹脂ネット、金網等を、この発明でのスクリーンとして
利用してもよい。
【0077】しかし、L 型鋼からなる枠体22と複数の線
状鋼材からなる網体24との組み合わせからなるスクリー
ン18によれば、スクリーン自体に高い剛性が確実に得ら
れるとともに、永久アンカーの頭部定着部延出端20a へ
の連結が容易に行えるため、機能性、作業性等が十分に
高く維持できる。
【0078】なお、スクリーン18は、通常、木本植物、
草本植物等の生育によって外観上確認困難な程度に覆わ
れるため、植物の生育後における緑化基盤15の外観は損
なわれない。
【0079】また、この発明の実施の形態において例示
した上記寸法は、いずれも実施の形態における一例にす
ぎないため、この寸法に限定されず、他の寸法のもとで
施工してもよい。
【0080】ところで、上述したこの発明の実施の形態
においては、木本植物の種子、草本植物の種子を布製シ
ート16に裏面に予め付着させ、この布製シートと地盤の
法面14a との間の空間12に表土10を詰め込むことで、法
面の緑化基盤15を造成している。しかし、その地域の環
境や施工の時期等によっては、種子の発芽、植物の生育
が十分に得られない場合も考えられる。このような場合
においては、必要に応じて、造成後の緑化基盤15の表面
上に、対応する種子を付着させ、これらの種子の発芽、
生育のもとで、緑化基盤に植生を確保してもよい。
【0081】このような場合の種子の付着工法として、
たとえば、機械施工による植生工、いわゆる植生基材吹
付工が利用できる。この植生基材吹付工は、種子散布工
と厚層吹付工とに分類され、たとえば、表土10となる現
地発生土の土質、硬度等によって使い分けられる。
【0082】たとえば、種子散布工においては、一般
に、平均吹付厚が1cm 未満とされるため、植生の生育良
好な普通土等を表土10とした場合に利用できる。種子散
布工は、通常、水力式植生基材吹付機が利用される。
【0083】これに対し、厚層吹付工においては、その
平均吹付厚が1 〜15cm程度まで厚くできるため、植生の
生育不良土壌である砂質土や硬質土等を表土10とした場
合に補助基材となる土等と共に木本植物の種子、草本植
物の種子を吹き付けることで、土壌基盤15における植生
の生育が十分に期待できる。このような厚層吹付工にお
いては、水力式植生基材吹付機や空気式植生基材吹付機
が利用できる。
【0084】この発明の法面の補強・緑化工法において
は、布製シート16が所定大の網目を持つスクリーン18、
ネット状カバー17で覆われているすぎず、散布された種
子は、これらの網目を介して布製シートの表面や露出さ
れた表土10等に直接的に付着されるため、緑化基盤15の
造成後での種子の散布、吹き付けのもとでも、緑化基盤
における植生の確保が十分に可能となる。
【0085】このような、緑化基盤15の造成後における
種子の散布、吹き付けのもとでも、布製シート16の表面
に種子が付着すれば、種子の発芽、植物の生育が得られ
るため、植生による緑化が緑化基盤において十分に確保
できる。つまり、布製シート16に対して種子を付着させ
れば足りるため、布製シートへの種子の付着は、事前の
作業のみに限定されず、表土10の詰め込み後においても
行うことが可能である。
【0086】なお、緑化地盤造成後での種子の付着は、
植生の生育不良時等に限定されず、たとえば、種子を付
着させることなく配置した布製シート16に対して、スク
リーン18で覆った後に、上記の種子散布工、厚層吹付工
によって種子を付着させてもよい。
【0087】また、この発明の実施の形態においては、
地盤14の掘削等により生じた掘削土から分別、採取され
た現地発生土を表土10として利用しているが、これに限
定されない。つまり、掘削土の再利用の不能な場合や掘
削土から十分な現地発生土が得られない場合、および、
盛り土による地盤の法面等においては、現地発生土以外
の土を利用して表土を得ることもできるため、あらゆる
土質の地盤での法面の補強、緑化が、この発明の法面の
補強・緑化工法において十分に可能となる。
【0088】なお、布製シート16は、地盤の法面14a を
全面的に覆えば足りるため、1枚のシートに限定されな
い。つまり、複数枚の布製シート16を地盤の法面14a の
面積に合わせて並置して、法面を覆う構成としてもよ
い。この場合、布製シート16をスクリーン18のユニット
と同程度の大きさとすれば、スクリーンのユニット単位
でのシートの配置が行えるため、作業性が向上される。
【0089】上述したこの発明の実施の形態は、この発
明を説明するためのものであり、この発明を何等限定す
るものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の
施されたものも全てこの発明に包含されることはいうま
でもない。
【0090】
【発明の効果】上記のように、この発明に係る法面の補
強・緑化工法によれば、地盤の掘削により生じた掘削土
のうち、現地発生土が表土として再利用可能であり、分
別された所定大以上の大きさの石礫、植物の根系等を廃
棄土として廃棄すれば足りるため、掘削により生じる廃
棄土の量が確実に低減される。廃棄土の廃棄場所の確保
が比較的容易になるとともに、廃棄に要する費用も確実
に低減化される。
【0091】また、現地に適した木本植物および草本植
物の少なくともいずれかによる緑化をはかるため、その
地域本来の自然林に近い緑化を可能としている。そし
て、現地発生土を表土として再利用することで、その土
壌に堆積した種子による草本植物等の生育も期待できる
ため、この点においても、自然林に近い緑化が可能とな
る。
【0092】そして、布製シートと地盤の法面との間に
規定された空間内への表土の詰め込みによって緑化基盤
を造成するため、緑化基盤の層が安定した状態で十分に
厚く造成できる。
【0093】更に、この発明では、永久アンカーが、地
盤に対し、等間隔離反した多数の箇所において定着され
ているため、地盤に対するスクリーン、ネット状カバー
および布製シートの固定ばかりでなく、永久アンカーに
よる地盤の安定化も同時に確保できる。つまり、永久ア
ンカーの挿入された深さ分が、地盤の擁壁として機能す
るため、この発明の法面の補強・緑化工法によれば、法
面の補強、緑化の両立が、施工を複雑化することなく可
能となる。そして、この発明においては、特殊な施工技
術や設備等が必要ないため、安価な施工が可能となる。
【0094】また、掘削土の再利用の不能な場合や掘削
土から十分な現地発生土が得られない場合、および、盛
り土による地盤の法面等においては、現地発生土以外の
土を表土に利用して地盤の法面と布製スクリーンとの間
の空間に詰め込むことも可能であるため、あらゆる土質
の地盤での法面の補強、緑化が、この発明の法面の補強
・緑化工法において十分に可能となる。
【0095】そして、肥料材として微生物混合材を利用
すれば、微生物混合材の持つpH調整機能により、土壌中
のpHが適切に保たれて、植物の発芽、生育の促進が十分
にはかられる。
【0096】また、植物繊維系素材、多孔質系素材を基
材とする2系統の微生物混合材を適当な比率で混在させ
て肥料材とすれば、微生物の生育基盤の確保、および、
持続性の高いpH調整機能の確保の双方が容易にはかられ
る。
【0097】更に、スクリーンとして、L 型鋼からなる
枠体と複数の線状鋼材からなる網体との組み合わせを利
用すれば、スクリーン自体に高い剛性が確実に得られる
とともに、永久アンカーへの連結が容易に行えるため、
機能性、作業性等が十分に高く維持できる。
【0098】そして、この発明のいずれの布製シートに
おいても、経年変化によって、繊維分解素材部分が表土
中に分解、消滅するため、布製シートに覆われた表土の
露出により、肥料木の落葉、落枝との接触がはかられ
る。従って、自然分解可能な繊維分解素材を少なくとも
部分的に含む布素材によって布製シートを形成すること
で、自然生体を最大限に生かした緑化が容易に可能とな
る。
【0099】また、繊維分解素材に耐腐食性の化学繊
維、ネットおよびメッシュ状化学繊維のいずれかを組み
合わせて布製シートを形成するため、化学繊維、ネット
およびメッシュ状化学繊維が布製シートの補強材として
機能し、布製シートとしての機能性が十分に維持でき
る。
【0100】そして、繊維分解素材に化学繊維を混合し
た不織布からなる布製シートによれば、繊維分解素材に
対する化学繊維の混合比率を調整することによって、そ
の消滅までの期間が調整できるため、表土を覆うのに適
した布製シートが容易に確保できる。
【0101】更に、ネットおよびメッシュ状化学繊維
は、植物の幹、根系の通過可能な大きさの網目を持つと
ともに、繊維分解素材に混合する化学繊維は特定の網目
を持たないため、いずれにおいても、植物の生育を妨げ
ることのない布製シートが容易に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る法面の補強・緑化工法の概略縦
断面図である。
【図2】法面の補強・緑化工法で永久アンカーに連結さ
れた状態におけるスクリーン、ネット状カバーおよび布
製シートの一部破断の概略拡大斜視図である。
【図3】法面の補強・緑化工法で永久アンカーに連結さ
れた状態におけるスクリーンの一部破断の概略平面図で
ある。
【符号の説明】
10 表土 12 空間 14 地盤 14a 法面 15 緑化基盤 16 布製シート 17 ネット状カバー 18 スクリーン 20 永久アンカー 22 枠体 24 網体

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも所定大の石礫、根系の除去に
    よって、地盤の掘削により生じた掘削土から現地発生土
    を分別、採取し、この現地発生土に肥料材を混合して、
    植物の生育土壌となる表土とし、 土壌中で少なくとも部分的に自然分解可能であり、かつ
    浸水性、保水性および保温性を持つ布製シートに、現地
    周辺の植物調査に基づいて選定された肥料木となる在来
    種の木本植物の種子、および、草本植物の種子の少なく
    ともいずれかを付着させるとともに、 永久アンカーを所定の複数箇所で対象地盤に定着させ、 地盤の法面を全面的に覆った上記布製シートと;所定の
    植物の幹の通過可能な所定大の網目に形成されて、上記
    布製シートを全面的に覆って配置されたネット状カバー
    と;所定の植物の幹の通過可能な所定大の網目を持つ網
    状に形成されて、上記ネット状カバーの外方に配置され
    たスクリーンと;を、上記永久アンカーへの係止、連結
    により、地盤の法面から布製シートまでの間に所定の空
    間を設けた状態で、法面の全面に配設、固定し、この地
    盤の法面と布製シートとの間の空間に、上記表土を詰め
    込んで、植物の生育可能な緑化基盤とする法面の補強・
    緑化工法。
  2. 【請求項2】 少なくとも所定大の石礫、根系の除去に
    よって、地盤の掘削により生じた掘削土から現地発生土
    を分別、採取し、この現地発生土に肥料材を混合して、
    植物の生育土壌となる表土とし、 永久アンカーを所定の複数箇所で対象地盤に定着させ、 土壌中で少なくとも部分的に自然分解可能であり、かつ
    浸水性、保水性および保温性を持って形成されて、地盤
    の法面を全面的に覆った布製シートと;所定の植物の幹
    の通過可能な所定大の網目に形成されて、上記布製シー
    トを全面的に覆って配置されたネット状カバーと;所定
    の植物の幹の通過可能な所定大の網目を持つ網状に形成
    されて、上記ネット状カバーの外方に配置されたスクリ
    ーンと;を、上記永久アンカーへの係止、連結により、
    地盤の法面から布製シートまでの間に所定の空間を設け
    た状態で、法面の全面に配設、固定し、この地盤の法面
    と布製シートとの間の空間に、上記表土を詰め込むとと
    もに、 少なくとも、法面と布製シートとの間の上記空間への表
    土の詰め込み後において、現地周辺の植物調査に基づい
    て選定された肥料木となる在来種の木本植物の種子、お
    よび、草本植物の種子の少なくともいずれかを布製シー
    トに付着させて、植物の生育可能な緑化基盤とする法面
    の補強・緑化工法。
  3. 【請求項3】 所定の土に肥料材を混合して、植物の生
    育土壌となる表土とし、 土壌中で少なくとも部分的に自然分解可能であり、かつ
    浸水性、保水性および保温性を持つ布製シートに、現地
    周辺の植物調査に基づいて選定された肥料木となる在来
    種の木本植物の種子、および、草本植物の種子の少なく
    ともいずれかを付着させるとともに、 永久アンカーを所定の複数箇所で対象地盤に定着させ、 地盤の法面を全面的に覆った上記布製シートと;所定の
    植物の幹の通過可能な所定大の網目に形成されて、上記
    布製シートを全面的に覆って配置されたネット状カバー
    と;所定の植物の幹の通過可能な所定大の網目を持つ網
    状に形成されて、上記ネット状カバーの外方に配置され
    たスクリーンと;を、上記永久アンカーへの係止、連結
    により、地盤の法面から布製シートまでの間に所定の空
    間を設けた状態で、法面の全面に配設、固定し、この地
    盤の法面と布製シートとの間の空間に、上記表土を詰め
    込んで、植物の生育可能な緑化基盤とする法面の補強・
    緑化工法。
  4. 【請求項4】 所定の土に肥料材を混合して、植物の生
    育土壌となる表土とし、 永久アンカーを所定の複数箇所で対象地盤に定着させ、 土壌中で少なくとも部分的に自然分解可能であり、かつ
    浸水性、保水性および保温性を持って形成されて、地盤
    の法面を全面的に覆った布製シートと;所定の植物の幹
    の通過可能な所定大の網目に形成されて、上記布製シー
    トを全面的に覆って配置されたネット状カバーと;所定
    の植物の幹の通過可能な所定大の網目を持つ網状に形成
    されて、上記ネット状カバーの外方に配置されたスクリ
    ーンと;を、上記永久アンカーへの係止、連結により、
    地盤の法面から布製シートまでの間に所定の空間を設け
    た状態で、法面の全面に配設、固定し、この地盤の法面
    と布製シートとの間の空間に、上記表土を詰め込むとと
    もに、 少なくとも、法面と布製シートとの間の上記空間への表
    土の詰め込み後において、現地周辺の植物調査に基づい
    て選定された肥料木となる在来種の木本植物の種子、お
    よび、草本植物の種子の少なくともいずれかを布製シー
    トに付着させて、植物の生育可能な緑化基盤とする法面
    の補強・緑化工法。
  5. 【請求項5】 植物繊維系素材および多孔質系素材のい
    ずれかからなる基材に特定の微生物を含有させて微生物
    混合材とし、この微生物混合材を上記肥料材とする請求
    項1ないし4のいずれか記載の法面の補強・緑化工法。
  6. 【請求項6】 植物繊維系素材および多孔質系素材をそ
    れぞれ基材とし、この各基材に特定の微生物を含有させ
    て2系統の微生物混合材を形成するとともに、 上記2系統の微生物混合材を適当な比率で混在させて上
    記肥料材とする請求項1ないし4のいずれか記載の法面
    の補強・緑化工法。
  7. 【請求項7】 土壌中で自然分解可能であり、かつ浸水
    性、保水性および保温性を持つ繊維分解素材と;耐腐食
    性の化学繊維と;を適当な比率のもとで混合した不織布
    から布製シートを形成した請求項1ないし6のいずれか
    記載の法面の補強・緑化工法。
  8. 【請求項8】 土壌中で自然分解可能であり、かつ浸水
    性、保水性および保温性を持つ繊維分解素材からなる不
    織布を、所定の植物の幹、根系の通過可能な大きさの網
    目の耐腐食性素材のネットで覆って布製シートとした請
    求項1ないし6のいずれか記載の法面の補強・緑化工
    法。
  9. 【請求項9】 所定の植物の幹、根系の通過可能な大き
    さの網目を持つ耐腐食性のメッシュ状化学繊維の繊維間
    に、土壌中で自然分解可能であり、かつ浸水性、保水性
    および保温性を持つ分解質の繊維を織り込んだ織布か
    ら、布製シートを形成した請求項1ないし6のいずれか
    記載の法面の補強・緑化工法。
  10. 【請求項10】 スクリーンが、L 型鋼によって四角形
    に枠組みされた枠体内に、所定の植物の幹の通過可能な
    大きさの網目状に配置された複数の線状鋼材からなる網
    体を架設、固着した所定大のユニットとして形成され、 スクリーンを上下方向、左右方向にそれぞれ並設し、地
    盤に定着された永久アンカーへの各コーナーの係止、連
    結によって、スクリーンが布製シート、ネット状カバー
    と共に地盤の法面に対して配置、固定された請求項1な
    いし9のいずれか記載の法面の補強・緑化工法。
  11. 【請求項11】 土壌中で自然分解可能であり、かつ浸
    水性、保水性および保温性を持つ繊維分解素材と;耐腐
    食性の化学繊維と;を適当な割合のもとで混合した不織
    布から形成された布製シート。
  12. 【請求項12】 土壌中で自然分解可能であり、かつ浸
    水性、保水性および保温性を持つ繊維分解素材からなる
    不織布を、所定の植物の幹、根系の通過可能な大きさの
    網目の耐腐食性素材のネットで覆って形成した布製シー
    ト。
  13. 【請求項13】 所定の植物の幹、根系の通過可能な大
    きさの網目を持つ耐腐食性のメッシュ状化学繊維の繊維
    間に、土壌中で自然分解可能であり、かつ浸水性、保水
    性および保温性を持つ分解質の繊維を織り込んだ織布か
    ら形成された布製シート。
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CN113513037A (zh) * 2021-07-20 2021-10-19 上海应用技术大学 生态护坡系统

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