JPH0941233A - ランダム異捲縮糸 - Google Patents

ランダム異捲縮糸

Info

Publication number
JPH0941233A
JPH0941233A JP20926195A JP20926195A JPH0941233A JP H0941233 A JPH0941233 A JP H0941233A JP 20926195 A JP20926195 A JP 20926195A JP 20926195 A JP20926195 A JP 20926195A JP H0941233 A JPH0941233 A JP H0941233A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
filaments
filament
crimps
multifilament
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP20926195A
Other languages
English (en)
Inventor
Michio Kubota
道雄 久保田
Yoshikazu Kondo
義和 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanebo Ltd
Original Assignee
Kanebo Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanebo Ltd filed Critical Kanebo Ltd
Priority to JP20926195A priority Critical patent/JPH0941233A/ja
Publication of JPH0941233A publication Critical patent/JPH0941233A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)
  • Multicomponent Fibers (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】異なる捲縮波形を有するフィラメントを混繊、
合糸過程を施すことなく、同一マルチフィラメント中に
混在させた天然繊維ライクなふくらみ感、嵩高性を有す
ると共に、織編物にハリ、コシ感を与えるランダム異捲
縮糸に関する。 【解決手段】(1)高粘度のポリエステルAと低粘度の
ポリエステルBよりなるサイド・バイ・サイド型の複合
形態を有しフィラメント間でA,B成分の複合比率が異
なるフィラメント、(2)Aのみのフィラメント、及び
(3)Bのみのフィラメントの3種からなるマルチフィ
ラメントにおいて、該3種が実質的に同一繊度で混在
し、マルチフィラメント中にクリンプ数割合が、10個
/インチ未満のフィラメントが40〜60%、10以上
20個/インチ未満のフィラメントが20〜30%、2
0個/インチ以上のフィラメントが20〜30%であ
り、かつマルチフィラメントの熱水収縮率の最大値と最
小値の差が5〜30%であるランダム異捲縮糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランダム異捲縮糸
に関する。更に詳しくは、互いに異なる捲縮波形を有す
るフィラメントを混繊、合糸過程を施すことなく、同一
マルチフィラメント中に混在させた天然繊維ライクなふ
くらみ感、嵩高性と共に、ハリ、コシ感を有するランダ
ム異捲縮糸に関する。
【0002】
【従来の技術】天然繊維、例えばウ−ル、シルク、綿な
どは、合成繊維に比較して個々の単繊維の繊度、形状、
クリンプ等の構造上或いは物性上のバラツキが大きいと
いう特徴を有している。このような構造上、物性上のバ
ラツキがあるため、合成繊維製品に比べふくらみが大き
く、風合いが良好である。
【0003】合成繊維でもこのようなふくらみを発現さ
せるために、収縮率の異なる2本以上の糸を混繊し、弛
緩熱処理したものが挙げられる。かかる加工法では、フ
ィラメント間に繊度差をつけて収縮特性の差を付与した
ものであるが、これは同じ捲縮波形のフィラメントの集
合である為に、ふくらみ感は発現するが、未だ尚フラッ
トで単調な感じを与えるものである。
【0004】又、固有粘度(以下〔η〕と記す)の違う
2種のポリエステル重合体を貼合せてサイド・バイ・サ
イド型にした複合繊維糸条は広く知られている。このよ
うなポリエステル糸条では捲縮は発現するが、2種の成
分の複合比率が全ての糸条で実質的に同一であり、未だ
尚フラットで単調な感じしかなく、天然繊維ライクな風
合いを発現できない。
【0005】このようなフラット感を改善するために、
捲縮波形の異なる2本以上の糸を別々に製造し、混繊す
る方法もある。例えば、特公昭63−30421号公報
には、捲縮率の異なるポリエステル系フィラメントが混
繊された捲縮糸を製造する際、ポリマ−成分間の〔η〕
に差のあるサイド・バイ・サイド型複合繊維を形成さ
せ、互いの複合比が異なる実質的に同一繊度のフィラメ
ントを加熱流体押込ノズルにより混繊、捲縮加工する異
捲縮混繊糸が開示されている。しかしながら、この方法
では別々に得られた糸を混繊することによる製造工程の
複雑さ或いは煩雑さが生じるばかりか、この方法で得ら
れたフィラメントも捲縮波形の変化が少なく、織編物と
した場合に充分なふくらみ感を与えることができない。
【0006】一方、特開平2−221414号公報或い
は特開平2−221415号公報には、2種のポリエス
テル重合体成分A、Bからなる貼り合わせ型フィラメン
ト群と、重合体成分A及び重合体成分Bが各々100%
で構成される捲縮のないフィラメント群とが混在してな
る複合繊維糸条が開示されている。この方法は、2種の
重合体成分A、Bの複合比率を変えるために、紡糸口金
内に設けた各種孔径の異なった前板を有する紡糸口金か
ら紡出するものである。孔径を変えることによりA、B
両成分の複合比率を制御することができるし、A、B成
分のみの部分による織編物のハリ、コシ感は発現する。
しかしながら、該公報の発明に基づいて得られた織編物
の風合いは、従来のサイド・バイ・サイド型の糸の混繊
糸等からのものとさほど変わらない。
【0007】又、特開平4−136209号公報にも、
口金内で2種のポリマ−の流量を制御して複合比率を変
える方法が開示されている。この方法も口金内のポリマ
−の流量を、孔径を変えて複合比率を特定の値に制御す
るものである。しかしながら、該公報に記載された発明
は、口金により複合比率を変える方法についてのもので
あるが、該発明に基づいて得られる織編物の風合いは際
立って良好とは言えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来技
術の欠点を改善し、互いに異なった捲縮波形を有するフ
ィラメントをマルチフィラメント中に混在させ、天然繊
維ライクなふくらみ感、嵩高性や、得られる織編物がハ
リ、コシ感を有するランダム異捲縮糸を提供するもので
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を
行なった結果、本発明を完成した。まず、(1)捲縮を
発現させるために、高粘度のポリエステル(A成分)と
低粘度のポリエステル(B成分)をサイド・バイ・サイ
ド型に接合させ、A成分とB成分の収縮特性の違いを利
用して捲縮性能を発現させた。しかも、各フィラメント
におけるA成分とB成分の複合比率が互いに異なるフィ
ラメントの集合体とすることにより、従来にない充分な
ふくらみ感、嵩高性或いはハリ、コシ感を付与すること
ができた。
【0010】次に、(2)A成分のみ、B成分のみの各
フィラメントを混在させることにより更に捲縮波形の変
化を大きくした。この方法により捲縮波形の異なる糸を
混繊或いは合糸することなく、マルチフィラメント中に
混在することができた。
【0011】更に、(3)A成分とB成分の複合比率
は、捲縮により発現するクリンプの数及び沸水収縮率の
最大値と最小値の差(以下ΔShmax と記す。)が所定
の値になるように制御した。即ち、クリンプの数と得ら
れる織編物の風合い、ハリ、コシ等の相関性から最もよ
いクリンプの数になるように、A成分とB成分の複合比
率を決定した。即ち、クリンプの数が多いフィラメン
ト、クリンプの数が中程度のフィラメント、クリンプの
数が少ないか、或いはクリンプが実質的に生じないフィ
ラメントが所定の割合で混在するように、A成分とB成
分の複合比率を制御した。この方法によって、天然繊維
に限りなく近いふくらみ感、嵩高性を有し、かつハリ、
コシ感を与える織編物の作成が可能となった。
【0012】即ち、本発明は、マルチフィラメント中の
各フィラメントが、(1)高粘度のポリエステル(A成
分)と低粘度のポリエステル(B成分)よりなるサイド
・バイ・サイド型の複合形態を有し、該フィラメント間
のA成分とB成分の複合比率が異なる複合繊維からなる
フィラメント、及び(2)A成分のみからなるフィラメ
ント、及び(3)B成分のみからなるフィラメントの3
種が実質的に同一繊度で混在しており、マルチフィラメ
ント中にクリンプの数が 10個/インチ未満のフィラメントが40〜60% 10以上20個/インチ未満のフィラメントが20〜3
0% 20個/インチ以上のフィラメントが20〜30% であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大
値と最小値の差が5〜30%であることを特徴とするラ
ンダム異捲縮糸である。
【発明の実施の形態】
【0013】本発明で言うランダム異捲縮糸とは、単一
フィラメントの横断面においてA成分とB成分のサイド
・バイ・サイド型の接合形態を有する複合フィラメン
ト、及びA成分のみのフィラメント、及びB成分のみの
フィラメントの計3種が混在しているマルチフィラメン
トを言う。サイド・バイ・サイド型のフィラメントの任
意の横断面における接合形態は、該フィラメントの長手
方向に沿って一様に連続していることが好ましいが、そ
の一部に非連続構造を含んでいてもよい。一様に連続し
た構造を有する糸は、紡糸、延伸操業性が良好な事や製
品となってから欠点を出さないという点から好ましい。
ここで、接合形態とは、A成分とB成分の貼り合わせの
形態を言う。
【0014】前記複合フィラメントのサイド・バイ・サ
イド型の接合形態は、本発明の目的、効果を損なわない
限り、A成分とB成分がどのように接合されもよい。
又、該複合フィラメントの断面形状は、A成分とB成分
がサイド・バイ・サイド型の接合形態を形成でき、か
つ、本発明の目的とする捲縮性能が発現するものであれ
ば、丸断面、三角断面、Y断面、U断面、偏平断面等の
公知の形状のいずれでもよい。又、本発明のランダム異
綣縮糸における前記A成分、或いはB成分のみからなる
フィラメントも、その断面形状はこれら各種の形状を取
ることができる。
【0015】本発明で使用するA成分は、熱収縮特性の
小さなポリエステルである必要があり、詳しくはフィラ
メントの沸収値が10%未満、好ましくは5%以下、更
に好ましくは3%以下であるポリエステルを言う。又、
B成分は、熱収縮特性の大きなポリエステルである必要
があり、詳しくは沸収値が10%以上、好ましくは15
%以上、更に好ましくは20%以上であるポリエステル
を言う。本発明で使用するA成分、B成分のポリエステ
ルとしては、通常のポリエステル、例えばテレフタル酸
又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジ
カルボン酸成分と、エチレングリコ−ル又は1,4−ブ
タンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分からなる芳
香族ポリエステルを公知の方法で製造する。
【0016】A、B両成分の前記熱収縮特性の必要条件
を満足させるためには、A、B各成分のポリエステルの
粘度を特定範囲に設定することが必要である。まず、A
成分のポリエステルの〔η〕は、B成分のポリエステル
のそれより高いことが必要である。A成分の〔η〕は
0.65〜0.90、好ましくは0.70〜0.85で
ある。〔η〕が0.65より低いと、B成分の〔η〕が
低くなりすぎ、紡糸、延伸操業性が著しく低下する。
又、0.90より大きいと、A成分、B成分共に〔η〕
が高くなりすぎ紡糸、延伸操業性が困難となる。
【0017】一方、B成分としては、A成分のポリエス
テルより〔η〕が低いポリエステルを使用する。A成分
とB成分の粘度差(以下Δ〔η〕と記す)は、0.20
〜0.40、好ましくは0.25〜0.35である。Δ
〔η〕が0.40より大きいと、〔η〕の違いによる紡
糸、延伸操業性が著しく低下する。又、Δ〔η〕が0.
20より小さいと、Δ〔η〕が小さすぎてA成分、B成
分の熱収縮特性の違いによる捲縮が充分発現しない。
【0018】かかるA成分、B成分のポリエステルの製
造時或いは成形加工時に、顔料、艶消し剤、蛍光増白
剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制電剤及び有機アミ
ン、有機カルボン酸アミドなどのエーテル結合抑制剤
等、必要に応じて種々使用してもよい。又、必要に応じ
て第三成分を添加しても何ら差し支えない。
【0019】本発明では、A成分とB成分の複合比率
(A成分/B成分)は、マルチフィラメント中に捲縮
(クリンプ)の数が、 10個/インチ未満のフィラメントが40〜60% 10以上20個/インチ未満のフィラメントが20〜3
0% 20個/インチ以上のフィラメントが20〜30% であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率のΔS
max が5〜30%となるように制御する。即ち、捲縮
の数、熱水収縮特性を制御するために複合比率を制御さ
せることにより、限りなく天然繊維に近いふくらみ感、
嵩高性及びハリ、コシ感を与えることができる。
【0020】マルチフィラメント中に捲縮の数が、10
個/インチ未満のフィラメントは、マルチフィラメント
中で小さな捲縮性能或いはふくらみ感や表面毛羽感を発
現させるものである。この割合が60%を越えると、嵩
高性を示す残りのフィラメントが少なすぎ、良好な天然
繊維ライクな風合いを発現できない。又、40%より少
ないと、織編物とした場合、ハリ、コシ感のないものが
得られる。
【0021】マルチフィラメント中に捲縮の数が、10
以上20個未満/インチのフィラメントは、マルチフィ
ラメント中で最も重要な働きをするもので、適度なふく
らみ、ハリ、コシ感及び毛羽感等を与える。この割合が
30%を越えると、嵩高性を示すフィラメント又は、小
さな捲縮性能或いはハリ、コシ感を与えるフィラメント
の量を適度なものにすることができず、良好な天然繊維
ライクな風合いを発現できない。又、20%より少ない
と、中程度の捲縮性能を示すフィラメントが少なく、捲
縮波形の変化が小さいものとなる。
【0022】マルチフィラメント中に捲縮の数が、20
個/インチ以上のフィラメントは、マルチフィラメント
中で大きな捲縮性能を発現させるものである。この割合
が30%を越えると、嵩高性を示すフィラメントが多く
なりすぎ、粗硬感が増し好ましくない。又、20%より
少ないと、嵩高性を示すフィラメントが少なすぎ、良好
な天然繊維ライクな風合いを発現できない。
【0023】捲縮の数を変化させるためには、フィラメ
ントを構成するA成分とB成分の比率を制御したり、延
伸条件を変えるなどして行うことができる。例えば、捲
縮が20個/インチ以上のフィラメントは、A成分/B
成分が通常好ましくは0/10〜1/2、又は5/1〜
10/0、10以上20個/インチ未満のフィラメント
は、A成分/B成分が通常好ましくは1/2〜1/1、
又は3/1〜5/1、20個/インチ以上のフィラメン
トは、A成分/B成分が通常好ましくは1/1〜3/1
になるように制御する。延伸条件は、ローラーの温度は
通常80〜84℃であり、プレートヒーターの温度は通
常150℃未満、好ましくは100〜120℃である。
プレートヒーターの温度が150℃以上の場合、A成分
とB成分の複合比率を制御しても、目的とする捲縮性能
が得られない。
【0024】A成分、B成分の複合比率を変える方法
は、例えば、あらかじめ口金内でのポリマーの流路をA
成分、B成分の複合比率に対応するように規制する方法
などが挙げられる。まず、A成分については、A成分の
ポリマーの流路を、A成分のみから構成されるポリマー
と、A成分とB成分のサイド・バイ・サイド型を構成す
るポリマーに分岐する。B成分についても同様で、B成
分のポリマーの流路を、B成分のみから構成されるポリ
マーと、A成分とB成分のサイド・バイ・サイド型を構
成するポリマーに分岐する。A成分又はB成分のみから
構成されるポリマーについては、そのまま口金吐出孔か
ら吐出される。一方、A成分とB成分のサイド・バイ・
サイド型を構成するポリマーについては、上記のごとく
分岐された後、A成分/B成分のフィラメント間分布の
複合比率に合わせて、2成分の流路幅を制御した流路会
合を得た後、口金吐出孔より吐出される。
【0025】本発明のランダム異捲縮糸は、該フィラメ
ント間及び各フィラメントの長手方向に沿って、実質的
に同一繊度を有する必要がある。繊度の違いがあると、
該フィラメント間のA成分/B成分の違いによる異なる
捲縮挙動を充分に発現させることができない。又、繊度
ムラがあると、紡糸、延伸時の操業性が著しく低下す
る。ここで、捲縮波形とは、糸のA成分とB成分の収縮
特性の差異により生じた捲縮の出方を平面的に波形に模
した曲線として表したものである。A成分とB成分の複
合比率が実質的に同一である場合の捲縮波形とA成分と
B成分の複合比率が各フィラメントでそれぞれ異なる場
合の捲縮波形をそれぞれ図1、図2に記す。
【0026】熱水収縮率のΔShmax は、同一条件で溶
融紡糸、延伸した糸の沸水収縮率の最大値と最小値の差
を示す。具体的には、例えば紡糸温度285℃、紡糸速
度1000m/分で巻き取った未延伸糸を、次いで、延
伸倍率3.5倍、延伸速度730m/分で84℃のロ−
ラ−ヒ−タ−で延伸し、120℃のプレ−トヒ−タ−で
セットした延伸糸について、任意の点から1mの長さの
試料を10本採取し、各本について荷重0.12gをつ
けてあらかじめ糸の原長を測定しておき、次いで、10
0℃の熱水中に15分間浸して処理し、熱水中から取り
出し、風乾後処理後の糸長を測定し、
【数1】 より算出した全10ケの沸収値の最大値と最小値の差を
言う。
【0027】以上のごとくして得られた延伸糸のΔSh
max は5〜30%である。ΔShmax が5%より小さい
と、織編物とした場合充分な嵩高性が発現できず、30
%より大きいと、収縮性能が高すぎるため粗硬感が増し
好ましくない。
【0028】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明のランダム異捲
縮糸は、各フィラメントの繊度が実質的に同一であり、
単一フィラメントにおけるA成分とB成分の収縮特性の
違いを利用して捲縮を発現させたものである。又、実質
的に同一繊度のフィラメント間におけるA成分とB成分
の複合比率を任意に変え、かつA成分のみ、B成分のみ
のフィラメントを混在させることにより、異なる捲縮波
形を有するフィラメントの集合体とした。そのため織編
物とした場合、捲縮波形が大きいフィラメントは捲縮に
より嵩高性を発現せしめ、捲縮波形が小さいフィラメン
ト或いは実質的に捲縮波形を有しないフィラメントはハ
リ、コシ感を付与せしめることとなる。
【0029】従来のように捲縮波形の異なる糸を、紡糸
後に混繊、合糸することなく、又、複雑な口金を使用す
ることなく、マルチフィラメント中に異なる捲縮波形を
有するフィラメントを混在させることができる。本発明
のランダム異捲縮糸は、工業生産性、経済的に非常に優
れたものであり、衣料用途として最適なものである。
【0030】本発明の最善実施態様は、(1)マルチフ
ィラメント中の各フィラメントが、A成分として、テレ
フタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分
とするジカルボン酸成分とエチレングリコ−ル又は1,
4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分から
なる〔η〕が0.85の芳香族ポリエステルを、又、B
成分として、A成分のポリエステルより〔η〕が0.2
0〜0.30低いポリエステルよりなるサイド・バイ・
サイド型の複合形態を有し、該フィラメント間のA成分
とB成分の複合比率が異なる複合繊維からなるフィラメ
ント、及び(2)A成分のみからなるフィラメント、及
び(3)B成分のみからなるフィラメントの3種が実質
的に同一繊度で混在しており、マルチフィラメント中に
クリンプの数が、 10個/インチ未満のフィラメントが40〜60% 10以上20個未満/インチのフィラメントが20〜3
0% 20個/インチ以上のフィラメントが20〜30% であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大
値と最小値の差が5〜30%であることを特徴とするラ
ンダム異捲縮糸である。
【0031】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明す
る。実施例中「部」とあるのはことわりのない限り「重
量部」を意味し、「%」とあるのはことわりのない限り
「重量%」を意味する。固有粘度〔η〕は、フェノール
/テトラクロロエタン=6/4の混合溶剤中20℃で常
法により求めた。融点は理学電気社製示差走査熱量計
(以下DSCと記す)の吸熱ピ−クより求めた。又、走
査電子顕微鏡(以下SEMと記す。)測定は、明石製作
所社製明石走査電子顕微鏡にて測定した。又、捲縮の数
は、SEM観察或いは肉眼によりある一定長における捲
縮の数を求め、その値を1インチ当たりの数に直したも
のを記載した。
【0032】実施例1 (a)高粘度のポリエステル成分(A成分)の重合工程 ジメチルテレフタレ−ト1500部、エチレングリコ−
ル1100部及び酢酸カルシウム1.2部とよりなる混
合物を155〜220℃で130分間加熱してエステル
交換反応を行った。その後、三酸化アンチモン0.6
部、亜リン酸トリメチル0.5部、二酸化チタン7.5
部を添加し、系内の温度を30分間要して275℃に,
系内の圧力を45分間要して減じて0.2mmHgとし
て、このまま90分間反応を続けた。このポリマ−を索
状に押出し切断して2.5mmφ×3mmの大きさのペ
レットとした後、水分率0.005%まで乾燥した。得
られたポリマ−の粘度は〔η〕=0.85で、融点は2
68℃であった。
【0033】(b)低粘度のポリエステル成分(B成
分)の重合工程 実施例1(a)記載の工程で、反応時間を短縮調整し、
〔η〕=0.65のポリエステルを得た。融点は263
℃であった。
【0034】(c)工程aで得られた高粘度ポリエステ
ル(A成分)と工程bで得られた低粘度ポリエステル
(B成分)をA成分とB成分の接合比率が1:1になる
ように、それぞれ別々のギアポンプで計量して、A成分
/B成分が10/0、2/1、1/1、1/2、0/1
0となるように、口金内のポリマーの流路を制御し、か
つそれぞれのホールが、A成分/B成分が10/0、1
/2、0/10のホールが50%、A成分/B成分が1
/1のホールが30%、A成分/B成分が2/1のホー
ルが20%となるように設計した口金を用いて、エクス
トルーダーにて紡糸温度285℃、紡糸速度1000m
/分にて溶融紡糸を行った。その後、延伸倍率3.5
倍、延伸速度730m/分で84℃のロ−ラ−ヒ−タ−
で延伸し、120℃のプレ−トヒ−タ−でセットし、5
0デニール(以下dと記す)/24フィラメント(以下
fと記す)のマルチフィラメントを得た。得られたマル
チフィラメントの画像解析より、該マルチフィラメント
中にA成分/B成分が10/0、1/2、0/10のホ
ールが51%、A成分/B成分が1/1のホールが24
%、A成分/B成分が2/1のホールが25%存在して
いることが判明した。
【0035】前述の方法により熱水処理を施したマルチ
フィラメントを風乾した後、SEM測定により、各フィ
ラメントのクリンプの数を算出した。SEMの結果、該
マルチフィラメント中に、クリンプの数が10個/イン
チ未満のフィラメントが51%、10以上20個/イン
チ未満のフィラメントが24%、20個/インチ以上の
フィラメントが25%存在していた。
【0036】実施例2 実施例1(a)記載の工程で、〔η〕=0.54のポリ
エステルを得た。このポリエステルをB成分とする以
外、実施例1記載の工程で実施した。SEM測定の結
果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10個
/インチ未満のフィラメントが49%、10以上20個
/インチ未満のフィラメントが24%、20個/インチ
以上のフィラメントが27%存在していた。
【0037】比較例1 10個/インチ未満のフィラメントが20%、10以上
20個未満/インチのフィラメントが30%、20個/
インチ以上のフィラメントが50%となるように変更す
る以外、実施例1記載の工程で実施した。SEM測定の
結果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10
個/インチ未満のフィラメントが19%、10以上20
個/インチ未満のフィラメントが33%、20個/イン
チ以上のフィラメントが48%存在していた。
【0038】比較例2 10個/インチ未満のフィラメントが70%、10以上
20個未満/インチのフィラメントが20%、20個/
インチ以上のフィラメントが10%となるように変更す
る以外、実施例1記載の工程で実施した。SEM測定の
結果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10
個/インチ未満のフィラメントが72%、10以上20
個/インチ未満のフィラメントが19%、20個/イン
チ以上のフィラメントが9%存在していた。
【0039】得られた延伸糸を平織りにし、熟練者の手
触りで風合い評価を行った。評価は、ふくらみ感、ソフ
ト感、ハリ、コシ感について行い、特に優れているもの
を◎、優れているものを○、やや劣っているものを△、
劣っているものを×と記した。又、総合評価についても
同様な評価で行った。
【0040】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】A成分とB成分の複合比率が実質的に同一であ
る場合の捲縮波形の模式図である。
【図2】A成分とB成分の複合比率が各フィラメント間
でそれぞれ異なる場合の捲縮波形の模式図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチフィラメント中の各フィラメント
    が、(1)高粘度のポリエステル(A成分)と低粘度の
    ポリエステル(B成分)よりなるサイド・バイ・サイド
    型の複合形態を有し、フィラメント間のA成分とB成分
    の複合比率が異なる複合繊維からなるフィラメント、及
    び(2)A成分のみからなるフィラメント、及び(3)
    B成分のみからなるフィラメントの3種よりなり、該3
    種が実質的に同一繊度で混在しており、マルチフィラメ
    ント中にクリンプの数が 10個/インチ未満のフィラメントが40〜60% 10以上20個/インチ未満のフィラメントが20〜3
    0% 20個/インチ以上のフィラメントが20〜30% であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大
    値と最小値の差が5〜30%であることを特徴とするラ
    ンダム異捲縮糸。
JP20926195A 1995-07-24 1995-07-24 ランダム異捲縮糸 Pending JPH0941233A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20926195A JPH0941233A (ja) 1995-07-24 1995-07-24 ランダム異捲縮糸

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20926195A JPH0941233A (ja) 1995-07-24 1995-07-24 ランダム異捲縮糸

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0941233A true JPH0941233A (ja) 1997-02-10

Family

ID=16570027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20926195A Pending JPH0941233A (ja) 1995-07-24 1995-07-24 ランダム異捲縮糸

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0941233A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008075224A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Toray Ind Inc 嵩高性ポリエステル複合繊維糸
CN102978724A (zh) * 2012-12-21 2013-03-20 东华大学 一种双组份并列复合纤维及其制备方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008075224A (ja) * 2006-09-22 2008-04-03 Toray Ind Inc 嵩高性ポリエステル複合繊維糸
CN102978724A (zh) * 2012-12-21 2013-03-20 东华大学 一种双组份并列复合纤维及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2443806C2 (ru) Плавкое клеящее полиэфирное бикомпонентное волокно
WO2003083194A1 (fr) Fil composite etirable du type ame-gaine et tissu-tricot etirable
WO2020179238A1 (ja) 捲縮を有するポリエステル系繊維、その製造方法、それを含むパイル布帛、及びパイル布帛の製造方法
TWI278542B (en) Polytrimethylene terephthalate conjugate fiber and method of preparing the same
WO2003093547A1 (fr) Tissu de fil epais-fin a filament conjugue en polyester et son procede de fabrication
JP2008075224A (ja) 嵩高性ポリエステル複合繊維糸
JPH0941233A (ja) ランダム異捲縮糸
JPH0280615A (ja) 複合繊維及びその製造方法
JP2002054036A (ja) 捲縮ポリエステル繊維およびその製造方法
JP3252615B2 (ja) カーペット用ポリエステル捲縮糸およびタフティングカーペット
JPH0941234A (ja) ランダム異捲縮糸
JP2007247107A (ja) 嵩高性ポリエステル複合繊維
JP2001192942A (ja) 嵩高加工糸およびその製造方法
JP2820966B2 (ja) 複合繊維及びその製造方法
JP3318572B2 (ja) 旋回部を有するポリエステル多葉断面マルチフィラメント糸及びその製造方法
JP2002129433A (ja) 高伸縮性ポリエステル系複合繊維
TW200530446A (en) Polyester differential shrinkage blended woven yarn and process for producing the same
JP2009144277A (ja) 複合糸、それを用いた織編物および複合糸の製造方法
JP3029682B2 (ja) 優れた位相差捲縮を有する複合繊維集合体
JP2002220742A (ja) 高ストレッチ織編物用ポリエステル系複合糸
JPH10183441A (ja) ポリエステル複合繊維
JP2005194661A (ja) ポリエステル混繊糸
JPS6330421B2 (ja)
JP2911060B2 (ja) 複合繊維集合体
JPS6332892B2 (ja)