JPH0940717A - 吸液材料およびその製造方法 - Google Patents

吸液材料およびその製造方法

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JPH0940717A
JPH0940717A JP21660795A JP21660795A JPH0940717A JP H0940717 A JPH0940717 A JP H0940717A JP 21660795 A JP21660795 A JP 21660795A JP 21660795 A JP21660795 A JP 21660795A JP H0940717 A JPH0940717 A JP H0940717A
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JP
Japan
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liquid
polyhydric alcohol
acid amide
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vinylcarboxylic acid
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JP21660795A
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English (en)
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Akira Hashimoto
昭 橋本
Tetsuhiko Yamaguchi
哲彦 山口
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Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 融点が室温以下の多価アルコール及び/又は
多価アルコール誘導体液(多価アルコール等)、又は前
記多価アルコール等を含有する水性混合液に、式(I)
(式中、R1 ,R2 は水素又はメチル基である。)のN
−ビニルカルボン酸アミド(NVA)、又はNVAとそ
のNVAと共重合可能なエチレン性不飽和単量体との混
合物を濃度10〜80重量%に溶解し、さらに架橋剤を
存在させ重合させてなる吸液材料及びその製造方法。 【化1】 【効果】 本発明に係る吸液材料は、柔軟性があり、吸
液後のゲル強度が高く、しかも無機塩を多量に含む海水
などの水性液体やある種の有機溶媒でも高度に吸液で
き、任意の形状に成形された吸液材料を安価に製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸液材料およびその製
造方法に関する。さらに詳しくは、吸液後のゲル強度が
強く、無機塩等を含むイオン性水溶液やある種の有機溶
媒を含有する水溶液をも効率よく吸液できる柔軟性を備
え、任意の形状に容易に成形できる吸液材料およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高吸水性樹脂は、生理用品、紙おむつ等
の衛生材料、農業用保水剤、その他吸水性、保水性を利
用する種々の用途に使用され、その有用性は一般の認め
るところとなっている。従来より使用されてきた高吸水
性樹脂としては、ポリアクリル酸ナトリウム系架橋物、
デンプン−アクリル酸ナトリウム共重合体架橋物、ポリ
ビニルアルコール系架橋物、ビニルアルコール−アクリ
ル酸ナトリウム共重合体、イソブチレン−マレイン酸塩
共重合体架橋物、ポリエチレンオキサイド架橋物などが
ある。高吸水性樹脂の実際の使用に当たっては、通常高
吸水性樹脂の粉末あるいは繊維を紙あるいは不織布など
の基材の間に散布して挟み込み、シート状として使用す
るのが一般的である。しかし、この方法ではシートの作
製に多大なコストがかかるだけでなく、高吸水性樹脂の
粒子間から水性液体が漏れ出したり、高吸水性樹脂粒子
自体のシートからの脱離があるという欠点があった。
【0003】また、シート状吸水材のその他の製造方法
としては、吸水性樹脂の前駆体である未架橋重合体と架
橋剤を水に溶解し、これを基材に塗工した後加熱して架
橋構造を導入し吸水性のシートを製造する方法(特開昭
50-82143号公報)、アクリル酸等の単量体と架橋剤を含
む水溶液を繊維基材に含浸させ、含浸物を加熱重合処理
して吸水性シートを製造する方法(特開昭 60-149607号
公報)、アクリル酸(塩)水溶液を繊維基材等に含浸
し、水を蒸発させた後に再び適度に吸湿させ、これに電
子線を照射して吸水性シートを製造する方法(特開平2-
111484号公報)などが知られている。
【0004】しかし、これらの方法では高分子化合物を
含む粘度の高い溶液を塗工するというう煩雑な工程が必
要であったり、製造は比較的容易であってもその吸液性
能が低く、特に無機塩等のイオンを含む水溶液の吸水能
力が極めて低いという問題があった。また、これらの方
法で得られるシート状吸水材には主として水しか含まれ
ていないため、シートの柔軟性が不足しており、さら
に、吸水材中の水が容易に蒸発してシートが一層硬くな
ってしまう致命的な欠点がある。
【0005】一方、吸水性樹脂そのものをシート化する
という方法も提案されている。例えば、エチレンオキサ
イドを重合して熱可塑性、水溶性のポリエチレンオキサ
イドを製造し、これを加熱溶融してシート状に成形した
後に無酸素状態で電離性放射線または紫外線照射を行っ
て架橋する方法(特開平6-100705号公報)や、ポリエチ
レンオキサイドとポリイソシアネート化合物を混合して
シートとして架橋を行なう方法(特開平6-32863号公報
等)などにより、シート状吸水材を製造するというもの
である。これらの方法で作製されるシート状吸水材は、
ある程度の柔軟性と強度を持っており、その面では前述
したシート状吸水材よりも優れていると言えるが、シー
トの製造に多大のコストがかかり、また、その吸水能力
が低いといった問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、柔軟性があり、吸液後のゲル強度が高く、しかも無
機塩を多量に含む海水などの水性液体やある種の有機溶
媒でも効率よく吸液でき、任意の形状に容易に成形でき
る吸液材料および製造原価のより低い吸液材料の製造方
法を開発することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来
技術の有する問題点を解決すべく鋭意検討した結果、重
合後に吸液性能の主体となるN−ビニルカルボン酸アミ
ド単量体成分を、その重合直前に成形に適した粘度を有
する溶液またはゾル状態に保持し得る重合溶媒の役割を
果たし、かつ重合後は重合体の柔軟性を維持する可塑剤
の役割を果たす多価アルコールを使用して、前記N−ビ
ニルカルボン酸アミド成分を架橋重合せしめることによ
り前記課題が解決できることを確認して本発明を完成す
るに至った。
【0008】すなわち本発明は、 1) 融点が室温以下の多価アルコールおよび/または
多価アルコール誘導体液、または前記多価アルコールお
よび/または多価アルコール誘導体を10重量%以上含
有する水性混合液に、一般式(I)
【化3】 (式中、R1 およびR2 は互いに独立して水素原子また
はメチル基を表わす。)で示されるN−ビニルカルボン
酸アミド、または前記N−ビニルカルボン酸アミドとそ
のN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能な他のエチ
レン性不飽和単量体との混合物を全単量体濃度10〜8
0重量%となるように溶解した吸液材料前駆体混合溶液
を重合させることを特徴とする吸液材料の製造方法、
【0009】2) 吸液材料前駆体混合溶液中に、エチ
レン性不飽和結合を1分子中に2個以上有する架橋剤お
よび/またはN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能
な他のエチレン性不飽和単量体中の官能基と反応して共
有結合を生成し得る多官能性架橋剤を存在させる前記1
に記載の吸液材料の製造方法、 3) N−ビニルカルボン酸アミドが、N−ビニルアセ
トアミドおよび/またはN−メチル−N−ビニルアセト
アミドである前記1記載の製造方法、 4) 多価アルコールおよびその誘導体が、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコ
ール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレン
グリコール、グリセリン、トリオキシイソブタン、これ
らのモノアルキルエーテル、およびこれらのモノエステ
ルから選択される前記1記載の製造方法、 5) 吸液材料前駆体混合溶液をフィルムまたはシート
基材の少なくとも1面に塗工して重合を行なう前記1乃
至4に記載の製造方法、 6) 吸液材料前駆体混合溶液を布材に含浸して重合を
行なう前記1乃至4に記載の製造方法、 7) 吸液材料前駆体混合溶液を型枠に注入し重合を行
なう前記1乃至4に記載の製造方法、および
【0010】8) 融点が室温以下である多価アルコー
ルおよび/または多価アルコール誘導体液、または前記
多価アルコールおよび/または多価アルコール誘導体を
10重量%以上含有する水性混合液に、前記一般式
(I)で示されるN−ビニルカルボン酸アミド、または
前記N−ビニルカルボン酸アミドとそのN−ビニルカル
ボン酸アミドと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量
体およびN−ビニルカルボン酸アミドとの混合物を全単
量体濃度10〜80重量%に溶解し、前記単量体含有溶
液にエチレン性不飽和結合を1分子中に2個以上有する
架橋剤および/またはN−ビニルカルボン酸アミドと共
重合可能な他のエチレン性不飽和単量体中の官能基と反
応して共有結合を生成し得る多官能性架橋剤を存在させ
重合させてなる吸液材料を提供する。
【0011】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。 [N−ビニルカルボン酸アミド]本発明では重合後に吸
水能の主体となる成分として、一般式(I)
【化4】 (式中の記号は、前記と同じ意味を表わす。)で示され
るN−ビニルカルボン酸アミドを使用する。一般式
(I)で示されるN−ビニルカルボン酸アミドの具体例
は、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニル
アセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−メチル−
N−ビニルホルムアミドである。これらの中でも多価ア
ルコールや多価アルコール誘導体に対して親和性が高い
N−ビニルアセトアミドおよびN−メチル−N−ビニル
アセトアミドが特に好ましい。
【0012】[他のエチレン性不飽和単量体]本発明に
おいてはN−ビニルカルボン酸アミドと共に、N−ビニ
ルカルボン酸アミドと共重合可能で重合系に溶解するも
のであれば、いかなる他のエチレン性不飽和単量体をも
使用することができる。このようなエチレン性不飽和単
量体の例としては、(メタ)アクリル酸およびそのナト
リウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、(メタ)アク
リルアミド、(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロ
パンスルホン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩、
アンモニウム塩、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエ
チルエステルおよびその四級塩、ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリルアミド及びその四級塩、ヒドロキシ
ルエチル(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニ
トリル、炭素数1〜18のアルキル(メタ)アクリル酸
エステル等が挙げられる。
【0013】特に吸液材料の柔軟性を改良したい場合に
は、共重合成分として(メタ)アクリル酸メチルやアク
リロニトリル等が好適である。また、ある種の水性液体
(塩濃度の比較的うすい液体)用の吸液材料の製造を目
的とする場合には、(メタ)アクリル酸塩や(メタ)ア
クリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩等を共
重合させることも有効である。すなわち、N−ビニルカ
ルボン酸アミドの単独重合体架橋物は非常に高濃度の塩
溶液(NaCl、CaCl2 水溶液など)を吸液するこ
とができるが、塩濃度が低い、例えば生理食塩水(Na
Cl:0.9 重量%)を吸液しようとする場合はN−ビニ
ルカルボン酸アミドの単独重合体架橋物では30重量倍
程度しか吸液できないのに対して、上記の共重合体架橋
物では60重量倍程度まで吸液できる。従って、吸液し
ようとする塩溶液の濃度によって共重合体モノマーおよ
びその割合を選択することが有効である。なお、これら
多価アルコールや多価アルコール誘導体に溶解し難い単
量体の塩を共重合させる場合には、水を重合溶媒として
併用することが望ましい。
【0014】N−ビニルカルボン酸アミドと、N−ビニ
ルカルボン酸アミドと共重合可能な他のエチレン性不飽
和単量体の比率は重量比で100:0〜50:50、好
ましくは100:0〜60:40である。共重合可能な
他のエチレン性不飽和単量体の比率が高くなると、コモ
ノマーに由来する欠点、例えばコモノマーが疎水性の単
量体である場合には水性液体に対する吸液能力が低下
し、またコモノマーがアクリル酸ナトリウム等の電解質
の単量体である場合には電解質含有の水溶液の吸液性能
が低下し、さらに耐候性等も低下するなどの欠点が顕著
となるので好ましくない。
【0015】[架橋剤]本発明では、後述のように重合
反応を放射線重合法あるいは電子線重合法で実施する場
合には架橋剤は必ずしも必要ではないが、通常は重合系
に架橋剤を存在させて重合を行なう。架橋剤としては、
エチレン性不飽和結合を1分子中に2個以上有する架橋
剤、N−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能な他のエ
チレン性不飽和単量体中の官能基と反応して共有結合を
生成し得る多官能性架橋剤が使用される。これらは単独
であるいは両者を併用して使用することができる。ま
た、エチレン性不飽和結合を1分子中に2個以上有する
架橋剤を同時に数種類使用すること、および他のエチレ
ン性不飽和単量体中の官能基と反応して共有結合を生成
し得る多官能性架橋剤を同時に数種類使用することも可
能である。
【0016】エチレン性不飽和結合を1分子中に2個以
上有する架橋剤の例としては、テトラアリルオキシエタ
ン、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ペン
タエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリ
トールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ
アリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエー
テル、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレ
ングリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコー
ルジアリルエーテル、ジアリルエーテル、単糖類、二糖
類、多糖類、セルロースなどの水酸基を1分子内に2個
以上有する化合物から誘導されるポリアリルエーテル、
ピロメリット酸テトラアリル、トリメリット酸トリアリ
ル、クエン酸トリアリル、シュウ酸ジアリル、コハク酸
ジアリル、アジピン酸ジアリル、マレイン酸ジアリル、
フマル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル
酸ジアリル、フタル酸ジアリル、1分子内にカルボキシ
ル基を2個以上有する化合物から誘導されるポリアリル
エステル、ジアリルアミン、トリアリルイソシアヌレー
ト、トリアリルシアヌレートなどの1分子内にアリル基
を2個以上有する化合物、シュウ酸ジビニル、マロン酸
ジビニル、コハク酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、ア
ジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、マレイン酸ジ
ビニル、フマル酸ジビニル、クエン酸トリビニル、トリ
メリット酸トリビニル、ピロメリット酸テトラビニルな
どの1分子内にビニルエステル構造を2個以上有する化
合物、N,N′−ブチレンビス(N−ビニルカルボン酸
アミド)、N,N′−ジアセチル−N,N′−ジビニル
−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどのビス
(N−ビニルカルボン酸アミド)化合物、N,N′−メ
チレンビスアクリルアミド、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等
の、複数個のアクリルアミド構造や(メタ)アクリル基
を有する化合物、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテ
ル、(メタ)アクリル酸アリル等の公知の架橋剤が使用
可能である。これらの架橋剤は1種類単独でまたは2種
以上を同時に用いることもできる。
【0017】他のエチレン性不飽和単量体中の官能基と
反応して共有結合を生成し得る多官能性架橋剤は単量体
の有する官能基に応じて選択して使用される。このよう
な多官能性架橋剤の具体例としては、ポリグリシジルエ
ーテル、ポリイソシアネート、ポリアミン、ポリオー
ル、ポリカルボン酸など様々なものが挙げられるが、本
発明では重合終了時点、または重合終了後の短時間の加
熱で架橋反応が終了することが望ましく、この点からポ
リグリシジルエーテル類が特に好ましい。
【0018】ポリグリシジルエーテル類としては、例え
ば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,1
−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)エタン、ソル
ビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリ
シジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエー
テル、ペンタエリスルトールポリグリシジルエーテル、
トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシ
アネート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエー
テル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレン
グリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリ
コールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリ
コールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテ
ル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アジピン
酸ジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0019】架橋剤の使用量は、全単量体を基準とし
て、単量体:架橋剤の重量比で80:20〜99.999:0.
001 の範囲内で吸液材料の具体的用途に応じて適宜選ば
れる。例えば、吸液後のゲル強度があまり重要視されな
い用途向けには、架橋剤の使用量を少なくし、反対にゲ
ル強度が重要視される場合には架橋剤の使用量を多くす
れば良い。ただし、一般には、架橋剤使用量が上記の範
囲を超えると架橋密度が高くなりすぎて重合中に相が不
均一になる傾向があり、得られる吸液材料の吸液能力が
低下する。また、架橋剤使用量が少なすぎると得られる
吸液材料のゲル強度が極端に低下し、更に吸液材料の一
部が溶媒に溶解してしまうなど、吸液材料として期待さ
れる性能が発揮できないことがある。なお、本発明にお
いては、後述のように重合溶媒兼重合体の可塑剤として
多価アルコールおよび/または多価アルコールの誘導体
を使用するが、多価アルコールやその誘導体の水酸基は
比較的容易に連鎖移動を起こすため、エチレン性不飽和
結合を1分子中に2個以上有する架橋剤を使用する場合
には、通常の水のみを溶媒する水溶液重合に比較して架
橋剤の使用量を多くする必要がある。
【0020】[多価アルコールおよび多価アルコール誘
導体]本発明においては、成形された吸液材料に長期間
にわたる柔軟性を付与するために、またN−ビニルカル
ボン酸アミド成分を含む吸液材料前駆体混合液を成形に
適した溶液またはゾル状態に保持するために、融点が室
温以下、好ましくは0℃以下の多価アルコールまたは多
価アルコール誘導体(以下、「多価アルコール等」と略
記することがある。)が単独で、または2種以上組合わ
せて使用される。多価アルコール等は、後述の重合反応
および重合後の吸液材料の柔軟性等の特性を損なわない
範囲で、低級アルコールあるいは水を含む水性混合液と
しても使用できる。
【0021】多価アルコールおよびその誘導体として、
融点が室温以下、好ましくは0℃以下の化合物を用いる
理由は、吸液材料の具体的な使用に際して、例えば下水
管用止水材など冬季の屋外で使用される場合、融点より
も外気温度が低下した時に多価アルコールやその誘導体
が凝固し、結果として吸液材料が柔軟性を失うこととな
るからである。また、多価アルコールやその誘導体とし
て、融点が例えば室温以上のものを使用すると、室温で
固体状の単量体を溶解するために加熱が必要となると共
に重合反応も高温で実施しなければならないなど工業的
な実施において不利となる。また、多価アルコールやそ
の誘導体は、蒸発しにくい高い沸点を有するものが吸液
材料を長期間柔軟に維持できるので好ましい。沸点は通
常150℃以上、さらに好ましくは170℃以上であ
る。これ以上沸点が高くても実質的に蒸発量に差は生じ
ないので、170℃以上の沸点があれば充分である。
【0022】さらに、重合溶媒として多価アルコールお
よび/または多価アルコール誘導体と共に水やメタノー
ル、エタノールなどの低級アルコールを併用する場合に
は、溶媒中10重量%以上が多価アルコールおよび/ま
たは多価アルコール誘導体とする必要がある。多価アル
コールおよび/または多価アルコールの誘導体の含有量
が少ないと、吸液材料の柔軟性が低下する。柔軟性の良
好な吸液材料を生産性よく製造するためにはできるだけ
多価アルコールおよび/または多価アルコールの誘導体
の含有量を高くすることが好ましい。なお、重合系に添
加される単量体が完全に溶解するならば水や低級アルコ
ールはなるべく使用しない方が好ましい。アクリル酸ナ
トリウムなどの塩型の単量体をN−ビニルカルボン酸ア
ミドと共重合させる場合には、塩型の単量体を無水の状
態で入手することが経済的に不利であるため水を併用せ
ざるをえないが、その場合でも必要最小限の水を併用に
とどめることが好ましい。必要以上に水を加えると単量
体濃度が希薄となり、品質の良好な吸液材料が得にくい
ばかりでなく、生産性も悪くなり、さらに重合反応後に
吸液材料の乾燥が必要になるため好ましくない。
【0023】本発明で使用する多価アルコールおよびそ
の誘導体は、単量体が溶解し、かつ、その単量体から得
られる吸液材料が吸液できるものであればよい。その具
体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレング
リコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、
トリオキシイソブタン、およびこれらのモノアルキルエ
ーテル、モノエステル等が挙げられる。
【0024】本発明においては、N−ビニルカルボン酸
アミドと必要に応じて他の単量体とを、全単量体濃度が
10〜80重量%になるように多価アルコールおよび/
または多価アルコール誘導体液、または多価アルコール
および/または多価アルコール誘導体を10重量%以上
含有した水性混合液に溶解する必要がある。全単量体濃
度がこれよりも低いと架橋反応が円滑に進行せず、また
濃度がこれよりも高いと吸液材料の柔軟性が不充分とな
るので好ましくない。
【0025】[その他の重合体]本発明においては、様
々な目的で吸液材料前駆体である混合溶液に他の重合体
を添加することができる。例えば、増粘剤を添加するこ
とにより、吸液材料前駆体である混合溶液を適度に増粘
させ、塗工性、造膜性、保形性を改良することができ
る。また、吸液材料の吸液速度、強度、柔軟性等を改良
するためにも重合体の添加は有効である。
【0026】添加される重合体としては、例えば、アラ
ビアガム、トラガントガム、ローカストビーンガム、グ
アーガム、エコーガム、カラヤガム、寒天、デンプン、
カラギーナン、アルギン酸(塩)、アルギン酸プロピレ
ングリコール、デキストラン、デキストリン、アミロー
ス、ゼラチン、コラーゲン、プルラン、ペクチン、アミ
ロペクチン、スターチ、アミロペクチンセミグリコール
酸ナトリウム、キチン、アルブミン、カゼイン、ポリグ
ルタミン酸、ポリアスパラギン酸などの天然の重合体、
メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロ
ース、エチルメチルセルロース、ヒドロキシセルロー
ス、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシプロピ
ルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、カ
ルボシキメチルスターチ、アルカリ金属カルボキシメチ
ルセルロース、アルカリ金属セルロース硫酸塩、セルロ
ースラフト重合体、架橋ゼラチン、セルロースアセテー
トフタレート、デンプン−アクリル酸(塩)共重合体、
無水フタル酸変性ゼラチン、コハク酸変性ゼラチンなど
の半合成の重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニル
メチルエーテル、メチルビニルエステル、カルボキシビ
ニルポリマー、ビニルピロリドン−アクリル酸エチル共
重合体、ビニルピロリドン−スチレン共重合体、ビニル
ピロリドン−酢酸ビニル共重合体、N−ビニルアセトア
ミド単独重合体、N−ビニルアセトアミド−アクリル酸
ナトリウム共重合体、N−メチル−N−ビニルアセトア
ミド−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
塩共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、ポリビ
ニルスルホン酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)、N−ビ
ニルアセトアミド単独重合体架橋物、N−ビニルアセト
アミド−アクリル酸ナトリウム共重合体架橋物、ポリア
クリルアミドなどの合成の重合体などが挙げられる。
【0027】さらに、本発明により成形される吸液材料
と、止水を必要とする物品(例えば、光ファイバーな
ど)との密着性を改善する目的で粘着付与物質を添加す
ることもできる。このような粘着付与物質としては、例
えば、シリコーンゴム、ポリイソブレンゴン、スチレン
−ブロック共重合体ゴム、アクリルゴム、天然ゴムのご
ときゴム系粘着性物質、ポリビニルアルキルエーテル、
ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニルの如きビニル系
粘着性物質、カルボキシメチルセルロースの如きセルロ
ース系粘着性物質、(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ルを主成分とした(メタ)アクリレート系の各粘着性物
質等があげられる。また、吸液材料の吸水速度の改善や
強度の改善のために、セルロース粉末などの繊維状の物
質を吸液材料前駆体である混合溶液に添加することもで
きる。
【0028】[吸液材料成形体]本発明の吸液材料は任
意の形状で得ることができる。例えば、吸液材料前駆体
である単量体/多価アルコール等の混合溶液を適度に増
粘させた溶液を、アプリケーターやローラー式の塗工機
を用い剥離体の上に塗工し、重合させることによりシー
ト状吸液材料が製造できる。また、紙、ガラス繊維、布
(ネル、織布、不織布等)、合成樹脂(ポリウレタン、
エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエ
ステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリ
オレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンな
ど)、ポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン66な
ど)、ポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレ
ン等)、アルミニウムなどの金属箔、ゴムまたはセルロ
ース誘導体およびこれらとプラスチックフィルムとの積
層フィルムなどの成形品、シート(箔)、またはテープ
のごとき支持体の1面あるいは両面に吸液材料前駆体で
ある混合溶液を適量塗工もしくは含浸させ、重合するこ
とによりシート状吸液材料の複合体が製造できる。
【0029】得られるシートの保存性、すなわち使用目
的時以外の吸液を避けるためには、予め吸液材料前駆体
である混合溶液を塗工した面に、シリコンまたはその他
の適当な方法で処理した剥離シートを貼着しておくか、
あるいは吸液材料前駆体である混合溶液を塗工していな
い面をシリコンまたはその他の適当な方法で処理して剥
離面とし、粘着剤を塗布した面と重なるように巻くか重
ねた状態で重合させ、吸液材料の使用時に剥離シートあ
るいは剥離面を剥がすことが望ましい。なお剥離シート
としてはポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィル
ム、剥離紙、セロハン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル
等が用いられる。また、型枠に吸液材料前駆体である混
合溶液を流し込み、これを重合することにより、厚みの
ある板状など様々な形状の吸液材料を製造することがで
き、複雑な形状のものでも、いわゆる注型重合により容
易に任意の形状の吸液材料とすることができる。さら
に、止水を必要とするケーブルや配管などの外層部に吸
液材料前駆体である混合溶液を付着させ、これを重合す
ることにより完璧な止水構造を構築することも可能であ
る。
【0030】[重合方法]本発明においては、吸液剤前
駆体である混合溶液中の単量体成分の重合は、公知の方
法を利用して行なうことができる。すなわち、放射線重
合、電子線重合、光重合、またはラジカル重合開始剤を
使用あるいは使用しない熱重合の中から選択される方法
で行なうことができる。
【0031】いずれの方法においても酸素の影響が強い
ので、できる限り酸素を除去した状態で重合を実施する
ことが望ましい。脱酸素せずに重合を実施することも可
能ではあるが、その場合には放射線重合や電子線重合で
は非常に大きな照射エネルギーを必要とし、光重合やラ
ジカル重合開始剤を使用した熱重合の場合には多量の光
重合開始剤、熱重合開始剤、架橋剤の使用が必要にな
る。ラジカル重合開始剤を使用しない熱重合の場合に
は、非常に高い温度に重合系を加熱する必要があり、往
々にして性能の良好な吸液剤が得られないことがある。
【0032】脱酸素を行なう場合には、真空脱気あるい
は窒素、炭酸ガス等の不活性ガスにより系内の酸素を置
換することによって効率よく除去することができる。放
射線重合は、例えば60Coのγ線を吸液剤前駆体である
混合溶液に照射することにより行なうことができ、電子
線重合の場合には、線量 0.1〜10Mradの電子線を
吸液剤前駆体である混合溶液に照射することにより行な
うことができる。これらの重合方法の場合、架橋剤は必
ずしも必要でなく、架橋剤無添加で線状重合体間で架橋
反応が起こり、吸液材料が製造できる。
【0033】また、光重合を実施する場合には、光重合
開始剤をあらかじめ吸液材料前駆体である混合溶液に添
加しておき、この溶液に主要波長が100〜800nm
である光を照射することにより吸液材料が製造できる。
この際に使用可能な光源としては、例えば、キセノンラ
ンプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、炭素アー
ク灯、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、白熱電球、蛍
光ランプ、ナトリムランプ、メタルハライドランプなど
が例示される。また、光重合開始剤としては、従来より
知られているあらゆるものが使用できる。例を挙げれば
ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンゾイン
ヒドロキシアルキルエーテル、ジアセチルおよびその誘
導体、アントラキノンおよびその誘導体、アセトフェノ
ンおよびその誘導体、ジフェニルジスルフィドおよびそ
の誘導体、ベンゾフェノンおよびその誘導体、ベンジル
およびその誘導体などがある。
【0034】また、特公昭55-33722号公報に記載されて
いるような、アゾ系の光重合開始剤、例えば、2,2′
−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾ
ビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、
2,2′−アゾビス〔2−(5−メチル−2−イミダゾ
リン−2−イル)プロパン〕およびその塩酸、硫酸、酢
酸塩などの化合物なども使用可能である。また、例示し
た以外のその他のアゾ系化合物でも使用可能である。こ
れらの光重合開始剤は、それぞれ単独で、または2種以
上を組合わせて同時に使用することも可能である。さら
に、ラジカル重合開始剤を使用した熱重合では、重合系
に均一に溶解する過酸化物、有機、無機過酸もしくはそ
の塩、アゾ系化合物の単独あるいは還元剤との組み合わ
せによるレドックス系のものを用いることができるが、
この中ではアゾ系化合物が特に好ましい。アゾ系化合物
としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレ
ロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロ
パン)、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイ
ソブチルアミジン)、2,2′−アゾビス〔2−(5−
メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕およ
びその塩酸、硫酸、酢酸塩などが挙げられる。
【0035】また、これらアゾ系化合物は2種以上を組
合せて使用できる。光重合やラジカル重合開始剤を使用
する熱重合の際に使用する光重合開始剤や熱重合開始剤
の使用量は、全単量体を基準として 0.001〜10重量
%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲である。重合開始
剤の使用量が10重量%よりも多いときは架橋重合体の
主鎖の分子量が上がらず、溶媒に可溶なポリマーを生じ
ることがあるため好ましくない。また、 0.001重量%よ
りも少ないときは、重合反応の反応率が上がらず、残留
モノマーの量が増加する難点がある。
【0036】重合開始温度は、重合方法、単量体濃度な
どの諸条件により適宜選択され、特に制限されないが、
通常−30〜80℃の範囲で選択される。重合は熱を除
去しながら実施することができるが、徐熱せずに断熱系
で重合を実施することもできる。さらに、ラジカル重合
開始剤を使用しない熱重合の場合には、重合系を50℃
以上、好ましくは80℃以上に加熱することにより単量
体を重合させることができる。
【0037】[本発明の効果]本発明によれば、柔軟性
があり、吸液後のゲル強度が高く、しかも無機塩を多量
に含む海水などの水性液体やある種の有機溶媒でも高度
に吸液でき、任意の形に成形された吸液材料を安価に製
造することができる。従来の高吸水性樹脂は粉末または
繊維状で流通しているため、重合後に適当な大きさに細
分して乾燥、粉砕、分級という多くの工程を経て吸液材
料製品とされている。これに対して本発明の吸液材料
は、重合反応が終わった時点で基本的には製造が完了し
ており、経済的に大きなメリットがある。
【0038】本発明による吸液材料は、従来高吸水性樹
脂の代表とされてきたポリアクリル酸ナトリウム系架橋
物が吸液すべき液体中に金属塩やアミン、カルボン酸等
の無機、有機イオンが共存した場合にはその吸液性能が
著しく損なわれるという欠点を有するのに対して、共存
イオンの影響を受け難く、従って、塩類を含む水溶液で
も吸液性能は殆ど低下しない。また、吸液材料中に吸
収、保持された水分の植物等による再利用性も良く、植
物の発芽、発根、生育に対して悪影響を及ぼさない。か
かる特徴を活かした用途として、例えば、一般の農地、
山林等はもちろんのこと、特に砂漠緑化等比較的塩分の
多い土壌あるいは組織培養や人工栽培等の無機塩や肥料
を含む培地、人工培土での保(給)水剤、衛生用品(お
むつ、ナプキン、タンポン)等の塩分の多い体液(尿、
経血)の吸収剤、コンクリート養生、セメント改質剤等
のカルシウム分の多い水の吸収剤等がある。
【0039】また、本発明の液体吸収材料においては、
従来の高吸水性樹脂が水または水と一部の低級アルコー
ルなどの混合物しか吸水できないのに対して、高濃度の
塩を含む水性液体や一般に比較的極性の高い種々の有機
溶媒溶媒またはそれらの混合液もを吸液可能である。吸
液可能な有機溶媒の代表例としては具体的に下記の如き
ものが挙げられる。
【0040】メタノール、エタノール、1−プロパノー
ル、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアル
コール、イソアミルアルコール、シクロペンタノール、
アリルアルコール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2−プロパノール、2−メトキシエタノール、
2−ブトキシエタノール、2−アミノエタノール、エチ
レングリコール、トリメチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタン
ジオール、2,3−ブタンジオール、トリエチレングリ
コール、グリセリン等のアルコール類、フェノール、ク
レゾール等のフェノール類、その他、ホルムアミド、酢
酸、2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ピリジ
ン等であり、更に、単独では吸収性はないか非常に乏し
いが、混合系とすれば吸収可能となるものとして、例え
ば、水とジメチルホルムアミド、フェノール、アセト
ン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水−有機溶媒
混合系、エタノール−アセトン、エタノール−クロロホ
ルム、エタノール−ベンゼン、エタノール−酢酸エチ
ル、メタノール−塩化メチレン、酢酸エチル−酢酸等の
有機溶媒同士の混合溶媒系が挙げられる。
【0041】上記の他にも本発明による吸液材料は上述
の機能を活かして種々の分野、製品に非常に広範囲な利
用が可能である、すなわち、各種塩を含有する水溶液や
ある種の有機溶媒を吸収する能力を有するため吸液、結
露防止、保水、薬効剤の保持・徐放、刺激応答ゲル等の
機能を利用した様々な用途に使用できる。その具体例を
列挙すれば以下の通りである。
【0042】(1)食品用品(鮮度保持用品、脱水、保
水、給水、水分調節剤)、(2)農園芸用品(土壌改良
剤、育苗や培養基材、植生地(植林、砂漠緑化等)の保
水・給水剤、種子製剤、凍霜害や結露防止材)、(3)
家庭用・建築用吸湿材、結露防止材、妨滴材、(4)通
信用ケーブルの走り水防止材、機器の防水、止水材、保
水材、水分調節材、(5)医療用品(貼付剤、粘膜製
剤、坐剤)、農薬、肥料等における各種徐放製剤、
(6)トイレタリー衛生用品(紙おむつ、生理用ナプキ
ン、その他の排泄物処理剤) (7)土木、建築、家庭用、各種工業用シーリング材、
止水テープ、粘着テープ、(8)塩害や砂塵の防止材等
の密着性、被覆性基材や助剤、(9)土木用止水剤、吸
液剤充填土嚢、(10)気孔シールドや鉱山、トンネ
ル、建物や橋脚等の基礎の掘削助剤、潤滑剤、(11)
家庭用芳香剤、消臭剤、消火剤、蓄熱剤(保冷、保
熱)、(12)電池、電極、センサー部材、(13)断
熱材、振動吸収材、吸音材、パッキング。
【0043】
【実施例】以下に実施例、比較例を挙げて本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。
【0044】実施例1:高圧水銀ランプ(ウシオ電機
(株)UM−102、100W、ランプから液面までの
距離=5cm)、温度計、窒素導入・排気管を備えた底
面の直径200mmのガラス製2リットル・セパラブル
フラスコに、N−ビニルアセトアミド28.2g、N,N′
−ブチレンビス(N−ビニルアセトアミド)0.70g、エ
チレングリコール65.8g、1−[4−(2−ヒドロキシ
エトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル
−1−プロパン−1−オン564mgを仕込み、完全に
溶解した。この溶液を10℃に保持しつつ、窒素を2リ
ットル/分で1時間導入して系内の溶存酸素を除去し、
断熱材で覆った。その後、高圧水銀ランプにより光照射
を行った。直ちに重合が開始して系の温度は30分で4
0℃まで上昇し、その後は発熱が見られなかった。発熱
停止から30分後に、生成した厚さ約3mmの柔軟なシ
ート状吸液材料を取り出し、10.0gになるように鋏で切
り取った(面積約33cm2 、固形分換算 3.0g)。こ
れを人工海水1リットルの中に投入し、一晩放置した。
吸液したシートを取り出して付着水をふき取り重量を測
定したところ、その重量は153gであり、固形分換算
での吸液倍率は50重量倍であった。また、吸液後のシ
ートは非常にゲル強度が高いものであった。
【0045】実施例2:温度計、窒素導入・排気管を備
えた底面の直径200mmのガラス製2リットル・セパ
ラブルフラスコに、N−メチル−N−ビニルアセトアミ
ド28.2g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル
1.7g、グリセリン65.8g、2,2′−アゾビス(N,
N′−ジメチレンイソブチルアミジン)0.28gを仕込
み、完全に溶解した。窒素を2リットル/分で1時間導
入して系内の溶存酸素を除去し、恒温槽に重合容器を浸
して系の温度を60℃に6時間保持した。その後、生成
した厚さ約3mmの柔軟なシート状吸液材料を取り出
し、10.0gになるように鋏で切り取った(面積約33c
2 、固形分換算 3.0g)。これを人工海水1リットル
の中に投入し、一晩放置した。吸液したシートを取り出
して付着水をふき取り重量を測定したところ、その重量
は147gであり、固形分換算での吸液倍率は48重量
倍であった。また、吸液後のシートは非常にゲル強度が
高いものであった。
【0046】実施例3:N−ビニルアセトアミド282
g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル2.8g、
グリセリン395g、エチレングリコール263g、N
−ビニルアセトアミド単独重合体(重量平均分子量34
0万)15gを混合し、完全に均一にした。これを充分
に窒素で脱気し、窒素気流下でアプリケーターを用いて
ナイロンの不織布上に厚み 0.3mmで塗工した。これに
加速電圧800KV、線量5Mradの電子線照射を行
い、吸液材料を作製した。柔軟なシートの一部を鋏で切
り取り人工海水中に一晩浸漬して吸液倍率を測定したと
ころ、固形分換算で50重量倍であった。
【0047】実施例4:N−ビニルアセトアミド197
g、28.5重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液297
g、エチレングリコールジグリシジルエーテル20g、
グリセリン212g、N−ビニルアセトアミド−アクリ
ル酸ナトリウム共重合体(単量体の重量比9:1、重量
平均分子量340万)10g、平均粒径30μmのセル
ロース粉末70gを混合し、完全に均一にした。これを
充分に窒素で脱気し、窒素気流下でアプリケーターを用
いてナイロンの不織布上に厚み 0.3mmで塗工した。こ
れに加速電圧800KV、線量5Mradの電子線照射
を行い、吸液材料を作製した。柔軟なシートの一部を鋏
で切り取り人工海水中に一晩浸漬して吸液倍率を測定し
たところ、固形分換算で70重量倍であった。
【0048】実施例5:N−ビニルアセトアミド197
g、28.5重量%のアクリル酸ナトリウム水溶液297
g、N,N′−ブチレンビス(N−ビニルアセトアミ
ド)10g、エチレングリコールジグリシジルエーテル
10g、グリセリン212g、2,2′−アゾビス(2
−アミジノプロパン)塩酸塩564mgを混合し、完全
に溶解した。これを充分に窒素で脱気し、窒素気流下で
厚み 0.5mmのろ紙に含浸した。これを窒素気流下で5
0℃で4時間保持し、吸液材料を作製した。柔軟なシー
トの一部を鋏で切り取り人工海水中に一晩浸漬して吸液
倍率を測定したところ、固形分換算で70重量倍であっ
た。
【0049】実施例6:N−ビニルアセトアミド254
g、アクリロニトリル28g、エチレングリコールジア
クリレート20g、1,3−ブチレングリコール500
g、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)56
4mgを混合し、完全に溶解した。これを充分に窒素で
脱気し、20cm角のバットに流し込んだ。これを窒素
気流下で50℃で4時間保持し、厚さ約2cmの柔軟な
板状吸液材料を作製した。この一部を鋏で切り取り人工
海水中に一晩浸漬して吸液倍率を測定したところ、固形
分換算で43重量倍であった。
【0050】実施例7:N−ビニルアセトアミド282
g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル2.8g、
グリセリン395g、エチレングリコール263g、N
−ビニルアセトアミド単独重合体(重量平均分子量34
0万)14g、粒径50〜150μmのN−ビニルアセ
トアミド−アクリル酸ナトリウム共重合体架橋物の粉末
(人工海水の吸液倍率:70重量倍)15gを混合し、
完全に均一にした。これを充分に窒素で脱気し、窒素気
流下でアプリケーターを用いてナイロンの不織布上に厚
み0.3mmで塗工した。これに加速電圧800KV、線
量5Mradの電子線照射を行ない、吸液材料を作製し
た。柔軟なシートの一部を鋏で切り取り人工海水中に一
晩浸漬して吸液倍率を測定したところ、固形分換算で5
5重量倍であった。
【0051】比較例1:エチレングリコールの量を5g
とした他は実施例1と同様にして吸液材料を作製した。
得られた吸液材料は非常に硬く、折り曲げようとしたと
ころ簡単に割れてしまった。
【0052】比較例2:エチレングリコールの量を54
0gとした他は実施例2と同様にして吸液材料を作製し
た。得られた吸液材料は非常にゲル強度が弱く、未架橋
の重合体が非常に多く生成しており、水に漬けるとヌル
ヌルとした感触であった。
【0053】比較例3:グリセリン212gに変えて脱
イオン水212gを用いた他は実施例4と同様にして吸
液材料を作製した。得られた吸液材料は柔軟性が不足し
ていた。また、室温で該吸液材料を放置しておいたとこ
ろ吸液材料表面の水分が揮発し、さらに硬いものとなっ
て、折り曲げようとしたところ簡単に割れてしまった。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 融点が室温以下の多価アルコールおよび
    /または多価アルコール誘導体液、または前記多価アル
    コールおよび/または多価アルコール誘導体を10重量
    %以上含有する水性混合液に、一般式(I) 【化1】 (式中、R1 およびR2 は互いに独立して水素原子また
    はメチル基を表わす。)で示されるN−ビニルカルボン
    酸アミド、または前記N−ビニルカルボン酸アミドとそ
    のN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能な他のエチ
    レン性不飽和単量体との混合物を全単量体濃度10〜8
    0重量%となるように溶解した吸液材料前駆体混合溶液
    を重合させることを特徴とする吸液材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 吸液材料前駆体混合溶液中に、エチレン
    性不飽和結合を1分子中に2個以上有する架橋剤および
    /またはN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能な他
    のエチレン性不飽和単量体中の官能基と反応して共有結
    合を生成し得る多官能性架橋剤を存在させる請求項1に
    記載の吸液材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 N−ビニルカルボン酸アミドが、N−ビ
    ニルアセトアミドおよび/またはN−メチル−N−ビニ
    ルアセトアミドである請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 多価アルコールおよびその誘導体が、エ
    チレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレ
    ングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレ
    ングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−
    ブチレングリコール、グリセリン、トリオキシイソブタ
    ン、これらのモノアルキルエーテル、およびこれらのモ
    ノエステルから選択される請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 吸液材料前駆体混合溶液をフィルムまた
    はシート基材の少なくとも1面に塗工して重合を行なう
    請求項1乃至4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 吸液材料前駆体混合溶液を布材に含浸し
    て重合を行なう請求項1乃至4に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 吸液材料前駆体混合溶液を型枠に注入し
    重合を行なう請求項1乃至4に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 融点が室温以下である多価アルコールお
    よび/または多価アルコール誘導体液、または前記多価
    アルコールおよび/または多価アルコール誘導体を10
    重量%以上含有する水性混合液に、一般式(I) 【化2】 (式中、R1 およびR2 は互いに独立して水素原子また
    はメチル基を表わす。)で示されるN−ビニルカルボン
    酸アミド、または前記N−ビニルカルボン酸アミドとそ
    のN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能な他のエチ
    レン性不飽和単量体およびN−ビニルカルボン酸アミド
    との混合物を全単量体濃度10〜80重量%に溶解し、
    前記単量体含有溶液にエチレン性不飽和結合を1分子中
    に2個以上有する架橋剤および/またはN−ビニルカル
    ボン酸アミドと共重合可能な他のエチレン性不飽和単量
    体中の官能基と反応して共有結合を生成し得る多官能性
    架橋剤を存在させ重合させてなる吸液材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2014208604A1 (ja) * 2013-06-27 2017-02-23 国立大学法人大阪大学 分子内相互作用に基づく高強度ゲル

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