JPH0939148A - シロキサン系薄膜の形成方法 - Google Patents

シロキサン系薄膜の形成方法

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JPH0939148A
JPH0939148A JP18934295A JP18934295A JPH0939148A JP H0939148 A JPH0939148 A JP H0939148A JP 18934295 A JP18934295 A JP 18934295A JP 18934295 A JP18934295 A JP 18934295A JP H0939148 A JPH0939148 A JP H0939148A
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siloxane
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安男 武部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜厚を薄く制御することが可能で、極めて簡
単な方法で安価に室温でも効率よくピンホールのない密
着性の良いシロキサン系薄膜の形成方法を提供する。 【解決手段】 ピリジン5重量%、(トリデカフルオロ
−1、1、2、2−テトラヒドロオクチル)トリエトキ
シシラン2重量%のヘキサデカン溶液に、洗浄したスラ
イドガラス(ほう珪酸ガラス)基板を室温で1時間浸漬
させ、その後クロロホルムの入った容器中に基板を浸漬
し、クロロホルムを攪拌して10分間のクロロホルム洗
浄を行い、更に流水で10分間の水洗を行うことによ
り、水に対する接触角115゜、サラダ油に対する接触
角80゜の撥水撥油性シロキサン系薄膜が基板上に形成
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シロキサン系薄膜
の形成方法に関するものである。さらに詳しくは、基体
上にシラン化合物からなるシロキサン系薄膜を製造する
際に、塩基の触媒作用を利用したシロキサン系薄膜の形
成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】薄膜の作製法としては、ラングミュア・
ブロジェット(LB)法、真空蒸着法、化学的気相成長
法がよく知られている。
【0003】このうち、膜強度の観点から、化学的気相
成長法は、膜を構成する分子同士が化学的に結合してい
るため、強固な膜が得られる優れた方法であり、例え
ば、特開平2−236282号公報にあるように有機珪
素化合物と三弗化窒素を用いてシロキサン系薄膜が得ら
れている。
【0004】また、これらの方法とは異なり、特開平5
−116989号公報にはアルコキシシランを用いて、
ゾル−ゲル法で撥水性薄膜を作製する方法が報告されて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】化学的気相成長法は真
空設備を必要としたり、プラズマ発生装置を必要とする
等、設備が大がかりになり、薄膜を形成させる基体の寸
法や形状が限定されるといった欠点を持つ。
【0006】また、ゾル−ゲル法は薄膜作製時に400
℃での焼成が必要であったり、酸触媒が必要であったり
するため、耐熱性の低い基体や酸に侵されやすい基体は
用いることができず、その用途や基体が制限される。
【0007】さらに上記方法では、アルコキシシランを
含む溶液を基体上に塗布した後に加熱し焼成するため、
極めて薄い膜を形成しようとするとピンホールが発生し
てしまい、薄くても100ナノメーターの膜厚のものが
限度であり、数ナノメーター程度の薄膜を形成すること
は困難である。
【0008】本発明は、真空装置等の大がかりな設備の
必要無しに、かつ焼成や酸触媒の使用無しに、また膜厚
を薄く制御することが可能で、極めて簡単な方法で安価
に効率よくピンホールのない密着性の良い強固なシロキ
サン系薄膜を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、第1の本発明のシロキサン系薄膜の形成方法は、少
なくともシラン化合物および塩基性化合物が存在する環
境下で基体を処理することを特徴とする。
【0010】前記第1の本発明のシロキサン系薄膜の形
成方法に於いては、少なくともシラン化合物および塩基
性化合物が存在する環境下で基体を処理した後、余分な
シラン化合物を除去するための洗浄工程を更に含むこと
が好ましい。
【0011】前記第1の本発明のシロキサン系薄膜の形
成方法に於いては、シラン化合物が、アルコキシ基を有
するシラン化合物であることが好ましい。また、前記第
1の本発明のシロキサン系薄膜の形成方法に於いて、シ
ラン化合物としてアルコキシ基を有するシラン化合物を
用いる場合には、アルコキシ基を有するシラン化合物
が、トリアルコキシシランまたはテトラアルコキシシラ
ンから選ばれたシラン化合物であることが好ましい。
【0012】また、前記第1の本発明のシロキサン系薄
膜の形成方法に於いては、塩基性化合物が、3級アミン
であることが好ましい。また、第2の本発明のシロキサ
ン系薄膜の形成方法は、少なくともアルコキシ基および
塩基性官能基を有するシラン化合物が存在する環境下で
基体を処理することを特徴とする。すなわち、シラン化
合物が塩基性官能基を有している場合は、塩基性化合物
の併用を省略できる。
【0013】前記第2の本発明のシロキサン系薄膜の形
成方法に於いては、少なくともアルコキシ基および塩基
性官能基を有するシラン化合物が存在する環境下で基体
を処理した後、余分なシラン化合物を除去するための洗
浄工程を更に含むことが好ましい。
【0014】また、前記各本発明のシロキサン系薄膜の
形成方法に於いては、基体が、その表面に活性水素を有
する基体であることが好ましい。また、前記各本発明の
シロキサン系薄膜の形成方法に於いては、シロキサン系
薄膜の膜厚が、10ナノメーター以下であることが好ま
しい。
【0015】
【発明の実施の形態】前記した本発明の構成によれば、
焼成や酸触媒の必要なしに、アルコキシシランからシロ
キサン系薄膜を基体上に形成することができる。そして
塩基性化合物を用いているので、その触媒作用により、
室温のような低温下でも、基体と接触させることにより
基体上に容易にシロキサン系薄膜が形成される。また、
少なくともアルコキシ基および塩基性官能基を有するシ
ラン化合物を用いた場合には、シラン化合物中に存在す
る塩基性官能基の触媒作用により、同様に室温のような
低温下でも、基体と接触させることにより基体上に容易
にシロキサン系薄膜を形成することができる。加熱して
シロキサン系薄膜の形成をより一層早くすることも可能
であるが、例えばプラスチックスなどの様に熱によって
軟化あるいは溶融したり、熱劣化ないし熱分解しやすい
ような耐熱性の低い基体を用いなければならない場合に
於いても、加熱しなくても比較的速やかにシロキサン系
薄膜を形成することができる点は、本発明の特色の一つ
である。
【0016】また、さらに、シラン化合物を基体と反応
させた後、未反応のシラン化合物を容易に洗浄除去でき
るため、膜厚をナノメーターオーダーに制御することが
可能で、そのため透明性が良好であり、ピンホールがな
く、かつ共有結合により強固に基体と結合しているシロ
キサン系薄膜を得ることができる。
【0017】さらに、シラン化合物として、たとえば撥
水性や撥油性等の特性を発現する官能基を有するシラン
化合物を用いれば、撥水性や撥油性のシロキサン系薄膜
を形成することができる。
【0018】また、本発明によるシロキサン系薄膜の形
成方法によれば、真空設備やプラズマ発生装置などの特
別の高価な設備無しにシロキサン系薄膜が効率よくかつ
安全に作製できる。したがって、かかる特別の装置の大
きさや形によって用いる基体の形や大きさに制限が出て
くると言うようなことがなく、膜形成の対象となる基体
の大きさや形を比較的自由に選定できる。また、未反応
のシラン化合物を洗浄除去する場合も、真空設備やプラ
ズマ発生装置などの特別の設備を使用していないので、
基体を取り出して洗浄工程に移す場合においても、これ
らの特別の装置の可動を一旦休止して、装置を開けて装
置内から処理された基板を取り出すと言うような時間の
かかる工程がなく、容易に洗浄工程に移すことができ
る。
【0019】本発明で用いるシラン化合物としては、ア
ルコキシシラン、アセトキシシラン、イソシアネートシ
ランなどが挙げられる。アルコキシシランとしては、R
4-X Si(OR´)X (但し、Xは1〜4の整数、Rは
炭素数2〜30のアルキル基、炭素数6〜8のアリール
基、炭素数3〜12のフルオロアルキル基または炭素数
6〜9のフルオロアリール基を表し、R´は炭素数1〜
3のアルキル基示す。)で示される化合物が好ましく、
耐久性の良い薄膜を得るには、特にトリアルコキシシラ
ン、テトラアルコキシシランが好ましく用いられる。上
記(OR´)で示される炭素数1〜3のアルコキシ基と
しては、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、
プロピルオキシ基が挙げられる。
【0020】上記アルコキシシラン化合物のRの種類
は、基材に付与したい性質によって使い分けることがで
き、撥水性の薄膜を作製する場合には、アルキル基、ア
リール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基を
有するアルコキシシランを用いることが望ましく、撥油
性の薄膜を作製する場合には、フルオロアルキル基、フ
ルオロアリール基を有するアルコキシシランを用いるこ
とが望ましい。
【0021】アルキル基を有するアルコキシシランとし
ては、炭素数2〜30のアルキル基を有するアルコキシ
シランが好ましく、具体例としては、例えば、エチルト
リエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、オク
チルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、
オクタデシルトリエトキシシラン、エイコシルトリエト
キシシラン、トリアコンチルトリエトキシシランなどが
挙げられ、長鎖アルキル基を有するシラン化合物は、特
に撥水性が優れた膜を形成するのに好適である。
【0022】アリール基を有するアルコキシシランとし
ては、炭素数6〜8のアリール基を有するアルコキシシ
ランが好ましく、具体例としては、例えば、フェニルト
リエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、フェ
ネチルトリエトキシシラン、トルイルトリエトキシシラ
ンなどが挙げられる。
【0023】フルオロアルキル基を有するアルコキシシ
ランとしては、炭素数3〜12のフルオロアルキル基を
有するアルコキシシランが好ましく、具体例としては、
例えば、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリエ
トキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−
テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(ヘプタ
デカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)
トリエトキシシラン、(ヘニコサフルオロ−1,1,
2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシランなど
が挙げられる。
【0024】フルオロアリール基を有するアルコキシシ
ランとしては、炭素数6〜9のフルオロアリール基を有
するアルコキシシランが好ましく、具体例としては、例
えば、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、
(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリエトキシシラ
ンなどが挙げられる。
【0025】また、基材に潤滑性を付与するには、前述
した長鎖アルキル基を有するシラン化合物が好ましく用
いられる。また、テトラエトキシシランなどを用いた場
合には基材に防錆性を付与することもできる。
【0026】アセトキシシランとしては、R4-X Si
(OCOCH3X (但し、Xは1〜4の整数、Rは炭
素数2〜30のアルキル基、炭素数6〜8のアリール
基、炭素数3〜12のフルオロアルキル基または炭素数
6〜9のフルオロアリール基を示す。)で示される化合
物が好ましく、耐久性の良い薄膜を得るには、特にトリ
アセトキシシラン、テトラアセトキシシランが好ましく
用いられる。
【0027】上記アセトキシシラン化合物のRの種類
は、基材に付与したい性質によって使い分けることがで
き、撥水性の薄膜を作製する場合には、アルキル基、ア
リール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基を
有するアセトキシシランを用いることが望ましく、撥油
性の薄膜を作製する場合には、フルオロアルキル基、フ
ルオロアリール基を有するアセトキシシランを用いるこ
とが望ましい。
【0028】アセトキシシランの具体例としては、ジメ
チルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラ
ン、エチルトリアセトキシシラン、テトラアセトキシシ
ランなどが挙げられる。
【0029】イソシアネートシランとしては、R4-X
i(NCO)X (但し、Xは1〜4の整数、Rは炭素数
2〜30のアルキル基、炭素数6〜8のアリール基、炭
素数3〜12のフルオロアルキル基または炭素数6〜9
のフルオロアリール基を表し、R´は炭素数1〜3のア
ルキル基示す。)で示される化合物が好ましく、耐久性
の良い薄膜を得るには、特にトリイソシアネートシラ
ン、テトライソシアネートシランが好ましく用いられ
る。
【0030】上記イソシアネートシラン化合物のRの種
類は、基材に付与したい性質によって使い分けることが
でき、撥水性の薄膜を作製する場合には、アルキル基、
アリール基、フルオロアルキル基、フルオロアリール基
を有するアセトキシシランを用いることが望ましく、撥
油性の薄膜を作製する場合には、フルオロアルキル基、
フルオロアリール基を有するイソシアネートシランを用
いることが望ましい。イソシアネートシランの具体例と
してはテトライソシアネートシランが好ましい例として
挙げられる。
【0031】以上のシラン化合物においては、特にアル
コキシシラン類が好ましく、特に耐久性の良い膜を得る
には、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン
が最も好ましく用いられる。
【0032】また、本発明で用いる塩基性化合物として
は、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン等
の3級アミンが望ましいが、これらに限定されないこと
勿論である。
【0033】シラン化合物と塩基性化合物の使用割合
は、特に限定するものではないが、モル比でシラン化合
物1に対して塩基性化合物0.1〜1000程度の範囲
が好ましく用いられる。通常はモル比でシラン化合物1
に対して塩基性化合物0.1〜10程度の範囲で十分で
あるが、塩基性化合物を溶媒として用いる場合には、モ
ル比でシラン化合物1に対して塩基性化合物が1000
程度になる場合も十分あり得るのである。
【0034】少なくともアルコキシ基および塩基性官能
基を有するシラン化合物を用いる場合には、上記のよう
な塩基性化合物を併用する必要はなく、少なくともアル
コキシ基および塩基性官能基を有するシラン化合物の塩
基性官能基としてはアミノ基(NH2 −)、ピリジニル
基(C55 N−)などが好ましい例として挙げられ、
アルコキシ基としては、炭素数1〜3のアルコキシ基が
好ましく、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ
基、プロピルオキシ基などが挙げられる。かかる少なく
ともアルコキシ基および塩基性官能基を有するシラン化
合物の具体例としては、3−アミノプロピルトリエトキ
シシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4
−アミノブチルトリエトキシシラン、2−[2−(トリ
メトキシシリル)エチル]ピリジンなどが挙げられる。
【0035】本発明の方法では、シラン化合物および塩
基性化合物の両方が存在する雰囲気中に基体をさらすこ
とによって、基体上にシロキサン系薄膜を形成できる。
勿論前述したようにシラン化合物が塩基性官能基を有し
ている場合は、塩基性化合物の併用は不要であり、塩基
性官能基を有しているシラン化合物が存在する雰囲気中
に基体をさらすことによって、基体上にシロキサン系薄
膜を形成できる。
【0036】最も簡便には、密閉容器中にシラン化合物
および塩基性化合物、または、塩基性官能基を有してい
るシラン化合物を適当量導入し、それらの蒸気に基体を
さらすことでシロキサン系薄膜が形成できるが、製膜時
間や膜の特性の観点からこれらの原料を含んだ溶液中で
シロキサン系薄膜を作製する方がより好ましい。
【0037】すなわち、例えば溶液中で作製した場合の
方が、短時間でピンホールの少ない膜が作製できる。シ
ラン化合物と塩基性化合物のみ、または、塩基性官能基
を有しているシラン化合物のみからなる液状物を基体に
接触させても目的のシロキサン系薄膜は得られるが、よ
り経済的には適当な溶媒で希釈する方が望ましい。
【0038】シラン化合物は高価なので、シラン化合物
の濃度は薄いほど未反応のシラン化合物が洗浄などによ
り廃棄される量が少なくなるので経済的であることと、
洗浄を行う場合には、洗浄が短時間で完了するメリット
があるが、余り濃度が薄過ぎると、製膜が困難になるの
で、1〜5重量%の範囲が好ましい。濃度が高いと反応
時間は短くできるが、10重量%を越えるとそれ以上高
濃度にしてもほとんど反応時間を短縮できず、また、洗
浄工程に長い時間を要し、全体としての製造時間におい
ては必ずしも濃度が高い方が有利とは言えない。反応速
度も極端に低下せず、しかも洗浄工程で高価な未反応の
余分なシラン化合物を除去する量を少なくでき経済的で
あること、洗浄工程に於ける洗浄時間を短くできること
などを考慮すると、上述した様にシラン化合物として
は、濃度1〜5重量%の溶液の形で用いることが好まし
い。塩基性化合物についても溶媒で希釈して用いる場合
には、余り塩基性化合物の濃度が小さ過ぎる場合には、
塩基性化合物の触媒作用が十分発揮されず製膜に長時間
を要することになるので、1〜10重量%の濃度が好ま
しく、また経済的でもある。
【0039】上記溶媒としては、シラン化合物および塩
基性化合物の両方を溶解するもの、また、塩基性官能基
を有しているシラン化合物を用いる場合には当該シラン
化合物を溶解し得る溶媒であればいずれでもかまわない
が、より好ましくは炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒等
の非水溶媒が望ましい。しかし、これらのみに限定され
るものではない。
【0040】炭化水素系溶媒としては、例えばヘキサデ
カン、トルエン、キシレン、デカリン、テトラリンなど
が挙げられ、沸点や毒性などの点からは特にヘキサデカ
ンが好ましい。
【0041】ハロゲン系溶媒としては、例えばクロロホ
ルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロ
エチレン、パーフルオロペンタンなどが挙げられ、価格
や環境規制などの点からはクロロホルムが好ましい。
【0042】形成するシロキサン系薄膜は、多くの場合
できるだけ薄いことが望ましく、膜厚がナノメーターオ
ーダーであると、下地の基体の光学的特性を損なわない
ため理想的である。すなわち、膜厚がナノメーターオー
ダーであると形成されたシロキサン系薄膜の吸光度が小
さく、このため、基体の透明性を阻害せず、光透過性の
優れたシロキサン系薄膜を形成することができる。ま
た、基体の反射率などにも影響が極めて少なく、このた
め、例えば鏡面上にシロキサン系薄膜を形成することに
よって、基体の反射率などに影響を与えずに基体の表面
の性質を変化させる事が可能となる。膜厚は10ナノメ
ーター以下の厚さにすることが好ましく、膜厚の下限は
特に制限するものではないが、シロキサン系単分子膜で
は、分子の大きさにもよるが、アルコキシ基を有するシ
ラン化合物として、例えばプロピルトリエトキシシラン
を用いた場合の単分子膜では約0.5ナノメーターとす
ることができる。また、膜厚を厚くしたい場合には、シ
ラン化合物の種類を選び、基体と接触させる時間、すな
わち、反応時間を長くし、あるいは必要に応じて加熱す
ることによって10ナノメーター程度の膜厚のシロキサ
ン系薄膜を基体上に形成することができる。
【0043】基体上に形成されるシロキサン系薄膜の膜
厚は、用いる基体の種類、用いるシラン化合物の種類、
濃度、反応温度などによって変わるが、これらが決まれ
ば、用いるアルコキシ基を有するシラン化合物と基体と
の反応時間(接触時間)が長くなればなるほど一般に膜
厚が厚くなる傾向にある。従って、設定した条件下で反
応時間をコントロールすることにより、膜厚を制御する
ことができる。膜厚のコントロールに特に有効なのは、
所定時間の製膜反応を行った後、余分の未反応のシラン
化合物を洗浄して除去することが好ましい。
【0044】製膜反応後、余分な未反応のシラン化合物
を除去するための洗浄は、シラン化合物および塩基性化
合物を併用している場合には、好ましくはこの両者を溶
解し得る溶媒が用いられるが、未反応のシラン化合物さ
え除去できれば膜厚のコントロールなどの目的は達成で
きるので、シラン化合物のみを溶解し得る溶媒を用いて
もよい。また、塩基性官能基を有しているシラン化合物
を用いた場合には、このシラン化合物を溶解し得る溶媒
を用いて洗浄することができる。洗浄方法としては、前
述した様な溶媒中にシロキサン系薄膜が形成された基体
を浸すことが最も簡便な方法であるが、これに限定され
ないこと勿論であり、例えば、真空中で未反応のシラン
化合物を蒸発させることによって除去する方法や、乾燥
窒素ガスのブローで未反応のシラン化合物を吹き飛ばす
方法など他の手段によってもよい。また、場合によって
は洗浄を必要としないこと勿論である。例えば、プロピ
ルトリメトキシシランなど、シラン化合物の蒸気圧が高
い場合には、乾燥雰囲気中に放置しておく方法によって
も未反応のシラン化合物を蒸発させて、除去することな
どもできる。
【0045】上記洗浄に用いる溶媒としては、上述した
様に少なくとも用いたシラン化合物を溶解し得る溶媒で
あればかまわない。たとえば、クロロホルム、アセト
ン、エタノール等が好適に使用できるが、これらに限定
されるものではない。
【0046】薄膜を形成するために用いる基体として
は、原理的には活性水素を表面に有するものであれば利
用できる。特に、表面に高密度に水酸基を有するものが
望ましいが、これに限定されるものではない。例えばガ
ラス、表面酸化膜を有する金属等が好ましい。
【0047】しかし、たとえ表面に十分な水酸基が存在
しない基体でも、酸処理、酸素プラズマ処理、水蒸気プ
ラズマ処理等によって表面に十分な水酸基を作り出すこ
とができる。この処理によって、雲母やほとんどのプラ
スチック等が基体として利用できる。
【0048】また、あらかじめ基体上にゾル−ゲル法
や、スパッタ法等によりシリコン酸化膜等を形成してお
けば、どのような基体も利用することができ、さらにそ
のシリコン酸化膜は、下地基体の保護膜としても機能す
る。
【0049】以上、本発明方法によって、基体上にシロ
キサン系薄膜を形成することにより、基体の光学的性質
をほとんど変化させることなく、また、シラン化合物の
種類を選定することにより、基体に撥水性、撥油性、潤
滑性、防錆性その他目的に応じた種々の性質を付与で
き、例えば自動車窓材、メガネやカメラのレンズに代表
されるガラス製品や、プラスチックメガネレンズ、コン
タクトレンズなどで代表されるプラスチックス製品、
傘、レインコート、シャツ、ズボン、ネクタイなどで代
表される繊維製品あるいは鍋蓋等の金属製品の表面にシ
ロキサン系薄膜を形成して撥水性、撥油性その他の新た
な特性を付与することができる。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。ただし、本発明は以下の具体的実施例に限定
されるものではない。
【0051】(実施例1)ヘキサデカンにピリジンを全
体の重量割合で5重量%となるように加え、(トリデカ
フルオロ−1、1、2、2−テトラヒドロオクチル)ト
リエトキシシラン(C61324Si(OEt)3)を全
体の重量割合で2重量%となるように加えたものを溶液
Aとした。
【0052】次に、基体として洗浄したスライドガラス
(ほう珪酸ガラス)基板を用い、これを溶液Aに室温で
1時間浸漬させた。続いて、クロロホルムの入った容器
中に基板を浸漬し、クロロホルムを攪拌して10分間の
クロロホルム洗浄を行い、更に流水で10分間の水洗を
行った。
【0053】これにより、製膜前は水に対する接触角が
20゜以下の基板が、製膜後には水に対する接触角11
5゜、サラダ油に対する接触角80゜となり、撥水撥油
性シロキサン系薄膜が基板上に形成されたことが確認さ
れた。形成された薄膜の模式的断面図を図2に示した。
図2中1は基板を示し、化学記号で示したシロキサン系
薄膜中のRはC61324 −を示し、また、nは7〜
9の数を示している。(図2中Siのすべてが横方向に
Oを介して結合しておらず−OHのままで残っている部
分が存在するのは、ランダムに存在すると推定される未
反応の部分を示したものである。) なお、この撥水撥油性薄膜は、原子間力顕微鏡(AF
M)による観察により、ピンホールのほとんどない均一
な膜であり、しかも膜厚は、4nmであることが確認さ
れた。
【0054】さらに、フーリエ変換赤外吸収スペクトル
(FT−IR)測定により、図1に示すように2900
cm-1付近(帰属C−H)、1360cm-1付近(帰属
C−F)、1320cm-1付近(帰属C−F)、106
0cm-1付近(帰属Si−O)に吸収が観測されたこと
より、膜形成を確認できた。
【0055】(実施例2)実施例1で用いた溶液Aを含
ませた布で実施例1と同じ基板を10回こすった。
【0056】はじめは基板は溶液Aで濡れていたが、3
回以上布でこすることにより基板は溶液Aをはじくよう
になった。この基板を室温の空気中に1時間放置し、続
いて、実施例1と同様に10分間のクロロホルム洗浄、
および10分間の水洗を行った。
【0057】これにより、得られた基板は水に対する接
触角110゜、サラダ油に対する接触角70゜となり、
撥水撥油性薄膜が基板上に形成されたことが確認され
た。形成された薄膜の模式的断面図を図3に示した。図
3中1は基板を示し、化学記号で示したシロキサン系薄
膜中のRはC61324 −を示し、また、nは3〜7
の数を示している。
【0058】さらに、実施例1と同様にFTーIR測定
により、膜形成を確認できた。 (実施例3)ヘキサデカンにピリジンを全体の重量に対
し5重量%となるように加え、オクタデシルトリエトキ
シシラン(C1837Si(OEt)3 )を全体の重量に対
し2重量%となるように加えたものを溶液Bとした。
【0059】次に、実施例1で用いた基板と同じ基板を
溶液Bに室温で1時間浸漬させた。続いて、実施例1と
同様に10分間のクロロホルム洗浄、および10分間の
水洗を行った。
【0060】これにより、得られた基板は水に対する接
触角97゜となり、撥水性シロキサン系薄膜が基板上に
形成されたことが確認された。形成された薄膜の模式的
断面図を図4に示した。図4中1は基板を示し、化学記
号で示したシロキサン系薄膜中のRはC1837−を示し
ている。
【0061】なお、この撥水性シロキサン系薄膜は、原
子間力顕微鏡(AFM)による観察により、ピンホール
のほとんどない均一な膜であり、しかも膜厚は、2nm
であることが確認された。膜厚から判断して単分子膜が
形成されていると考えられる。
【0062】さらに、実施例1と同様にFTーIR測定
により、膜形成を確認できた。 (耐久性試験)実施例1から3の基板上に形成されたシ
ロキサン系薄膜をエタノール、クロロホルム、アセト
ン、水でそれぞれ1時間洗浄したが、水ないしサラダ油
に対する接触角はほとんど変化しなかった。
【0063】また、セロハンテープによる剥離試験でも
剥離は見られず、水ないしサラダ油に対する接触角もほ
とんど変化しなかった。さらに、荷重200g/cm2
の綿ネル布による耐摩耗試験では、200往復後の接触
角の低下は、数%から十数%程度であった。
【0064】
【発明の効果】本発明方法によれば、極めて簡単な方法
で安価に効率よくシロキサン系薄膜が作製でき、しかも
膜厚をナノメーターオーダーに制御することが可能であ
り、また、室温で容易にシロキサン系薄膜を形成でき、
光学的特性を損なうことなく密着性に優れたシロキサン
系薄膜を提供できるため、自動車窓材に代表されるガラ
ス製品や鍋蓋等の金属製品の表面にシロキサン系薄膜を
形成して新たな特性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1のシロキサン系薄膜の赤外吸
収スペクトル。
【図2】実施例1において形成された薄膜の模式的断面
図。
【図3】実施例2において形成された薄膜の模式的断面
図。
【図4】実施例3において形成された薄膜の模式的断面
図。
【符号の説明】
1 基板

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともシラン化合物および塩基性化
    合物が存在する環境下で基体を処理することを特徴とす
    るシロキサン系薄膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 少なくともシラン化合物および塩基性化
    合物が存在する環境下で基体を処理した後、余分なシラ
    ン化合物を除去するための洗浄工程を更に含むことを特
    徴とする請求項1に記載のシロキサン系薄膜の形成方
    法。
  3. 【請求項3】 シラン化合物が、アルコキシ基を有する
    シラン化合物である請求項1または2のいずれかに記載
    のシロキサン系薄膜の形成方法。
  4. 【請求項4】 アルコキシ基を有するシラン化合物が、
    トリアルコキシシランまたはテトラアルコキシシランか
    ら選ばれたシラン化合物である請求項3に記載のシロキ
    サン系薄膜の形成方法。
  5. 【請求項5】 塩基性化合物が、3級アミンである請求
    項1〜4のいずれかに記載のシロキサン系薄膜の形成方
    法。
  6. 【請求項6】 少なくともアルコキシ基および塩基性官
    能基を有するシラン化合物が存在する環境下で基体を処
    理することを特徴とするシロキサン系薄膜の形成方法。
  7. 【請求項7】 少なくともアルコキシ基および塩基性官
    能基を有するシラン化合物が存在する環境下で基体を処
    理した後、余分なシラン化合物を除去するための洗浄工
    程を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のシロキ
    サン系薄膜の形成方法。
  8. 【請求項8】 基体が、その表面に活性水素を有する基
    体である請求項1〜7のいずれかに記載のシロキサン系
    薄膜の形成方法。
  9. 【請求項9】 シロキサン系薄膜の膜厚が、10ナノメ
    ーター以下である請求項1〜8のいずれかに記載のシロ
    キサン系薄膜の形成方法。
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